なんか、もう……ありがとう! 最終話! いやぁ、このエンディングはさすがに予想してなかった。そして笑った。なるほどなぁ、最大級の原作リスペクトよなぁ。
終わってみれば、グリッドマンは本当にグリッドマンだったよ、という恐ろしくシンプルなエンディング。本当に原作当初からやっていることをちょっと手の込んだ中身でやっていただけだったはずなのに、その見せ方を変えただけでこんな摩訶不思議な作品に仕上がるとはね。目から鱗ですわ。最後に着地する場所が本当に綺麗で、これには原作ファンもにっこりですわ。
いや、ぶっちゃけ意味の分からないところも山ほどあるんだ。結局アレクシスさんはどこの誰だったんだよ、とか、アカネの怪獣態は何を表しているんだよ、とか、内海何しにきたんだよ、とか。「無限の命を持つ」というアレクシスさんの存在が一番よく分からなくて、アカネにピッタリ張り付いてたのはぶっちゃけ「暇つぶし」だってんだからカーンデジファー様よりも一層タチが悪い。そして飽きたらポイで次のアカネへ。圧倒的「高次元体」として存在していたアレクシスだったが、それでもまぁ、「高次元」ってつまりグリッドマンたちと同じ、そして、我々普通の人間以下の可能性は大いにあるのが笑ってしまう。
ここまで見てきてちゃんと理解しておくべきだったはずだがなんだか飲み込めていなかった部分が、今回の描写で本当にすっきりと解決している。そう、結局裕太たちが住んでいる世界は、原作でグリッドマンが戦っていた「コンピューターの中」だったわけだ。「そんなところになんで人間が?」って思うところだが、そこにしっかり伏線を用意していたのがアノシラスの存在。すでに原作時点で、「コンピューター世界の中の生命」の存在は示唆されていたんだよな。あの当時は「音の妖精」とかそんな謎存在だったけども……あれから時代も進み、人工頭脳だのなんだのという言葉すら一般化した昨今、女子高生1人の力で世界を創造することもさほど難しいことではなくなっている。壮大かつ矮小なアカネさんのシムシティ(イメージとしてはポピュラスかな)が、裕太たちの世界。そして、そんな「低次元」の世界だからこそ、グリッドマンは活動できたのだ。いや、ぶっちゃけ「その次元の中でさらにジャンクの力を借りている」っていう描写はよく分からんのだが……まぁ、ハイパーエージェントはあくまでも現地民の力を借りて依代にする必要があるわけで、以前はちゃんとした人間をそうした媒介に使っていたが、今の時代は「中の生命」で事足りたということなのだろう。
更に原作ファンからすると嬉しいサプライズだったのは、最終決戦で決め技になったのが、グリッドマンの「倒す力」ではなく「治す力」の方だったというギミック。すでに何度も書いていることだが、やはりあの当時のグリッドマンにあった最も新奇だったギミックは「街を治すヒーロー」という存在だったんだよ。「コンピューターの中だから多少の無茶は許容できるやろ」というぼんやりした設定だったのだが、それがまさか、この世界では最後の武器になるとは。なんとなくグリッドマンの胸元からほとばしるあのキラキラエネルギー。その描写が20年以上の時を超えて、再び僕らに感動を与えてくれた。うーむ、なんというサプライズだろう。「治す力が最強の武器になる」ってのは一応どこかで見たことがあるギミックではあろうが(それこそゴールド・エクスペリエンスに近いものがあるが)、それを円谷ヒーローがやっちゃうってのが斬新。ラスボスを倒す物語でなく、神を治す物語。グリッドマンはやっぱり唯一無二のヒーローなんだよ。
「夢のヒーロー」が流れたタイミングで一気にテンションが上がったのはいうまでもないが、展開としては前座みたいなパートで使われてしまったのがちょっと残念。これ、選曲が「UNION」と逆じゃダメだったんでしょうかね。やっぱ現代に売り出している新曲の方を優先することになったのかなぁ。最後に癒しキラキラビームで「夢のヒーロー」の方がビシッと決まった気がするんだが……まぁ、あの曲で感動するのは本当にリアルタイム視聴してたおっさんたちだけだし、その辺りはしょうがないか。とりあえず劇中で流れただけでも良しとしよう。そしてラストシーンではまさかの「原作と同じ次元に戻る」という特大サプライズ。これで「ちゃんとアニメを原作にお返ししますね」というリスペクトが表れている。最終話の「本当のグリッドマン」の戦闘だけが、これまでの「特撮風描写」から一転して完全アニメ調になっていたのもなんだか逆説的で面白い。
新條アカネの物語は1つの終わりを迎えたが、彼女が立ち上がり、新たな人生を歩みだすここからがスタートだ。そしてここで今回のサブタイトルドン。いやー、憎らしいね。結局、アカネさんの最後を締めくくったのは六花との関係性だった。まぁ、裕太の熱視線は六花に向いちゃってるし、内海がその役を担当してもどうせ締まらないから六花がベストだったのだろうが、まさかの百合的エンディングで締めるとはね。アカネが本当に必要としていたのは「恋人」じゃなくて「友達」だったから、同性の人間(被造物だけど)が担当するのが一番いいんだね。六花に手をとってもらったからこそ、アカネは旅立つことが出来たんだ。できれば、このままグリッドマンムーヴメントが来るなら、今度は無事に復帰したアカネさんが改心してグリッドマンと協力する新たなドラマシリーズも見てみたいです。アカネ役は、もう中の人でいいと思うんだ! ねぇ!
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