何がしたいんだッ! お前はッッ! 第15話。グエル・ジェターク。あんたイケメンだね。もうボブなんて呼ばせない、完全に主人公だよ。
まぁ、ほんとの主人公が今回1シーンたりとも登場しなかったわけですが……本当に空気が違う別作品みたいな回になり、この先、この作品がどのように進んでいくかを示唆しているかのようである。第1部の「学園きゃっきゃうふふ編」が幕を下ろし、いよいよ宇宙を舞台にした「これがガンダム」編に入っていくのかもしれない。マジで今回の画面だったらどさくさに紛れて鉄華団の面々が混ざっててもなんの違和感もないですからね。多分、ミオリネは出てるのにスレッタが1コマたりとも出てこなかったのも、そうして空気が変わったことをことさらに意識させるための方針だろう。ミオリネはまだ父親との繋がりで背後に「戦争」が見えるが、スレッタは残念ながら(少なくとも本人の自覚的な部分では)「戦争」との関わりが1ミリたりともないからね。
今回女の子が登場したのはミオリネさんがクワイエットゼロについて問い詰めたシーンを除けば、基本的にはノレアがニカ姉をボコしてるシーンくらい。ノレアさんはあんまり感情を表に出さない方だし、ソフィの死に直面しても「まぁ、いつか来るってわかってたから」くらいでグッと飲み込んでいた雰囲気はあったのだが、やはりたぎる思い、スペーシアンへの憎しみは他の連中とそう変わらないようで……ヤムチャポーズのニカ姉に対する暴行は、そんな怒りのはけ口としては致し方ないことだったのだろう。シャディク隊の連中から止められてたけど、ノレアからしたらあいつらとつるんで口出しされるのも相当我慢ならんのだろうなぁ。
当然、諸々の騒動の余波は学園内だけにとどまるはずもなく、ある程度想定はされていたが、テロのお仕置きとしてアーシアンチームには手痛い返礼が降り注いだ。こうして見てると、やっぱ地球と宇宙ではMSの性能とかにも差があるんでしょうかね。地球は「残ってる資材でなんとかやりくりしてる」みたいな感があり、対するスペーシアン側はガンダムこそ禁止されてるけど、それ以外の兵器開発はのびのびやってるんだもんね。学園でのMS訓練も、案外実戦レベルで通用するものなのかもしれませんな。まぁ、今回グエルくんは別に戦ってないけど。
グエルくんの心中は本当に「お察し」としか言いようがないのだが、ここから彼が何を拠り所に生きる意味を見つけるかが勝負の分かれ目。今回の雰囲気からして、「父の意志を継ぐ」=「会社を復興させる」になってる感があるのだが……もう、御三家はそれどころじゃねぇ雰囲気だけどな。流石にこのままアーシアンと行動を共にして敵対サイドに回るなんてことはないよね。そういうタマじゃないし、地球人のおっさんもグエルくんの身の上に対しては案外物分かりよかったし。結局、この物語で人々の行動を規定してるのって、今のところほとんどが「家族」なんだよなぁ。
ということで今回は「父と子」というテーマを徹底的に重ねて、こすり倒す脚本。グエルと親父さん、地球人の少女と殺された父、そして軍人のおっさんとなくした息子。戦争の中、どれだけの命が失われたか分からんのだからそこに「親子」もたくさんいたのだろうが、やはりどちらか片方が残されてしまうと、その恨みや憎しみはどこかに吐き出す必要があるわけで。グエルさんはなんとか連鎖にストップをかける存在になってほしい。まぁ、そのために「望まぬ父殺し」というとんでもねぇ十字架を背負わされてるならたまったもんじゃないが。
そして「今回マジで女の子でてこねぇな」と思っていたところにCパートから再びミオリネサンに繋ぎ、こちらも「父と子」で締めるあたりが脚本の卒のないところ。ダブスタクソ親父、ほんとに「対話が少ない」という一点だけで娘の不興を買ってたの、マジでもっといい対応策あっただろ。
PR