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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「恋愛フロップス」 5→5

 何か野心的なことをやろうという意思は感じられる作品だし、個々の要素で拾い上げるべき部分もあった気はする。ただ、その狙いどこか散逸的になってしまい、ここぞという決めポイントが見出しにくい作品になっていた気がする。

 前半部分が徹底したエロバカギャグアニメ、後半はその世界を丸ごと飲み込んで、サイバー混じりのジャンプアニメのようなバトルに、生き死にを交えたヒューマンドラマを交えた展開。そんだけの要素をごった煮にして成立させようってんだから、今作の脚本家はどんだけ強欲なのかと驚くばかり。そして、おそらくこれが3話ずつの別作品だとしたら、それなりに成立していたんじゃないかと思える程度のクオリティにはなっている。特に前半のエロバカハーレムパートの間はまだ試聴するモチベがそこそこ高かったのでちゃんと見ていたのだが、どの話数でも潔く頭のおかしなことをやっており、温泉天狗回とかコンドーム魔法少女回とか、「振り切れたバカは大事だなぁ」ということを身をもって教えてくれる佳作(?)になっていたと思う。いや、バカなんだけどさ。受け付けない人にとっては本当にノイズでしかないんだけどさ。そういうバカって、やろうと思ってもできないクリエイターは案外多いわけで、狙った通りの振り切れ方に仕上がっていたのだからそれは評価してよかったと思うんだ。

 ただ、そこから伏線を回収して仮想空間を飛び出した後のドラマについては、いくらか安っぽさが気になった。まぁ、病気の彼女を看取る悲恋なんてそんなにパターンも無いから底が見えるってのは別に構わないのだが、今作の問題点は、むしろそうして別々なパートを強引に1つの看板の下で繋いでしまったことだったんじゃなかろうか。「前半あんだけバカなことやってて、今更こんなシリアスやられても……」という気持ちがなかったと言えば嘘になってしまう。また、これは後付けかもしれないが、序盤の段階で「この世界は裏がありますよ」ということは執拗に匂わされており、その「匂わせ」が突き抜けギャグにもどこか影を落としていたようにも感じてしまう部分があった。頭空っぽにして笑い飛ばしておけばいいのか、それとも後からひっくり返ることを前提として注意深く見守らなければいけなかったのか。それがはっきりしなかったせいで、どうにもうわついた試聴感になってしまった。

 これってすごく贅沢な悩みで、伏線なんて張らなくても今作は成立したと思うんだ。それでも、作り手側は1つの物語としての整合性を大事にして、きちんと「そういう世界に飛んでもおかしく無いだけの下地」を作ろうとしていた。それは誠実さとも言えるし、馬鹿正直さとも言えてしまうかもしれない。おそらく今作はこうして全くテイストの違うシナリオにグルリと展開していくそのギャップを売りにしたかったと思うのだが、正直に伏線を置いたせいでそのインパクトは確実に薄れてしまった。「まぁ、そういう世界だよね」と、なかば了解がある状態で先へ進んでしまった。そこはもう、エロバカに振り切って「どないやねん!」の勢いで誤魔化してもよかったんじゃないかと思うのだが、クリエイター目線ではそれも許されなかったんだろう。多分、ぶった切って強引に繋いだとしたら、それはそれで「こんなの無茶苦茶やんけ! 前後のつながりを何も考えてないクソ脚本!」と思われていた可能性もあるのだ。また、完全なエロバカアニメだと思ったら離れてしまう視聴者もいるかもしれないので、どこかで「餌」を巻いて「ほら、後半まで気になるでしょう? 続けて最後まで見てくださいね」という誘導をする目的もあったのかもしれない。見せなきゃついてこないかもしれないし、見せたら見せたで「もう見たから」と言われてしまうかもしれない。こんなもん、一番いいバランスなんて分かるわけないよね。だから、私もここまで書いてきた不満がいちゃもんだってことは薄々感じてるんですよ。

 でもまぁ、そんなことを考えながら観ちゃったもんでどっぷりハマれなかったのは事実です。最初に書いた通り、単発のお話としてはいいもんはあったと思うので、話数毎のバラ売りで見せていってもいいのかもしれませんね。いや、どんなセールスを狙ってるかは知らんけども。博士がコンドーム妖精の伏線回収した時の「アホか!」というあの感情、プライスレス。

 2022年最後の記事がこれかい!

 

 

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「チェンソーマン」 6→6

 世間的には随分物議を醸していた様子の作品。ま、なんにせよ話題になるのは悪いこっちゃないんだろうけど……なんかこう、現代アニメが抱える苦労を余計なまでに背負ってしまった作品、という気がするわね。

 まず、私個人の観点で言えば「ふつーに良いアニメ」である。とにかく金が掛かっていることは分かるし、作画演出に相当に気を遣って「アニメにした意味を見せつけたい」という意気込みが感じられる。これだけのクオリティでアニメ化されたなら何をか文句を言わんや、という感じ。シナリオラインについては原作をほとんど知らんかったので「こういう流れかー」とただ飲み込むだけだが、やっぱり「ジャンプにこれが掲載されてるのか……」というのはちょっと驚きですね。小学生のお子さんとかが読んで、情操教育にどんな影響があるのかはドキドキもん。まぁ、昔のジャンプ漫画でいえば「ゴッドサイダー」で育った子供もいるわけで……(だいぶニュアンスは違わないか?)。このアクの強さをアニメにしようとしたら、色々とハードルも多かろうというのも納得できる部分だ。決して「置きにきた」及び腰の作劇ではないし、アニメ作品として一本芯を通した責任あるお仕事ができていたんじゃなかろうか。

 とまぁ、作品全体の意義は認める派だが、世間的にやたらと嫌な方向に不満が湧き上がっているというのもなんとなく理解はできる部分。どうやら実写映画をイメージした作りを念頭に置いているらしく、アクの強さが売りの作品にしてはクドさが足りない、ってのが不満が持ち上がる一因になっている様子。そこはどの部分を一番アニメで拾いたいかという制作理念の差だよなぁ。私の場合、そもそも原作の絵があまり受け付けないもので、乱雑な線をアニメでスマートにまとめ上げてくれてる方が見やすいと思ってしまうタイプだが、そうしたクセもアクも丸々飲みこんで見事な画面を生み出していた「モブサイコ100」という作品が同時期に放送されていたことを考えると、「もっと挑戦せいや」と文句を言うファンが出てくるのはしょうがないところだろう。「解釈の不一致」ってのはどうしようもない現象である。

 どっちかと言うと、そうして「演出の方向性の違い」で議論が起こることはむしろ良いことだと思う。こうした話題作でもない限りはなかなか細かい演出方向にまで目を向けるユーザーは多くないだろうし、賞賛だろうと批判だろうと、「より丁寧に見て判断しよう」という流れがあるならそれはアニメファンとしては歓迎すべきこと。ただし気をつけねばならないのは、そうして議論が起こり誰かが「嫌いだ」と断じた際に、「なるほど、この作品はダメなのか」と思考を伴わずに飲み込むだけの消費者がいることであろう。おそらく、現代アニメはそうした「評判の流れ」に影響される部分があまりに大きすぎる。評価軸をきちんと定めた上で、良いところと悪いところ、好きなところと嫌いなところをしっかり見極める努力は怠ってはならない。

 今作とBLEACHではチャレンジしてる水準では比肩するものだと思っているので点数は同じにしている。話題作だからこのままシリーズが続けられるだろうという部分も一緒。せっかくこの方向に走り出したのだから、製作陣は恐れずに突っ走って結果を残して欲しいと思っちゃうのである。

 

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「勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う」 4→3

 ないよォ、興味ないよォ!(画像略) 今期は農民とビーストテイマーがなろう界隈の二大巨頭ということになりました。互角の競り合いを繰り広げていたが……映像部分のショボさは農民に軍配が上がるが、シナリオの痛々しさという尺度だとこちらがさらに上手。いや、下手。「じょうず」「へた」でも「かみて」「しもて」でもなく「うわて」の対義語はなんて読むんだろう(正解は「したて」だそうです)。

 そうなんだよ、映像部分は割と減点要素が少ない作品ではあるんだよ。特に重要なのは女の子がどれだけ可愛く描けているかという部分で、1枚絵で見れば今作のモンスター娘っ子どもは割と可愛い。趣味丸出しのケモ要素多めだが、まぁ、タイトルにそう書いてあるんじゃしょうがないだろう。女の子が可愛く描けているハーレムものならそこまで点は下がらないんじゃないかとも思えるわけだが……それを埋めてあまりあるくらいに筋立ての痛々しさがキツい。ワシが一番苦手としているなろう要素じゃ。

 私がダメな要素1、主人公が本当に自分の実力について余計なまでに謙遜しすぎて気持ち悪い。いわゆる「俺なんかやっちゃいました」系主人公なのだが、そこに妬み嫉みや嫌がらせしたいという悪い感情がなく、純粋にヒロイン勢のために自分の冒険を頑張ろうとしたらたまたまた「やっちゃいました」という流れ。もう、それならちゃんと身の丈に合った活動をしてくれるかな? そこで遠慮するのは謙虚とかじゃなく、単なる客観視できてないバカだぞ? そんな情けない主人公をひたすら周りのヒロインがヨイショするというデザインも存分にキツく、女の子がいなければ自己肯定もできない主人公が気持ち悪い。

 私がダメな要素2、ザマァされる勇者パーティが本当にイタい。「悪い奴」として描くのはまぁしょうがない。というか、突き抜けた悪役として描いた方が構図が分かりやすくなるのでまっすぐなシナリオにしたいなら正解とも言える。でも、ほんとに「単なる性格が悪いだけのクズ」を勇者にしてしまうと、「じゃ、なんでお前そんな奴んところで働いてたんだよ……」という疑問がついて回るのでずっと気持ち悪いまま。勇者というポジションについてもあれこれ説明はあったみたいだが(例によってろくに聞いてないけど)、もし本当に勇者が絶対であり、この世界に不可欠な存在であるとするなら、離反してハーレム経営してる主人公は世界よりも自分を優先したダメな奴ということになってしまう。勇者がそこまで御大層な身分じゃないとするなら、やっぱり単なるバカである。勇者目線で散々「普通のビーストテイマーとの差」を見せつける展開になっているわけだが、重ねれば重ねるほどに痛さが増すし、重ねないと理解できない勇者チームの無能さが浮き彫りになる。最終的に単なる野盗にまで落ちぶれてるし……そこまで他者を貶めないと持ち上げられない主人公って……。

 今後のなろう、こういう方向性が先鋭化してくるとますますキツくなる。なんとか私のメンタルに優しい方向に進化していてほしいものである。

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BLEACH 千年血戦篇」 6→6

 いやぁ、オサレでしたね……。初代アニメからここまできっちりイメージの刷新を図れるとは……。

 考えてみりゃ、数年越しの再開(?)とはいえ、今作は原作シリーズの集大成となるラストパート。それまで培ってきた漫画原作やらアニメやらの何もかもを飲み込んだド級のクライマックスなわけだ。そりゃぼんやり見てても盛り上がってるのは分かるってもんでね。わたしゃ鰤フォロワーじゃないのでディティールはさっぱり覚えてないし、このシナリオに至るまでに何があったかなんて記憶の彼方だが、そこまで頭を使う漫画じゃないのでついていくのに大した労力はかからない。「そういやこんな奴いたな!」っていう経験を何度も重ねているうちに少しずつ記憶も修復されていき、たっぷり積もった歴史を体感することができるようになる。原作を毎週ダラダラ見せられるのは苦行だったかもしれないが、こうしてひとまとまりになったエッセンスだけをグイグイ飲ませてくれれば、素直な少年漫画として楽しいもんである。

 そしてそんな大仰な歴史を演出するオサレ演出の数々。この見せ方が正解だよなぁ。夕方アニメだと実現しにくかったクドさ優先のオサレアニメ。毎週垂れ流されるポエムにキュンキュンしちゃいますよね。作画リソースも贅沢盛りになり、アクションアニメとしても楽しめるし、とにかくキャラがわちゃわちゃしているのであっちもこっちも大騒ぎしてる様子を見ているだけでもお腹いっぱいである。こうしてみると、嫌ってたはずの漫画なのに内容は案外頭に入ってたもんだなー。

 今回はあくまで「最終章の序章」。今後は最後の最後までゴールを目指して走っていくことになるんでしょう。10年のブランクが空いてもこんだけ観られたんだから、こっから多少間が空いても問題はなさそう。のんびりやっとくれ。

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「後宮の烏」 5→5

 今期並みいる爆発作品の1つ。今期はあれよね、割と素直に「はいはい、爆発爆発」って思える作品が多かった気がするんだけど、今作もその代表格。不器用なカップルの辿々しいお付き合いを見て、「ガンバレッ」って応援したくなっちゃう。

 いわば「中華風『虫かぶり姫』」である。いや、単に順番の問題なのであっちを「西洋風『後宮の烏』」と表現してもいいんだけど、流石にあっちは後宮じゃなくてバリバリの正室だからな。さすがに語弊があるわ。いや、そんなんどうでもよくて、試聴時の印象はこの2作でかなり被るのよね。王族に座す者どうしの恋愛がテーマの1つになっており、ヒロインの方はちょっとどこかズレたところがある「おもしれー女」枠。身分や環境に振り回されながらもお互いの気持ちを少しずつ確認していき、いつしかその距離がとても縮まっていて爆発、そういうざっくりしたまとめ方をすれば、まぁ似てると言えば似ているし、似てないといえば似てないね。

 もう1点共通するのは、作品の大きなセールスポイントに「顔が綺麗」があるということ。「虫かぶり姫」のエリィはCV上田麗奈のパワーもあって(?)本当に可愛らしいルックスが魅力だったが、今作の烏妃も、とにかくビジュアルがふつくしい。中華風デザインってそこまで目にするものじゃ無いから目新しさもあるんだけど、目元のメイクの具合とか、髪型のデザインとか、全体的なルックス(ビジュアル)が本当に蠱惑的で、どうにもそそられる。こちらは妖の類を扱うお話ということもあり、ちょいとミステリアスな雰囲気で異質さを強く後押ししているのも惹かれる要因だろうか。1枚絵で見た時に今期一番美人だったのはもしかしたらこの烏妃だったかもしれない。

 ビジュアルイメージという点ではこうした「中華風」の雰囲気作りも作品全体の魅力の1つで、何気ない建物の外観、内装や料理の見た目1つとっても「あ、中華風だ」ってんでどこか憧れを持って見てしまう部分がある。別に中華風だからって憧れる理由もないはずなのだが、なんだろ、やっぱりこういう昔からある「ステレオタイプ中華風」ってどこかノスタルジックな匂いもあってそそられるのよね。これ、多分中国が作ったアニメの風景を見てもそうはならんのよ。日本人が考えて、日本人が作ってる「なんちゃって中国」だからかえって理想化されて綺麗に見えてる部分はあると思う。

 とにかくそうして見た目に美しい作品だし、メインヒロインの烏妃は可愛い。従者の九九だって可愛い。そんならもっと点数上げてもよかったじゃん、とは思うのだが、如何せんお話の方は……まぁ普通なのよ。「宮中にお化けが出ました」→「なんやかやで悲しい話や救われない話がありました」→「事情をだいたい理解した上で、祓っておきました」が基本形で、各々のショートストーリーにあんまり差がないというか……その間にきちんと烏妃と帝の関係性なんかが進展し、烏妃の出生についても掘り下げられているので決して同じことの繰り返しではないし、中心となるロマンス要素は割と魅力的だったとも思うのだが、やっぱり1つ1つのサイドストーリーにもうちょい厚みが欲しかったかな。毎回出てくるヘンテコ中華風人形劇の画面は好きだったけどね。

 でもまぁ、毎週見てても特に退屈はしないし、アニメとしての一見の価値はあるクオリティだと思いますよ。思いっきりデレた烏妃が今後宮中でどういう生活を送っていくのか、続きが見てみたい気もするな。

 

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「夫婦以上、恋人未満」 4→4

 びっくりするほど興味が湧かなかったわねぇ……。結局1話目で抱いた疑問と印象が何も変わらないまま、平然と最終回を迎えやがったからな。結局なんだったんだ、この世界。

 ラブコメのテンプレをなぞってるだけなので、本来なら可もなく不可もない。「ま、ラノベってこんなもんだよね」くらいの印象で終わってたはずだ。いや、今作は漫画原作だけども。一時期のラノベでいっぱい見た気がするので私の中ではラノベ風。ただ、今作唯一のオリジナル要素である「夫婦制度」がそうしたテンプレに一石を投じる……いや、投じない。そう、投じないのが問題なのだ。作品の個性を見せるべき特殊設定があるのに、そこに説得力を持たせるためのサポートが何一つなく、「そういう世界であることはさておき、ふつーにラブコメやります」という全く話が通じない展開。恋愛ドラマってのは「どうやって愛情が育っていくのか」とか「どうやって愛を育んでいくのか」が一番の焦点になるはずなのに、今作のメインカップルは「政府の施策により、特に意味はないけど同居生活を強いられたために好き合うようになりました」という、「卵を落としたら割れました」と同じくらい当たり前のことを言っているだけ。そりゃそうだろ。年頃の男女を長期間同じ空間に押し込めたら、そりゃそうなるだろ。そうならない理由を力説してくれるならまだ作品として成立するが、そうなるなら見るまでもない。「知ってた」で終わりである。そして、そんな特殊な設定があるにもかかわらず、今作の恋愛ドラマは「普通の世界のドラマであるかのように」筋立てが作られている。「いや、お前らそんな普通のことだけやってる意味がわからん」と頭がバグる。ほんと、なんなんだろう。

 そして、これは好みの範疇だと思うが、アニメになった時のデザイン性が妙に浮いてるのに最後まで慣れなかった。デロデロの恋愛をやってるのに、何故か背景や色彩が絵本みたいなビビッドな方向性。プリキュアや「恋愛フロップス」でこのデザインをやるなら意味が分かるけど、なんで今作でこんな目を引くデザインにしたんだろう? 全体的に安っぽく見えてしまって、エロいシーンもなんかギャグにしか見えなくてお得感がなかった。原作絵がそもそもそういうデザインなのかと思ったけど、ちょっと調べた感じだとそんなこともなさそうだし……これはほんとに「アニメ化の方向性が合わなかった」残念な事例。

 まぁ、他に無いことを最低限画面の見栄えだけでもやろうとしてると考えるならスタッフの頑張りは評価すべきなのかもしれないが、あんまりその意図を汲み取ることができなかった。このカップルは爆発しなくていいや……。

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 こっちのぼっちはまだ元気、第11話。もしくはこっちの狸がまだ元気。うちの婿にはしっぽがある。

 一週間空けての放送となったが、このためにわざわざ溜めたんじゃないかと勘繰っていまうほどに濃密な痴話喧嘩シーン。実は今期一番の爆発作品ってこれだったんじゃねぇかな。他にもとんでもないことが色々と起こってるはずなのに、もうあの一連のシーンのせいで全て吹き飛んでしまった。

 それにしたって、そこに至るまでのスレッタのメンタリティの弱いことと言ったら。この娘は本当に空気が読めないというか、周りを見てない部分があって、調子に乗るとふわふわとうわついた状態で「なんでもござれ」みたいな顔してんのに、ほんのちょっと歯車が噛み合わずに嫌なことが重なっただけで「もう救いはない、死のう」みたいな思考になる。いかに田舎育ちのコミュ障だとて、ここまでの豆腐メンタルになったのは完全に個人的な原因だろうし、もしかしたら母親の教育が悪い方向に働いた結果なのかもしれない。それを母親がどこまで狙ったかは知らんけど。

 一応、「忙しくなっちゃったもんだから最近彼氏が冷たいの」ってんで落ち込むのは分かる。なかなか話が通じないミオリネさんに対して何も言い出せずに勝手に塞ぎ込むのも、2人の関係性を考えれば致し方なくもある。ただ、その結果として「自分は使えねぇゴミクズなんだ」というメンタルに陥っちゃうのはとても不健康だし、最後にとどめを刺したのが弁当の一件だったのがほんとにダメ。だって、あれってわがままミオリネさんだけじゃなくて、同船してるクルーのみんなに対しても本心を打ち明けられずに折れちゃったってことだからね。「ミオリネから評価されていない」が「自分は存在価値がない」まで拡大解釈されちゃったら、そりゃ周りの面々だってフォローしきれまいよ。ちなみに、一番気にしてくれてるのは優しいニカ姉だったんだけど、彼女の場合は裏でのシャディクとの関係性があるもんだからスレッタとの接し方を決めあぐねてこっちはこっちで苦しんでいる様子。そうなると、結局一番頼りになるのって歯に衣着せぬチュチュになるんだよな。チュチュさん、友達になるとほんとに良い奴になる分かりやすい性格。もっと彼女を信じてあげて。

 しかしまぁ、ニカ姉の助言をきっかけにようやくミオリネさんも動き出したので、そこは一気に解決に向かった。危なかったのは、ミオリネさんの行動があと一歩遅れていたら、再びスレッタがママさんの庇護の下に隠れてしまいそうだったところ。まさかの便所飯(飯無いけど)という時代もシチュエーションも超えた最悪の行動をとったスレッタは、拠り所をなくして母親に電話。何かを察したママンは今まで通りの優しさで彼女を包み込んでくる。ママン側にどういった思惑があるのかはまだ未知ではあるが、スレッタのこれまでの人生において母親が一番の理解者だったことは間違いない事実であるし、ママさんだってスレッタを不幸にしたいとは思っていない。最悪ガンダムさえ動かせてれば問題ないわけで、「あら、学校生活うまくいかなかったの。そしたらまた私のとこに来なさいな」くらいの思惑だったんじゃなかろうか。

 本当にもう一歩で不登校からの引きこもりルートになりかけたスレッタ。しかしすんでのところで駆けつけたミオリネさん。トイレのドアごしという最悪のシチュエーションでの痴話喧嘩が幕を開け、いじけるスレッタに対し、的確に「堕とす」言葉を選べるミオリネさんのセンス。よくよく考えてみれば、天然ジゴロの人たらしはもしかしたらミオリネさんの方なのでは……。無重力空間での追いかけっこを経て長い長いハグへとたどりつくわけだが、足元も定まらず、どういう姿勢で抱き合ってもいいはずなのに頑なに2人の「身長差」にクローズする構図が本当にずるい。どこまで行っても目線はスレッタが上、ミオリネが下。それなのに吐き出す言葉はミオリネが上、スレッタは下(後ろ?)。そんな状況で一言ずつの意思共有が図られ、めでたく大好きのハグに至るのである。なんだこれ。よかったよねぇ、スレッタが散々に愛の言葉を囁いて「ミオリネさんの全部が好き」って言った後に目を逸らしたミオリネが「スレッタのモビルスーツ操縦技術が好き」とか言われなくて……。ハッピーアイスクリーム。

 あ、テロでやばいことが起こってるって? えーと……敵ガンダムの出撃シーン、格好良かったですね(以上)。

 

 

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「ぼっち・ざ・ろっく!」 7→8

 神の御業としか思えない奇跡的な調和を見せたマスターピース。新番チェックの時点でがっつりこの世界にハートを鷲掴みにされており、その際に多少オーバーな期待を込めて「新たな金字塔をぶち上げろ」と書いたが、まさか本当にこんなにも絢爛豪華な金字塔が建立されることになるとは思わなかった。言うてみるもんやね。

 きちんと1話目で今作の化け物じみたポテンシャルを拾えていたので私もまだアニメを観る権利があるな、というのはちょっと安心した部分ではあるのだが、さて、何がどうなってここまでの作品に成り上がったのかと言われると、どうにもその正体は分からぬ。ただ純粋に「制作スタッフが推し進めた方向性が、作品のニーズにがっちり噛み合った」というだけの話ではあるのだが、こうして「与えるべき画面を与える」ことがどれだけ難しいことかというのはアニメ制作に携わったことなどあるはずもない凡百の身には想像することすらできない。例えば今期は似たような話題作である「チェンソーマン」で作品が良いだの悪いだのと議論を呼んでいるようだが、監督をはじめとしたスタッフが「この作品はこうあるべき」と思った方向性がユーザーと共有できるかどうかってのは、ぶっちゃけ運もあると思うのよね。もちろん今作にだって「こんなのぼざろじゃない」と思ってる視聴者だっているのだろうし、かなりアクの強い方向性に思い切って攻めた構成になっているはずなのだが、それが、本当に気持ちのいい方向にのみ噛み合った結果なのである。

 最終回を含めて感想で何度も触れているが、やはり最大の焦点は「ぼっち」というテーマをどのように扱うか。これは「後藤ひとりという主人公像をどう掘り下げるか」という具体的な側面でもあるし、「いわゆる陰キャ、コミュ障、社会的に問題がある人間をどのようにいじっていくか」という作品全体を覆う側面でもある。アニメというとどうしても「オタク向け産業」の側面が強く、これまでも数々の「陰キャ」をテーマとした作品が作られてきたが、自身も陰キャである身からすると、これが痛し痒しであったり、「ハァ? ふざけんな、陰キャエアプか?」と思うこともあったり、実にナイーヴで扱うだけ損なテーマ設定なのだ。しかし、今作におけるぼっちは、本当にハマった。痛し痒しじゃない、痒いところに手が届き、そこからガリガリと熊手で傷を抉るかのような徹底的なサービス精神(?)。この「ぼっち像」を作るためだけに12話ものアニメが費やされたと言っても過言ではない。そのためだったらどんな労苦も惜しまぬとばかりに過度に飾り立てられたぼっちの内面世界。ともすれば「やりすぎ」と断じられるような危険な選択だが、「ここまでして初めて、陰キャは笑いに転じる」という思い切った判断。それが勝負の分かれ目だったのかもしれない。

 後藤ひとりさえ不動の基盤として設置できれば、残る要素をどう配置するかは見えやすくなってくる。3名のバンドメンバーが描くのは、これまでの徹底した友情礼賛主義からは半歩はみ出た、いかにも現代的な「友達づきあい」を反映したバンドの結束。そこには不思議なリアルも介在しつつ、オタクが欲してやまない関係性が蜜のごとく溢れてくる。言ってしまえば本当にずるい。阿漕だし卑怯。しかし、それが現代きららアニメが追求すべき萌えの真髄。時代と共に変わり続ける「萌え」の精神は、今や「尊み」を手に入れ、令和の時代にバージョンアップを果たしているのである。

 改めて、今作を支えた2人のクリエイターに賞賛を送ろう。1人はもちろん、監督の斎藤圭一郎氏。後になってみれば、この人、今期他に関わった作品が「モブサイコ100」の原画、そして「ヤマノススメ」のコンテという事実も凄まじい。今作で一気に名前が知れ渡ったことで今後の活動にもなかなかのプレッシャーがかかると思うが、是非とも現代アニメを背負って立つ存在になってほしい。そしてその際には、なんとか「ぼっち・ざ・ろっく(第2期)」をそのヒストリーに加えていただきたい。

 そしてもう1人の立役者はといえば、やはりぼっち役・青山吉能であろう。彼女が作り上げたぼっちがあるからこそ、今作はこの境地に辿り着いた。WUGとしてデビューしてから8年、長いような、短いようなこの期間にしっかりと積み重ねたものが、ひとりの奇跡を産み出したのだ。まだまだここで終わる女じゃない。彼女もこれからのアニメ業界を背負って立つ存在になってほしいですね。

 あとはただ、「けいおん」の時に聞こえてきた「もう1回!」を待つだけですね。

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「うたわれるもの 二人の白皇」 5→6

 長い長い旅路だった。出会いを振り返れば2006年、今から16年も前のこと。当時の熱狂はアニメ・ラジオ・ゲームが渾然一体となった本当に素晴らしいエンタテイメント体験だったが、そんな過去の熱狂の残滓が、16年を経てここに辿り着いた。本当に、私自身も含めて関係者の皆皆様にはお疲れ様だ。

 毎週感想を書いていたので最後にまとめることはあまり無いのだが、一応点数の基準だけ触れておこう。あんだけ盛り上がってたんだからもうちょい評価高いんじゃないの? と思われる向きもあるかもしれないが、一応今回は「思い出補正」を差し引いての評価ということにしている。いくらなんでも「偽りの仮面」との関係性を断ち切るわけにはいかないが、流石に16年も前の初代の思い出に依拠する部分はなるべく廃して判断すべきだと思ったのだ。そうすると、アニメーションとしてはまぁ、そこまで飛び抜けた作品だったというわけではないのよね。1期の小林智樹監督作品は全てに置いて完璧なシリーズだったが、今回は「ゲームを追いかける感が強くて多少無理してるな」と思える箇所もあったし、映像部分にしても、シナリオ部分にしても、何も知らない人から見たら「まぁ、こんなもん」と言われてもとくに文句は言えないだろう。その部分を客観視しての配点ということである。「そんなん忖度しないでオメェの意見を聞かせろよバカ」と言われたら、「とりあえずゲームがやりたいので誰かプレステください」と答えるしかないかな。あの当時と同じ体験をするなら、やっぱりゲームもプレイしないとどうしようもないし。多分、このストーリーを一通り見た状態でも、きっとゲームをやったら改めて楽しめるんじゃないかという期待はあるんだけどね(ただ、その際には「偽りの仮面」からプレイする必要があるのでめちゃ大変)。

 まぁいいじゃない。思い出なんてもんは個人の胸の内にひっそり隠させてくださいよ。これを機に、またどっかで柚姉ぇがひょっこり出てきてフォークを振り回してくれるなら、こんなに嬉しいことはないです。おしぼりも空を飛ぶし、箱根の樹上に半裸の怪人が現れることでしょう。

 改めて本当にありがとうしか言葉は無いが、敢えて1人だけピックアップするなら、本当に本当に大変な役回りを見事にこなしてくれたトネケン。本当にお疲れ様。けーじくんも草葉の陰で喜んでくれてるんじゃないかな(もしかしたらブツブツ憎まれ口叩いてるかもしれんけどね)。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
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