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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 あっさりバレんのかよ、第5話。どうもこの国の人たちは秘密を守ったり、隠密行動をとるのが苦手なようである。いや、ジーンの勘が尋常じゃないってのもあるんだろうけども。でも、なんだかんだでこのサブタイトル、いいですね。

 相変わらずバタバタと忙しく動き回るジーン。いや、彼の表情に全く忙しなさは感じられないのだが、2日と実家に落ち着いてられない多忙っぷりは、世が世ならブラック企業の誹りを受けてもしょうがないような業務内容である。まー、他の監察課の連中が普段何をやってるかはよく分からないし、どうにも副課長にばっかり負担がかかっているように見えるのだけども。それだけジーンが優秀な人間なのだから仕方ないだろう。今回は1話で訪問したファーマス地区からあやっぺボイスのリーダーがわざわざバードンまで出張してきたが、どうもジーンとの面会を楽しみにしていた様子で、色んな区の色んな人たちからの人望が厚いのは間違いないらしい。普通に考えたら査察に来る中央のお役人なんて邪魔もん以外のなにものでもないはずなのだが、ジーンはどこの地区に言っても割と快く受け入れられているのだ。その上できちんと仕事がこなせてるんだから、やっぱりジーンはエラいのだ。

 で、今回向かった先は雪深きビッラ区というところ。クリスマスシーズンだからってのもあるんだろうが、どうやらドーワーの中でも北の方に位置した寒冷な土地なのは間違いないようだ。南に行けば割と農業のさかんな国も多いし、ドーワーって結構南北にも東西にもでかいんだろうな。いや、この世界の緯度と温度に相関があるのかは知らんけども。中国くらいのサイズなのかな。それとも、やっぱり最初の見立て通り、EUが1つの大国になっているっていうくらいのサイズ感が自然か。

 ビッラの人たちの生き方は前回のスイツに比べたら随分穏当なもので、寒冷地で食糧事情がそこまで恵まれているわけではないだろうが、その割には支部の人たちもピリピリしてるわけでもなく、他の区との関係性も悪くない。最後に面会したおっちゃんは一応「他の区が暴れたら承知せぇへんで」と釘を刺していたが、あくまでクーデターの噂なんかが飛び交っている不穏な状況を鑑みてのものだろう。これまで通りに国が、そしてACCAが運営されているならば、この地区に大きな問題はなさそうだ。寒いながらもジーンは無事に査察を終え、チクリとビールに文句を言われながらも美味しい食事もあったかい布団も、そして煙草ももらっているのである。

 で、そんな雪の中での気づきが1つ。それはあまりにも慣れすぎた「視線」のお話だった。査察する側が「見られる」という何とも皮肉なお話を事前にリーリウム長官に聞いていたから、ってのはあるだろうが、これまで特に意識していなかったニーノの監視に、ジーンはあっさり気付いてしまった。ニーノだって馬鹿じゃないんだからきっちり気配を消せる距離をとっていたはずなのだが、たまたまなのか、狙ってなのか、ビシッと方向も定めた上でニーノを見つけちゃった。この辺がジーンのよく分からない強みである。ニーノの方もまさかばれるとは思っていなかったので大慌て。元々一方的に騙しているという負い目もあったのだろうが、ジーン側から詰め寄られたらあっさりと負けを認めてくれた。まぁ、特にジーンは悪友との関係性を荒立てようとも思ってないし、そもそもニーノの行動で迷惑を被ったこともないし。自分がよく知らないとこで動いてる分には、とりあえず好きにして、っていうスタンス。一応、次の出張の時には妹を理由に実家に拘束してましたけどね。次に向かったロックス区ではニーノを挟まずにグロッシュラーと直接対峙してるし、2人の間にはどれくらいの相互理解があるもんなのか。

 他の5長官はグロッシュラーとクーデター派の関係性を訝しんでいたが、ジーンはその直観でもって「グロッシュラーとクーデターは繋がらない」と読んでいる。だからこそ、こうして平気で1対1の対面が実現してしまったのだろう。グロッシュラーが何を思ってジーンと直接向かい合うのかはまだ分からないが、ようやく、大きな刺激が飛び出してきそうなセッティングが整ったぞ。

 なお、馬鹿王子サイドは食パンのおいしさを理解したところで終わった模様。「これは食パンっていうんですか」とか「焼いたらトーストっていうんですか」とか、この国の言語体系がさっぱり分からんな。やっぱりあのトースターは出張先から買って帰ったんでしょうかね(どう考えても食パン用だし)。美味しいパンで朝を始められるのは良いことですよ、王子。

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 良い新キャラ、第5話。こういう展開が欲しかったのよね。やっぱりキャラがわちゃわちゃしてなんぼの作風だと思うし。

 ここまでの展開も別に悪くはなかったのだが、今ひとつパンチが足りない気がしていたのって、多分ガヴの設定があんまり活きてなかったからなんだよ。サターニャ様ばかりが引っ張ってる印象があって、ガヴは単なる引きこもりの駄目天使でしかなかった。それだったら天使でも何でもないその辺のニートと変わらないわけで、半端に学校にきている分、極端なニート主人公よりも弱いということになってしまう。そこで、今回投入されたタプリスが上手い具合に絡んでくることになる。タプリスはガヴの最大の特徴である「堕天」を活かすことが出来るキャラクター設定で、彼女の目線から改めて設定を見直すことによって、今作最大の特徴が上手いことネタとして昇華されるって寸法だ。やっぱりギャグの基本はギャップですからね。

 そして、そんな大切なカンフル剤の役割を果たすタプリス自身も実に良いキャラ。ただでさえ女子4人でかしましかった現場に、更に水瀬いのりボイスが絶妙にはまった幼女がやってくる。そして、ご丁寧に1人1人別個に遭遇し、4キャラの個性を改めて引き出してくれるのである。そうして触媒を介して引き立ったキャラといえば、やはりそれはサターニャ様である。これまでは言わば最下層民(?)のポジションに甘んじていたサターニャが、ようやく自分よりも弱い存在を見出すことが出来た。いや、正確には互角くらいの存在だとは思うのだが、とにかく片手であしらわれるようなことなく、正面から実力を発揮することが出来る相手を見つけたのだ。まぁ、正面からぶつかった割にはこすっからい勝負になってたけども……。

 そして、そんなサターニャの失態を楽しむのは、我々視聴者もラフィエルも同じ。外野に回ってどんどん火種だけを焚き付けていくラフィエルの名フィクサーっぷりは実にお見事。サターニャの扱い方は充分に理解しているし、どうやら天界ですでにタプリスの性格も把握していたみたいなので、面白いおもちゃを2つ掛け合わせたような、彼女にとっては夢のマッチングである。地元の後輩ですら全力で遊びに使っていく外道な一面が引き立ちつつ、彼女は彼女で楽しそうにしている様子が可愛らしいので何ともお得なのである。今回は全体的にキャラの表情の付け方とか間の引っ張り方が良かった気がする。いつもの太田演出とはちょっと違うテンポかなぁ、と思ってたら、なんとコンテが上坪さんだった。過去に太田作品に絡んだ記憶は無かったのだが、履歴を遡ると「プラメモ」あたりで動画工房の仕事はしてるので、そっちからの繋がりかしらね。

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 倫理感! 第4話。前回が割とおとなしめの回だったからって、そんないきなり全力でまわさんでも……もう、ずっと笑いっぱなしでしんどいわ。

 2話がめぐみん(ゆんゆん)回、3話がアクア回ときて、1話目で追放されてしまったダクネスさんはずっと差し込みで「ブッコロシテヤルゥ!」っていうだけの役。そんなんでかやのんにギャラが発生するのもどうやねん、と思っていたくらいだったが、そう、ここまでのギャラは、この4話のためにあったのだ!(いや、そういうわけじゃないけども)

 もう、頭から尻までずっとダクネス。より正確に書くなら頭から尻までずっとダクネスの胸と尻。やっぱこのクルセイダーすごいよ!! まぁ、一応ダクネスについて書く前に冒頭の導入部分のアクア様とカズマの熟年夫婦コントにも触れておきましょうね。どうやら前回のお話からそのまま続いていたようで、宴会でどんちゃんやるとネジが外れるアクア様は今日も今日とてカズマのおかんむりをなんとかなだめようと必死のご奉仕。寒くてもどうせ化繊ベースなんだからジャージ燃やしちゃ駄目。そして酒瓶抱えてないと眠れないのはもっと駄目。完全にアル中で旦那の給料使い込むクソ嫁じゃねぇか。平和主義のカズマさんだってそりゃ身内にスティール使うわ。言われるまで気付かなかったが、そういやアクアの羽衣ってずっとつけっぱなしなのね。オープニングでは謎のムササビ忍法に使われてるあれ。なんか特殊な効果とか持ってるのかな。炎属性のダメージ半減とか、そういう奴かな。でも、質屋に持ってったところで単なる布きれだから二束三文で終わりそうだけども。どうせこの世界ではアクアの霊験なんて誰も信じてないわけだし。

 そんなボロを纏って心もボロの連中とは対照的に、ダクネスさんてば育ちは大変良いのです。以前からその存在を臭わせていたダクネス家(正式名称はダスティネス家らしいが)ががっつりお話に絡んできた。しかも、この手のパーティーものではお馴染みの「縁談が舞い込んできましたよ」パターンだ。王道展開なら、ここからパーティーがあれやこれやで見合いを妨害して仲間を手放さないように奔走するところなのだが、カズマさんはただでさえ問題児だらけで手一杯のところ、少しでも肩の荷を降ろそうとお見合い計画に加担することに。正直、今回のお話が始まった直後の状態なら、「ダクネスって単にM気質なだけだから、使い込みの激しい駄女神アクアとか、常時放火犯になる危険性を孕んだ頭のおかしい爆裂娘なんかよりよっぽど役に立つんじゃ」と思っていたのだが、今回の30分を経ることで……「あぁ、これは早めに手放しておいた方がいいわ……」ってなったな。カズマさんは、きっと我々視聴者の見えないところでも多大な苦労を背負っているに違いない。

 ダクネス切り離し作戦にあたって、カズマはまず渡りに船のトラブル案件でめぐみんを処理。なるほど、確かにアクアなんかよりはその手の話題にも敏感に反応出来るし、何よりパーティの解散を一番恐れているめぐみんはダクネスを処分する上で邪魔なのは間違いない。ホント、カズマさんはこういうところでの采配が絶妙。めぐみんさえ切り離してしまえば、あとはどうとでもなる犬っころ扱いのアクアを黙らせればいいわけで、残る課題はダクネス本人だけということになる。ただ、その本人が……やはり大物すぎた……。

 思えば、ダクネスというキャラは考えようによっては「弱い」キャラなんだよ。設定として異端なのはM属性だけだし、「お約束の女騎士」に憧れているという点(と攻撃性能がゴミな点)を除けば、金持ってる家だし、気位があってタフネスも高い。壁役として役に立つ上、実はこれまでの冒険でもダクネスだから成し得た仕事は割と多い。そう考えると、文字通り神レベルのクズ性能を持つアクアや、かっ飛びめぐみんに比べたらクセは「弱く」なるはずなんだ。しかし、今回の1話を見ればそんな見方が誤りだと分かる。あまりに楽観的だったことが分かる。カズマさん曰く「やっぱり駄目だこの女」。彼女の「お約束の女騎士願望」は、どうやらファンタジーの枠を超える。とりあえず自分が苦境に立たされればなんでもいいらしい。別に相手がオークとか魔王じゃなくてもいいらしい。旦那がクズで、酒瓶で殴られ、身売りを強要されて泣く泣く慰みものになるのがいいらしい。もう、それ冒険者じゃねぇな。薄い本にしか使えない奴だな。いや、実のところ、ダクネスって何されてもプラスに転換しちゃう超性能の持ち主だから陵辱ものの薄い本にも全く向かないんだけども。

 今回はとにかく、そんなダクネスの独特な、最低な、異常な、キチ○イな主義主張が余すことなく展開されたわけです。常識人を前にしても一切引かない媚びない省みない彼女の信念。その一本気な振る舞いは実に潔く、むしろ神々しくすらある。あらゆる苦難を快楽に変え、快楽は全て忌むべきものと吐き捨てる。こんな娘がまともな人生を送れるわけがないじゃないか。お父さん、甘やかしたって言ってたけど、一体どんな教育したらこんな娘になるっていうんですか。幼少期にクリムゾン作品でも読み聞かせたのか? 英才くっころ教育でも施したのか? 結局、カズマのパーティには「どうしてこうなった」しかいないんだよ……。

 というわけで、あらゆるシーンがダクネス。つまりあらゆるシーンがかやのん。かやのんを猥語で攻め立てるプレイとか、どれだけの金と権力を持ったら実現する夢でしょうか。この作品は、僕らの夢を叶えてくれるのです。ダクネスは、僕らの夢の集大成なのです。……集大成がこれか……悪夢の結晶って、こんなにもいびつで尊いものなのね……。フヒ。

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 そう、これこれ、第5話。正直、ここまでの4話は悪くないとは言え特に突っ込みどころも見あたらず順当な進行だったのだけど、今回のお話みたいなのが出てくると俄然世界観に新鮮味が出てきます。こういうネタが良いのよ。

 そして今回は、あの劇場版で活躍(?)した落ちこぼれ3人娘の活躍回でもある。コンスタンツェ、アマンダ、そしてヤスミンカ。この3人のキャラ、下手したらアッコたちメイン3人よりも濃いので、ただ画面に出てなんかしてるだけでも楽しい。というか、ぶっちゃけヤスミンカなんてほとんど菓子を貪り食ってるだけなのだが、それでも画面の上で動いているとどうしても気になってしまう存在感があるのだ。チェイスシーンでヤスミンカがコンスタンツェを抱えて移動砲台みたいに振り回すシーンは笑った。アッコたちとこの3人組、劇場版の時点でそこまで親しそうにも見えなかった気がするのだが、最終的にどのくらいの親密度で移行するんだろう。まぁ、パイロット版や劇場版とのすり合わせの難しさは、ダイアナのデレ度の部分が一番大きいと思うんだけども。2話なんかの騒動を見てると、聡明なダイアナは割と早い時点でアッコたちのことを認めてる部分があるはずなんだけど、そうなるとパイロット版でのツン度がちょっと強い気がするのよね。まぁ、そのあたりは別物と割り切った方がいいのかしら。

 さて、パイロット版ではあれだけ必死になって守り通した魔導石。それがこうもあっさりと学院から持ち出されてしまうという大騒動。アカデミーからは魔法の力が全て奪い去られ、いわば存亡の危機に瀕したというのに、何故かパイロット版の時のような緊張感は無いという。その理由は後になって明かされるわけだが……ひでぇな、魔法学校。そうかぁ、魔女の世界も少子化や後継者難の問題を抱えているのね……。いや、未だにこの世界における「魔女」と「人間」の関係性ってよく分かってないんだけどね。アッコは「人間だけど魔女の憧れる」女の子で、他の面々は一応魔女としての生を受けている存在。ということは生まれながらに「魔女」「人間」ってのは差がある存在のはずなのだが……単に魔力のキャパの大小で呼び変えてるだけなのかなぁ。おそらく魔力の有無ってのが遺伝によって先天的に決まっているので、そうした素質を持った家系の人間が引き継いでいるのが魔女という「職業」なのかもしれない。

 ただ、そうした伝統芸能に翳りが見えるのはどんな世界でも同じ展開。今回登場した邪竜(?)ファフニールさんも、そんな黴の生えた考え方に何の意味があるのか、と苦言を呈して魔法学校の売却計画まで立ててしまっている。実業家としてのファフニールさんのセンスはどうやら確かなもののようなので、おそらく伝統にしがみつくだけではこの先魔法学校が危ういのは事実なのだろう。ただ、それでもアッコのように「魔女への憧れ」を持つ人間もいるし、スーシィのように魔女ならではの文化に強い関心を持ち、そこに新しい意味を産みだそうとしている者もいる。そしてもちろん、シャイニィシャリオのように人間に夢を与えてくれる魔女もいるわけだ。どんな側面に価値を見いだして伝統を繋いでいくか。ひょっとしたら今後のお話はそんなテーマにも関わってくるのかもしれません。

 それにしてもダイアナさんは優秀だよな……「もう全部ダイアナに任せればいいんじゃないかな」。

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 悪すぎィ! 第5話。今まで色んなアニメを見てきたが、こんなに小気味よくて笑える俺ツエーはなかなか無いぞ。

 どう考えても余生を満喫してるようにしか見えないターニャさん。こんだけ楽しそうにしてんだから、どう考えても存在Xさんの采配が間違ってたとしか思えないんだけど、こっから落とす方法はあるんでしょうかね(いくらでもありそう)。まぁ、もちろん最初は前線任務なんて乗り気じゃなかったわけだが……どういう戦況なのかは今ひとつ分からんが、どうやらこれまでの鉄火場となるような戦線(北方と西方)と違い、こちらの東側ラインはまだまだ戦争の火種にちょろっと点火した程度の状態らしい。ガチンコで魔術師どうしが殴り合っていた最前線と異なり、ターニャ旋風を巻き起こしやすい良い仕事場に巡り会えたようです。こうして数多の命を奪っていくのも存在Xの狙い通り? そんなわけないよね。

 完全なる俺ツエーを達成する過程で、今回もターニャさんの狙っていなかった「どーしてこうなった」(本人談)がてんこ盛り。まず、大隊の形成のための書類審査でたっぷり時間を潰してやろうと思っていたのに、なんの縁やらサポートに来ちゃったヴィーシャちゃん。戦場では割とヘタレ風味だった彼女だが、元々有能な人材だったのだろう、書類仕事も人員のピックアップもてきぱきとこなしてくれるご様子。ターニャちゃんからしたら本当に大きなお世話。二の矢として行った嫌がらせは「ハードルの高い面接でガンガン新人を蹴落としていく」作戦だが、こちらも上層部に苦言を呈されて店じまい。そうかー、魔術師って単に空飛んでドンパチやるだけの高火力マシンみたいなイメージだったんだけど、イリュージョンとか形成する能力もちゃんと持ってるのね。そんな面接、ハードル高すぎるやん。むしろちゃんと気付いた人材がいただけでも割と立派やん。

 「多少評価基準を落として」なんとか大隊の数に帳尻を合わせ、そこからどうしたらいいかと問われたら、今度は訓練で時間を使いましょう、と答えるのが普通なのだが、我らがターニャさんの下衆発想はその斜め上を行く。「短期間で錬成しましょう。ただし、その間に脱落者が多かったらシカタナイネ」という、上層部には良い顔(?)が出来て、更にプロジェクトをたたみ直す妙案で勝負。「短期間で仕上げろっつった上層部が悪いやん」という大義名分を得て志願兵をボッコボコに潰して更地にする予定だったのだが、これがまぁ、とってもアンラッキーマン。鬼のしごきに新人たちが余計に発憤。気付けば一ヶ月の訓練という名の拷問にも耐えきり、出来上がったのは忠実かつ屈強なる魔術兵団。おかしいぞターニャさん、人数減ってないぞターニャさん。大隊完成の詔をくださるターニャさんの引きつった顔はなかなかの見ものです。

 こうして「地位」と「手足」まで手に入れてしまっては、もうお仕事から逃げることは出来ない。奇妙な配属に訝しみながらも実地へ向かったターニャさんを出迎えてくれたのは、かつての地獄の前線とは比べるべくもない、「戦争のようなもの」。あまりの戦力差に拍子抜けしながらも、圧倒的な破壊力にだんだん陶酔しちゃう駄目なターニャさん。蹂躙の限りを尽くして敵軍を掃討し、更にフラッと散歩感覚で敵国首都までぶっ込み、自らの特権を活かしてやりたい放題。幼女で良かったな! いや、最低だな!

 いちいちヒネた台詞回しと、自分の人生設計からどんどん外れていくのになんだかんだで楽しんじゃってる様子が隠しきれないターニャさんを見ているだけでも楽しい作品。更に悔しがったり喜んだり、ときに幼女ぶってみたりと千変万化の顔芸も毎回安定して笑わせてくれる。さらに今回から、「だいたいのことを察して脇でため息を吐くヴィーシャちゃん」という素敵オプションもついた。1人で抜け駆けして塹壕掘り始めるヴィーシャちゃん可愛い。

 これ、来週以降も俺ツエーなんでしょうか。そろそろでっかいしっぺ返しが来る頃だろうと思うのだが……。泣いてても笑ってても可愛い(?)から良しとしよう。

 

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 さぁ、新しい時代を刻んでいこうか。また1年という長丁場をお付き合いすることになるプリキュアが始まったぞ。そして今年は、これまでのプリキュアから随分大きな変更が加えられる改革の年という噂も聞こえてくる。一体どんな作品が出てくることになるのやら。

 ただまぁ、1年間のお付き合いとは言ったものの、当方別にそこまで熱心なプリキュアフォロワーというわけではない。いや、世間の××歳の人間の中では文句無く熱心な方だとは思うが(そりゃそうじゃ)、最近は身近に真性の人間がうろうろしてるので、「いや、すみません、ボクはそこまでは……」という心持ちで幾分謙虚に見せてもらっている状態。実際、戦隊と違って1話目でそこまでテンションがあがることはなく、過去の履歴を見ても、大体の作品の評点は5。唯一1話目からビンビン来てた「プリンセスプリキュア」だけが加点されている程度である。

 今作もそういう意味では「ま、こんな感じやろな」というスタート。毎年1話目はこのくらいの滑り出しだろうよ。ただ、確かに過去作に比べると幾らか気になる変更点は存在しており、一番分かりやすいのは大胆な実写の導入だろうか。作中の演出と番組後のコーナーに挟まれた「リアルスイーツ」は、これまでファンタジー一辺倒の存在だったプリキュアが、随分身近な「女の子の楽しいもの」に降りてきた感がある。キャストにあの福原遥がクレジットされることも加味すると、なんだかNHKの子供向けお料理番組の要素を足したような感じ。更に、プリキュアの伝統である徒手空拳によるガチバトル要素も今作では薄くなる(無くなる?)という。1話の戦闘でも、キュアホイップは超人的なうさぎ跳躍こそ見せたものの、そこからのアタックはパンチもキックも無しで、何かよく分からないクリーム空拳を駆使して戦うスタイルになっている。

 プリキュアがスタートした元々の理念の1つに「女の子だって、戦うんだ」というテーゼがあったはずなのだが、どうやら今作ではその部分は大きく削られている様子。もちろん、闘うという言葉にも色んな意味があるわけで、パンチキックで粗野に戦わず、まるで「男の胃袋を掴む」かのように食い物で相手を籠絡するのも立派な戦いの1つと言えるわけだが、どうも今作はそういう意図ではなく、もっと概念的な部分で「スイーツとバトルの融和」を目指しているようである。まぁ、そりゃプリンやケーキでどつくわけにもいかんしなぁ。ただ、スイーツと合わさったもう1つのモチーフが「動物」なんだよね。今後仲間になる他のプリキュアたちの動物、割と好戦的なデザインが多い気もするのだが……どうなるんでしょう。「仮面ライダー鎧武」の「鎧武者+フルーツ」みたいな無茶苦茶な組み合わせになったらどうしよう。どう考えてもパンチキックで攻め込む女児よりも、生クリームをぶちまけながら暴れる女児の方が凶悪だよな。

 個人的には、プリキュアはやっぱり殴る蹴るの暴行を容赦無く叩きつける世界であってほしいので、期待値的にはやや辛め。ただ、それだけがシリーズの魅力というわけでもなかろうし、新しいことに挑戦するのは良いことだと思うので、現状ではしばらく様子見といったところだろう。どうせこの手の5人キュアはメンバーが全員揃わないと真の実力は分からないし。パッと見のキャラでは後から加わる連中の方が気になるし(キャストのせいです)。

 というわけでキャストの話だが、メインを務めるのはほぼ新人の美山加恋という子。プリキュアって元々、いわゆるメジャーガチガチの声優ばかりを起用しないっていうところも特徴の一つだったが、ここ最近はずっとメジャー路線だったのでここに来ての原点回帰の印象。まぁ、ぶっちゃけ1話目で響くものは感じなかったが、特にひどいということもないので中の人の成長もシリーズを通じて見ていけるのではなかろうか。そして意外だったのは妖精役のかないみかである。そうか、みかさんってまだプリキュア妖精やってなかったのか……真っ先にキャスティングされてそうなのでこれは盲点。そして敵サイドにはうえだゆうじ。デフォルトのちっちゃい形態での発声が大変そうな役だったな。うえだゆうじとかが「キラキラル」とか言っててもどうしても「キルラキル」に聞こえちゃうのは仕様ですね。あとはツダケンがとーちゃんやってるのを聞いてると「ツダケンがいつの間にか日本の親父像として定着しそう」とか思う。……1話目はほとんどメインの女の子が出てこないからおっさんにしか目がいかないのよぅ。

 まぁ、とにもかくにも1年間の長い作品である。じっくりゆっくり、育ててもらえばよいのではないでしょうか。

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2月4日 ドラフト模様(AER×2 KLD

ピック順 Sangriter】→【Mei】→【Sea-chicken】→【Alessi】→【Thraxi】→【Chrolony】→

 

 霊気紛争3戦目。世間的には久しぶりにどでかい禁止改訂後初のプロツアーということで色々と盛り上がっているようですが、僕らはそんな余裕はないです。ドラフトだってまだ3回目。手探りです。途中で嫌気がさして帰りたいとか言い出す人間までいる始末です(いつものこと)。それでも僕らはパックを開けなければいけないのです。いつか出るInventionを目指して。……最近出てねぇなぁ。

 

 


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 嗚呼、終わってしまったか……。毎年恒例とはいえ、戦隊ロスのこの虚ろな感情は何年経っても慣れることは無いですね。我が人生においてはリアルタイム視聴作品としては6作目。通して全て観た作品としては31作目となる。そして戦隊シリーズとしては記念すべき40作品目。この節目の戦隊は、一体どんな作品だっただろうか。

 戦隊シリーズはアニメと違って点数をつけてないのだが、漠然と私の中ではランク付けがあり、このジュウオウジャーは「A」に入る作品だ(実はその上のSランクってのもあるのだが、ここに入る作品はわずか3作なので特別なのだ)。正直言うと番組が始まる前はメモリアル作品ってことでゴーカイみたいなとんでもないお祭り騒ぎを期待してもいたのだが、蓋を開けてみれば近年でも珍しいくらい圧倒的な王道作品。そして、終わってみればこれで良かったのだろうとも思える作品になっている。原点回帰で余計な要素を入れず、堂々と「戦隊らしさ」を見せてくれるお手本のような良い番組になっていたのじゃなかろうか。

 唯一気になった点を先にあげておくなら、以前の劇場版の感想でもちょっと触れたのだが、「大和の家庭の確執がギリギリまで掘り起こされず、なんだか大和が他人と壁を作ってる印象が続いてしまった」という部分は気になったところ。すっきりと作品を終わらせるためにも、もうちょっと早い段階で大和のアイデンティティを作り上げた過去話を掘り下げ、残りのメンバーとの友情形成を完全なものにしておいた方が気持ちよく観られたんじゃないか、という気はするんだ。

 でもまぁ、そのあたりは些事だと思う。残りのメンバーでのドラマ作りはいちいち楽しいものだったし、みっちゃんを含めた6人での取り回しは実に濃密。キャラの11人がキッチリ立って毎週楽しませてくれていたので、戦隊の構造としては不満は無い。毎年印象を左右する要素に「全てのメンバーがきちんと思い出に残るか」っていうポイントがあって、本作はその要件を充分に満たすだけの中身があった。ホント、1年で終わってしまうのが勿体ないくらいで、まだまだレオやセラのすったもんだを見ていたかった。

 個人的に本作で一押しだった要素をいくつか見ていくと、上述のように「メンバーの個性」で言うならレオのポジショニング非常に良かった。歴代男性イエローの中でもトップレベルに好きなキャラになったかもしれない(ちなみにそれまでのランキングだとトップはタイムイエロー。別枠でイエローオウル)。アホなのは間違いないんだけど、ジューマンチームのリーダー格として毎回みんなを引っ張っていくサブリーダーのポジションがしっかり板についており、理屈抜きでの「正義」は冷静な大和と好対照を成す戦隊のもう1つの心臓部。彼の活躍があってこそ、ジュウオウジャーはヒーローになれたと言える。相撲回とか、ナリアとのあれこれとか、色々素敵でした。そんなレオと対比される形のタスクも、クールな参謀キャラの割にジューマンなのでどこか常識が抜けているところに愛嬌があって、他のメンバーに埋没しないだけの魅力があったし、女性陣の美しさは言わずもがな。後半までは割とアムがおとなしいかなぁ、って思ってたんだけど、最後に大和の相談相手になって単なるマスコット的なホワイト像から抜きんでた印象がありますね。セラはあの結婚詐欺師回がズル過ぎるわ。あんなん、ホレてまうに決まってるやろ。あと、ジュウオウシャークは名乗りポーズがセクシーな上に格好良いのがお気に入りでした。ジュウオウジャーの面々はみんなして名乗りモーションが格好良いよねぇ。ラストのメットオフ、圧巻でした。あ、みっちゃんについてはもう言わずもがなです。ここのところ、追加戦士のインパクトはホント凄まじい。体育座りがトレードマークの戦隊ヒーローってどないやねん。

 そして、戦隊(とプリキュア)を評する上で欠かせないのが悪役サイドのドラマ。今作はジニスさん本人の活躍シーンは多くなかったのだが、その分脇を固めるナリア・アザルド・クバル(あとバングレイ)の関係性が絶妙でしたね。この中だと一番ヒーローに肉薄して印象が強かったのがバングレイなのがナニだけど、敵さんサイドも一筋縄ではいかない関係性があると刺激が多くて良いですね。クバルさんの報われないポジションが最高に可愛いし、アザルドの最後までよく分かんなかった設定のヘンテコさも楽しい。ナリアさんは……幸せになって欲しかった……。

 そして、最終話だけを見るとラストの野生大解放がイカす。最終フォーム(?)を最終回までとっておいた戦隊ヒーローって実は珍しいのでは? イーグル・ゴリラ・ホエールで陸海空を制覇した「ジュウオウ・ジ・アース」とでも言うべき無茶苦茶なフォームで見せてくれたクライマックスの作り方は最高のカタルシス。元々ホエールがかなり格好良かったので、そこに更に強引な存在感がプラスされ、イーグルマスクの格好良さが映えたのは良いデザインだった。あとはロボが好き放題やってくれればそれで完了。メカ設計の方は非常に分かりやすい「おもちゃ感」がむしろ好きでしたよ。子供の頃だったら夢中で遊んだだろうなぁ、っていうワクワク感があるし。次作はキューブからの球っていう分かりやすいシフトになってるのよな。

 他にも色々と触れるべき点はあるのだろうが、とにかく最後まで賑やかに盛り上げてくれた、理想の戦隊の1つだったと思います。1年間、お疲れ様でした。さて、来週からは切り替えて変な9人を迎え撃たないとな。

 

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 鮮烈一閃、第5話。どこかのタイミングで現れるだろうと思っていた“もの”だが、この大舞台で、出てきてしまうものか。

 前回は心底晴れがましいお話で、助六としての成長、そして小夏との決定的な和解など、新しい時代に繋ぐ明るい展開ばかりのお話だった。随分珍しいとは思っていたが、もちろん、その先に訪れるものの前座だったのはある意味当然なわけで。

 与太郎が自分の殻をようやく破れそうな節目のタイミング、時機と見た菊さんは身を削るようにして助六の「居残り佐平次」を披露し、与太郎に最後の一山を設ける。難しい課題だったのは間違いないが、与太郎は持ち前の落語愛、そして樋口先生らの協力もあり、なんとか「自分の落語」の突破口を見出すに至ったようだ。正直、個人的には「居残り佐平次」がそんな大ネタだっていう認識はあんまり無かったのだが、樋口先生の話を聞く限り、ネタのスケール感よりも内容に肉薄するキャラクターの作り込みに特徴があるようだ。かくいう私は過去に聞いたことがあるのは志ん生のものくらいなので、あんまりバリエーションって分からないんだけども。何にせよ、あの菊さんが「諦めた」ってんだから骨のある仕事だったのは間違いないようだ。

 そして、そんな大仕事を披露する絶好の機会である親子二人会の企画がいよいよ進行する。飛ぶ鳥を落とす勢いの与太、そして今や落語会を代表する大看板となった菊さん。この2人の会ともなれば、落語会をあげて盛り上げるべき一大イベントである。周りの人間も当事者たちも、嫌でも力が入ることに。菊さんは良くも悪くもいつも通りの調子だったが、与太はここで大きくけじめをつけるために、以前菊さんが褒めてくれた背中の彫り物をしっかりと仕立てての大勝負。別に任侠に義理を果たすわけではないが、半端を咎めた師匠への筋を通すための仕事だろう。自分は自分で「我を通す」ということの表れがここに1つ見られる。2人会で与太が最初にあげたネタがあの因縁の「錦の袈裟」だったというのも、彼の決意表明ととることが出来るだろう。

 そして「居残り」を巡る菊さんとの問答でも、与太はある意味では「我を通して」いる。「我が無いのが自分」とは何とも不思議な話だが、遡って見れば与太をこの世界に踏み入れさせたきっかけが菊さん。そしてその菊さんは、「私の全てを引き継げ」ではなく、「八雲と助六の全てを覚えろ」と約束させたのである。つまり、そこには八雲があり、助六があり、そしてその後ろに与太郎がある。我を通すと言われても、まずは成立させなければならない「他」が絶対的に存在するのだ。だからこそ与太郎は「自分の落語」に迷っていたわけだが、樋口先生の言葉を借りるなら、「我を通すのも1つの型」。他人から無理強いされて「我を通せ」と言われてひねくり出した「我」にどれほどの価値があるかも分からないのだ。それだったら、「自分を空っぽにして」有象無象に引っ張り回されて作り上げる世界だって、一つの「我」と言えるのかもしれない。与太郎はそんな難しいことを考えているわけじゃなかろうが、菊さんだって「どうせこの馬鹿ァ大して考えちゃいない」ってんで、叱るのも無駄だと思ったのだろう。ガチガチに固い落語論なんかでぶつかることが無いのも、この師弟のいいところなのかも。

 そして明るい話はもう1つ。前回壁を越えた与太と小夏との関係性は、今回小夏と菊さんの間にも及んだ。元々女子供を楽屋に入れることを好ましく思っていなかった菊さんだったが、小夏の仕事ぶりを見て、ついに認める動きを見せた。思えば、菊さんが小夏に笑顔を向けてくれたのって2期目に入ってからだとこれが初めてだったんじゃなかろうか。「嫌なジジイ」だったが、彼は彼なりにずっと小夏のことを気にかけており、ようやく一人前になった彼女を見て、菊さんもフッと気を緩めたのかもしれない。

 こうして、与太は新しいステージに歩を進め、何とも奇妙な家族関係もここで円熟の兆しがあった。万事良しでここからが新しい時代だ、と思った矢先のこと……。

 菊さんが記念すべき高座にかけた噺は「反魂香」。死者の魂を呼び戻す香を焚き、先立たれた女房に会おうとする男の話。幽霊が出てくるとはいえ、基本的には賑やかに落とす噺。女房とのやりとりも艶があり、なるほど菊さんがやるに丁度良いし、与太との二人会にもしっくり来る演目である。しかし、ここ最近は寄る年波もあって体調を心配されていた菊さんには、どうにもこの噺は他の因縁がついて回ってしまった。

 今回の高座は、普段よりも広いホールでの催しということで、例えば舞台のライティングがやや陰影の強いものになっていたり、マイクから聞こえてくる声にいくらか反響があって会場の広さを感じさせるようになっているのが芸の細かいところ。そうしていくらか遠巻きにも見える菊さんの手元、最初は遠景からのカットが主だが、噺が佳境に入るにつれ、少しずつにじり寄って噺の中に没入していく。菊さんの指示で小夏が焚いたお香の煙は、当初舞台袖からたなびいていたが、気付けばその煙が菊さんの噺に取り込まれ、作中人物が焚いた手元から立ち上がるようになる。自然に作られていく怪しげな話芸の世界。八雲の作り上げる噺の真髄がここに表れているわけだが、あまりに真に迫った世界の有り様は、いつしか演者そのものを取り込んでしまう。菊さんが手元で焚いた反魂香。会いたかった女房が見えるというその煙の中に、ゆらゆらと浮かぶ忌まわしい面影。

 別に、会いたいと切に願ったとも思えぬ。そこに死者の意志が介在したなどというロマンチズムも無いだろう。しかし、菊さんにはそれが見えてしまった。長きに渡る彼の苦難の人生の中で、一番強く彼を冥土へと引き寄せる、あのみよ吉の姿が。噺の中の反魂香は「死者を現世に呼び出す」ものだったが、今の菊さんには、死者を引っ張り出すほどに現世に強い繋がりは無かったのかもしれない。香の力・噺の力は、いつしか生者を隠り世へと誘うものに。心のどこかに澱のように溜まり続けたあの日への後悔が、どうしようもなく菊さんを惹きつける。

 名人と呼ばれる八雲のこと、何とか噺だけはやりきってみせるのは意地の成せる業。倒れ伏した菊さんの前に立ちはだかるのは、もう1つの亡霊、助六の姿。彼は「あちら」へと菊さんを招き入れる。否、菊さんは、「招かれるべきだ」と未だに自分を責め続ける。2人を取り囲む蝋燭は、先代八雲を見送るようにして菊さんが産みだした「死神」の再演。未練もある。悔悟もある。しかしそれ以上に、先立った2人を想う、強い自責がある。落語を殺して自分も死ぬ。そんな菊さんの「心中」は、いよいよもって、その姿を現実のものにし始めた。

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