「りゅうおうのおしごと!」 5→4
戦術的大量ロリコン破壊兵器・日高里菜をフル活用するためのアニメ。すでに何発もの弾を食らい続けている人生ではあるが……その破壊力はいまだ衰えず。
でもまぁ、基本的にはそれだけのアニメだよな。将棋アニメだけど将棋いらねーじゃん、というのは当然の感想で、今作の場合は特に「ロウきゅーぶ!」のバスケよりも、「天使の3P!」のバンドよりも将棋がいらないっていう。いや、なかったら話は成立しないけど、それこそバスケでもなんでもいいんだよ。なんで将棋をテーマにしてラノベ書こうと思ったんだろね。
これが普通のシーズンだったら「まぁ、ラノベだし」の一言で片がつくところなので生暖かい目で見守って「わぁ、いろんな女の子が出てくる」って思うだけで満足できるはずなのだが、さすがに「3月のライオン」と同時期に放送されるのは部が悪い。というかタイミングが悪い。作劇の差が如実に見えてしまい、特に中身を詰めずに「可愛い」で埋めているという分かりやすいラノベエッセンスがことさらに鼻につくことになってしまう。まぁ、他作品と比較して観るってのは本来あまり正当なスタンスでもないのだが……。こればっかりはね。
噂では今作は原作ありのアニメの常として、強引にシナリオを詰め込むためにカットされた部分が多く、それだけに原作ファンからも難色を示されているなんて話も聞くのだが、アニメだけを見ている身としては「確かにそうなのかもな」と思うくらいの出来である。前後の文脈が途切れた、というほどの印象ではないが、どうも話がぶつ切りの印象があり、個々のエピソードのつながりも薄い。たくさんのヒロインを並べる必要性からの構成なのだろうが、桂香さんの存在が宙ぶらりんだったり、ぽっと出の戸松が何しに来たかもよくわからずに負けていったり、最終的に姉弟子が不遇以外の何物でもなかったり、もうちょい「萌ラノベ」としても調整しようがあったんじゃないか、という印象。いや、もしかしたら原作からこうなのかもしれないけども、だとしたらますます残念なだけである。
将棋要素との融和を図るならばもっと個々の人物像の掘り下げが必要になってくるわけだが、本作は本当にそうした「将棋とドラマを組み合わせよう」という意識が感じられないのでなかなか視聴のモチベーションが維持しづらい。最終戦なんかはそのわかりやすい表れで、主人公・八一が乗り越えるべき最大の壁である「名人」は、一切そのバックグラウンドが見えてこないので「どう強いのか」が分からないのである。意図的に顔を描かずに引っ張ったアニメ演出を考えれば、おそらく「尺も足りないし、極力その部分は無味無臭にしてはしょってしまおう」という意思があり、構成の縛りを考えればそれでも間違いとは言えないのだろうが、これを「3月のライオン」の宗谷名人の扱いと比べればその差は瞭然。名人のキャラの掘り下げがあれば、それだけ対戦している主人公の掘り下げにもつながり、ドラマに厚みが増すはずなのだ。そうした方向での充足を狙わなかった時点で、本作は「最低限の萌え絵ラノベ」を脱却することは諦めているのである。
まぁ、それでもやっぱり「かわいい」が維持できれば良い、という見方もあるわけで。僕は桂香さんをもらいます。どうせ個人的に小学生はさすがにNGですからね(なんの話だ)。
PR