最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
長かった1年の決着、最終話。長かったとはいっても、実質普通のアニメで言えば24話分の尺ですが……やっぱり、ゴールしたなぁ、という感慨があります。
今回のエピソードの中で起こった事件は、たった1つ。それはもちろん「奇策士とがめの死」である。先月狙撃シーンで幕を下ろし、まさかそのままということも無いだろうと思っていただけに、あまりに真っ直ぐそちらへ向かったのは正直ショックだった。これだけ様々な場面で「最強」であることを話題にし、「最も賢い」ことを誇ってきたとがめと七花。その2人が、為す術もなく「死」というあらがえぬ現実に打ちのめされる姿は、じわりじわりと物語の終幕を伝えていく。 「とがめが死ぬ意味」については、いかにもこの作品らしい話ではあるが、末期のとがめ自身が全てを語ってしまっている。とがめ自身から見れば「駒という存在からの解放」であり、その死をもって奇策の完成となす。もしあのままとがめが生存した状態で尾張城へと乗り込んでいたならば、七花は幕府軍に敗れていたであろうし、最終目的である「歴史の改竄」には到達しない。そして、もし無事に目的を果たしたとしても、とがめがとがめであり続ける限り、いつかは七花を「駒として」殺す日がやって来る。それを避けるための手段は、「とがめの死」以外には無かったという。実際には、今の2人の関係を見れば決してそんなことはないのだろうが、それが「とがめの死ぬ意味」として、最も優しい解答であった。「自らの死を策と成し、成就した後にはお互いに駒である必要がなくなる」。己を含むあらゆる事物を奇策の手駒として使い続けてきたとがめの、文字通り命を賭した最後の奇策。この結末こそが、とがめにとって、七花にとって、否定姫にとって、右衛門左衛門にとって、そして世界にとってあるべき姿ということか。 「とがめの死」を受けた七花は、駒としての役割、刀としての役割から解放されるのと同時に、あらゆる目的を失う。残された道は「死」への1本のみ。これまでは「自分を守れ」とのとがめの命があったからこそ選択できなかったその進路を、今ならば気兼ねなく取ることが出来る。そして、それを叶えてくれる人間は右衛門左衛門をおいて他にはない。最後に残された虚刀・鑢は、全ての刀を越えて、完了形へと至る。 奇策士の死は、否定姫と右衛門左衛門の最後の一手。七花の動きまでを全て読み切った上での行いだったのかどうか、今となっては闇の中であるが、否定姫の大願と、それを叶えるために動き続けた従僕の願いは、最後まで果たされることなく終わった。つまり、最終的に「奇策士の死」は、単なる「奇策士の死」でしかなかったわけだ。 あまりに何の変哲もない単なる「終幕」は肩すかし以外のなにものでもないが、考えてみれば「ま、そうなるか」という、妙な得心が残る。最大の関心事は「はたして七花はどのような精神状態になり、どうやってこの先を生きていくのか」という部分だが、とがめのいう通り、彼女は七花にしてやるべきことは全て託し終わっていた。そして、本人が自らの死を悲嘆していなかったのである。ならば、七花はこの喪失を、単なる悲劇と受け止める必要も無い。「やりたいことをやれ」という最後の命令には「ただただ悲嘆に暮れ、残りの人生を棒に振る」という選択も可能だったわけだが、それが最愛の奇策士の望みでないことは、いかに七花とて理解出来たはず。自分を除けばとがめの最大の理解者であったであろう否定姫との珍道中は、彼の中でも、自然に受け入れることが出来た「次の物語」であったのかもしれない。 終わってみれば「なんじゃそれ」と投げ捨てることも出来る、テキトー極まりないエンディング。こけおどしの尻すぼみ作品とこき下ろすことも出来ようが、どうも、そうすることも作者の狙い通りのようで気にくわない。「終われなかったこと」「終わり方が分からなかったこと」、それがこの作品の「幕引き」だったのではないか。「尾張城を真っ二つに切る」というビジュアルに、「おわらず」という右衛門左衛門の声が聞こえてきそうなのは、あまりに穿った見方であろうか。 メインシナリオでは色々と思うところもあるが、その他のパートではこれまでの集大成と言えるおふざけと苦心がいっぱい詰まっている。序盤で延々続いたとがめとの分かれのシーンは、いかにもこの作品らしい、一切の場面転換のない長口上のパート。作品が始まった時にはどうなることかと思った空気を読まない長台詞も、今となってはごく当たり前の光景。じわりじわりと死に歩み寄っていくとがめの様子に、悲しさも伴いつつ、どこか穏やかな収斂を感じさせる。 これまで集めてきた刀を丁寧に破壊しつつ天守閣へ上り詰める戦闘パートは、ジャンプ漫画の王道展開のテイストを残しつつ、皮肉たっぷりのネタ仕込みが憎らしい。絶刀・鉋をあっさりと叩き折ったり、賊刀・鎧を苦もなくぶっ壊してみせた七花に理屈抜きの力を感じ、王刀・鋸や誠刀・銓のパートでは「ま、そりゃどうしようもないよな」という肩の力の抜けたギャグも交える。どう考えても「塔登りバトルパターン」なんて実現できないはずのセッティングなのに、敢えて最終回だからっていうのでそれをやってのける根性と底意地の悪さに溜息が出る。いちいち名前つきで登場する敵キャラが全然分からなかったのはご愛敬だな。誠刀・銓をもってた奴とか、なんで幕府直属の11人に名前を連ねていたのかさっぱり分からんな。 最上階での右衛門左衛門との戦闘。一応「ラスボス戦」ということだが、もうここまで来たら理屈抜き、とにかく「なんかすげぇことが起こってる」感が出せればそれで充分という姿勢。野暮はいいっこなしで、とにかく「強い者が強い者に負けた」のである。 そして、全てに決着をつける否定姫との初会談から、エンディング。対面したことすらほとんど無い否定姫と七花だが、当たり前のように会話が成立しており、この2人の関係性の最終形態こそが、とがめの作り出した結末であることが伝わってくる。最後の最後まで否定姫というキャラクターは一筋縄ではいかない造形だったのだが、様々な心中を暗示させる細かい台詞回しが心憎い。 右衛門左衛門戦の前に「姫様、あんた……」と口を開きかけた七花。のちの展開から、彼はそこで「とがめのことが好きだったのか」と問うつもりであったことが分かるのだが、彼女はその質問を押しとどめさせている。右衛門左衛門との勝負の前に、「それ」を聞かれることは七花の姿勢に影響を及ぼすためだ。あくまで「勝った七花」こそが彼女と心をかわす権利を持つのであり、その前にとがめとの関係性に答えを与えることが出来なかったのである。また、右衛門左衛門の最後の言葉を伝えられた時に、彼女は一笑に伏したわけだが、その時に口から出た言葉は「否定」ではなかった。「案外否定的」な彼女であるが、ラストシーンの頭飾りを見て分かる通り、右衛門左衛門との関係性だけは本物であったわけだ。 そして、最後の一撃を見舞う七花の、渾身の「ちぇりお」。時代の改竄こそうまくいかなかったわけだが、奇策士唯一の望みである「ちぇりお」については、長い長い時を越えて、この現代に結実した。そして、右衛門左衛門戦では「いつ言うのだろう」と思って身構えていた「だがその時、あんたは八つ裂きになっているだろうけどな」が、何故か最後に否定姫に向けて放たれる。右衛門左衛門戦においては、七花は「自分を守れ」などのとがめとの約束事をことごとく破ることで勝利しており、その約束事には、毎回きちんと守っていた「決め台詞を言うこと」も含まれていたのだろう。記録者であるとがめの死をもって、彼はその台詞を言う必要がなくなったはずである。しかし、最後の最後で、彼は否定姫に向けてその一言を使ってみせた。自身の人生が、まだどこかで記録されるのかもしれない。もしくは、自分自身の記録は、ちゃんと残しておく方が良い。そう思えば、彼は「最後に殺すはずだった対象」の否定姫に、律儀にそれを言っておかなければならなかったのだろう。 とにかく、これだけのシナリオ、これだけの台詞量の中に、ありとあらゆる憶測が可能な、読者泣かせ、視聴者泣かせの作品である。最終回を見終えた後でも、その感想は変わらない。本当に、ふざけた作品でした。そして、だからこそ楽しめました。1年間お疲れ様です。 最後に蛇足。ラストシーンでこれまで登場してきたキャラクターの顔が全員流れたわけだが、あの順番で見ないと、錆白兵はわからねぇよ…… PR |
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