○「聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-」 5
何故今になって? という、最近のアニメにありがちな疑問が飛び交う新作アニメ。確認したところ、ゲームの発売は1999年とのこと。リマスター版が発売されてたらしいのだが、そのプロモートみたいなアニメなんだろうか? 「原作発掘」作業は少年漫画やらでは出尽くした感もあるので、今後はこうしてゲームとかにも裾野が広がっていくのかもしれない。
さて、こちらの作品なのだが、こんなことを書いて信じてもらえるか分からんのだが……「確かプレイした気がするんだけど1ミリも覚えてませんッ!!!」。…………いやいやいや、受け身で見るアニメと違って、ゲームって自分から積極的にプレイしにいくんですよ。しかもRPGなんてそれなりに長時間プレイするんだし、流石に覚えてないってことは…………ねぇ。これがあるんですよ。本当なんですよ。もう少し正確にいうと「タイトルにも、絵柄にも、一部のキャラにも何となく見覚えがあるから多分やったと思うんだけど、その思い出が脳に一切無い」という状態。もうそろそろ俺は痴呆症が悪化して死ぬかもしれん。
何でこんな悲しい事態になっているのか、一応必死に理由を考えてみたが、大きく2つの原因があるように思う。1つは、プレイしたのは事実だと思うのだが、それが発売後とか、リアルタイムでホットな時期じゃなかったこと。ゲームってさ、友達と「どこまで進んだー」とか「あれ解けねー」みたいな話をして盛り上がりながら進めるじゃないですか。小中学生とかなら絶対そういう記憶が残る。ただ、私はプレイしたとしても確か発売から結構経ってから、大学時代、茫漠とした精神状態で一人プレイしてたと思うんですよ。しかもその時期にプレイしてたタイトルと言えば「ディスガイア」「パワプロ」「三國無双」など、無限にプレイし続けて時間を溶かすタイトルばかりで、こうして「終わりがある」ソフトはその合間のちょっとした息抜きとしてプレイしていた可能性が高い。これが覚えていない理由の1つ目。そして2つ目の理由は……「茫漠たる精神状態」っていうのが全てでさ、私の人生の中でも最も密度が薄く記憶など残らない、無のモラトリアム期の出来事だと思うんですよね。下手したら数年単位で飯食ってクソして寝るだけの生活だった時期の記憶、もう、マジで無い。まぁ、今も生活態度でいったらそんなに変わらないんだけど…………。という、なんかもう、私の人生にボコボコと多数開けられた陥穽の1つみたいなタイトルに違いない。
というわけで、例えばサボテン君の顔を見て「あれ……この記憶……」みたいな一瞬のフラッシュバックがあるにはあるが、基本的には初見の作品として処理した方が良さそう。まぁ、そうなると「なんもわからん」という1話目になってしまうのだが……記憶のかけらを拾い集めると、なんかこの「いろんな断片が散り散りになってる感」もこのゲームの特徴だった気もする。作中で出てきた「ダンジョンが地図上のどっかに生まれるシーン」は間違いなくゲームのそのまんまだしね。そういうディティールで既存のプレイヤーの記憶を刺激し、楽しんでもらおうっていう作品なんじゃなかろうか。監督は神保さんだし、制作の横浜アニメーションラボはそれなりに信頼していいところだと思っているので、私の記憶を取り戻す一助のアニメとなっていただけると助かります。
俺の心の中に、もう1人の別な俺とかがいたらどうしよう。
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