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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 「語彙なる夜」第2部です。第1部終了時点で日付をまたぎ、さすがに8人戦2連続は無茶だというので1人は自粛。残る7人での魂の削りあいです。ここから先、私は本当に筆記するのが嫌なコンテンツも登場するわけですが、基本的にノーカットでお送りするのが当ブログのモットーですので、摂取する方は自己責任でお願いします。一切の責任は負いません。

 

 


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「学園BASARA」 4→4

 なんやねんこの終わり方。いや、らしいといえばらしいんだけどさ。

 まぁ、最初に持った印象のままで1クールをそのまま走りきっただけの作品ではある。ただ、最初に「もうBASARAとか興味ないしなぁ、そんなに笑えるもんじゃないよなぁ」とやる気がなかった割には、なんとなく見てたらそれなりの満足感が得られたのは意外だった。思い返してみれば、一応ゲームは1本だけプレイしたんだよな(確か2くらい)。アニメシリーズを通じてキャラもなんとなく定着していたし、とにかく個性だけは一級品のキャラクターを徹底してギャグの文脈でコロコロ転がせばそれなりに楽しいものになるのであった。映像面で目を引く部分は基本的になかったはずなので、脚本面でそれなりに満足できたということでしょう。

 まぁ、これがさらに続いて欲しいシリーズかと言われると特にそんなこともないんだけどさ……。多分今作で一番美味しかったのはお市の立ち位置。どんな展開でもオチを任せることができるキャラになってるのは流石のBASARAクオリティ。

 

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 ジョルノの大胸筋突っつくアバッキオで笑ってしまう、第12話。あんなに胸ぐら掴みにくい衣装もなかなか無いよな。アバッキオもジョルノのこと敬遠してるくせに、スキンシップがいちいち近いの何なの。

 別にそういう目で見るつもりもないが、今回は色々と盛り気味だったフーゴの過去話も含めて、そっち方向のサービス過多である。IQ150、飛び級で大学に合格した天才少年を狙う変態教授か……うーむ、ああいう自分よりも賢いであろう人間に年の功だけで恐れずに挑もうとする人間って何なんだろうな。あとでどんなしっぺ返しが来るかとか考えないもんなのかな。まぁ、残念ながらフーゴのしっぺ返しは恐ろしくダイレクトなアタックだったわけだが。こうして見るとやっぱりギャング団の一員ってみんなして本当に不慮の事故みたいな残念な理由でドロップアウトしてんだよなぁ。一応自己責任が大きいのって不正を働いてしまったアバッキオくらいか。

 さておき、そんなわけでフーゴの紹介エピソード。ちゃんと他の面々と同じように過去話も展開してもらっているので、メインの戦闘がこれだけでお別れというのも何だか勿体無い気もするが、荒木先生は結局フーゴを出した時点で彼をどのように扱おうとしていたんだろうか。世間的には「能力を作ったけど扱いきれなくなったから退場させた」みたいな論調が強いが、あそこでフーゴがリタイアするのって、ギャング団の使命を表現するのに不可欠な要素だったはずなんだよね。今回のジョルノとアバッキオの言い合いにも繋がるけど、結局ダーティヒーローを描いている限り、何が正解かなんて単純な答えが出るはずがない。自分の信念に殉じて何を優先するかの問題で、ブチャラティやジョルノが描く未来は、フーゴの持つ使命感や人生観とは違うということを表現する必要があった。妄信的な「信者」ばかりでは、ブチャラティのチームの持つアンビバレンツは表現しきれないからね。チームで最もIQが高いであろうフーゴにその役割が回って来るのは、事前に決められた宿命だった気はするんだよね。

 でもまぁ、現時点では単なるブチギレ面倒ニキである。史上空前の厄介スタンド・パープルヘイズ。まぁ、この後もっと面倒なグリーンデイが出てくるので(さらにその後にはボヘミアンラプソディも出てくるので)厄介度ランクではそこまで上ではないが、少なくとも「正義のヒーロー」として出してくる能力としてはイカれてるのは間違いないだろう。少年漫画の能力バトルで即死ウィルスってなぁ……やっぱりどこまで考えて書いてたかは謎だな……。しかし、少なくともこのバトルの中に限ってはちゃんとプロットがあって描かれていたもののはず。そうでなければマンインザミラーなんてこれまた面倒な能力を敵として登場させたりはしないだろう。

 「鏡の中に引きずり込むのにほとんどのエネルギーを使っちまっているからスタンド自体のパワーは低い」というのイルーゾォ本人の弁であるが、「鏡の中に引きずり込む」ことよりも「鏡の中に世界を作る」ことの方が膨大なエネルギーを消費するはずだ。今回表示されたデータを見るとマンインザミラーの射程距離はBとのことだが、あの「世界」は果たしてどこまで続いているのだろう。少なくともイルーゾォが認識している限りは世界に終わりはないだろう。そう考えれば世界創造の能力なわけで、下手したら史上最強クラスなんだ。そしてその能力の目的も、そんだけ大層なことやってるのに「敵からスタンドを剥ぎ取る」という部分だけが主目的になっているのもすごい。まぁ、暗殺が目的ならば目撃者がいないところで確実にターゲットをなぶり殺しにできるのだから、やはり「向き」の能力には違いないが。一切他の人間と連携が取れないので、やっぱりホルマジオ同様に独立部隊だったと考えるのが自然なんだろうなぁ。

 鏡の中に世界なんてない。花京院にそう言われてから十数年後に編み出された新能力。IQ150のフーゴも、引きずり込まれるまでは謎解きができなかった。そして、そんな無茶苦茶な能力を「当てに行く」のがこのバトルの最大の見どころとなる。フーゴの戦い、アバッキオの戦い、そしてジョルノの戦い。三者三様の目的意識で、それぞれに命がけのバトルをする激アツ展開。やっぱりこのあたりのバトルはどれを取っても最高すぎるんだわ。早く仮面ライダーWみたいになったアバッキオをアニメで見たいもんである。

 

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 最終回は来年までお預けか、第12話。まぁ、残す要素は唯翔との関係性とエピローグだけだし、ちょっとムズムズしながら待つしかないでしょうね。

 正直言えば、今回のお話もすでに「エピローグ」になっている感はある。残された不確定要素は「琥珀が時間魔法を成功させられるか」という部分だけなのだが、前にも書いた通りに「琥珀にとってハッピーエンドが確定している世界」なわけで、そこにあまり心配を持ち込む余地はない。つまり、事実上この物語は「後片付け」に入っているわけだ。そんな中で瞳美以外の人間の関係性はすでに収束しており、部長とあさぎについては、「すでに2人の間ではある程度の合意はできているけど、まだあさぎは正式にゴーサインを出さないよ」というところで留まった。この辺りの押し引きに遠慮というか思慮が見られるあたりがあさぎらしいところである。単細胞な恋愛ものだったら、部長がフラれたこのタイミングで一気にあさぎを走らせてしまいそうなところだが、それではあまりに「らしく」ないのだ。文化祭のイベント内で初めて自分の作った作品が認められたあさぎは、少しずつ後ろ向きだった性格を修正し、瞳美との関係性など、いろんな物事に対して前向きになろうとしていることがわかる。ここで最後の一押しとして部長に告白してしまう展開もゼロではなかろうが、やはりあさぎさんはもう一手待つことにしたようだ。彼女の「まだ」は、部長にもう少し自分のことを知ってもらう時間的な猶予を与えるためのもの。単に怖気付いて前進できなかった唯翔のステイとはわけが違う発展的なものだ。

 胡桃と千草の関係は最後までやっぱりこのまんま。まぁ、この2人に関しては今の距離感がベストってことなんだろうな。多分高校卒業後も、なんだかんだで千草が胡桃と同じ大学に入るように追いかけて(日頃からちょっかいをかけつつ)、いつの間にか距離が縮んで互いに離れられなくなるパターンになるんだろうなぁ。何の疑いも持たずに関係性がブレない状態、これはこれで羨ましくもありますな。

 そして、最後に残された唯翔の存在。瞳美はすでに気持ちが固まってて、彼女なりの最大の勇気を持って踏み出そうとしてるんだけど、やっぱりダメだった。それは彼女の「色」の問題が最後まで完全解決されなかったことにも表れていて、唯翔に手を握られたお化け屋敷は、「色」どころか「光」すら存在しない真っ暗闇。色彩というのも大きく区分すれば光の一部、「光彩」なわけで、先の見えない暗闇の中で、彼女は自分の目が色を映しているのかどうかを知るすべはない。彼女の「幸せ」を届ける色は、お化け屋敷の中で見えていたのかどうか。そして、離れ離れになることがわかっているからこそ一歩を踏み出さないことを選んでいる唯翔。その思慮深さは、優しさなのか、臆病さなのか。

 ラスト一回、年明けに明かされる「琥珀の目的」はどんなものか。今の瞳美の姿を見ればそれは容易に想像できるものだが、60年後のおばあちゃんが孫に何を語ってくれるのか、年またぎでステイである。

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「寄宿学校のジュリエット」 5→5

 期待はずれでもないが、予想外でもない、そういう作品。「ロミジュリ」というタイトルを借りてきてはいるが、結末に至らなければ元の作品が持つどうしようもない悲劇性は踏襲せずに済む。現時点では、「これ、どうやってエンディングを迎えるつもりなんだろう」という部分は気になるところだが。

 マガジン作品にありがちな、「悪くないし、きちんとアニメ化した分の責任は取ってるんだろうけど、そこまで引きつけるような要素もないかな」という作品。CMなんかを見るに、今のマガジンってこういうラブコメというか、恋愛要素が中心になる作品が多い気がするのだが、その中でも一番ベタで、特筆すべき部分に乏しい作品がこれなのだろうか。展開はおよそ分かりきっているし、毎週見たいという欲求を駆り立てないのは残念なところ。映像部分も1話目ではそれなりだった気もするのだが、その後中盤で質が低下したことは明らかであり、決して恵まれたアニメ化とは言えない結果である。アクションあり、ギャグあり、恋愛ありで色々と見せるべき部分は多かったと思うのだが、どこか一点に振り切るわけにもいかず、どんな部分でも怒られないくらいのクオリティをとどめている。まぁ、こういう「喧嘩しない」品質というのももしかしたら求められるものなのかもしれませんけどね。原作を知らない人間がアニメ単体として摂取する場合にはあんまり盛り上がらないのがね。

 でもまぁ、この作品で「足りない」と不平を言ったらそれは贅沢というものなのだろう。おそらく今作で求められる最大の要素はペルシアの愛らしさなのだろうから、その部分がきっちり表現できていればニーズは満たしているはず。その上で軽めのギャグとしての空気は損なわずにシナリオ部分も無理なく通しているのだし、やっぱり原作ありのアニメってのは大崩れせずに話数をつないで行く分には安定した素材なのだ。欲を言えばきっちり完結している作品をアニメ化して満足行くエンディングを見たいところではあるのだが、まぁ、現代でそれを言い始めると身もふたもないしなぁ。できることなら、ちゃんと完結したらその時にはまたアニメ化でゴールまで見せてほしいところなんですけどね。それが叶わない作品が本当に多いからなぁ。

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 聖夜に向けて行われるたほいや、通称「語彙なる夜」。事前に予告した通りにコピペ作るのは毎年結構大変なので今回はパスね。まぁ、今年は日程の関係で正確さに欠ける普通の日程だし、いろんなバリエーションがあるんだと考えればいいじゃない。記念すべき日ということで、久しぶり、実に半年ぶりにあの男が降臨、堕天、襲撃、蹂躙、跋扈。今回は溜まっていたものを全部吐き出しながらのプレイなのでなかなかの純度になっており、久しぶりの暴虐にファンもアンチも大満足。暴君、うつ、アスペ、結石。ずらりと並んだ限界症状の末路をとくとご覧じろ。まずは前半、8人戦。

 

 


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「うちのメイドがウザすぎる!」 6→6

 安定安心の太田雅彦クオリティ。今作は毎回感想を書くような引っ掛かりがなかったのは口惜しいが、それでも「うまる」に負けないだけの叙情性あり、「みつどもえ」に負けないだけの爆発力あり。最終話でものの見事にマジ泣きさせられるのが本当に悔しいんだけど。光の演出とか、やっぱりずるいし上手いねん。

 1話目時点では毎度おなじみのコミカルな演出の妙に加えてハイパーな動画展開でもググッと目を引きつけてくれた今作。残念ながらそれ以降はそこまで動画部分でびっくりするようなものが出てくるわけではなく、どっか1話だけかなり作画が怪しい回があったのはちょい残念ではあったが、まぁ、普通に考えたら圧倒的な動画リソースを割くようなタイプの作品でもないからな(失礼だな)。とりあえずキャラデザをちゃんと維持して、丸っこいミーシャの愛らしさなんかをキープできればそれだけでも御の字。あとはいくらでもコンテワークだけで見せ場を作ることができる。

 太田作品のすごいところは、本当に「これ、原作読んでもそこまでハマらないんじゃないかな」と思えるような普通の内容でもがっつりアニメとして高いレベルに持ってくるところ。雪合戦回なんて、多分漫画で読んだらすげぇ普通なんじゃないかな。もしかしたらクライマックスに持ってきた両思いエピソードなんかも、漫画だったらそこまで際立った話にならない可能性もある(未読だから勝手に言ってるだけだが)。構成のメリハリもありつつ、ちゃんと見せたいセールスポイントを理解した上での話作りができるというのは、当たり前のように見えて、実はこの業界でもなかなか実現できる人材がいない難しいポイントなのですよ。

 本作の場合、設定は陳腐なのかイカレてるのかすらよくわからないギリギリのライン。「メイドもの」って言えばすでに手垢がついて時代遅れになっているジャンルであるが、そこに隻眼マッチョの元自衛官が出向してくるとなると途端に怪しくなる。「仮面のメイドガイ」みたいに「色物メイド」枠の作品とくくってしまえば理解は可能だが、そこにさらに真性ロリコンの純愛要素まで詰め込まれると、さすがに鴨居つばめの前にも後にも道はなかったのではないかという気がしてくる。わしわしや森川さんはそこまで際立った要素を加味せずに「平穏な学園生活」の舞台設定を整え、そろそろネタ的に辛いか、というところでぶち込まれる第2の核弾頭が鵜飼みどりというこれまたかっ飛んだ危険物なのである。鴨居&二尉の安定コントを見ているだけでも充分楽しく、みどりさんは誰に対しても1ミリもブレずにキャラを貫く強さだけでも惚れ惚れしますよね。本当にきれいに狙った通りの効果が出せている作品。

 そしてまた、すべての中心に位置するミーシャのキャラ造形が良い。これだけ癖の強い連中に囲まれる主人公なので色々と盛り込みたくなるものだが、あくまでミーシャは「つばめに好意を寄せられる対象」であり、絶対的に必要なのは「ロリっ子として魅力的であること」。子供に求められる無垢性を保持しつつ、きちんとメイドどもをコントロールするだけの理知も持ち合わせていなければいけない。登場時は「これ、またガヴリールみたいな引きこもり設定なの?」と思ったが、すぐにお外に飛び出して元気よく遊ぶようになったのは素晴らしい。素直で、それでいてわがままで難しいお子さん。そりゃま、つばめさんでなくても心臓を撃ち抜かれるのはしょうがないところだろう。いや、初潮云々は知らんけども……。多分アニメ史上もっとも初潮っていう単語が出てきたアニメだよな。

 そして、毎度のことながらこれだけの賑々しさを盛り立ててくれたのは間違いなく中の人の力。沼倉愛美の圧の強さが本当に良い方向に出た作品である。ぬーさんって純愛を貫くキャラがすごくしっくりくる印象があるんだけど、だいたいどこか微妙に歪んでるんだよな……。そしてみどり役のM・A・Oとの絡み。こちらも圧が強く、並べてみればタカオとヒエイのコンビ。M・A・Oの関西弁はあんまり聞く機会がないのだが、まさかこんなところで聴けると思わなかったのでちょっと嬉しい。そして、全てを受け切ったミーシャ役の白石晴香。太田作品としては切絵ちゃんからのステップアップだが、見事にその大役を果たしてみせた。地声よりもかなり上の高音域でもしっかり役に乗せられるスキルはなかなかのものだ。今後も、ドタバタと騒がしい太田作品の賑やかしとして活躍してほしいものである。

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 「誰かにならなきゃ、駄目ですか?」、第12話。動き出した世界。主人公・小糸侑がついに自らの意志で立ち上がり、最大の敵である七海燈子へと挑む。この高揚感はまさに少年漫画のバトル展開と同じものだ。克己の物語、そして、挑戦の物語。

 もう、今回はただ黙って観ていたいお話。「気が付けば息も出来ない」は今回そこかしこに漏れ出た「固唾を呑む」シーンでの各キャラクターの気持ちの代弁でもあろうが、何よりも我々視聴者の気持ちを表しているかのようである。最大のクライマックスとなった侑の部屋のシーンでは、まるで我々の忍耐を試すかのように、無音のままで2人の交流が進んでいく。音は無く、動きも最小限。聖像、イコンのように描かれる2人の関係性。そんな中で必死に回り続ける扇風機は、まるで侑の心拍を肩代わりするかのようである。

 すべての元凶はこよみだ。彼女の書いた脚本のセリフ1つ1つが、すべて七海燈子の心臓を抉っていく。これをいきなり書き上げてしまったこよみの作家としてのセンス、観察者としての力量は恐るべきものだ。そして、慣れない演劇の練習の中で少しずつキャラクターを作っていこうとする他の面々に対し、すでに入り込みすぎて戻ってこられなくなった燈子。あまりにも的確に彼女のパーソナリティを反映しすぎたため、燈子は役の感情から抜け出られなくなってしまった。もともと「仮面を付け替えて役を演じ続ける」というのは彼女の人生そのものであり、そこに更に「演じる」ことを求められたら、現実と非現実が、自己と他者が、区別できなくなってしまったのだろう。はたから見れば「凄まじく入り込んだ名演」であろうが、その異様さに気付けるのは一定距離まで燈子に近づくことができた2人だけ。沙弥香と侑だ。

 「燈子の様子がおかしい」という事態を受け、2人のとった対応は真逆のものだった。沙弥香の場合、燈子が一体何にショックを受け、どんな変調をきたしたのかもすべて理解している。その上で、「荒療治だが燈子が変わるチャンスかもしれない」と突き放す処置を選んだ。姉の幻影に囚われ続けるのはよくないと思っていたわけで、そこに外部からのノイズが混じり、燈子が現状に疑問を持つことは現状打破の第一歩だと考えたわけだ。だからこそ、侑には特に何も教えず、「全てをあるがままに」と様子見する選択をした。これはこれで、燈子の理解者、もしくは保護者としてありえる判断だ。

 しかし侑は違った。彼女の場合、燈子が「姉の幻影」に囚われているという事実を受け止めてから日が浅い。あの日の河川敷、打ちのめされてしまった燈子の発言から、尋常ならざる真実があるということには気づいたが、それをどのように扱うべきかは流石に決めかねていたはずだ。しかし、侑はそうして迷いを持ち、揺れ始めた燈子を放っておくのはよくないことだと判断した。あの七海燈子が揺れている。あの、弱くて危うい燈子が迷っている。そんな状況に手を伸ばそうと思ってしまったのは、やはり侑自身も燈子によって変えられた証なのだろう。迷いを決意に、今こそ姉の亡霊を打ち破るための一撃を。そんな願いを込めて、弱った燈子を受け止める。

 しかし、すんでのところでその一歩にまでは至らなかった。燈子が揺れて、弱さを吐き出したことは間違いない。自分の正しさに疑問を持ち、救いを求めているのは間違いない。しかし、姉の幻影を失った燈子は空っぽになるだけ。残念ながら、侑はその中身を埋めるためのものを持ち合わせていない。喉元まで出かかった「好きなのに」という言葉を持ち出す勇気がない。どうしたって、これまでの燈子の気持ちを考えれば、その言葉がもたらす影響力をコントロールする自信がないのだ。ここにきて、侑がこれまでの人生で「自分」と向き合ってこなかったことのツケが回ってきてしまったのである。

 燈子は「私の嫌いなものを好きにならないでくれ」と切に訴える。それに対し、侑は「先輩だって」と反論する。「先輩だって、私の好きなものを嫌いにならないで」。駅でひとりごちたその言葉も真実であろうが、もしかしたら、「先輩だって」の奥には、「先輩だって、私の嫌いなものを好きだというくせに」という思いもあったのかもしれない。あそこで声が出せなかった自分。未だ燈子との関係性に欺瞞を挟んでしまう自分。そんなものが、侑にはどうしても許せないのだろう。

 一歩引いた視点、自他への無頓着。これまでの人生で培われた「小糸侑」は、いよいよ終わりを告げる時が来たのかもしれない。なんとか燈子を変えるため、そして、自分自身が変わるため。侑の最後の戦いが始まるのだ。

 

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「となりの吸血鬼さん」 5→5

 今期きらら枠と見せかけてそうじゃないトラップ枠。まぁ、今期最大の血みどろ枠でもあるので、これはきららじゃないな!(どうだろう)

 基本的にこうした日常系にはそこまでドハマりすることはないので、毎週やんわり見て、やんわり終わっていくだけの印象。まぁ、特に悪い点もないので見ていて苦痛を感じず、可愛い女の子がいっぱい出てくるので何となく幸せな気持ちにもなれる理想的で典型的な日常ものである。1話目の時点で「なにいろモザイクだよ」って言っていた通り、終始きんモザと比較されるような中身だったのだが、あっちだって別にそこまでイカれた作品でもないわけで、突出して優れた部分があるわけでもないが、何かが明確に劣っている印象もない。強いていうなら、やはり鬼畜こけしの鬼畜度合いが段違いなので、明確な刺激成分ではきんモザに劣るだろうか。まぁ、こっちのアカリも別方向にネジが外れてる部分はあったけどね。吸血鬼というとどこか退廃的な印象があり、さらにインモラルなイメージもあり、ちょっと軸をずらしてやれば戻ってこられないところまで異質さが出てしまうはずの題材ではあるのだが、一切そんな際立ちを感じさせず、ひたすらダラダラと話を続けるその姿勢は潔いとさえ言える。

 ところで、個人的に気になったのはこうした作品で「特に理由もなくガチレズの友達」っていうポジションのキャラがよく出るようになったのって、先駆けになるのは一体誰なんだろう。いや、たまたま今期は「アニマエール」の宇希とこっちのひなたで奇跡的なキャラかぶりをしていたのでそう感じただけかもしれないが、きんモザのあややも近いスタンスだ。日常系における女の子たちの関係性ってのは「友情」の域を出ない描写が一般的だと思っていたのだが、あややのあたりからその様相が変わってきたのだろうか。いや、まぁ、そりゃ個人的には日常系の嚆矢と認定しているひだまりの中にはヒロ沙英というレジェンドもいるんだけど、でも、あれはガチレズともちょっと違うカップリングなんだよな……もっというとヒロ沙英の場合、お互いに完全に自分にないものを補い合う「夫婦」の関係性だったのでその関係性に疑問の余地がなかったし、あややが惚れている陽子にしても、いわゆるボーイッシュ系女子で「女の子が惚れている」という状況が理解しやすい。「アニマエール」の宇希にしても、こはねの持つ「圧倒的自己犠牲精神」という要素が惚れる要因になっていることは作中でも明示されているので理解可能だ。しかし、今作におけるひなたの「灯好き」はあまり理由がはっきりしておらず、本当に純粋にガチレズ要素だけで生み出されたキャラなのである。そのあたりも何だか不思議な歪みが感じられる部分なのだが……いや、別に嫌じゃないんだけどね。純粋に不思議だったんだ。「レズ友達」のオリジンについて、何か心当たりがある方はご一報ください。あ、大道寺知世さんはレジェンドなので除外します。

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