最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
その関係性にどんな名前をつけていくのか、最終話。2つの明日は同じものになるのかどうかはまだ分かりませんが、改めて「赤の他人だった2人が、本当の家族になる物語」って書き方は上手い。 意外にも最終話できっちり落とし前つけてくれましたね。今作のテイストで言うならそこまでも辿りつかないんじゃないかと思ったんだが、ラストは一気に距離を詰めて2人のとりあえずの「ゴール」にたどり着けた。まぁ、この形がベターでしょうね(ベストかどうかはまだ分からないけど)。今回のお話で強いて気になった点を挙げるとするなら、悠太が出会った謎の賢者・藤浪さんがあまりにも賢者すぎたところだろうか。彼女が今いくつなのかすら定かでないのだが、逆境を生き抜いて強くなったその人生訓を、出会って間もない悠太に遠慮会釈なくぶつけてきやがった。藤浪がそうした人生訓を得ていること自体が歳にそぐわぬとんでもポイントだが、それが悠太にとって必要な訓話であるということも理解した上で、わざわざ場をセッティングして下賜している状態。あまりにも導き手として手慣れすぎている。これで種﨑ボイスじゃなかったら流石に違和感があったところだが、種﨑ボイスのせいで違和感がなさすぎてかえって困ってしまうくらいである。「フリーレン様、ようやく人間への理解も深まってきましたね」くらいのもんである。過去に種﨑ボイスの愚者って存在したっけ?(アーニャかな……) 閑話休題、そんな賢者の導きにより、ついに真理へと辿り着いた悠太。放っておいてもこの2人だったらいつかは辿り着いてしまう結論だったと思うのだが、今回はわざわざ2人して同時に「現状じゃダメなんだ、もっと外を向いていかないと」って違う相手をあてがったと見せかけて、わずか1、2週で「君じゃなきゃダメみたい」に戻ってくるというスピード処理。まぁ、すでに答えは分かってたってことなんだろうけど。可哀想なのは沙季にあてがわれた方の男で、あいつは純粋にフラれた。理由もよく分からず、単に「生理的に無理」という理由で(そんな失礼なこと言ってない)。それくらいのショック療法がないと臆病な沙季は自分と向き合えなかっただろうからしょうがない。先週のヘンテコ教授が予言を残し、実際に今週その通りになった。そのセットがあって初めて、沙季は自分の心と向き合うことになった。 そして悠太に至っては藤浪さんが当て馬ですらなかった。「おっ、互いに違う異性に興味を持って別々な道を歩むんやな」と思ってたら、むしろ強引にルート修正するガイドだった。なんか、翌週に実習室に行ったら藤浪さんが影も形もなくなってて「もしかして中秋の名月が生み出した幻影だったのでは……」くらいの処理になりそうで怖い。まぁ、そこはシンプルで明確な外付け倫理(逸脱)装置として出てきたと割り切っておこう。 そうして悠太は結論を出し、沙季との「すり合わせ」に臨む。ことここに至っては予防線もガードも何もない。ただ本心を打ち明けて結果を待つしかない。毎度お馴染みリビングのシーン、今回は朝食時だったので画面全体が比較的明るく照らされているが、今までになかった要素として「家の外、ベランダに置かれた鉢の樹木」がはっきりと見えている。過去にリビングのシーンといえばカウンターの上の花瓶がこの場を支配していたが、それまで窓の外、カーテンの向こう側にひっそりと隠れていた植木が、堂々と顔を出したのだ。陽光に照らされて存在感を放つ植木は当然悠太の象徴。これまでと違って本心を包み隠さなくなり、はっきりとこのリビングにある「2つの心」の存在を示している。そして対比的にカウンターの上の花瓶は直射日光を浴びていないのでやや暗めのライティング。沙季の心がまだこの時点では打ち明けられないことを含意する。 しかしまぁ、お互いの心は結局結ばれているのだ。私室のドアを挟んでのやり取りに昨日見た「ルックバック」の光景が重なって一瞬ドキッとしたが、このドアを巡るシーケンスのカット割りも実に興味深い。今作最大の特徴であるカメラの押し引きがここでも遺憾無く発揮されており、珍しく躍動感のある立ち回りを際立たせた。 そして沙季が悠太を部屋に招き入れ、「一線を超えて」からは話が早い。お互いに自分の感情と向き合えたとはいえ、2人して余計なまでに理知的な性格。「擦り合わせ」は万事滞りなく進むのである。こちらのカットでも印象的だったカメラワークがあり、それは露骨なイマジナリーラインの越境。いや、わたしゃ専門家でも何でもないのでイマジナリーラインの何たるかをよく分かってないんだが(「パプリカ」で見聞きした程度だが)、今回は沙季が悠太を抱きしめるシーンで思い切り視界が反転し、通常なら超えないと言われるラインを軽々と超えた。確かに、実際にそうして「ラインを越える」カット割を見るとその印象は強烈。それまでずっと「悠太が前に出る」シーンだったところを、一気に「沙季が迎え入れる」構図に早変わりする。たったこれだけの演出で沙季の決意がはっきりと分かる。お見事。 無事に結論に辿り着いた2人。しかしまだまだこれからの課題も多いし、ラブストーリーとして見るなら、ここから先も刺激は多いことだろう。原作はまだ未完のようだが、この先の展開はどうなるんでしょうかね。だいぶ気になります。 PR
今期は異世界なろう作品をバッサバッサと切り捨てて割とすっきりしてたシーズンだったんですが、一応最後まで見ていた作品もあります。ただ、切ったか切らなかったかに明確な差は無く、序盤数話での巡り合わせとしか言いようのない基準です。何が言いたいかというと、別に最後まで見てた作品が面白い作品ではないということです。 まぁ、一応映像部分にマイナス評価がないという部分は視聴継続の理由にはなっていたのかもしれないけど、別にいい画があったかと言われたらそんなこともなく、いつものように「こういう作品を減らしてもっと限られたアニメにリソースを割けばいいのに……」と思うだけのもの。なろう的枠組みから外れることはなく、最後までなんかムカつく話をずっとされるだけのアニメ。ことに今作はサブタイトルにもある「逆勘違い」というのがネタの根幹にあるために、主人公が「難聴」とかいう次元ではなくて単なるバカの極みになってしまったのでイライラ具合も尋常じゃない。 もちろん作り手側は「才能があるのに気づいていない」という部分を面白おかしく描くネタとして取り扱っているわけだが、こんだけ同じくだりをひたすら繰り返され、その都度適当な理由をつけて勘違いのままで維持し、主人公の認識を一切改める様子がないのは、あまりにネタのためのネタで不条理さが先に立つ。冷静に考えて、「自分の実力を鼻にかけてマウント取ってくるバカ」と「自分の恵まれた境遇を全く理解せず、勘違いのままでいい人ぶっているバカ」はどちらも等しくムカつくやつなのは間違いない。これを「善人」として描くのはいくら何でも無理があるだろう。ご丁寧に最終話で「実は昔からその才能は開花してたんですよー」みたいな後語りが出てくると「うるせぇ黙れ」感が加速しますね。 せめてもうちょいなろうテンプレからはみ出る部分があれば根本部分のイライラには多少目をつぶることもできたかもしれないが、多分「勘違い」の構築に全リソースを振ってしまったためなのだろう、肝心の冒険部分については何一つ心踊る部分はなかった。まぁ、想定内といえば想定内ですけどね。 この作品のせいでパリィという古くからTRPGとかでも使われてる1つのちっちゃい技術に変なレッテルが貼られるようになったらヤだなぁ。あ、「パリィ」っていうワードをうまいこと使ったオープニング曲だけちょっと好きです。歌詞を確認したら「PARTY」なのね。
「女神のカフェテラス(第2期)」 ―→5 なんかもう、「おめぇはそれでいいや」の極致だ。伝統芸能というのは守り継ぐことと打ち破ることのバランスが難しい。今作は、案外チャレンジ精神に溢れた「破」の精神を持った作品だったかもしれない。 確認したら、作者の瀬尾公治も今年で御歳50歳。名実ともにマガジン作家陣の大ベテラン。初めて連載を開始したのが20年ほど前だったらしいのだが、そこから5本もの連載を繰り返し、ほぼ全てが似たようなテイストのラブコメ。マンネリズムの極みの中、もはや作家性におんぶにだっこで手癖で描き続けても文句は言われない(いや、文句は言われても気にならない)域にまで達しているはずだ。その上で、この作品が出てくるってのはけっこう偉いことなんじゃないかと思うのである。 2期目での注目ポイントは何と言っても「5人のヒロイン勢にさらに5人追加」というありえない展開。しかも元ヒロインをベースにしたコピー品との対決、暗黒聖闘士形式での追加という未だかつてない導入で、ラブコメというジャンルに風穴を開けた感がある。いや、意味はないんだけども……「その発想は無かったし、あったとしても誰もやろうとは思わなかった」みたいな無茶苦茶な展開。10人のヒロインなんて御しきれるはずもないし、単にとっ散らかってラブコメの体裁すら保てない危険性がある中、ひたすらドタバタギャグに徹してノリと勢いで回し続けるこの作風は、案外やろうと思ってもできなかった形式なのかもしれない。考えてみりゃ、マガジンといえば先輩の赤松健が「ヒロイン30人」という更なる無茶を実践してそれなりの結果を残した誌面。案外そうしたチャレンジ精神というのは受け継がれるものなのかもしれない。まぁ、今やヒロイン数が「100」に辿り着こうという作品すら生まれる時代ではあるが。 設定を作り、盛り込み、切り盛りする。その結果だけを見ればなんだかんだで成立していたし、明け透けなエロもここまでいってしまえば単なるギャグに特化して古臭い笑いがいい味わいになる。私の中の瀬尾公治の作家性はここまで振り切れるものだとは思っていなかったので、正直ちょっと感心したくらいである。まぁ、残念ながらアニメーションとしてのクオリティは並も並だったので大きな加点には繋がらないが……手塚プロのチープな作画がこの「温故知新」にはちょうどいいのかもしれませんな。 「ドタバタしてたなぁ」という何となくの記憶だけで飲み込んでおくのが吉なので、この後の結末とかもあんまり興味はない。3期は、別になくてもいいですが……あったら観るんだろうな。 「ラーメン赤猫」 5→5 猫が見たければYouTubeでいい。ラーメンが食べたければ食べにいけばいい。それならこのアニメには何を求めるものか。多分、ラーメン赤猫なんでしょうね。 アニメーションとしての映像部分については特に語るべきこともないため、本来だったら物語の中身について言及するべきなのだろうが……なんだろ、ふわっと逃げられた感がある。最初から「画が微妙だし、ネタ回しもそんなにハマらないだろうなぁ」と思いながら見ていた部分があり、実際に特にハマってないはずなんだけど、「まぁ、これはこれでいいか」くらいで落ち着いてしまった。設定に整合性なんてとれてない気がするんだけど、そこはケロッとした顔で流しちゃう、妙な余裕がある作品というか、「気にしちゃうこと自体をネタにされてる感」というか……。 新番チェック時点で「この世界における猫ってどういう存在なんだよ。猫だけが経営しているラーメン屋がそれなりに珍しい存在として認知されてるのに成立してる世界、無理があるだろ」みたいなことを気にしていたし、実際そこには不条理が満ちているのだが、なんかいちいち気にしてた要素を拾われて、「まぁ、私はこういう設定で考えてるんですけど、これ以上は掘り下げないでください」みたいな流れでいちいち思考をシャットアウトされた。「言葉をしゃべる猫ってどういう存在?」についても「恵まれた環境だと猫はしゃべらないかもしれません」みたいなすげぇふわっとした説明だけされて、「じゃ、他の動物は……」みたいな部分は触れてないのに、「じゃ、納得してもらえたと思うんで」みたいな振り切れ方で次のエピソードにいく。余計なところで萎縮するより、もうこれくらい図々しい脚本の方が割り切れるんだろうな。 個人的には「猫を単なる人気取りの道具にしか使ってない作品」ってあんまり好きじゃないんだけど、今作は話数を重ねるにつれて、「まぁ、せっかくだから猫である意義を考えてみるか」くらいのノリで話を膨らませてるもんだから、時々「おっ」ってなるタイミングもあるんだよな。どうにも捉えどころがないのだが、もしかしたら「おとぎ話」ってこれくらいでいいのかもしれませんね。そうだよな、「カラスのパン屋さん」の延長線上にあると考えたら何もおかしくないもんな。 というわけで「別に好きだとは思わないけど、気づけば毎週それなりに楽しかった」でフィニッシュ。それだけに、もっと作画にパワーがあれば魅力アップできたのかなぁ、とも思わんでも無いが、そこもユルい道具立てで処理したからこその味わいなのかもね。こういうCGの使い方は、今後はどんどんアニメのスタンダードになっていくのかなぁ。 「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」 4→3 なんかこぅ、懐かしいよね、こういう箸にも棒にもかからない感じのラノベ。かつて私はアニメ化ジャンルの沈殿物として「ラノベアニメ」を忌避していた時期があったが、そんな感情を思い出させてくれた。まぁ、今作も元を辿ればなろうらしいので、結局は「ラノベ差別」が「なろう差別」に遷移したっていうだけの話なんだけど。 なろうで作品を読んだことが無いので何となく漏れ聞いたところからの確認なのだが、なろうで重要な要素はライブ感と絶えず読者を引っ張り続ける構造だと聞いたことがある。ある程度の長尺で起承転結を生み出せる(というか読者がそうなると信じてついてこられる)通常の小説媒体と異なり、なろうは短いユニットが繋がる形で次々とリリースされるので、少なくとも山場と山場の距離が近く、頻度も多いと、そういう認識である。そして、そんなに無数の刺激を絶えず生み出すというのはたとえプロ作家であっても至難の業であり、無理な構造自体がなろう作品をつまらなくしていると、およそそういう理解である。 ただ、常に適当な要素をぶっ込める異世界転生ものと異なり、こうしたラブコメ的作品は「刺激的展開の連打」を維持するのは事実上不可能であり、何かしら「絶えず捕まえ続けるフック」が必要になってくる。タイトルを見る限り、本作における「個性的なフック」は「アーリャのロシア語」であるべきだ。作者だって、そう思ってデザインしてるはずのキャラだろう。でも、少なくともアニメを見る限りではそこって全くフックになってないんですよ。どーでもいいんですよ。いや、もしかしたら初期の1回2回は魅力になっていたのかもしれないが、こんなもんでバリエーションが作れるはずもない。せいぜいTwitter漫画で数回ネタ投稿して終わりくらいのボリュームじゃなかろうか。 それではアニメで1クールもの間何をしていたかというと、謎の生徒会長選挙であった。まぁ学園青春ドラマでは定番の要素の1つであり、描き方はいくらもありそうなものだが、これがまたアーリャのキャラと一切結びついておらず、どちらかというと唾棄すべき俺つえーなろう文法の焼き直しみたいなフォーマット。ヒロインの個性を魅力に打ち出そうとして、何でその展開になるのかはよく分からない。ほんでこの仰々しい生徒会長選挙において重要なファクターとなるであろう演説なんかも何がすごいのかが全然伝わってこず、適当なエフェクトやスキル名で誤魔化せる異世界バトルの方がまだマシだった可能性すらある。作り手側はおよそアイディアも何も無い状態で生徒会バトルに突入したとしか思えないのだが、どこまでプランがあったんだろう。謎である。 「ヒロインが魅力的に描ければいいんでしょォ!」ってんでアニメスタッフは頑張ってたんだよね。作画状態は良かったし、キャラデザだって単体で取り出せば嫌いじゃなかった。でも、その恵まれた素材からエロ漫画のコピペみたいな意味不明な展開に突然巻き込まれたり、筋立ての無計画さはどう足掻いても1本のアニメとしてまとめて楽しいものにはならなかった。 2期決定かぁ……どうすっかなぁ……。 2人の女、2つの恋愛、第22話。今週は登場したキャラがアクア以外に3人のヒロインのみ(あと????)。それぞれに描かれる彼女たちの生き様(ルビーはなんもしてない)。 Aパートはチョロい女、有馬かな。子役時代から業界の最前線を突っ走り続けた女は、すいも甘いも噛み分けた海千山千だと自分では思っていたかもしれないが、その実、がむしゃらに走り続けたせいで視野の狭い、生きるのが下手な奴でもあった。アクアという珍奇な存在に振り回され、“天才”有馬かなもてんやわんや。そうしてドタバタテンパっちゃうところがかなさんの可愛らしいところでもあり。アクアはそんな彼女に対して微塵も異性としての意識は持ち合わせちゃいないようだが、「幼馴染」としての信頼は篤い。だからこそあっさりとデートにもしけ込むし、普段なら見せないような隙だって本音だって見せてくれるかもしれない。まぁ、残念ながら生まれの呪いについてはかなにだって話すことは出来ないのだが……。 現時点でかなが一番気にしているのは、そんなアクアとあかねとの関係性。「あのアクアがふつーに同世代の女の子と好き合って付き合うなんてことはありえない」くらいの推測はあるだろうし、あかねのあの態度から自分が上をいける可能性も感じ取ってはいるのだろう。しかし、いかにかなであってもここまで歪み切った2人の関係性を正確に言い当てることは出来ず、「脈ありかもしれないが現時点では付け入る隙はない」とも思っているかもしれない。可能性があるとすればアクアが業界にもまれて何人もの女に平気で手をだすようなクズ男だった場合だが……残念ながらアクアのそのムーブも生まれの呪いによって完全に否定されてしまう。アクアがクズでなければ突破口が無いが、アクアがクズなら突破する意味もない。今は積極的に動けないかなさん。宮崎旅行で何が動くかは分からないが、ひとまずは現状維持から逆転の可能性を伺っている。 Bパートは聡い女、黒川あかね。アクアにとっての彼女は都合のいい看板であり、利用価値の高いブレーン。公式に彼女がいる設定にしておけば業界内でも余計なしがらみを気にせず立ち回りやすくなっていたし、人智を超えたあかねの洞察力・分析力は、本気で腹を割って話せば自らの復讐劇の有効な武器になっていたことだろう。しかし残念ながらそこまで内情をぶちまけることも出来ず、さらに問題は自然と「解決」してしまった。なるほど、何で姫川のDNA鑑定なんてやってたのかと不思議だったのだが、関係者については片っ端から調べるというとんでもねー「数打ちゃ当たる」戦法だったのか。久しぶりにアクアの執念の不気味さを再確認できた気がする。 アクアがあかねのことを「ビジネスパートナー」と見ているというのは何とも薄情な話ではあったが、このカップルのややこしいところは、それを受けるあかねの方も関係のいびつさは重々承知しており、望んでそれを受け入れていたところ。あかね自身、アクアのことを憎からず思っていたのは間違いないのだろうし、本人の言うとおり「キスだってエッチだって」望まれれば応えるくらいの覚悟はあったのだろう。しかし、そうして全てを受け入れて情動のままに関係を進めるのは、アクアもあかねも賢しすぎた。あかねは「アクアが好きだから」全てを受け入れようとしていると思っていたが、なんとまぁ、そのあかね自身が「好き」を未だよくわかっていなかったと言う。「初めてだったんだから」と本人は言うが、それだって言い訳でしかなく、持って生まれた性分として、あかねは好き勝手な恋愛が非常に難しい質なのではなかろうか。何しろあれだけの洞察力を持ち、他人のパーソナリティに潜り込んで自己へ落とし込む特異能力を持っているのだ。恋愛というのは相手への興味から始まる。相手が自分と同じか違うかで一喜一憂することも楽しさの一部だろうが、究極的には、相手の全ては分からないからこそ興味が維持される。「底の割れた相手」に興味を持てないのはどうしようもない。そしてあかねは、やろうと思えばどんな相手だって「底を割って」しまうのだ。そしてそれがコミュニケーションの一部であるというイカれた行動原理さえ有している。黒川あかねは絶望的に恋愛向きの性格ではないのである。 アクアの方はそれを知ってか知らずか、自分の復讐劇や恋愛ショーにあかねをつき合わせることを「縛っていた」と表現している。あかねのようなとんでもない才能を自分のエゴで束縛するのはあまりに代価が大きいと判断し、この度の問題解決にあたり、あかねの「解放」を視野に入れる。そしてアクアは、そんな提案をあかねが受け入れてくれることも何となく分かっている。底の底の部分には秘密を抱え込み続けながらも、表層では互いの性質を十全に理解しているためだ。このままとんとん拍子でいけば、2人のビジネスパートナーとしての関係性は、ビジネスとして終わりを迎える。……はずだった。 しかし、ここにきてあかねの埒外の洞察力はアクアを超える。何かに引っかかったあかね。何かに気づいてしまったあかね。彼女に与えられた選択肢は2つ。その「気づき」を飲み込んでアクアの人生にこれ以上の遺恨を残さず、すっぱりと切れて別々の人生を歩むか。それとも、ここでの気づきをアクアに共有し、これまで通りの歪みきった「共犯」関係を続けていくか。どちらのルートがアクアにとっての幸せなのか。それを判断するには、まだあかねには情報が足りないのかもしれない。 ぶっちゃけ、わたしゃまだあかねの気づきが何なのかははっきり分かっちゃいないのだが……なんか出てきましたね。確実に全てを知る男が。まぁ、そういうことなんでしょうなぁ……。 「僕の妻は感情がない」 4→5 終わってみればいい話。この展開でいい話風にまとまっちゃうのもアニメ文化のなかなか異常なところではあるよな。 新番チェック時の感想は「キモい」だった。そしてその評価は全く変わってないはずなのだが評価は上がっている。その理由は「きちんとキモかった」からである。もうちょい言葉を変えるなら「責任あるキモさ」とか「覚悟を決めたキモさ」と言えるかもしれない。異常性を安易に放置して萌えやギャグに逃げるのではなく、異常な設定であることを充分に承知した上で、そこに重きを置き、そこを起点としたドラマ作りを実現させている。キモいものにはキモいなりの責任が生じるが、その見返りとしての際立ちも手にすることになる。 「家電が嫁」という設定自体はそこまで目新しいものではないというのも新番チェック時に書いた通りなのだが、このポッと出の思いつきで1クールのアニメを作るとなるとかなりの難行。確認したら原作もスタート時点ではTwitterの落書きから思いついたような1コマ2コマ程度のネタが起点だったようだし、そこから膨らませて「ホームドラマ」にしようとすると、すげぇ安易にお茶を濁して「最初の設定どこいってん」みたいな流れになりかねないところだ。しかし、今作はとにかく「そう、主人公のタクマは頭がおかしいんですよ」ということを認めつつ、だからとてタクマを異常者扱いして馬鹿にするとか、自虐を突き詰めたネタ回しにするのではなく、「異常だと分かっていても、本人からみれば間違いなく純愛。それを認められる世界があったっていいじゃないか」と唯一にして最大の個性を突き詰め、そこに真っ正直なドラマ性を生み出している。ここまでしてくれるなら、キモさも強さである。いや、1クールのドラマを見せられた後では、もはやタクマたちはキモくない。彼とミーナの関係性に祝福を送れるようになってこそ、今作の評価は上がるというものだ。 今期は図らずも「ATRI」とこれの2本同時進行だったことも、忌避することなく今作を飲み込むことができた外的要因になったかもしれない。かたや「どう見ても人間にしか見えないヒューマノイドの中にあるロボな部分に気づき、その上で人間性を与えてやる」ドラマ。かたや「どうみてもロボにしか見えない家電の奥底に眠る可能性に期待し、人間性を見出してやる」ドラマ。真逆の構造のようではあるが、「人間性とは何か」を考えさせられる部分は一緒だし、結末も満足いくものであった(ATRIの方はまだ終わってないが)。 まぁ、どんだけ言うてもキモく見える人にはキモいままだろうし、この文化が万人に受けないからこそ成立するという逆説的な状況でもあるとは思うけど。いいじゃない、人間(かもしれないもの)だもの。
行かないかも、とは言ってたものの、なんだかんだで観に行ってきました。理由はなんとも俗っぽい話で、単に良い評判がそこかしこから漏れ聞こえていたこと、そしてその影響か、思いの外ロングラン上映になっていたことに加えてそれまでやってなかった近所の劇場でも上映してくれていたこと。まぁ、そこまでお膳立てされて観に行かないってのも勿体無い話で。ここ最近の劇場アニメラッシュに紛れ込ませる形で視聴してきました。ネタバレなんて原作が流布してるから気にしなくていいとは思うのだが、一応折り返し前に書いておくと、なるほど良い作品だった。やはり食わず嫌い……いや、「食った気になってて嫌い」はいけませんね。
<以下ネタバレ禁止ではあるが、多分作品の中身についてあんまり触れない気がする>
あっぱれな寂しさ、第10話。文芸部周りには本当にいい人ばっかりだよねぇ。というか、この作品世界において純然たる悪意とか害意を持ち合わせてるのって、どこぞのみたらし団子できゅるるんしてた女だけでは? まぁ、あれはあれで「悪」ではないのだろうが……。 毎回楽しませてもらっている今作において、唯一不満があるとするなら「負け」という言葉を使っていることだ。これもまぁ、何回も書いている気がするが、今回の小鞠の経験を「負けた」よばわりするのは何か釈然としないのだ。彼女は確かにフラれた。そりゃ間違い無いし、先輩が気遣いで何と言ってくれたのかも分かりゃしないが、それでも彼女は立派に戦いを挑み、一定の戦果を得た。そこには一夏の貴重な経験もあるだろうし、部長とBL先輩という掛け替えのない仲間を得たのだ。こんな貴重な体験が、「負け」であるものか。 ……まぁ、そんなもんは言葉遊びの範疇なので文句を言ってもしょうがないし、今作はそもそものコンセプトが「負けヒロイン」からスタートし、そんな彼女たちの人生をキラキラと美しく描くことが逆説的な目的になっているのだから、むしろ彼女たちを「負けた」と評することで得られるものも多いのだ。小鞠ちゃんの今後の人生も、引き続きたくさんの困難が待ち受けていることだろうが、今回以上に「負け」が怖いことなんてあるはずもない。きっと一皮剥けたヒロインは、次に「勝ち」を拾えるはずだ。……まぁ、いまだに知らない人とろくすっぽ話せないところは変わってないんだけど……。素敵な文化祭をありがとうございました。そしてそんな小鞠を支えてくれたぬっくん、端々に畜生めいた発言が混ざらなければ今回こそは正統派主人公っぽくあったんだけどね……これだけの触れ合いを通じて、小鞠の中で温水の存在ってどうなってるんでしょうね。 今回が一応最後の一花ってんでやたらと滾っていたのはBL先輩。彼女には月之木先輩という立派な名前があるらしいのだが、今回のお話を見たらもうBL先輩で固定して問題ないと思われる。クソ野郎を自称し、卑怯者だったと自虐する先輩。ほんとに悪いやつならそんなこと言えないし、小鞠ちゃんがあんなふうに救われることもなかったんですよ。こいつはこいつで立派に「勝つ」権利を持った女性でしたね。あとはカーステレオの音量だけちょっと絞ってもらって。 そんな先輩のせいで余計な属性を披露してしまったのがもう1人の勝ちヒロイン、朝雲さん。そっかー、腐女子かー。まぁ、あの見た目とあの声だとなんか納得するわー(風評被害)。一度朝雲×月之木でじっくり対談して欲しい気もするが、そうすると思考がアニマルタウンに飛んでしまいそうでちょっと怖い。こわくない、こわくない。 そして文芸部室のあれこれなどどこ吹く風、負けも勝ちも全て薙ぎ倒す、マインドがどっちかっていうとウマ娘寄りなのが焼塩。こいつだけは「負けヒロイン呼ばわりされてるけど普通にモテる」っていう時点でだいぶ異質なんだよな。無意識系フラグクラッシャーも確かに負けカテゴリには入るのか。なんかこう……薄い本で一番輝けそうな属性だよね。 さらにさらにどこ吹く風すぎて何してるかもよく分からなくなっているのが我らが八奈見杏菜。もうこいつが口の周りに何もつけずに登場するシーンはないのだろうか。作中トップレベルの下衆のくせして何もかもわかってる風に温水を教え導くのなんかムカつくな。いや、これも彼女なりの優しさなのだろうが……今作もぼちぼち終わりが近いと思うのだが、最終的にこの八奈見といい感じになって終わったりするんでしょうか。それもどうなんでしょうか。 |
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声優のこと全般
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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
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