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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「会長はメイド様!」 5→7

 最近はどんどん密度が濃くなり、注目アニメばかりがぎっしりと詰まっている奇跡の枠、アニメシャワー。だから深夜に2時間フルで拘束されるのはキツイって。特にここ2週は2時間半連続ってのが続いたから、もうへろへろでしたわ。で、そんな枠の中でも比較的地味だったのがこの作品。前半は「けいおん!!」と「聖痕のクェイサー」、後半は「けいおん!!」と「みつどもえ」というとんでもない作品に挟まれていたので、どう料理したところで多少「箸休め」みたいな扱いになったわけだが、それでも全く他の作品に負けていなかったと思う。堅実ながらも安定して毎週楽しめる、ある意味貴重な作品だったのではなかろうか。

 今作を見て、改めて桜井弘明監督のうまさを確認出来た気がする。前作「GA」はどうしても尺が短くて駆け足になってしまったところばかりが目についたのだが、今回は2クールの時間が与えられ、なおかつ原作もそこまで密度が濃いというわけでもなく、ある意味非常にベタでありがちな内容となっているので、作品内で描写すべき要素は分かりやすい。それをいかにもJ.C.STAFFらしく「原作に忠実に」構築していく作業だったわけだが、これに桜井監督独特のアニメ演出の技法が加わることで、良い意味でオリジナルの部分が加えられ、それがアニメーションにすることで発生するプラス要素として働いていた。美咲と碓氷の2人の掛け合いがメインの作品なので、最も重要なのは会話のテンポ。こうした速い切り返しが求められるテンポ重視のギャグ作品は、桜井監督の真骨頂だ。

 具体的には、様々な場面で現れるデフォルメの使い方、タイミングや、書き文字によるギャグの後押し、背景のカラーリングによる雰囲気の峻別に、ワイプで画面を変える時の演出の細かさなど、どこまでもあっさりやろうと思えば出来る部分でも、少しずつ「面白くなるように」要素を足していくことで、おもちゃ箱のような賑やかな雰囲気を出すことが出来る。キャラの台詞の読み方なんかもどこか「桜井風」にサジェスチョンされており、そこかしこで「デ・ジ・キャラット」が懐かしくなるような気がしてくる(2期エンディングの「フェロモン星」の絵とか、いかにもだったし)。桃太郎の回なんかは、完全に別世界の中身だったのだから「単なる悪ふざけ」になってしまう可能性もあったのに、全く同じ演出、同じ世界観を維持しつつネタとして不動のものだったのは、ひとえにそれ以前に配備されていた作品の雰囲気作りが1本の筋を通していたおかげだろう。美咲と碓氷は一応真剣にラブコメをやらなければいけないし、キャラの性質上、限界まで崩すことは許されないわけだが、その代わりを三馬鹿を代表とした回りの面々が受け持ってくれたおかげで、メイン2人がシリアスに回りつつも、常にどこかコミカルな雰囲気が漂っているのもいい塩梅だった。

 そう、やっぱり最終回のラストに現れているように、この作品の象徴的な存在の1つは三馬鹿だった。原作でもかなり作者に愛されていることが分かるキャラクターだが、最終回では完全にスライムに成り下がるまでに徹底したネタ要員としての扱いが潔く、「元不良の野郎3人組なのに何故か番組のマスコット」という奇跡のスタンスを確立させていたのがすごい。少女漫画ならではの配役である。他にも学校内ではさくらとしず子のコンビが良い味を出していたし、メイドラテにいけばさつき店長や個性豊かな店員たちがいる。これだけ大量のキャラクターが入り乱れた作品だったのに、どのキャラも適切に個性を発揮し、作品全体の雰囲気を盛り上げてくれていた。

 そして、なんと言ってもこの作品、メインの2人であろう。少女漫画におけるメインの男役(メインヒーローっていう言葉があるんだろうか?)の扱いについては、少女漫画原作のアニメがあるたびにいちいち触れていたのだが、基本的に「生まれ育ちのいい完璧超人」であることが多い。「ホスト部」の殿、「S・A」の滝島、「スキップ・ビート」の敦賀蓮など、とにかく才色兼備、文武両道の化け物が登場するのが基本で、男性視聴者からするとそこに感情移入したり、逆にメインヒロイン側に感情移入して惚れてみたりということは不可能な状態になる。しかし、この作品の碓氷拓海という男は、もうそうしたくくりすら取っ払ってしまった存在。リアリティがないならいっそ突き抜けてしまえばいい、というのがその突破口で、完璧超人の度合いが常軌を逸しており、さらに性格も「ありがちなイケメン」像を踏襲しつつも、どこか限界を超えている。「ただしイケメンに限る」は妬み嫉みの言葉だが、もう、碓氷だったら何でもいいや、という気にさせてくれる。ここまで飛び抜けていれば、男が惚れても致し方ないし、実際、作中で幸村は惚れている(?)。この碓氷を2クール見守る、というだけでも、この作品は成立していると言っていい。

 そんな碓氷が最後まで執着し続けたのが、我らがヒロイン鮎沢美咲。1話を観た時点では「テンプレ通りのツンデレ主人公」と書いており、実際その通りではあるのだが、彼女の場合、ツン期が本当に長かった。彼女がすぐにでもデレていれば、この作品はフツーの萌え作品で片付けられていたのだろうが、あの碓氷の猛攻を受けながら、美咲は強く強く、自分を維持し続けた。この長きにわたる美咲の苦闘こそが、この作品最大の見どころであったわけだ。そして彼女の努力が長ければ長い程、最終回で見せたたった一瞬のデレの破壊力は奥義にまで昇華されたものとなる。いやぁ、眼福でした。

 結局、こういう作品は主人公の魅力が全てであろう。鮎沢美咲というキャラは、少女漫画の主人公とは思えないくらいに、男の願望が理想化されたキャラクターであった。もちろん碓氷がいなけりゃ単なる暴力女に終わっていたとも思うのだが、美咲がいたからこそ碓氷はあそこまでの完璧超人としての実力を発揮できたわけだし、碓氷がいたからこそ美咲はヒロインとして存在しえた。この関係性は希有だ。そりゃなぎさ店長も萌えるわ! 個人的にはOPで営業スマイルを浮かべる美咲がお気に入り。この作品は2クール同じオープニングだったけど、曲も含めてかなりのお気に入り。ま、最終回絡みで考えると、一番ずるいのは2期エンディングの美咲ですけどね!



 最後はやっぱりキャストの話。この作品も随分キャストが賑やかでしたね。メイドラテの面々しかり、クラスメイトしかり。「オカルト学院」と同じスタンスの「騒がせ屋の花澤香菜」が本当に好き。他に個人的に気になったのは、幸村の中の人かな。聞いたことがなかったのでチェックしたら新人さんで、「ほぉ、新人だけどしっかり出来てるなぁ。最近の若手は本当にそつがない」なんて思ったのに、案外若くなかった。男性声優はデビューが遅咲きだ。いや、女性声優が若すぎるだけかもしれないが。碓氷役のピコリンこと岡本信彦にしたって、こんだけ出番が増えたのもつい最近だしねぇ。

 そしてなんと言っても、やはりこの作品は鮎沢美咲のものである。ということは、それすなわち藤村歩のものである。藤村が主人公のアニメは良作になる。個人的には「狂乱家族日記」だって良作だと思ってますからね! え? 「風のスティグマ」? ……お疲れ様!

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