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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「魔王軍最強の魔術師は人間だった」 4→3

 特に何もなく。まぁ、無いとは思ってたからいいんだけども。

 その辺のシミュレーションゲームの攻略サイトに書いてあるTIPSをそのまま書き下したような内容。しかもそのゲームは割とレトロゲーである。「内政と外交にこれくらいパラメータ割り振るとベストです」みたいなことがちょこっと書いてあって、戦争の時のユニットの配置のコツとかが書いてある。まぁ、だいたいはマニュアル見た時に想定できる程度のものでしかないが。

 別にそれでも作品は成立する。こんだけ大量のアニメが粗製濫造される中で完全オリジナルなどそうそう生み出されるものじゃないってのは何度も確認してることだし、ベタならベタの使い方があり、描き方がある。オーソドックスな軍記物でもちゃんと面白くなる可能性はあるはずだが、この作品はそうではなかったと、それだけの話である。

 だってさぁ、「人間の中に魔族が1人」っていう設定が何か有効に働くと思うじゃん。タイトルでそう言ってるんだから、そこにオリジナリティを探すじゃん。そしたら「生まれは人間だからあんまり人間殺したくないけどなー(必要とあればじゃんじゃん戦争はする)」くらいのふわっとした設定だけで、あとは「最強の軍師に育てられたのでとても賢いです」って言ってるだけで、豚やら狼やらを相手に知性マウントを取る寂しい王座。そんで対戦相手の人間どもはモンスターに比べりゃまだ知性はあったのかもしれないが、その分品性が欠如したやつばかり出てきて勧善懲悪のお膳立てをするばかり。まぁ、脳死でスカッと物語を描こうと思ったらどうしたってこういう設定になっちゃうんでしょうね。

 いや、でももうちょい「魔王軍」的な部分を活用しろよ。なんで今更ファンタジー世界で火縄銃の三段撃ちをドヤ顔で解説されなきゃいけないんだよ。今時小学生でも知ってるわ。普通に考えたら「知恵が足りないモンスターが人間の開発した兵器にやられる」っていう構図にしなきゃダメなのに、なんで知恵の足りない雑魚モンスターに銃を握らせてドヤ顔できるんだ。モンスターたちにもっとモンスターらしい活躍させてやれよ。

 お約束のハーレム展開もピンとくるものはなく、映像部分も並かやや下。全体的にテイストの統制は取れていたとは思うが、やっぱわしゃあのCGで雑多に動かすモンスター描写は好かん。魔王軍にいるのにモンスターに「生きてる」感が薄いのは勘弁してくれよ。その辺にこだわりがないならなんでアニメ化したのさ。

 世の中になろうアニメへの不満を書いた数だけお金がもらえる仕事があればいいのに。


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「魔導具師ダリアはうつむかない」 4→4

 異世界転生魔力奮闘恋愛ドラマの最終的な感想が「そっか、水虫ってほんと大変なんだな……」だったのはどうかと思う。……俺の感想間違ってないよね?

 まー、なろうである。「魔道具師」という設定が1話目時点でかなりなろう的マイナス要因になると感じられ、転生前の知識で適当にマヨネーズやリンスを作ってドヤ顔して見せるだけの筋書きになるんだろうなぁ、と勝手に見下しながらスタートしたわけだが、(もちろんそうした要素もてんこ盛りだった上で)色々と違うテイストにも貪欲に手を伸ばしていたのはちょっと新鮮だった部分。いや、新鮮ってのはちょっと違うのかな。テンプレとテンプレを混ぜ合わせたテンプレキメラみたいな状態だったので、「この足し算はやりたい放題やな」と面白くなったというか。

 一番大きな要素は少女漫画的なサムシングである。元々「女だてらに仕事ができるアテクシ」はなろう的であると同時に少女漫画的でもあるわけだが、今作はその側面にかなり強めに少女漫画的なフォーマットを当てはめ、ラブ要素に焦点を当てている。もちろん悪役令嬢をはじめ女チート師が男を振り回す展開もなろうテンプレの1つではあるのだが、1人の相手に絞って互いに「デキるやつ」アピールをしながら愛を育んでいく様子は、「素敵な王子様」にフォーカスする少女漫画の傾向が強い気がした。その前段階としてちゃんと1回婚約破棄してザマァ要素を確保するあたりがどうしようもないくらいになろう的なのだが、すでにこの辺は様式美として捉えられているのかもしれないので、気にしても始まらないのだろう。

 そうして少女漫画的な純愛要素を押し出し、さらにそこに異世界チート譚を遠慮なくぶちこんでいくハイブリッド構造はちょっと興味を惹かれるものだった。ただ、いかんせんその中身があまりに下世話な感じがして……「俺たちは異世界で何を見せられているんだ?」という疑問が消えることはなかった。今作と近い構造を持つアニメとしては「本好きの下剋上」があり、商品開発と異世界知識マウントという部分は同じなのだが、「本好き」の方は主人公のハンデに加えて、教会のシステムなどその世界ならではの部分がいい具合に縛りとフックになり独自世界を演出していた。こちらの世界については、ほんとに技術体系がどうなってるのかよく分からないというのが最大のネックで、1つ1つの商品開発が点と点のままでさっぱり結びつかない。適当にその辺にあるものから思いつきで「異世界転生」ならぬ「異世界転売」してるみたいな印象が強く、よりマウント感が雑味として足を引っ張った。

 それに加え……正直言ってさ、水虫対策に全力で挑む企業の成功譚、そこまで見たいか? なんやこの雑なプロジェクトXは。シュールという意味ではちょっと面白いのかもしれんが、例えば「Dr. STONE」みたいに既存知識をその世界に積極的に適応させるでもなく、ネットの水虫対策Q&Aで適当に見てきたんかな、くらいの設定でなんとなく革新的な開発メソッドを生み出したように見せているだけ。……これだったらP.A.WORKSあたりがどこぞの地方の靴下工場の「お仕事アニメ」を作ってくれた方がよっぽどためになりそうじゃない? 今期もほら、鹿せんべい工場のお仕事アニメがあったし(そんなものは無い)。

 まぁ、映像部分は並かやや良レベルだったので最後まで視聴するのにそこまで苦痛はなかったのだが、毎回毎回「俺たちは何を見せられているんだ?」と首を傾げる筋立てはあんまり良い刺激だとは思わなかったね。タイトルが「靴下と靴の中敷職人ダリアはうつむかない」だったら評価してた(してない)。

 
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「現代誤訳」 5→4

 まー、評価もなにも、津田健次郎のファンジンみたいなもんだから……。別に嫌いじゃないけど、それって単に「なんとなくツダケンがわちゃわちゃしてるのを見てるのが楽しい」っていう声ヲタの精神だから、アニメがどうこうとか関係ないのよね。頑張って作ってくれたのかもしれんけど、アニメ作品としての評価は……うーん。

 いや、別に嫌いでもないんだけどさ。単なるシチュエーションコントだからあんまりアニメにする意味が見出せなかったのよね。それこそキャストのゴリゴリに濃い連中だったらガワの絵すらないラジオドラマでもほぼ同じ満足感は創出できた気がするし。オリジナルアニメを作りたいと思った割に、「アニメ」のウェイトの軽い作品だったな、と。まー、こんだけ「頑張って作ってったんすよぉ、アニメ作るのめっちゃ大変なんですよォ」っていう模様を事細かに訴えられると「そりゃ頑張ったのは分かるんですが……」となんか申し訳なくなってしまうね。この作品を解釈すると、「じゃぁこれと比べるべくもない世の中の超絶アニメの数々はどんだけの人たちがどんだけ頑張ってるんだろう」と普段から浴びるように優良アニメをグイグイ飲み続けてることへの感謝を新たにしますわ。そういう意味では意義深い作品だったのかもしれません。流石にコントパートが5分そこらで終わって延々中の人奮闘記だった回があったのは笑ってしまったが。

 (ここまで浪川社長の名前が出てこないのは仕様です。いや、別に嫌いなわけじゃないです)

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「義妹生活」 6→7

 端正な作品だった。何よりもまず、今というこの時代にこの構造のアニメを発表できたこと自体が一番評価できる部分だと思っている。

 感想はだいたい書いてしまっているので改めてディティールを振り返るつもりはないが、大枠でまとめると「画による語りを信じて画面を作り続けた」ことが最大の功績。筋立てだけを見ればあまりに地味だし、画面の動きも、音響の働きすらも現代アニメの傾向に逆行するような非常に淡白なもの。「義妹との恋愛関係」なんて手垢のついたテーマについて、安易な考えでアニメを作れば、けばけばしく、陳腐な時間が流れそうなものだが、今作においては油断して画面から目を離す瞬間がほとんど無い。感情を抑えたモノローグを中心に展開する作劇の中、画面が何を語るかを常に考えながら視聴を続け、そこから細やかな「兄妹」の心情を拾い上げていく行程はとても魅力的だった。この作品、原作時点で色々とチャレンジ精神がある作品だったらしいので……これまた原作がどんな性格なのかはちょっと気になるところ。

 繊細なライティングと巧妙なカット割りで回す今作の映像、実際の作業としてのリソースはそこまでかかっていないだろうから製作のディーンについては「まぁ出来るかな」くらいの印象なのだが、興味があるのはこちらの作品を引っ張った上野壮大氏という監督について。経歴を確認すると制作進行からのキャリアらしいのだが、割ととんとん拍子で監督役にまで上り詰めている感がある。そしてその重積を見事に果たす今作の構造。コンセプト時点で大枠の方向性は決まっていたのかもしれないが、この路線に乗せて作品を成立させるのは非常に難しかったと思う。その手腕が今後も別な作品で活かされることを切に願っている。

 心穏やかに、されど刺激的に、そんなアニメをお求めの方はじっくりゆっくり味わって欲しい。

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「擬似ハーレム」 6→5

 点数は下げてるけど一切ネガティブな印象は持ってません。言語化しにくいんだけど、多分1話目時点での「異物感」みたいなものが回を重ねるごとに慣れていったために特別な要素がなくなっちゃったんだと思う。ほら、よく分かんない食べ物を一口食べて「?! なんだこれ!」ってびっくりしたのが第一印象で、そのあとでよーく咀嚼したら「うん、うん、あー、なんとなくアレに似てるかもしれない。いや、美味しいけどね」みたいな印象になった感じ。

 なんで言い訳みたいな書き出しになっているかってぇと、要素の切り出しが難しいからなのよね。だってほんとに思いつきで作った「複数の属性を演じることができる後輩ちゃんとずっとイチャイチャしてるだけの話」じゃん。ネタ部分は1話目で全部出し切っちゃったわけで、ひでぇ言い方をすればあとは惰性みたいなもんでさ。そこから「1クールずっと面白かったですね!」とはならんのよ。でも別に嫌いじゃなくて最後まで特に退屈せずに観られている。多分トータルですごくまとまりのいい作品なんだよ。作画クオリティも決して低くはないし。やたらとクセの強いキャラデザも、メインヒロインの凛が「可愛い」と思われてしまえば、あとは勝手にイメージの方がついてきてくれるからね。

 あとは早見劇場をどれくらい求めているかで評価は変わるかしらね。私は割と求めてる側で、こんなんなんぼあってもいいですからね。でもそれだけで手放しで評価しちゃうのも流石にどうかと思ったのでなんとなく気取って一歩引いた感じにしている。こっちを評価して「魔法科高校」を評価しないのもどうやねん、みたいな変な正義感が俺を邪魔している。いや、そこはもう「全部違うだろ」でいいと思うんだけどさ。今作ならではのポイントををピックアップするとしたら……そうね、「高校→大学」っていう変化を1本のアニメ作品の中で連続して描いてるパターンって珍しいよね。中盤で先輩が卒業した時には「えっ、最終回だったん?」と不安になったが、そこから学校の違いを軽々と飛び越えてちょっと「大人の」恋愛をしてる2人がまた微笑ましかったですわ。最終回の達成感とか、見てたらもう点数下げなくてもいい気もしてきたな。

 なんだろ、こうしてアウトプットしてるとだんだん「来週から見られないのかぁ」っていうロスに陥ってる気がしてきた。情緒大丈夫か。

 
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 猫屋敷さんちノ家庭事情、第34話。なんて一家なんだ……プリキュア名物エロキュートさを煮詰めたようなママ、人類全ての宿業を凝縮した娘、そしてそんな娘にファザコンっぷりを発揮される父親。ほんで猫。……恐ろしい家庭だ。

 前回に引き続き「パパ回」でもあり、2週続けて各家庭にスポットを当てるというなんだか珍しい展開だが、よりによって猫屋敷回がこれまたプリキュア名物の省エネ作画回にバッティングしてしまうという不幸。今回は特に中割りの枚数も少ない上に止め絵もギャグレベルで酷いやつが多かったのはしょんぼりである。ユキまゆはまだしも、ザクロさんのショボ作画バージョンは見とうなかった。でもまぁ、こんなショボ絵だからこそニャミじゃらしが許された(?)感もあるし……必要経費と割り切るしかないわね。

 作画のしょぼさに目をつぶれば念願のユキさんメイン回。もうすっかりツンデレのデレの部分が固定されたため、あとは彼女のパーソナリティに迫って遠慮なく可愛らしさを発揮してもらえば良い。冒頭からいきなりまゆに手玉に取られて変顔を披露するユキからスタートしており、「あんだけ人間態のユキと行動を共にしてるくせに、猫状態のユキに対しては遠慮なく猫として接することができるまゆさんの心臓強すぎるだろ……」とか思ったり、思わなかったり。あの姿のユキがねこじゃらしに翻弄されてたとしたらシュールすぎるだろ。

 しかし、そんなユキ第一主義のまゆさんも家族はとても大事。犬飼も猫屋敷も家族仲が最強に良さそうで何よりである(そういや兎山の家は家族事情ほとんど明かしてないな)。これまたプリキュア名物の「海外を飛び回って活動している父親」で、多分過去にも「海外活動が多い写真家」って父親キャラどっかにいたよな。今回はアニマルな設定とがっちり噛み合ってるから違和感は全くないんだけど、あの頑強そうな父親と闊達な母親からこんなお淑やか(?)な娘さんも生まれるもんかと遺伝の不思議さについて考えさせられる。あ、でもエンジンかかった時のまゆを見てればあんまり不思議でもないか。次回のおせっかいババアパワーにも期待。

 そうして家族団欒があったもんで、今回はユキさんもちょっとまゆから離れてみようってんで、プリキュアになって初めて、特に目的もない状態での街ブラ。ユキさん、自由時間が出来てやってみたかったことが「カフェ巡り→映画鑑賞」なのはインテリジェンスが感じられるけど、いったいどこでそんな情報を手に入れてるのかが気になるところ。あと喫茶代とか映画代とか、ちゃんとお小遣いもらってるんだな、というのも意外と言えば意外。家猫に資金を与えたら全額ちゅ〜るに替えたりしないかちょっと心配だよな。多分こむぎはお小遣いとか与えられてないんじゃなかろうか。「いろは〜! このブレスレットつけてるだだけで幸せになれるらしいワン!」みたいな買い物してきそう。

 そして偶然出会った猫集会から、初めて地元の猫と交流することができたユキ。まぁ、箱入り娘のユキさんは普通に生活してたらこういう地域猫と触れ合う機会もなさそうよね。元々は野良の出身とはいえ、物心ついてまもなく猫屋敷家に引き取られたっぽいし、必要性を感じなかったら他猫と絡む機会もなかっただろう。「余所者」だったユキさんは猫コミュニティから警戒される可能性もあったが、ザクロさんの親切な介入によって第一印象は最高の展開。やっぱ動物には優しいザクロさんに感謝しないとね。てめぇも狼のくせして「猫にひっかかれたら消毒しようね!」と注意喚起してくれるあたりもそつがないのである。

 個人的には「外野席で大量の野良猫と一緒に観戦してた悟」もなかなかのツボ。猫たちも試合の結果は気になるだろうが、全然関係ない部外者の悟に警戒心を一切持たずに寄り添ってたあたり、悟の人間性の表れなのかもしれない。劇場版見たあとだと「兎山サイドも本編で動きがあるかなー」とは思ってたけど、それはどうやら次回が本番のようである。

 さて、秋も終わりのこのタイミングで悟が仕掛けるか……いや、仕掛けない気もするが……本編内での大福さんの扱いは気になりますね。一応、これまでの例では劇場作品公開後数週間経てば映画の内容に言及してもいいルールではあると思うが、さて……。

 
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 その関係性にどんな名前をつけていくのか、最終話。2つの明日は同じものになるのかどうかはまだ分かりませんが、改めて「赤の他人だった2人が、本当の家族になる物語」って書き方は上手い。

 意外にも最終話できっちり落とし前つけてくれましたね。今作のテイストで言うならそこまでも辿りつかないんじゃないかと思ったんだが、ラストは一気に距離を詰めて2人のとりあえずの「ゴール」にたどり着けた。まぁ、この形がベターでしょうね(ベストかどうかはまだ分からないけど)。今回のお話で強いて気になった点を挙げるとするなら、悠太が出会った謎の賢者・藤浪さんがあまりにも賢者すぎたところだろうか。彼女が今いくつなのかすら定かでないのだが、逆境を生き抜いて強くなったその人生訓を、出会って間もない悠太に遠慮会釈なくぶつけてきやがった。藤浪がそうした人生訓を得ていること自体が歳にそぐわぬとんでもポイントだが、それが悠太にとって必要な訓話であるということも理解した上で、わざわざ場をセッティングして下賜している状態。あまりにも導き手として手慣れすぎている。これで種﨑ボイスじゃなかったら流石に違和感があったところだが、種﨑ボイスのせいで違和感がなさすぎてかえって困ってしまうくらいである。「フリーレン様、ようやく人間への理解も深まってきましたね」くらいのもんである。過去に種﨑ボイスの愚者って存在したっけ?(アーニャかな……)

 閑話休題、そんな賢者の導きにより、ついに真理へと辿り着いた悠太。放っておいてもこの2人だったらいつかは辿り着いてしまう結論だったと思うのだが、今回はわざわざ2人して同時に「現状じゃダメなんだ、もっと外を向いていかないと」って違う相手をあてがったと見せかけて、わずか1、2週で「君じゃなきゃダメみたい」に戻ってくるというスピード処理。まぁ、すでに答えは分かってたってことなんだろうけど。可哀想なのは沙季にあてがわれた方の男で、あいつは純粋にフラれた。理由もよく分からず、単に「生理的に無理」という理由で(そんな失礼なこと言ってない)。それくらいのショック療法がないと臆病な沙季は自分と向き合えなかっただろうからしょうがない。先週のヘンテコ教授が予言を残し、実際に今週その通りになった。そのセットがあって初めて、沙季は自分の心と向き合うことになった。

 そして悠太に至っては藤浪さんが当て馬ですらなかった。「おっ、互いに違う異性に興味を持って別々な道を歩むんやな」と思ってたら、むしろ強引にルート修正するガイドだった。なんか、翌週に実習室に行ったら藤浪さんが影も形もなくなってて「もしかして中秋の名月が生み出した幻影だったのでは……」くらいの処理になりそうで怖い。まぁ、そこはシンプルで明確な外付け倫理(逸脱)装置として出てきたと割り切っておこう。

 そうして悠太は結論を出し、沙季との「すり合わせ」に臨む。ことここに至っては予防線もガードも何もない。ただ本心を打ち明けて結果を待つしかない。毎度お馴染みリビングのシーン、今回は朝食時だったので画面全体が比較的明るく照らされているが、今までになかった要素として「家の外、ベランダに置かれた鉢の樹木」がはっきりと見えている。過去にリビングのシーンといえばカウンターの上の花瓶がこの場を支配していたが、それまで窓の外、カーテンの向こう側にひっそりと隠れていた植木が、堂々と顔を出したのだ。陽光に照らされて存在感を放つ植木は当然悠太の象徴。これまでと違って本心を包み隠さなくなり、はっきりとこのリビングにある「2つの心」の存在を示している。そして対比的にカウンターの上の花瓶は直射日光を浴びていないのでやや暗めのライティング。沙季の心がまだこの時点では打ち明けられないことを含意する。

 しかしまぁ、お互いの心は結局結ばれているのだ。私室のドアを挟んでのやり取りに昨日見た「ルックバック」の光景が重なって一瞬ドキッとしたが、このドアを巡るシーケンスのカット割りも実に興味深い。今作最大の特徴であるカメラの押し引きがここでも遺憾無く発揮されており、珍しく躍動感のある立ち回りを際立たせた。

 そして沙季が悠太を部屋に招き入れ、「一線を超えて」からは話が早い。お互いに自分の感情と向き合えたとはいえ、2人して余計なまでに理知的な性格。「擦り合わせ」は万事滞りなく進むのである。こちらのカットでも印象的だったカメラワークがあり、それは露骨なイマジナリーラインの越境。いや、わたしゃ専門家でも何でもないのでイマジナリーラインの何たるかをよく分かってないんだが(「パプリカ」で見聞きした程度だが)、今回は沙季が悠太を抱きしめるシーンで思い切り視界が反転し、通常なら超えないと言われるラインを軽々と超えた。確かに、実際にそうして「ラインを越える」カット割を見るとその印象は強烈。それまでずっと「悠太が前に出る」シーンだったところを、一気に「沙季が迎え入れる」構図に早変わりする。たったこれだけの演出で沙季の決意がはっきりと分かる。お見事。

 無事に結論に辿り着いた2人。しかしまだまだこれからの課題も多いし、ラブストーリーとして見るなら、ここから先も刺激は多いことだろう。原作はまだ未完のようだが、この先の展開はどうなるんでしょうかね。だいぶ気になります。

 
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「俺は全てを【パリイ】する〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜」 4→3

 今期は異世界なろう作品をバッサバッサと切り捨てて割とすっきりしてたシーズンだったんですが、一応最後まで見ていた作品もあります。ただ、切ったか切らなかったかに明確な差は無く、序盤数話での巡り合わせとしか言いようのない基準です。何が言いたいかというと、別に最後まで見てた作品が面白い作品ではないということです。

 まぁ、一応映像部分にマイナス評価がないという部分は視聴継続の理由にはなっていたのかもしれないけど、別にいい画があったかと言われたらそんなこともなく、いつものように「こういう作品を減らしてもっと限られたアニメにリソースを割けばいいのに……」と思うだけのもの。なろう的枠組みから外れることはなく、最後までなんかムカつく話をずっとされるだけのアニメ。ことに今作はサブタイトルにもある「逆勘違い」というのがネタの根幹にあるために、主人公が「難聴」とかいう次元ではなくて単なるバカの極みになってしまったのでイライラ具合も尋常じゃない。

 もちろん作り手側は「才能があるのに気づいていない」という部分を面白おかしく描くネタとして取り扱っているわけだが、こんだけ同じくだりをひたすら繰り返され、その都度適当な理由をつけて勘違いのままで維持し、主人公の認識を一切改める様子がないのは、あまりにネタのためのネタで不条理さが先に立つ。冷静に考えて、「自分の実力を鼻にかけてマウント取ってくるバカ」と「自分の恵まれた境遇を全く理解せず、勘違いのままでいい人ぶっているバカ」はどちらも等しくムカつくやつなのは間違いない。これを「善人」として描くのはいくら何でも無理があるだろう。ご丁寧に最終話で「実は昔からその才能は開花してたんですよー」みたいな後語りが出てくると「うるせぇ黙れ」感が加速しますね。

 せめてもうちょいなろうテンプレからはみ出る部分があれば根本部分のイライラには多少目をつぶることもできたかもしれないが、多分「勘違い」の構築に全リソースを振ってしまったためなのだろう、肝心の冒険部分については何一つ心踊る部分はなかった。まぁ、想定内といえば想定内ですけどね。

 この作品のせいでパリィという古くからTRPGとかでも使われてる1つのちっちゃい技術に変なレッテルが貼られるようになったらヤだなぁ。あ、「パリィ」っていうワードをうまいこと使ったオープニング曲だけちょっと好きです。歌詞を確認したら「PARTY」なのね。

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「女神のカフェテラス(第2期)」 ―→5

 なんかもう、「おめぇはそれでいいや」の極致だ。伝統芸能というのは守り継ぐことと打ち破ることのバランスが難しい。今作は、案外チャレンジ精神に溢れた「破」の精神を持った作品だったかもしれない。

 確認したら、作者の瀬尾公治も今年で御歳50歳。名実ともにマガジン作家陣の大ベテラン。初めて連載を開始したのが20年ほど前だったらしいのだが、そこから5本もの連載を繰り返し、ほぼ全てが似たようなテイストのラブコメ。マンネリズムの極みの中、もはや作家性におんぶにだっこで手癖で描き続けても文句は言われない(いや、文句は言われても気にならない)域にまで達しているはずだ。その上で、この作品が出てくるってのはけっこう偉いことなんじゃないかと思うのである。

 2期目での注目ポイントは何と言っても「5人のヒロイン勢にさらに5人追加」というありえない展開。しかも元ヒロインをベースにしたコピー品との対決、暗黒聖闘士形式での追加という未だかつてない導入で、ラブコメというジャンルに風穴を開けた感がある。いや、意味はないんだけども……「その発想は無かったし、あったとしても誰もやろうとは思わなかった」みたいな無茶苦茶な展開。10人のヒロインなんて御しきれるはずもないし、単にとっ散らかってラブコメの体裁すら保てない危険性がある中、ひたすらドタバタギャグに徹してノリと勢いで回し続けるこの作風は、案外やろうと思ってもできなかった形式なのかもしれない。考えてみりゃ、マガジンといえば先輩の赤松健が「ヒロイン30人」という更なる無茶を実践してそれなりの結果を残した誌面。案外そうしたチャレンジ精神というのは受け継がれるものなのかもしれない。まぁ、今やヒロイン数が「100」に辿り着こうという作品すら生まれる時代ではあるが。

 設定を作り、盛り込み、切り盛りする。その結果だけを見ればなんだかんだで成立していたし、明け透けなエロもここまでいってしまえば単なるギャグに特化して古臭い笑いがいい味わいになる。私の中の瀬尾公治の作家性はここまで振り切れるものだとは思っていなかったので、正直ちょっと感心したくらいである。まぁ、残念ながらアニメーションとしてのクオリティは並も並だったので大きな加点には繋がらないが……手塚プロのチープな作画がこの「温故知新」にはちょうどいいのかもしれませんな。

 「ドタバタしてたなぁ」という何となくの記憶だけで飲み込んでおくのが吉なので、この後の結末とかもあんまり興味はない。3期は、別になくてもいいですが……あったら観るんだろうな。

 
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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