「魔術士オーフェンはぐれ旅」 5→3
身内に狂信者がいるのを承知しているので心苦しいのだが、まこと残念なアニメ化になった。まぁ、「封神演義」にしろなんにしろ、リバイバル作品は成功する例の方が圧倒的に少ないので覚悟はしてたけどさ……。
何よりもまず、圧倒的作画リソースのへなちょこ加減。現代アニメとしてリビルドすることの意義に「今の技術で新しく美しく」ってのがあると思うのだが、時期も悪かったのだろう、今作の作画は誰が見ても分かるレベルでへなちょこ。もともと時代がかったキャラクターデザインなので現代版にリライトして動かすのは神経を使う作業だったとは思うのだが、残念ながらそれ以前の問題。最近のディーンは安定感があったので期待してた部分はあるのだが、どうやら今作は本気の作劇とはならなかったようだ。
そして構成部分も「封神演義」「うしおととら」なんかと同じ末路を辿り、やたら性急で話の要素を拾い続けるような展開に。全く覚えてないけど旧作でこんだけ物語の内実についてのあくせくした印象はさっぱりなくて、むしろオーフェン御一行のスチャラカ珍道中みたいなイメージがあったので、今作でひたすら「だいたいアザリーのせい!」って言いながらオーフェンが生まれ育ちに悶々として喧嘩してる展開はむしろ意外だった。アザリーとチャイルドマンの真実が明かされるのがやたら早くて、その後のオーフェンのモチベーションがよく分からなくなってたんだけど、構成としてこれで正しかったんだろうか? いちいち「現代で事件に巻き込まれたよ」→「その元凶はあの時のあの出来事だったんですね(回想)」っていう展開が繰り返されるので展開もワンパターンになり、視聴者目線だとその度に「何がほんとで何が嘘なの?」って目線が散らされる。いっそ学生時代の話から時系列順にやったほうがよかったのではないかという気になる。後になればなるほど「チャイルドマン、すげぇやつだったんだぜ」って言われるのになんでそのすげぇやつが物語の冒頭で亡き者にされてんだ、っていうのが違和感になっちゃうし。
結局、「なんで今リメイクしようとしたの?」という疑問に積極的な回答を与えられない時点で残念である。これ、別に続編の企画とかはない単発ものなんだよね。企画意図がさっぱり分からん。
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