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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「SPY×FAMILY(第2期)」 ―

 続けてジャンプアニメの続編。こちらもヒロアカ同様、いじりようのない圧倒的な安定感でのスタート。どんだけ力入ってんねん。アニメ業界のリソース一極化問題や。いや、こうしてリソースを集中させていい作品を厳選して作ってもらう方がありがたいんですけどね。改めて考えるに、WITCloverWorksの共同制作ってほんと意味わからんな。

 2期はボンド登場回からのスタート。「家族」に新しいメンバーが増える記念すべきお話なので再開にはふさわしい節目のエピソードとも言えるのだが、このお話、作中でもかなり政治的な部分が濃いというか、テロリズムの描写がやたら切実で、結構重めのお話ではあるのよね。犬を兵器に使うっていうテーマ自体も結構キツいところがあるし……お子さんに安心して見てもらえるハートフルアニメとしての扱いは慎重にしなきゃならん。まぁ、こういう作品を見て戦争について考えてもらうっていう情操教育もありですけどね。……そういう目的の作品じゃねぇなぁ。

 ま、お話の方はすでに結果を出しているんだからあんまり心配してないし、1話目を見る限りではアニメとしてのクオリティも「スタッフ、そこまで頑張らんでも」と不安になるくらいに全力で振り切っているので無問題。むしろケバケバしく飾り立てすぎて「もうちょっと素朴な原作だと思うんですが……」と心配になるレベルだが、盛り上がる要素が増えるならそれはそれでいいんだろう。1期の評判を見る限り、今作の最大の売りはアーニャの可愛さらしいので、そこを盛り立てる演出がマシマシになるのは当然の判断か。原作組からすると、アーニャってどっちかってぇとクソ生意気で面倒な、野原しんのすけに近いポジションだと思うんだけどな……。

 2期はボンドの参戦に始まり、また賑やかにメンツも増えていくことだろう。エンディングにはあの“夜帷”フィオナさんの姿も確認できるため、1番の注目ポイントは彼女がどれだけ暴れられるか、キャストは誰になるかって部分じゃなかろうか。ちなみにボンドのキャストはナレーションも担当している松田健一郎でした。

 

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○「僕のヒーローアカデミア(第6期)」 ―

 さて、月も変わって正式に秋新番がスタート。その口火を切ったのは「6期」とかいうクレジットが尋常ではないこちらの作品。これだけの長期計画できちっと追いかけられてる作品も稀有である。そう考えると、休止無しでも原作に追いつかずに延々やってるワンピースってやっぱすげぇな。アニメのクオリティがどうなってるかは知らんが。

 前回は去年の春夏の2クールだったのでちょうど1年の準備期間を経ての6期目。正直、コンスタントに続編が作られているとはいえ、すでに原作を追っていない身としては「どんな話してたんやっけなぁ……」と思い出すのもなかなかの重労働で、歴史的な積み重ねのある大長編としての旨味を味わおうとすると結構大変だったりする。結局毎回リセットされてるようなもんなのでなぁ……ただ、それでも前期は内容がハードでいい具合に刺さっていたみたいだし、今期もそうして思い出せないなりに盛り上がる展開になってくれることを祈っている。冷静にみりゃ、なんか小難しい設定が増えてるように見えて、正義と悪の構図はわかりやすい作品だしね。

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「ちみも」 5→5

 地獄さんの中の人がコメンタリで言ってた通り、制作会社が某国民的長寿アニメの制作とかで慣れてるんだし、このアニメも夕方枠とかでのんびりダラダラ放送されるアニメになればいいのにね。もう、今の時代にそういう枠は求められていないのかねぇ(先人たちが居座りすぎてるんや)。

 始まった時は「ショート枠じゃねぇのかよ、心に余裕がなくなったら観なくなるかもしれんな」とか言っていたけど、心の余裕が減れば減るほどにこういうユルくて優しいアニメの方がありがたく感じるようになってしまって……終わっちゃうと言われたらちょっと寂しい、そういう枠。

 「ぐんまちゃん」のように制作側の精神を疑うような攻めたネタ回しがあるわけじゃないが、子供向けのゆるキャラ作品というにはちょっと刺激が強すぎるような毒のある描写もちょいちょい出てくるのが楽しいアニメ。ベースが「ちみもたちが可愛いよね」という売りに設定されているはずなのに、ゆるふわな日常を演出するはずの鬼神姉妹が無闇にキャラ立ちしており、日常に転がっているあれやこれやを「地獄」として取り上げてくれる。なるほど、最初のうちは「日常的にこんなに『地獄』って単語使わんやろがい」と思っていたのだけど、今作の狙いは、日常生活に溢れる「ちょっと嫌なこと」をこうして茶化しながら取り上げて笑いにしようというものなのだね。その上で、地獄を乗り越える勇気を与えるでもなく、地獄から逃れる知恵を与えるでもなく、「まぁ、地獄なんてもんはそのうちなんとなく過ぎていくものだし、誰にでもあるんだから、いちいち気にしてちゃやってらんないよ」というお気楽な解決案を提示してくれる。これが、暗い話題の多い現代社会における「癒し」の一形態なのかもしれません。

 ま、なんぼでも話を作れそうな作品ではあるので、ご長寿アニメとまではいかずとも、折を見てちょいちょい帰ってくるくらいの頻度で放送してくれることを期待しています。

 

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「サマータイムレンダ」 6→6

 夏も終わり、すっかり秋めいてきたこの時期に、終わらない夏の物語が静かに幕を閉じる。そんな風情もいいじゃないですか。まぁ、放送枠がそこまで考えてのことかは知らんけど。

 とりあえず制作側がかなり力を入れていたことは間違いない作品。2クールの長丁場でもほぼ作画の崩れなし。1話目でも印象的だった夏の眩しい風景がそのまま最終回まで色褪せることなく画面を彩り続けた。まぁ、早々に「夏! 海!」みたいな要素は「それどころじゃねぇ!」ってな感じで背景に消えてましたが……。異次元空間での超能力バトルでも持ち前のシャープなデザインは変わることなく綺麗でございました。あとは何よりも女子高生のピチピチ感かな。2クールのアニメで、最初から最後までずっとスク水のヒロインってのもすげぇよな。最終回で普通に服着てる姿が一番違和感あったわ。

 正直言うと、タイムリープものという肝心要の骨子に関しては、途中でよくわかんなくなって「目を切って」しまった部分はある。問題はとにかくルールが多くて複雑なことで、単に「行って戻ってを繰り返す」だけじゃなく、そこに影の能力も色々と制限や条件が加わり、さらに記憶の持ち越しのルール、相手陣営との兼ね合いなど、とにかく「そういうルールの能力バトル」として把握しなきゃいけないことがてんこ盛り。最序盤で影の能力が出てきた時点で「こんなん、無理ゲーやんけ」ってんで考えることを放棄してしまった私はルールをいちいち拾うのもやめてしまったので、途中からループの繰り返しで得られる醍醐味、「死にゲーすなわち覚えゲー」感覚になかなか入り込むことができなくなってしまった。出来ることなら、もうちょい諸々の設計をシンプルにしてもらえたらなぁ、と思わないではない。

 でもまぁ、今作はここまで色々と付け足していかないと成立しないかな……。なにしろ「ラスボス側も一緒にタイムリープで記憶を引き継ぎつつのやり直しバトル」ってんで、そりゃもう、可能性は無限大よ。こちら側にも出来ることは多いが、相手サイドはそれを読んだ上で裏がかける。そうならないためにどうしたらいいかという「ルールの確認」もひたすら実地で検討しなきゃならんし、視聴者側も考えることが多いのだが、当然それ以上に主人公の慎平は考えることが多すぎた。ここまで行くと、ちょっと主人公の心理や思考を追うのは無理やね。そうした部分については、多分漫画で繰り返し読み返すことが想定されている設定だろうし、アニメに落とし込むのは難しかったんじゃなかろうか。

 とはいえ、ルールを追いきれなかったのはサボり気味だったこちらの責任でもあるし、負荷をかけた分のペイがあるシナリオ進行にもなっていたとは思う。影ミオが仲間入りする展開とかは想定してなかったので当初は「そんなんありかい」と思ってたけど、そうして少しずつ影も人間も入り混じってのバトルが混沌を極めていくのも面白かったし、影の能力が複雑で突飛な分、ラスボスはラスボスらしく、強大でなおかつ嫌らしい攻めが持ち味になっていたし。バトルものとしての落とし前もきちんとつけられたんじゃなかろうか。

 個人的には、こんだけ複雑な物語の中できっちり興味を惹きつけた「敵の正体は?!」っていう謎がちゃんと説得力を持って開示され、その結果としてあのラスボス像に繋がっている部分も評価している(一応この文章でもネタバレには配慮してる)。序盤で「和歌山を舞台にしてることを殊更にアピールするためのキャスティングやんけ」って思ってたら、そこにがっつり食い込んでたっていうね……。和歌山県、こんな殺伐としたアニメで町おこししてええんか。

 そしてここでも久野ちゃんフィーバーが繰り広げられ、本当に2022年夏クールは「久野シーズン」となった。その傍らで、役割を寄せながらもまざまざと存在感を見せつける釘宮理恵とかいうレジェンド。一応、彼女のネイティブ方言は熊本弁なんですが、なんでだろ、和歌山弁がすげぇすんなり入ってくるのよ。この辺りの変幻自在なお仕事ぶりは、やっぱりレジェンドだよなぁ。

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「よふかしのうた」 6→7

 最後にメイン(エンディング)テーマが流れる展開、わかりきってるのに着地点としてすごく綺麗なのよね。このアニメのタイトルはまごうことなく「よふかしのうた」だわ。

 というわけで、今期トップクラスのお気に入り作品となりました。まーとにかく「綺麗」の一言に尽きるかな。画面が綺麗ってぇのは作画がいいとか、ライティングが見事とかいうビジュアル的なわかりやすさもそうなんだけど、その絵でもって何を描こう、何を表現しようという目的意識が明確で、そのデザインがとても綺麗。あと考えにはなるが、今作だってアニメ化しようとしたら一筋縄ではいかない作品だ。あまり動きの多い方でもないし、「単に男子中学生が夜中に徘徊して悪い仲間にあっちゃった話」であり、そこに劇的な命のドラマが待ち構えていたり、血湧き肉躍る冒険活劇が待っているわけでもない。やろうと思えばフィルムコミックみたいな止め絵オンリーの省エネアニメでも成立したかもしれないし、「アニメ化する意味ないやんけ」なんて誹りを受けた可能性もあっただろう。

 しかし板村さんのディレクションはそんな当たり前の心配を一発で吹き飛ばしてくれるもの。今作の主役はコウくんだし、ナズナちゃんなのだけど、一番の主役はタイトルの通りに「よる」なのだ。人間と吸血鬼のヘンテコラブコメも気になるし、吸血鬼の生き様を描いたダークファンタジーだって面白かろうが、一番描くべきは「よるの素晴らしさ」であるべきなのだ。なればこそ、その夜は輝いて見えるだろうし、そこに余計な騒々しさを設けず、時に静謐に、時に厳粛に描かれるべきものだ。絵の美学、画の美学、音の美学。そうした美意識がそこかしこに表れ、なんの変哲もない夜の風景を、実に心躍るものに仕立ててくれている。これこそが「アニメ化する意義」だ。

 今作をもって、由緒ある(?)新房流の継承は「成った」と思っている。もちろん新房昭之という人物そのものが常に変化し、進化しているのだから一概に「彼の手法」などとまとめることもできないのだが、今作に見えた板村さんの「美学」は、まさにアニメで描くべき新房的色彩の体現だったと思っている。もちろん、それは単なるモノマネではなく、新たな時代のアニメーションとしての「板村流」を打ち立てるに足るものである。この方向性は是非突き抜けてほしいなぁ。

 あとはいつも通りに中の人だが……今作は余計なくらいにキャストがコテコテで贅沢だったなぁ。特にゲストも含み「花守→日笠→戸松→キタエリ→御前→そらそら→和氣ちゃん→沢城」と並んで展開していくクドさがたまらん。和氣ちゃんキャラは多少影も薄いかと思ってたら、最終回で見事なホームランかましてくれたし。そしてこんだけの怪物連中を相手にしっかりと世界観を維持して戦い抜いた佐藤元、そして天さんというメイン2人にもお疲れ様。原作がどんくらい続いてるのかは定かじゃないが、是非この続きも見守りたいところ。結局探偵さんの件は決着つかなかったからな!

 結論:アキラちゃんのおっぱい。

 

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「リコリス・リコイル」 6→6

 最後までスチャラカテンションで突き抜けてくれたのはありがたいですね。アロ〜ハ〜。

 まず、文句なしに面白い作品だったということは最初に書いておくべきだろう。オリジナルで萌え系デザインのアニメを打ち出した時にはおよそコケる確率の方が高くなる気がするのだが、幸いにしてリソースが潤沢だったようで、最初から最後までハイクオリティな画面を提供し続けてくれた。1枚1枚の画の完成度が非常に高く、作画部分の満足度で言えば今期はアビスに続く2番目という位置付けでいいんじゃなかろうか(比肩しそうなのは「プリマドール」「Engage Kiss」あたりか)。そうして充実した作画で描かれるガンアクション、そしてド正面からの百合(&ホモ)という各方面に発信する「見た目の強さ」が今作最大の武器だった。監督の足立慎吾氏は「SAO」などでキャラデザを担当した作画上がりの人間であり、監督業務は今回が初ということだったが、自分の強みが「キャラ画」にあるということを充分に理解し、フル活用した結果といえる。ちなみに余談だが、氏の過去の業績に「ガリレイドンナ」のキャラデザ・総作監っていうのがあるのを見つけて、いろんな意味で「あーー」って納得した。

 で、だ。そんな風に良作だったことは一も二もなく認めつつなのだが…………なんでこんな流行った? 私の勝手な認識なのでもしかしたら単なる勘違いなのかもしれないが、今作は最近のオリジナルアニメじゃ珍しいくらいにバズった作品になったと思っている。良い作品がウケるってのは当然のことではあるのだが、そのバズり方が、ちょっと私の認識を超えていて怖いというか、すげぇ違和感があったのである。「これがこんだけバズるなら、もっとバズってるアニメがたくさんあるはずなのだが……」っていうのが一番の違和感なのかな。まぁ、こういうのって本当に宣伝がどこで噛み合うかにもよるので、かなり運頼みの要素が強いのだろうけども。

 ちょっと前なら「鬼滅」でも同じような感想を抱いたことがあり、昨今、アニメ業界での「バズり」は一点特化型になる傾向がある気がしている。話題になるアニメの数は相当限られているが、上手いことハネると10年前では考えられなかったような大ブレイクに繋がるという、まさにヤマを当てるかどうかみたいな状況だ。「20年以上前からエヴァだのハルヒだのでバズってたやんけ」と思われるかもしれないが、どうにも話題性が作品のサイズに見合ってない感がある、というのが乱暴な印象。今作は間違いなく「丁寧に作られた良い作品」ではあるが、その中心に、どでかい流れを作るような強くて固い核があったのかと言われるとちょっと分からない。いわばスナック感覚……というにはちょっとできすぎてるので、なんかこう、良いレストランのバイキングとか、ディナーパーティーとかのハイクオリティな前菜盛り合わせみたいなイメージ。「百合美味しいです」「クライムサスペンスもお好きでしょ?」「うんこマシマシのギャグも外せない」とか、いろんなメニューが全部美味しいし、全部金が取れるとは思うけど、それがメインなのかと言われると多分違う、みたいな感覚だ。

 こうした作品の「バズり」はもちろん制作側が狙って作っている部分はあるだろう。1話目のインパクトは強烈だったし、何より「絵がいい」というのが今作の武器なので、試聴して「切られる」可能性はかなり低いと思う。何よりも「観てもらう」ことが第一なのだから、観ていて気持ちがいい、というアニメの根源的な魅力は文句なしに伝えるのは必須条件。制作側はそうして「とにかく観て楽しい気持ちになってね!」という快楽を継ぎ足し継ぎ足し提供する用意があったはず。この設計が、この時代に「バズれる」デザインの1つなのかなぁ、というのは、違和感というよりも新しい学びだったのかもしれない。まぁ、ほんなら「狙ったら誰でもバズるアニメを作れるのか」と言われたらもちろんそんなことはないわけで。改めて、今作の画作りのセンスは高かったことは確認しておきたい。なんだかんだで監督コンテ回のクオリティが高かったので、多分この人は今後も同じように「バズりを作れる」クリエイターな気がしますね。

 まぁ、私が何を感じようが、これで声優・安済知佳の魔力が満天の下に知らしめられたのだとしたらそれでいいんですけどね。感情モンスター安済知佳。ちかぺの強さに全人類は平伏すがいい。

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「新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP」 ―→5

 いや、ごめん、これはもう、何も言えんわ。知らんジャンルを見ているとしか……例えていうなら、ルールが全く分からないスポーツの試合を見ているような……ぅん? たとえではないのか?

 えーと、じゃぁ、ゲーム実況とかで全然概要を知らないゲームを、知らない配信者がやってるのを見る感じかな。やってることそのものも分からないし、他の視聴者がどういう文化を楽しみ、動画製作者サイドが何を狙って作りに来てるのかも分からない感覚。ふむ、これなら少しは例えられてるかな。テニヌがおかしなスポーツだっていうことくらいは知ってるんだけど、本当に独自ワールド突き抜けが凄まじくて、もうボケとかツッコミとかの次元を超えちゃってるじゃない。素人が聞き齧った程度の知識で手ェ出すジャンルじゃないんだわ。

 それでもなお何かを書かねばならないとすると、今作って実は「男塾」の正統後継漫画なんじゃないか、というよく分からない試案が浮かんだんですけどどうでしょう? いや、どうでしょうって言われても困るかもしれないけど……でもさ、冷静になってみると実はこの2作品って共通点が多くない? バトルもの、トンチキ能力解説、敵味方のキャラの使い捨てでじゃぶじゃぶつぎ込んでいくこの感覚、構造としても、アホな能力を持つ味方がアホな能力を持つ敵とじゅんぐり試合を重ねていく様子を外野が見て「あれはッ……!」「知っているのか雷電?!」やってるって考えると同じなんだよ。古き良きジャンプ漫画の伝統をより純化した形で受け継いだ時代の残滓、それがもしかしたら「テニプリ」の正体なのかもしれませんね。

結論:多分男塾も今アニメ化したらウケるかもしれない。

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「メイドインアビス 烈日の黄金郷」 ―→7

 万感のエンディングでした。本当にたっぷりと大河ドラマを見せられた感覚。始まる前には相当ハードルが上がっていた作品だったが……綺麗に飛び越えてくれましたね。

 こちらも最終回感想とまとめてということで申し訳ないが、最後のスタッフロールが流れた時には本当に重めの劇場作品を観終わった時と同じような満足感がありましたね。それこそ「深き魂の黎明」でも同じような感覚はあったのだろうが、アレとは違って、今回のエンディングは不思議と晴れがましさもあるよね。

 正直、開始1話目2話目あたりで「どうなるものか?」と不安をいっぱい抱えていた。ただでさえ訳のわからん奈落の底。そんな訳のわからん世界で訳のわからん連中が出てきて訳のわからんことをし始めたので、「流石に訳がわからなすぎてついていけないのでは……」と尻込みしたのは事実です。まさか言葉まで通じねぇ連中が出てきて、通じねぇ価値観をぶつけられるとも思ってなかったし、上昇負荷が消えてこれまでの「アビス」とも理が変わってしまった世界。「流石にあの劇場版の後じゃぁ、何をやったって霞む展開になってしまうよなぁ」と思ったり思わなかったり。しかし、ボ卿の騒動はあれですっかり終息したわけで、新たな火種から描かれる物語はまた別方向への刺激に満ち満ちていた。話の筋が掴めるようになってからは1期や劇場版と同じ、「本当にこれは人間が考えた物語なのかよ」と吐き捨てたくなるような展開もたくさんあり、たっぷりと「アビス味」を堪能することができた。

 今作の良いところは、どこまで行っても「戦うべきはアビスそのもの」という軸がブレていないところ。そりゃまぁ、上の階層には頭のいかれた白笛もちょいちょいいらっしゃいましたが、連中にしても、結局は「奈落の底に行きたい」「奈落の謎を解きたい」という欲求はリコたち主人公パーティと同じ根を持つ願望。あくまでも「敵キャラ」ではなく「同業他社」みたいなもんであり、リコたちが立ち向かうのはいつだって「奈落の不条理」なのだ。今回はそんな奈落に完膚なきまでに叩きのめされた「過去の同業者」が登場し、彼らの苦しみが時を置いてリコたちにも降り掛かり、さまざまな不条理として襲い掛かってくる。しかしブエコにしてもそうだし、一度は敵対関係に見えたベラフやワズキャン、そしてもちろんファプタに至るまで、決してそこにいる人々が「敵キャラ」なわけではない。彼らの悲劇を理解し、飲み込むことで、レグもナナチもまた一つ大きくなれた。ドロドロの悪意も、最低の害意も山盛りで襲いかかってくるというのに、終わってみればそこに「悪いやつ」はいないのである。うん、多分……いや、どうだろう、だいぶ悪そうだったけども……。

 とにかくそうして1話目から大上段に構えた目的意識が1ミリもブレず、「ただ穴の下を目指すお話」であるにもかかわらず、1期・映画・2期と全て異なる味わいでの壮絶なサバイバルを楽しむことができる。結局、人対人での智謀知略のぶつけ合いなんてものはいわば「人の脳の追いつくところ」なんですよ。そんなものが通じねぇ「環境そのものとの闘い」にこそ、人間が全てをかけた生き残り競争の切実さがある。こんなにも原初的でネイキッドな「生」を感じられるアニメもなかなか無いんじゃないでしょうか。生きることって、食って、寝て、排泄して、発情して……そういうことなんだものね。そうした「ダイレクトな生」に、さらにもふもふふわふわがまとわりついてるってんだから、もう言うことはありません。

 当然のお約束で中の人についても触れておくが、もちろん怒涛の久野ちゃんラッシュに見るべき点があることは論をまたないが、実は今作の影の立役者はヴエコ役の寺崎裕香だったんじゃなかろうか。ブエコの滲み出る優しさ、そして悲しさ。それを下支えして常に鮮烈な場面を演出し続けるナレーションワークの巧みさ。ヴエコ・ファプタがこの2人で本当に良かったと思います。もちろんベラフ役の斎賀みつき、ワズキャン役の平田広明も「これしかないッ」っていうどハマりの配役が素晴らしかったです。そしてやっぱりナナチなんだよなぁ。ナナチが格好いいこと言い始めるとさ、もう1期のあたりの名台詞とかがいちいちフラッシュバックして泣きそうになっちゃう。偉大なるもふもふに乾杯だ。

 追伸:追悼・マアアさん。今期可愛さナンバーワンは実はあなたです。

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「オーバーロードⅣ」 ―→6

 ゆっくり丁寧に男をぶっ壊す時には安野希世乃ボイスが効果的なんですよ(2作品連続)。こちらもいいですねぇ。正直評点をどうしようかはちょっと悩んだんだけど、ラストに気持ちのいいクソ女ムーブが見られたこともあり、加点することにしました。

 ま、長い長いお話の一部分だけ抜き出してる状態なので今回のシリーズだけで評価する意味はあまり無いのかもしれないが、個人的にはどうにもぬるっとした歯応えだった3期よりもかなり分かりやすくなった今期の方が好きだったのは事実。「魔導王様、その実力で完膚なきまでに王国1つを叩き潰す編」という分かりやすい勧悪懲善スタイルであり(いうほど王国は善ではないが)、あの手この手で人間を苦しめる様子がたっぷりと描かれている。いわゆる胸糞展開を描くという目的は一貫しており、それってすなわち今作が他作品との差別化を図っている純然たる「特長」なのであるから、それが見えやすいお話になったら印象が良くなるのは当然と言える。今作の悪逆に苦しむ民草を見るというのはM心をそそられるので性癖の部分でフィットしているというのは多少割り引いて考える必要があるとは思うが、まぁ、世間的に受けてるならこういうのが好きな心理ってのはどんな人間にでもあるってことだよな。クソ女万歳だし、最終話でいうならマーレきゅん万歳。最後の最後に可愛いシーンがあって眼福でございました。なろう発でも、こうして独自路線を切り開いて結果を残している作品はあるんだよなぁ。

 もちろん、長きにわたる「看板作品」ってこともあって諸々恵まれているのは事実だろう。何よりも1クールまるまるこのお話に使えちゃうという尺の余裕はその他の木端アニメからしたら羨ましい限りだろうし、多少派手なシーンを盛り込んでも作画が一切ぶれず、格好良かったり、可愛かったり、エロかったりするキャラの魅力が発信されるのはありがたい話。気づけば7年目に突入したわけだが、これだけの長期にわたって監督をはじめスタッフをあまり動かさずに制作体制が維持できているというのは大きなプラス要素だろう。世の中の全てのアニメも、これくらいの愛と予算に満ちてればいいんですけどね。

 

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