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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「メガロボクス」 6→6

 「あしたのジョー」、面白かったです。いや、実はこれを機会に原作再読したんですよ。「再読」っつっても、実はだいぶ前に初めて読んだときは、本当に筋を追うだけでいいや、ってんでスゲェ適当に読んでたもんで、さっぱり頭に入ってなかったんですね。「どうせ過去の遺物だろ」みたいな舐めた態度があったのかもしれません。今回、この作品との兼ね合いもあったのでゆっくりしっかり読ませてもらったんだけど、やっぱり語り継がれるものには理由があるな、って、この歳になって、今更(本当に今更)感心しました。まぁ、もしかしたら歳とったせいで面白さが変わった可能性もあるんだけどさ。

 そんな「あしたのジョー」オマージュの作品として作られたこの「メガロボクス」。「あしたのジョー」と比べると色々と問題はあるのだが、「過去の名作を何となく踏襲しつつ、リスペクト作品として作り直す」という絶妙な隙間を抜く作品づくりのサンプルとしてはなかなか面白い実例を見せてくれたと思う。ポイントになるのは、「どこを残して」「どこを変えるか」という取捨選択の部分。1話目を見たときに「ギアでボクシングって何やねんwww」と思ったわけだが、そうした斬新(かつ意味不明)なリビルドが、何を目指したものだったのかがわかれば評価も変わってくる。

 今作は、ぶっちゃけ原作から残した要素がかなり少ない。ジョーの性格も違うし、ユーリと力石も全然違う。残しているのは2人の男の中に通じ合った不可思議な友情くらいのものだろうか。今作は「ジョーの成り上がり物語」という部分に重きを置き、それを彩る舞台装置として、力石を改題したユーリを置いた。それはあくまで「理屈を超えた魂の部分で通じ合い、全力で実力を発揮できる素晴らしいライバル」としての体現である。無理やり力石っぽさを出すためにラストの「ギア剥がし」イベントがあったわけだが、いっそそこもこだわらずに無視しても良かったんじゃないかなぁ、とも思う。ジョーと力石は少年院の中で少しずつ因縁を深めていくくだりがあったので偏執的なあの空気を共有するに至ったが、ユーリの場合、そこまでどっぷりとジョーの魔力にハマったわけではないのだから。ギア剥がしのイベントを描く時間で、何かもう1つジョーとぶつかるイベントを描いた方が、シナリオ全体の整合性は取れたと思う。

 しかし、本作は最低限の「らしさ」としてあのイベントを採用し、力石のストイックさ、一種の狂気じみた執念をユーリに残した。これはこれで、原作リスペクトの1つの方法論として成立しているだろう。最後に「力石の死」を与えなかったことも、原作と違って「メガロボクス」は一旦ここで幕引きになることを考えれば妥当な判断。原作の場合、力石の亡霊はその後のジョーの人生を大きく狂わせる巨大すぎる存在になるわけだが、今作のジョーはここで歩みを止めているので、わざわざそんな「亡霊」の脅威を描く必要もない。それなら、現代風にさっぱりと、2人の友情を確かめ合って終わるのが、「現代版」らしい簡潔な幕引きだろう。もちろん、もっとドロドロとした怨念じみたものが見たかったという原作ファンにとっては腰砕けにも見えるのだろうが、何度もいうように今作は「リメイク」ではなく「オマージュ」である。そこのところの違いさえ心得ておけば、今作で作ろうとした物語は充分に独り立ちしているのだ。

 あとは「らしさ」として残っている部分は昭和テイストを印象付けた画面の埃っぽさ、雑味を残したデザインだろう。正直、シナリオ部分は「まぁ、こんなもんかな」という妥協案に落ち着いたので、今作を評価するときに大きなウェイトを占めているのはこの映像面での際立ちである。「ウマ娘」も非常にシンプルな「スポ根」ながら見入ってしまうだけの魅力を持っていたが、今作の作劇も、泥くさい演出、捻らないアクションを素直に見せることで魅力に仕上げていたと思う。まぁ、突然のサチオラップとかよく分からんところで振り切れることはあったけど、まぁ、その辺はご愛嬌ということで。「昭和レトロ」と「何となくサイバー」の融和点には、突発ラップ小僧がいても不思議じゃないんですよ(そうか?)。

 個人的にはすごくスッキリ見られた作品だし、何よりも「あしたのジョー」との接点を改めて設けてくれた作品として感謝していますよ。「封神演義」もいっそこういう方向に振り切れてくれたらファンも余計な心労を抱えずに済んだのに……って思ったけど、こういうリビルドってものすごくデリケートな作業だろうし、なかなか成功例を作るのは難しいんだろうなぁ。思い返せば「暴れん坊力士松太郎」なんかも、リメイクの中では面白い構造の作品だったのかもしれない。今季は「キャプテン翼」というほぼそのままを貫いている作品もあるし、色々な「懐古作品」を見つけてその違いを比べてみると、現代アニメの類型論的には面白いものが出てくるのかもしれません。

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