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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 最近やたらと劇場に足を運んでますね。ここ1週間で3回目ですよ。それもそのはず、先週末に劇場にライブビューイングを見に行った時に「そういや映画観ないとなぁ」って思い出したから観に行ったのです。夏休みに向けてアニメ映画も色々と発表されるようですし、気になる作品は早めに処理しておきましょう。

 それにしても……なんとまぁ、Funny & Eccentric Filmであることよ。なんも知らんでうっかり劇場に足を運んだ人はぽかんとして口開けたまんまになるやろな。まぁ、かく言う私もほとんど事前知識無しで観に行ったもんだからしばらくはぽかーんでしたけどね。いや、でもFunnyには違いないがinterestingでもあり、excitingでもあり。ぼかぁ好きですねぇ、これ。ま、それこそほんとにたまたま先週末がRASのライブで、加えて昨日がスカパーでそのライブの最速放送だったもんで、魂がやたらとロックなライブに引き寄せられていたというのもあるのかもしれないけども。もし京都の六条河原でライブをやってくれるんなら、わざわざ河口湖のコニファーフォレストまで行かなくていいから楽でしょうしねぇ。

 

 

<以下、ネタバレ注意だが……ネタというなら今作は全編ネタなのでは?>

 




 視聴後に売店に走ったけどパンフが売り切れてて買えなかったのが本当に悔しい。流石にこの作品は「なんで作ったの? どうやって作ったの?」という部分に関しては監督の話が聞きたかったよ。残念ながらその辺は勝手に妄想して埋めるしかないのだが、ちょっとズルしてウィキを見てカンニングしながら補完していきたい。まず最初に漏れる言葉は「いやー、湯浅さん、迸らせたなぁ」と。今作は古川日出男の小説が原作ということで、当然サイエンスSARUには「平家物語」とセットで話が行ったことだろう。スタジオの責任者である湯浅さんがその2つの題材をどう料理するかを検討したはずだが、その結果として「平家物語」は“天才”山田尚子の手に全てを委ね、ご存知の通りに期待以上の佳作として世に送り出された。そしてもう片方の「犬王」は……“鬼才湯浅政明が自らが筆をとり、その全てを作家性全振りで吐き出すことになった。これはまぁ、ほんとに「やりたかったんやろなぁ」と。基本的に私は「やりたいことが分かる」というのが作品の評価基準の1つになっているので、本当に楽しそうに作られている今作を見ると、それだけでOKだと思えてしまう。これまで湯浅さんは「夜明け告げるルーのうた」でも「音楽と映画」というテーマに挑戦しているが、そちらはどうしても「劇場作品」というレッテルへの気配りが抜けきらず、なんだか半端な着地点になってしまっていた。しかし今作は違う。「知らんやつのことは知らん」とばかりに映像表現に振り切り、本当に見せたかった世界が見える気がする。

 まず、劇場アニメだといってかっちりとした1本のドラマを観にきた人はふるい落とされることだろう。もちろん100分の映像の中で起承転結があって物語としては成立しているのだが、正直そこはあまり重要ではない。「なんであんなに楽しそうだった友有を最後の数分で見殺しにしたんだ!」とか、「なぜ犬王は最終的に幕府に丸め込まれ、友有を捨てるような言動をしているんだ!」とか、そんなこたぁ考えてもしょうがない。答えとしては「原作にそうあるから」なのだろう。結末が煮えきらなかったと不満を言うのはお門違いだ。今作はとにかく、伝説に残る犬王という人物を、現代音楽文化の文脈から「異端児」として描きたかった。「琵琶ロック」がやりたかった。それだけである。勝手な想像だが、「琵琶と現代音楽の融合」についても、「平家物語」でその完成図の一端が窺えるものであり、あちらの作品で「琵琶の語り」が果たした役割は非常に大きなものだ。山田尚子が演出のための琵琶を、そして悠木碧の「語り」を現代アニメの道具にどのようにリメイクしていくかを、湯浅さんもきちんとチェックしていたはず。なんならどこかで口出ししたり、サポートしたりもしたのかもしれない。そうして生み出された「現代風の古典遊び」という道具立て。「平家物語」を端正に収束させ、それでハイおしまいでは勿体無い。もっとこの道具立てを使って遊べる場所はないものか? そうして全力でふざけ倒した「異世界室町」として、今作が屹立するのである(全て妄想です)。

 そんなわけで、私の中で本作はアニメ時代劇ではなく、「期待の超大型新人アーティスト・犬王のめっちゃ長いMV」である。「犬王っていうすげぇ奴がいたんですよ、観てごらん、こんな世界観で、こんな音楽で、面白いでしょ!」を60分以上垂れ流しているのである。そうしてみれば、六条河原で友一がファーストライブ(?)を開催して以降の映像は、本当に「新曲のMV」そのものである。MVであれば、そこに筋の通った構造がなくてもまかり通るし、「画像はイメージです」の極致でも無問題。まぁ、それが行き過ぎると流石に収拾がつかなくなるので、一応は「現場で犬王が工夫して演出してるんだよ」という風にはまとめているが、おかげで室町時代にどう見てもチェロでしかない謎の琵琶が爆誕するし、鴨川べりでリンボーダンスしても、発酵塗料の骸骨がブレイクダンスしても、清水寺でプロジェクションマッピングしても問題ないのである。一応ギリギリの時代考証に気を遣ってプロジェクションマッピングに龕灯みたいな照明器具を使ってる描写になってるとことか笑っちゃったわ。今作で描かれたライブ模様って、一応現代技術だったら再現できないこともないだろうし、いっそ京都市が全面協力して六条河原とか清水寺でfeat犬王のライブイベントとかやってくれたらいいのに。清水の舞台をみんなで囲んで「くーーーじら!」ってコール&レスポンスするのめっちゃアガるよ、マジで。

 デビューシングル「腕塚」はちょい長かったけども河原でのピタゴラスイッチみたいな数々の舞台装置を使った演出が楽しい。2曲目の清水寺はスクリーンとライティングで見せる演劇様式が本当に現代芸術の様相。そしてラストステージはなんとワイヤーアクションも飛び出し、さらにバレエを取り入れてより強烈に犬王という個人の技量を見せつけていく。なんかその脇で人1人が弾け飛んでた気もするが、まぁ、周りのお客さんが気づいてないなら別にいいだろう。私としてはどこぞのキリンが「燃料になりたぁい!」って言いながら溶鉱炉にサムズアップして沈んでいくシーンと重なって妙に面白かったわ。分かりまぁす。

 MVとしての映像完成度が高かったので他の要素についてはもうあんまり触れなくてもいいかな、とは思ってるのだが、あとは犬王の初期形態で剣客漫画かわいそうなキャラを思い出したくらいでしょうか。いや、デザインとしては間違いなく「どろろ」なんだろうけどね。最後に直面を晒す段になって「どんな美男子になって出てくるんだ〜〜〜〜!?」って思ったらふつーに湯浅さんっぽいゴリゴリフェイスが出てきて笑ってしまったわ。最後に義満と対話してる時の犬王、ジョーカーにしか見えんかったけどね。あれも全部「現代舞台」っぽい装飾だよなぁ。音楽はクイーンっぽさがあったけど、外見についてはそれこそいろんなロックバンドとかのモチーフが混ざってるのかもしれんね。

 あと、エキセントリックな映像ばかりで忘れがちだけど、要所できっちり劇場クオリティに仕上げてハッとするような映像美を見せてくれているのも大事な評価ポイント。全部覚えてられなかったのが残念だけど、映像を見てて最初に心を掴まれたのは、冒頭で友魚がボロ屋の屋根に駆け上がって2階の窓から覗き見ようとした時に踏んだ藁が弾けるカット。あと、盲目になった友魚が土砂降りの中を彷徨っているシーンでの雨の描画とか。サイエンスSARUの作る画って決して単純な意味で「綺麗」ではないのだけど、アクが強いだけに、アニメーションとしての楽しさとか迫力がハマった時の鮮烈さが大きい。「平家物語」でも散々唸らされたけど、こちらでもいいとこをバシッと決めてくれるパワーは健在。むしろ、映像的にあんま表層部分を取り繕う必要がなくなって好き放題に描ける分、単純な画の力はスタジオ史上ベストかもしれない(消え入りそうな友魚のおとうちゃん、超可愛い)。

 まー、こんだけ誉めといて「で、結局これなんだったん?」と聞かれたら「楽しい映像」としか答えようがないのだけど、いいじゃないそれで。「意味がわからないです」とかいう中高生がいたら「有名舞台デザイナーの俺が室町時代に転生して化け物呼ばわりされたけど持ち前のセンスで無双します。能楽なんてもう古臭いと町民から見捨てられてるけどザマァ」とかいう適当なタイトルでごまかしとけ。

 

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