○「異世界チート魔術師」 4
だからタイトルよ。おかしくない? 推理小説のタイトルで「密室殺人事件」ってタイトルつけないでしょ? 何一つ内容語ってないじゃないの。え?「雪密室」ってタイトルのミステリがあるって? まぁ、それはそれで……。
タイトルの時点で心構えが出来るというのは、ある意味では非常に親切な設計と言える。ただ、残念なことに(?)今作は並みいるナロウ作品の中では、そこまで悪くないクオリティに仕上がっている。いや、筋立ては相変わらずではあるのだが、考えてみりゃ「押さえるべき前提を淡々と抑えていく出だし」ってのは当然必要なものであって、馬鹿にされるようなものでもないだろう。どうやって異世界に転移したのか、主人公たちがどのように状況に順応するのか、そしてどんなスキルを持っているのか、1つ1つ明かしていくくだりはむしろ丁寧な部類で、1話目時点で主人公たちがどんなチートなのかまで判明しなかった事例ってのは割と珍しいんじゃなかろうか。丁寧さという点においては、初回を一時間スペシャルで放映した「盾の勇者」に負けないくらいの誠意は感じられる。映像についても、少なくとも「うちの娘。」「魔王様リトライ」と並んだヘルプミーな作品群と比べるとはっきりと優位であり、最低限の視聴に耐えられるレベルになっている。オープニング動画なんかも(非常にベタではあるが)しっかりしているし、「アニメとして一番見ていられそうなのはどれか」と聞かれたら、迷わずこの作品を選ぶだろう。女の子だって可愛いといえば可愛いし、エロいといえばエロいのである。
でもまぁ……やっぱり水晶玉のくだりとかはどうしても怖気は走るんだよな……。いや、下手に言い訳しないで「チートなものはチート」と割り切ってしまった方が後腐れなく応援できるようになるのかもしれない。どうあがいてもこの手の作品はステータスシステムから逃れられない運命なのだろうが、今のところ今作では「レベルがいくつ」とか「能力値の数字が」みたいな会話はそこまで多くない(最後にちょろっと数値って言ってたけど)。なんとか、少しでもテンプレから離れたところに着地できれば、せっかくのアニメ化までこぎつけた意味は見いだせるかもしれない。
ただ……多分、本当に「多分」なんだけど、俺、これの原作コミックの1巻は読んでる気がするんだよね……。例によって漫画喫茶の記憶だし、似たようなものをいくつかつまんでいるので本当に全く記憶にないのだが、全体的にデジャヴュだらけというか、「一回経験してる」お話だから……もう、おじいちゃんにはなろうの区別が付かんのだ。そして、もしこれが読んだことのあるものだとしたら、当然「記憶にない」「2巻に手を出していない」でお察しだ。まぁ、そらそうだよな。開幕一番に自分のことを「チートだな!」とか言ってる主人公が面白いわけないもんな……。いや、ヒロインに期待しよう。頑張ってくれ。
個人的に釈然としない要素は、自分の好きな役者がなぜか異世界に導かれやすいってことで、そりゃ出演作が多いのはありがたいが、応援するためにはこれからずっと観なきゃいけないってことなのよね。こないだは森川智之の配下として孫と戦ってた。今度はチート主人公の師匠のポジションとして登場した。……まぁ、「魔女っぽい声」ってあるからね。
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