最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「青の祓魔師」 5→5
昨今のアニメは流石に劇場版に頼り過ぎな気もするのだが、これってどこかの作品でセールスモデルとして結果が出たからなんだろうね。どのへんかなぁ、マクロスとかかな? ま、この作品の場合にはヘリに乗った文人さんが笑顔を固めたまま女子高生の頭を打ち抜いて去っていったりはしなかったので、1つのシリーズとしてもそれなりの達成感はありましたがね。 良くも悪くも予定調和な内容だった今作。シナリオ部分に関しては典型的なジャンプ漫画だったので友情が努力で勝利な筋立てであり、つけいる隙もないし、いじり甲斐もない。ただ、実は夕方5時にジャンプアニメがきっちり友情努力勝利してくれているというのは最近では珍しいことであり、純度の高い少年漫画テイストが毎週安心品質で楽しめるというのは、思えばありがたい話だったのかもしれない。やっぱり日曜ゴゴゴ枠というだけで画面のクオリティは一段上がるみたいで(つまり制作に金がつぎ込まれるみたいで)、余計なことを考えずに「アニメの画面」を楽しみたいなら、これ以上のものはないだろう。次作は更に子供向けガンダムが続き、なかなか良い方向で「アニメの本来の姿」に立ち戻ろうとしている節もある。貴重な休日夕方枠を維持し続けるMBSには、この路線でしっかりセールス面も維持して頑張って欲しいところだ。 もう少し突っ込んで見ていくと、岡村天斎の描くダークファンタジーということで、脇でちょこまかしている悪魔のディティールとか、取り憑かれた人間のどこか現実離れしたモーションとか、「黒い」部分がきちんと黒く見えるのは実に見事な部分。主人公チームの技のエフェクトもど派手でバトルものとしても見応えがあったし、緩く力を抜いたときにはアホな男子生徒どうしの掛け合いなんかも楽しい。少年漫画らしいテーマの1つに「よわっちい奴がなけなしの勇気を振り絞って戦いに挑む」っていうのがあって、子猫丸とか志摩あたりのサブキャラもいつの間にかちゃんと男の子として頑張れるようになっていたのが実に好印象。そして、しっかり女の子も可愛い。ここまでしてもらえれば原作者も本望だったのではなかろうか。個人的に好きだったキャラは……クロかな。あとシュラ。駄目だよおねーさん、こんな時間帯に乳振り回しちゃ。 そしてやっぱりキャラの話なら中の人の話。今作は男女ともに人気声優そろい踏みの節操のない配置だが、やはり岡本・福山・神谷と並べられると、1つ1つの演技に妙な艶っぽさというか、味わいが出てくるので男から見ても贅沢である。個人的にはサタンにのっとられた時の福山潤が楽しかったですね。ま、元々の声が藤原啓治だから、そのまんまはっちゃけ演技でトレースするとみんなやりたい放題になるんですけど。いっそピコリンにも憑依してみて欲しかったもんだけど。そして女性キャラは、メインがキタエリ・花澤という今まさに花盛りの共演。これにサトリナやらが混じって彩りを添える。圧巻だったのはクライマックスのキーパーソンとなったユリを演じた林原めぐみだろう。ほんのちょっとの登場だったのに、世界を揺るがすだけの事件を生み出す存在感がある。今のご時世、閣下と共演出来る機会も多くはないので、一緒の現場にいられた若手にとっては貴重な体験になったことでしょうな。 さて、劇場版か……いくかなぁ。 PR
○「境界線上のホライゾン」 6
重厚な「大河ドラマ」のような威厳を醸し出そうとしている「Fate/Zero」の後の時間枠で始まる作品ってことで、開始直後になんだかファンタジーな雰囲気を被せてきたことから「これ、fateの後だと何やってもチープに見えるんじゃない?」とか余計なお節介を抱いた作品。そして、開始後の先生の課題通達シーンでは、訳の分からない言葉を並べ立てられて台詞だけの設定説明があり、画面を埋め尽くすキャラクターたちはなんだかいけ好かないデザインあり、落書きにしか見えないキャラあり、どうにも画面に統一感がない。「世界設定を絵で語れないアニメなど言語道断!(キリッ)」と切り捨てるつもりで見ていたのだが……正直どうでも良くなった。 はっきり言わせてもらおう。ずるい。私のような人間が、中原麻衣・斎藤千和・名塚佳織・井上麻里奈・小清水亜美と並んだキャストに耐えられるわけがないだろう! もう、設定とかどうでもいい。楽しそうに群雄割拠の声の共演が楽しめる。それだけでいい(あおちゃんもいたみたいだけど台詞少なくてわからんかった……)。これがまたねぇ、麻里奈とかうりょ子はいつも通りだからいいんだけど、千和の役が聞いたことのないテンションなんですよ。しかも千和のくせに巨乳なんですよ。どういうことかと。何を楽しそうにしてるのかと。男性キャスト陣も無駄に(本当に文字通りの意味で)無駄に豪華で、子安や黒田崇矢がいるところに、スライム役で平川大輔ですよ。落書きインド人は小野Dですよ(ま、兼ね役だけど)。バカにしてるとしか思えないキャスト起用ですよね。 そして、これだけ訳の分からない、一切統率感のないキャラクターが出まくると、なんかもう、「コンセプトが分からない」とかいうのが馬鹿馬鹿しくなってきてね。世界説明とか、もういいじゃない。とにかく馬鹿馬鹿しいくらいに「バリエーション」っていう言葉が正義の世界なんだよ、きっと。「少しでも隣のキャラに似てたら負け」とか、そういう決まりがあるんだよ。その割りには色んな設定がどこかのアニメで見たことのあるものな気もするんだけど、設定そのものでここまでギャグに振り抜いたものになっているなら、いっそのことシナリオも全部なんちゃって設定にしてどこかにぶん投げて欲しいくらい。これ、良い方向にサンライズの無駄遣いをして欲しいもんだなー。序盤の双子みたいなキャラが手を握りあって中央によるカットとか、本当に「サンライズ構図」だよね。こういう細かい芸が見られるなら、個人的には「セイクリッドセブン」よりも楽しくなるんじゃないかと期待しております。 ま、中の人が誘致要因になる作品ってのは息切れも早いことは過去の教訓から知ってるんだけどさ。でも、今回のお馬鹿追いかけっこバトルのダイナミックなアクションは、今後の展開がどうなろうとしっかり作品として成立させてくれそうな期待感がありますよ。ま、「1話だからとにかく大盤振る舞いして視聴者を呼び込もう」っていう腹づもりははっきり見えてくるんだけど、美味しい餌がまかれたならちゃんと寄っていきます。この後も、是非とも美味しいものを食べさせて下さい。 それにしても、福山潤がやってる主人公(?)キャラは本当に雰囲気が無くて面白いな。全力でふざけた福山キャラが久し振りだからそれだけでも楽しいけど、デザインが明らかに主人公用じゃないだろ。なんかへなっとしてて妙だわー。この作品の全てを表してるかのようだ。とりあえず、乳を揉むだけで謎の白い雲が出現するこの世界の次回が楽しみです。
○「Fate/Zero」 6
さて、改めて新たなシーズンが始まったな、と思わせる、今期の注目作1本目。始まる前から勝手に期待感を煽るのは裏切られるリスクしかない気もするのだが、監督があおきえい、そして制作がufotableときたら、期待するなと言う方が無理な話。1話目が1時間スペシャルということで制作側も嫌というほど気合いが入っていることは伝わってくるし、新作ラッシュの幕開けを飾るにふさわしい一本目となった(バクマンのことは既に新作扱いじゃなくなっている)。 当方、fateシリーズについてはほとんど思い入れもなく、あまり知識もない。この「Fate/Zero」については、ちょっと前まで放送していたWebラジオを聞いていたのが一番の繋がりで、ヤングエースで連載している漫画版についても、1話目からちょこちょこ読んでいたのだが、あんまり真剣じゃなかったおかげで、月刊誌でいちいち追うことはなくなってしまったくらい。つまり、ほぼ初見。ただ、それでも「Fate/stay night」のアニメ版の知識があるおかげで、背景知識の理解はしやすいし、1話目で大体どのような舞台背景になるのかは理解することが出来た。どうしても導入部というと窮屈になるかぽかーんになるかのどちらかの場合が多いのだが、今作の場合、1時間という余裕のある尺も功を奏したのか、興味を焚きつけつつ、過不足のない情報の盛り込みで幸先の良いスタートを切った。 ufotableの力作ってことで画面についての不満点は無し。武内崇キャラは割とアニメにしやすい部類だと思うのだが、今回のキャラは「stay night」の時よりも更にシリアス度が増したシャープな造形になっており、ディーン版とはまた違った良さが出ている。西洋の古城の厳冬のイメージや、虫嫌いには心底ノーサンキューな虫だらけのシーンなど、微細な部分にまで手の込んだ描き込みは流石の一言。今後のシリーズも安心して見られるのではなかろうか。今回は召喚シーンまでなので画面にそこまで大きな動きはなかったが、今後作品のメインボディとなる能力バリバリのバトルシーンがどれだけ盛り上がるのかは期待して待ちたいところだ。 そして、今作で一番嬉しいのは、やはりガッチガチに固められたそのキャスト陣である。現時点でマスターが確定したキャラクターだけでも小山力也と中田譲治という曲者のおっさん二人が並び立ち、まるで二人でどちらが良い声か張り合うかのような夢の共演。これだけでもヘヴン状態が狙える。そしてそこに参戦するサーバントもまた素敵無敵。ライダー役に大塚明夫ってのは笑ってしまうレベルだし、当然ギルガメッシュは関智一。そして、セイバーといえば川澄綾子! 何年越しかで久し振りに聞く「問おう」だけで、全く色あせぬ王の威厳に酔いしれることが出来る。やっぱりセイバーだな。やっぱりセイバーだよな。更に更に、なんといっても作品の中心となっているのはアイリスフィールなわけである。ラジオのイメージが強いので「このアイリは絶対に切嗣の言うこと聞かないよな……」とか思ってしまうのもご愛敬。慈母にして淑女にして聖職者な声といえば、もう日本には一人しかいないのである。ここ最近出演してる数作だけで、一体何人の子供を産んでいるやら……当ブログは、全身全霊でもって大原さやかがアニメのメインヒロインになって幸せを掴むことを応援します。
9月30日 ドラフト模様(INN×3)
ピック順 【Mei】→【Serra】→【Alessi】→【Thraxi】→【Metallica】 いえーい、年に1度のお楽しみ、新セットのお時間がやってまいりました。今回のセットは特にドラフト中に影響が特大の爆弾、両面カードが売りの問題児だ。一体どんな波瀾万丈のドラフト戦になるのか、みんな戦々恐々ワクワクがとまらねぇぜ! ………………あれ? なんか違う? 地味? デッキ出来る? よく分からない? 両面カードやっぱり邪魔? なんだろう、この感じ…… いや、知ってますよ、Wizards社が直々にどこかで言ってましたからね、アラーラあたりから起こっていたカードパワーの暴走を、少し抑えるセットになるっていうアナウンスは。その割りには人狼クリーチャーとかサイズがでかいし、どうせ大した差は出ないだろうと思ってたんですが……ドラフト環境はすこぶる地味。なんだろう、他にたとえが見付からないけど、マジでマスクス環境のような……考えてみりゃ、今回採用されたギミックって、変身以外はほとんどが刺激にならないんだよね。フラッシュバックは既に3度目のキーワードだし、陰鬱もそこまで数が多くないもんで、あんまりキーを握る存在になってない。あとは墓地絡みの諸々だけど……少なくとも今回の試合ではあまりそういったギミックの妙は感じられず。変身カードも、スムーズに動けばそれなりに緊張感のあるシステムなんだろうけど、代用カードとの交換とか、ピック中の煩わしさとか、そういうのが先だって今ひとつのめり込めない……うぅむ、慣れればするめのように味わい深いセットなのか。それとも、本当に単に地味なセットなのか。とりあえずあと1ヶ月くらい遊んでから考えよう。
「バカとテストと召喚獣にっ!」 5→5
安心の2期目、というのがシンプルにしてこの作品の感想の全て。とりあえずそれだけで満足すべきものだった気もします。 結局、1期から大きく変わった部分はほとんどなく、序盤は全く展開されなかったおかげで「もう、この作品のタイトルは『バカにっ!』でいいんじゃないかな?」とすら思っていた試召戦争についても、途中からはそこそこ描かれるようになった。そして、そうなると相変わらず「結局この世界における召喚獣の存在意義って何なんだろうな」っていう1期から引き続いていた根本的な疑問が首をもたげるのである。「別に試験の点数をダイレクトに比べたら終いやん」っていうね。一応明久だけが特殊能力を所持していたり、意味がないわけではないんだけど、そこまで大がかりなネタもないし、あとは単なる学園ラブコメだしなぁ。 ラブコメ分としては、中盤に三波が一気にメインヒロインクラスまで上がってきてやきもきさせてくれたのはなかなか嬉しかったですね。三波メイン回は演出も実に凝っていたし、今回のシリーズが彼女にとってのFクラスの存在を描くものだったと考えれば、充分その結果は伴っていたと思います。ただ、その分他のヒロイン勢はちょっと割を食った形かね。最終話は瑞希エンドっぽくなってたけど、ちょっとインパクトに欠ける。翔子は単なるトラップとしてしか存在してなかったしな。いや、それでいいんだろうけど。 相変わらず大沼監督の個性が全面に出た演出面は味があってお気に入り。2期目ってことで更に「省ける」部分が増えたおかげで、独特のポップテイストが更に磨き上がった部分もありました。今期はシャフト作品が1つもなかったおかげで、こういうエッジの効いた演出作品が観られるのはありがたかったですね。まぁ、かなり先鋭的なことをやっているはずなのに、あまりそうも見えないところがこの作品の良さでもあり、難点でもあるんですけど。 そして当然中の人のことだけど……今回はやっぱり三波役のミズハスの勝ちでしょうかねぇ。帰国子女としての不安な立ち位置から現在の武闘派に至るまでのプロセスの表示が、何とも心憎い塩梅でございました。明久を相手にしてたらどんだけ苦労しても報われないだろうと思われる三波の不憫さもね……おかしーなー、中の人は完全に逆なんだけどなー。下野お母さん、今後とも、アレやコレの相手は大変だと思いますが、頑張ってお勤めを果たして下さい。
「魔乳秘剣帖」 5→4
この手の作品は、毎度毎度馬鹿馬鹿しくてまともな感想が残しにくい、っていう結論に落ち着いたりするんだけど、この作品についても結局そこは一緒。この作品からおっぱい熱を取ったら何一つ残らないわけで、それを抜きにして語る意味は無い。だからといって、ここで真剣におっぱい熱を論じる気も起こらない……どうしたらいいのさ、という作品。 ただ、これの前身となる(?)「聖痕のクェイサー」に比べると、1ネタでの引っ張り具合がちょっと弱かったかな、という印象があったので点数は下げた。序盤の盛り上がりは負けず劣らず、と言ったところだが、中盤以降にも能力バトルものとしての馬鹿馬鹿しさが持続した「クェイサー」と比較して、この作品はあくまで魔乳流のお家騒動1本で話が進んでおり、おっぱい山修行が終わったあたりでオリジナルのネタは終わってしまった。終盤は柄にもなくシリアスになり、乳流れのくだりで引っ張りすぎたおかげで、最終回近辺での盛り上がりが不足してしまったのだ。最終回に限れば作画も何だか不安定で、せっかくのスタートダッシュがちょっと勿体無かった。ま、根本的な問題って、千房が主人公としてはすこぶる地味だってところだと思うんだけどね。影房の方がキャラ立ってたくらいだしな。 中の人的には、個人的には豊崎一人勝ち、というだけでいい気がする作品だが(この作品で一番楽しみにしてたのは提クレ)、その他には三重鳩宗兼ナレーションの大川さんがはっちゃけてて楽しかったことが印象的。あとは何故か2回登場したぴかしゃとかかな。美奈子は……うーん、最近はあんまり悪い方には気にならなくなってきたんだけど、現時点で特に「良いな」と言えるほどのインパクトもないんだよねぇ……
○「バクマン。(2期目)」 4
今期、関西圏での新番組1発目を飾るのは、この何とも地味な作品の2期目である。2期目といってもタイトルに♪や!が増えることもなく、本当に「ちょっと休憩して続き」である。一応オープニングとエンディングが変わってるから「BLACK LAGOON」の時ほど淡々としてるわけじゃないけど、新番組っていうのは抵抗があるレベル。 内容についても、「ほんと、アニメで見るには地味な原作だよな……」ということがよく分かる作品になっている。今回も一応オープニングを「疑探偵トラップ」にして変化を付けたりしているのだが、1期の時の「作中アニメ」の使い方と違って、わざわざそこに持ってくる意味も薄く、なんだか無理矢理いじろうとしているようでちょっと浮いている。その後のシーンは延々港浦との打ち合わせが続くし、画面の地味さは自虐風にいじっていた「SKET DANCE」以上である。でもまぁ、それを大きく改変するわけにもいかないし、これはこれでちゃんと意味のある内容ではあるし……うぅむ、やっぱり難しい作品だなぁ。 その後、Bパートの連載記念パーティーシーンは、色んなキャラクターが集まってくれるし、実際の編集部の人間なんかもちょこちょこ出てくるので割と面白いパート(大石浩二が本人キャストで登場してたあたりに、彼のジャンプ内での立ち位置が伺えて面白い。絶対に早晩「いぬまる」でネタにしてくるだろう)。特に鳥嶋氏の出現と、どこか怪人めいた彼の立ち居振る舞いについては、もちろんネタとしての部分もあるのだろうが、彼の名前との付き合いが長いジャンプ読者としてはちょっと嬉しい部分だ。ここまでたくさんのアニメ・漫画に登場していじられた「一介のサラリーマン」なんて他にはいないだろうしね。こういう、他の作品には無いけど特に求められもしないような絶妙なオリジナリティが、この作品をアニメとして面白くしていくキーポイントになるのかもしれない。 中の人的には、1期と同じなので本当にいじりようがないのだが、今回から堂々登場の平丸氏が割と面白い。中の人は森田成一なのだが、「平丸はこんな声なのか」というのが、何となくそれっぽくもあり、微妙な違和感もあり、彼のへんてこなキャラに合っていていい塩梅。平丸って初登場時はこんなキャラだったんだなぁ。まさか、巡り巡ってあそこまで成長するとは……女性キャストが少ないのが残念だが、今後は岩瀬が良い感じで前に出てくるはずなので、藤村歩に期待したい。
「猫神やおよろず」 5→5
終了した2つ目の「神アニメ」。特に何かにこだわるでもなくだらだらと見続けられましたが、やっぱりこういう作品はこれでちゃんと存在価値があるんじゃないか、ということが再確認できる、良い作品だったと思います。 緩さが信条の桜井弘明作品。この作品もご多分に漏れず、どうにも隠しようのないだらけた感じと、それとは裏腹な密度の濃いシナリオラインが魅力的。画面に現れるキャラクターの造形や台詞回しなどは力が入る部分がほとんど無いにも関わらず、それでしっかりストーリーは回っていき、気がつけばいつの間にやら1つのお話が終わっている、という絶妙な力点の置き方は、本当に職人芸。前作「会長はメイド様!」はもう少し画面にもメリハリはついていたが、今回は初心に戻ったかのような徹底的なユルさが実に心地よく、だらっとくつろいだ状態で「何となく楽しいもの」が見られるという幸福感がある。作中、案外シリアス……というかしっとりした話も多かったのだが、適度な人情話、いい話も、いつもと変わらぬテンポで自然に見せてくれるのが本当に上手い。個人的には柚子の過去話の時の、どうしても暗くなりがちな画面でも、ちゃんと繭がいてくれることで「普段の世界」と繋がっていることが分かる、あの演出が好きだった。 そして、最終回に代表されるような「全員集合のごちゃごちゃした雰囲気」が、やっぱり桜井作品の真骨頂。飛び交うクロストークに、端のほうで何だか適当な造形になっちゃってるキャラクターたち。飛び交う書き文字とコロコロ変わる愉快な表情。そうしたものを、「ユルいはずなのに手抜かりなく」やってくれるっていうのが、簡単そうに見えて一番大変な部分なんだと思う。何が主題とか、何がメインってことを特に浮き立たせることなく、「全員がいて、何だか賑やかなその雰囲気自体がメインテーマ」みたいなこの感じ。気づいたら自分までその和やかな輪の中にいるようで、たった1クールなのに家族のような親しさを覚えることが出来る。ほんとに、良くも悪くも「日常を感じさせる」作品でございました。 そして、桜井作品なんだからやっぱり中の人ネタが盛り上がる。狭いタイムスケールに徹底的に台詞を詰め込む桜井流は、キャストにも相当な負担を強いる演出方向なのだが、それを平気で受けきって自分流の熨斗を付けて返すのが戸松の恐ろしさ。気づけば引きずり込まれている戸松ワールドの業の深さよ。その他、回りを取り囲むのはフレッシュな面々あり、安定感抜群のいつも通りの面子あり。個人的には脇でちょこちょこしゃべって流されていくゴン太の演技が楽しかったですね。三瓶はホントに分かりやすい声で分かりやすいアピールがある。他にも新井里美の純正ママン役とか、これ以上ない緩さの豊崎貧乏神とか、平常運転過ぎて年の差なんて気にすることも出来ない堀江由衣の存在感とか。これならドラマCDで出されても買うかもしれないなぁ。
「BLOOD-C」 6→6
様々な議論を巻き起こしつつ、大爆発とともに終了した作品。紆余曲折はあったかもしれないが、きちっと狙い通りの位置に着地出来たのではなかろうか。「1クール」っていう期間をどのように使うか、っていうテーマについても、なかなか興味深いサンプルを残してくれた。 当方、水島監督のファンだという前提も有りつつだが、とにかくシリーズ通してドキドキは持続していました。世間的には「エンドレスエイト」に肩を並べるほどの中だるみ、グダグダ作品と評されているのを見かけるが(そして、正直言ってそのように見なされるのも仕方ない部分もあったと思うが)、個人的には、振り返ってみれば1話1話がその存在感を発揮させて「BLOOD-C」を作り上げていたのではないかと思っている。盛大に砂山をぶち壊すには、黙々と砂をしめらせ、積み上げ、ならす作業が必要なように、このアニメが12話で結論にたどり着けたのは、それまでの話で作られた「舞台」あってこそだ。そこで演じられるのが「ドラマ」なのか、「日常」なのか、そして「茶番劇」なのか。それは、題材が違ったとしても重要性にかわりはない。 この作品で積み上げなればならなかった砂は、ただひたすら「日常」と「非日常」の繰り返しである。何しろ、七原文人が試みていた実験は、「日常」をどこまで引き延ばせるのかという挑戦であり、更衣小夜はその打開に向けて、必死に抗うことを続けていたはずなのだ。最初から改めて見直さないことには分からないが、この文人対小夜、「人間」対「古きもの」の対決は、今の視点から振り返れば、全く別な姿を描いていたはずなのだ。 本作が巧みなのは、対立構図の題目が、裏と表で全く変わっていないという部分。表のテーマは、「人間」代表である小夜が必死に人間を守る為に「古きもの」と対決するというもの。そして、裏で進行していたテーマは、「古きもの」である小夜が、人間・七原文人の呪縛に抗って対決するというもの。悪辣だと思われていた数々の古きものは、実際には小夜の血をトリガーとして調整されたものであったし、最も醜かったのは舞台を用意した文人たちであり、そこで演じていたメインキャストたちであった。小夜が守らねばならなかったのはあくまで自分自身と「大切な人たち」であるが、その構図は、基本線を動かさないままでぐるりと反転したものになっていたのだ。 結局、小夜の行為は茶番の中に溶けたが、それでも最後に委員長が残したように、我々は小夜の「一抹の真実の物語」を見続けていた。これにより、すべてが茶番に終わるのではなく、真の意味での更衣小夜の姿を描ききることとなった。「古きもの」との対立で見せた正義感は、そのまま人も古きものも越えて、大切なものを守りたいという信念となって残された。これは立派なヒロイック・サーガである。 そして、そうした小夜と文人の抗争を描くために用意された茶番劇と、数々の戦い。本作最大の見どころは、I.G.の真骨頂と言える圧倒的アクションである。毎回手を変え品を変え繰り出されていた異形の「古きもの」たちは少しずつシナリオを成しながら、実に見事なバトルシーンを演出してくれていたし、どこか奇妙なこの世界の玄妙さも表している。このバリエーションの出し方は、あのエヴァンゲリオンの使徒のバリエーションにも通じるものがある。そして、そんな奇妙なツールをフル活用して描かれた、メインテーマである「血(BLOOD)」の物語。残虐描写を徹底させることで小夜というキャラクターのどこか「足りない」部分を浮き彫りにし、大仰な立ち回りの説得力を増している。また、「血」というテーマは、そのまま小夜と唯芳の関係性などにも転用され、引き続きこの作品のテーマであり続けている。こうした徹底的なテーマ性の維持と原作者の意図を汲んだ構成が保たれたのは、流石の水島努というしかない。最終回などで顕著だった、どこか引き笑いめいたものが起こってしまうような突き抜けた作劇は、「白水島」と「黒水島」の恐ろしい形での融和の結果ではなかろうか。 とまぁ、無駄に盛り上げてみましたが、あとは1年後の劇場に持ち越しですかね。心底楽しみです。出来たらもう少し早めにやってくれると嬉しいんだけど……まぁいいや、最後は中の人の話になるわけだが、今作はもう、福圓先生以外にはいないでしょう。ヘッドの配下としてのキャスティングで、確かに水樹奈々もオンオフの切り替えの激しい大変な役どころをしっかり果たしていたと思うのだが、その下でこの世界観全てを一気にぶち立てた福圓美里に敵うはずもない。本当に、色んなところから予想もしないものをポンポン引っ張り出せる素晴らしい役者である。また、悪辣な男性役の代表選手、野島健児も一貫した演技でもって作品作りに貢献してくれた。色々と難しい部分の多い作品だったと思うので、キャストの皆さんには総じてグッジョブの言葉を贈りたいです。 |
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HN:
Thraxi
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男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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