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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「小林さんちのメイドラゴンS」 7→8

 やはり特別な作品に違いない。アニメそのものの出来とそれに付随するバックグラウンドは厳密には分けて判断しなければならないのだろうが、申し訳ない、私も人の子である。そこに明確な区分を設けることは出来ない。

 復活の狼煙となる記念すべき「第1作」だ。そこには変わらずに瑞々しいアニメーションを彩ってくれる京アニの圧倒的な技術力が溢れている。監督を務めた石原さんの相変わらずの手腕には脱帽するしかないし、クレジットにはっきりとその功績を記す武本さんのこれまでの業績にも頭の下がる思いだ。京アニスタッフが一丸となって、今作の完成までこぎつけている。

 2期ということで純粋に1期のボリュームアップを図るのがセオリーだが、正直、追加キャラとしてはイルルぐらいしか増えておらず、筋立て自体もそこまで劇的な事件があったわけではない。あくまでも淡々と日常が進む中で人ドラゴンの異種間コミュニケーションが進んでいく様子が描かれており、ギャグを交えて微笑ましい「日常もの」を展開しながらも、確実に理解を深めていく小林・トール間の関係性はただそれだけで見応えのあるものに仕上がっている。現代用語で言えば「尊い」ということになるのだろうが、そんな簡単な言葉だけでは説明しきれないだけの諸々を詰め込み、複雑な感情の中で2人の日常が続いていくのである。その掘り下げに際してイルルやエルマの生き様も絶妙なバランスで取り込まれており、ちょろゴンずの賑やかさは作品に彩りを添えている。何しろカンナちゃんの太もも一つとってもエラい騒ぎなのである。そりゃ才川じゃなくともボヘるのはしょうがないことだ。

 期待に見事に応えた新たな産声。この尊さ、末長くあらんことを。

 

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 約束されし大団円! 最終話! お為ごかしの言葉を使うわけじゃないが、やっぱりこの世界はまだまだ「みんなが主人公」。切磋琢磨の果てに未来を掴む明日のヒロインは誰になるんでしょうかね。

 「約束されし」とは言ったものの、実は結構意外なポイントも多かったりするお話。先週の引きから考えると、普通なら最終話はさらさの渾身のティボルトがバシッと決まって「ティボルトおめでとう!」となって終わりだ。まぁ、その部分はまさに予定通りだったのだが、なんと、配役でティボルトの隣に愛ちゃんがいないというのがまず1つ目の意外な点。そうかぁ、負けるかぁ。まぁ、考えてみりゃ愛ちゃんはまだまだ劇団員として何かが突出しているわけではないんだよね。舞台経験は豊富だから「慣れ」っていう部分で一歩抜きん出てはいるのだろうが、そんな部分はクラスメイトたちだって抜きつ抜かれつで成長できる部分だろうし、そもそもオーディションの時の愛ちゃん、一瞬スイッチオフってたし。油断したわけじゃなかろうが、もっとはっきりした武器を持つ山田さんに上をいかれてしまったのはしょうがないところ。もしかしたら初めてのことになるかもしれない「敗北」を味わい、愛ちゃんは一回り大きくなることだろう。そして、そのモチベーションの大きな部分を、「最後にさらさの隣に立つのは自分以外いない」という信念が支えることになるのは大変良い傾向だと思いますね。まぁ、さらさ側がどの程度そこに絶対的な価値を置いてるかはわかんないけども。

 そしてもう1点意外だったのは、今回のお話は「さらさの物語の締め」というよりも、杉本さんの物語になっていたという点。原作が未完なのでここで何かけりを付ける必要はないわけで、あくまでアニメでは13話目だが、物語の中では通過点の1つでしかないのだね。だからこそさらさと愛ちゃんのカップリングも成就していないし、周りのキャラクターたちの掘り下げだって続いていくのだ。そして今回掘り下げられた杉本さんは……とても良いキャラになっているのだよなぁ。「天才型」と「努力型」という分け方はある意味では都合のいい言い訳でしかないのだが、今回の杉本さんはそれを言い訳にしないだけの説得力を持ち、出来ることを全てやった上で、「努力して敗れた」という立ち位置。彼女の身になってみればこんなに辛いことはないだろう。私もどっちかというと杉本タイプの人間な気がするので(全く努力型ではないが規律に従っての正攻法を好むタイプだ)、彼女の苦しさはなんとなく伝わってくる。そして、先生の前ですら流さなかった涙は、竹井先輩にだけ見せるのである。委員長タイプだからこそ伝わる想いがそれぞれにあって、先輩後輩でこうして伝えられていくスピリットがある。杉本さんは今回形の上では負けはしただろうが、彼女の人生においては大きなプラスになる経験。きっと次のバトルでぶつかる時には、さらさにとって大きな大きな壁となっていることだろう。

 相変わらずいいキャラしてやがる聖先輩も含め、やはりこの学校の連中は一筋縄ではいかない。ここまでのお話はまだまだプロローグに違いない。彼女たちの波乱万丈の人生を、是非とも最後まで見守っていきたいものだ。

 

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「ぼくたちのリメイク」 6→5

 どこぞのヤンキーと違って、ちゃんとタイムリープの事象自体には責任を持っている作品。ただ、「タイムリープした結果」については責任を持っているが、「なんでタイムリープしまくったんだろう」については特に責任は持っていない。多分「ジャヒー様が魔石を取り戻して自由に異能が使えるようになったから」が正解。

 主人公目線のモチベーションが一番よく分からなくて悩ましかったところ。特に「新たな2018」において、どうしてそこまで過去に戻ろうとしたのかは結局最後まで共感できなかった。まぁ、一応作中では説明されているし、それなりに説得力はあったのかもしれないが……多分、釈然としなかったのは「シノアキが可愛すぎる(娘含む)」っていうのが一番の原因。たとえ過程がどうあっても、もともと自分が知っていた世界と食い違ったとしても、あれだけ可愛い嫁と娘を放り出して戻ろうとするのは流石にどうなんだろう。戻ったところで再び「プラチナ」を取り戻せるかは分からないのだし、最初の世界線とシノアキ世界線を比較してどっちが幸せかは判断できないんだけども。まー、そこで打算的に「この現実でいいや」と打ち止めにしちゃわないのが「主人公」なんだろうけども。そこで「出来上がってしまった現実」を受け入れてそこからの打開を図るんじゃなくて、結局タイムリープに頼ってしまうところがもやっとしたんだろうなぁ。特に、最後はシノアキも絵に復帰しようとしていたわけだし、あそこから再び別な未来を描くことは出来たように思うんだけども……結局、恭也の中でタイムリープがどれくらい特殊な事象かって話なのかなぁ。ホイホイ飛べると思っちゃってるから、あんなにあっさり「戻る」っていう選択が取れたわけでねぇ。

 とまぁ、どうにもすっきりしない部分はありつつも、お話としては充分成立していたと思う。「こんなタイムリープしたら、こういう改変がおこっちゃうじゃん! どうするのよ!」→「いやマジでそうなるんかーい」っていう流れは不覚にも笑ってしまったし、そうなっちゃった後にもある程度は歴史修正に責任を持っている。2018に戻ったのにそこで一番なろうっぽいチート感を出そうとしていたのはどうかと思うが、もともと恭也は無能な人間ではない。たまたま馬力を発揮する場所があそこだったというだけの話で、何故そこまで踏ん張ろうとしたのかと聞かれたら、そこにはきちんとタイムリープによる影響が出ている。だいぶ尺は長くなったが、いわば「自由に時間を戻せる権利があったらどうしますか?」というSFとしては真っ当な筋立てになっているのだ。その中心に置いてあるのが世界の危機とかじゃなくて「好きなアーティストたちの出世」ってのがまた微妙にリアルではある。確かに俺が過去に戻ったとて、世界のあれこれには興味がないし、せいぜい「この人、数年でブレイクするんだよな」って知識を使って青田買いするくらいなもんだろうよ。オタクの妄想+タイムリープという変則気味の足し算の結果としては妥当な作品。

 映像部分もそれなりに安定していたし、何よりシノアキが可愛かったので良しとしようじゃないか。逆にいうと、シノアキしかかわいくなかった気もするが。やっぱ方言キャラって強いよなー。古賀葵って佐賀県出身なんやなー。

 

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「僕のヒーローアカデミア(第5期)」 ー→6

 やっぱ安定感あるなぁ。本当にがっつり、ライフワークとして最後まで責任持ってアニメ作ってくれてるんだろうなぁ、っていう。

 ちょっと感想も書いたけど、この5期目はお話自体も好きな展開が多かった。特にヴィラン側のお話になった時のダークな感じを出しつつもきちんと異能バトルの駆け引きを維持して展開していく姿勢は、素直に「良い漫画だよなぁ」という感想になる。まぁ、ジャンプでやるにしちゃちょっと暗いかな、という気もするけども。この方向性で今更あっけらかんとした話をやられても困るしね。多分原作もそろそろクライマックスを迎えてゴールに歩を進めているくらいのタイミングなんじゃなかろうか。唯一心配があるとすれば、やっぱりキャラが多いのでこれら全体にうまい具合に着地点が見つけられれるかってところね。でもまぁ、この世界が描くものって「雑多な個性がそれぞれに頑張るよ」っていう多様性を見つめる物語なので、全員にひとまとまりのエンディングはなくていいのかも。

 6期まではしばらくかかるのかもしれないけど、いつか帰ってくることは疑ってもいないし心配もしてないよ。

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100万の命の上に俺は立っている(第2期)」 ー→4

 今、ログを確認して衝撃の事実が判明した。今作、2期が始まった際に新番チェック書いてなかったし、さらに1期の終わりのタイミングでの番組感想をあげてなかった。「あれ? ねぇぞ!?」って思って確認したら、文面は作成しているのに何故か掲載を忘れていたようだ。まぁ、改編期はいろんな文書をまとめて書いて、その直後にあげるんじゃなくて1回寝かせる行程が入るので、多分忙殺されてる間に抜け落ちていたのだろう。今更あげなおすのもどうかと思うので、そちらに関しては私のデータの中に永遠に眠っていてもらうことにするしかないようだ。まぁ、別に問題ないしな。ちなみに1期の評価は「5→4」でした。つまり、今期も同じ。

 やっぱり、どっかB級なんだよなぁ。作画のショボさのおかげでアニメの付加価値が生じないというのが一番の問題だが、元のシナリオラインもあんまり盛り上がりポイントがない。いや、いわゆるなろう系の本流と比較すれば色々とチャレンジングなこともしているし、多少なりとも「オリジナルの何かをやろう」という野心もある作品だとは思うのだが、ミッション自体が1ステージずつ細切れにされているという設定のせいもあるんだろうか、あんまり長期的なデザインが出来ず、本当に行き当たりばったりで「その時になんか見栄えが良さそうな展開」を選んでいるように見えてしまう。お蔵入りした1期の感想から言葉を持ってくるなら、「小・中学生が休み時間に友達と適当に作っているゲームストーリー」っぽさがある。ことに2期目は前半の島編(島編?)での巫女設定とかが浮いてて気持ち悪く、途中で化け物との「命の天秤と人間の傲慢さ」みたいな話をしてても、「いや、お前の性格設定で道徳倫理を説かれても……」と設定の座りの悪さばかりが気になってしまう。どうしても、システマティックなゲーム的勇者設定を淡々と処理しようとする四谷のキャラがヒューマンドラマとの相性が悪いんだよなぁ……。

 一応、そうしていろんな部分で尖ったものを作ろうとしている意識は感じられるので、どこかで歯車がかみ合えばぶっ飛んで愉快な作品になる可能性はあるんだけどね。評価できるポイントがあるとするなら、「やっぱり人間を人間とも思わない上田麗奈に命をぐちゃぐちゃにされるのは良いなぁ」という部分かな。結論:うえしゃまになら何されてもいい。

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BLUE REFLECTION RAY/澪」 5→5

 とてもとても勿体無い作品である。テーマ設定はバッチリど真ん中なんだよ。少女たちの「想い」の力のぶつかり合い、互いの心の奥底に眠る闇や希望を巡って、ただひたすらに少女と少女の人間関係だけを重ねていく……百合的テーマ設定としては、我が心の始発駅たる「舞-HiME」に通じるものがある作品。キャラクターの掘り下げも個人差こそあれ悪くないレベルだったし、それぞれのエピソードはエグさも切なさもあり、多少紋切り型なところはあったが、ソシャゲ発のアニメプロジェクトとしては充分筆を割いていた部類だろう。2クールあったおかげで、この手の作品にありがちな「キャラが多すぎて誰が誰だかワカンねぇよ」みたいな状態にならずに済み、存分に百合的な育みもあり、バトルアニメとしてのたたき台も用意した。本当に、設定だけならピンズドで好みのジャンルだったし、実際に面白い部分は多かったのだ。本当に仁菜ちゃんの生き様は好きだったし、サブからサポートする都ちゃんの立ち位置、そして最後の最後までブレずにクソ外道を貫き通す詩ちゃんの高潔さもたまらない。そしてラストを飾る紫乃とみお姉の関係性も。全ては可能性の塊みたいな作品だった。

 しかし、返す返すも……作画が……デザインが………………本当にそこなんだよ。そこだけなんだよ。そしてアニメーションとして提供するからには、そこが大事なんだよ!! ちくしょう……「2クールだからよかった」っつったけど、2クールだからこそのスタミナ不足はどうしようもなかったし……本当にへなへなな作画でやられると顔がクタクタになるから萌え成分も無くなっちゃうし、バトルアニメとしてもギャグみたいになっちゃうし……。ほんと勿体無い。1話目の時点でハテナが乱舞したキャラデザ、結局プラスに転じることはなく、「この作画状態は最初から覚悟の上でのチャレンジだったのかしら……」と切なくなるばかり。一応切り出し方次第でたまに「あれ、これはこれで可愛い……か?」ってなる瞬間もあったので、本当に紙一重の部分もあったのだろうが……いや、やはり2クール走り抜けるには一重どころじゃない不足分はあったよなぁ……残念無念である。

 流石に「リメイクしてくれ」ってわけにもいかんのだが、これってもしかして、「同じようなキャラとストーリーを作画気にせず読みたいならソシャゲやってね!」ってことなんだろうか? だとしたらなかなかハイレベルなマーケティング戦術である。いや、やんないけどさ。だってこの子らはアニメオリジナルなんでしょ? 僕は仁菜ちゃんのためなら多少のガチャを回すくらいの可能性はあるけどサァ…………。是非、もっともっとシナリオラインをブラッシュアップして漫画とかの別メディアでもう一回お目にかかりたいプロジェクトではある。

 とりあえず、私の中では「石見舞菜香・上田麗奈の感情の塊しかない姉妹」という文化を生み出したことだけでも全力で評価したい(あと「ラスボスがしーたむ」も)。OK,美弦姉は「上田麗奈3大姉キャラ」の一柱として歴史に刻んでおこう。当然残りの2人は「みゃー姉、ペタ姉」である。まともな姉が1人もいねぇな!!!

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「月が導く異世界道中」 5→4

 なろうだなぁ……ネイキッド・ピュアなろうだなぁ……。

 本当にシナリオ部分で差別化をはかるのが困難なので、どこをどう評価してプラスマイナスを調整したらいいのかもよく分からん。そりゃもちろん作品によって違うことをやっている部分はあるのだろうが、いわゆる「なろう仕草」みたいな部分がどうしたって鼻について、イラっとしてると瑣末な部分などいちいち比較しようという気も起こらなくなってしまう。今作の場合には主人公の不幸アピールがキツいのでその際の減点も強めかな。チートに対しての理解が早いのに、それを使う時の行動でいちいち想定を用意せずにじたばたしてるのはなんなんだろうな。

 一応他作品と比較した時に特徴になりそうなのは巴と澪という2人の従者がかなり存在感を持っていて、最強設定がわかりやすい上にエロに繋げやすく、ハーレムの構造がスッキリしているという部分だろうか。また、この2人は異世界での案内役としても便利すぎる要素が多く、何もかもを抱え込んでいるおかげで相対的にキャラが立ちやすくなっているというのはプラスポイントではあると思う。まぁ、こっから先に進んでハーレムが拡大する可能性もないではないが。一応、2人のキャラを考えるとこのままトリオ体制で進んでいければ極端にとっ散らかった状態にはならない……かもしれない。いや、でもツダケンは同じくらいのウェイトっぽいけどなぁ。

 作画作劇は割と安定していたので大きな減点をつけようとは思わんけども、別に2期はいらないかな。え、やるの? いや、いいよぉ……。

 

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「ぶらどらぶ」 6→5

 この勢いには……ついていけんかったな……ちょっと時代が早すぎた……いや、時代に完全に取り残された作品なんだろうか? もうこれわかんねぇわ。

 面白かったんですよ。あまりにファニーだし、あまりにデカダンス。これをのびのびと作れてしまうスタッフは凄まじいと思うし、それがきちんと製品として世に出されたことは喜ぶべきことだと思う。好きな人は離れられないくらいに好きな作品じゃなかろうか。私が毎週ミュークルに取り憑かれているのと同じように、今作を浴びることに至上の快楽を覚える層はいるに違いない。ただ、その層はあまりに狭いとも思う。まず前提知識のハードルが高いのよな。気づいたら映画のネタ回しってのがかなりディープになっているみたいで、おそらく監督の趣味に追従できる人間でないとわからないネタで塗り固められている。作家性が振り切れているということは決して悪いことではないのだが、どうしたって間口は狭くなっちゃうだろう。今作は、もうその狭さをフォローする気が一切ないのだ。「まぁ、分からん奴は分からんだろうけど、いいんだよ、俺らはこれがやりたかったんだから」てなもんで。そして残念ながら私は「分からん」側なのよね。

 その上である程度楽しめてしまっているのは、素直にギャグのテンションが凄まじかったというのもあるし、確実にネタの作り方が加齢臭にまみれたおっさんの仕草だったことによると思う。そうなのだ、私も間違いなくおっさんなので、おっさんが考えるギャグアニメの画面が、面白いのである。「こんなん、真面目で立派な大人が寄ってたかって作るもんじゃねぇだろ……」という絶望感が、この上なく愉快なのだ。こういう遊び方が許される作品ってのは偉いと思うんだけども……それでも時々冷静になると「なんやこれ……」っていうおっそろしく冷めた感情を伴っちゃうんだよね……。いっそ、最初から最後まで洗脳してる状態だったらありがたかったのだが……。そういう意味では、もしかしたら一気見しちゃう配信向けのコンテンツだったのかも。そこまで意識して作ってるんだったらすごいな。

 人によって評価が天地に分かれる作品。私は理解が及ばずに「どないやねん」が最終評価だが、それでも楽しさとこだわりの断片が見て取れたので評価はしたい。こういう難しいアニメがいっぱい出てきてくれると、色んな視聴者層が刺激されて良いことには違いないよね。まぁ、どれくらいの視聴者が見てたのかは知らんが。

 

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 猫との決別、第11話。そこだけが唯一釈然とせんわ……この世界の猫とはお別れしなければならなかったのだろうか。瑞穂が帰るために、そこは切り離す必要があるのだろうか。お互いに了解した上での別れなのだろうが、瑞穂視点でも、猫視点でも、なんとも寂しい物語である。

 ラストに向けての急転直下。いや、実際には2000年かかってるわけだから急でも何でもないのだが……アニメだけで見たら1週間の間にいろんなことが片付きすぎていてびっくりする。2000年の時を過ごし、漂流者たちはそれぞれに自分たちの答えを見つけたことだろう。それは諦観かもしれないし、生への執念であるかもしれない。結局、変化も終わりもないこの世界では、人は永遠に人ではいられない。そのことはやまびこ先輩が既に示していたことだった。永遠の時を生きるには、人間という形態は繊細過ぎるのだ。時を過ごすための方法は色々とあるが、そのあたりは久しぶりに復帰したラジダニが大体語ってくれた通りである。何か病的なまでの信念を維持し続け、生きることそのものに意味を見いだすことが出来るなら、数千年の時の中で変わらないことだって可能かもしれない。しかし、彼の言葉を借りるなら「歪み、偏って、均質化」することで、人は人としての個を失っていく。そして、世界を作る。

 そう考えるとやはり、この時点まで残っている人間たちの信念の強さというのは大したもの。ラジダニはまさにそんな信念の体現者であり、彼は2000年の間を「探究心」というモチベーションで乗り越え、今尚、この世界の新しい姿を見ることで刺激を得ているようだ。そんなラジダニがいてくれたからこそ、長良たちも計画を進めることができた。そして、長良・瑞穂・希(そして猫たち)は、きっと周りに同じ目的を持つ仲間がいたからこそ、今まで1つの方向を見て生き続けることができた。それこそがまさに希の能力だったのだろう。他の面々はどうなったのか分からない。朝風は、明星は、あき先生はどうなったのだろう。分からない。1つだけ分かるのは、前回のあのエピソードの果てに、希が「失われた」ということだけである。

 結局この世界の「死」とはなんだったのか。今回のラジダニとの問答ではまるで死そのものが存在しないかのような言い方であったが、観念的な死を除いたとしても、ここまでいくつか「存在の消失」は確認されているだろう。一番はっきりしていたのは逆転世界における二つ星の「死」。ソウとセイジの片方だって、確実にこの世界からは消えている。能力で作られた存在が消えることを死と言えるかどうかは分からないが、少なくとも存在が無くなることは現象としてあり得ること。今回ラジダニが話してくれた「発明家」の話、てっきり「戦争」の話なのかと思ったのだがそうでもないみたいだし、何かを壊し、消し去るという「機能」は、きっとこの世界にも存在するのだ。

 そうして、この世界から無くなることの可能性の1つとして、希の目指した「光」に到達する長良と瑞穂。ラジダニがいたおかげで、不可能と思われていた超跳躍も案外簡単に叶った(まぁ、2000年かかっているが)。この果ての世界には、「元の世界」があるのだろうか。そして、その世界で死んでしまった希は、どこに存在しうるのだろうか。

 長良たちは確実にゴールへ向かっている。そこに何が待っているか、もしかしたら長良は気づいているのかもしれない。

 

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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