「彼女、お借りします」 5→4
楽しむとしたら、とにかく並み居るヒロイン勢を愛で続けるという楽しみ方になるだろう。雨宮天・悠木碧・東山奈央・そして高橋李依。揃った4つの選択肢。キャストの濃さで言えば充分すぎるカロリーが摂取できるし、キャラデザは安定しているので女の子を愛でるには文句はない。
さて問題は、残念ながら今作がそうして女の子たちが和気藹々と青春を謳歌する美少女動物園ではないということである。真ん中にいる男、これをどう処理すべきかである。だって……見てて全く楽しくないんだもん……最低の男主人公なんてのはアニメの中では割と定番で、魅力を感じない、人として最低の行動をする、そもそも行動原理が分からないなど、ひどいキャラはいくらでもいるだろう。しかし、今作の主人公の最大の問題は「見ていて気持ちよくない」というところである。「理解できない」ではない、「気持ちよくない」である。元々、「えー、ヤらせてくれるわけでもない見知らぬ女性に2万円払ってデートするとか、どういう感覚なら出来るんだよ……」とも思っていたが、まぁ、冷静に考えて「1日雨宮天とデートできる券」があるなら、多分私は2万払うだろう。えぇ、払いますとも。となれば、作中の水原がそれくらいの存在ということなら、どれだけ妄想フルパワーだとしても「理解」はできなくないのだ。ただ、この主人公の言動は、そうした打算から一歩先の行動理念の部分に問題がある。行き当たりばったりで、常に自分のことしか考えない最低の精神性。時に「彼女のことを思って」みたいなことを言っているが、突き詰めればそれも自己保身や自己欺瞞の表れ。そして、そんな精神を支える最大の要素として表れるタームが「彼女」なのである。流石にこの考え方は、嫌いである。嫌な奴である。そんな奴に可愛い女の子が振り回されるのを見ていて、気持ちいいわけがないのである。
そして、これだけ文句を並べ立てた後に真逆のことも書く。同じように最低の精神性を持つキャラとして、主人公の元カノがいる。この女もなかなかのタマである。でも、こっちの最低女は見ていて楽しい。そして、これは私の性癖に依拠するものである。クソ女可愛い。CVが悠木碧ならなお可愛い。そうしてみるなら、最低男と最低女が付き合えば丸く収まる気がするのだが、今作のメインプロットは絶対そうならないデザインである。そこがまた気持ち悪い。結局、「男が最低だ」なんてこたぁ瑣末な問題なのだろう。「もっと女の子が幸せになるお話ならいいのに」と思って見ていると、主人公が邪魔なだけなのである。なんだこの結論。
まさかの2期決定、この話がまだまだ続くとなると、さらにたくさんの女の子がこの最低のお話に巻き込まれていくのだろうか。個人的には同じマガジンのドロドロ話だったら「ドメスティックな彼女」の続きが見たいんですが、あれはもう2期が無いんですかね。
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