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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ファンタジスタドール」 4→5

 今期の頭おかしい系筆頭作品。結局これ、何だったんでしょうね?

 当初予定していた方向性からはまったく違う方向に羽ばたいてしまったのでなかなか評価が難しい作品なのだが、笑ってしまったのは事実だし、どす黒い期待を持って見てしまうのは紛れもない事実。「替えがきかない」作品だったのは間違いない。実際はこの狂ってる感は朝アニメでは割と見かけるものではあるが、それを深夜枠でやってしまい、何の説明もせずにあっさり1クールで終わってしまうあたり、まったく狙いが見えてこないのが怖い。はたしてこのアニメの対象は一体どんな層だったというのか。

 先人を例に取るならば、たとえば「ミルキィホームズ」なんかは頭おかしい系の代表作品である。あちらもこちらも、確実に狙って「おかしいやろwww」と言われようとしていることは分かる。しかし、今作の場合、そうした「狙った狂気」を描く以外にも、どこか振り切れていないような、「普通のお話も守り通す」方向のエネルギーも働いているように見える。最終回はきちんと良い話にしようとしているし(実際なっていたかどうかは別として)、うずめのウジウジした様子は、なかなかギャグとして笑い飛ばすには酷なセッティングである。突き抜けて馬鹿な設定なら全編通して気楽に笑い飛ばせるのだが、うずめやかがみ、小町先輩などは、一応作中では真面目にドールのことを考えて悩んでいるはずなのである。真面目なことをやればやるほど「シリアスなギャグ」は際だつのだろうが、どうもこのファンタジスタギャグは「シリアスな笑い」とも違う。謎のぶん投げキャノンとか、ドラムロールとか、伝説の三行半とか、ステゴロ最強のしめじとか、ギャグについては明らかにわらかそうと思ってやっているのである。そのあたりの「真面目なんだけどボケようとしている」部分が、よく言えば狂気になり、悪く言えば食い合わせが悪いままで終わっている。この不安定さを至上の快楽とする人もいるかもしれないが、個人的には「もう少しどっちかのベクトルで吹っ切れてくれればなぁ」という思いが強かった。とにかく、終始ギスギスしっぱなしだったうずめ・ささら間の関係性が胃に悪いのよねぇ。

 まぁ、こんだけ「あれがよければ」「ああして欲しい」が出てくるってことは、立派にハマってしまっていたという証拠なのだろうけども。異次元の狙い方ではあったが、レジェンドに登り詰めるにはもう少し練り込みが必要、といったレベルだろう。まぁ、延々ドラムロールを続けるうずめのgifアニメとか合ったらずっと見てても笑ってしまう気がするけども(かがみちゃんが和太鼓叩き続けるgifなら見つけた)。2期があったら喜んで観るけども。……やっぱり誰に向けたアニメだったのかが一番気になるなぁ……。

 中の人……は特に無い。大橋・三澤・上坂あたりの若者が楽しそうにしているので良いなぁ、とは思いました。相変わらず津田ちゃんの声はあまり印象に残らない。ラスボス委員長先輩をやったかもさんと、ギャンブラーママンをやった倉田雅世がMVPかな。

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 世はことも無し、最終話。大団円、なんでしょうかね。とりあえずみんな幸せそうなので何よりですけども。

 最終回と言っても原作はまだ続いているわけだし、特に節目となるような出来事があるわけじゃないので粛々と幕を下ろすだけのお話である。一応斑目の退職という事件はあったはずなのだが、そもそも斑目が真面目に働いてる姿がイメージしにくいので、会社やめたって言われても「あ、働いてたんだっけ……」くらいの印象しかなく、ことを大きく考えているのは実質波戸君くらいのものである。彼からしたら、「自分が斑目を色々と揺さぶったことで春日部さんとの関係性が動いた」→「おかげで斑目が目標喪失して自暴自棄の末退職した」みたいな図式があるわけで、確かに気分のいいものではないだろうが、基本的に斑目は「働いたら負けだと思っている」人種なわけで、案外放っておいてもそのうちやめていた可能性はあるんだよな。あんまり深刻に考えず、平日に旅行いこうぜ旅行! みたいな軽いテンションがベスト。やっぱり学生の身分というのはこういうところのフットワークが軽くていいね。

 というわけで「節目となるようなイベント」がないなら無理矢理作っちゃえばいいのである。合宿回で温泉回。普通のアニメなら節目っていうか4話とか7話とかでやる奴だ。そして、これだけ色恋沙汰を扱っていたアニメなのに、何故か温泉シーンでもあまり色気がないという。やっぱり、エロさを左右するファクターっては「恥じらい」なんだろうなぁ。女湯の方も開けっぴろげで、むしろ男湯を襲いかねないテンションなのであんまりエロくない。大野さんとか、既に奇形の域で、興奮するよりむしろおののくレベル。エロさで言ったら荻さんが一番頑張ってたような気がするけど、単なる好みの問題かしら。

 アニメ的には、温泉要素だけでは物足りないだろうってことで、今回はふんだんにパロディ要素が盛り込まれており、斜めの方向から最終回の賑やかさを盛り立てようとしている。まぁ、単にスーが1人頑張れば盛り上がるってだけの話なのだが、それにしても、スーの知識の広さは大したものだ。あの歳ではアニメを観るにしたって数に限度がありそうなものだが、割と年代を問わずに様々な方向からネタを拾ってきている。「立川の日本語!」っていうところは最後の「私たち!」がなかったらパロディって気付かなかったな。はたして彼女は誰を対象にネタを披露してるのだろう。げんしけんって女オタばっかりだけど、けいおんはちゃんとみんな観てるのかしらね。あとカメラ持ったら「逆光は正義!」は鉄板ね。頭上の余白は敵だ。そういえば、朽木は何故あの角度、あのコース、あのポーズで走ろうと思ったんだろうか。スーのパロディは意図的なものだが、くっちーの場合はたまたまああいう走り方になったんだよなぁ。

 結局、今作の主人公であった波戸君は、何となく悩んでいたけど、斑目との対話で何となく解消された。斑目の進路も全然決まっていないけど、何となく心配してないみたい。結局、ダラダラした文化系大学生の日常なんて、こんな「何となく」の固まりみたいなもんなんですよ。それでいいじゃない。

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「ムシブギョー」 4→5

 良い夕方アニメだったと思いますよ。最初のうちはやたらエロ押ししてるからどうなることかと思って冷や冷やしてたんだけど、最終的には本当に見事な王道テンプレ少年漫画だったわけで。サンデーでちゃんとこういう漫画やってるのね。

 夕方放送なのでそこまで気合いを入れて見ていたわけではないが、これも「ジャイロゼッター」も、作り方は丁寧だったと思う。子供向けだからって適当なアニメを作っても良いなんてことは絶対にないわけで、単純に動きで快不快を判断してくれる部分も多いだろうから、ちゃんとアクションやカメラワークなど、「見ていて気持ちの良い」作品作りを心がけないと正しい年齢層のお子さんたちには受けないだろう。今作の場合はたっぷりと尺を使ったバトルが見せ場になっており、前半は異形の蟲をばったばったと切り倒す怪物退治の爽快感を前面に出し、中盤の蟲狩との対決、後半は更に禍々しさと知性を備えた蟲人を倒すための努力と特訓、そして友情などと言ったヒューマンドラマを。取り立てて何が凄いってこともないが、こういうものが毎週コンスタントに見られるというだけでもホッとするものです。

 まぁ、あとやっぱりエロも大事だったけどね。中盤以降は火鉢やお春ちゃんのあけすけなエロは減ってしまったが、代わりにずっと仁兵衛に帯同していた蟲奉行ちゃんが可憐で素敵だった。仁兵衛と彼女の関係性は非常に良い萌えファクターであり、なんだか色々と想像力をかき立てられる。最後のラブい展開もナイスだ。そして、無涯や春菊といった野郎臭いキャラもちゃんと立っているし、何よりも主人公の仁兵衛がとても分かりやすい主人公気質で、憎めないところが良い。全体的にはただひたすら「ベーシックに」ということを主眼にした作品作りであるが、本来アニメってこういうものを描くための媒体だったな、という気がしますね。やっぱりちゃんとアニメがやりたいなら2クール欲しいってことだよなぁ。

 中の人については、仁兵衛役のけんぬがすっかり声優業界でもスタンスを確立させたなぁ、というのが1つ。あと無駄に真田側のキャストが豪華だったので後半はやたら盛り上がった感がある。そして、天間役の芹澤優ちゃんね。ほぼ台詞が「全力つっぱり!」しか無かった気がするけど、ショタでも可愛いです。

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「有頂天家族」 6→7

 これも毎週感想を書いていたから今更特に付け加えることも無い作品だが、そりゃもう楽しかった。アニメの楽しみ方って色々あるとは思うけど、今期はコレと「シンフォギア」で両極に振った全然違う楽しさがあって、他にも佳作が多数あり、実に豊作だった良いシーズンであった。ここまで「いい」アニメが乱立してるってのも珍しいと思うぞ。

 今作1話目の感想を振り返ると、全ては「違和感」からスタートしている。P.A.なのに京都が舞台という違和感。久米田絵なのに森見作品という違和感。これをどうやってまとめ上げるんだよ、と訝しんでいたわけだが、そこは天下のP.A.Works。1話目の時点で既に画についてはぐぬぬと納得させられるだけの見事なものが飛び出してきたし、いざ話が進めば、なるほどこいつはP.A.お得意のジャンル。派手なアクションでも下衆なエロでもあざといパロディでもない。どこかおかしな景色の中にも不意に現れる懐かしさや、どこまでも「アニメ的」でありながら、匂いすら感じられるような不思議なリアリティ。そこに流れるのは、わずかなことでも心をちょちょいとくすぐってくるヒューマンドラマである。まぁ、今作の場合はポンポコドラマであるけれども。

 考えてみれば、「違和感を見せる」というのは、乱造の続くアニメ業界で視聴者を捕まえる有効な一手である。同様に「どうやったらこれを組み合わせることが出来るんだ!?」と度肝を抜いた作品にはあの「まどマギ」があり、今作も、画の無茶、話の無茶という2つの側面を、ぐぐっとアニメスタジオがねじ伏せることで形を成している。1クール見続けてみれば、もうこれ以上無いくらいにベストマッチしており、狸たちの痛快活劇も、涙無しでは見られないメロドラマも、全て久米田絵のキャラクターでこそなし得たものだとすら思えてしまう。実際、最終回の狸大行進なんかは本当に1枚絵のレベルで愉快だったし、矢二郎のカエル姿なんかも、どこかふざけた「漫画絵」であるからこそ、滑稽さと切なさが同居したあの空気が出たのだと思う。この企画を立ち上げた人のイマジネーションに改めて敬服する。とてもじゃないが私のような凡夫では思いつきすらしない完成形だろう。

 結局、「四畳半」で感心してからもあまり森見登美彦の小説ってのは読んでないのだが、今回改めて「面白い話を書く人だなぁ」ということを感じ入った。「四畳半」はラストのサプライズが新鮮で、いかにも「そういう」手合いが書いてきそうな作品だったが、今作は非常に素直な筋立ての中に、油断すると足をすくわれるようなピリッとした刺激が混ざっている感覚が気持ちいい。振り返ってみれば矢二郎のキャラクターなんかはいかにもって感じもするのだが、そのキャラが狸やカエルになることでおかしさが生まれるあたり、日本古来のおとぎ話をモチーフにしたような、懐かしさも刺激出来る絶妙なセッティング。こういう小説作品のアニメ化っていうのは、もっと色々と見てみたいものである(たまたまアニマックス再放送の「青い文学」シリーズを見ているところなので余計にそう思う)。本当に、あらゆる面で恵まれた、素敵な作品でした。

 最後に中の人の話……はもういいかな。下鴨家は本当にパーフェクトな布陣。こういうのを聞いていると、やっぱり櫻井孝宏に役が回ってくるのは当然のことだな、と思える説得力。パンチの効かせ方なら吉野裕行もすごく良いし、こうしたトリッキーなキャラが活きるのは、井上喜久子、諏訪部順一、中原麻衣といったサポートが盤石であるためだ。そして能登である。東洋の魔女・能登麻美子である。本当にP.A.作品といえば能登麻美子。富山県・石川県万歳。

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「宇宙戦艦ヤマト2199」 6→6

 地上波放送で劇場作品をシリーズものとしてやるという、アクロバティックな放送形態を取った本作。そりゃね、劇場クオリティの作品を毎週やってくれるんだから、面白くないわけがないよね。オールドファンにはどのように受け入れられたのかは知らないが、あたしゃ何も考えずに楽しんで観ていましたよ。

 「劇場クオリティ」と言っても、そこまで無条件に歓迎していたわけでもない。旧作のシナリオがどうなっていたのかは分からないが、今作の場合、元々長尺だった作品を2クールにまとめたもの。色々と改変は施されているようだ。シナリオは元々「古き良きSF」だったと思われるのだが、今作の場合、流石にちょっと現代の気風に照らし合わせるといくらか古くさいというか、アニメの展開として通り一遍のところが無いわけではない。基本的に「ヤマトピンチ」→「波動砲撃てばなんとかなる!」みたいな展開しか無いわけで、色々と目先を変えてミッションを演出してはいるが、「ひたすらヤマトが宇宙を進んでいる」というベースとなるシチュエーションが変わらない限り、次第にマンネリ化するのは仕方ないことだ。そうした中盤ダレそうな部分は、むしろガミラス側に焦点を当てて話の目先を変えるわけだが、ガミラス軍の大きさって言うのが最後までいまいちピンと来なかったのも気になる。デスラーがやりよる人物だというのはそこかしこから漂ってくる空気で伝わってくるのだが、「何故凄いのか」が分からず、実際、クーデターまで起こされているわけで、彼の「ボスキャラとしての大きさ」が伝わりきらないと、ヤマトの艱難辛苦も大きな物語になってこない。やっぱりそのあたりの「バックボーンの不足」は2クールになったことによる弊害だったのではないかと思う。

 とはいえ、こればっかりは要請の結果であるし、こうしてやや緊張感に欠けたもうひとつの理由は、「結局、どれだけ盛り上げても我々が結末を知っている」という事実にあるだろう。そう、どれだけ前知識が足りないとは言っても、ヤマト最大のサプライズくらいは知識として持っているわけだし、最終的に古代がどうなるか、そして沖田艦長がどうなるか、なんて部分は全部分かっているのだ。そうした「お約束の収束点」に向かうお話なので、どうしたって完全新規のアニメに比べると興味という点では一歩譲ってしまう。今期の作品でいうと「超電磁砲」も同じ悩みを抱えており、毎週ワクワクする度合いで言えば、何が起こるかさっぱり予想出来ない「シンフォギア」とかの方が気になってしまうわけだ。

 しかしまぁ、こればっかりは無い物ねだり。むしろ評価すべきは逆の視点であり、「既に知られているはずの過去のビッグタイトルを、改めて見せられるだけの看板としてリビルド出来た」という事実だけでも充分ではなかろうか。劇場並みの映像クオリティは言うに及ばず、ベテランの役者陣を結集させたキャスト陣なんて失神もの。この現場に参加出来た若手は本当にラッキーだと思う。内田彩とかね。

 そして、今作は間違いなく、「今期一番エロかった作品」である。女性乗務員のスーツ姿が既に反則気味なのだが、衣装だけでは飽きたらず、いちいちポーズがエロい、言動がエロい。そして何より声がエロい。原田さん、山本さん、メルダさん、新見さん……。このヤマトは男性陣が理性を保つのがすげぇ大変そう。そしてなんと言ってもメインヒロイン、奇跡でキャスティング死亡フラグすら乗り越えてしまった森雪嬢。ま、ぶっちゃけ最近の桑島キャラはそこまで死んでないけどな。

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「ふたりはミルキィホームズ」 4→4

 いや、良かったですよね。実写パート。個人的にはスパイシー丸山が参戦したカレー回が好きですね。毎週ナレーションしてて「誰やねんこれ」って思ってたんだけど、あの回を見て「カレーマイスターってすげぇ、頑張れ丸山」って思ったもの。確かにすげぇ若く見えるし。カレー回はミルキィの面々も非常に溌剌としており、いず様が残念な様子とか、若い子らも負けじと情けない様子が見られて。基本的に、相変わらずの4人組に新しい風が入ってきたことがリアルに伝わってくる実写パートは全部面白かったですよ。ミルキィも役者揃いだからね。

 でも、それってアニメの評価じゃないからな……。別にアニメも特に悪いところがあったわけじゃないが……流石に15分番組の1クールじゃ、せっかくの新メンバーの活躍も消化不良ですよ。っつうか、やっぱり私の求めているミルキィはこれじゃない。ラス前にG4や怪盗帝国が総出演してくれたときは不覚にもテンションが上がってしまったが、そこであげるくらいなら最初から出して欲しかったのである。まぁ、あくまでフェザーズ2人の紹介番組ってことで理解しておけばいいのかねぇ。ほら、あれでしょ、ここで導入しておいて、前みたいに森脇監督の指揮下で「6人はミルキィホームズ」っていうぶっ壊れアニメを作るんでしょ。先輩のギャラクシーエンジェルだって、烏丸ちとせなんて新キャラが入ってきた時には妙な抵抗があったものだが、ミルキィはこうして先に真面目路線で2人を入れておいたから大丈夫さ。さぁ、新人の伊藤彩沙は壊滅的ギャグのミルキィワールドで実力を試されることになるぞ! ……っていう今後の展開だったらいいなぁ。考えてみりゃ、ミルキィってシャロたちもトイズ自体は割と地味なんだよ。だから、まともに能力を使って探偵やられてもピンと来ない。むしろトイズが使えないダメダメなミルキィの方が楽しい。フェザーズも当然のようにトイズが地味なので、きっとダメダメになった方が輝いてくれるに違いない。

 結局、本筋はあんまり印象に残らなかったわけですわ。一応今作で気に入った点を挙げておくと、全然本筋と関係無いけど、小衣ちゃんの部下の子が好きだった。せっかく「十津川警子」っていう良い名前があるのに「秋山殿」としか認識してないんだけど、とにかく中上育実の躍進に期待。この子とか井澤詩織とか、ガルパン絡みのキャストは今後の発展が気になるのですよ。

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 中二病です。見てきましたよ。最近はCMを乱発しているおかげで随分気になっていたもので。封切りからちょっと経過してたけど、平日昼間で客入りはそこそこといったところだろうか。流石に「あの花」のムーヴメントとは比べるべくもないが、まぁ、そりゃ仕方ないとこか。

 一言で言ってしまえば、とってもとっても総集編である。最近の劇場アニメは「シュタゲ」やら「いろは」やら完全新作も多いが、「あの花」「まどマギ」「スタドラ」のように総集編で一本の映画にしてしまうものもある。ただ、「あの花」は新規カットも割と豊富だった上に切り出し方が新しかったので新作として楽しめたし、「スタドラ」だったら2クールを2時間に押し込める無茶な展開だったので、いっそ可笑しいくらいの超特急ドラマが形成されていた。逆に「まどマギ」は1クール12話で前後編分割、ほぼ本編と同じくらいの内容をてんこ盛りでがっつり編集してくれていた。

 今作の場合は、これらの先行作品のどれとも違ったもので、一番イメージしやすい「総集編」の趣である。よく言えば無難、悪く言えばありきたりか。冒頭十数分の新作部分はあるが、そこから総集編パートに導入されると完全に「まとめ」に入っており、中身だけで言ったらちょっと手の込んだMADで作れてしまうかもしれない、という内容。京アニ作品の場合、どうしても元々の作品完成度が無闇に高いため、単に切り貼りして再構成しても、ちょっと劇場版としてのお得感が薄いのは残念なところ(まぁ、逆に言えば地上波放送作品のくせに劇場での視聴に耐えうるクオリティということにもなるが)。

 正直なところをいうと、上に挙げたような作品群の中では、一番総集編としてのうまみが薄いのが今作だと思う。ただ、それは作品の質が低いということではなく、作品の持っている面白さの本質が異なっているせいである。「スタドラ」や「まどマギ」はシナリオライン、プロットそのもので見せる作品であり、荒削りになったとしても、ストーリーそのものを再構築し、改めて劇場で一本の作品として見る意味が大きい。対して、この「中二病」はプロット自体にそこまで大きなウェイトを置いておらず、どちらかというとキャラの可愛らしさや馬鹿馬鹿しさなど、ディティールで売る作品だ。1つのポイントに絞って彫り込めば彫り込むほど味わいが出るわけで、それを表面だけなぞって駆け足で繋いでも、あまりうまみが出ないのである。

 もちろん、編集しているスタッフにもそのくらいのことは分かっているわけで、本作はシナリオの説明や筋を追う作業自体をいくらか犠牲にしてでも、「キャラクターの可愛らしさ」を見せる方向にまとめられている。間に挟まった各ヒロインのフラッシュMADみたいなパートなんかが分かりやすく、場面はどうあれ、「その子が可愛かったシーン」さえ映せれば、この作品の目指す方向性は充分に満たされるということ。おかげでシナリオの整合性は二の次になっているため、劇場作品の中ではダントツに「初見の視聴者に向かない」内容になっている。何の説明も無しに展開するので、初見だったらちんぷんかんぷんだろう。あれだけ六花との逃避行を繰り返したり青春していたにも関わらず、六花の悩みの根源が父親との別離であるということが分かるのが、ラストの砂浜のシーンで「さよならパパ」と叫んだところなのだ。そりゃ、話の筋なんて分かるわけがないのである。これは不親切なのではなくて「そうした方が『中二病』らしい」という見せ方の選択の結果である。

 つまり、地上波版を見て「六花可愛いなぁ」とか「凸守たまらんなぁ」と思っていた人間は久しぶりに再会して充分楽しめる。つまり、私は楽しんだってことなんですよ。六花可愛いし、凸守可愛いし、森サマー可愛いし(くみん先輩にだけあんまり興味が無い)。11話からのカットが少なかったのはちょっと残念だったが、メインとなるのが六花の自分語りということもあり、勇太・六花間の恋愛の進展がまとめて観られるのは総集編ならではの視点だったかもしれない。これで不満が出るとすれば、多分一色ファンくらいなものだろう。

 総集編部分は完全に一見さんお断りだし、特に新しさが無いので賛否の出る部分かもしれないが、新規部分については割と嬉しいサービスが多かった。なんと言っても一番力が入っていたのが、冒頭の結婚式パート。京アニがドラゴンなんて幻獣を作品に出す機会はなかなか無く、いかにも劇場版らしい力の入った作画に冒頭から引き込まれる。流石にこれで1時間やれって言われたらきつかろうが、最低限の新規サービスとして作るくらいならば良いバランスである。また、一応本編終了後にはこの冬に始まるであろう2期への繋ぎとして、新キャラの登場シーンも挿入された。とどのつまりは、この作品ってどこまでも「繋ぎのためのファンサービス」なんだよね。

 そんな新規部分の中でも一番のお勧めは、いきなり冒頭に挿入される「Lite」だ。いや、Liteの中身自体は別にどうってことない。テレビシリーズ時のやつと大して変わりゃしない。しかし、エンディングテーマが今回新曲なのだ。そして、新曲ということは、当然踊り狂う六花のアニメーションも変わる。事前に曲だけは聴いていたので「あの邪王真眼音頭が違う祭りの踊りに!」ということは知っていたのだが、まさかあんなに大胆・素敵な衣装の六花が見られるとは……イイヨ、スゴクイイヨ、邪王真眼サンバ。もう、あのアニメだけ延々リピートしたい。そういえば「漆黒に躍る」の時も延々あの映像をリピートしていたっけなぁ。あそこだけを収録した別売りディスクみたいなのが出ないものだろうか。

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 事も無し、是即ち良き事也、最終話。阿呆に揉まれてお付き合いしてきた3ヶ月。この幕引きで、万事OK。

 二転三転の末に転がり込んだ偽右衛門選挙の最終局面。母上のピンチも重なり、はたして矢三郎はどのような機転でこの窮地を乗り越えるのか?! と思ったら、基本的になーんもしなかった。ほぼ見てただけである。しかし、人がおり、狸がおり、天狗もいたあの仙酔楼で、ちょいと引き金が引かれてしまえば、何が起こるか誰にも分からない。早雲がしらを切り続けただけならばひょっとしたら何も起こらなかったのかもしれないが、彼が調子に乗って弁明釈明だけでなく、矢二郎に対する当てこすりまでしてしまったのがまずかった。家族思いの長兄は弟を馬鹿にされたことを看過出来ず、後のことも考えず文字通りの大虎になった。これがきっかけで金曜倶楽部との遭遇、早雲の焦り、淀川先生の決意と繋がり、最終的には高そうな料亭の御二階で大量の狸がかけずり回るワクワク動物ランドが展開されてしまうのであった。やっぱり狸可愛い。今の今まで大して数が出てこなかったので感じなかったが、今作の狸は無闇に可愛い。狭い空間にひしめき合うぽんぽこフェスティバルは、好きな人間にはたまらぬパラダイスである。焦っててそれどころじゃなかったかもしれないが、あれだけの狸フェスタ、淀川先生は大満足だったんじゃなかろうか。

 結局、何を考えたわけでもなく、なるようになった結果の大騒動、料亭の屋根は吹き飛び、怒れる天狗の鼻息で四条通りの車が宙を舞う。この事件のちょっと前には鴨川沿いに叡山電車が激突するなんて惨劇もあったわけで、この日の京都の夜はまさに魔都そのものである。でも、ここまで行っちゃうと「怖い」とか「凄い」とか「ヤバい」じゃなくて「阿呆」がしっくり来るんだろうね。荒ぶる天狗も、耳かき膝枕の誘惑には一切抗わず、何事も無かったかのように沈静化。家族は久しぶりに全員が顔を合わせ、これぞ大団円、めでたしめでたし。

 誰が頑張ったわけでもないだろう。淀川先生は持論をアップデートさせて「食べられない愛」を謳って金曜倶楽部を除名になったが、多分彼のことだから遅かれ早かれそうなっていたはず。やっぱり、愛は捕食関係じゃ説明できませんよ。持論が変わって「詭弁だ!」などと文句を言われていたが、彼の訴えは詭弁なんかじゃない。だって理屈を付ける気などないのだし。彼は今まで、愛情という形の無いものに理屈を付けようとしていただけで、此度の騒動でそれが無意味なことだと分かっただけの話。彼は残念ながら、「阿呆」ではないんですね。そして、阿呆とはちょいと違うが、涙無しには見られない、矢二郎という腑抜けた男の帰還劇。優しい母親の声にボロボロと涙するカエルを見て思わずこちらももらい泣き。本当にこの家族は両親が人格者である。あの父親の血の下に生まれた4人が、あの母親の心で育てられた。だからこその「家族」。「有頂天家族」。出来ることなら、将来的にはこの家族の輪の中に海星も入れるといいね。

 赤玉先生は、改めて揃った家族を見て、1人1人に声をかけてくれた。今回の騒動のきっかけとなった矢一郎には「柔軟になれ」。父親譲りのふざけた変身能力で暴れ回った後の矢二郎には「普通に戻れ」。家族のために必死に走り回った矢四郎には「大きくなれ」。そして一番身近な矢三郎には何も言わない。「コイツには何を言っても無駄だ」なのか、それとも「もう何も言うことは無い」なのか。その真意は藪の中だが、隣でほくそ笑む弁天様は、きっと全てを知っているに違いない。狸の生き様も、天狗の人生も、突き詰めれば求めるのは「楽しむこと」だけ。矢三郎の肩にかかったものは、古き良き狸が持ち続けた阿呆の心意気である。きっと、彼はまだまだ騒動を引き起こすことになるのだろう。それでも、周りの人々はきっと嫌そうな顔をしながら喜んでついてくるのである。これこそ、阿呆の血の然らしむるところである。

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「とある科学の超電磁砲S」 5→5

 無事に終わりました。放送開始当初は「既に『禁書』でやってるシスターズ編だし、そもそもシスターズ編って雰囲気暗いし、大丈夫かいな……」と思っていたわけだが、流石にそのあたりの心配は杞憂だった。もちろん「見たことがある話」なのでそこまで熱心にかぶりつくわけにもいかないだろうが、それでもきっちり毎週見たくなるだけの内容になっていたし、「もう一度レールガン側からこのエピソードを作る意味」はちゃんとあったように思う。

 むしろ課題を残したとしたら、その後に続いたSilent Party編の方かもしれない。こちらも1期のオリジナル同様、きちんと御坂・黒子・初春・佐天の4人を中心として女の子の友情を描くお話になってはいるのだが、流石にコミュニティが広がりすぎていて、まとまった話数の中で求められている関係性を全部描こうとしたのはちょっと贅沢が過ぎたかもしれない。もちろん、シナリオは非常に端正で、必要とされる要素を確実に抽出して綺麗にまとめてはあるのだが、どうしても拾い上げる要素が多いために1つ1つのファクターについては薄味になってしまっている。1期オリジナルのテレスティーナ編と比べて見るとそれが分かりやすく、1期は木山春生という原作の敵キャラが後半のオリジナルストーリーにも大きく関係して物語を深めたが、今回はフェブリがぽっと出の存在で、1期の木山ポジションにあるはずの布束さんもちょっと出番が少なかったのでそこまで物語を深めたとは言えないだろう。まぁ、単に1期が好きだったから高望みしてるだけかもしれないけども。1期23話みたいな濃密な友情物語が見たかったんですよね。

 まぁ、こういう希望は「もし出来たなら」の範囲の話です。アニメオリジナルというリスクの高いチャレンジでちゃんと身の丈にあった落としどころを見据えていたし、原作ではなかなか活躍の無いキャラにもスポットを当ててくれたアニメの世界観は、ファンからしたらサイドストーリーとしてのサービス要素として充分仕事を果たしていただろう。これだけシリーズが続いていて期待も大きくなっている中、期待に応えられるのは立派なことだと思いますよ。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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