最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
○「星空に架かる橋」 4
勝手な第一印象では、いかにも粗製濫造臭が漂う、分かりやすいギャルゲアニメ。キャストを見て、「あぁ、エロゲだ」って思えるのは本当に分かりやすくていいですよね。「あー! あのときの!」っていう導入、案外久し振りに見たよ。 実を言うと、ここ最近はアニメの「底辺」も底が上がっており、一昔前のように本当に箸にも棒にもかからないような作品というのは案外少ない。似たようなジャンルでも去年なら「ヨスガノソラ」はミドルヒット作品となったわけだし、「あかね色に染まる坂」とかも、出来が悪かったかと言われると案外そうでもないのだ。ただ、やっぱりギャルゲものは筋立てが本当にワンパターンで、その筋を追うことに目的意識が見られない場合、どうしてもモチベーションは下がる。当方、何故かギャルゲエロゲの類だけはやらないというポリシーがあり、この手のものはほとんど受け付けないのである。 で、これの1話目だが、作画面での失点はほぼ無いと言ってよい。田舎の風景を鮮やかにうつした背景や、川面に田畑といった空間作りのための配置は意識が割かれている。キャラ絵もベタベタのギャルゲ模様ではあるのだが、見づらいということもなく、切り出し方が丁寧なのでちゃんと区別も出来る。導入としての1話目は上々の部類だろう。「ホントにこの手のゲームって田舎に転校するの好きだナー」とかは思うが、「兄弟2人だけで単身旅館に引っ越してくる」理由付けは納得のいくレベルだし、正直言うと、「毎日でかい風呂に入れる」とか、「旧館とはいえ、旅館に寝泊まりできるようになる」っていうシチュエーションのワクワクする感じは、ちょっと羨ましいくらいである。引っ越した先が浴衣生活って、なかなか斬新なシチュエーションじゃございませんか。顔見せしたヒロイン勢はまだ個性を発揮する段階ではなかろうが、今回一番絡んだ旅館の ただ、残念ながら、それ以外の点ではやっぱり気になる点も多い。せっかく田舎の原生林を綺麗に描いているのに、そこに現れるのが派手な髪の色をした女の子で、「お前、どう考えても熊が出る森に入って山菜採る格好じゃないだろ」と突っ込み待ちなフリフリの衣装とか、既にテンプレート過ぎてどこかを探せばそのまんま同じ絵をダウンロード出来る気がする回想の挟み方とか、「別にこの作品を見続ける必要は無いんじゃないかな」と思ってしまえるような「どうでもよさ」が気になってしまう。こればかりは様式美として仕方ないとは思うのだが、これだけアニメの放送本数が多い中、これを見続けるための誘致要因が何かもう1つ欲しいところである。中の人補正とか。……エロゲ系はあんまり無いからなぁ…… 今のところ、1番の注目点は何故かのみこが歌うオープニングだったりする。Elements Garden with のみこって、なんだか贅沢な布陣だ。あと、気になるのは弟君攻略ルートがあるのかどうかってことだが……今のところその予定はなさそうである。もしあれば一発逆転が可能になるかもしれないのだがな。余談だが、1話サブタイトルの「クマなら、ここで終わってた」っていうのは何か元ネタがあるフレーズなのだろうか。見た瞬間に「ラーメンならば死んでいた」が喚起されたのだが、多分関係無いだろうな。分からない人はググれ。ググってもよく分からんから。 PR
オープニングが無駄に格好良いんだけど決してオープニング詐欺ではない、やるせない気持ちの第2話。周りに1名オープニングジャンキーがいるために、無駄に格好良いエンソンが流れて困っております。お前の魂一兆度。
2話になり、前回展開されたような圧倒的密度の昭和ネタは流石にちょっとペースダウン。普通のテンポでアニメを見ることが出来るようになりました。しかし、2話目で登場した妖怪が「ゲソ」ってしゃべる川からの侵略者っていうのはイカがなものか……こっちの触手は切れたら戻らないでゲソ。まぁ、この作品の場合、アレをパクった、などといういわれのない誹謗中傷を受ける余地すらないですけどね。だって、あまりにこっちの世界なんだもの。本当に、キャラクターデザインや細かい演出で古くさい部分を押し出してくるのは何とかなりませんかね。いちいちノスタルジーを刺激されてたまらない気持ちになるんですが。どこかどう昭和なのか、本当に上手く説明出来ないのだけど、見ていると端々に脳の奥底を刺激する要素が盛り込まれてるんだよなぁ。もちろん、作っている側はちゃんと意識して「古くささ」を出しているんだろうから、どうやったら昭和っぽいアニメになるのか、テクニックをご披露して頂きたいものである。「古くさい画面なのに、綺麗で現代風のすっきりした見せ方」っていう見事なハイブリッド構造は、本当に職人芸だと思うのですよ。 もちろん、そうした表面上の技術の話だけでなく、話の方もしっかりギャグをやっています。天丼の回数がやたら多いのも昭和っぽいし、その置き方がさりげなかったり、あまりに適当だったりと、いちいち緩急を付けて攻めてくれるのがたまらない。序盤のハルミの「いたの」は3回も4回も続けられるとジワジワ来るし、1エピソードの中で2回もひん剥かれる雪子姫の「デジャヴ?」は、分かっちゃいたけどちゃんと突っ込んでもらえるとやっぱりおかしい。今回はBパートまるまるが回想だったわけだが、それをワイプから覗くハルミたちがいちいちメタ度合いのおかしな突っ込みで進めていくのが小気味よく機能していた。最初のワイプなんてシャッポじいに喰われちゃったしな。こういうまっとうな「ギャグ的演出」でも楽しませてくれるので、なかなか体温が下がらずに見られるんですなぁ。個人的にはトバッチリ先生の半端じゃないトバッチリ具合がお気に入りです。 あとはもう、若本ね。最近は軽い気持ちでネタ若本を使うアニメが増えてきてしまったが(DOGDAYSとか)、ここまで本気の若本を使えるのは流石である。いっつも疑問に思うんだけど、若本キャラがしゃべるシーンって、あの口調に合わせて尺を割ってるんだろうか。普通の間尺でカット割ったら100%こぼれるよなぁ。いやぁ、あまりに若本過ぎたせいで、しゃべり終わったあとに何をいってたかさっぱり思い出せませんでした。危険すぎるわ。 身も蓋もないギャグ、ど派手で格好良い必殺技シーン、ライトエロ、安心の脚本。なんだか、最近足りないと思っていたものが全部ここにある気がする。これを見てこの上ない安心感を得られるということは、やっぱり私は昭和の人間なのだなぁ。
てっきり今期から新シリーズが始まるものだとばっかり思ってたんだけど、一切そんなことはなかったぜ。なんでポッと1話だけ放送したんだよ。訳が分からないよ。
すごく久し振りに見たので、設定とか全部忘れてたんだけど、忘れてても全く問題のない内容。本当に、ひどいな(3割褒め言葉)。本編の方もこんなにひどい内容だったんだっけ……そういやそうだった気もするな。いいんじゃないかな、こういうとにかく馬鹿なことをやれる気概っていうのは、大切にしたらいいと思うよ。あと、大切にしたら表に出さずにしまっておいてもいいと思うよ。 あとはまぁ、中の人ネタをひたすらエンジョイするだけですよ。麻里奈も頑張るなぁ。いつ作った映像なのか知らないけど、今回唯一入れ込んであった中の人ネタが「Rio」だったのはちょっと笑った。もう、あの変な店に舞台を移した時点で「完璧にハワードリゾートじゃねぇか」と思っていたので、こっちの思考が読まれているみたいでちょっと癪だったけども。リオと茉莉花は放送時期的にどんぴしゃりだからいいんだけど、なんで最後の1枠が「月面兎兵器ミーナ」だったんだろうな。メディアファクトリー縛りか。他にも麻里奈がやってる役くらいありそうなもんだけどな。 他は……エンディング歌唱がすごかった。一夜限りの「やまとなでしこ」復活に胸が熱くなるが、熱くなってる場合じゃないくらいにすごかった。やはり田村ゆかりはすごい。
「夢喰いメリー」 5→4
放送終了から、この感想文を書くまでに随分間が空いてしまったのは、この作品の評点をどうしたものかをちょいと悩んでいたためだ。あと、新番が多いからうっかり忘れていたためだ。どっちかというと、後者だ。 誰しも、向き不向きというものがある。個性が強い人間ならば、その差はより顕著なものになるだろう。今作の監督を務めた山内重保は、そうした「個性的な」人間なのは間違い無い。彼の武器となるのは、その独特の感性から繰り出されるコンテワークであり、常人とは時間感覚が違うのではないかと思える不可解なタイムスケールの計り方と、思いもよらないカメラワークから切り出される構図の妙は、快不快の軸では説明出来ないような、曰く言い難い後味を残す。そうした「味」は、時に長所となり、時に短所となる。 さて、この「夢喰いメリー」の場合、彼の味は武器だったのか、足枷だったのか。答えは両方としか言いようがない。まず、長所としての側面は、この作品の舞台が「夢」という独特の背景を持っていることに関係する。アニメというフィクションの中の、そのまた奥の非現実である「夢」。その世界を表現するのに、山内コンテは並々ならぬ効果を発揮した。重苦しいカット割りがどこかフワフワした夢の不安定さに繋がったし、妙なアングルから妙なモーションに入る動画面でも、何か「普通と違う」感じが醸し出され、「これは確かに白昼夢かもしれない」と思わせるだけの世界を作り出した。この番組のタイトルに「夢」という言葉が冠されているのだから、その部分に力点を置き、独自のフィールドを展開出来たことは、文句無しで手柄といえるだろう。また、そんな個性の主張と同時に、この作品が「まんがタイム」系列の萌え漫画であるという意識もきちんと持っていた。具体的にはメリーのヘソとか、あとメリーのヘソとか……とにかくそういうところだ。妙なコンテ割りなので、多少阿漕な見せ方を足し合わせても、それが「奇妙な味」の上塗りとなるだけで、媚びた絵に見えにくかったのは面白かったところだろう。 他方、短所となってしまったのはどこだろうか。残念ながら、それもやはり、彼独特のコンテワークなのだ。山内監督の前作「キャシャーン Sins」は、荒廃した世界を舞台にした、どこか退廃的な臭いのする作品。その中はいわば「どこを切り取っても山内世界」であることが容認され、一貫した空気が世界を覆うことが十全にプラスに働いたのだが、残念ながら、この作品はそうはなっていない。夢の世界も、夢路たちが暮らす現実の世界も、同様に存在していた。そして、そんな世界を舞台に行われる物語は、あまり深いテーマ性などを求めない、「普通の漫画」なのである。メリーの活劇、夢路の少年魂。そうしたものを見せる必要がある「シンプルな」作品に、どうしても独自の味はかみ合いにくい。結果、バトルシーンなども「もっさりした」印象になってしまうことが多く、そのすべてが機能しているとは言いにくい状態になってしまった。 また、単純にシリーズ構成もあまりよろしくなかった。特に終盤のミストルティン戦でのグダグダっぷりは流石に看過できるものではなく、アニメシリーズとしては失点になっているのは確定的だ。映像作品としての面白さを追求してくれるのは嬉しい限りなのだが、やはりその前提として、1クールのシリーズアニメとして、筋は通して欲しかったところである。この流れでは、残念ながら原作に興味を持ちにくいし、「続きがみたいな」という気にもならないのである。総合的に見ると、やや失点多めでちょい下げ気味、というのが結論か。でもまぁ、やっぱりこの世界観はすごく好きなので、是非とも次作でリベンジをはたして欲しいものです。 最後はキャストの話。今作MVPは(どさくさに紛れて美味しいところを持っていった中田譲治を除けば)岡本信彦になるだろうか。夢路は最近じゃ珍しい、真っ直ぐで男の子らしい男の子。それを嫌み無く演じられるだけでも、やっぱり岡本君は裾野が広い。あとは……秋谷智子がどうなんだろう、っていうポジションだったのがちょっと気になるかなぁ。彼女はもう、山内作品以外には出ないんでしょうかね。ちなみに、メリー役の佐倉綾音だが、やっぱり後半の大事な話数になってくると、どうしても拙さが目立ってしまったか。ヒロインデビュー作としてはそこそこのレベルだが、まだ同じ事務所の竹達の方がデビュー後の仕事ぶりは安定していた。要精進である。
引っ張るなぁ、第2話。まだまだ謎がてんこ盛りの状態で、どこをどう基準として見ていいのか分からない状態。ただ、幸いサブタイトルにもあるように「時間跳躍」がテーマになっているのは間違い無いようなので、そこだけを見ていけば何とかなるんだろうか。
細かいお話については、まだまだ何も語れない状態でしかない。とはいえ、かなり情報量が多い作りになっている現状でそこまで詰め込み過ぎの印象を与えず、分かりやすいキャラクターの特徴付けだけで押しているのは助かる部分。2話見ただけでオカリンのアホな設定は嫌と言うほど伝わってきたし、まゆしぃやダルといったラボメンも、度が過ぎたキャラクターのおかげで既に違和感が無い。最初にメインキャラクターを固めてもらった上で、更に濃いぃキャラが増えていくので、そういう部分での期待感は高い。画伯が珍しく可愛らしい女の子の姿で登場し、「あぁよかった、あの小林ゆうだって、まだまだ女の子らしい役が出来るのだ」と思った直後に「だが、男だ」と言われた時の絶望感ったらね。 敢えて難点をあげるとしたら、この手の作品ではどうしてもディスプレイを覗く画面が多くなるという点。まったく味も素っ気もない2ch的な画面をどのようにアニメに落とし込むかというのは案外難しい問題で、この作品の場合、チャットルームのようにリアルタイムで流れる吹き出し形式として動きを出すようにしている。「カオス・ヘッド」や「デュラララ!」など、どうしても静止画面を拒否したい場合、こうした演出が取られることが多いようだ。ただ、それが単なる文字の流れになってしまい、何が描いてあるのかを読み取る時間が無い。もちろん、製作側としては「読まなくていい文章」だからこそ垂れ流しているのだろうが、視聴者側としては、どの文字を読む必要があり、どれは捨象していいのかの選択が出来ないのである。ある部分ではディスプレイの文字を読まないといけないのだが(萌郁の携帯メールの画面など)、そこに有意差が発生していないので、瞬間的に取捨選択が出来ないというのはちょっと問題。何か上手いアイディアがあればよいのだが、なかなかそうもいかないようだ。 まぁ、現時点では揚げ足取りのレベルなので、視聴のモチベーションは問題ありません。中の人的にもどんどん元気になっていって、特に久しぶりにアニメ出演を果たしたアキバの象徴、モモーイが元気そうでなによりだった。そうそう、1話の時点では触れてなかったのだけど、オカリンを演じる宮野が、実はかなり面白い役作りになっている。宮野のキャラクターで「いいな」と思ったのはひょっとしたら初めてかもしれない。流石に、これだけ主演を取りまくっていると色々面白い面が出てくるもんだ。
「放浪息子」 6→7
「アニメわ〜く」(ノイタミナ)内では、「フラクタル」というアクの強い作品の後に放送されていたために、「色々と悶絶した後の一服の清涼剤」みたいな扱いを受けていたこの作品だが、実際のところ、こちらの方が作品としての立ち位置はよっぽど特殊である。ここまで異形の作品を、しれっと「普通ですよ」とばかりにまとめあげ、完成させてしまったことについては、本来ならばもう少し話題にすべきことなのではなかろうか。 この作品の最大のポイントは、なんと言ってもその「アブノーマルさ」にある。女装男子と男装女子というモチーフは今の世の中には掃いて捨てるほど溢れているが、この作品ほど徹底してその禁忌としての存在に肉薄し、ギリギリの日常レベルにまで深度を落として描いた作品というのは無いように思える。主人公の修一にとって、「女の子になりたい」はごくごく普通の願望であり、周りのにもそれを否定する人間は少ない。同様に、高槻よしのの男装願望についても、それは「あって然るべきもの」として認識され、「それがあり得る世界」として、すべてが描出されている。そうした一種異様な世界を、モノローグの導入、独特の色彩、細かな人物配置、台詞の間による関係性の見えなどから、「日常世界」として成立させてしまったのが、この作品のぶっ飛んだところなのだ。水も漏らさぬ完璧な世界構築は、おそらく原作の純度に依拠する部分が大きいのだろうが、1本の「爽やか青春アニメ」というステータスを付与されたのは、間違い無くアニメスタッフの力である。あおきえいの手による「キャラクターの産出」は、本当に頭を抱えたくなるくらいに完璧だ。 以上の論旨は、一応の評価軸として用意したものなのだが、この作品の場合、本当にディティールの集合として巧さが表れるために、なかなか説明が難しい。そこで、多少卑怯な手段だが、同時期に放送された「君に届け」と比較して見るというのはどうだろうか。どちらも「青春ラブストーリー」であり、視聴後には軽やかな爽快感が残り、一つの物語を見た満足感が得られるのは同じ。個々の人物の心情描写が実に丁寧で、キャラクター達と一緒に泣いたり笑ったり出来る近しさも同じだ。しかし、この作品は「君とど」とは決定的に違う。爽子と風早は「普通の高校のクラスメートどうし」であるだけの、いわば「普通の世界」。しかし、この作品における面々は、全てにおいて性の概念が倒錯している。言い方は悪いが、周りにこんな連中が居たら、間違い無くドン引きだろう。しかし、アニメを見ていると、そんな異物感がどんどん薄れ、最終的には「青春ラブストーリー」に帰着できるのである。これだけの「毒抜き」「ごまかし」は、よほどの注意力が無いと出来ない荒技なのである。本当に、お見事でした。 最後は中の人の話。終わってみれば、修一役のリアル中学生・畑山航輔君は、立派に与えられた仕事を全うした。今後の活躍を期待してみたい気もするのだが、あんまり声優志望じゃない気がする。とにかく頑張れ。あとは周りを取り囲む豪勢な面子にも満足でした。南里侑香が久し振りにメインを張ってくれていたのは嬉しかったし、豊崎・水樹・堀江といった花形が独特の白い画面を賑わせてくれたのは眼福もの。でも、一番楽しかったのは、千葉紗子が作中でしょっちゅう「千葉さ〜ん」って叫んでたこと。「お前や」って何回も突っ込んだ。
「フラクタル」 6→3
うーむ、こればかりは一言、「残念」としか……最後の最後まで応援したい気持ちは残っていたのだが、次第に削れていく気力に、最後の最後までモチベーションを維持することが出来なかった。誰にとっても、悔いの残る作品になってしまったのではないか。 ダラダラと見ていた最終話に、この作品の全てが現れているように思えた。次々と切り替わる画面は、クレインを始めとしてネッサ、フリュネ、エンリ、スンダとその他ロスミレの方々、それに僧院側と目まぐるしく描写が入れ替わり、その1つ1つの情報量がかなり多い。おかげでどのシーンについても意味を考える機会が奪われてしまい、その結果として、全てが上っ面だけの「お話を進めるためのお話」に堕してしまう。クライマックスシーンなのだから、全てのキャラクターにはこれまでのエピソードで培ってきた主義信念があるはずなのだが、残念なことにそれらの内からどれに感情移入していいのかも分からないし、理解が追いつかない。結局、よく分からない世界でよく分からない信念を持った人間達が、実に身勝手に世界を思い、世界を変えていくだけだ。 僧院の長や、ロスミレの長の1人(名前が分からん)あたりのやりとりは、それまでの流れに全然溶け込まず、なおかつ下準備も無かったために、単なる猿芝居にしか見えないし、フリュネの決意にしても、彼女が元々何を願い、どこに向かいたかったのかが定かでないため、例によって「いつも通りの気紛れ」という説明しか出来ない。最終的には、クレインがフリュネに対して打ち明けた恋心すら、「お前、その子好きになる理由があるんか?」というレベルで飲み込めないために、こけおどしに見えてしまうのだ。何もかもが寄せ集めでしかなく、中心線を定めることがない作品だった。「フラクタル」とは、本来の意味は「自己相似図形」であり、個々のディティールが全体の総和と形態を一にする概念らしいが(具体的には知りませんが)、この作品の場合、本当にたくさんのファクターが乱雑にうち捨てられ、1つ1つの形が非常にいびつで、手心がない。それが寄せ集められて、「全体図形」を形成することを放棄してしまっているかのようである。何とも皮肉なタイトルであった。 さて、この作品が不完全燃焼に終わったことについて、世間のアニメファンは色々と囃し立てている。監督の「引退」や、制作スタッフの内部不和など、どうにも醜悪な製作側の場外乱闘が目に着いてしまう。そんな中で「誰が悪いのか」という「犯人探し」の方向性があるのも、なんだか嫌な風潮だ。アニメなんてものは総合芸術(口はばったいなら「総合技術」)であるのだから、責任はどこにでもあるだろうし、どこにも無いともいえる。強いて言うならば、やはり統括元である監督にある。スタッフの並びを見て、最初は期待感があったし、実際、1話目を見た時点では「面白くなりそう」という期待が強かった。「面白そうなもの」の断片がちりばめられていたのだから、そう思うのは当然だった。しかし、ばらまいた「断片」をまとめ上げる仕事をする人間は、どこにもいなかった。残念ながら、山本寛にはそれが出来なかった。そういう意味では、ヤマカンははっきり言って「駄目な監督」である。本人の好きな言い方を使うなら、「その域に達していない」。 この作品を見ていると、なんだか「バクマン。」の悪役である七峰透を思い出す。七峰はネット上の50人からアイディアを集めるという手法を思いついたが、散り散りのアイディアには「思いがない」という少年漫画的な理屈で主人公に敗北した。山本寛は、ネット上ではなく、他のアクの強い才能にアイディアを求めたが、やはりそこには中心線が無く、まとめ上げられずに瓦解した。七峰透が「悪役」になってしまった理由は、ネット上に意見を求めようとしたためではない。あくまで、その意見をまとめ上げ、自分のものとして再構築する努力を怠ったためだ。そうした「不和の原因」としての統括者像が、今回の「フラクタル」の絵図にも当てはまるのではないか。読者アンケートを意識して踊らされた七峰と、ネットの醜聞に一喜一憂して迷走したヤマカンも、なんだか被ってしまう。彼のとった手段は、やはり間違っていたようだ。漫画と違って、アニメは最初から「複数の意志の集合体」としての作品である。最初から「まとめること」を前提としなければならなかったのに、そこを放棄してしまっては、どうにも仕方なかったろう。 だが、個人的には、ヤマカンは運が悪かった、という思いもある。このアニメを見ていて面白い部分は、なんと言っても映像技術的な面であり、丁寧に作られたモーションの数々は見るべき点が多かったし、手間暇かけて「動かすこと」に対して信念を燃やしていたことは伝わってくる。そうした純粋に技術的な側面から見れば、やはりこの作品はレベルが高い。「かんなぎ」は面白かったし、「らき☆すた」も秀作。アニメーターとしての山本寛は、やはり才人だと思う。しかし、それと構成をまとめあげるプロセスは別。誰が譲らなかったのか、どこで不和があったのか。外野は誰にも分からないが、ヤマカンの才を活かせるだけの足場は、結局最後まで維持できなかったのだ。実に勿体ない。個人的には、過去の業績から「ヤマカンは良いアニメを作れる」という部分は信じて疑っていないので、この作品が失敗したのなら(まぁ、原案を書いた人間が失敗したと言ったのだから、失敗なのだろう)、その責任は、ヤマカンを使い切れなかった人間にあると思う。そう思わないと、供養にもならない。 改めて、この作品を見直そう。様々な「アイディアの断片」「無念の結晶」が、そこかしこに詰まっているはずだ。そうしたものを掘り起こし、意志を邪推するだけでも、ひょっとしたら新しい楽しみ方があるかもしれない。その上で、今後に活かせる部分、反省すべき部分をより分け、また新たなオリジナルアニメにチャレンジすればよい。災人・山本寛の、次の活躍の舞台はどこになるのだろう。気を長くして、楽しみに待ちたいと思う。
○「世界一初恋」 5
今期BL枠。BLってことで当然のディーン制作で、スタッフなどは「純情ロマンチカ」とほぼ同じようだ。世の中にBLのプロがいるということは「おちんこ」で存分に知らしめられたし、餅は餅屋に任せて他の人間に余計な手間がかからないようにしてしまうのが安全策である。そうしたら、すんなりとこのアニメを観ないで済むという判断も出来るしね。 ただ、残念ながらスタッフだけを見ると、やっぱり看過できないんですよ。今千秋は個人的には応援している監督であるし、キャラデザも菊池洋子ということで、実はかなり見やすい。画的な部分はもうすっかりこなれた仕上がりになっており、BLものであることを気にしなければ、視聴するのに一切の問題は無い。そして、この作品の場合、中身も割とフツーの「お仕事もの」だったりするのだ。自分の知らない世界にいきなり放り込まれた主人公が四苦八苦しながらも努力していくという骨格だけなら「花咲くいろは」と同じであるし、主人公の負けん気の強い性格は、案外取っつきやすい。どのあたりが「ねじ曲がってしまって」いるのかが分からないのは悩みの種だが、それを差し置いても、あまり「いやな臭いがしない」出だしで、あっさりと見ることが出来てしまった。作中に登場する編集者のお仕事ぶりは、普段なかなか触れない世界なので紹介アニメとしても機能しているし、本や漫画が好きな人間ならば、こうした「編集者もの」というジャンルは案外楽しく見られる気がする。一応過去には「働きマン」や「バクマン。」など、出版に関係する作品もあったわけだが、自分が全く知らない少女漫画というジャンルについてのノウハウを語ってくれる内容は、それだけで興味をそそられるのだ。 でもまぁ、どこまでいってもBLですけど……いきなりのキスシーンとか、遠慮無いベッドシーンとか、分かっちゃいるけど見せられたらダメージがでかい……女の子どうしなら平気なのに。女の子どうしなら歓迎するのに! こればっかりはどうしようもないですなぁ…… で、次週からはどうしたものかと思い悩むところなのだが、ディーン制作の時点でその可能性を考慮すべきだった。今回は記念すべき1話目なのだが……小滝さんだ! コンテが小滝礼だ! そうか、BLものでも現れるか……1話目がものすごく見やすかったのは、小滝さんコンテだったおかげである可能性も出来てきました。というわけで、小滝さんが見たいので視聴は継続するかもしれません。火曜日はスケジュールが立て込むので、諦めるかもしれません。頑張れ、俺。
○「逆境無頼カイジ 破戒録編」 6
大望の2期目。ただ……やばいくらいに面白い。面白すぎる。どうしていいか分からないくらいに深夜に爆笑してしまったので、隣室の住人に迷惑をかけていないかと心配である。 「沼」編がスタート、ということで、本来ならばカイジが遠藤にちょっかいをかけるところからスタートするわけだが、その前にまずは1期のおさらい。立ちふさがるオーラ満点の安藤がプレイバックされてまず爆笑。立木さんがいちいちうるさくて爆笑。本編に入った後は、遠藤との絡みが省略されていたでのちょっと残念だったのだが、それも吹き飛ばすくらいに地下世界の描写が酷すぎてまた爆笑。「そして、シャワー!」「貧しい食事!」結局、立木さんが飛び道具過ぎるんだよなぁ。さらに、班長役のチョーさんがまた斜め上。キャスト発表の時点で大体どんな風になるのかは想像していたのだが、実際に聞くと、想像以上に嫌らしさが前面に出ていてたまらんかった。「馬鹿だからねー」。チョーさんっていったら本当に人の良い役ばっかりだったから既に好々爺のイメージだったんだけど、やっぱり声優さんはすごいとしみじみ思う一言の破壊力です。今後のバトル展開が楽しみだなぁ。 あとはやっぱり、悪ふざけとすらいえるスタッフの愛着ね。「ザワザワ」とか「うしっ、うしっ」とかさぁ。世界中探してもウシウシいいながら焼き鳥喰う奴いねぇよ。「ザワザワ」が1期と違って女性ボイスの複合になっていたのは、なんか意味があるのかね。どこかで聞いたことがあるニュアンスだと思ったら、絶望少女達によるSAだな。めるめる。あとエンディングについては……何も言うまい。とにかく色々酷すぎてたまらんな。 でもまぁ、カイジのこの章が面白いのって、ここがピークだからな。実際にチンチロが始まったら、少しは落ち着くでしょう。危ない危ない。このままカイジがずっと焼き鳥を食い続けるアニメだったら殿堂入りしてたところですわ。 |
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Thraxi
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声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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