「すばらしきこのせかい The Animation」 4→3
びっくりするぐらい、なんもなかった。元のゲームは人気作品らしいのだが……よっぽどゲーム性が良かったのかなんなのか……。
まずもって、「渋谷」をどんだけ神聖視してるんだよ、ってところから共感が得られないのでキャラクターの感覚が理解できないのがキツいのだが、それをさておいても、主軸となる死神ゲームに山もオチもなく、単に出てくる雑魚敵をよく分からない技でパチパチ倒し、その都度出てくるボスキャラもなんかわかんないけどパチパチ倒すのである。そこにゲーム的達成感は無い。元がアクションゲームだと考えるなら、よっぽどその辺のアクション要素に見るべき点があったのだろうか。少なくともアニメにして楽しいもんじゃない。
一応「死神ゲーム」の展開にはどんでん返し要素が二重三重に用意されている……気もするのだが、如何せんデスゲーム的お約束などもうカビが生えたようなものばかりで、特に驚くような展開にはなっていない。この手の設定ではありがちだが、死神側のモチベーションがよく分からないままお話が進むので、単に理不尽な結末を与えるためだけに理不尽なゲームをやっているようにしか見えず、そんな中で死ぬ気で戦おうとしている連中を応援してもしょうがない。そして、主人公のネクに至ってはそもそも記憶がなかったり、記憶が後から付与されたりと視点が定まらず、信じるに足る人物とも思えない。そんな疑念を後押しするかのように、敵と味方の関係性も特に前振りなしにコロコロ変わるため、昨日の敵は今日の味方として振る舞い、昨日の味方がラスボスにもなったりする。よっぽど信頼関係を築いていた人間が裏切った挙句の「あんたがラスボスなんて!」だったらドラマにもなるのだろうが、最初から「なんでお前一緒にいるの?」くらいの奴が後から敵に回ったところで、「そりゃそうだろ」としか思えないのである。
多分、アニメとゲームという媒体の違いをろくに考慮せず、何もかもそのままアニメに落とし込んだだけというのがこの結末を招いた理由なのだろう。映像部分も、そりゃ15年前のDSの画面で見ればポップで刺激的だったのかもしれないが、現代アニメで出されても単なる手抜きである。キャラ萌えを必要とするような作品でもなかろうが、そっち方面に逃げ道も封じられ、楽しむ方法が失われてしまった。本当に、「なんで今更アニメ化したの?」というのが唯一の感想である。そして、その理由はおそらく「新作ゲーム出したいから」なんだろう。……多分販促効果は無かったと思うけど……まぁ、ファン目線で思い出が刺激されたなら、それで成功なのかしら。
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