○「Aチャンネル」 4
まんがタイムきらら系列の日常系漫画といえば、もうすっかりお馴染みの風景となった感もありますが、とどのつまりはそういうものの新作です。あんまり代わり映えしないジャンルなので、なかなか紹介が難しいよね。ただまぁ、これまでの経歴からすると、この手の作品は全般的に楽しめているので、今回もなかなか楽しみであることよ、と思いつつの視聴。
で、1話目であるが、確かに画面の質は良い。制作を手がけるスタジオ五組は「こえでおしごと」のOADを作ったところみたいだが、今回はついに自社元請による初制作ということで、GONZO繋がりの小野学を監督に配し、サトウセイジをサポートに回した「咲」と同じ布陣を用意。萌えものの表現技法も手慣れているし、技巧的な部分も色々と面白い試みはあって、特にオープニング映像は本当に凝っていてゆっくり見てみたいと思わせるだけの出来。冒頭、バットの女の子がズルズルと金属バットをもって走り回るシーンもグリングリンと画面が動いて、1話目からちゃんとお客さんを引きつけようという努力が伺える。このまま画面の質が崩れなければ、平均点はキープ出来るくらいの作品にはなるのだろう。
ただ、正直言うと1話目ではあんまり「楽しそう」と思えるだけの内容は無かった。他に居並んだ「萌え四コマ」と何が違うのかと言われると難しいのだが……1ついえるのは、初見で訴えかけるようなキャラがあまりいない。言い換えると、キャラが立っていない。バットの子だけはかわいらしさも充分だったし、良いなぁと思わせるだけの画面があったのだが、メインとなっているはずの他3人が特に自己主張をせず、「この子達を中心にネタを回したら楽しそうだ」と思わせるだけの説得力に欠けるのである。特にメインの子。今のところ劣化唯にしか見えない。
この手の作品のメインの子は、何故か天然さんがデフォルト。きらら系列アニメで抜き出すと、唯、キサラギ、ゆのと並ぶ。そして、彼女達の場合には、天然であることに加えて、「主人公たらしめる」要因がちゃんと用意されている。唯は度の過ぎたユルい性格と、それを補ってしまうだけの天性の無駄な才能、キサラギとゆのはボケた部分を補うだけの秘めたる情熱がある。しかし、今作の主人公の子(るん)は、単なる駄目な子である。にも関わらず、周りからはなにかとフォローされ、年下の子には熱愛され、何故か男子からの評判も良い。なんだかしっくりこない。
また、残りの2人についても、現時点では明示的な役割分担が行われていない(一応茶髪の方が突っ込み役であることは分かるのだが、関西弁の立ち位置が中途半端)。まだまだ1話なのだからその辺はおいおい書き込まれていくのだろうとは思うが、上にあげたような他の「日常系作品」は、とにかくキャラの個性で押していくしかないということを重々承知していたため(何せ盛り上げるためのストーリー要素が少ないのだ)、くどいくらいに1話でキャラの描き分けが行われていた。この作品は、そういう部分をあまり見せてくれない分だけ、初見の視聴者には不親切だと言わねばなるまい。
加えて、メイン4人の繋がりがあまり密でないというのも気になるところ。他作品なら部活が同じだったり(軽音部)、クラスが同じだったり(GA)、住所が同じだったり(ひだまり荘)するわけだが、この作品の4人組は、1人だけ学年が違うという妙な配置。おかげでちょっとばかり関係性がイメージしにくいのである。「何故その4人を中心としているのか」が見えないので、視点が定まらないのだ。これもおいおい解決していく部分ではあると思うのだが……
単なる萌え作品で、あれだけ「けいおん」を大プッシュしていたくせに色々と難癖を付けているのはおかしいとは思っちゃいるが、どうも、「もう1つ何か」が欲しい状態なのは間違い無い。顔見せが終わった次回以降、ちゃんと「萌え」と「笑い」を提供してくれるように、期待したいとは思います。ちなみに、本当にバットの子(トオル)は可愛いく描けている。ジト目になってると柊師匠にしかみえないけどね。そして、ちょっとの間だけど中の人があおちゃんだということに気づきませんでした。芸達者が過ぎるわ。
