「史上最強の大魔王、村人Aに転生する」 3→3
本作に良かった点があるとするなら、「CV羊宮妃那のサキュバスにあまやか死させられたい」という願望が叶いそうだということです。この欲求は「CV上田麗奈のクソ女になぶり殺されたい」という感情の親戚になります。
なろうなので特に感想も無い虚無な作品ですが、これを見ていると「なろう作家だって苦労してるんだよなぁ」ということがちょっとだけ同情的にもなる。何しろスタート時点でもう「史上最強キャラがチートする」ことを義務付けられている(?)わけで、フツーに考えたらそんな状態からドラマを広げることなんてできるわけがないのだ。単に無双してきゃっきゃしてるだけでは流石に無理だ。いや、過去にはそれだけでまかり通った作品もいっぱいあるんだけども、そろそろダメだということにしてくれ。頼む。そんで、もし無理なのだとすると、「なんか強い敵出してバトル展開を盛り上げないとなぁ……でも史上最強って言っちゃってるしなぁ……」というジレンマに陥るわけだ。いや、ジレンマなんて上等なもんじゃなくて、単なる「設定の欠陥」でしかないのだけども。
そこから先をどう広げていくかってのが作家の腕の見せ所なのだろうが、今作のように「史上最強って言っちゃったから、それならその『史』の方をいじるしかない。よし、別な世界線を作ろう」という解決法も最近は割とありがちな気がする。というか、たまたま同じタイミングで「盾の勇者」が「異世界の異世界」とかいう訳のわからんところに行ってるのが印象に残ってるだけだろうけど(あれは別に最強設定でもないんだけどな)。今作は、「最強転生した魔王をageつつ戦う相手って誰かなぁ……せや、転生前の自分だったらどうや? あ、でも転生後の方が強いって言っちゃってるし……せや、もっと別な世界線で未来の自分を出したらどうなるんや?」というドラえもんもびっくりの解決策を捻り出したのである。いや、解決してないんだけどね。
こういう設定って、もしかしたら作品内部ではきちんと理屈がついて成立しているのかもしれないのだが、それを「そうあるもの」として納得させるのにはそれなりの筆力が求められるのよね。視聴者目線で「それがありならもうなんでもええやんけ」と思っちゃったら、その時点で設定を追うモチベは無くなってアウト。今作の場合は、導入からしばらくのチート展開がほんとのほんとにしょうもなかったので、渾身の自分バトル展開に入る前に、もう色々と切り捨てられてしまっているのである。結局これも「小学生が行き当たりばったりで適当に進めるTRPGごっこ遊び」にしか見えないからなぁ……。
それにしても、どんな異世界でもだいたいサキュバスがいるのって……なぁ……。
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