最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「誰かにならなきゃ、駄目ですか?」、第12話。動き出した世界。主人公・小糸侑がついに自らの意志で立ち上がり、最大の敵である七海燈子へと挑む。この高揚感はまさに少年漫画のバトル展開と同じものだ。克己の物語、そして、挑戦の物語。 もう、今回はただ黙って観ていたいお話。「気が付けば息も出来ない」は今回そこかしこに漏れ出た「固唾を呑む」シーンでの各キャラクターの気持ちの代弁でもあろうが、何よりも我々視聴者の気持ちを表しているかのようである。最大のクライマックスとなった侑の部屋のシーンでは、まるで我々の忍耐を試すかのように、無音のままで2人の交流が進んでいく。音は無く、動きも最小限。聖像、イコンのように描かれる2人の関係性。そんな中で必死に回り続ける扇風機は、まるで侑の心拍を肩代わりするかのようである。 すべての元凶はこよみだ。彼女の書いた脚本のセリフ1つ1つが、すべて七海燈子の心臓を抉っていく。これをいきなり書き上げてしまったこよみの作家としてのセンス、観察者としての力量は恐るべきものだ。そして、慣れない演劇の練習の中で少しずつキャラクターを作っていこうとする他の面々に対し、すでに入り込みすぎて戻ってこられなくなった燈子。あまりにも的確に彼女のパーソナリティを反映しすぎたため、燈子は役の感情から抜け出られなくなってしまった。もともと「仮面を付け替えて役を演じ続ける」というのは彼女の人生そのものであり、そこに更に「演じる」ことを求められたら、現実と非現実が、自己と他者が、区別できなくなってしまったのだろう。はたから見れば「凄まじく入り込んだ名演」であろうが、その異様さに気付けるのは一定距離まで燈子に近づくことができた2人だけ。沙弥香と侑だ。 「燈子の様子がおかしい」という事態を受け、2人のとった対応は真逆のものだった。沙弥香の場合、燈子が一体何にショックを受け、どんな変調をきたしたのかもすべて理解している。その上で、「荒療治だが燈子が変わるチャンスかもしれない」と突き放す処置を選んだ。姉の幻影に囚われ続けるのはよくないと思っていたわけで、そこに外部からのノイズが混じり、燈子が現状に疑問を持つことは現状打破の第一歩だと考えたわけだ。だからこそ、侑には特に何も教えず、「全てをあるがままに」と様子見する選択をした。これはこれで、燈子の理解者、もしくは保護者としてありえる判断だ。 しかし侑は違った。彼女の場合、燈子が「姉の幻影」に囚われているという事実を受け止めてから日が浅い。あの日の河川敷、打ちのめされてしまった燈子の発言から、尋常ならざる真実があるということには気づいたが、それをどのように扱うべきかは流石に決めかねていたはずだ。しかし、侑はそうして迷いを持ち、揺れ始めた燈子を放っておくのはよくないことだと判断した。あの七海燈子が揺れている。あの、弱くて危うい燈子が迷っている。そんな状況に手を伸ばそうと思ってしまったのは、やはり侑自身も燈子によって変えられた証なのだろう。迷いを決意に、今こそ姉の亡霊を打ち破るための一撃を。そんな願いを込めて、弱った燈子を受け止める。 しかし、すんでのところでその一歩にまでは至らなかった。燈子が揺れて、弱さを吐き出したことは間違いない。自分の正しさに疑問を持ち、救いを求めているのは間違いない。しかし、姉の幻影を失った燈子は空っぽになるだけ。残念ながら、侑はその中身を埋めるためのものを持ち合わせていない。喉元まで出かかった「好きなのに」という言葉を持ち出す勇気がない。どうしたって、これまでの燈子の気持ちを考えれば、その言葉がもたらす影響力をコントロールする自信がないのだ。ここにきて、侑がこれまでの人生で「自分」と向き合ってこなかったことのツケが回ってきてしまったのである。 燈子は「私の嫌いなものを好きにならないでくれ」と切に訴える。それに対し、侑は「先輩だって」と反論する。「先輩だって、私の好きなものを嫌いにならないで」。駅でひとりごちたその言葉も真実であろうが、もしかしたら、「先輩だって」の奥には、「先輩だって、私の嫌いなものを好きだというくせに」という思いもあったのかもしれない。あそこで声が出せなかった自分。未だ燈子との関係性に欺瞞を挟んでしまう自分。そんなものが、侑にはどうしても許せないのだろう。 一歩引いた視点、自他への無頓着。これまでの人生で培われた「小糸侑」は、いよいよ終わりを告げる時が来たのかもしれない。なんとか燈子を変えるため、そして、自分自身が変わるため。侑の最後の戦いが始まるのだ。
PR 「となりの吸血鬼さん」 5→5 今期きらら枠と見せかけてそうじゃないトラップ枠。まぁ、今期最大の血みどろ枠でもあるので、これはきららじゃないな!(どうだろう) 基本的にこうした日常系にはそこまでドハマりすることはないので、毎週やんわり見て、やんわり終わっていくだけの印象。まぁ、特に悪い点もないので見ていて苦痛を感じず、可愛い女の子がいっぱい出てくるので何となく幸せな気持ちにもなれる理想的で典型的な日常ものである。1話目の時点で「なにいろモザイクだよ」って言っていた通り、終始きんモザと比較されるような中身だったのだが、あっちだって別にそこまでイカれた作品でもないわけで、突出して優れた部分があるわけでもないが、何かが明確に劣っている印象もない。強いていうなら、やはり鬼畜こけしの鬼畜度合いが段違いなので、明確な刺激成分ではきんモザに劣るだろうか。まぁ、こっちのアカリも別方向にネジが外れてる部分はあったけどね。吸血鬼というとどこか退廃的な印象があり、さらにインモラルなイメージもあり、ちょっと軸をずらしてやれば戻ってこられないところまで異質さが出てしまうはずの題材ではあるのだが、一切そんな際立ちを感じさせず、ひたすらダラダラと話を続けるその姿勢は潔いとさえ言える。 ところで、個人的に気になったのはこうした作品で「特に理由もなくガチレズの友達」っていうポジションのキャラがよく出るようになったのって、先駆けになるのは一体誰なんだろう。いや、たまたま今期は「アニマエール」の宇希とこっちのひなたで奇跡的なキャラかぶりをしていたのでそう感じただけかもしれないが、きんモザのあややも近いスタンスだ。日常系における女の子たちの関係性ってのは「友情」の域を出ない描写が一般的だと思っていたのだが、あややのあたりからその様相が変わってきたのだろうか。いや、まぁ、そりゃ個人的には日常系の嚆矢と認定しているひだまりの中にはヒロ沙英というレジェンドもいるんだけど、でも、あれはガチレズともちょっと違うカップリングなんだよな……もっというとヒロ沙英の場合、お互いに完全に自分にないものを補い合う「夫婦」の関係性だったのでその関係性に疑問の余地がなかったし、あややが惚れている陽子にしても、いわゆるボーイッシュ系女子で「女の子が惚れている」という状況が理解しやすい。「アニマエール」の宇希にしても、こはねの持つ「圧倒的自己犠牲精神」という要素が惚れる要因になっていることは作中でも明示されているので理解可能だ。しかし、今作におけるひなたの「灯好き」はあまり理由がはっきりしておらず、本当に純粋にガチレズ要素だけで生み出されたキャラなのである。そのあたりも何だか不思議な歪みが感じられる部分なのだが……いや、別に嫌じゃないんだけどね。純粋に不思議だったんだ。「レズ友達」のオリジンについて、何か心当たりがある方はご一報ください。あ、大道寺知世さんはレジェンドなので除外します。 <赤> 「反逆の行動/Act of Treason(RNA)」 C 今回はコモン。当然相棒となる「サクり台」をさがしてみるわけだが、今回コモンでクリーチャーをサクれるのは「骨の粉砕」のみ。あとはアンコモンの「血に染まった祭壇」があるくらいか。幸い、これらのカードはどちらも追加マナがほとんどかからずにサクれるので、かき集められれば一応シナジー形成はできないこともない。まぁ、赤黒で先に「骨の粉砕」が複数確保できた時に考えてからでも間に合うだろう。 炎の騎兵 Cavalier of Flame (2)(R)(R)(R) M クリーチャー・エレメンタル、騎士 6/5 (1)(R):あなたのコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで+1/+0の修正を受けるとともに速攻を得る。 〜が戦場に出た時、任意の枚数の手札を捨て、その後、それに等しい枚数のカードを引く。 〜が死亡した時、〜は各対戦相手とそのプレイヤーがコントロールするPWにX点のダメージを与える。Xは、あなたの墓地にある土地カードの数である。 神話騎兵サイクルの赤。ほんと、雑に強そうな能力をくっつけただけの雑なクリーチャーである。5マナ6/5、まぁでかい。全軍がブレス。まぁ強い。出た時に好きなだけルーター。まぁありがたい。死んだ時にダメージ、まぁ痛い。全体的に、まぁとんでもない。ただ、5マナかかるわりには主義主張が不明確なのでどんなデッキで使うかと言われると「どんなデッキでも別にええやろ」で終わりそう。一応今回大幅に強化されるエレメンタルなので、エレメンタルデッキのフィニッシャーとして活躍する……かも。
炎の侍祭、チャンドラ Chandra, Acolyte of Flame (1)(R)(R) R 伝説のPW・チャンドラ <0>:あなたのコントロールする赤のPWに、それぞれ忠誠カウンターを1つ置く。 <0>:1/1で赤の、エレメンタル・クリーチャー・トークンを2体生成する。それらは速攻を持つ。次の終了ステップの開始時に、それらを生贄に捧げる。 <-2>:あなたは対象の、あなたの墓地にある点数で見たマナコストが3以下のインスタントかソーサリー・カードを唱えても良い。そのカードがこのターンにあなたの墓地に置かれるなら、代わりにそれを追放する。 【4】 さぁ、今回の主人公チャンドラさん三連発だ。カードの並びはカードナンバー(アルファベット)順なので、まずはこのレアバージョンから。3体の中では最も軽く、シーンとしては初めてプレインズウォークしたケラル僧院での修行時代を描いたものだろうか。晴れやかな顔にも表れている通りにさっぱりした能力を持っており、他のチャンドラとの共闘を促す事実上の「プラス」能力、単にエレメンタルシナジーを支えるゼロ能力と、どちらも「まぁ、3マナなら」というレベル。マイナス能力も「ただで唱えられる」みたいな無茶なことを書かないのがチャンドラ流なので、単体での性能はそこまで高くない。あくまで他のチャンドラのサポーターとして、最初に着地して露払いをするのが目的と言えるだろう。まぁ、それだけ、「次に出てくるチャンドラ」が怖くてしょうがないわけだが……。 目覚めた猛火、チャンドラ Chandra, Awakened Inferno (4)(R)(R) M 伝説のPW・チャンドラ この呪文は打ち消されない。 <+2>:各対戦相手は、「あなたのアップキープの開始時に、これはあなたに1点のダメージを与える」という紋章を得る。 <-3>:〜はエレメンタルでない各クリーチャーに3点のダメージを与える。 <-X>:〜は対象のクリーチャーかPWにX点のダメージを与える。この方法でダメージを与えられたパーマネントがこのターンに死亡するなら、代わりにそれを追放する。 【6】 相手の場に一番出てきて欲しくないのは、当然この神話チャンドラである。シーンとしては完全に覚醒しているので一番最後の時代とみていいだろう。「書いてあることが大体おかしい」というのが下馬評で、6マナのPWの天敵と言えるカウンターをまず受け付けない。よほどの事情がない限り、唱えたらそのまま着地するのだ。そして、着地直後にいきなり相手に火をつけて忠誠度8まで飛び上がる能力。このプラス能力がやばい。なんでチャンドラのくせにこんなにしぶといんだろう。単に相手に放火しているだけで勝てるカードがこの耐久力はあかん。もちろん、相手の陣営次第ではマイナス能力から入ることも多いだろう。エレメンタルを見逃すのは他のチャンドラとの絡み故だが、忠誠度を3残しての全体火力は6マナでも充分説得力を持つコントロール力を持つ。真面目にせっせとクリーチャーを並べるのがあほらしくなる。そしてピンポイントでのデカブツや相手のPW対策という念入りな処置を施す最後の能力。もう、とにかく邪魔者を排除して相手プレイヤーに火を付けることしか考えてない最低の奴だ。こんな危ない女を主人公にしてしまっていいのかい? 新米紅蓮術師、チャンドラ Chandra, Novice Pyromancer (3)(R) U 伝説のPW・チャンドラ <+1>:あなたのコントロールするエレメンタルは、ターン終了時まで+2/+0の修正を受ける。 <-1>: (R)(R)を加える。 <-2>:〜は任意の対象に2点のダメージを与える。 【5】 順番は最後になってしまったが2番目のチャンドラ。機械細工が売りの次元で、何の因果か炎の魔術を宿して生まれてしまった「鬼っ子」のチャンドラ。それでも両親は彼女に愛をもって接してくれたおかげでまっすぐな娘に育つことができたが、反政府組織に所属していた両親は、ある日領事府の陰謀によりチャンドラの目の前で殺害されてしまった(ように彼女には見えた)。そのショックでPWの灯が目覚め、彼女は周りを業火に巻き込みながらプレインズウォークするのである。さておき、レアチャンドラの出したエレメンタルに重ねれば3/1速攻が2体で突っ込むことが可能になる、自分&自分の謎タッグ。もしくは出した次のターンにマナを産んで神話チャンドラにつなぐムーブでもいい。とにかく4マナで忠誠度5ってなんだよ、っていう硬さがなかなかのもので、さらにマイナス能力を使うと図らずも後に師匠となるヤヤさんの挙動と完全に同じになるっていうのも面白い。チャンドラ→チャンドラ→ヤヤ→チャンドラという夢の紅蓮術師チェーンを構築してみるのも面白いかも(権藤権藤雨権藤と同じリズムだ)。ちなみに紋章は色が無いので神話チャンドラの紋章はヤヤの力で強くならない。残念。 チャンドラの火炎猫 Chandra’s Embercat (1)(R) C クリーチャー・エレメンタル、猫 2/2 (T):(R)を加える。このマナは、エレメンタル・呪文かチャンドラ・PW・呪文を唱えるためにのみ支払える。 モフれない猫なんて……。まぁ、冬場にお布団の上に乗ってきたらあったかそうではあるが……(全焼)。なぜかMagicでは古くから存在する「火猫」と呼ばれるエレメンタルの一種。猫好きなら「火猫の襲撃」で大量の燃え盛るにゃんにゃんラッシュを夢見たことが一度くらいはあるはずだ。無いですか? そうですか。こちらの火猫はなんと赤には貴重なマナクリーチャー。まぁ、用途が限定的すぎるのでかなり専門性の高いデッキでないと使うのは難しそうだが、リミテッドならエレメンタルメインで組んで普通に2マナ2/2クリーチャーとマナソースの両方を兼任できる。イラストに見えるチャンドラのゴーグルが心憎い演出。「ゴーグル燃えないの?」って思ったけど、普段から彼女がつけて髪の毛も焼いてるんだから、当然難燃性の素材なんだろうな。 「チャンドラの憤慨/Chandra’s Outrage (M14)」 C 「チャンドラの吐火」と一緒に帰ってきた、チャンドラの名前を冠するカードの1枚。再録されるたびに「チャンドラの憤怒」とごっちゃになって「どっちだっけ?」となるのだが、これは使いやすい方である(「憤怒」はリミテでも微妙)。今回コモン火力は「ショック」、これ、「灰と化す」の3枚。ちょい重めなのでデッキバランスには要注意だ。 チャンドラの調圧機 Chandra’s Regulator (1)(R) R 伝説のアーティファクト あなたがチャンドラ・PWの忠誠能力を起動するたび、あなたは(1)を支払っても良い。そうしたなら、その能力をコピーする。あなたはコピーのための新しい対象を選んでも良い。 (1)(T)、手札から山カードか赤のカードを1枚捨てる:カードを1枚引く。 やたらと専門のアーティファクトが多いのはチャンドラというキャラクターの特徴で、過去にも「紅蓮術師のゴーグル」「紅蓮術師の篭手」と様々なゆかりの品がカード化されている。これもやはり、彼女がアーティファクト次元であるカラデシュ出身だからだろう。今回は「調圧機」というよくわからない備品がカード化され、なんとチャンドラ限定とはいえ「鎖のヴェール」的な倍加能力を持っている。今回チャンドラには多数の選択肢が与えられたし、どの能力をコピーするにしてもワクワクもんである。このカード自体が2マナと軽く、なおかつ単体でもルーター任務がこなせるので無駄にならず、シナジーに繋げやすいので夢が広がりやすい。ルーターできるってことは伝説なのに複数枚積んでも腐らないということである。チャンドラさん、かなり優遇されてるな……。 「チャンドラの吐火/Chandra’s Spitfire (M11)」 U 過去のセットにもチャンドラの名を冠するカードは何枚もあるが、そんな中から今回再録されたのは、エレメンタルにもフィーチャーしたこちらのカード。相手にダメージを与えていたらさらなる痛みを与える泣き面にエレメンタルなクリーチャーである。まぁ、今回のチャンドラ、あんまり本体ダメージを与える能力がないのでM11当時と比べると噛み合わせは悪いのだが。 短剣帆の飛空士 Daggersail Aeronaut (3)(R) C クリーチャー・ゴブリン 3/2 あなたのターンであるかぎり〜は飛行を持つ。 もしかしたら歴史的な1枚かもしれない。何しろ赤のコモンで、パワー3の(一応)フライヤーである。過去にこの条件を満たすクリーチャーは存在しておらず、若干ズルしているとはいえ、アタッカーとしての性能は紛れもなく「噛みつきドレイク」と一緒。ゴブリンもいよいよこんな時代に突入したのか。まぁ、今回は赤が飛行にボーナスをもらっているので特別措置の可能性もあるけど。アタッカーとしての性能は疑いようがないのでリミテッドならよく見かける顔になるはず。なんと今回、青コモンは4マナにフライヤーが用意されていないので、もしかしたらこいつの採用率を上げるための措置なのかもしれない。
破壊的穴掘り Demolishing Digger (2)(R) C クリーチャー・ゴブリン 3/2 (3)(T)、土地かアーティファクトを1つ生贄に捧げる:カードを1枚引く。 なんやねんその日本語名。なんかゴブリンらしからぬ小粋な能力を持ったやつ。まぁ基本的には得しないし、起動コストも軽いわけじゃないから「たまに起動する……かな?」くらいで終わってしまう能力ではあるのだが、それでも試合中盤以降にグダった時には土地をドローに変えられるのは悪くない。そしてなにより、3マナ3/2と普通のステータスを持っているのが悪くない。基本クリーチャーとして戦線に送り出しつつ、たまに能力を思い出したらラッキーくらいでいいんじゃなかろうか。 「ドラゴン魔道士/Dragon Mage(SCG)」 U えっ、お前、アンコって……いや、確かにレア枠から出てくると「殺すぞ」って思ってたけど……。だからってアンコで引ければいいのかって言われると……いや、流石にアンコなら強そうだな。相変わらずよくわからない立ち位置の能力は無視して、単なるでかいフライヤーとして使いたい。まぁ、能力は強制なので嫌でもカード引くことになるんだけど。 炎の大口、ドラクセス Drakuseth, Maw of Flames (4)(R)(R)(R) R 伝説のクリーチャー・ドラゴン 7/7 飛行 〜が攻撃するたび、これは任意の対象に4点のダメージを与え、最大2つまでの他の対象に3点のダメージを与える。 雑ドラゴン。あまりにも雑すぎて、むしろこれって強いんじゃないか疑惑すらある。ドラゴンの調整ってのはなかなか難しくて、使って欲しくても重すぎて使われないこともあるし、程よくしたつもりが環境を席巻しちゃうこともある。まぁ、だいたいが重いカードなので禁止されたりはしないのだが、フィニッシャーが一本化すると、なんだか環境が停滞しているような嫌な印象になっちゃうこともしばしば。そしてこのドラゴンだが……うーむ……7マナだからね……いや、でもこれはさすがに燃やしすぎでは……。最大3体の対象に合計10点だろ? さすがにここまではっちゃけたアタック性能を持つドラゴンは過去にも例を見ないぞ。活用の秘訣はマナ加速&速攻。「野生の律動」や「混沌をもたらす者、ドムリ」あたりがいるグルールならマジで良い仕事するんじゃないだろうか。ドラゴンフリークの人は要注目。 「燃えさし運び/Ember Hauler(M11)」 U 「火力になるゴブリン」の中ではかなりまとまった仕上がりの1枚。最近だと「ゴブリンのクレーター堀り」の印象が強いが、あれと違ってプレイヤーなんかにも飛ばせるのが売りだ。まぁ、スタックルールがなくなってからの弱体化は避けられなかったが……。
「炎の精霊/Fire Elemental (M19)」 C まぁ、エレメンタル環境でこいつが出てこないのは嘘だよな。ちなみに、かつてこの精霊はおなじみの「大気の精霊」に加えて「水の精霊」「大地の精霊」で地水火風の4元素サイクルを形成していたらしいのだが、2体は「色特性がおかしい」「あんま強くない」などの理由で歴史の闇に葬られて火と風だけが残された。どこかで土派閥と水派閥からのリベンジがないもんだろうか。 炎の一掃 Flame Sweep (2)(R) U インスタント 〜はあなたのコントロールする飛行を持つクリーチャー以外の各クリーチャーに2点のダメージを与える。 恐ろしく高性能な全体火力。「紅蓮地獄」と同じダメージなので3マナならそこまで驚くべきことではなく、インスタント火力としても現スタンに「焦熱の連続砲撃」というほぼ同等の選択肢があるが、今回は割と「自軍だけ被害なし」を狙いやすい設計になっているのが秀逸。今回ジェスカイカラーで推している「飛行戦術」にがっちりかみ合いつつ、飛行デッキの課題である地上クリーチャーとのすれ違い問題を一気に解決してくれそう。うまくハマれば構築レベルでの採用も見える1枚だ。
丸焼き Fry (1)(R) U インスタント 〜は打ち消されない。 〜は対象の、白か青のクリーチャーかPWに5点のダメージを与える。 対抗色ヘイトサイクルの赤。こちらは元ネタになった「焼却」から大きな変化はないが、時代を鑑みてPWを対象に取れるようになった分、「軽減できない」というボーナスが失われた。まぁ、最近はそこまでこの能力が必要になることもないので、一応は上位種と見ていいのではなかろうか。「焼却」は対抗色ヘイトシリーズの中では割と活躍した方で、2マナで5点というダメージは確実に1対1交換を迫るのに充分。白や青のいやらしい連中へのサイドボードとしては問題なく採用できるだろう。とりあえずテフェリーを処分することができるというのは大きな採用理由になるのではなかろうか。他にもナーセットだのカズミナだのと除去る対象には事欠かないし、「ライラ」「シャライ」の天使コンビや相当なサイズの「ハイドロイド混成体」も射程内。こうしてみると意外と対策範囲は広いのだ。ちなみにカード名は揚げ物を表すそのまんまの「フライ」なのだが、ちょっと火力が強すぎるみたいで……。
「BANANA FISH」 5→6 ひとまず、石塚運昇氏に哀悼の意を。最終回でちゃんと追悼メッセージが出ましたね。当時はまさかの訃報に途方にくれたのだが、ありがたいことに今作はすでにアフレコを終えていたようで、見事にゴルツィネの人生を最後まで描ききってくださいました。本当に幸せな役だったな、と思います。 さておき、作品の質量、熱量に比してそこまで真剣にみることができなかった作品で、正直いうと最終話前までは「まぁ、こんなもんかな」というくらいに考えていたんですが、改めて最終話を見せられ、「時代を超えて愛される作品ってのは、やはりその総体を見て評価すべきだな」と考えを改めた。言葉では表しにくいのだが、この作品が持つテーマ性というか、描きたかった大きなものの正体がわかったような気がしたのだ。そうか、アッシュは、ああいう結末を迎えるしかなかったのだよな。 全体的な構造で見れば、やはり時代性もあってか陳腐な部分の多い作品である。基本的にはアッシュとえーちゃんのどっちか(もしくは関係者)が拉致られ、それをドンパチやりながら救出し、助かったと思ったらまた同じ相手か、新たな敵キャラに誰かが拉致られ、助けに行く。基本的にはこれの繰り返し。敵キャラがどんどん面倒になっていくのは当然のことだが、だからと言って何か目の覚めるようなバトルがあるわけでなし、基本的にはドンパチの末に2人が主人公補正で弾を絶妙に回避しながら助かって逃げ回る作品だ。同じ展開が繰り返されてしまえば退屈にもなるだろう。 もちろん、今作はそうしたドンパチの嵐を繰り返しながら、「アッシュとえーちゃんの関係性」という縦軸が少しずつ掘り下げられ、太く、強くなっていく様子を描くのが主題である。二人の関係性は、拉致られたり助けたりの関係性と同じように、どこかで近づき、どこかで離れる。お互いの違いを突きつけられて絶望し、諦めたり、恋い焦がれたりを繰り返す。そうして描かれた人間関係が、最終話でゆっくりと束ねられ、1つの形として完成する。なんだかゆっくり丁寧にバームクーヘンを焼いているような気分になる作品だ。 基本的にわたしゃBLを受け付けない。作品によっては忌避もする。ただ、不思議なことに今作の場合には最初から最後まで一切の嫌悪感が現れず、むしろ2人の関係性はなんだか清々しいものであるかのように見ていた。もしかしたらアッシュの素性が「元々男娼として扱われていた」と最初から吹っ切れていたのが割り切りやすい要素だったのかもしれない。ことさら肉体的な関係性に意味を与えず、アッシュも周りの人間もサラリと「お前は自分の身体を使って生きてきたのだ」と唾棄するたびに、なんだかそれは本当に些細な問題であるように思えてくる。今のご時世、こうした性の問題ってのは寛容になっていたり、逆に面倒になっていたりするものだが、今作が描かれた当時は、この2人の関係性ってのは一体どんな風に受け止められていたのだろうか。 2人の関係性には、外野が下卑た野次を挟む余地のない、絶対的な信頼と、愛情がある。それさえ伝わってしまえば、残りの部分は些事である。2人の愛情を理解しようと思いながら見ていれば、自然に2人の人間性も見えるようになり、そんなアッシュに対してゴルツィネが寄せていた想いだとか、歪んだ執着を崩さなかったユエルンの気持ちとか、はたまた絶対的な憎悪をたぎらせていたオーサーの悲壮さとか、そうしたものにも自然に理解が及ぶようになるのだ。こういう切り口の作品ばかりなら、「だってBLなんでしょ?」なんて余計な色眼鏡で作品を見る必要も無くなるのかもしれません。 2クールの長丁場ではあったが、映像のクオリティが終始安定していたのはさすがのノイタミナ。MAPPAの映像表現としては地味な部類だが、むしろ余計な欲を出さずに必要な素材を丁寧に並べていくことで画面が見やすくなっていたのは良い判断だったと思う。内海紘子はこれで2つ目の大きな仕事を成し遂げたと考えて良いのではなかろうか。Freeの構成に戻ってくれると嬉しいんだけどなぁ……。 愛がつなぎ、たえが引っ張り出したさくらとのきずな、ビンタ一つで食うはゆうぎり、最終話。ゆうぎりビンタ、ここでの秘密兵器になるとは。今回は攻撃対象のセリフリピート無かったですけどね。 綺麗に締めましたねぇ。いや、全然締まってないんだけど、おそらく大半のファンが熱望しているのは「続きはよぅ」なので、スパッと終わらせるような展開にならなかったことはむしろ歓迎されているだろう。そう、まだまだ佐賀を救っていない。フランシュシュの冒険は始まったばかりなのである。いや、どこがゴールになるかはさっぱり分からないけども。 2週に渡りうじうじし続けていたさくらさん。どうしてもこういう展開になると視聴者側の気分もダウナーにならざるを得ないのだが、そうして落ちて落ちて落ちたからこその復活劇もある。暴言を承知で書くが、さくらさんの今回の立ち回りは、今まで見たどのアイドルアニメの主人公よりも「主人公」していたと思う。アイドルグループのセンターに「持ってない」人間を置くという設定はこれまでのアイドルアニメとは違ったアプローチであり、異なるジャンルのドラマづくりとの架け橋となる面白い組み合わせだった。 もちろん、本当に単なるアンラッキーガールを真ん中に置いても意味はない。キャラ特性に「幸運」「不運」を与えて締まった場合、最終的にそれを覆す展開になると「なんや、不運って言っても結局うわべだけやん」とか、「ラッキーって言ってもピンチになってる時点でダメやん」みたいな根源的な問題が付きまとうのだが、さくらの場合、自身の「持っていない」属性を幸太郎が埋め合わせているという設定が前回提示され、さらに思い返せば「とんでもない火事場の馬鹿力を持っている」という非常に大切な設定があるのだ。本人が万全だと思っていてはダメだ。もう何もできない、どうしようもないと思った時にこそ、さくらの魂には火がつくのである。それこそが、今作をここまで至らせる最初のきざはしとなる1話、2話を作り上げたものだったではないか。突然のゾンビ化、意識すらない仲間とのステージ、いきなり巻き込まれたラップバトル。そんなものの延長線上に、今回の「大災害崩落ステージ」があったのだ。そして何より、今は周りに素晴らしい仲間たちもいるのである。 こうしてさくらの持つ属性が「最強クラスに持ってない」「でもピンチになれば凄まじい才能を爆発させる」「普段は頑張り屋で、周りを引きつけるだけの人徳を持っている」という要素のまとめられると、なるほど綺麗に主人公である。他のアイドルアニメの場合、どうしたって中心には「華がある」「パワーがある」という部分を優先してしまいがちだが、さくらさんの持つ負のオーラはドラマをかき回す時に非常に効果的で、これがまた「どん底まで落ちて這い上がる」というゾンビの存在感を際立たせることにもなる。「這い上がれ」「復活しろ」と叫ぶゾンビアイドル集団。乱立するアイドルアニメ戦国時代の中で、こんなにも突飛な思いつきが突き抜けることになるとは。 先週までの時点ではたえちゃんとゆうぎりさんにお当番回がなかったことが不満だったわけだが、今回さくらを表に引きずり出したのがこの2人であったことでキャラ間の格差もいくらか解消された。ゆうぎりさんはやっぱりずるいと思うが、たえちゃんはこれまでマスコット的存在だったところを、きちんと一人の「アイドル」としてどんな成長を遂げたのかが描かれ、来るべき2期での展開に期待が高まることになった。いや、あるかどうかわからないけど、さすがにこの展開で2期を作らなかったら暴動が起こるだろう。いや、最悪誰かの頭を甘噛みしているたえちゃんが見続けられればそれはそれでいい気もするんだけどさ。 ちょっとだけ明かされた幸太郎の過去、彼の師匠筋に当たる謎の老人、そしてメンバー3人の過去に触れて訝しむマスコミ関係者。まだまだドラマは続いていくはずだ。とりあえず今は、無事に幕を閉じたこの「1幕目」の完成を祝おうではないか。 「ソラとウミのアイダ」 5→4 これさ、いっそ夕方に放送して「爆釣バーハンター」の続きっていう扱いにするのはどうだろう。お魚を探してるっていう部分は共通するし、ノリと対象年齢もだいたいコロコロコミックの読者層であってると思うし……(なお、バーハンターは最近まで見ていたんですが、レコーダーの容量が厳しくなったのでいい加減断念しました)。 1話で食らった「世界に説得力を持たせる気が欠片もないな」という印象は12話を駆け抜けた後も全く変わっていない。「そういう世界、そういうネタやで。理解できんやつは置いてくから観ない方がええんちゃうか?」と。そう考えると、残念ながら私は観ない方が良かったタイプの視聴者である。世界がどこまでも理不尽で、理屈も何もあったもんじゃない状態で「この世界をわざわざ作ったんだからそういう話になるやろ」みたいな勢いで宇宙で魚を捕り、宇宙で漂流し、宇宙で友情を確かめる。うん、まぁ、いい話だよな。話の流れとしては「宇宙を駆ける少女」とそんなに違わない(適当)。元々ソシャゲアニメなのだから構成に期待する要素も乏しく、結局あの守り神連中はなんだったんだとか、無駄にキャラが多い展開に辟易しながらも「いつものこと」と諦める部分である。幸い映像部分は割と安定しており、キャラも可愛いと言えば可愛い。これで設定さえ凡庸であれば、本当に掃いて捨てて忘れ去って構わない「典型的に失敗するソシャゲアニメ」の類型以外の何物でもないのである。 まぁ、実際にそういう処理でいいと思うのだが……なんかこう、ここまで悪びれる様子もなく我が道を貫かれると、「もしかして俺の方が悪いんじゃねぇかな」って気がしてくるのが怖いよね。例えるなら、よその学校の文化祭を見に行ったら内輪ネタとかで大爆笑をさらってるけど、自分はよく分からないから愛想笑いするしかない感じ。「もしかして、僕が場違いでしたか?」ってなる。面白い人には面白いものが、何か隠れていたのかもしれない。ま、実際私もルビーのキャラなんかは嫌いじゃないんだよな。本当に「何かやるための外側」はしっかり整った作品なんだよ。単にその中身がないだけで。そういう意味では前クールの「音楽少女」よりも見やすかったかなぁ。 というわけで、わざわざ「音楽少女」と絡めたのは当然メインキャスト・高橋花林の話をするためですね。今作はごんぶとの棒声優がいたためにキャスト部分でのマイナス点が大きかったのだが、それを補ってあまりあるのがハル役の高橋花林だった。「音楽少女」で「なんだこいつ?」ってなったそのヘンテコボイスは、きっちり今作では突き抜け系のKYヒロインとしてフル回転。ここにさらにルビー役の井上ほの花も加わり、引っ掻き回す役割はカロリーオーバーである。井上(娘)は、親御さんがあまりやってなかったような役の方向性で声が伸びてきて、親の七光り以上のものが感じられるようになってますね。やっぱりサラブレッドやなぁ。 この2人のおかげでなんとなくヒロイン勢も気にしながら、結局最後まで観てしまったのがなんだか悔しい。世が世なら本当に瞬殺されるような中身だったと思うのだが……まぁ、頭がおかしいというのは良いことですよ。今後、ソシャゲ文化の爛熟、迷走期が極まれば、まさにどこぞのネタで出てきたうんこの育成ゲームとかがアニメ化する時がくるのかもしれません。それまでは大人しく、宇宙で魚を釣るんだぞー。
「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」 4→1 今更ワシが何かいう必要もないじゃろ。製作者、視聴者、全ての関係者が誰ひとり得をしないという稀有な作品である。 最近の「そっち関係」の話題をさらった作品には「DYNAMIC CHORD」があった。ぶっちゃけレベルで言えばいい勝負ではあるのだが、あちらはCG作画でも地獄が待ち構えているのだという絶望感をプラスしてくれたこと、そして「もしかしたら、何百周も回ってこれはこれで演出だったのでは?」という末期思想が頭をよぎるまでになった特異さを評価しての「2点」にした。「一周回って」という評価をしてはいけないというのが私の持論ではあるが、それくらいに異次元の世界を見せてくれたのがダイナミックワールドだったのだ。 しかし、本作の場合は異次元ではない。単なる底辺である。何がどうなったらこんな悲しい結末を迎えるのか、我々視聴者からでも容易に想像できる。挙句に一回万策尽きてなおのこのクオリティというおまけ付きで、とにかく全方位に言い訳する余地を与えない、純度100%の完全敗北なのだ。これに何らかの手段で肯定的な評価を与えたら、さすがに業界全体が立ちいかなくなるだろう。一応「あっひー役の赤﨑千夏は面白かったやん……」って一瞬考えたけど、そんなことで覆しようがないんだよ。何がすごいって、今作は多分普通の作画で展開できても評点が下がってた可能性があるところだ。本当に、虚無だ。 繰り返しになるが、今作のような結果を受けて、面白がるようなことをしてはいけない。日本のアニメ業界が危機的状況だという話はもう何年も前から叫ばれ続けており、それがあまりに続いているおかげで「実は案外保ってるよな」みたいな空気もあるわけだが、実際にこれが出てくるということが、アニメ業界がいかに焦眉であるかを端的に示しているのである。我々視聴者は、「こんなものを見せるな」ということを強く業界に訴えていかねばならない。さもなくば、この作品の犠牲になった数多の関係者たちも浮かばれないだろう。 「RErideD-刻越えのデリダ-」 4→ー ぶっちゃけリタイア作品です。一応最終話まで観てたはずなんだけど、途中から完全に興味を失い、およそ「ながら見」で処理していたのでディティールを拾えている自信がありません。もしかしたらそれすら「無い」作品だったかもしれませんが、ちゃんと観ていたらもしかしたらびっくりするようなギミックが仕込まれていたのかもしれないので、一応採点は自粛します。最近はそういう処置の作品が増えて来ているのはなんとも不甲斐ないのであるが。 ただ、内心では「多分そういう見落としはなかったんじゃないかなぁ」とは思っている。ベースになる設定の時点であまり期待の持てるデザインではなかった。骨子はおそらく「どうせアニメ見てるお前らみたいな人間はタイムリープやらタイムパラドクスやらリーディングシュタイナーやら大好きやろ!」っていう分かりやすい発想だったのだと思う。「何度も過去に戻って歴史改変を行う物語」と言ってしまえばミラクルテンプレになるわけだが、本作はそれをマンネリから外すために「一度戻った時間には戻れないんですよ」とか「記憶がしっかりしてないと戻れないし、戻っても制御力がないんですよ」とか、とってつけたようなルールを(突然わけもなく)追加してオリジナリティを出そうとしている。独自の発想でアレンジしようという努力はもちろん正しい方向性なのだが、ただでさえ面倒な時間跳躍もの。脚本に新しいものを混ぜ込むなら、責任感を持って、細部まで整合性を与えながら構成を行うべきだろう。因果が巡っていることがきちんと分かればこそ、繰り返し行われる時間跳躍に意味があり、人間の努力では到底かなわないような「運命の力」に必死に抗う姿が、この手の作品の見どころなのである。 残念ながら、本作の時間跳躍は本当に行き当たりばったりで、「よく分からんけどとりあえず試してみよう」と跳び、その先でやった行為の結果が突然デリダに降りかかり、さて何がどう働いた結果のバタフライなエフェクトなのかがよくわからない。というか、そもそもスタート時点での世界設定も何がどうなってたのかよくわからない。この無茶なノリ、考えてみれば「斎木楠雄」がネタとしてやってた奴じゃねぇか。過去に戻ってちょっと何かいじったらよく分からんけど世界がガンガン変わっていくやつ。斎木の場合はギャグ漫画なのでそれで問題なく成立していたのだが、今作が最終的に狙っている路線は「シュタインズゲート」の方であり、デリダは鳳凰院凶真の後釜を狙っていたはずなのである。それがこんなドミノだおしギャグと同じことをやっていてはダメだろう。 あとはまぁ、やっぱり作画が……サイバーな世界でパンキッシュなアクションをやろうとしているのに、人間もロボットもネタみたいな作画で描かれている時点でやっぱりギャグなのである。1話時点で随分怪しかったが、そこから急上昇するでもなく、急下降するでもなく、「安倍吉俊の無駄遣いやんけ……」という感情のままで最終回まで低空飛行を続けた。せめて、どこかで一度でも魂のこもった表情や戦闘シーンを見せてくれれば多少なりとも印象も変わったのかもしれないのだが。まぁ、ロリっ子は可愛かったかね……。 オリジナルアニメを作ろうという気概はなんとか評価したいところではあるのだが、やっぱり一から脚本づくりをして挑まなきゃいけないオリジナルの場合、つまづくと立て直すのがほぼ不可能になるのは苦しいところ。もうちょっと脚本部分に時間をかけて検討するプロセスが欲しいなぁ、とは思うのだが、脚本家ってたくさん集まっても「K」みたいになって「みんながぼんやり考えている面白そうなものの平均値」的なものを選んでしまいがちだし……難しいなぁ。 なんだこれ、第11話。とてもじゃないがあんなクソ適当すぎる総集編挟んだ後の展開とは思えない話だが……いや、総集編挟んだからこその展開なのか? 今作の場合、何がどこまで本当なのか一切信用できない側面があり、実際、今回も最後の最後で大どんでん返しが待ち構えており、キリルさんの今後が心底心配になる展開だった。その虚実入り混じった「何をぬけぬけと」という印象が今作独自のつかみどころのない変な笑いを提供してくれていたわけだが……今回の展開は……うーん。 一番気になるのは、やっぱりユリの死をどのように扱っていいのかよく分からない事である。残念なことにこれまでほとんど活躍らしい活躍がなかったユリ。以前のお当番回もマックスが主人公になっただけでユリにはほとんどスポットが当たらず、今のところ彼女のパーソナリティが分かるような話は皆無であった。そんな状態で、まだよく分からないユリが突然死んだと言われても……素直に受け取っても「えっ、こんなにあっさり?」とびっくりするばかりでそれ以上の意味を受け取りづらい。そして、当然今作のことであるから、「まぁ、死んだっていっても来週何事もなく帰ってくるけどね」って言われてもなんの不思議もない。ロボ設定とかバックアップ云々なんてものはそのための仕込みでしかないだろう。ただ、これまではそうした「どないやねん」要素は出して即回収だったので笑いにつながったのだが、今回は何故か週またぎで宙ぶらりんのまま終わってしまった。もちろん、このままユリが帰ってこない可能性も(わずかだが)残っているだろう。さらに、帰って来たとしてもおそらくそれは「実はバックアップ取ってたから別なボディに換装したよ」というユリになるはずで、今回悲壮感を出しつつ「同じ彼女は戻ってこないんだ」と涙していたマックスの気持ちは置いてけぼりになってしまう。ロボとはいえ、生き死にをネタにしてしまうのは、なかなか笑えないのである。ただ、だからと言って本当に死なれるとそれはそれで困る。うーむ、すげぇモヤモヤする。 そして、そんなユリの問題を引き起こしたのはエスペランサでの内紛が発端だった。あっという間にアップルを拉致って望んでいた機密に肉薄したザベル。トントン拍子でことが進むが、またもやダグたちの行動によってギリギリ阻止され、そこにバンブーマンの企みが絡んで色々と大変なことに。うん、やっぱりこうなってくると「結局ザベルってすごかったの? ただのうっかりさんだったの?」っていうのが分からんようになってしまうのよね。登場時点で警察に捕まってた理由も結局わかってないし、その後わざわざ姿をくらましたわりにはあっさりとダグたちの前に顔を出した理由も謎。今回の行動だって大物ぶって鷹揚に構えていた割にアラが目立ったし、どうにも行動が行き当たりばったりだ。 シナリオの要請を考えるなら、こうしたザベルの行動は全ては「より大きな存在」であるバンブーマンを引き立たせるためのことであろう。ザベルの得体の知れない存在感を見せるようなセリフだった「ご飯ちゃんと食べなさい」発言をそのままバンブーマンが踏襲する流れなんかも、「お前、強いふりしてたけど全部手のひらの上だぞ」ということを表すためのもの。これがさらに二転三転するようなアツい権力闘争の幕開けというなら面白いのだが、残念ながら最後の絵面を見る限りではザベルの退場はほぼ事実のようである。最強だと思わせていた敵キャラが特に何もせずに「別に強くなかったんやで」と言われてさっさと退場されてしまうと、まさに「どないやねん」としか言いようがない。そりゃね、バンブーマンの超越した身体能力は以前の戦闘シーンで嫌という程見せつけられていたわけで、じかに殴り合ったらザベルが勝てるわけないのは当然なんだろうけどさ。それだと本当に「今までの話は誰向けの茶番だったんだよ」ってことになるじゃない。 なんだか随分危うい構造だな、ということを今更ながら確認させられたので、今後のシナリオ運びは相当慎重にやらないと台無しになってしまう可能性がある。今回の「どないやねん」も、全てが最大級のもっととんでもない「どないやねん」のための仕込みであることを信じたいところだが、さて、どうなるものやら……。
|
ブログ内検索
リンク
最新記事
(02/25)
(02/23)
(02/21)
(02/19)
(02/18)
(02/18)
(02/17)
(02/17)
(02/17)
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
アーカイブ
|