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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 松田ァ! 生きとったんかワレ! 最終話!! 激動を生き抜いた最後の証人だ。昭和は終わり平成へ、多くの死が、多くの生を繋ぐ、心中の物語。こんなにも晴れやかな幕引きなのに、何故だろう、涙が止まりません。

 菊さんの死後、時間は飛ぶように過ぎ去ってあっという間の十七年。菊さんが悩みに悩み抜いて作りあげた落語の次の時代はどうなっていたかを見せる壮大なエピローグだ。まず、当然信乃助は噺家に。飛ぶ鳥を落とす勢いの気鋭の天才「2代目」として名を馳せ、立派に新しい時代の大看板を背負っている。菊さんがその存在だけを知って逝ってしまったあの時のお腹の子、妹の小雪も立派に大きくなり、こちらは落語大好きな女子高生に。流石に噺家になりたいとは思ってないようだが、その理由は「聞いてた方が面白いから」。いかにも現代っ子なサバサバした考え方。八雲の落語は難しくてよく分かんないからおとっつぁんが一番好き。樋口先生の言からすると、彼女は八雲の影響力の薄れた現代落語の象徴的な姿か。そして小夏は長年の夢をついに実現させ、この度「小助六」として正式に噺家としての仕事を始める。あの時代では考えられず、小夏自身もあり得ないと思っていた女流落語家という道。ついにその先鞭をつけることに成功したのだ。

 新しい寄席も無事に完成し、めでたい話をたくさん詰め込んで新たな時代の幕開け。その立役者になったのはもちろん与太郎だった。この度九代目八雲を襲名する運びとなった与太。八雲の看板を背負わされたら少しは変わるかってぇと、もちろんそんなことは無い。どれだけ歳を取っても、どれだけ大きなものを背負っても、どこまでも「ただの落語好き」の与太だ。背中の彫り物もいっぱしに、贔屓にしてくれる旦那衆、ファンのためにサービス満点のお計らい。この男が現代落語を背負っているという事実が、この世界の落語の在り方全てを表しているだろう。八雲と助六に憧れたただのチンピラは、菊さんの手に依ってあらゆる芸をたたき込まれ、進んだ道こそ「助六の落語」だったはずだが、グルリ回ってゴールは八雲。「助六が八雲を襲名する」という先代2人の悲願を見事成し遂げ、与太郎はこの世界を統べる存在となったのである。

 そして、最後の最後にぶち上げたのは樋口先生。相変わらずのKYっぷりを存分に発揮し、こんなハレの日に小夏に爆弾を叩きつける。「果たして信乃助は誰の子だったのか?」。あの日、与太郎は無い智恵を絞って考えた末に親分さんとの関係性に辿り付き、小夏の過去を振り払い、過去を顧みぬと誓うことで小夏を呪縛から解き放った。しかし、小夏の口から何かが語られたわけではなく、真実は闇の中。そこに疑念を抱いた樋口先生は、持ち前の大胆さで最後のブラックボックスに手をかけた。小夏と菊さんの間に、どんな関係があったのかと。老成した小夏は、もちろんこんなところでポロリと何かを漏らすような女じゃない。答えは謎のままだ。正直、菊さんとそんなことがあったかどうかなんて考えもしなかったが……しかしまぁ、当時の小夏は母親の面影を(本人も)いやというほどに抱えていたわけで、そこに菊さんが打ちのめされてしまうことは充分に考えられることなのかもしれない。だからこその、あの「親子」関係だったとも考えられる。我々視聴者目線でもその答えは邪推するしかないが……。ただ、大きく成長した信乃助の面影を見るに、答えは出ているような気もしますね。助六の落語ではなく、畏敬する八雲・菊比古の芸を引き継いだ信乃助。彼の立ち居振る舞いが「祖父」に似るのは憧れの表れでもあろうが、そこに抗えない血の関わりがあるとしても……不思議ではないかな? 助六と八雲の落語を技で繋いだ与太郎、そして、その2人を血で結んだ信乃助。その2人が、新たな師弟関係の中で次の時代を作っていく。なんともまぁ、よく出来たお話で。

 2期エンディングのタイトルは「ひこばゆる」であり、映像からもぐんぐん伸びていく雨後の竹の子のイメージの曲だったことがよく分かる。そんな「伸びゆく輝かしい未来」を表す「雨竹亭」という新たな寄席でもって、最後の演目が演じられる。信乃助による「初天神」は、彼の持つ「血」の繋がりを示す親子というテーマ性がはっきり出た一席。黄泉への道行きでも菊さん信さんがナチュラルに演じていた演目だ。そして、大看板・八雲となった与太郎が何を見せてくれるものか。「助六」としての高座なら「芝浜」だろうが、菊さんとの関係性を考えるなら「居残り佐平次」もあり得た。しかし、ここで彼がかけた噺はなんと「死神」であった。これこそが、八雲の育んだ全てを受け継いだという証である。普段なら客席とのインタラクションがメインで描かれる与太の一席だが、新たな名前を受け、そこにははっきりと燃えつきた蝋燭のビジョンが映る。「噺の中の世界」の描写は間違いなく「八雲」の領分だ。そして、てっぺんに上りつめた与太が次に足をかけるべき階段は、師匠・菊さんの待つ場所へ。まさか、最後の最後の出番が「死神」とは思いませんでしたね、菊さん。まぁ、単ににっこり笑って愛弟子を褒めるだけじゃないところが菊さんらしいヒネたところでね。「お前にも見えるようになったか」ってのは、与太が師匠と同じステージに登ったことの表れでもあろうし、お役目をまっとうし、次の世代へと引き継いでいく未来の希望の表れともいえる。菊さんは、信さんやみよ吉に連れられ、「死神」の演目からうっかりあっちに行きそうになったこともあったが、その点、与太は大丈夫。何しろ辛気くさいこの話のオチも、一言加えて自分の側に引っ張り込んでしまったのだから。「なんだ夢か」の一言は、助六の落語だった「芝浜」と鏡写しの存在。新たな「死神」は、新たな時代の九代目八雲の世界。これからもしばらくは、与太さんのお話を楽しむことが出来る時代は続きそうだ。

 時代の終わり、時代の始まり、それらがつながって、一つの流れが続いていく。昭和元禄落語心中、これにて閉幕。

 お後がよろしいようで。

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