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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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  まさかの新キャラ投入、第10話。え、このアニメ1クールだよね? この期に及んで部員が1人増えるとは……ほんと、節操が無いアニメですがな。

 「ダブルスが組めない」というよく分からない悩みに今更ぶち当たった白玉中テニス部員たち。視聴者目線では「もう千歳さん外して審判してもらえばいいんじゃね?」とも思うのだが、一応年功序列、部長を大事にする優しい後輩達は、何とかメンバーを偶数人にするべく、時期はずれの新歓活動に乗り出した。……で、何故か00パロディですよ。来栖が刹那役、千歳さんがティエリア役で、琴音がロックオンってことは、消去法で明日葉はアレルヤ役なの? いや、最終的に新入部員やよいがアレルヤ役だった気もするし……あれ、明日葉ハブられてんじゃん。それにしても、エヴァパロとかファーストガンダムネタだと鉄板のアニパロって感じがするのに、ダブルオーパロディだと「なんか妙なところからネタ引っ張ってきたな」って思えるのは何故なんでしょうな。

 武力介入で追いつめた結果、またまた面倒な部員であるやよいを獲得。テニスの腕前は千歳さんもびっくりレベルだが、これまでいなかった恐怖による刺激がプラスされるし、何よりもエリザベスのモチベーションが上がるのは良いことですかね。このアニメは最終的にどういう風にまとまるのかよく分かりませんが、6人揃った状態で、せめて公式戦で1勝くらいしてから最終回を迎えて欲しいものです。

 今回も明日葉と琴音が中心的な役割を果たしつつも、新規加入のやよいのキャラもそこそこの見せ方。どうも変身後のインパクトが強すぎて通常時の「霊感体質」っていう設定はそこまで活かされていないような印象もあるんですが、これ以上濃すぎる連中が増えると面倒だし、落ち着くのはこれくらいのレベルですかね。結局、Bパートでは新入部員が増えたことなんて無かったかのようにフツーの試験勉強話だったしね。メイン2人が赤点とるのはかまわんのだが、千歳さんって成績はいいのかしら? あんなに原野を駆け回っているくせにね。

 今回のエピソードで不覚にも驚いたのは、やよいの中の人が戸松だったということ。いっぱしの声オタとしては「聞いて誰だか分からなかった」というのは恥ずかしい話なのだが、やよい・うづきの演じ分けをする戸松の声、分かりませんでした。一応ベーシック戸松の声から考えると、両極に振り切れた音域なので分かりにくいのは確かだったと思うけど……「基本線はいつも戸松」でお馴染みの声を聞き取れずにながしてしまったのは不覚であった。期せずして西岡先輩役で彩陽も登場したため、この作品はめでたく「あそびにいくヨ!」に続くsphere全員集合作品になったとさ。……2作品に共通するのは、「個人的には好きなのにあんまり世間で話題にならない」。がっかりである。面白いのにね。

 結論・この作品の主人公は、天然記念物のオオサンショウウオさん。異論は出ないトコだな。

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  また1つ、知り合いから残念な報せが入ってきた。声優・川上とも子さんが、数日前に無くなっていたとの報告が、事務所のHPに正式に掲載されました。長らくの治療生活を続けていたはずなのですが、その甲斐なく、ということです。これまでこのブログでも何名かの声優の訃報を扱ってきましたが、御年40歳での訃報というのは、いくら何でも早すぎる報せです。

 川上とも子、という名前は、丁度私がアニメ・声優の世界ににズブズブと足を踏み入れた時期に大活躍していた名前でした。その当時から見ていた身としてはやはり「ともぞう」と呼ばせてもらうのがしっくり来るのですが、どのアニメをつけてもともぞうの声が聴けて、まさに旬の声優、主演の貫禄があり、子供向けアニメでの少年主人公やマスコットキャラなどにはぴったりだし、現在キッズステーションで放送中の「CCさくら」でも、その声を聞くことが出来ます。本当に、「自然にそこにいる声」でした。個人的に印象が強いのは「ちっちゃな雪使いシュガー」や「学校の怪談」あたりですかね。時代背景を考えると、現在の女性声優のアイドル化、人気商売化の基盤を支えた、重要な時代を作り上げた1人だったのではないかと。

 体調不良による降板、療養の報など、心配は尽きない状態ではありましたが、まさかこのような結果になってしまうとは思ってもみませんでした。本当に、残念という言葉しか出てきません。

 改めて、ご冥福をお祈りいたします。

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外道も道のうち、第10話。いつにも増して強烈な回になりました……

 今回は前半部と後半部に大きく分かれる構成になっているが、なんと言ってもインパクトが絶大だったのが前半部、秀吉と信長の深夜の「茶会」である。前回ラストで胴体真っ二つに切断された信長が、重力の力で見事下半身に着地。そのまま絶命を先延ばしにし、胆力でもって秀吉に一杯の茶を振る舞うことになる。あまりに漫画的な、あり得ないお話には違いないのだが、「あの信長なら、これくらいの最期は迎えそう」という有無を言わさぬ迫力があり、むしろ「信長が単に逆賊に討たれてのたれ死ぬだけのはずがない」という説得力がある。臣下に斬られたと知った次の一言が、「刀が安い」とは、最後の最期までかぶいた御仁だ。

 末期の茶会では、信長も少し心を許してしまったのか、自分が選択した未来の綻びについて、多少は後悔の念を漏らした。駄目だと分かっても仕方がなかった息子たちへの恩賞と、家臣の扱い。いつかは自分がこうなる日が来ることを予測しながらも、一人の人間として、他の選択肢を選ぶことが出来なかったという。しかし、次なる器は、同様の野心を持つ秀吉の手に託されることになるのだ。夢破れた最期の会席で、信長が一つも不満を言わず、むしろ清々しくすら見えたのは、次の世代を託すべき男が、目の前で自分に運命を突きつけたことへの安心感からかもしれない。子供達に次代を託す夢、血族の繋がりこそ途絶えたものの、最期に振る舞った一杯の茶は、まさに「血脈」を受け継がせるためのもの。あまりに奇妙な譲渡の儀式に、秀吉は一言の言葉もなく、黙って器を受け取り、噛みしめるようにしてそれを引き継いだ。「天主」として行われる移譲の席としてはあまりに小さく、あまりに暗い一場面ではあるが、「歌舞伎者」から「へうげもの」へと受け継がれる国の未来が、じっとりとした「黒」の中で伝わってくる名シーンといえるのではなかろうか。器を受け取る時の俯瞰シーンに現れた「天命」の描写や、倒れた信長と、立ち尽くす秀吉を分ける「明」と「暗」のコントラスト。実に画面映えするものである。

 そして後半パート。明智の謀反で蜂の巣を突いたような大騒ぎとなった京の都。織田の血筋は討ち果たされるも、首謀者であるはずの光秀自身は、姿が確認出来ない信長や、予想外に本能寺に積まれた爆薬の存在など、一切イニシアティブを取れずに右往左往しているイメージ。そんな混乱に乗じて、織田の中でもただ一人、長益だけはどさくさに紛れて逃げおおせてしまう。武人としての誇りなどより、よほど自分の方が大事。織田のかっとんだ血筋の中でも、また特別なはみ出し方をした愉快な男の逆転の一手だ。

 そして、似たような理由で、最終的に焼け落ちた本能寺にたどり着いたのが、我らが左介である。元々京に駆け付けたのは、単なる虫の報せ、純粋な信長への忠義心からだったはずなのだが、明智の動きを聞きつけた瞬間、頭の中には「信長は無事か!」の号令よりも「本能寺に集まった名品たちは無事か!」の不安が支配的に。「武人として」やらねばならぬことは山積みで、頭ではそれを知りつつも、身体は勝手に名品探し。全く同じメンタリティで火事場泥棒に勤しむ命知らずの長益を発見して諭そうとしてみるも、「同じ穴の狢」の一言であっさり心が折れてしまう。目の前の男が武士ではなくて「数寄者」であるなら、見せかけだけの仁義など邪魔になるだけだ。

 巡り巡った数寄への執念か、弥助の手を介して名品の一部は馬鹿2人の手に回ってきた。もう、このあたりのシーンになると二人とも信長のことなどすっかり忘れているようである。時代は移り変わっていくが、それ以前の時代からの物に囚われ続けている男共には、大した問題ではないのかもしれない。

 結局、この作品の中心は大河ドラマでも愛憎劇でもなく、あくまで「数寄」に魂を売った馬鹿どもの喜劇。決意の一太刀で信長を斬って捨てた秀吉ですら、ちゃんと本能寺で名品たちを集めることに余念がなかったのだ。「ワシが出てきて良かったわ」って、まさかそんなことのためにここまでの危険を冒すことになるとは……すげぇ連中だ。

 そして、これだけの大騒ぎを、まるでワイドショーでも見るかのように悠然と見守るのが、巨人・千利休。白装束を身にまとい、漆黒の茶器で茶をすする文化人の異形は、まさに暗躍する巨悪。本能寺に打ち上げられた自作の壮大な花火にしても、彼の目から見れば単なる「花々の間引き」程度でしかないのかもしれない。時代は成った。ここからは、数寄の世界だ。

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  めでたく、この番組も10回目を迎えましたね! まぁ、全部合わせてもまだ10分しかないんですけど。お気に入りで何度もリピートして見ているのですが、個人的なお気に入りは、初めて残酷描写が登場した第2回や、我が心の東北声優が続けて登場した第7回あたりです。そして、やたら気に入ってしまったのは先週登場した埼玉犬。あのすっとぼけた声がだんだん癖になってくるのと、他の県と顔が全然違ってぬぼっとしてるのがお気に入り。「ありがと〜ね〜」って言う台詞が可愛いんだわ。初めて竹達声で気に入ったキャラかもしれない。

 

 #19「誠意の長野犬」 (CV:伊藤かな恵)

 予想通りのかな恵ちゃんボイスで登場の長野であるが、りんご、蕎麦などの予測の中、ここは渋くわさびで登場。なるほど、そうきたか。そして、ついに史上初の出来事が起こった(まだ10分しかない歴史だけど)。これまでレギュラー県といえば、愛知を中心に静岡・山梨・愛媛・福岡の5県だという認識があり、これ以外の県は「ゲスト県」扱いで、しばらく再登場は無いものとばかり思っていた。しかし、このエピソードではまさかの新潟犬再登場。やっぱりあのキャラはそうとう美味しかったのだろうか。初登場時は素面モードと泥酔モードの2種類を演じ分けていたが、今回は登場シーンからべろべろであり、お約束の残虐行為もお手の物だ。あのおろし金のサイズはびっくりですがな。山梨も8話で懲りたのだろう、「ワインにされる〜」と慌てふためいていたが、「ぶどうに酒をかけたもの」は葡萄酒じゃねぇ。一応、長野を挟んで山梨と新潟が対峙する図は、実際の県の配置を反映しているのが面白いな。

 

 #20「富山犬の逆襲」 (CV:谷井あすか)

 富山声優は、かの神谷浩史・新谷良子から絶大な支持を受ける「あまりにも可愛すぎる声」、小森霧役でお馴染みの谷井あすかさん。ほう、富山出身だったのか。そして、キャラとしては確実に「いや、先週の金元寿子にやらせるべきだったんじゃねぇ?」という突っ込み待ちのイカ娘でゲソ。富山と言えばホタルイカが有名だが、この「犬」はどう見てもでかいサイズのスルメイカである。なんか主義主張のはっきりしないキャラではあるが、出オチとして「靴下買いに行く」という軽いギャグを飛ばしているあたりはなかなか立派である。念のために数えてみたら、横に生えた「手」と思しきパーツも含めてきっかり10本、うむ、イカだ(尻尾は除く)。

 そして、まさかまさかの新潟犬連投。どうした他のレギュラー陣たちよ。甲信越から北陸へ、全て新潟が牛耳るつもりなのか。さらに、数秒前に新潟の手によって惨殺されたはずの長野が今度は舎弟として登場するというわけの分からない展開を見せており、この世界がどういう理で成り立っているのか、もうさっぱりである。いや、別に構わんけど、長野もキャラがブレとるがな。

 結局、必殺の「酔拳」が空振り、返り討ちにあった新潟犬。ハッピーエンドではあるのだが、考えてみりゃ、ヒエラルキーとしては富山>新潟>長野・山梨という序列が出来上がっており、ますます被害者体質の山梨が可哀想になるのであった。

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 終始胸が締め付けられるよう、第8話。本当にこの脚本、いちいち踏み込みたくない、触れないで済ませたい部分を的確に突いてくる。意地の悪いことこの上ない。

 言ってしまえば、全てのリセット、全ての語り直しとも言えるエピソード。そのきっかけを作ったのはめんまの実母、イレーヌであった。彼女の中で、超平和バスターズの面々はめんまの直接の死因以外の何ものでもなかった。自分の娘だけが失われたというのに、他の子供達がのうのうと生きているという現実。そこに憎しみを抱くのは人としておかしいということは分かっているのだろうが、それでも、失ったものの代償を、どこかに求めなければ生きていけない。だからこそ、理不尽と分かりつつも、娘の旧友たちに対して、身も世もなく本心を吐露してしまうまでに至る。どうしようもない「親」の心理。誰にも正すことなど出来ない、哀しい歪み。

 そんな現実が存在していることを知らされ、超平和バスターズのメンバーも、浮かれて遊び半分で動いていた自分たちの行動を振り返らざるを得ない状態になってしまった。過去の出来事が原因として再浮上しただけに、「昔のよしみ」というだけで動くことが出来なくなった。

 これまでのエピソードで明示的に語られてきた「wonder」は、「めんまの存在」である。仁太が繰り返し主張するめんまの存在は、何故そこにあり、何がそこにあるのか、ということが焦点となり、その謎を解明すべく5人は動いていた。しかし、今回改めて浮かび上がった「wonder」は、「めんまの不在」の方である。自分たちはそれぞれに違う人生を歩み続けているというのに、めんまだけがそこにいない。「いること」の不思議ばかりを追究してきたシナリオが、突然「いないこと」の意味を問いただし始めたのだ。この転換はゆきあつに甚大なダメージを与え、彼は過去の出来事の罪悪感に、どうしようもなく膝をついた。鳴子も同じだ。「いないこと」を突きつけられてしまえば、自然に浮かび上がるのは過去の自分の罪。仁太と、自身を結ぶ罪の記憶だ。一気に膨れあがった積年の罪悪感と嫉妬心は、どうしようもないと分かりつつも、仁太に浴びせかける以外の解決法を持ち合わせていなかった。

 そして仁太である。彼の場合の「wonder」は、「いないこと」と「いること」の狭間に揺れ動きながらも、厳然たる事実としてめんまが「いる」ことについてだ。これまでは「自分だけの差異」という認識でしかなかった事象が、実は「いること」によって罪の意識を薄め、めんまを取り巻く事象をある程度フラットな視線でみることが出来るようになる、特権的な立ち位置であると気が付いた。何がどうあろうと、めんまの口から直接「許し」が与えられるのは仁太しかいないのだ。そして、同様に「いないこと」をある程度冷静に見られる立場であるめんまの弟聡志との会談では、「親」という絶対的存在と自分の関係が、めんまにもそのまま対応していることに気づかされる。どこまで行こうとも、めんまを助けられるのは、血縁でも友情でもない、厳然たる「接触」を持つ自分だけだということにも。

 「いる」から「いない」へ。大きく揺れためんまの存在は、「みんな」と言いつつも常に欠けていたという「バスターズ」の事実を浮き彫りにし、せっかく繋がりかけた関係を再び寸断するかに見えた。しかし、間一髪のところでそれを押しとどめたのは、領分を越え、「いること」に手を出してしまっためんま自身だった。これまで彼女は、どれだけ仁太に存在を主張しようとも、「見えない」他者に対してはそれを行わなかったのだ。しかし、今回初めて、めんまが他者に対してインタラクションを行った。それが良いことなのか悪いことなのか。ただ、めんまは自分の存在がイレギュラーであることは認識しており、「おかしい状態」であると知っていた。だからこそ、極力まわりの人間との接触を避け、「仁太のめんま」であり続けてきたはずなのだ。しかし、窮余の一策として、今回その自制をといてしまった。はたして、この大きなアクションは、一体どのような変化を産むことになるのだろうか。

 「いないこと」という事実を突きつけるのだから、自然にそのシナリオは辛いものになってしまう。今回は本当に、視聴中はずっと胸がギリギリと締め付けられる展開だった。母イレーヌが、「めんまの時間」について「終わっている」ではなく「止まっている」と表現したことが、本当に辛い。既に数年の時が経ったはずの「めんまのいない世界」でも、母親にとってはみとめられない事実であり、いまだ「終わり」ではないのである。もちろん、そうした発言をしている自分自身も「時を止めている」ことに、本人は気づいていないのだろう。子供を失った母親の心情というのは、個人的には他人事でないのである程度知っているつもりなのだが、他者から見た時に、これほど心苦しいものはない。

 ひょっとして、めんまの「願い」とは、イレーヌの解放なのではなかろうか。どうにかして、未だに囚われ続ける母親から、自分の呪縛を解いて欲しいと、それを頼める唯一の存在が、「バスターズ」のリーダーたる仁太だったのではないか。めんまの優しさを思えば、何とかしてこのミッション、成功して欲しいものである。

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  鬱への直滑降、第8話。今期のノイタミナは雰囲気が重すぎてついていくのが大変である。おちゃらけアホアニメばっかでも生産性がないとは思うけど、こういう重たくて正座が必要なアニメは時間帯を分けてもらわないと身が保たないぞ。

 金融街の破綻がどのような影響を持つか、という、これまであまり明確に描かれていなかった事象が、突然明確な姿を持った。なんと、あのカリブ海は金融街破綻の結果ぶち開けられた、「国のなれの果て」らしい。確かに、1つの家庭から子供を3人消し去ることが出来る金融街の「未来担保」の力を考えれば、規模が大きくなれば国が「無かったことに」なる場合もあるのだろう。そして、その巨大なダメージは東南アジアを経由して日本にも向かい始めている。あまりにも巨大な絶望を前に、公麿は、三國は、どのように対峙していくのか。

 ネガティブイベントのみが折り重なった今回、軽めのダメージで済んでいたとばかり思っていた江原の未来も、気づけば大きく大きく削れていた。様々な方策で失われた未来を補填しようと抗った江原も、最後には「無くした未来」に絶望し、考えることを放棄した。「未来」とは、あまりに漠然としているために軽んじて見られる「物」だが、失って初めて、それが無いことの絶望感が理解出来るのである。金融街の策略に丸め込まれて易々と取引してもいいものではなかったのだ。

 「金」を巡る価値観と同じように、「未来」を巡る価値観もなかなか一致した見解は無い。公麿が手探りで求める「未来の代償」を竹田崎は「信用」というこれまた不確かなものを取り出して価値を比べているし、かの三國にしても、「未来」を得るための「今」に拘泥し、たくさんの小さな未来を犠牲にする選択をとった。以前宣野座とぶつかり合った時にはどちらが正しいかを選びきれなかった公麿だったが、江原の最期を見てしまった後には、少なくとも三國の方策が正しいとは思えなくなってしまっている。しかし、そこに答えはない。

 全ての原因は金融街。それはみな、分かっている。三國は出来る範囲で諸悪の根源に抗おうとしているし、竹田崎など、一般的な住人は自分に利用出来る限りは利用し続けることを目論んでいる。それが最終的にどのような形に至るのかは、既に明らかになっているはずなのに。

 この期に及んで、ようやくこのアニメがぼんやりしている理由が判明した。それは、最大の悪であるはずの「金融街」に意志が見いだせないことだ。真坂木という顕現した姿こそ存在しているが、彼の飄々とした態度からは腹の底は見えず、現実に存在しない不気味な道化師には、世界を滅茶苦茶にして人々を困らせる理由は無いように見える。にも関わらず、誰かが金融街に関わってしまうと、その人間は必ず不幸になってしまう、確実にマイナスの取引を強いられているのだ。そこは明確なはずなのに、金融街には意志が見えない。悪意があるのに意志が見えない。今回、東南アジア金融街の崩壊シーンでは、ようやく真坂木の顔を借りて不可解な「悪意」が見て取れるようになったが、それでもまだ、目的が分からないことにかわりない。見えない敵を前に、公麿は何らかの答えを見いだすことが出来るのだろうか。

 残すところあとわずかとなってきたこの作品だが、今回一番のインパクトは、意外にも公麿の密かな思い人、羽奈日のシーンだった。金融街とは関係していないはずの一般人の彼女が、「楽しい」と嘯いていた教育実習の想い出を暗い面持ちで廃棄するシーンは、何とも言えない不気味さを持つ。単に「日本そのものが停滞した空気を持っている」ことを描出したシーンだったのだろうか。だとしたら必要以上に重たいシーンだった。そうでないとしたら……何が起こるというのだ? 三國が繰り返す、「C」とは一体なんなのだ? corrupt? collapse? それともcatastropheか?

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  ゆらりふらりと第10話。このタイミングでこういう話を持ってくるあたり、この作品の構成は憎たらしいなぁ、と思いますね。緩急つけて見せられるおかげで、視聴モチベーションが下がらないのはありがたい。

 今回のエピソードは、2つのポイントから「うまいなぁ」と思わせる佳作。複合的なものなので明確な分化は難しいが、一応脚本面と構成・映像面から見ていこう。

 脚本としては「緒花がいない日」というのが1つのテーマになっている。それまで甲斐甲斐しく働いていた緒花が倒れ、喜翠荘は数ヶ月前までの「緒花がいない旅館」になるはずだった。しかし、従業員のみんなは、入れ替わり立ち替わり緒花の寝室を訪れ、忙しい中でもあれこれと世話を焼いてくれる。民子や菜子が見舞うのは自然な流れだろうが、次郎丸や徹、そして女将までが見舞いに顔を出したことで、喜翠荘が数ヶ月前とは全く違う世界になっているということがよく分かる。

 ここまでのエピソードにおいて、明確にインタラクトしていく主体となったのは、当然のことながら主人公の緒花だった。無茶をしたり、努力したり、失敗したり、色々と波風を立てる中で、彼女の成長と交流を描いてきたのが、この作品だった。しかし、今回のエピソードでは、そうした「緒花からのインタラクト」がぴたりと止まり、明確に描写されたのはコウモリ退治や早朝清掃など、必死に喜翠荘の一員になろうと努めていた緒花の影の姿。そして、そんな彼女に対し、今度は他の従業員から積極的にインタラクトしてくる様子を描いたのが、今回の焦点であるといえる。中でも徹のアクションは一番意外で、まるで彼女に気があるかのように甲斐甲斐しく食事を振る舞っていた。これが、今まで緒花が築き上げてきた喜翠荘でのポジションを如実に表したものなのだ。他にも、自らの病床に見舞いに訪れたこともある緒花を見に来た女将や、同じようにまだ新参者の次郎丸は「動けない緒花」を面白おかしく見守っていたし、菜子はいつも通りの細やかな気遣いで彼女をサポートしてくれる。奇しくも最後に訪れることになった民子も、偶然見付けてしまった彼女の悩み、心の弱さを察し、頬を赤らめながらも最大のデレを見せてくれた。これら全てが、今まで精一杯頑張ってきた緒花へのご褒美なのである。10話という区切りで、ひとまず「喜翠荘の一員たれ」という緒花の第一ミッションがめでたく結果を残したことが、ハプニングをきっかけに明示されたのである。何とも心暖まる話ではないか。

 そして、そんなシナリオを描く何とも不思議なコンテ構成が、今回2つめの見どころ。「病床から見るぼんやりした世界」という得も言われぬ対象の描き方が、非常に面白い。例えば時系列を多少いじった演出であるとか、この作品では珍しい、夢の中の非現実的な景色であるとか、多少阿漕ではあるものの、弱った緒花が見せた珍しい泣き言を、あまり後ろ向きな面を出さずに、さらりと一夜の夢のごとく描出している。この作品ならではの、精緻かつ自由な外界描写があってこそ可能になった演出といえるだろう。また、菜子がやたら気にしていたテレビの音声だとか、少しずつ変わっていく外の景色、回りのお客や従業員の声など、あの「風邪で休んで寝ているときの何とも言えない異世界な感じ」が絶妙な情景として浮かび上がるのも面白い。何となくベッドから降りて、見るともなくテレビの前に座ってしまう描写とか、普段自分が活動している時間に床に臥せっていることに対する不安感、優越感みたいなものが、緒花の真面目な性格と絡んで不可思議な共感を醸し出してくれる。長いような短いような、布団の中から見える景色というのは、何度経験しても慣れないものだが、それがちゃんと「違和感」として浮き上がってきたのは面白かった。

 余談だが、「違和感・異世界観」の描写というのはアニメならではの遊びが色々と模索できる面白いモチーフで、個人的には印象の強いエピソードが過去の作品にも多い。いくつかあげておくと、夢のような不可思議な世界を旅する情景がどこか懐かしく、寂しげに見える「フタコイオルタナティブ」3話「エメラルドマウンテン・ハイ」。今作同様に風邪で学校を休んだときの不安感がエキセントリックな夢として表れた「ひだまりスケッチ」5話「こころとからだ」。夢とうつつを彷徨い、最後の最後まで謎が漂い続ける「地獄少女三鼎」17話「藁の中」。寝不足の制作進行が夢との狭間でひたすら猟奇事件に舞い込まれる「妄想代理人」10話「マロミまどろみ」など。アニメ独自の演出が傑作を作り上げる例がたくさんあり、今作も、その例に漏れずになかなか印象的なエピソードになったのではなかろうか。

 ただ、2つ気になることがありました。1つ、若かりし頃の女将と思しき写真が飾ってある喜翠荘。その写真自体はよいのだが、隣には従業員が全員集合したような写真が確認出来る。……なんか多くね? 昔の喜翠荘はもっと流行っていたのだろうか。

 2つ、今回夢の中に現れて緒花を東京に連れて行こうとした存在、孝ちゃん。もちろん緒花が勝手に見た夢なのでフィクションには違いないが、アニメ的な演出から考えると、彼は「緒花が仕事に挫けて東京に戻ることの体現者」になっているのか? ……だとしたら、孝ちゃんは作品的には「悪役」になってしまう気がするのだが……畜生、いちご唇にドキドキしてる徹とかとくっついたらただじゃおかねぇ。あー、でも風邪引いた緒花はどこか艶っぽかったのは事実だなぁ。デコとデコで検温とか、確信犯だろコラァ。

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 なんかラストオーダーみたいなのがおるな、第9話。あとぱにぽにの鈴音みたいなのも。声でしか識別してないから相変わらず名前が覚えられない!

 特に言うことのない中身です、よいお話です。ほんとに1枚1枚の画が止め画レベルでクオリティが高い。水着回ってサービスなのかもしれないけど、このアニメの場合は普段が普段なので特別そんなことはなかったぜ。おそろしく下世話な話のくせに、処理がどことなくソフトなのはかえって病巣が深い。そもそも下僕調教目的の娘とつまみ食い目的の母親がビーチで語らうっていう図式自体がまずおかしい。淫乱熟女の百合シーンは我々の世界ではご褒美ですけどね。ここまで遠慮ない皆口キャラってのも珍しいのう。

 今期一番力点を絞った、潔さのかたまりの様な「耳アニメ」。個人的には時間帯が繋がっている「日常」よりこっちの方が楽しいのである。

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今回は佐隈さん活躍、第9話。いや、活躍っつうかなんつうか……新機軸を切り開いたニューエイジヒロイン、「どん引き可愛い」。

 復活したのは佐隈さんだけではない。軽妙なテンポが売りのアザゼル・ベルゼブブのちんちくりんコンビも、ちゃきちゃき見せてくれるとやっぱり素敵だ。中の人曰く、絶対におさまりきらない尺の台詞を無理矢理詰め込ませる鬼のような音響演出らしいが、そうした無体な作劇の方向性が、この何とも言えない騒がしさ、馬鹿馬鹿しさに直結しており、独特の下世話さがギャグとして完成する。ほんと、油断出来る瞬間が全くないんだよ、この作品。背景で歩いてる一般人とかもおかしすぎるからさぁ。

 今回改めて感心したのが、ベルゼブブ役の神谷兄ぃである。中の人の性格も良く分かった上での見方になるんだろうが、ベルゼブブの持つ「本当に最低のシモ野郎なんだけど、本人の気位は一応貴族レベルなので、どことなく胡散臭い高貴さも兼ね備える」というあり得ない次元の嘘っぽさが、本当に面白い。イケメン役でアジアナンバーワン声優に輝く反面、ネコ神様やらなんやら、ギャグる時にも全力でボケ倒せる中の人のポテンシャルが見事に発揮される良いキャスティング。また、(中の人・キャラ両面で)その友人であるアザゼル(および中の人)が全力で最低野郎の方向性に振り切れてくれているのも、対比が更に面白く見える要素になっているだろう。ヤング師匠はふざけてるキャラで売ってる割に、役作りが本当に丁寧なんだよなぁ。

 そして佐隈さんね。この人の場合は、中の人も「ドン引き可愛い」部分があるので、その辺の兼ね合いがもう色々ずるい。しかも今回は佐隈さんのお着替えシーンがやたら艶めかしいでしょう……あかん、変な方に目覚めそうだ。彼女の通っている大学は早稲田(早瀬田)なのだな。高学歴でスタイルも良い美女なのに……佐隈さん……今回は一番力の入っていた作画シーンが、佐隈さんが全力でオタク部長を殴り抜くカットだ。アクションに移る際のダイナミックな動きも見事だが、殴った後に「ゆらり」と立ち上がる動作がいちいち見応えのあるものになっている。本当に、佐隈さんはスタッフに愛されたヒロインだ。

 さらに、毎度度肝を抜くのはゲスト声優さんですよ。勇者王は、「げんしけん」で一発飛ばして以来、やたらとオタク役がはまってることが多いのは何故? 今期は関智一のダルとか、この辺のベテラン勢の適用っぷりが半端無い。中の人アニメだし、クオリティアニメでもある。ほんと、隙がねぇな、これ。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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