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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 全編シリアス、まるで最終回かと思わせる第8話。この作品のシリアスはあまりニーズが無いかと思った時期もあったが、どうしてどうして。実に印象深い、ハイクオリティなエピソードとなっております。

 ニンフを精神攻撃で蝕むカオス。そのまま嬉々としてとどめを刺そうとするが、間一髪のところでイカロスが救援に駆け付ける。しかし、自在に姿を変化させるカオスが智樹に化けて命令を下したため、イカロスはまともに戦闘出来ない。イカロスの必死の抵抗で一時は安全圏まで飛ばされたニンフだったが、偶然出会ったアストレアに救いを求めると、自身は力尽きる。先輩の懇願を受けてイカロス救援に向かおうとしたアストレアだったが、空からは「マスター」の声が響いてくる。ニンフを処分せよとの命令に、未だしがらみを解き放っていないアストレアは逆らうことが出来ない。

 そのままニンフを処分する寸前までいったが、虫の報せを受けた智樹が現場に駆け付け、アストレアに対して再び「お前はそれでいいのか」と問いかける。既にダウナーとの接触を重ね、自らのスタンスに疑問を抱えていたアストレアは答えを出せずに立ち尽くし、それを見た「マスター」は、今度は彼女にイカロスの処分を命じる。カオスの暴虐によって満身創痍のイカロスと、それを処分すべく武装を施したアストレア。たとえイカロスの武力が上であっても、容易に任務を遂行できる状態だ。だが、彼女の選択は、悪い頭でただマスターの命令に従うことではなく、自分の気持ちを優先し、自らを束縛する鎖を引きちぎることだった。

 しがらみを断ち切ったアストレアは、気ままに人心を揺さぶるカオスと対峙。持ち前の戦闘力で一時は圧倒してみせるが、第2世代のエンジェロイドは彼女の武装をも上回る。最後の一撃が見舞われるかと思われた瞬間、自己修復を施しウラヌスシステムを解放したイカロスが介入する。古の最強装備と、最新鋭兵器のぶつかり合いは熾烈を極め、最終的には、イカロスがカオスを深海に沈めることで決着を見た。最後まで「愛」を問い続けたカオスとの接触を通じて、イカロスは自分の中にあるその気持ちを、今まで以上に強く意識したのであった。

 

 Cパートの最後はちょっとほのぼのとしてみせたが、1期最終話を除けば、初めてのシリアスオンリー回。こうして心情描写や格闘戦、メカ戦闘などに筆を費やすと、いかにこのアニメの映像クオリティが高いかを再確認することが出来る。普段はこの技術と品質を空飛ぶパンツや乱舞するエロ本に費やしているわけだね。

 実は1期のときからこの作品のストーリーテリングの妙については評価しているのだが(詳しくは1期の番組感想記事参照)、今回のシリアスについても、それがきちんと発揮されている。ニンフの苦悩については既に1期の時点から入念に描かれている部分であったし、救出に来たイカロスが最終的に幻影の智樹に逆らえなかったシーンも、これまでのイカロスの行動原理に基づけば自然な流れ。その中で「ニンフを壊すことだけを拒否し、自分を壊すことについては反抗しない」という中途半端な状態になっていたことも、シリーズを見てきた視聴者ならば納得出来ることだろう。

 そして、1つ目のクライマックスとなるのがアストレアの造反シーン。一時はニンフを手にかけようとしたアストレアだったが、智樹の一喝で「自分が悩んでいること」を明確に認識してしまうと、もうどうしようもなくなる。自分よりも明確に任務と悪意を遂行する存在であるカオスに対して、遂にその意識を「自分の意志」で示してみせた。「馬鹿だからこそ」、「自分が馬鹿だと知っているからこそ」、自分を悩ませている最大の要因である「マスターからの命令」の象徴たる鎖を引きちぎるアストレア。ニンフのときと違って自らの手で引きちぎったことにより、強靱な意志と武力を併せ持った彼女のアイデンティティがはっきりと画面に現れ、その後のバトルシーンへの見事な繋ぎとなっている。不覚にも、鎖を千切ったシーンでは鳥肌がたった(その後のクリサオルを振り切るシーンもかなり格好いい)。

 最大の長所である武力と、不安定な要素でありながら、ときとして最大のパワーとなる感情。この2つを併せ持つアストレアの特性が最大に発揮されるバトルシーン。しかし、同様の装備は第2世代であるカオスも所持している。勝負としては、悲しいかな互角にはならない。しかし、ここで駆け付けるのが武力の権化たるイカロスである。最終的に彼女はカオスを打倒する。ここにきて、イカロスに最後の1要素である「感情」の芽生えがあったことを示唆するエピソードといえる。もちろん、作中ではカオスとの掛け合いでどんどん台詞に熱が籠もるイカロスが、それを端的に示してくれている。ここまで感情を露わにしたイカロスは、これまで無かったものだ。

 アストレアの造反と、イカロスの覚醒。2つの要素が見事に絡み合い、1つの大きな流れを生み出した何とも印象的なエピソード。ぜいたくな戦闘シーン、メカの描写なども加わり、今期では文句無しで1番の回だったのではなかろうか。イカロスの無茶な飛行システムと、綺麗に対比した禍々しいカオスのウィングのデザインなども秀逸。かたや古式然とした巨大兵器のイメージで、かたや液体金属を彷彿させるファンタジックな生物機械のイメージ。普段の世界観からは想像も出来ないことだが、実に見応えがあった。

 普段のエロ馬鹿アニメとは別世界になってしまっているような印象だが、ファンだったらば「いや、泳げないゆーてもお前海底歩いてたじゃん」とか、「お前のやりたいことはなんだ、って聞いてる本人は確かにやりたいことやりすぎだな」とか、シリアスの裏にチラチラとこれまで積み重ねてきたギャグのイメージも活かされていることが分かる。日常と非日常、全てひっくるめての「そらおと」。骨子がしっかりしている作品は、何をやってもちゃんと面白くなりますな。今回のコンテ・演出には、「劇場版ボトムズ」で監督をしていた五十嵐紫樟氏がクレジットされている。なかなかドラマ作りの上手い人だ。

 そして、今回は2点ほどいつも通りの付記。1つは、シリアス展開だったからこそ分かるキャスト陣のがんばり。ニンフ役・野水伊織、アストレア役・福原香織、カオス役・豊崎愛生、そしてイカロス役・早見沙織。エンジェロイド4体は今回全員が非常に難しい感情の揺れを表現することが要求されていたわけだが、見事な仕事だった。やはり早見が抜群に安定しているが、カオスのクレイジーっぷりが遺憾なく発揮される豊崎の技も見事なもの。

 そして、さらにはエンディングテーマである。いつも通りのカバーソングであるが、歌唱が早見・高垣彩陽という、当代きっての歌姫2人。シングルカットされないのが勿体ないくらいの半端無いクオリティ。今回のエンディングに持ってこられたのは、やはり絶対的な信頼があったからこそであろうか。端から端まで、文句ナシの1話でした。

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