「天使の3P!」 5→5
最高なのは音楽であって小学生ではない。えぇ、主人公がそう言ってるんだから間違いないですよ。ほら、マスコミ対策ですよね。万一今後逮捕された時にも「あの人があんなことするなんて思いませんでした」って近所のおばちゃんに言われるためのやつ。
というわけで小学生が最高なアニメである(私はロリコンではないので)。やってるこたぁバスケもバンドも大差ないというのは事実なのだが、ちょっと落ち着いて見てみると、実はこの2つのテーマには大きな違いがある。それは、バスケなら確実に勝ち負けが存在し、その分だけドラマとしてのメリハリがつけやすいということだ。「小学生の女の子が頑張っている姿を見せる」という目的が同じである以上、その「頑張る理由」と「頑張った結果」を見せなければドラマが成立しないわけだが、バスケットボールなら「頑張る理由」は「勝ちたいから」、「頑張った結果」は「勝った」で良いので非常にシンプル。しかし、バンド活動の場合はそう単純な話ではないので、ドラマ作りの下準備が必要になる上、結論も簡単には出せるものではない。
そういう視点で見ていくと、本作の筋書きはなんだか変な方向に突き抜けている。当初の「孤児院をなくしたくない」という目的意識は至極真っ当なものだが、まさかそのあとの展開としてバンドもので「島編」がスタートするなんて思わなかったよ。なんやねんあれ。もう、バンドとか正直どうでもよくなったな。まぁ、あっちは「小学生もの」を突き詰めた結果ということで……アニメシリーズとしては、ラストに対バンを持ってきてるからちゃんと「勝ち負け」も表示されたし、一応収まりは良かったのだが……なかなかのフリーダムっぷりであった。
正直、そうしたシナリオラインの不安定さは苦笑ものであり、作品全般を通じて「バンドもの」というジャンル特有の魅力を押し出せたかというと疑問が残る作品になってしまっている。結局、「小学生ならではのバスケ」ってのはまだ画面映えもあるし、戦略的な見所や成長性をメインにした物語はあるのだが、「小学生ならではのバンド」ってのを打ち出そうとすると、そこには「未熟さ」みたいなものしか出てこず、それを良しとしなければ、あまり「ならでは」の景色が見えてこないのだ。アニメとしても演奏シーンはごく普通のレベルで収まっていたし、「音楽は最高だぜ!」と言いたいならもう少し頑張って音楽部分を突き詰めて欲しかったなぁ、という感想(私はロリコンではないので)。
ただまぁ、そうしたメインテーマのブレはあるものの、結局本作のメインテーマは音楽じゃねぇからな……。何が最高なのかは各人で自分の心に問い合わせておいてくださいね。何とは言わないが、そっち方面では相変わらずブレずに力のある作品である。なんであんなに膝裏に執念を燃やすんだろう……。個人的にははむはむが好きです。私は割とチョロいタイプの人間なので(ロリコンではないです)。毎週次回予告がやたら楽しみで、今ふと「まとめ動画とかないかなぁ」って思ったら普通にあった。あんなもん、今の若い子には元ネタ分からないよね(俺も詳しくは知らないんだけどさ)。
そして、個人的に注目すべきはやはりキャストの起用方法だろう。作品を超えたこのあけすけな起用はあまりにも大胆かつ予想外でさすがに笑う。ある意味で「境界のRINNE」の高橋留美子大甲子園に似たようなところがあるな。しっかりと世代交代をしながら、「親分がた」もしっかりとロリキャラを維持しながら登場しており、多数の小中学生が大挙する結果になったため、メインのヒロイン勢の中に3、4人ものツンデレがひしめくという群雄割拠の様相。やはり伊藤かな恵のツンデレは釘デレ同様に文化遺産としての価値がある。花澤キレ芸も同様だし、ラストで若手に席を譲る気はネェとばかりにキャラソンのプロモを展開する井口のふてぶてしさも見事なもの。これだけの強豪を相手に、若手3人はよく戦ったと思う。ちゃんと結果も出せてるしね。なお、親分がたもほぼ全員がロリキャラとして参戦する中、さすがに1人だけやめてくださいと言われたのかどうか、ババアになってる人がいるあたりは立ち位置をしっかり理解した完璧なキャスティングだと思います。膝を大事にね(オチ)。
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