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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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pet」 5→6

 凄まじい作品だった。今期はこれと「ID」が一緒に放送されていたことを考えると、なんとも不思議なつながりを感じる部分もある。ただ、「ID」がアニメオリジナルで自由に世界を作れたのに対し、こちらはあくまで漫画原作のアニメ化。その困難は全く異なるものであろう。よくもまぁ、“こんなもの”をアニメ化しようと思ったものだ。

 正直、申し訳ないことに話の中身を十全に理解したとは言えない状態だ。今作に関しては流し見していたわけではないのだが、序盤から中盤にかけて、「まぁ、そのうち説明があるやろ」と思って適当に処理していた部分が、結局最終盤まで重要な要素であり続け、そのままの情報量で最後まで走りきったためだ。1クールでここまで詰め込み型の作品だと分かっていれば、もう少し注意深く精査することも出来たのだろうけど。これもまぁ、大量消費型のアニメ視聴スタイルの大きな欠点であろう。できることならもう一度最初から見直したいところだが、とりあえず現時点での雑感程度である。

 「記憶」といういわく言いがたいものをメインテーマとして取り扱った作品であり、登場人物の多くが人の記憶をいじくりまわし、催眠のような状態に落とし込むことができる。その時点で、画面に何が描かれたとしても不確定要素が多く、下手したらあっという間に破綻してしまう恐れもある世界設定だ。実際、冒頭部分では「もうこれ、なんでもありやんけ!」と思って匙を投げた部分はあるのだが、もちろん原作がきちんと完結した上でアニメ化されている時点で、適当な要素など許すはずもない。多くの登場人物が能力者であり、それを取り巻く人々もほとんどがそのことを理解して動いているため、すぐにステージは「イメージ持ちどうしの権謀術数の世界」へと落とし込まれていく。その中心には林という1人の男がおり、そこから派生して悟の物語、司の物語が並行し、「ペット」と「家族」を思う人の心が常に中心にあり続けた結果、最後のキーであるヒロキが生み出される。イメージを持つ人間はやろうと思えばなんでも出来るのだが、それ故に多くの制約を自らに課す必要があり、その事実に誠実に向き合った林が、まず真っ先に壊されてしまった。

 そして、「ヤマ」「タニ」といった独特の構造は、一人の「親」の崩壊をなし崩し的にその「子」、そして「pet」へと連鎖していく。チャイニーズマフィアの怜悧な利潤モデルとも衝突し、人の心、そして自分の記憶を守るためのギリギリの戦いが続く。改めて振り返ってみると、本当に限られた人間関係の中だけで物語が進んでいくというのに、常に二転三転して何が真実なのかを煙に巻く、怒涛の展開である。そりゃまぁ、1クールアニメにしたら、事実の列挙だけでも一苦労するのは間違いないだろう。

 しかし、今作はそうして「プロットが超大変」というハードルの高さがありつつも、決してテーマ性をアニメに落とし込むことに妥協をしていない。「記憶」の描き方、そして「イメージ」の描き方。アニメならではのふわふわと覚束ないビジョンが常に不安感を生み出し、夢ともうつつともつかぬ世界での精神を削り合う攻防をダイナミックに描く。おそらく制作のジェノスタジオはそこまで作画スタッフが潤沢ということもないと思うのだが、おそらくディレクションが一貫していたのだろう。それぞれの話数で大きな乱れが生じることもなく、徹底して「petの世界観」を守り通すことに成功している。ぶっちゃけ「気持ち悪い」画面も数多く展開するのだが、そうして不快感や不安感を煽る演出が綱渡りのような危ういこの世界を何よりも体現していたわけだ。原作漫画を全く知らないのでどこからがアニメスタッフの手腕によるものなのかははっきりしないが、これだけのものを「アニメにしよう」と決意したスタッフ陣はさすがとしか言いようがない。「刻刻」に続いてのツインエンジンの「よくこんな原作見つけてきたな」という事案であり、大森貴弘監督の「よくこんなもん映像に出来たな」という事案でもある。やっぱり、この人の映像センスは現代アニメの中でも異彩を放っている。

 あとはまぁ、それぞれのキャラクターの魅力をどれくらいに見せてくれるかっていう阿漕な部分の勝負になるだろうか。おっさんだらけの世界の中で、なかなか現代アニメとしてキャッチーな部分を作るのは難しかっただろうが……まさか最萌キャラが桂木になるなんて、1話目では想像もできなかったよ……そりゃみんな桂木さん好きになるに決まってるわ(エンドカードに桂木出過ぎ問題)。そうそう、音響面でのこだわりも忘れちゃいけない要素で、あえて日本人キャストに中国語会話をさせた狙いも汲み取りたいところ。今作では「北京語がわからない」というファクターが非常に重要で、イメージの中なら「映像」で向き合えるので能力者同士なら垣根はないはずなのだが、ことが現実になると「言語の差」というあまりに分かり易すぎる壁が生じて「通じない」というのが設定の妙。まぁ、わたしゃ中国語なんてわからないので、キャスト陣がどれくらいちゃんと話せてたのかは分からないわけだけど……これ、中国でも配信はされてるんだろうか。地元のファンに受け取ってもらえたらいいなぁ。

 

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