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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「海賊王女」 6

 「海賊ヒロイン」と言われて「宇宙海賊ミトの大冒険」を思い出すか「モーレツ宇宙海賊」を思い出すかでジェネレーションがわかるかもしれませんが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。ちなみに一般的な日本国民は「どっちも知らんがな」が正解です。

 一発目の画面からグッと引き込まれる期待の新作オリジナルアニメーション。制作はProduction. I.G.ということで品質保証が確約されており、繊細な映像美は近世ヨーロッパ風の世界といってもナーロッパの適当な風景とはエラい違いである。そんな中でもあまりシリアスに固まらずに非常にコミカルな印象を全面に押し出しており、何よりもヒロインの適当かつ粗雑な性格設定が一気にハードルを下げて入りやすくしてくれている。こういうメリハリがあると、「ちゃんとアニメ観てるなぁ」という実感が湧いてくる。

 今作は監督のクレジットの筆頭に個人名義がきていない連名でのプロジェクトになっているようだが、失礼ながらその筆頭を務めている(と思われる)中澤一登氏という名前にはあんまり見覚えがなかった。一応I.G.作品を中心にいろんなところで作画家として参加している人みたいで、来歴を見ると「キルビルのアニメパート監督として知られる」なんて情報も。つまりは割とベテランらしい。どういう座組みでこうしたオリジナルアニメーションが完成したのかはよく分からないが、正直、こういう合同プロジェクトって最終的に着地点が定まらずに尻すぼみになることが多い気がするので、是非とも芯の通った作品になることを願っている。

 「お姫様救出からの冒険譚」というそれなりにベタな書き出しではあるものの、1話目で大活躍するのが2人のジジイっていう時点でまずちょっと面白い。おっさんが活躍するアニメは面白いので、ジジイが活躍するアニメはもっと面白い(どういう理屈だ)。そしてミスターブシドーみたいな頓狂な兜の集団が仲良しチームとして今後「海賊」業務を務めることになると思うのだが、あとはスチャラカな冒険をこの騒がしい姫様と続けてくれることを祈るだけである。1話目から割とキャラは立ってるし、しばらくは退屈せずに見守れそうだ。

 瀬戸ちゃんは最近野薔薇やらあすか先輩やらはねっかえりの役が多かったので登場時には「わぁい瀬戸ちゃんのおしとやかプリンセス」って思ったけど決してそんなことはなかったぜ。愉快愉快。あと、個人的に是非注目していただきたいのはオープニング楽曲。歌唱がJUNNAで、楽曲提供が劇伴も担当している梶浦由記というタッグである。この組み合わせは嬉しいねぇ。一発でそれとわかる露骨な梶浦サウンドはやっぱり好きだわ。良いアニメになってこちらも盛り上がることを期待したいぞ。

 

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RE-MAIN」 5→5

 人間の脳ってすげぇな、っていうアニメでしたね。どうなんだろ、実際にこういう症例ってあるものなのかしら。記憶喪失ってあまりにもフィクションで便利に使われるもんだから魔法みたいなイメージが定着してるけども……案外、実際に起こりうることだったとしたら……怖いな。

 というわけで、「強い主人公」と「視聴者に優しい初心者向け主人公」の2つの側面のおいしいとこ取りしようと思ったら、主人公の脳のスイッチがカチカチと入れ替わることになってしまったややこしいアニメ。そこはもう、いっそアニメ的に振り切れて二重人格とかにしちゃう手もあったような気はするのだが、ドラマの筋立ての関係上、「記憶喪失→記憶復活とともに人格消失」というよりおっかない設定で展開する必要があったのだろう。多分この設定で一番残念なのは、戻ってきた本来のみなとの人格が一番のクソ野郎だったことだ。ただでさえ馴染みの薄いジャンルの話だというのに、主人公の設定についていけないどころかついて行きたくないと思わせるようなとんでもない奴を中心に置いてしまったため、視聴者目線の乖離が甚だしく、なかなか入り込むことが出来ないアニメになっている。

 ただまぁ、そもそも「水球少年」に感情移入することが難しいってのは当たり前の話なので、そこは諦めて思い切りお話的に便利な性格設定にしちゃったというのは案外良い判断だったのかもしれない。好感度は下がるが物語の中での盛り上がりというか「どないやねん」度数は跳ね上がることになったし、水球のあれこれが分からない視聴者目線でも、そんな馬鹿馬鹿しいような記憶障害アニメとしての理不尽さを楽しむこともできたのだ。まぁ、逆にそこで離れていった人もいるとは思うが……私は、アニメならこれくらい振り切れてるアホ設定でも良いとは思う。

 「水球アニメ」として水球の競技人口やファン人口を増やす役には立ってない気はするが、逆にいえばそこまで本質的に水球に触らずに「なんとなく水球アニメ」として最後までやり切れてるし、これはこれでありなのではないかと。ずっと観てて思ったのは、「やっぱ水球キャップつけると誰が誰だか分からんようになるからキャラもんのアニメには向いてないよな……」ってことであった。

 

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○「MUTEKING THE Dancing HERO」 5

 言われてみればさ、「ムテキング」っていう単語、聞いたこともあるし口に出したこともあるはずなんだけど、その実態がなんなのかは一切知らんかったな。単に語感がいいだけの単語だった。

 調べて初めて知った、ムテキングとは1980年に放送されたタツノコアニメ。中身はさっぱり分からないが、Wiki情報によれば当時の「ナウい」をキーワードとしたヒーローギャグアニメだったとかなんとか。へぇ。当然そんな時代の話を知る由も無いが、それでも単語だけ知ってたってことはそれなりに有名なものだったのだろうか。まぁ、当時はタツノコといえばアニメ制作会社としては筆頭の1つだったのだろうし……昭和の時代の思い出のワンシーンといったところだろう。そして、最近のタツノコはいろんなものをとりあえずリブートして数を稼ぐ商売ばかりやっており、もう、過去の代表作はほとんどが新アニメにされてしまったのではなかろうか。残念ながらそれらがあまり話題になることは無いのだが、個人的には土曜夕方枠(タイムボカン、ハクション大魔王など)はそれなりに見ているので悪いもんでもないとは思っている。そして、今回は深夜枠でこの「ムテキング」と相成ったわけだ。

 まー、タツノコはなんかこう、すでに「時代についていかなきゃ!」とか「新しい世界を作らなきゃ!」みたいな義務感からは完全に解き放たれているよね。古いもんは古いままでええねん、というので「似非レトロ」みたいなものをむしろ武器として振りかざし、そこに「現代でなければ出来ない」くらいのちょっとしたリメイク要素を加えている。ポップなのかパンクなのかテクノなのかヒップホップなのか、なんだかよく分からない音楽シーンを作り出し、現代の流行りなど一切追わない独自のキャラクターデザインで突き進む作品世界は、古いけど新しい、新しいけどダサいという絶妙なライン。個人的には思い入れなど欠片も無いしこのテイストがすげぇ面白いとも思わないのだが、わざわざ頑張ってやってくれていることに意義は感じる。このバランスで「ちゃんと見られる」画面を作るのは結構繊細な作業であるとは思うんだよね。ちゃんと見た人に「よく分からんけどアホっぽくてなんか楽しい」と思わせれば勝ち。ただ、この手の雰囲気づくりって、結局お話が陳腐だと2、3話くらいで飽きちゃうからなぁ……。過度な期待はせずに薄目で見守るくらいが吉か。

 

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D_CIDE TRAUMEREI」 5→5

 ソシャゲの販促アニメなので何かが完結したって感じにならないのは残念ではあるが、予想も期待も裏切らず、の無難な仕上がりにはなっているんじゃなかろうか。

 毎回若者の悩みを1つ抱えてそれを怪物にして、正義の味方チームがぶっ倒すというプリキュアメソッド(もしくはライダーメソッド)をただ素直にやるだけのお話。そこに特に意外性もなければ落ち度もなく、最後に出てきたでっかい敵についても「これがラスボスかぁ、あんまりピンとこねぇな」くらいのものなのでそこまで達成感は無い。ただ、そこに不足があるかと言われればそんなこともなく、ソシャゲのメインの舞台だと思われる「島」の話は脇に置いといて、同様のノッカーアップ連中が渋谷の街ならどう戦ったか、というアナザーストーリーを無難に片付けている。これならソシャゲをやらずともそこまで「足りない」って印象にならないだろうし、ソシャゲしかやらない人間でもアニメを見ずとも大きな問題はない。販促アニメとしては控えめな態度である。これくらいのメディアミックスというのがアニメ視聴者としては助かりますね。

 というわけで中身についてはあんまり触れるべき点もないので、やはり今作は大きく2点で総括しておけば充分。1つは新番チェックの時点ですでに触れている「サンジゲンの堅実な成長」という側面。すっかりブシロードコンテンツとの蜜月関係を築いているサンジゲンだが、「バンドリ」で見せた可能性を「D4DJ」で大きく広げたことでCG制作会社としても存在感を増している。ただ、どうしたって「バンドリ→D4DJ」の方向性だけではジャンルが制限されてしまうし、同じテイストだけでごまかしている感も否めない。そこで、絵のテイストを調整しつつ、別ジャンルの作品でもしっかり培ってきたアニメ的描画技術が活かせるんだよ、ということを知らしめるのが本作である。キャラの表情部分などにより繊細な作り込みが要求される他、ダイナミックなバトル演出でのエフェクトの利かせ方なんかも存分に見せられる。これなら「バンドリ専門スタジオ」なんて謗られる心配も無いし、今後も多方面に展開できるという期待が持てるんじゃなかろうか。

 もう1点は、そんなブシロードがどういうコンテンツを開拓していくかという部分。今作はド正面から典型的RPGの世界観で攻めた作品になっており、イメージとしては「ペルソナ」あたりを狙ってるのかな。果たしてどれくらいのユーザーを獲得できるかは分からないが、何かここいらで大きなIPが欲しかったのは事実だろう。今作をうまいこと軌道に乗せて、多方面に展開できるかどうかは社運をかけた勝負どころかもしれない。まぁ、残念ながらそこまで話題作にはならない気もするが……個人的には、ブシロードに関しては「伊藤彩沙という才能を発掘してきた」という功績だけで充分に評価しているので、今後とも彩沙にはいろんなクソ女を担当させていただきたい。今作の玲菜も最後の最後でいい仕事した。誰がずんぐりピンクや。

 

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○「半妖の夜叉姫 弐の章」 ー

 半年空いての2期目。こんなとんでもないところで終わってたんだっけ……いきなりクライマックスみたいな展開にされても、あんまり思い入れがなくて覚えてなかったからピンとこねぇぞ。

 この犬夜叉、割と作画が安定してて見てる分には決して悪くない作品なんだけど、やっぱり致命的に中身に興味がないから筋が全然入ってこなかったんだよな……まぁ、ほら、犬夜叉って大体お使いRPGみたいな場当たり的な妖怪退治イベントをこなしていくだけのストーリーだし、その認識で別に問題ないよね?(ね?)

 ちなみに、何故か2期に入るにあたって監督をはじめ幾らかのスタッフが交代になっている。こういう分割クールで長尺になるってわかってる作品で途中交代ってのも妙な話だよな。

 

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○「舞妓さんちのまかないさん」 ー

 ショート枠なのでわざわざ記事立てんでもいいのだが、せっかくレコーダーが仕事してくれたので記録ついでに。

 実は何故か原作はちょっと読んでる。多分いつものように漫画喫茶でなんとなく手に取ったのだろう。一時期、適当な料理漫画っぽいタイトルを手にしてた時期があったのだ。その時に「まぁ、特にこれといって特徴もないな」と思って1巻でやめてしまったのだと思う。まぁ、あんまりこういう日常系の食い物漫画に「他作との違い」を求めるもんでもないな。Eテレで放送するショートアニメとしてならば雰囲気もちょうどいいし、案外豆知識以上のちゃんとした京都知識・食べ物知識も教えてくれるので教育的にも良いのではなかろうか。

 原作のぼんやりした記憶だと主人公はあんまり花澤ボイスのイメージがなかったのでそこだけがちょっと意外かな。相棒の京都弁は大阪人が担当しているのでそれなりに大丈夫です。そして何より嬉しいのはナレーションですね。そう、京都を愛し、京都検定まで受けている自他共に認める京都大好き声優がいよいよ京都文化をテーマとしたアニメでナレーションを請け負った。いいですな、のんびりふわっとした作画、食べ物メインのユルい雰囲気、そして大原ボイスで紡いでいくショートアニメ。平和です。

 

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○「終末のワルキューレ」 4

 すでにネット配信は完了しているらしい作品。一応1クール分くらい遅れての地上波放送なので新番組といえば新番組。

 なんか、やたらネットで画像を見かけることがある作品。まぁ、設定があまりにもバカバカしくていじるのにちょうどいいためだろう。おかげでどうにも先入観を抱えた状態での視聴になってしまっている気がするが、こればっかりはいくら目を塞いだところでどうしようもないや。

 多分誰しもが思うだろう気になる点を真っ先にあげるなら、結局「神々」ってどういう存在なんだよ、ってことである。「人類を作った」と言われていたが、それが本当だとして、この作中に登場している神は我々のリアル宗教の神と同一と捉えて問題ないのだろうか? そうなると複数の宗教が同時に存在することになり、絶対に国作り神話とかでバッティングが起こると思うんだけど、「大量の神がなんかよく分からんところに集まって合議制で人類の未来を決めてる」っていう設定は後からちゃんと説明がつけられるのだろうか? また、そうして存在している神が人類と「ステゴロタイマンバトルをやる」という設定なのだが、果たして神ってのはどれくらいのスペックを持っているものなのだろう。「神側の有名人と人類側の有名人をぶつけたら面白くね?」という発想の起点はわかるのだが、それって「ドラゴンボールのキャラと北斗の拳のキャラをぶつけたら誰が勝つの?」と言ってるようなもんで、世界がずれてしまってるのだから、それを同じ皿の上に置いて比較する意味は無いはずなのだ。もしそこに意味があるんだとすると、そもそもの「神」の設定に破綻が生じてしまうだろう。そういうディティールを気にし始めると、そもそも今作の醍醐味となりそうな部分を楽しめるかどうかが疑問である。

 また、残念ながらアニメーションの方もお世辞にも質がいいとは言えない。1話目はなんと第1試合の入場まででほぼ終わり。露骨な尺稼ぎ展開が非常にイライラする間延び感を助長しており、入場の時の名前コールなんて何故か互いに2回ずつ行われている。1つ1つのカットに特に盛り上がりが感じられないため、本当に「引き伸ばしたくて引き伸ばしてるんやろなぁ」という感想しか出てこない。似たような設定でサクサク試合が展開していた「ケンガンアシュラ」を見習ってほしい。まぁ、原作のストック状況が違いすぎるのだろうけど。

 結局「神と人間ってどれくらい何が違うの?」という部分が分からず、それぞれのキャラクターがただただ別の物語から別個に切り取られて出てくるだけなので、統一感はスマブラ以下だろう。そこにバトルものとしての楽しさを見いだすのも難しそう。トータルでいうと1話目から期待感は得られなかった。やっぱネトフリアニメ、どっかずれてることが多いよ。

 

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○「結城友奈は勇者である -大満開の章-」 6

 おかえり勇者部。とりあえず友奈ちゃんたちの元気そうな姿がみられるだけでも眼福ものです。もう、ずっとこのまま日常ものでも一向に構わんのだがね。

 とはいいつつも、勇者部シリーズと私の接点はあまり多くない。結局ソシャゲをやらなかった時点である程度切れてしまっており、今日までの接続は劇場アニメと「勇者の章」だった。幸いそれらは文句なしの秀作であり、きちんと「鷲尾須美」の物語も理解した上で、改めての「ゆゆゆ」ということに。まぁ、単に園子が増えただけの勇者部ではあるのだが。本当にどのキャラも振り切れてて元気一杯なのが素晴らしい。私は元来風先輩推しだが、声が戻って「最近じゃむしろ貴重かもしれない妹なともよ」とか、「わっしーなのか東郷さんなのかはよくわからないけど最終的に単なる友奈ちゃんのストーカー」とか、いろんなところが眩しくてしょうがない。冒頭のバンド演奏の流れで無駄にみんなしてスキルが高いの笑ってしまうわ。このまま大ガールズバンド時代に風穴を開ければいいのにね。いや、開けたからこそ引退したのかもしれんけど。こんだけ盛り上がって完成度の高いわちゃわちゃを見せられると、やっぱりたった1つの欠けたピースである三ノ輪銀の存在が……彼女がいてくれたらキャンプはもっと盛り上がっただろうになぁ(なでしこの中の人)。

 とにかく勝手知ったる香川の地。今回もまた、劇的な物語が展開していくことになるのでしょう。ただ、タイトルからすると、もしかしたらソシャゲ出自のよく分からんキャラとかも追加されるかもしれないってのがちょいと懸念点ではあるけどね。1話からサブとかモブでやたらとそれっぽいキャストが身構えてて怖かった。

 

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○「ブルーピリオド」 6

 おい「ぐらんぶる」! なにしてくれてんねん! ……いやぁ、あの雰囲気で突入したCMでぶっこんで来たのはさすがですわ……。観てない人はこちら参照

 ま冗談はさておき、いろんなところで名前は見たことがあったけど中身は全然知らなかった作品。書店で平積みされてるのを見たり、なんか受賞したみたいな話題を聞いたりはしたんだけど特に触れる機会が無かったな。その上で何故か、なんも知らんもんだから「サッカー漫画かなんかじゃね?」って勝手に思ってた(多分表紙の主人公の顔のイメージだけだ)。その上でこの1話目冒頭もサッカーから始まったので、そこからあれよあれよと別方向に行ったのでちょっと面食らった。どんな驚き方やねん。

 なんかね、とても肌に合う作品という気がしますね。一番大きいのは、主人公のキャラクター設定じゃないかな。彼の気持ちはすごく共感できるというか、彼と「美術」との出会いがすごく羨ましく見える。自分語りをする必要もないのだろうが、私という人間はおっそろしく「言語」に依存している人間で、物を考えるときに言語に依存する傾向が人より強い。とにかく文字としてアウトプットしたいと思うし、説明するなら言葉を尽くせと思いながら人生を生きてきた。そんな人間だからこそ、作中の言葉を借りるなら「言語以外の表現手段」というものに憧れることがある。絵心が全く無いから絵を描ける人間は羨ましいし、絵画美術なんて理解できないから理解してる風の人種が妬ましい。これまでの人生で何度か、「美術を理解してやろ」とか思って入門書とか解説書とか、そういうのを読んでみたこともあるのだが、結局そこに並んでいる「文字」を理解したとて、絵への理解には及ばない。そんな悔しさってあるじゃないですか。そういう歪んだ羨望が、もしかしたら私をアニメに縛り付けているのかもしれませんね。

 閑話休題、そんな目線で見て、今作の主人公の心の動きというのは、羨ましくもあるけど、不思議と理解も及ぶ気がするんだ。「これまで人と対話できてた気がしない」という思春期丸出しの厭世的な物の見方からスタートしたおかげというのもあるが、偶然にも見えた景色、偶然描いた景色から世界に接続し、今まで想像もしなかった手段での自己表現が実現した。それがあまりに衝撃的なパラダイムシフトであったために、参考書を投げ出してでも美大に行きたいと思ってしまった。その無謀すぎる心の動きは、充分に主人公として格好いい。タバコは吸うけど別に悪い連中というわけではない取り巻きとか、主人公と関係根深そうな花守ボイスの子(結局あれって男の娘なんだろうか、単なる変な名前の子なんだろうか)、控えめながらも美術愛に満ちた丸っこい先輩、そして声の力もあって存在感と説得力に満ちたオーラを感じさせる美術のおばちゃん。キャラの配置がよくて嘘みたいな出会いの物語がすんなり入ってくる。きちんと合間に美術知識を絡めたオリジナリティもあるし、「続きが見てみたい」と思わせるだけの1話目になっていたんじゃなかろうか。

 アニメーションとしても色々と気が利いており、何と言っても1話目で見るべきは作品タイトルにもなっている「青」の見せ方。「美術」をテーマにした作品ということで他作品よりも画面の説得力が重要になってくるわけで、コンテ1つで台無しになるリスクも存分に孕んでいる。1話目コンテはなんと「総監督」としてクレジットされている舛成さんではないか。1話目の制作理念がきちんとスタッフで共有されていれば、今後も楽しい画を見せてくれるんじゃなかろうか。唯一懸念点があるとすれば、製作スタジオがセブンアークという部分だけだが……。確認したら「Seven Arcs」名義になってからは「アルテ」「トニカクカワイイ」の2作品だけで、そこまで悪い仕事ぶりじゃないのか。「アルテ」とこれって、何故か美術関連の作品に縁があるのは面白い偶然だな。

 

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