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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「クジラの子らは砂上に歌う」 6→5

 なんか、思ってたのと違う方向に行ってしまった気がする作品。いや、最初に何を思っていたのかも定かじゃないんだけど。

 今期は個人的には「宝石の国」「魔法使いの嫁」、そして今作の3本がスタート時に興味を惹かれた3トップだったのだが、他2本が期待通り(もしくは期待を超えて)進行したのに対し、こちらの作品は、1話で見せた漠然とした印象がピークみたいなところがあった。何が残念だったのかを切り出すのが難しいのだが……おそらく、非常に現実離れした幻想的な世界なのだと思っていたら、思った以上に卑近で、えげつない世界だったという部分じゃなかろうか。「外の世界」の連中があまりにも普通に文明人だったのがなぁ。

 映像部分については秀逸な部分も多い作品だったのは間違いない。唯一無二の世界観を表現するため、スタッフが色々と頑張っていたこともわかる。ただ、そこで描かれるお話は唯一無二ではなく、さらにあまり気持ちのいいものでもなかった。未完なので設定も全部はさらいきれていないのだが、結局「罪人(の末裔)である」というそのただ1点を理由にして虐殺劇が繰り広げられてしまったのは、悲劇というよりも理不尽さの方が先に立ってしまう展開である。バックグラウンドが明らかになっていないので殺される理由についてもなんだかモヤモヤしてしまうし、殺しに来る連中のキャラも胸糞悪い。「人を誅するのが巨人やゴキブリ」というのと、「人を誅するのが人」というだけでこんなにも印象が変わるものかというのは、むしろ新鮮ですらあった。

 まぁ、そうした「胸糞悪さ」もあるならばそれを存分に見せてこそ作品として成立する部分なのだろうが、今作の場合、殺しに来る帝国側の設定がはっきりしてなかったから「その理由での戦争ならしょうがない」っていうところまで腑に落ちなかったんだよね。さらに、「砂の上だけが世界じゃなかった!」という驚きだけで本来なら1つのくくりになるはずなのに、そこからさらに別な国まで出てきて、「泥クジラの連中はどんだけ今まで盲目だったんだ」というのに驚きよりも先に呆れが来る。設定を作り込んだ結果なのだろうから矛盾は特になさそうだが、もうちょっと「隠してある世界」と「見えている世界」の区別をはっきりして欲しかった気はする。

 まぁ、何を言っても「まだ未完だから」という部分はどうしようもないので、ひょっとしたらこの先で全てがストンと落ち着き、もっと大きな絵図が浮かび上がる展開もあるのかもしれないけども。ワンピースで言ったらまだグランドラインにすら乗ってない段階だからな。アニメの2期目3期目とつながっていくことはあるのかなぁ。

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「妹さえいればいい。」 4→5

 ボドゲさえあればいい。いや、マジでそういうアニメだったな。AT-Xとか見てると特にそう感じるんだけど、昨今のアニメ・声優業界はことに「アナログゲーム」と称してボドゲを推している気がする。まぁ、アニメ好きのオタク層って潜在的にはボドゲとの相性がいいのは間違い無いのだけども。唯一の問題は、一緒にプレイする友達がいないってことで……(プレイできる環境にしがみついている僕は幸せ者です)。

 さておき、1話目で「うわっ、しょうもなっ」って思った妹要素は本当に、マジで、圧倒的に、どこをどう取っても必要なかった。主人公の「妹好き」属性は本当に口だけというか、うわべだけというか、言ってるだけで実感を伴っておらず(伴っても困るけども)、なんでこんなタイトルにしたんだろうと首をかしげるばかり。挙句最終回では「主人公の妹好きは昔姉属性の女性からフられたことがきっかけだった」というとんでもない消去法の真実が明かされ、ますます妹である必要性が薄くなるという。まー、「はがない」作者の2本目の代表作ということで、発表時にできるだけインパクトのあるタイトルが欲しかったのかもしれないが、やっぱり本質を示すならもうちょっと別なタイトルでよかったんじゃないかと。

 で、そんな妹要素を無視して改めてタイトルをつけるとすると……なんだろ、「ボードゲームのすすめ」とか「ラノベ作家の実情」とかかな……(ますます売れないタイトルになってしまった)。なるほど、これは確かに斬新ではある。延々ボドゲのルールを説明し、小説っていうか半ばリプレイみたいな内容で展開していく作品。我々のようなボドゲファンからすると、どんな形であれプレイ人口を増やす可能性がある窓口ができるのは喜ばしいことです。やっているゲームもそこそこのメジャー度で入門者にもとっかかりやすいもの、癖が強いがいかにも楽しそうなものなど、ちゃんと作者が好きで描いているであろうことが分かるので実感もこもっている。「ラノベ作家」というキャラクターたちの掘り下げのためにボドゲという道具を使うというのもありそうでなかった設定で、ゲームをしているうちに少しずつ人間関係が掘り下げられていくあたりはなかなかうまいと思った。あとはまぁ、作者の実体験に基づく良いんだか悪いんだかよくわからないリアリティな。別に「はがない」のアニメは失敗していないのだからあの辺だけは一応フィクションといえばフィクションだろうが……多分、原作者の周りにはそういう奴らも多いんだろうなぁ。

 こうしてなんとも珍妙な「半分実録みたいなラノベ作家ルポ」に、さらに強烈なキャラとしてエロやらなんやらをばらまく完全フィクションの女の子を混ぜ込むことで、しっかりと「いかにもそれ臭いラノベ」にちゃんと仕上がっているあたりがまた絶妙。単なるルポでは元来のラノベ読者を惹きつけることは難しいが、本作はちゃんと「面倒な人間関係でごちゃごちゃやるラブコメもの」としても成立しており、阿漕な女の子のキャラだけでもそれなりに売り込める。すごくざっくりまとめると「悔しいがカニ公もにゃーさんも割と可愛い」ということである。我ながらちょろいオタクである。いや、でもおっぱいが大きくて稼ぎが良くて、デフォルトが全裸で問答無用で主人公ラブを隠さずに下ネタのみで発情トークを続ける金元寿子声の女の子なんて、そりゃ可愛いに決まっているだろう(最後のが特に重要)。しかもストーリーを追ってみればこれがちゃんと主人公と相思相愛で絶妙な距離感を演出していることがわかったり、その甲斐甲斐しさにはキュンキュンするに決まっている。さすがに今作のエンディングはカニ公とくっつくエンドでいいんだよね? 千尋きゅんも可愛いことは可愛いけど、さすがにそっちエンドにするのはカニファンから刺されても文句言えないぞ。

 アニメーションとしては、どうしてもキャラデザがのっぺりしているのであんまりピンとこない画面も多かったのだが、例によって大沼さんらしいデザイン性に富む構成でテンポも良かったし、全裸派調査やらオープニングの多用やら、色々と小ネタ回しにも余念がなかったので退屈することもない。この辺りは流石としか言いようがない。本当に「ただダラダラするだけのアニメ」になりかねない作品だったので、よくもこれだけ刺激を維持しながら1クールを成立させたものだと思う。まぁ、あくまでも奇策の部類なので、受け付けない人もいるかもしれないけど。わたしゃもともと大沼さんの狙う方向性が好きな人間ですのでね。

 中の人については……やっぱりカニ派。というかひーちゃんにとにかく隠語を言わせまくるというだけで今作は価値があった。アフレコ現場で荒ぶるひーちゃん、そしてそれをやんわり見守るクマちゃん。良い景色だ……。

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Dies irae」 3→3

 結局、よく分かりませんでした……。だからほとんど真面目に見てないんだけど、これって資金を寄せたファンの皆さんから見てどうだったんでしょう。

 1話目(クレジットとしては0話)では、マジで何が起こっているのかさっぱりわからん話の構造で初見の私を困惑させてくれた本作。「まぁ、0話は原作ファン向けのサービスで、1話目からちゃんと話がわかるように構成されてるやろ」と期待したものの、結局世界観の説明ははっきりせず、様々な設定については「あるもの」としてお話が展開。わずか数話でついていけない事態になってしまった。その後も「何か謎が収束する部分があるんじゃないか」と一縷の望みを持ちながらなんとなく見ていたものの、もうそうしたフェイズは終わったんだ、とばかりにお話は突き進む。登場キャラがとにかく多いので、キャラとキャラの関係性もさして掘り下げないままに横に広がってしまうのがなぁ。

 結局、密やかな楽しみは毎度毎度エンディングの時に出てくるファンディングの人たちのよくわからない名前でした(あとエンディングテーマのどうしようもない雰囲気は割と好き)。まぁ、欲しかった人たちのところに求められたものが届いたことを祈るばかりです。

 

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「血界戦線&BEYOND」 6→5

 一番好みだったのは授業参観回です。ママさんエピソード、実によろしかった。

 ごった煮感の非常に強いアニメ。それもそのはず、もともとヘルサレムズロッドはそういう場所なのだから。古今東西大量のアニメがあるわけだが、なかなか「毎週きっちり世界の危機が訪れるアニメ」なんてものはなかなか無いだろうよ。ドッタンバッタン大騒ぎも日常茶飯ならそれは日常ものと言っても良いのかもしれない。

 特段に悪い点があったわけでは無いのです。1期同様に「技名叫んで必殺技」のくだりは堂々たるものだったし、ヘンテコ世界のへんてこ大ピンチをへんてこ解決する毎度のお祭り騒ぎは健在。充分に作品の魅力が伝わってくる仕上がりだったとは思うのだが、個人的にはどっちかっていうと松本版の方が好みだったので、その差分を考えての評価にさせてもらった。ごった煮世界の乱痴気騒ぎとはいえ、毎週毎週世界の危機を迎えていてはやっぱりマンネリ化してしまうもの。松本版の場合はそのあたりの「慣れ」を極力許さぬよう、世界の見え方の時点で色々とおかしかったのでシリーズを通して妙な緊張感があったのだが、今回の高柳版は、そうした「画面のへんてこさ」は割と大人しめだったので、「まぁ、普通のドタバタアニメかな」というくらいに落ち着いた。2話跨ぎのエピソードもいくつかあり、そこまでジェットコースターな感じもなかったし、落ち着いて個々のキャラクターの活躍を追うことができたのだから良し悪しだとは思うのだけども。

 勝手なイメージとしては「起承転結」の「承」の部分が今回のシリーズだったのかな、っていう気分で、「起」(松本版)で出てきたとんでもないイメージをそのまま程よく保持しながら確実なリズムを作っているのが「承」(高柳版)。いや、別にこの後に「転」も「結」想定してないんだけどさ。とにかく、そうしてなんとなくこの街の日常が続いている感じが伝わってくるだけでもいいかな、っていう。

 1期は割とアニメオリジナル要素も多かったらしいけど、これで原作はどれくらい費やしたんでしょうかね。3期ってあるんですかね?

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Code: Realize 〜創世の姫君〜」 5→4

 結論としては、「男児たるもの、CVが早見沙織のお姫様は何としても守りたくなるものである」という真理が得られました。個人的にはそれで充分かと思われる作品です。

 まぁ「向きじゃない」作品だったのでやっぱり流し見程度の視聴だったのだが、これは流石に真っ直ぐ見る気にはならなかった。ド定番のシンデレラストーリーに、なんとなく「その時代のヨーロッパ的有名人を集めてみました」という設定があるだけで、特に目新しさは感じられない。いわば時代を限定した英霊戦争みたいなもの……でもないけども、時代を超えて人気者の各キャラクターも、乙女ゲームにかかればあっという間にキワモノイケメンですよ。まぁ、もともとキワモノイケメンなキャラが多かった気はするけど。このままルパンがマジで美形キャラとして定着してしまったらどうしよう。

 どうしてもキャラゲーにする必要性からか、各キャラは変な方向に個性を発揮しがち。キャラが際立つのは基本的にいいことだと思うのだが、いかんせん「乙女ゲー」方向に際立ってしまうので男性目線からだと受け入れにくいキャラになってしまうことが多い。多分男性向けのアイドル作品なんかの女性キャラを女性が見たときにも同じような拒否反応が現れるんだろう。基本的に「異性に対して魅力を振りまくことが前提のキャラ」って、同性からしたら単なるムカつく奴の可能性が高いんだよな。今作の場合は別にムカつきはしないのだが、キャラとしては阿漕すぎてちょっと引く。モデルが実在(?)のキャラクターであるからなおさらだ。まぁ、それを言い始めたらまさにFateシリーズなんてどうなるんだ、って話だけども。あそこまでぶっ飛んでいっぺん「霊」にしちゃえばなんでも許されるわけですよね(性転換もか?)。今作はあくまで現実ラインの延長線上にキャラをおいてしまった分、「こんな奴いねぇよ」感が強まっただけで。いや、実際いないんだけどさ。フランケンシュタインとかルパンとかさ。

 まぁ、「向きじゃない」のだからとやかくいう必要もなかろうが、とりあえず早見沙織を嫁にとることを夢想しながら、僕は日々を強く生きていくよ。

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 最終回かと思いきや! 第12話。普通に最終回っぽい展開してたし、予告のところで続きの報告された時にも一瞬「分割2クールかな?」って思ったらまさかの「January 2018」で吹いた。2クールだったんですね。

 というわけで、終わったわけではなくて「一段落」した今回のお話。じっくりゆっくりとチセの心情を追いかけ、無事にエリアスのところに戻っていくだけの中身である。今回はもう、隠し立てすることもなしに2人の心情がはっきりと声に出る形で描かれている。たまらんのはやっぱりエリアスの方の心情変化で、「最初はただ買って、ただ観察するつもりだったのに」って言ってるあたりが何気にひどいのだが、「のに」ってことはもう単なる観察対象としては見られなくなっているということである。口数少なく、ただ素直にエリアスのいうことを聞いてくれるチセだったが、少しずつ彼女の方に変化がで始めたこともあり、エリアスも無視できない状態になっていることを自覚する必要が出てきたみたいだ。

 そして、そんなエリアスの心情を知ってか知らずか、杖を作りながら今の自分にしっかり向き合ったチセは、帰心矢の如し。今すぐにでもエリアスに会いたくて、会って話したくてたまらなくなった様子。彼女をそんな風に素直にしてくれたのは、あのおじいちゃんドラゴン・ネヴィンさんのお手柄である。杖の材料にもなった木材じいちゃんなのだが、ひよっこのチセのお悩みなど何千年も生きる龍にはお見通し。これまでの苦しい人生のせいでなかなか自分に自信が持てないチセに対し、「みんな感謝してるんだから自信もちや」と発破をかけてくれた。これだけのことを言われれば、チセさんだって自分の気持ちに少しは向き合えるというもの。杖という武器を手に入れ、ネヴィンさんのいう「どこにでもいける」という言葉を思いっきりダイレクト解釈。火の精霊の力を借りて、まさかの火の鳥フォームからの超速帰宅である。魔法を使う前にチセが見せた笑顔は、これまでの彼女では成し得なかった表情であろう。もちろん、自分の意思で、自分のために魔法を使うのも初めてのこと。それくらいには、チセもじぶんのことを考えられるようになったのである。

 大した時間でも無いのに、なんだか随分ながの別れだったように思えてくる2人。劇的な再会はまだまだチセが未熟だったおかげでなんだか締まらない結果になってしまったが、二人の気持ちが一緒であることは、どこかで感じることができたはず。これからゆっくり、お互いのことを話していければいい。

 でもなぁ、なんか今後の予告が随分不穏な内容になってたんだよなぁ……。相変わらずカルタフィルスの影もちらついているし……うわぁ、2クール目、なんか不安。

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 1224日の午後9時から翌25日の午前3時までの六時間は、1年で最もたほいやをする人の多い「語彙の6時間」です。貴方の「しらんのか」を与える友人も「ゆめのいちろうべえ」のような友達もたほいやをしています。普段は「てれーず」のようなあの娘もたほいやをしています。あなたが「なまいどむ」ことを望む綺麗な女性もたほいやをしています。あなたにもし「ごりょん」や「ちこめく」娘さんがいて、いま家にいないのでしたら間違いなくたほいやしてます。貴方の下を去り「ひなのわかれ」を経験したあの娘も、貴方とやったようにたほいやをしています。貴方が将来「まながる」人も、ずっと「みんね」を持つだろう人も、今は違う知り合いとたほいやをしています。

 


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 頬を赤らめるシンシャ! 最終話! どういうことなんだろうな! 宝石は血液流れてないから頬が紅潮する理由なんてないんだけどな! 細けぇことはいいんだよ!

 何も解決せず、何もわからない最終話。しかしそんなこともどうでもいい。どうせ原作が未完だってのは分かってるのだし、問題は「最後に示される可能性はなんなのか」という部分だけだ。前回パパラチアの復活が知らされ、そこから一体何が起こるものかと思われたが、なんと彼女はほとんど動かぬまま再びの眠りについてしまった。眠りながらとはいえ、長い年月を生き続けるじい様扱いのパパラチア。彼女は最も若いフォスの悩みをわずかな時間で察知したようで、彼女の質問に対しても、なんだか思わせぶりな、けれども多分正しい答えで応じてくれた。焦らず慎重に。それほどに、月人と先生を結ぶ謎というのは深くて繊細だ。過去に様々な宝石たちが、その謎を胸に抱き、解決せぬままになっていたのだろう。悠久とも思われる時間の中で、フォスはそんな深淵を探ることができるのだろうか。

 こうしてパパラチアが眠りにつき、残りはいわばエピローグのようなパート。ほぼ全ての宝石たちが登場し、それぞれに生きる目的を示しながら、フォスの周りでは変わらぬ日常が続いていく。アレキ先生は覚醒状態のフォスが優秀な成績でテストをパスしたことを喜ばしく思っただろうか。彼女の怨念にも似た月人へのこだわりは、フォスに新たな可能性を感じさせる。先ごろの騒動で少し柔らかくなった(物理的にではなくて)ボルツは、新たにジルコンとコンビを組んでいる。自信なさげなジルコンだったが、パートナーのイエローダイヤモンドのサポートも受け、なんとかボルツとの関係性を深めている。年寄りと揶揄されているイエローダイヤモンドも、そんなパートナーの変化に色々と感慨深げだ。彼女らと同様に年季を重ねているルチルは、壮絶なまでのパパラチアへの愛情をその身で示すが、年を重ねるごとに難度を増す無慈悲なパズルを前に、ただひたすら研鑽を積む他ない。

 その他にもレッドベリル、アメシストなどなど、変わらぬ日々の中で宝石たちはいつも通りに暮らしていく。そんな日常を壊すことになりかねないフォスの疑問。それを唯一ぶつけることができたのが、夜の住人であるシンシャだった。自分の目的のために無茶も辞さぬフォスは、なんとか月人の一体を捉えて意思疎通を試みるが、残念ながらこれは未遂に終わる。しかし、そこにわずかな可能性を見出し、そのためのパートナーとしてシンシャを選んだ。冷静さと賢さ、それに、ただ1人で戦いを始めようというフォスと同じなんらかの孤独。それらを抱えたシンシャに、フォスはなんとか自分と共に戦ってほしいと願う。「君が必要だ」という事実上のプロポーズを受けて、シンシャは見たこともない表情を見せるのだ。夜のはみ出し者。誰からも疎まれる毒物。そんな彼女が初めて面と向かって「必要だ」と言われた。その相手があの厄介なフォスだからとて、シンシャは動揺を隠しきれない。与えられた仕事は楽しくない。楽しくないにもほどがある。しかし、それでも誰かと目的を共有し、一緒に戦うことができるかもしれない。それだけで、長い長いシンシャの孤独は終りを告げるのだ。

 ついに見つけたパートナー、ついに見出した突破口。フォスはこれから、いよいよこの世界の真理へと切り込むことになるのだろう。そしてその時、シンシャは彼女を支えることができるのだろうか。気になって仕方ないこの続き、果たしてアニメの2期はあるのか? 生殺しってのはこういうことだ。はてさてどうなる、どうしてくれる!?

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「キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series」 6→6

 気がつけばほぼ毎週感想を書くことになっていたのは自分でも驚くべきことでした。基本的に、最初の3、4話目あたりまでは色んな作品の感想をつまみ食い程度に書くけど、その後トーンダウンする場合もあるし、今作は「秀作だが目立たない」というスタンスになると思われていたので、そのうち黙って見守ることになると思っていたが……結局、毎週それなりに刺激的なものが頂けたのです。

 新番チェックからの繰り返しになるが、やっぱり「巧い」作品なのだと思う。「国」という言葉を使って全く違った世界観の中をキノやシズといった旅人が傍観者として巡っていく。あとは星新一のショートショートよろしく、その設定で考えられる「それっぽい寓話」を短くまとめて構築するだけ。「だけ」というと話は簡単なように見えるが、実際に世界設定を思いつき、描写し、そこから納得のいくオチにたどり着くようにするには、かなりの力が必要になる。星新一がショートショートの名手として名を馳せてから、その後に追随する人間があまり現れないのも、こうした「ショートストーリーの多産」が長編を書くよりもハードな仕事であることの表れだろう。

 そうして用意された各種エピソード。聞くところによると今回のシリーズは「原作でも人気のある作品」の方からアニメ化していってるらしいので質が高いのは当たり前といえばそうなのだろうが、12本というそれなりの話数で、あまり被っている印象がなく、それぞれに新鮮な気持ちで観られるのは非常にありがたい。キノ・シズ・それにフォトさんと、主人公が変わることで多少なりとも雰囲気も変わるし、それぞれが確実に1話で終わるという保証があるので見ている方もテンポよく切り替えていける。いくつか尺の関係で無理やり詰め込んだようなお話もあったらしいが、その辺りはしょうがないところだろう。少なくとも初見の私から見て「足りない」と感じられるような話はほとんどなかったし、最後まで見て「陳腐すぎる」と不満を持ったお話もなかった気がする。

 そして、こうした原作ストーリーが整っているところにどのようなアニメーションを乗せていくのかというのも腕の見せ所であるが、今作のアニメーションは実に「ほどよい」出来だったと思う。壮絶作画、超絶技巧で見せるなんてことはこれっぽっちも無いだろうが、本作にそうしたアクの強さは求められていない。むしろのんべんだらりと「傍観者」であるキノたちに付いて回る平熱のアニメーションでどれだけ飽きさせないか、という勝負になり、大げさになりすぎず、それでいてどこかに奇妙さを伺わせるようなバランス感は実にお見事。最終話の「旅の終わり」のような図太い神経で作品を作るかと思えば6話「雲の中で」のような繊細な心情推移もしっかりと描き切る。作品の良さに見合った画づくりが実現し、原作の持ち味がアニメに活かされた好例と言えるのではなかろうか。今回で「人気エピソード」はあらかたやってしまったのかもしれないが、原作も話数は多いのだから、是非とも次のシリーズにも期待したいところである。

 最後はやっぱり中の人。今作はとにかくキノとエルメスのコンビということになりますかね。エルメスは旧シリーズの声の方向性とだいぶ違う、ということで放送前には議論のあったところらしいのだが、斉藤壮馬のどこか冷めたような声質はモトラドらしさにマッチしていたんじゃないでしょうか。特有の(?)嘘言い回しも色々と癖になります。そして我らが悠木碧大先生。当然言うことなしです。調べていて初めて知ったのだが、なんと彼女の事実上の声優デビューは旧シリーズで「優しい国」のさくらちゃん(悲劇の少女)を演じたところからだという。なんという数奇な縁であろうか。是非とも、今後ともこのキノという役を大事に演じていってほしいと思う。

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