最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
ここをわざわざ見ているような諸兄は既にご存知のことと思うが、なんと、この度Wizards社がうっかり「ドミナリア」の中国語版リリースノートを漏らすというとんでもないミスが発端となり、「えぇい、半端なリークが飛び交うくらいならいっそ全ての言語で公式にリリースノート展開するわ!」というので、カードが1枚も公開されていないこの早い時期からいきなり核心に迫るリリースノートが公表されるという前代未聞の事態になってしまった。 そりゃま、私だって毎度毎度リーク情報を見ながら一喜一憂しているような人間なので、こうして漏れてきたことに文句をいう資格もないのだが……今回の情報はやっぱりWizards社が考える「最も効率が良く、エキサイティングなプレビュー」で見たかったもんだよなぁ。すげぇセットだし、いきなりのリリースノートだと情報量が多すぎて処理できないし……。そもそも、こんだけ一気に出てしまったら俺がわざわざスポイラ書く意味もないよな? いや、普段から無いんだけども…… と言うわけで、頑張って書き始めることにしました。今回はそうした特殊な事情ですので、1回目が最大規模の情報公開となります。また、リリースノートの特徴として各カードが全てテキストでの公表なので、カードイラスト・フレーバーテキストなどの情報は一切なく、純粋にカードの効果のみに触れることになります。今回のセットほど各種フレーバーを大切にしなきゃいけないエキスパンションも無いだろうし、この片手落ちの状態で何かを書き始めるのは本当にもったいないのだが……だからって無視するわけにもなぁ。 また、カードのレアリティが抜け落ちているのも普段のプレビューと違うところで、全てのカードはレアリティという基準がない状態で提示されている。まぁ、見たらなんとなくわかるものもあるのだが(プレインズウォーカーは神話だろうよ)、不確定状態の憶測で語ってもしょうがないので、今回はレアリティについては極力触れない方向でのレビューを行なっていく。 うーむ、やっぱり色々取りこぼしがなぁ……しっかりしてよWizards!
○各種新しい要素 今回は新しいカードもさることながら、いよいよエキスパンションがラージのみになるという節目のセットであり、この機会を重要視したのか、かなり多くの部分でダイナミックな変更が加えられている。プレビューを見ていく上でも、いくつか触れる必要があるが、最大の変更はやはり以下のものだろう。 ・「プレイヤーに与えるダメージをプレインズウォーカーに移し替えることができなくなる」 これまで、PWの忠誠度を削り取る方法は大きく2つあり、1つは「アタックでPWを殴る」、そして「火力などでプレイヤーへ打ち込んだものを、PWに移し替える」である。そのうちの後者の方法がなくなる……わけではない。これまで印刷された「対象のプレイヤーにN点」という効果は、ほぼすべて「対象のプレイヤーかPWにN点」という効果に変更されるのである。つまり、基本的には大きな違いはない。ただし、例えば「全てのプレイヤーとクリーチャーにN点」の形なんかは変更されないので、移し替えができなくなっていることには注意が必要だ。今後印刷される「稲妻」なんかは全部テキストが変わるわけね。慣れるまではちょっと時間がかかりそうである。また、英語の場合は単に「target」と表記する場合もあり、これは「対象のクリーチャー・PW・プレイヤー」の3つだよ、なんて変更も出ている。英語版を使用するときは注意が必要だ。なお、当ブログではこの変更に伴い、カードテキストに「プレインズウォーカー」という文言が増えることから、今後はテキスト内でも「PW」の略称を導入することにする。
○セットコンセプト・伝説 今回はドミナリアの再訪という節目を迎えるにあたり、セット全体のテーマは「神河物語」以来、実に15年以上ぶりに「伝説」が据えられている。なんと「各ブースターには少なくとも1枚の伝説のクリーチャーが入っている」らしく、この開封比は神河時代を上回る。また、伝説のエンチャントなども数多く、伝説であることを参照する効果も多数収録されている。さらに今回からカードデザインも変わり、伝説であることがわかりやすくなるそうだ。これまでのセットならば「展開に制限がある」だけだった伝説はカードタイプとしてデメリットしか持っていなかったが、今後はそうでもないということだ。まぁ、だからって構築戦で4枚入れやすいかっていったら微妙なのだけども。オール4枚の金太郎飴デッキを否定するだけのパワーがあるかどうかは未知。あんまりセットコンセプトとして成功してなかった神河のリベンジになるかどうかも未知。神河を失敗セットみたいにいうのはやめろよ(ドラフト面白かったで)。
・伝説のソーサリー 戦場にパーマネントとして残らないソーサリー呪文にも「伝説の」というサブタイプがついた。これは何の意味もなさそうに見えるが、何とこれ、「伝説のクリーチャーかPWをコントロールしていないと唱えられないソーサリー」という、全く新しい概念である。これを「伝説」っていう1つのワードで表現して既存のレジェンドルールとごちゃごちゃにしてしまうのはどうかと思うのだが……フレーバー優先かな。注意すべきは、伝説なら何でも良いわけじゃなくて「クリーチャーかPW」が必要なこと。アズカンタを何枚並べても唱えることはできないのである。もちろん、一度唱えてスタックに乗れば、その後パーマネントを潰されても特に問題はない。 ○「英雄譚/Saga」 英雄譚はエンチャントに与えられるサブタイプで、能力としては「場に出た時と、あなたのドローステップの直後にこの上に伝承カウンターを置き、N個目のカウンターを乗せた時にN番(ローマ数字)の能力をスタックに乗せる。また、最後の能力を発動したら生贄に捧げられる」という、文字に書き起こすとわかりにくいもの。実際に使ってみればそこまで面倒ではないのだが、「ドローステップの直後」という変なタイミングでカウンターが乗るので最初のうちは注意が必要だ。カウンターを載せることにはスタックを用いず、最初の1つは「場に出るに際し」置かれるのだが、「置くことで誘発」だからなのか、既存のテンプレートである「〜はカウンターが置かれた状態で戦場に出る/Enter the Battlefield with X Conunter」では無く、「〜が戦場に出るに際し、カウンターを置く/As 〜 enters the battlefield, its controller puts a counter」になっているのがちょっとややこしい。まぁ、挙動はそこまで変では無くて、単に「出てしまったらカウンターを置くのも邪魔できないし、能力は絶対誘発する」ということと、「第1メインの開始時にスタックに乗った能力が解決するよ」ということだけ覚えておけばいいだろう。ちなみに公式のリリースノート(和訳)には「英雄譚の上に置かれている伝承カウンターの個数がこの能力の章番号以上になった時に誘発する」とあるが、「章番号以上」は誤りで、「章番号と同数」が正しい(3つ目のカウンターが乗ったときはⅢの能力だけが誘発し、ⅠやⅡは誘発しない)。まぁ、わかりにくいのでもし知らない人は下の方にある実際のカードの例を見てくれ。何となく分かるはずだから。 ○「歴史的/Historic」 今回、数多くのカードの中で「歴史的な呪文(or パーマネントor カード)」を参照することがある。全てのカードに注釈文がついているので迷うことはないだろうが、一応この「歴史的」とは、「その呪文(パーマネント、カード)がアーティファクトか伝説か英雄譚であること」を表しているという。「そんならそう書けよ」って思うのだが、まぁ、なんか雰囲気を出したかったのだろう。レジェンドや英雄譚が「歴史的」なのは分かるのだが、アーティファクトも全部そうなのね。ぶっちゃけ、アーティファクトも範囲内に入れたのはある程度構築レベルでも機能するギミックにしたかったからだろうと思う。「伝説の呪文を唱えるたび」だとどうしても他のセットから孤立しちゃうからね。ちなみに、「伝説の呪文を唱える」ことが条件になっている場合、そもそも唱えられない「伝説の土地」は当然カウントに入らないので注意すること。
○再録キーワード・キッカー キッカーである。全ての選択肢能力の大ボスである。いつ出てきてもおかしくないし、新鮮味はかけらもないけどそれだけ安定してるってことである。早速キッカーの再録で喜んでインベイジョンから再録されてるカードも報告されていたり。多重キッカーとかが帰ってくるかどうかは知らん。
○その他、ルールに影響しないテキスト部分の変更 細かい変更としては、例えば「マナ・プール」という言葉を使わないことにしたらしい。概念としては存在するが、これまでのように「あなたのマナプールに(G)を加える」と書くのではなく、単に「(G)を加える」と記述し、これは「あなたのマナ・プールに」と同義である。「幽体の照明灯(RAV)」のテキストとかどうなるんでしょうね。 あとは英語で「he or she」だったところを「they」にすることもあるよ、とか、なんかそんなん。あと、ルールテキストとフレーバーテキストの間に線を引いて区別しやすくしたってさ。よかったな、「スランの戦争機械」! さて、前振りがずいぶん長くなったが、以下はいつも通りに個別カードである。こうしてスタートは何とも残念な形での公開になったが、実は今回のセット、私が長年待ち望んだ「帰ってきた時のらせん的な懐古セット」という側面を持っているので、カード自体はかなり楽しい。 Baird, Steward of Argive アルガイヴ国家執事、ベイルド (2)(W)(W) ? 伝説のクリーチャー・人間、兵士 2/4 警戒 あなたやあなたがコントロールしているPWを攻撃するクリーチャー1体につきそのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、それは攻撃できない。 トップを飾るレジェンドは、新時代の「風生まれの詩神(10E)」。カード名に出てくる「アルガイヴ」という国名には覚えがなかったのだが、英語を見て「あ、これってアーギヴィーアか」ということに気づいた。現在スタンダードでも活躍中の「復元(KLD)」の大先輩にあたる「アーギヴィーアの修復術(WTH)」に用いられている「Argivian」という単語は、「Argive」という地名の所有格、つまり「アルガイヴの」という意味の単語であり、おそらく過去のカード名を「アルガイヴィアン」と発音するのが正しかったということなんだろう。ただ、Wikiを調べると「Argive/アルガイヴ」はアイスエイジ以降、新たに「Argivia/アーギヴィア」と名前を変えているという事情もあるので、結局何が正しいのかはよくわからん。さておき、戦闘抑止のために要求するコストが「亡霊の牢獄(CHK)」などの2マナから1マナへと緩和されいくらか優しさも芽生えたが、クリーチャーを並べるデッキにとって死活問題であることは変わらないので、やっぱり鬼畜能力である。「詩神」よりもタフネスが上がっているのでクリーチャーとして存命しやすくなり、ただひたすら脳筋なデッキ相手ならば強力な牽制になるだろう。なお、今回はこうしてレジェンドだけど誰やねん、みたいな連中が大量に登場するため、基本的にその素性については無視していくことに。あんまりドミナリアの歴史には詳しくないので、有名人でもスルーする可能性はあるけどご容赦ください。
Benalish Marshal べナリアの軍司令 (W)(W)(W) ? クリーチャー・人間、騎士 3/3 あなたがコントロールしている他のクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。 何とその身に「栄光の頌歌(10E)」をぶち込んだ骨太ナイト。点数で見たコストは据え置きの3マナで、そこに3/3の充分サイズがおまけってんだから、全体増強もお安くなったもんである。まぁ、直近のセットにも「マーフォークの霧縛り」みたいな連中がいるんだから、これくらいは余裕なのかも。「栄光の唱歌」と違ってありとあらゆるデッキで対処可能なクリーチャーなわけだしね。トリプルシンボルはデッキを大きく制限することになる。今回、どの色にもこうした色拘束の厳しいカードが増えているので、今後の環境はアブザン・スゥルタイ・グリクシスと3色が暴れまわっている現環境からは多少の揺り戻しがあるのかもしれない。
Charge 突撃 (W) インスタント ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。 ついにここまできた軽量化。元々は「戦士の誉れ(10E)」という3マナの効果だったものだが、リミテッドレベルでもさっぱり使われない、ってんで「第○版」という名前だった基本セットが「M○」に改定された際に思い切ってコストダウンを図ったのが「栄光の突撃(M13)」。これならば多少はニーズもあるはずなのだが、やっぱり基本セットのリミテッドでもそこそこ止まりだったこともあり、原点回帰のドミナリア来訪を機に、いよいよ最後の一歩を踏み出したことになる。横並びでドーンの戦術がリミテッドで成立するかどうかはまだまだ未知数だが、1マナってことは最悪でもクリーチャー1体のサイズをあげてコンバットをひっくり返すだけでも御の字のコスト。そうした用途を前提に、「もしかしたら一気にダメージアップが図れるかも」くらいの期待度で投入しても何の問題もないだろう。これからも日々の革新は続いていくのである。こんな地味なジャンルでな。
Dauntless Bodyguard 不屈の護衛 (W) ? クリーチャー・人間、騎士 2/1 〜が戦場に出るに際し、あなたがコントロールしている他のクリーチャー1体を選ぶ。 〜を生け贄に捧げる:ターン終了時まで、選ばれたクリーチャーは破壊不能を得る。 白にはたまにいる「自分の命を賭してでもあなたを守ります」というクリーチャー。名誉枠では場にある限り1つのパーマネントを破壊不能にする「神盾の天使(M15)」なんかが象徴的なところだろうか。こちらのクリーチャーはわずか1マナながらもいざという時の守りに使えるということで「心優しきボディガード(JUD)」なんかが近い仕事だが、大きく異なっているのは事前に出しても意味はなく、警護対象よりも遅れて出てくる必要があるという部分。誰でも好きに守れた「ボディガード」には見劣りするのだが、そのぶん、1マナ2/1というサバンナでライオンなステータスを持って攻めにも色気を見せているのが特徴で、1ターン目に出せるなら優秀なアタッカー、それ以降で2/1が活躍できなければ護衛職と、状況に応じて柔軟に仕事を変えられるので総合力は高い。全体除去を使う前に自軍クリーチャーをかばう仕事もあるので、「黄昏/払暁(AKH)」と合わせて使うといいかもしれない。
Dub 叙爵 (2)(W) エンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) エンチャントされているクリーチャーは、+2/+2の修整を受けるとともに先制攻撃を持ち、それの他のタイプに加えて騎士でもある。 ありそうでなかった、絶妙に隙間なオーラ。白いオーラの歴史は長く、「+2修正と先制攻撃」なんて組み合わせはその辺にゴロゴロしてそうなイメージだったのだが、実際に調べてみるとこれが1つも存在していないというのは正直驚いた。探してみても「天上の鎧(RTR)」や「死中に活(SOI)」といったサイズ可変のものばかりである。まぁ、それだけ先制攻撃とまとまったサイズアップという組み合わせは安定して強いということなのだろう。現環境における「吸血鬼の印」や「従者の献身」の影響力の大きさを考えれば、環境次第でこうしたオーラがどれだけ強力かはイメージしやすい。地味なカードではあるが、今後のエンチャント破壊やバウンス、除去の質次第では充分リミテッドの基盤戦術をなしうるカードではある。なお、叙爵を受けて騎士になるというどうでもいいおまけもつくので、「ウーズ騎士」とか「サリッド騎士」とかいう謎クリーチャーを作りたい人にもオススメ。「Little Girl(UHG)」につければ「子供騎士」だ(幼女騎士じゃないのかよ)。
Evra, Halcyon Witness ハルシオンの目撃者、エヴラ (4)(W)(W) ? 伝説のクリーチャー・アバター 4/4 絆魂 (4):あなたのライフ総量とハルシオンの目撃者、エヴラのパワーを交換する。 カード名の「ハルシオン」は古代国家連合スランの首都名である。どういう立ち位置の存在なのかは今後のストーリーに注目。さておき、最初は二度見したカード。「解放の樹(ISD)」によって生み出された「クリーチャーステータスとライフの交換」というトンデモギミックを、さらにトンデモな方法で活用しようというトンデモクリーチャーである。初見では「フーン,入れ替えるのか……え? パワー? 4と? 何で?」ってなったんだが、よく見ればそこには「絆魂」の二文字が。仮にライフ20点の状態でこれを起動すれば、パンチして一瞬でライフを24点に引き戻した上で戦場には20/4のクリーチャーが残るという恐ろしい状況を生み出すことができるわけだ。そりゃすごい。でもまぁ、実際にそれがやりたいかと言われると……ハードル多いよな。パターン1、「入れ替えたところで殺された」。残りライフ4点という現状だけが残される。パターン2、「殴れたけど相打ちになった」。4ライフゲインしただけで終わりだな。夢も多いが同じようにハードルも多い。そもそも爆裂ライフゲインを夢に設定してる時点でどうかっていう。いっそ起動したあとに9/9になった「死の影(WWK)」と一緒に殴りにいくのはどうだろう(なお、死の影は死ぬ)。
Fall of the Thran スランの崩落 (5)(W) ? エンチャント・英雄譚 Ⅰ - 土地をすべて破壊する。 Ⅱ、Ⅲ - 各プレイヤーはそれぞれ、自分の墓地から土地・カード2枚を戦場に戻す。 1枚目の英雄譚なので改めて確認しておくが、英雄譚は、まず場に出した時点で1つ目の伝承カウンターが置かれるので、章番号(ローマ数字)Ⅰの能力は即座に解決される。つまりこの呪文は、6マナの「ハルマゲドン(6ED)」なわけだ。ここ最近、開発チームは「ハルマゲドン」を印刷することを頑なに拒否してきたが、6マナというヘヴィーコストを設定することと、古代の栄華スランの終焉という叙事詩を紡ぐための効果として、久しぶりにこれを復活させる気になったらしい。もちろん、それ以降にも続きはあり、次のターンからは土地が2枚ずつ戻ってきて4枚体制までは保証されている。自分も相手も同じように復帰するんじゃ意味ないやんけ、と思うかもしれないが、土地が戻ってくるのはこちらのターンの頭(正確にはメインフェイズ開始時)なので、戻ってきた土地2枚を最初に使えるのはこちらである。そこにわずかばかりの優位性を見出すことは可能かもしれない。また、墓地に土地がなければ戻しようがないので、相手の墓地だけ掃除して燃料補給させない、というのも面白いかもしれない。まぁ、所詮は6マナなのであんまり使い方を妄想する意味もないとは思うけども。こうして滅びてしまったスランは、後に大戦争を引き起こすドミナリア全土と旧ファイレクシアの元となる文明である。第2章、第3章の復興ぶりから、現在のドミナリアの様子を伺うのも風情というものだ。
Healing Grace 治癒の恩寵 (W) ? インスタント このターン、あなたが選んだ発生源1つから対象のクリーチャーかプレイヤーかPWに与えられる次のダメージを3点軽減する。あなたは3点のライフを得る。 ナイスネタ。一目見てわかる人は分かるだろうが、「治癒の軟膏(8ED)」のオマージュである。「治癒の軟膏」といえばMagic最初期にサイクルとしてデザインされたカードで、各色に「1マナで3点に関わるインスタントを作ろう」というので生み出された1枚。そして他のサイクルが「巨大化」「暗黒の儀式」「稲妻」「Ancestral Recall」だったというのが毎度のことながらネタとして扱われるわけだ。今回、そんな不憫なネタカードである「治癒の軟膏」が大きくパワーアップし、2つのモードを同時に選べるようになった。これによってついに他の4枚に肩を並べることが……デキルワケナイジャン。まぁ、巨大化先輩には追いつけたかもしれない。リミテッドならこの2つが同時にこなせて1マナはかなりお得である。 History of Benalia べナリア史 (1)(W)(W) ? エンチャント・英雄譚 Ⅰ、Ⅱ - 2/2で警戒を持つ、白の騎士・クリーチャー・トークンを1体生成する。 Ⅲ - ターン終了時まで、あなたがコントロールしている騎士は+2/+1の修正を受ける。 べナリアって言われても真っ先に浮かぶのは「べナリアのわな師(INV)」だったりするのだが、どっちかっていうと「べナリアの騎兵(TSP)」とか「べナリアの騎士(10E)」に代表される騎士国家だったようである。紡がれる歴史も騎士のオラオラ物語であり、一騎士二騎士三突撃。さぞかし威勢のいい英雄譚に違いない。効果単体で見れば地味だが、3マナで設置時に騎士が1体出るのでこの時点でコスパは悪くない。さらに時間差でもう1体、2ターン目にはそれら2体のトークンに加えて自軍全軍が増強されるので、周りのならず者を「叙爵」するとかで複数の騎士を展開しておけば、フィナーレにふさわしい華々しい突撃も可能になるかもしれない。相手に見えてしまっているのはやや難だが、これが見えたからといって対処する方法もそう多くはないだろう。白らしい、点ではなくて面の展開が作りやすい1枚。
Invoke the Divine 神聖の発動 (2)(W) ? インスタント 対象のアーティファクトかエンチャントを破壊する。あなたは4点のライフを得る。 これも過去のカードのオマージュといえばオマージュだろうか。元になっているのは「真面目な捧げ物(M15)」。ソーサリーがインスタントに格上げされており、さらにこの呪文の原型となった「神への捧げ物(MBS)」や「穏やかな捧げ物(TMP)」に近づいたと言える。あと色は違うけど「自然な最期(AVR)」の上位種とも言えるかも。最近はアーティファクト破壊に制限がつくことの多かった白だが、今回は気兼ねなくインスタントタイミングで破壊した上に4点という馬鹿にできないライフゲインも可能。実は環境が許すなら構築レベルで使われてもおかしくないくらいのスペックである。さて、あとはこれがコモンなのかアンコモンなのか……。
Knight of Grace 善意の騎士 (1)(W) ? クリーチャー ― 人間・騎士 2/2 先制攻撃 黒からの呪禁 いずれかのプレイヤーが黒のパーマネントをコントロールしているかぎり、〜は+1/+0の修整を受ける。 これまたオールドファンにはたまらないギミックだろう。あの白黒騎士のマッチアップが久しぶりに帰ってきた。古くは「白騎士(M11)」「黒騎士(M11)」の昔に生み出された白と黒のにらみ合い。同様のマッチアップは様々なセットで形を変えてデザインされ続け、しばらくは定番扱いされていたものだ。いつしかプロテクションが常磐木から外されてしまい、この対立も過去のものになってしまった。そして今回、節目の年を迎えたことで斜め上の復活。なんと、プロテクションはダメだけど「呪禁(色)」はOKだという。かえってそっちの方がややこしいんじゃねーかという気もするのだが、能力としての効果は確かに減っているので初心者でも処理はしやすいのかな? 黒除去で死なない安心感はこれまで通りだが、黒いクリーチャーとの戦闘は普通に発生するのでサイドボードとしての安定感は減っている。パワー3の先制攻撃を作ることもできるし、バランス調整としては無難なところ。さぁ、睨み合え。黒のパーマネントは対戦相手がコントロールしている必要もないので、白黒の騎士デッキなら安定して3/2を維持できるぞ。なお、以前は白が黒と対立することを表す単語として「Grace(優雅)」が使われていたのだが(「Voice of Grace/優雅の声(USG)」や「Absolute Grace/絶対の優雅(USG)」)、今回は日本語訳に「善意」という語が当てられている。これはおそらく、対応している黒の単語である「Malice(敵意)」(「Disciple of Malice/敵意の信奉者(ONS)」など)に合わせるためだろう。
Kwende, Pride of Femeref フェメレフの誇り、クェンデ (3)(W) ? 伝説のクリーチャー・人間、騎士 2/2 二段攻撃 あなたがコントロールしていて先制攻撃を持つクリーチャーは二段攻撃を持つ。 今度はフェメレフか。Wikiで調べると、「ジャムーラ大陸にある宗教国家。マンガラによって作られ、評議会を持つ」とのこと。個人的には初めて買ったパックが第6版だったので「フェメレフの射手(10E)」の印象が強いのだが、割と白い国なんだね。そんなフェメレフの騎士は、ルールテキストだけ見るとなんかもっさりした印象を与える1枚。何しろこれがあれば「二段攻撃 先制攻撃」っていう無駄能力を重ねたクリーチャーが世に出回るのである。いや、単にバージョンアップさせるだけなので全く問題ないのだが。いっそのこと「キンズベイルの騎兵(MOR)」みたいに騎士クリーチャーに二段攻撃をばらまいてくれた方がこの世界では使いやすかったのだが。4マナとそこそこ重いのでロードとしてはそこまで使い勝手がよくない。リミテッドで一山当てる夢を見たいところだが、そもそも先制攻撃のクリーチャーがいっぱいいる時点で勝てるんじゃなかろうか。
Lyra Dawnbringer 黎明をもたらす者ライラ (3)(W)(W) ? 伝説のクリーチャー・天使 5/5 飛行 先制攻撃 絆魂 あなたがコントロールしている他の天使は、+1/+1の修整を受けるとともに絆魂を持つ。 元ネタはどう見ても「黎明をもたらす者レイヤ(10E)」のはずなのだが、爆裂コストで面白能力だった先人とは似ても似つかぬ能力なのであまり接点は感じられない。「黎明をもたらす」は単にえらい天使に与えられる称号なのか、それとも明確にレイヤの血縁筋なのか。続報を待て。そして、そんな生い立ちがわからずとも、カードを見れば単なるバケモンであることは一目瞭然。あの「悪斬の天使(M11)」と同じ能力を持ち、さらに周りの天使に増強だけでなく絆魂までばらまくという癒しと殺戮の化身。まぁ、天使なんて数が並ぶ種族ではないのでロード能力は余計な気もするが、単体で優秀なくせにリーダーシップまで発揮できるのはチートであろう。もう、私としては某関係者がこれを買って統率者に認定しているであろうことが容易に想像できるのである。あとはイラスト次第だ。Johannes Vossだったら殿堂入り確定。
On Serra’s Wings セラからの翼 (3)(W) ? 伝説のエンチャント・オーラ エンチャント(クリーチャー) エンチャントされているクリーチャーは伝説であり、+1/+1の修整を受けるとともに飛行と警戒と絆魂を持つ。 ありがとうセラ!! なんか微妙に修正値が小さい気もするけど、絆魂ついてるからしょうがないよね! そもそも「セラの天使(M15)」とセラ(プレインズウォーカー)は別人だからね! いや、多分セラも絆魂はないけども。とにかく全部乗せなので各方面に影響のでかいオーラ。これさえあれば「灰色熊」でも「伝説の熊」になるので割と世界が獲れる素材に。伝説になるのも一応このセットならメリットと考えていいのだろうか。ちなみにルールを確認すると、「伝説になったカード」と「伝説じゃない元のカード」をコントロールしている場合、「同名のレジェンドを2つコントロールしている」わけじゃないのでどちらもサクる必要はない。となると、これ自体が伝説であること以外は大したデメリットはないな。
Seal Away 封じ込め (1)(W) ? エンチャント 瞬速 〜が戦場に出たとき、対象の、対戦相手がコントロールしていてタップ状態のクリーチャーを、〜が戦場を離れるまで追放する。 この世界のリング系除去。イクサラン発の「不可解な終焉」や「イクサランの束縛」も相変わらず強力なカードだったが、今回は2マナと最軽量のくせに対象制限がほぼなく、瞬速までついているので過去の同型の中でもトップクラスの強さを誇る。「タップ状態の」という制限も、相手のアタックに対応できる瞬速のおかげでほぼデメリットではなくなっているのが凄まじい。なんでこういう除去をホイホイ白に入れてしまうんだろう。白が嫌いな人間からするとたまったもんじゃないな。開けたパックから出てきたら三顧の礼でお迎えするな。
Teshar, Ancestor’s Apostle 祖神の使徒、テシャール (3)(W) ? 伝説のクリーチャー・鳥、クレリック 2/2 飛行 あなたが歴史的な呪文を唱えるたび、対象の、あなたの墓地にある点数で見たマナ・コストが3以下のクリーチャー・カードを戦場に戻す。 取っ手の取れるフライパン見たいな名前の鳥レジェンド。どこの誰だか現時点では全くわからないが、どうやら歴史的なものが好きな奴であることは間違いないようだ。白には定番の軽量限定リアニメイトだが、直近の「再誕の司教」などと違い、やろうと思えば1ターンに何体でも掘り出せるというのが最大の強み。歴史的呪文なんてそんなに集まるものかという気もするが、アーティファクトでもいいのだから軽量のキャントリップアーティファクトを並べて適当な歴史を語るギミックは成立しそうな気がする。「粗石の魔道士(SOM)」や「戦利品の魔道士(AER)」はこれの効果で戻せる上に戻ってきたときに新たな歴史を刻めるのでコンボが成立する。何か悪いデッキが組めないだろうか。
Triumph of Gerrard ジェラードの勝利 (1)(W) ? エンチャント・英雄譚 Ⅰ、Ⅱ - 対象の、あなたがコントロールしている最大のパワーを持つクリーチャーの上に+1/+1カウンターを1個置く。 Ⅲ - 対象の、あなたがコントロールしている最大のパワーを持つクリーチャーは、ターン終了時まで飛行と先制攻撃と絆魂を得る。 この名前の英雄譚ってことはアポカリプスの時の大戦争が語られてる英雄譚なんでしょうか。その割にはコストも軽いし効果も軽いんだけどな。効果としては、2マナでカウンター1つ設置、次のターンにもう1個設置、最後に(多分)そのクリーチャーがビューンと飛んで大回復、という展開。コストを考えれば充分すぎる効果ではあるが、相手はそれなりに対処しやすいパターンでもあるので過信は禁物。何しろ最初にカウンターを置いたクリーチャーに「平和な心」でも貼っておけばあとは単なる置物なのだから。恒常性も発展性も「ハダーナの登臨」に敵うものではないので色が合うならそっちを使ったほうがいいとは思うが、軽さと回復を求めているならこっち。英雄譚全部に言えることだが、相手としては嫌なことが起こるって分かってるのに止められないのはイライラしそうだな。
Urza’s Ruinous Blast ウルザの殲滅破 (4)(W) ? 伝説のソーサリー 伝説でなく土地でもないパーマネントをすべて追放する。 ウルザさん何してはるんですか。あれかな、かつてバリンが「抹消(8ED)」なんて大技ぶちかましたもんだから、負けたくなくてちょっとムキになってんのかな。土地を吹き飛ばさないあたりが現代風ではあるが、エンチャントやアーティファクトなんかも全部吹き飛ばす全体除去は当然強力。自軍に伝説を多めに用意しておけば一方的なアドバンテージが取れる可能性も高くなる。というか、これ自体が伝説のソーサリーなので使う場合には最低限伝説カードを入れたデッキでしか使えないだろう。PWは絶対に除去れないので、PWコントロールみたいなデッキで使うといいのかも。ただ、今後の環境でどの程度相手陣営にも伝説が増えるかって問題もあるのだけど。そもそも一番追放したいスカラベさんとかハゾレトさんがビクともしない時点でどうなんだっていう。
Academy Journeymage アカデミーの修士魔道士 (4)(U) ? クリーチャー・人間、ウィザード 3/2 あなたがウィザードをコントロールしているなら、この呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。 〜が戦場に出たとき、対象の、対戦相手がコントロールするクリーチャーをそのオーナーの手札に戻す。 なんで「Journeymage」で「修士」っていう言葉が出てくるのかはよくわからない。どういう存在なんだろう。さておき、毎度おなじみの「オオクラゲ(VIS)」一家の新入りである。現在も「巧射艦隊の帆綱引き」が活躍中だが、使い方はほぼ一緒。基本形である「分離主義者の虚空魔道士(ORI)」よりもパワーが多い代わりにコストが重く、条件次第ではそこをパスできますよ、っていう設定だ。どうやらこの世界のウィザード連中は寄り集まることに意味を見出しているらしく、「ウィザードがいれば」という条件が結構ある。コモンレベルでも枚数はそこそこ多いだろうし、おそらくこの様子なら「帆綱引き」よりも使いやすいんじゃなかろうか。戦闘前にバウンスして殴りやすくする選択肢が選べるのはありがたい。
The Antiquities War アンティキティー戦争 (3)(U) ? エンチャント・英雄譚 Ⅰ、Ⅱ - あなたのライブラリーの一番上からカードを5枚見る。あなたはその中からアーティファクト・カード1枚を公開してあなたの手札に加えてもよい。残りをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。 Ⅲ - ターン終了時まで、あなたがコントロールしているアーティファクトは基本のパワーとタフネスが5/5のアーティファクト・クリーチャーになる。 「アンティキティ」自体が「古代の遺物」という意味なんだから「古代戦争」みたいな日本語名でもいい気がするのだが、エキスパンション名にもなっているのでこちらの方が通りがいいんだろうか。いわゆるウルザとミシュラの兄弟喧嘩のお話であろう。その証拠に、工匠だった2人の揉め事を表すかのようにアーティファクトがらみの能力になっている。1章だけだと、4マナもかかった割には大した効果ではないが、2章に入ってようやくアドバンテージが確定。そして3章になると突然のテゼレットである。あのおっさんもカラデシュから逃げ出した後に何してるんだろうなぁ。時限式テゼレットとして、アーティファクトを並べるデッキならエンドカードになりうる効果である。1章2章でも安いアーティファクトをかき集め、なんなら宝物トークンもずらりと揃え、最後にはドカンとテゼレット。テゼさん本人に比べて除去される可能性もそこまで高くないし、何かデッキが成立しそうな気もする。
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無題
はっはっは。
初動おいくら万円かなあ…… Re:無題
マジレスするとそんなにいかんやろ。Foil揃えたいとかなら知らんが。
無題
お疲れ様です。最近の公式WotCにはもっとしっかりしてほしいものです。
リリースノート日本語版しか読んでなかったので気づかなかったのですが「上古族」ってPrimeval dragons(デアリガズたち5体のドラゴン)ですねこれ。 ドミナリアのストーリーは若月女史の記事がいっぱい出そうで楽しみです。 Re:無題
>最近の公式WotCにはもっとしっかりしてほしいものです。
「私たちはリークを許さない」って啖呵切ってコレなのがちょっと。魅力的なプレビューをお届けしてるのは本当なんだから、そのあたりは徹底して欲しいですよね。まぁ、これだけ規模の大きな商売になるとなかなか難しいかもしれないけども……。 >「上古族」ってPrimeval dragons(デアリガズたち5体のドラゴン)ですねこれ。 へぇ〜、そうなんですね。あいつら、そんなまとめられ方有ったんだ……。実のところドミナリア史は知識にボコボコ抜けがあるので、今後どれだけフレーバー部分で盛り上げてくれるのかは、かなり楽しみです。 |
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プロフィール
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Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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