「インフィニット・デンドログラム」 5→4
このタイミングで終わるアニメがある。しかもまだけっこうある。まー、アニメのスケジュールなんてもはやぐっちゃぐちゃよね。
むしろこの程度の遅延で終わらせられたのだからラッキーとすらいえる事例かもしれない。これ、あと一ヶ月ずれ込んだらあれやこれやと同じように終了未定になる可能性もあったわけで、形はどうあれ、終わったと正式に宣言できるだけでも幸せな部類。もちろん、この場合には終了したという事実と、中身が完成したという理想は同じではないのだけども。依って立つところのさっぱり分からない作品だった。結局ゲーム設定がどこでどういう効果を発揮したのか。「なんでこんなにたかだかゲームに熱心になれるんだろう……」という引き気味の印象がどうしても残ってしまうため、やっぱりこの設定にするなら大人しく「普通のファンタジー世界」や「普通のなろう転生」にしてしまった方がまだ身が入ると思うのだが。ゲームであることの良さの1つは「キャラ」と「プレイヤー」という二面性が生まれ、そのギャップによるドラマをひねり出すことができる部分だが、残念ながら本作において「リアルとゲーム」の相互干渉がプラスに働いているような設定はあんまりなかったように思える。最終的に「これが本当にゲームだとおもうわけ?」みたいな話になっていたが、そういうのもういいんで。防御に極振りしても同じようなこと言われてたし。ゲームの設定はただひたすらゲームとして消費されていき、「攻略」という言葉で解釈されてたってことは、極論するとこのアニメを見るのは単なるゲーム実況を見ているのと同じってことになってしまう。まー、今更そこをきちんと作ったからって目新しさにつながるとも思えないのだけども。
結局、そうして「何やってんだろこいつら」という部分が浮いた印象になってしまうと、そこから先で魅力を生み出すのは難しい。これで映像部分が気合を入れているとか、ゲーム世界の作り込みがフィクションとして秀逸であるとかいうボーナスがあればアニメとしてのランクは上がるはずだが、スケジューリングが難しかったことからもわかる通り、映像部分でも特筆すべき部分はないし、謎ロボットのデザインやモーションなど、やたらダサい部分にばかり目がいってしまう。ごった煮的に「なんでも出来る!」をゲーム世界に詰め込んだが故のカオスなのだろうが、それならもうちょい目新しい驚きを見せて欲しかった。「どっかで見たやつを、適当に混ぜて統制取らずに流してる」というのが一番近い印象かもしれない。
まぁ、この辺りの試行錯誤も、なろう系、デスゲーム系なんかの作品の断片をどういう方向で組み合わせればブレイクスルーにつながるかという、実験段階みたいなものなのかもしれない。トライアルがあればエラーもあるわけで、次なるトライアルのための1つの実証例だと思えばいいんじゃなかろうか。
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