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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ゾンビランドサガ」 6→7

 まだ残ってるもんだ、新たな鉱脈。暗いニュースが多い昨今のアニメ業界に、まだまだ頑張れるという希望を与えてくれる作品。

 お見事な作品だったことは今更論を待たないだろう。そして、今作の場合は成功したといっても様々な側面があるため、なかなか手短にそれをまとめることが出来ないのが悩ましくも喜ばしい。一点突破の分かりやすい作品作りもありがたいが、こうしてどこまでも技巧的で、周到な販売戦略を練り上げてそれが結果を出した作品というのも、例を見ないだけに興味深い。

 本作で明らかなのは、(まぁ、他の作品だってそうだろうけど)きちんと「売ろうとしてウケた」という部分である。端的な要素をあげると、例えば本作が初めて世に出た先行上映会では、参加者はなんと「放送開始までネタバレしない」という誓約書を書かされたという。とんでもない話だし、そんな無茶苦茶をやったらどう考えても最近のひねくれたネット文化の余計な部分に触れて反感を買うリスクもあった。実際、1話目の放送時には「別に大したネタでもないやんけ」っていう反応もあった気がする。パニックゾンビものだと喧伝しておき、そこからひねって突然の「ゾンビアイドル。しかもサガはサガでもまごうことなき佐賀」という酔った勢いで実行しちゃったようなアホみたいなネタは、1話目の段階では本当に出オチ感もあった。しかし、そこで出オチに終わらせないだけの馬鹿馬鹿しいまでの作り込みと、ちゃんとそれぞれの要素を活かそうとする作品作りが、2話目以降に話題性を加速させるエンジンの役割を果たすことに成功したのだ。

 個人的にはやはり衝撃の2話目が最大のターニングポイントだったのではないかと思う。1話目では見えなかったそれぞれのアイドルのキャラの覚醒、そしてその他諸々のアイドルアニメとは一線を画す、なんともやけっぱちなアイドル観。ここで間違いなく「なんちゃってアイドルギャグ」としての評価は確固たるものになった。「とてもじゃないがアイドルとは言えない。でも間違いなくゾンビだし、次に何をやってくれるか気になってしょうがない」という我々視聴者の興味関心は、間違いなく作中の佐賀県民がフランシュシュに対し持っていた興味と同じものである。我々は見事に、プロデューサー・巽幸太郎の販売戦略に乗せられ、フランシュシュの作り出したムーヴメントの片棒を担がされてしまったのだ。

 その後も「アイドルもの」の骨子を大切にしながら、時にゾンビィなブラックギャグアニメとして、時に佐賀の名物を売り出す聖地販促アニメとして、とにかく「ならでは」の展開を連発。特に目を見張ったのはドライブイン鳥をめぐる一連の流れで、地元民すらよく知らんようなマイナーすぎる一介の飲食店を、臆面もなく作品世界の一部として聖地化。アニメを見るオタク層のニーズにマッチした程よいセレクト、そして「これ何?!」という話題性の促進もあり、佐賀のことなど微塵も知らない外部の人間から見ても、「なんか、ご当地愛がありそうな作品だ」と認識させることに成功している。どれだけ物語が進行しても「佐賀から出ない」というルールを遵守し、最大目標はあくまでも「佐賀の救済」なのである。聖地商法を濫用して鷺宮や大洗に続こうとする作品も、自治体も数多く存在していたが、今作のように「とにかく地域活性を」という部分に阿漕なほどに焦点を絞り、臆面もなくそれを達成した作品というのは類を見ない。一体何が良かったのかはまだ経過段階なので答えは出せないが、まだまだアニメの持つ力が活かされる土壌があるということを教えてくれる。

 そして、最終的に本作の中心的要素として稼働していたのがアイドルアニメとしての側面。こちらもすでにいくつもの作品が挑戦し、大成功した作品はそこまで多くない鬼門のような存在。現代アニメでは明らかにキャパを超えた量が供給され、どう考えても飽和状態になっているはずだ。そこに新たにアイドルをぶち込んでも成功する目は薄かったはずなのだが、本作は「ゾンビアイドル」という変化球で入口をこじ開けることに成功し、一度引きつけた興味を絶対に離さないよう、あの手この手で新しい商品を売り出し続けた。7人という人数も1クール作品で調理する上で程よい数であり、ドラマづくりに「死」というとんでもない要素が絡められるために各々の関係性やキャラの構築にも常に新規性を盛り込むことができて退屈しない。変化球のように見えて、「死ぬほどの何か」というキャッチーな要素を確実に盛り込むことができたので、手軽にインパクトを増進することが可能になった。

 もちろん、こうしたイレギュラーな要素をコントロールするだけの脚本の統制力があってこそだ。愛ちゃんと純子ちゃんの悲壮な死に様なんて扱い方を一歩間違えばドン引き要素になっただろうし、まさおの存在もかなりデリケートなもの。さくらが記憶を巡って右往左往する様子も、実際に評価の分かれる部分ではあるだろう。ただ、良きにつけ悪しきにつけ、とにかく話題になり、見てもらい、語ってもらうだけの余裕があるということが、大切なことではあったはずだ。とにかく次週が気になって見てしまう作品づくり。それが今作の場合には1話目の前から徹底して維持された販売戦略だったのであろう。

 ゾンサガムーヴメントがどれほどの持続力を持つかはまだわからない。しかしフランシュシュが確実に「アニメアイドル」という文化に風穴を開けた事実は残るし、まだまだコンテンツとしての伸び代を残しているため、アイドルとして、作品としての進展は望めるだろう。一体どんな展開が待っているのか、我々は一人の佐賀県民として、固唾を飲んで見守るばかりである。

 

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