「八男って、それはないでしょう!」 4→3
俺もそれはないと思う。なんもないと思う。まぁ、もともと何も求めてはいなかったが……。
変な話だが、ある部分において、なろう的な嫌悪感はそこまで強くない作品だった。異世界転生ものではすっかりおなじみになった「これ、転生設定の意味ほとんどないじゃん」作品なんだけど、今作の主人公は、いわゆる「訳知り顔のクソオタクムーブ」の比率が他の作品に比べて少ない。幼少期には「前世」を思い出して身の不運を嘆いたりしていたが、成人後の物語については、単に「幼い頃にたまたま魔法の才能に目覚めた世間知らずのラッキーなやつが無双する」だけの話になった。よくあるオタク知識を披露してのセルフツッコミとか、いわゆるマヨネーズムーブはそこまで多くない(まぁ、まさにマヨネーズだったのは笑ってしまったが……)。ある程度割り切ってしまえば、「そういうファンタジ-世界(ナーロッパ)のお話」というだけで処理できるのだ。もしかしたら、今作が割となろうの中でも年季の入った作品らしいので、そこまでパターン化・形骸化を進めすぎたなろう文化の悪い部分は強く出ないものだったのかもしれない。
ただ、そうして「そこまでひどくない」部分はありつつも、「じゃぁ面白い部分があるのか」と問われると、それもまた見つからない。放っておいても女の子が寄ってくるようなお約束のチーレム展開なんかはストレートに襲いかかってくるし、出世物語だというのに一切の爽快感や達成感がなく、どこまでも都合よく、勝手な正義を振りかざしているだけなのに周りが評価してエレベーターのごとく上がっていくだけのお話は、やっぱりなんのカタルシスも得られないのである。これ、せめてもうちょい女の子の数を減らして「八男」っていうタイトル部分のファクターにも独自の味付けができれば、一応は「何か違う」作品として成立した気がするんだけどね。まぁ、我々視聴者サイドが散々「なろうの成れの果て」みたいなものを見せられたあとでこれが出てきてしまうと、歴史認識も歪むので多少同情の余地はあった気がするけども。
ちなみに、個人的に一番面白かったのは、散々「長男である俺が何故認められない!」って暴れてた杉田が長男じゃないってところ。「お前典型的な次男気質じゃん!」っていっつも思う(僕も次男なので)。
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