○「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿-魔眼蒐集列車Grace note-」 6
困ったらいのすけに「お兄ちゃん♡」って言わせればだいたい解決する。だいたい。
正直、Fateシリーズの新展開アニメと言われてむしろ警戒していたジャンル。というのも、どうにも最近Fateという作品が野放図に広がっており、私の手に負えないようになっていると感じていたからである。そもそもあんまり真剣にフォローしてないし、私が摂取できるのはアニメだけなのでメディアを超えて展開を広げるシリーズがフォローしきれないのは致し方ない。正直言えばアニメ映画の「Heaven’s Feel」もよくわからないままである(一応2部も視聴したのだが、もう何が起こってるのかわからなくなって匙を投げた)。これに加えて世間を賑わすFGOとかいう高い高い壁。私の周りにいるプレイヤーが軒並みキモいというのも大きな理由で、なんかもう、「近寄らんとこ」と思わせるに充分な土壌が整っているのである。
そんなわけで、また知らん知識からの展開だったら大人しくケツをまくろうと思っていたのだが、幸か不幸か、今作の切り口は「知ってる」ところからだった。以前、なんかの特番の時に1話だけ放送された時には「ウェイバー君は知ってるキャラのはずなのに、すっかり様変わりしてるし周りにいる連中誰やねん!」となって腰が引けたのだが、今回はきちんとそんな「誰やねん」の部分から導入、かなり丁寧に「Fate/Zero」の時代からの引き継ぎを成し遂げている。まぁ、ぶっちゃけ「Zero」も相当昔の作品なのであんまりディティールは覚えてない(何度思い出そうとしても、ケイネス先生がどんな死に方だったのか全く出てこない)のだが、とりあえず「確かウェイバーとライダーの関係性はクッソアツかった」ということだけは覚えているので、今作を見る上ではそれだけで充分ぽいのだ。ウェイバーが何をしようとも、その背後に見えるライダーの影があればこそ、あらゆるシーンに説得力が出て格好良く見えるのがずるいわ。
そして、基本的には他のFate世界とは隔絶された独自展開になりそうなのもプラスポイントである。まぁ、「英霊を召喚して戦わせる」という肝心要の要素が一切無いのはどうかと思うが、むしろFGOとかそっち方面はその設定のタガが外れたせいで訳のわからんことになってしまってるわけで、もう完全になかったことにした方が、部外者からしたらタッチしやすいとも言える(プリズマイリヤみたいなもんだと思えばいいのだ)。今後は苦労人のウェイバー君が水瀬ボイスの妹にどんな風に振り回されることになるのかを楽しみに待てばよいのだろう。なんか、学生っぽい子にはうえしゃまもおるしな。羨ましい生活しとるやんけ。
製作がufotableじゃなくてTRYOCAになっているが、全体的な雰囲気は「Zero」の時のデザインをきっちり踏襲しており、充分「続編」として成立している。本編のように超絶英霊バトルを展開するわけでもなかろうし、TROYCAの丁寧な作劇があれば問題なくufoクオリティを引き継ぐことはできるだろう。かてて加えて、今作の監督が「やがきみ」の加藤誠というのは嬉しいサプライズ。そうか、TRYOCAだからこういう起用が可能になるのか。総合すれば期待感の高い要素が多い作品である。
で、結局ケイネス先生ってどうやって死んだんだっけ……。
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