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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 最近ではすっかりお馴染みのOVA商法でありつつ、3年ぶりのアニメ復帰作にもなるという、何とも微妙な扱いの1本。個人的にはスタッフ&キャストの総入れ替えによるまったく別な作品にしか見えないわけだが、おかげでどの程度の出来になっているのかが気になっての視聴である。やっぱり301本で3000円超えはきついんですがね……

 原作は嫌いではない本作だが、アニメ1期の評価を振り返ってみると存外低くて3点を付けていたのに驚いた。当時の迫井作品というとどうしてもピントのずれたものが多くてアニメとしての魅力に欠けていたというのもあるが、放送時はまだ原作を読んでいなかったこともあり、この作品独自の「見方」みたいなものを心得ていなかったことも原因であったろう(それにしたってアニメの出来は良くなかったと思うが)。しかし、それでもシリーズ2クールは全部見ていたわけで、それなりに愛着があったのも事実。特にメインキャストの布陣は最高のものだったと思うので、今回完全な「世代交代」を行った結果がどうなるか、実に気になる部分である(今回のメインキャスト5人の年齢の平均値が22歳というのだからとんでもない「若返り」である)。

 改めてこの作品のエッセンスを原作から確認していくと、1期で四苦八苦していたのは独特の雰囲気作りの部分であったと思う。ホラーをメインテイストにしており、しかもシナリオラインが1話1話でブツ切りになり、捻くれた導入だったり、難解な解決だったり、1本のストーリーとして消化しにくい部分が多い。さらに怪異の表現についても、原作者の癖のある絵柄でごり押ししている部分が少なくないため、アニメ絵にしたときに表現しづらく、何とか画面に表そうと解題すると、どうしてもチープな印象になってしまいがち。ホラーなのに既存のホラーの手法ではうまくいかず、かといって「萌えもの」のようなキャラクター主体の見せ方をしようにも設定がかみ合わない。実にアニメスタッフ泣かせな原作。

 今作はOVA媒体ということもあり、1期では規制されていた残酷描写などはストレートに表現しやすくなっており、緊迫感を出しやすくなっているのは救われる部分。加えていかにもホラーらしい一人称視点の導入など、変化球気味の構図を多用することによって、原作の持つ「不安定さ」みたいなものを再現しようとしている部分は上手い。いわゆる「ホラーもの」であるならば、それなりに満足できるクオリティであろう。

 しかし、この作品はそう簡単ではない。何せ、ホラーと言っても、やってることは実に単純で、「あまり怖くない」内容なのである。今回のエピソードも、ふたを開けてみれば単に「光が苦手な怪物」が大挙して押し寄せるというだけのもので、冒頭から引っ張ってきた「暗闇から伸びる腕」の演出が、終盤になればばるほど単なるこけおどしであったことが分かってしまう。「電気を消すと消えている」といった魅力的な導入もあっという間に意味を成さなくなり、「ホラーとして」見ていると思い切り肩すかしを食らう。こういう「中途半端なストーリー」は原作にも見られるものなのだが、漫画版の場合、これを光永絵の不思議な癖で押し切ってしまう。残念ながら、アニメではそうもいかない。

 メインスタッフは川口敬一郎とタツノコプロというちょっと珍しい組み合わせで、川口さんらしい阿漕なサービス精神はそこかしこに確認出来る。単純な流血描写などによるサービスや、序盤のホラーっぽい仕立て方、姫とヒロの関係性の見せ方なんかは、それなりに満足できるものだ。しかし、やっぱりこの作品は普通のアニメ演出の処理では限度がある気がしてしまう。その証拠に、そういう点を気にしなくていい特典映像の「ケルベロッテちゃん」の方は普通の面白かったりするのである。むーん。

 そして、もう1つの焦点はやはりキャスト変更の結果だ。どうしても先代キャストの完成度に目がいってしまうので、新キャストには微妙な印象を抱きがち。あの喜多村英梨のリザ役ですら、先代が甲斐田裕子である印象が強いせいで違和感は否めないのだ。違和感なく受け入れられたのはフランドル役の井口ぐらいじゃなかろうか。トータルで見ると、井口フランドルは文句無し、キタエリのリザはやや違和感があるけど「これはこれで」くらいのレベル。問題は、先代が大沢コンビ(川澄・能登)だった姫と令裡ということになる(紗和々については先代が反則技なので対象外とする)。

 まず、令裡役の豊崎愛生。確かに頑張っているし、これはこれでアリな令裡像であると思う。ただ、やっぱり「一度能登がやってしまった役を他人がやる」というのは厳しい。あのイメージを覆すのは並大抵の労力ではないからだ。アニメシリーズになってしばらく聞いていれば慣れるものなんだろうけどなぁ。そして、さらに厳しいのは姫役の早見沙織。キタエリ・豊崎の場合は「先代とのギャップが違和感になる」レベルなのだが、早見の姫は流石に分が悪い。言ってしまえば、「威厳が薄い」。もちろん早見は腕のある役者なので、精一杯自分が出来る「姫」に到達しているとは思うのだが、どうしたって音域が高いし、あの姫をやるには声が柔らかすぎる。とにかく音域を抑えることばかりに労力を割かれてしまい、その裏の芝居にまで追いついていないのが現状だ。数多の王位を渡り歩いた川澄綾子と比べてしまうと、どうしたって威厳不足は否めない。

 総じて見ると、キャストの音域が軒並み高音になっており、演出方針とも加味するといくらか「素直な萌え」方向に歩み寄った形の配役になっていることが分かる。もちろん、これはこれでアリな方向性だとは思うのだが、ことこの作品に関しては、食い合わせの悪さが気になってしまうのである。スタッフ陣の力量は決して不足しているわけではないので、何か「この方向性」にしたことによるうま味を、次作でガツンと一発発揮して欲しいとは思うのだが。今のところ一番面白かったのが「ケルベロッテちゃん」というのは、口惜しいではないか。あぁ、でもエンディングテーマは良かったな。結論、フランドル可愛い。

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