最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
今週の映画はこちらです。いや、別に毎週劇場に通うつもりもないけども。最近ちょこちょこ書いている通りに、ここのところ「新しい刺激を受けるタイミング」が増えていたので、普段ならあんまり足を運ばないような作品も観てみるモチベーションがあったんですよね。この作品の場合はカテゴリとしては一応「アニメ映画」なのでそこまでハードルも高くない。いや、なんでそこまで「アニメ映画」であることにこだわるのかって聞かれたらわからないんだけどさ。何か、「観るもの」「観ないもの」の境界を設けておいた方が処理しやすいってことだと思うよ。とりあえず、今週は映画館に足を運んだタイミングでちょうどよくやっていたのがこの作品だったのだ。
<以下、一応視聴後の感想だけども、あんまりネタバレ要素とかは気にしなくていいと思う>
一言で言うなら、「作った人頭おかC」という作品。相変わらずさっぱりよそのジャンルを知らないのでこの作品の監督(ウェス・アンダーソン)作品は初めて観るわけだが、パンフの情報によれば「一部業界では一般教養のようにすら言われる映像作家だよね!」とのこと。うーむ、そうなのか? とりあえず教養に足を突っ込めただけでも良しとしよう。 しかし、この人が毎度毎度こうしたストップモーション・アニメを製作しているわけではないようで、正式な作品としてはこれが2度目とのこと。だったらそこまで前提知識が必要ってわけでもないのかな? とりあえず、なんの予備知識もなしに「海外発のストップモーションアニメなのかー」くらいの気持ちで見たのだが……頭おかC。……まぁ、そりゃわざわざ世界的に展開される作品なのだからそんじょそこらのアニメと違うだろうことは想像できるわけだが……人間、ここまで偏執的に作品を作り込むモチベーションってどこから湧き上がってくるんだろうな? とにかく映像密度が凄まじい。もう、誤解を恐れずに言うなら「気持ち悪いくらい」である。そりゃまぁ、これを手書きのアニメーションでやってくださいと言われても大変だろうけど、だからってコマ撮りで作り上げようとするかよ……もう、執念とか妄念しか言いようがない完成度である。ぶっちゃけ、映像がスタートした直後から「これがストップモーション? 嘘やろ?」って言う感想しか出てこなかった。というか、下手したら未だに信じられない。俺は人間の限界を信じられないでいる。もちろんCG処理を施してる部分もあるんだろうけど、それがどこだか見当もつかない。 ところどころ、いかにもストップモーションですよ、ということを強調するかのようにクスッとする演出が混ざりこむことがあり、特に気体や煙の表現ではそうした要素が顕著なのだが、「あぁ、ここは確かにコマ撮りになってるな」とわかるパートが出てくると、改めて「ひょっとして、他の部分もコマ撮りなんか?」と初めて思い知らさせるのである。こうした表現を持ち出してくるだけでも、とんでもない作品なのは間違いないだろう。 そんな偏執的な「描き込み」によって描かれるのは、もう、完全なる「なんちゃってジャポネスク」である。わざわざ日本をテーマにして作品作りをしていることからもわかるように、製作スタッフの日本愛は並々ならぬものがあり、特に過去の名作映画なんかを参考にしているおかげで絶妙にノスタルジックな光景が数多く展開される。日本人の目から見てもどこか懐かしいような、そんな不可思議な温かみを持つ世界が広がるのだが……その全てが見事なまでに「ズレ」を発揮する。圧倒的な、「外国人が考えるなんちゃってジャパン」だ。もちろん、これは取材不足とか勘違いとかいう話ではなく、スタッフはあえてそうした「嘘日本」を作るところに心を砕いている。わざわざリアル日本を作ることに価値はなく、日本人からしたら「ズレ」と認識されるような要素でも、おそらく海外の人から見たら「ミラクル&エキゾチックジャパン」に見えるはずだ。和洋が折衷し、さらに新旧も折衷したこの不思議な世界は、隅から隅まで見ようと思ったら1度や2度の視聴では絶対にカバーしきれない狂気の密度。このクレイジーな箱庭世界を見ているだけでも、あっという間に90分が過ぎてしまうことだろう。「犬」というテーマ設定もこうした「嘘世界」の構築に一役買っており、「犬が喋って、犬が認識していく世界なんだから、ちょっとくらいおかしくってもいいじゃん」という理不尽なおおらかさが滲み出ている。よくもまぁ、こんなテーマ設定を見つけたものだ。 かてて加えて、我々日本人から見た時には、音声の面でも混沌は極められる。何しろこの作品、日本人(人間全部)は日本語をしゃべるのである。私が視聴したのは字幕版だが、字幕が出るのは基本的に「犬語」であり、これは「本来犬語で喋っているものを映像化する際に英語に翻訳したものです」とご丁寧に注釈までついてくる。そして、字幕版の場合はこの「犬語」を英語+字幕でフォローする。さらに、作中では日本語で喋っているシーンも、当然本来の視聴者のために(作中の通訳が)英語に翻訳して同時通訳で発信される。おかげで日本語字幕版の映画は、「日本人が日本語で喋ってるんだけどそれが作中で英訳され、その英訳の音声がさらに字幕で日本語になって出てくる」というカオスっぷり。最初のうちは何が起こってるのか理解できず、字幕を読むだけで精一杯だったくらいだ。他にも作中で出てくる文字の表記も日本語英語混じり(英訳にさらに日本語ルビ付)などという状態になっており、なまじ漢字やカナが読める日本人からすると、情報過多で押しつぶされてしまいそうになる。「吹き替え版で観ればよかったか」と一瞬考えたりもしたが、そうすると「吹き替えた日本語」と「元からの日本語」の境界が曖昧になって作中の意図が掴みにくくなりそうだし、痛し痒しだろう。「理解できてしまう」ために、日本人は制作側が狙った意図通りに画面の情報を受け取りづらいという、なんとも皮肉な結果になっている。 まぁ、そんな不平不満を言ってる暇がないくらいに情報量が過密なので、途中からそんなことはどうでもよくなるんですけどね……とにかく「信じられない精度の映像の脅威」と、「ジャポネスクを悪ノリで活用し過ぎたカオス世界」という2種類の要素で、素敵に頭がおかしくなること請け合いです。 ただ、そんなカオスが画面いっぱいに広がっている分、中心となるお話はすげぇ素直。「犬が排除されてゴミ島生活を余儀なくされた」「そこに愛犬を助けに駆けつけた少年がいた」「少年と犬が友情を深めた」「最終的に犬排斥派を打ち破って犬と人間の幸せな共存生活に戻っていった」という筋立てなので、本当に引っかかるところは一切ない。最終決戦なんてろくに決戦もないので肩透かしを食らうようなお話だ。驚くようなストーリー展開やどんでん返しを期待して観にいくような作品ではない。その代わり、絶対に日本では出てこないようなブラックな小ネタとか、勘違い日本を極限まで膨らませたありえない和の心の暴発とか、要所要所でのヒネりを楽しむのが中心になる。ズレまくった箱庭世界で、それでも健気に生きる犬たちの真っ当なヒューマン(ドッグ)ドラマを楽しみながら、音も韻も何もないHAIKUポエムを楽しんだりすればいいじゃない。ねぇ、俳句ってそんなに破壊的な存在だと思われてるん?
とりあえず、犬好きでも犬嫌いでも問題なく観られる作品だとは思いますが、狂気が入り混じった顔とかが苦手な人はところどころ怖いシーンもあるかもしれません。注意点はそれくらいかな……今になって念のために吹き替え版のキャスト確認したらトレイシー役が戸松だった。どんな仕事してるか簡単に想像できるな。もしかして、これで戸松とオノヨーコが絡んだという既成事実ができたんですかね?(一緒に収録してねぇよ) PR |
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