忍者ブログ
最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
[729] [730] [731] [732] [733] [734] [735] [736] [737] [738] [739]

 ウルジャンのCM、なんでヒロイン揃い踏みなんだよ、第13話。うるさくてしょうがないわ。全員そろってゴマ蜜団子渡してるし。カオスだ。来月は誰が出てくるんでしょうね。家政婦の虹村さんとかかな。

 インタールードみたいなイメージのエピソード。ジョセフはこの後ほとんど登場しなくなるし、新キャラとして登場した透明な赤ちゃん(一応、静ジョースターって名前になるが、ここでは「透明な赤ちゃん」が名前ってことでいいだろう)も今後ほとんどストーリーには関わってこない。あくまで仗助とジョセフの関係性に一定の結末をもたらすためだけに与えられたお話である。……と思ってたんだけど、改めて一本のシナリオにまとめられると、割と面白いな。ジョセフのキャラが活き活きするとそれだけでだいぶコミカルになるし。元々仗助ってシリーズ屈指のギャグ向き主人公だからツッコミのノリも歯切れが良い。このあたりは荒木先生も色々とテイストで実験的なことをやっていたのかな。この後の未起隆のエピソードなんかも似たようなテンションだし、4部の敵にとぼけたヤツが多いのは、トニオ→今回の話、で「日常回でも充分スタンドの物語は描ける」っていう自信が持てたからなのかも。

 改めて検討すると、今回のお話も謎が多い。最大の謎は赤ん坊がどこからやってきたか、という部分だ。両親は結局分からずじまいだし、あんな辺鄙そうなところに一人うち捨てられていた意味も分からない。一番ありそうなのは、あの厄介なスタンド能力に匙を投げた両親が我が子を捨ててしまったという展開だが、その後SW財団が調査しても両親が見つからなかったってことは、近所にそうした育児放棄があったとも考えにくい。まぁ、逆に考えれば、かなり遠方から赤ん坊を捨てに来たってことになって、地元の人間でなければあんな辺鄙なところに捨ててしまった理由も何となく分かる気はするが。余所者がおいそれと町中に入って「拾ってもらえそうなところ」に捨てるわけにもいかないし、街中と郊外のギリギリの野原に捨てていったのもしょうがないと見るべきか。流石に裸の赤ん坊をそのまま投げ出したとは考えにくいのでそれなりの付属品とか、収納してた箱なんかもあったんだろうけど、それらは全て透明になっちゃった、って事……かな? まぁ、分かりませんけど。

 そしてもう1つ原作で不思議だったのは、大金を叩いてジョセフが買い物をした時に、何故仗助がその事実に全然気付かなかったのか、っていう部分。カートに山盛りの買い物をしてジジイが出てきたならその時に気付いて怒鳴り散らしていそうなものだが、原作にそうした描写はない。今回アニメではそのあたりの繋ぎが(ちょっとだけ)出ており、人の目を気にした仗助が慌ててベビー用品店から逃げ出す様子が確認出来る。よっぽど慌ててたんだね。普段は自分の不良っぽい風体とか回りの目なんて全然気にしないのに……変なところで繊細だな。まぁ、逃げ出した後も特にジジイを怒った様子もなかったので、仗助も案外「どうせベビー用品だし、大したことないだろ」くらいの考えだったのかもしれん。親子揃って適当な金銭感覚だな。ちなみに、この時の13万円はきちんとジョセフが後で補填してくれています。まぁ、この大きな金の出入りが後々また不幸を呼ぶことになるのだが……。

 透明な赤ん坊のスタンド能力は、一切敵意もなければ利己的意識もないものなので、スタンド研究の際には興味深い存在である。自分を守るために発現しながらも自分を傷つけるスタンドというと、近い存在では3部でホリィが産んでしまったイバラのスタンドがある。あれは完全にコントロール不能になってしまっていたが、考えようによってはアクトン・ベイビー(赤ん坊のスタンド)に近い存在といえるかも。あとはチープ・トリックとかも仲間になるのかなぁ。人間でも未熟だとなかなかスタンドが使いこなせないので大変ね。猿や鳥や亀でさえスタンドを操れるというのに……。

 まぁ、そんなわけですったもんだがありながら、最後にはジョセフが父親らしい格好良いところ見せてめでたしめでたし。まー、元々索敵能力に優れるハーミットパープルがあるんだから、念写とか波紋とかで何とかならなかったのかって気もするのだが……もうジジイにそんな器用なスタンドの使いこなしは出来ないんでしょうかね。波紋の鍛錬を続けてれば師匠みたいに若い姿をずっと保てたものを……。時たま思うのは、こうして老衰で思考が鈍っていく間、ジョセフはストレイツォのことをどう思っていたんだろう、ってこと。足腰が不自由になり、色々不便になって、あの男のことを少しは理解出来るようになったのか、それでも人間の摂理に抗うことは認められないと思い続けていたか。まぁ、ジョセフの場合は隣にスージーQっていういい奥さんがいるからなぁ。あのばあさんと生活してたら、なかなかボケる暇なんてないだろ。実際、この後また元気になるみたいだしな。最終的にジョセフはいくつまで生きたんでしょうね。ひ孫の顔を見てから逝ってるはずなんだけど。まー、ひ孫はアメリカでムショにぶっこまれてたけどなぁ。

 さて、次週はいよいよあの漫画家先生が登場。CVが神谷浩史から櫻井孝宏に変更になっているってのはどう転ぶか分からないが、まー、櫻井なら問題無くやってくれることでしょう。そういや、今週わざわざ集英社の人が原稿取りに来てましたね。この時代なら別に郵送でも良い気もするのだが……わざわざ宮城県まで出張ってくる編集さんもお疲れである。しかも自宅じゃなくてその辺のオープンテラスで原稿渡すって……割とセキュリティが杜撰だよな……。

拍手

PR

「キズナイーバー」 6→6

 「迷家」に続いて終了した岡田麿里作品であり、「ルル子」に続いて終わったTRIGGER作品でもある。なかなか他と比べるのが難しいジャンルの作品なので評価も一筋縄ではいかないが、なかなかどうして、個性的な作品になっていたんじゃないでしょうか。

 上で出した2つの要素が、評価軸としては最も使いやすいものではないだろうか。つまり、「シナリオ」の岡田麿里、そして「映像」のTRIGGER(小林寛)。まずは脚本面からだが、「迷家」では色々と馴染みのない部分に切り込んでもやっとした部分を残してしまった岡田麿里だが、こちらはまさにホームグラウンド。「傷と絆の物語」なんて、もう番組放送開始前から「独壇場だぁ!」と思っていたわけだが、案の定、ガンガンに攻めた人間関係が、今作オリジナル要素である「絆システム」でつながれることで思いっきり分かりやすい方向に現れた。痛みを分かち合うというシステムの根幹からスタートし、さらに「心の痛み」に派生、これがすぐに適用されるのではなく、7人が緩やかに繋がる事に成功した中盤以降に現れるあたりが本当にタチの悪い脚本。離れ離れならば互いに心を痛める必要はない。しかしなまじ「つながって」しまったからこそ、そこにどうしようもない心のぶつかり合いが生まれてしまう。一方通行ばかりが繋がり合ういかにもな恋愛模様は、「これ、凪のあすからで見たやつだ!」とか「あの夏で待ってた!」ってなもんで。そのどれもがジワリと痛く、決して単なるドラマのパーツに終わらないだけの「残念さ」と「切実さ」を持っている。一番露骨に現れていたのは当然千鳥であるが、個人的にはニコの立ち位置が一番しんどかったかな。あのキャラでコミュニティに入ってきたのに、まさか恋愛絡みであんな風に苦境に立たされてしまうなんてなぁ。馬鹿野郎には馬鹿野郎の恋愛があるだろうが、今作の場合、7人(のりちゃんもいれれば8人)の中に馬鹿はいても悪人はいないのがね。みんな真摯にお互いを傷つけ、みんな一生懸命お互いを理解しようとするんだ。高校生らしい青臭い感情も多々あり、時にはいくらなんでも臭いだろ、ってな展開もあったかもしれないが、彼らの置かれた「絆」の環境は我々の想像を絶する極限状態だったのだ。多少なりとも精神状態がねじれてしまっても致し方あるまい。

 こうして組まれた「心の絆」の物語。単に「つなぐシステムが出来ました」というだけで終わってもそれはそれで面白い実験場になったとは思うが、流石にそんなほったらかしでは視聴者も納得してくれないってんで、用意されたラスボスは「全ての痛みを受ける者」であるのりちゃんだった。序盤にはなかなか見えなかった「全ての痛みを受ける」のりちゃんと、「一切の痛みを受けない」かっちょんの関係性。少しずつ過去の因縁が紐解かれ、それまで7人が分け合った様々な痛み・苦労が、既にのりちゃんからすれば「とっくの昔に通過したこと」だったという事実が判明する。これにより、歳を同じくしながら、のりちゃんはラスボスとしての権利を得て、最終回までにかっちょんたちと対立することになるわけだ。もちろん、殴る蹴るのバトル展開になるわけではないが、互いの痛み、互いの苦しみについての思いをぶつける青春討論会はそれなりに説得力のあるもので、「傷とはなにか」「絆とはなにか」をまとめあげるデザインとしては無難な仕上がり。やっぱり、こうして肉薄した人間関係に焦点を絞り込むなら、岡田麿里ほどあけすけに、容赦無くまとめ上げてくれる脚本家もなかなかいないだろう。

 そして、こうした「青春ドラマ」はシナリオとしてなかなか面白いものになっているのだが、実はこれ、あんまりアニメ向きじゃない。何しろ「互いの痛みが分かる」なんて設定は映像にしてもそれほど伝わるもんでもないし、互いの主義主張をぶつけ合う真剣十代しゃべり場みたいになったら、映像としてもメリハリがないからだ。そこで登場するのがTRIGGERの無茶な映像技術というわけで、毎度のことながらやんちゃ過ぎる画作りで湿っぽくなりそうな「心の話」を、荒唐無稽なドタバタ劇に変化させている。と言っても、たとえば「キルラキル」みたいに振り切れてしまったら、もう些細な心情なんかどうでもいいじゃねぇか、ってレベルに吹き飛んでしまう恐れもあるわけで、ある程度理知的な部分を残しつつ、それでも「面白味」に繋がるような画のバランスが求められる。それに応えてみせたのが、今作で監督を務めた小林寛だったわけだ。キャラクターデザイン自体も割と個性的で動かすのに神経を使いそうなものだったが、魅力的なキャラ画を破綻無く動かし、「いつも通り」の痛快アクションでバシバシ飛ばしまくる。もちろん締めるところはキッチリ締めて、実にクレバーながらも熱量を落とさない作劇のバランスはお見事。やっぱり、アニメの真骨頂ってのはこうして一見どうってことないようなセッティングでもちゃんとコミカルな動きの見せ方で膨らませられるところにあるのよね。見ていて退屈しない、良いアニメでしたわ。

 終わってみれば、あまりにすっきりと、何事も無かったかのように過ぎてしまったので一抹の物足りなさを覚えてしまう視聴者もいるかもしれないが、それだけすっきりとシナリオ面、そして作品全体の統括が決まっていたということだろう。個人的には文句無しでお気に入りだった牧さんに是非とも幸せになって欲しいもんですね。ラストの由多ちゃんに見せたダイレクトにツンなデレはズル過ぎると思うの。もう、由多ちゃんもデレデレだしやばいんじゃないかな、あのカップル。暗に「ルックスなんかどうでもいいけどあんたが好きなんだよ」って言われちゃった由多ちゃんは、今後どういう風に「牧さんに見合う男」を磨いてくれるんでしょうか。あんなこと言われたら絶対に太らないように気をつけるだろうなー。そして、牧さんとは対照的に悲恋に散ってしまったニコちゃんも意外な方向に成長を遂げたダークホース。どう考えてもノイズにしかならないと思っていたキャラだったのに、気付けば8人の中の中心的ポジションになって実に多くの場面で危機を救ってくれた。その上であんな結末になっちゃうってのもなぁ……丸く収めるためにいっそ日染とくっついちゃえば、って思わないでもないが、それって誰にとっても幸せではないな。隙を見て略奪愛に走るんでしょうか。まぁ、天河もそのうち千鳥の性格に嫌気がさすこともあるかもしれないし……。うーむ、修羅場。

 中の人の話題は……もういいかな。牧さんの中の人は永遠にラブですから。サトリナに散々罵倒されるだけでも本当に幸せな作品でした。そして、ニコちゃんが急成長を遂げたってことは、久野ちゃんもいい仕事が出来たってこと。今期は「ビッグオーダー」とこれで、なかなか新鮮な役どころが回ってきた面白いシーズンだったんじゃないでしょうか。あとはのりちゃん役の山村響かな。これと「あんハピ」を続けて観るとわけ分かんなくなるぞ。

拍手

 見てると心底眠くなるな! 最終話。普通のアニメだったら「眠くなる」は悪口だけど、今作はそうじゃないから大丈夫。

 最終話といえば劇的な事件が起こる話数ですよ。これでおしまい、最後の一話なんだからさ。そう、起こった、事件が。席替えが。……ちっちぇえ……。でも、妙なまじないまで駆使した田中が見事に最前線を引き当てる神引きを披露。完全にランダムのくじ引きだとしたら1/30くらいの確率だ。なかなかできることじゃないな。しかし、更なる奇跡は宮野さんが引き寄せる。彼女が最後列になり、さらにその前に太田を配置する確率はさらに低い。師匠のためならなんでもやれる子、それが宮野さん。宮野さんのところへ飛んでいく時の田中のスピード、おそらくシリーズ中で最速記録が出てたのではなかろうか。もう、宮野さんみたいな子がいるなら最初から前に置いとけよ、って気もするけどな。割と色んなところがユルそうな学校だし、席替え後のトレードも自由自在なら何してもいいんだろうな。

 と、この席替え話がAパートのメインになっているのかと思いきや、なんとここまでがあくまで下準備。今回のネタはなんと白石さんメインだった。やったぜ白石さん、最終回でお鉢が回ってくるなんて、まるでメインヒロインじゃないか。たまたま田中と隣どうしになった白石さんの乙女な反応が各方面から可愛らしい。正直、「何故田中に惚れてしまったのか」っていうところから問い直すチャンスな気もするのだが、なんとかは盲目といったもので、もう隣の田中が気になっちゃってしょうがない。席の位置取りだけで言ったら「となりの関くん」の関くんと横井さんの関係だもんな(ちょうど前田くんのポジションに太田がいるし)。あの手この手で田中のと関係性を深めようと頑張る白石さんの甲斐甲斐しさ。でも、相手は田中なので当然全部スルー……いや、違う、色仕掛けの時はガン見してたわ。こいつ、割と普通の助平だからな。元々白石さんとの親交が深まったのも巨乳が縁ですしねぇ。つまり、もっともっとガンガンに胸元をアピールすればいいんですよ。あと、男子高校生にはスカートから見える生足も割と効果がありますよ(個人の実体験からの感想です)。

 でも、白石さんはやっぱり白石さんなのでいまいち効果が出せず。近くにおかんポジションの太田がいるのもマイナス要素だ。諦めかけたその時、たまたま教室に2人きりになったタイミングの妙により、2人は一緒に下校することが出来たのでした。そして、その光景を志村たちが見ており……ってんでBパート。まぁ、高校生男子はそりゃ浮かれますけどね。田中は案外律儀に白石さんの秘密を守ってくれているのは偉いね。ただ、色々噛み合わずに太田すら距離をおく結果に。太田くん、なんか最近ポンコツに拍車がかかってませんか。甘いもの食べに行くときだけカップルについてくる友人ってどうなのさ。結局田中が1人で離脱してしまったため、太田は成りゆきで越前さんとのご同行となり、えっちゃんの妄想の中では壁ドンを披露してくれる。確かに太田みたいな高身長男子は壁ドンが似合うな。えっちゃんは告白ルートかと思っていたら、なんと「小脇に抱えたいルート」の方でした。いや、普通の告白なんかよりもそっちの方がよっぽどレベル高いと思うぞ。「小脇が寂しいから人を抱えさせろ」って、太田さん、よっぽど人としてアウトじゃないですかね。その他、当然宮野さんだって頭が回るはずもなくて色々と混乱が生じていた。クワッとしちゃう宮野さんも恐ろしい程に可愛いのだが、この子もそういえば思い込んだら一直線のタイプだった……白石さんを巻き込んで何を飲みに行ったんですかね……。

 最終回でめでたく出番がもらえた莉乃ちゃんを挟んで翌朝には無事に誤解も解けており、また日常が戻ってきてめでたしめでたしエンド。最後はオープニングテーマを流しながら、そしてオープニングの映像(あくまでイメージです)を流しながらのお別れ。なんかもう、このまったり感で終わっていくのがいいんでしょうね。惜しむらくは、太田妹の出番が結局なかったことくらいか……まぁ、白石さんと宮野さんのバーストがラストで見られたので我慢しよう。白石さん、これからも頑張って田中の面倒見てあげてね……。

拍手

「迷家-マヨイガ-」 6→5

 約三ヶ月にわたり、散々楽しませてもらったこの作品。さて、最終的な評価をまとめていきましょうか。

 個人的には、充分満足出来た。何しろ毎週考えることが山ほどあって、次週は一体どうなってしまうのかがさっぱり分からず、ドキドキしながら次の話を見る楽しみが間違いなくあったのだ。アニメオリジナルは難しいと言われ続ける昨今。こうして挑戦的な作品をオリジナルで提供してくれるだけでも評価に値する。そんな野心的な作品作りを担当したのは水島努という素敵な問題児と、岡田麿里というデンジャラス脚本家。知っての通り、私はこの2人のクリエイターについても大ファンなので、基本的に作品を観ていてあまりネガティブなことは考えない。「ひょっとして投げっぱなしになるんじゃ」とか「何も考えてないだろ」とかいう方向には、意識的に考えない。必ずなにか意思を持って作品を作っているんだ、という風に積極的に考える。出来ることなら全ての作品、全てのアニメにそういう姿勢で臨めればもっとアニメも楽しめるのだろうが、流石に体力が保たないので、あくまでも「信頼に足る」と認識したクリエイターの作品に対してくらいは、そういう姿勢で挑みたいということだ。

 さて、岡田麿里作品といえば今期は「キズナイーバー」が同時に進行しており、そっちはこの文章を書いている時点ではまだ未完なのだが、そちらとの比較も面白そうではあるかな。岡田麿里といえば「あの花」を筆頭に「凪のあすから」のようなとにかくエグくてくどくて、それでいて切実な人間性の描写が持ち味。そんな彼女が今回「嫌な思い出」というダイレクトなテーマを持った「ナナキ」という題材を扱った。例えばヴァルカナさんが見るナナキが机の節目だったり、何も考えていないように見えたよっつんが存外デリケートなナナキを見ていたり、そういったところに「らしさ」が出ていた。大量のナナキが展開する中で、身につまされるような、どこか他人事と思えないような、そんな辛辣な「トラウマ」を紡ぐ物語が、今作の基盤である。

 そこに、何とも救いようの無い妙な味付けを行うのが、「永遠の悪ガキ」水島努。彼の持つ毒以外のなにものでもない奇天烈な笑いの精神は、岡田麿里が作りあげた「トラウマ物語」を、ひょいと彼岸へ投げ捨ててしまうような、妙に達観した演出に組み込まれている。ホラーってのはコメディと紙一重であり、今作では切迫した人間関係も、壊れかけた精神性も、全てが深刻になりきらず、納鳴村というあり得ない舞台の上で、あり得ない造形を持ってどこかコミカルに描かれている部分が多かった。深刻な内実、コミカルな表面、そして、それらを組み上げて作る、何とも不可思議な手触りの物語。「まどマギ」のときほどの異物感ではないかもしれないが、今までのアニメ作品にはなかった「違和感」みたいなものは、これだけでも堪能出来たのではなかろうか。その上で、脚本に二重三重にサプライズ……というか「どないやねん!」ポイントを仕込み、最後まで一気に駆け抜ける展開は、これはこれで完成していたんじゃないかと思っている。

 とはいえ、何の問題も無く万人が楽しめる作品かと聞かれると、流石に首肯出来ないのもまた事実。最終回まで見て噴出した「あそこはどうなってるんや?!」という矛盾点は言わずもがなだが、色々とやりたいネタが多すぎたせいで、12話という尺の中で恐ろしく駆け足になってしまったのが最大の失点ではないだろうか。全体的に台詞の構成が過密すぎるためになかなかコンテ構成で調整するのが難しく、特に後半になると全てのシーンが慌ただしく、情感を込めるだけの余裕が無い。せっかく「心の物語」を岡田麿里が作りあげたというのに、それを表に出すだけの時間が無いのだ。もちろん、このことについて岡田麿里が完全に被害者だ、ということは無く、脚本面でも、枠が決まっているなら配慮すべき部分が欠けていた。具体的には、おそらく視聴者の大半が思っていたことだろうが、「いくらなんでもキャラが多い」ということ。別に全てのキャラが活躍する必要はない。「ツアーには沢山の人が参加しました」という事実を作るために「モブ」をいくらか用意することはまっとうな作劇であろうし、背景に埋没するキャラが出るならそれはそれで適切な脚本があればいい。しかし、いくらなんでも今回の30人は無駄が出た。キャラが多すぎることの問題は、視聴者がどこに視点を据えればいいか分からなくなること、作画リソースに負担がかかることなど。似たようなテイストの女性キャラは多分4,5人はカット出来ただろうし、いっつもなにか食ってたデブとか虚弱体質の子供なんかも、一切メインシナリオには絡んでこなかったのだから削っても問題無かった。「尺が短くてやりたいことがやりきれない」という問題点を孕んでいたのに、何故キャラを削って負担を軽くする方向に修正が向かなかったのかはちょっと理解が出来ない。人数が多いことで得られたプラスの側面はなかった気がするしなぁ(一応、ノイズを増やすことでよっつんの帰還やジャック・ケツさん連合軍みたいな「そこから?!」っていうサプライズは作りやすくなっていたけど)。賑やかな感じを出したいにしても、最初のバスシーンだけちょっと出しておいて、適当に理由を付けて2話目以降にリタイアさせるとかでもよかったんじゃなかろうか。

 こうして、尺が足りず、脚本のディティールが甘かったことに加え、今作は映像的にもあんまり見たいところがない。最大の見せ場は個性豊かなナナキの存在だった気がするのだが、そこだけ切り取って画的にボリュームアップしてもなんだかB級ホラー感が拭えないしなぁ。癖のある人間達の群像劇、なんてのはアニメにしたら大変なことは分かってるんだから、もう少し映像リソースの方にも力を注いで「ならでは」のものが見せて欲しかったものだが……水島さんは放っておくと万策尽きる可能性もあるから、無事に放送されたことを素直に喜ぶべきなのか……。うーむ。

 まぁ、なんやかやと文句は言いながらも、ヘンテコで毎回楽しんでいたのは事実。今回の「実験」でもって、監督も岡田麿里もチームを組むときのお互いの性格、相性は理解出来たんじゃなかろうか。是非ともこのコンビで、改めてオリジナルに再挑戦して欲しい。その時は出来たらディオメディアじゃなくてP.A.がいいな。水島さん、「Another」や「SHIROBAKO」で繋がりあるんだから。今のところP.A.と岡田麿里が組み合わさったら無敵ですよ。是非そっちで。

拍手

6月24日 ドラフト模様(SOI×3)

ピック順 【Sangriter】→【Serra】→【Thraxi】→【Sea-chicken】→【Mei】→

 

 どんよりとした梅雨空のように、安定しない我々のドラフト模様。先週は欠席が2名出て中止、先々週は突然のエタマスドラフト。そして3週前も2人の欠席者が出て中止……つまり、イニストラードを剥くのは約1ヶ月ぶりという事態だったのだが……今週は集合時刻の2時間前にドタキャンが1名であわやまたも中止……まぁ、やるんですけどね。5人戦でもやるんですけどね。ただでさえしんどい6人ドラフト。5人戦になってパックの数が減ったら、そりゃもうカードが足りるわけがない。全体的に弱いデッキが顔を並べ、諸々がグダるしんどい試合展開。荒れ場になれば番狂わせも起こるかと思ったが……人生そんなに甘くない……。

 早くしろ貴様ら! こうしている間にもエムラクールは少しずつ近づいてるんだ! 間に合わなくなってもしらんぞーーーっ!

 


拍手

 議論百出、最終話。さぁ、とりあえず終わりましたね、色々考えましょうか。とはいえ、今回新たに出てきた情報はそこまで多くはない。最後の最後でドカンとサプライズされた要素は2つ。

 1つ目がこはるんの正体。彼女は純粋に学術的な興味からマッドにサイエンティフィックな研究をしているのかと思ったら、なんだか存外浪花節。あの神山さんの娘さんでしたか。確かに父親が見る見る年老いていくのを見たらじっとしてられないだろうが……親子そろって色々アグレッシブだし、なんか倫理観が歪んでいる連中である。こはるんの狙いは、納鳴村に潜入してナナキの存在をより具体化することで、神山のナナキを持続させ、彼に再び融和してもらうこと。一度手放したというナナキでも、もう一度村に戻って探し出せれば、神山が復活出来るかも、という考え方だ。でもなぁ、そもそも基本的に他人のナナキは見えないわけで、村に入ってもこはるんには神山のナナキは見つけようがないよなぁ。その他、モルモットでの実験を通じてナナキを強大化し、さらに使役する術まで見出していたのは立派なものだが、その方向性は元々の目的とあんまり噛み合ってなかったような……ひょっとして、途中から単にジャックやケツさん、颯人みたいに馬鹿な男を掌の上で転がす楽しさに目覚めちゃったんじゃないでしょうね。

 結局、こはるんの思惑はただでさえ軟弱な颯人のせいで今ひとつの結果に終わり、たまたま連絡が取れたトランシーバーで父親との直接対決に至る。娘さんは必死に頑張っていたというのに、お父さんはどこ吹く風。むしろナナキを村の中に切り離し、自分の内面と外面を完全に分けたことで客観視が可能になって良い研究対象だと言い始める始末。ほら、やっぱりマッドだ。まー、余計なものを切って捨てることが研究者の心理的なストレスを取り除いてプラスに働くということは実際に有りそうな話だが……。でもさ、「自分の内面を切り出してそれを観察する」っていう納鳴村オリジナルメソッドは他の研究者が確認することが難しいよね……リピータビリティの低い調査・研究って学界においてあまり意味が無いのでは。親父さんの脳天気な発現にこはるんも腰砕け。何とか振り絞って出てきた言葉「すっとこどっこい」って、最後の最後で水島センスを爆発させたしょうもない結末であった。

 もう1つの新事実は、謎だったレイジの正体について。これまで、こはるんの過去話も含めて彼の存在については色々と考察を繰り返してきたが、なんとまさかの「私にだけ見えるお友達」。そりゃわからねぇよ。真咲さん、1人だけ村に来る前から患い過ぎてませんかね。ハナから実在しないならその後見つからないのも、ナナキとして顕現しても特に齟齬が生じないのも頷ける……って、ちょっと待て。レイジが「真咲の理想を形取った存在」だったとするなら、じゃぁ何で最初に納鳴村に来たんだ? 元々「レイジに誘われて最初に村に来た」って言ってたはずなのだが……あくまで「そういう村がある」という情報を手に入れた真咲が、深層心理で「その村にいってみたい」と思ってたことをレイジが代弁してくれていたということか。でも、それだとしたら村の中で嬉々として調査をするレイジと、それに付き添うだけの真咲、っていう回想シーンはなんかおかしくないか? そして、そんな存在であるレイジが村に入ってナナキを見て逃げ惑い始めたのはおかしくないか? 言わば「真咲のナナキが生み出したナナキ」がいたわけだろ? もしレイジが非実在イケメンでしかないのなら、彼がナナキを見て逃げ出す、なんてシチュエーションは起こりえないはずなのだが……この部分の矛盾については、現時点で上手い説明が思いつかない。

 細かいことは抜きにして、とりあえずこはるんの方はトランシーバーによって親子の話し合いがもたれて解決。その傍らで、クレイジーサイコなにかとして吹っ切れた颯人も、光宗が早口で諭して事なきを得た。あれだけババアナナキが肥大化したってのに、解決・退場がいともあっさりな颯人さんはマジで情けないな。そのついでに光宗は真咲に真実を話し、めでたくカップル第一号が成立。真咲はレイジを取り込んで現実へ戻り、光宗もそれを追う。彼のナナキは元々存在していた「時宗」が残った状態で新しく「なんか可愛いヤツ」を作り出す、二重ナナキという珍しい状態。神山さんに見てもらったら色々と研究が捗りそう。一応、先週導き出した「今の光宗が村に帰ったらでてくるナナキは真咲でなきゃいけない」という推論は、ちょっと変形しつつもちゃんと回収されていたのだからその部分はすごいかもしれない。結局、光宗の生み出すナナキってどっか可愛い部分があるので、多分光宗ってのはどこまでいっても割とファンシーな思考の人間ってことなんだろうなぁ。

 残りはエピローグ。村に残る人、出る人。なるほど確かに全員が歩調を同じにする必要はないのか。「村に残れば廃人になる」というリスクがあるにも関わらず残った連中もすごいが、これまであんだけ苦労していた村の脱出をあっさり成し遂げた脱出組はもっとすごい。いや、そこはおかしいだろ。光宗たちはあれだけすったもんだした結果ようやく抜け出せたわけで、他の連中が何の苦労もなくスルッと村を抜け出せているのはいくら何でも。あいつら、ひょっとして何人かはナナキの「受け入れ」じゃなくて「切り離し」で脱出した奴らもいるんじゃなかろうか。数日後には参加メンバーの大半が急激に老化するオチじゃなかろうか。むしろ見てみたいぞ(熱帯夜さんを除く)。

 居残り組は、こはるんがいてくれるし、なんだかんだでカップル第2号が成立しそうなヴァルカナさんも居残り組になったので、すぐに問題が起こることはないかもしれない。ただ、ナナキの剥離からの無気力化がどの程度の速度で進行し、どの程度普遍的な症状なのかによっても彼らの末路も変わってくるだろう。ちゃんと「自分の意志で」残りたいって言えた奴らは問題無いのかな。結局、こはるんのナナキが何だったのかは分からず終いだったなぁ。彼女は徹頭徹尾村から出る気が無いまんまだったので、彼女のナナキは「寂しがって」出てくる必要がなかったからね。ケツさんとジャックは諸々の問題を抜きにして純粋にこはるんの手駒になっただけのようなので、気力があるままで作業できるメンバーは意外に少なくない。彼らは、最終的に「初の納鳴村永住村民」になれるのかどうか。今後、また新たな来訪者があった時に、彼らはどんな風に出迎えてくれるんでしょうね。

 退出組は、何の苦労もなく例のバスに乗り込み、まさかのあの歌を歌いながらのエンディング。だからさぁ、そういうところで訳の分からないこだわりを……この辺も水島センスだなぁ。ダーハラの都合のいい立ち位置とかもそうだけど、帰還組は結局現世に大して深刻でもない問題しかなかった連中ということになるので、より一層緊迫感もなければ、達成感もない。駄目な奴らの、駄目な共同生活の儚いメモリーなのです。個人的に一番の心残りは、結局ナンコさんがめざましい活躍を見せてくれなかったことです。最後の仕事が腕っぷしでジャックたちを叩きのめすことって、探偵の仕事じゃないよう。

 色々ありました12話の物語、これにて一件落着(?)。ベタに締めるならば、「もし納鳴村が実在するとして、あなたは行ってみたいですか?」ってところかな。多分、俺が行ったらケツさんの隣で一緒に石矢を撃ちまくってそうなのでやめときますね。

拍手

「あんハピ♪」 5→4

 非常に可愛らしい作品でした。寝る前に見ると、夢の中でチモシーに襲われそうなくらいには。

 安定した大沼心作品。過去作の評価を見れば分かる通り、私は基本的に大沼作品のファンである。だからこそ今作もこれまで通りの大沼節を期待していた。そして実際、期待に応えるクオリティのものになっていたのは間違いない。相変わらずコロコロと小さなキャラが所狭しと動き回り、ふわっとした色調の世界観とも相まって非常に可愛らしい印象になっている。合間に挟まるアイキャッチの小気味よいテンポとか、どこかとぼけたテイストも健在。「バカテス」や「のうりん」なんかと同じように、ちゃんと「アニメらしいアニメ」として完成していた。

 ただ、その上で今作はイマイチ「ハマり」きらなかった。画面を見ていて不満は無いはずなのに、どこか退屈な感じがしてしまって、気付くと意識が画面から逸れていることがあった。期待していた大沼作品のパワーに及んでいなかったとでも言えばいいだろうか。まぁ、このあたりは完全に好みの問題にはなると思うのだが……、どのあたりが「足りない」部分だったのかを考えるに、まぁ、元々原作が持ってるシナリオの方向性との相性が悪かったとしか言いようがないか。シナリオの目指してる方向性が、どこか半端な印象だったのよね。

 今作は「きらら」系作品だが、いわゆる日常ものというのはちょいとエッジが効きすぎている。とんでもないキャラクターの属性設定や、謎めいた学校の設定などを考えれば、「ひだまりスケッチ」やら「ごちうさ」「きんモザ」なんかよりも、まさに「バカテス」なんかのラノベ設定の方が近い。掲載誌の類似からいうと「がっこうぐらし」の方がまだ近いジャンルだ。一応物語の縦糸が存在していて、アニメシリーズを通してなにかを目指して進んでいる……のだが、具体的に何を目指しているのかがはっきりしない。毎回幸福クラスの授業という名目でトンデモな課題を出され、それをこなしていく中でヒロイン勢が友情を深めるという展開は、外側こそトンデモ要素だが帰着することはいわゆる日常ものの「友情を深める」と大差無い。前述の例でまとめるなら、「バカテス」のテストや上位クラスとの対決みたいなミッションがあるのだが、その目的は下克上のように劇的なものではなく、「ごちうさ」や「ひだまり」で何となく育んでいるような、日常レベルで事足りる「お友達」のお話。縦糸が伸びているように見えて、その先がどこに向かっているのかという明確な目的意識がないので、どうにも見方が定まりにくいのである。ゴールが無いとなると、毎回思いつきで展開されるような各種イベントについても、「適当にごちゃごちゃした舞台設定を作ってる」ということになってしまう。

 「不幸」という共通したキャラ設定も、なかなか機能させるのが困難な設定だ。1話目時点で既に不安視していたことだが、本当に「不幸」が属性として与えられるなら、彼女達の物語にハッピーエンドがあってはならない。ハナコが本当の意味で不幸なら、救いとなるクラスに配属されることも、沢山の友達に恵まれることも、ひょっとしたらあの歳まで命を長らえることも無いかもしれない。まぁ、そこまで行くと流石にデンジャラス過ぎるが、結局ハナコという中心的存在が「最大級の不幸」を属性として与えられているにも関わらず本人は幸せそう、という存在矛盾が、回りの人間を巻き込んでの「不幸物語」に機能不全を起こしてしまうのだ。また、回りのキャラについても「悲恋」「虚弱」といった「不幸な」ワードで繋がっているように見せかけて、各々の問題の質も、レベルも全く異なっているためにそれらが有機的に絡むことは少ない。特に雲雀の「悲恋」なんかは回りの人間の理解を得られた時点で既に半分解決しているわけで、彼女は既に幸福クラスに在籍する意味すらなくなっている。彼女達が一致団結して目指す「幸福」が何なのか、それが分からないと、どうしたって「ちぐはぐなものの寄せ集め」にしか見えてこず、それを支えているのが最終的に「ハナコの不幸」であり、その「ハナコの不幸」の正体が見えないことには、なかなか物語も定まらないのである。

 まぁ、この辺の不満は重箱の隅を気にしすぎる私みたいな視聴者だけが抱くものなのかもしれないが……こうして、「笑いものにするにしても突っ込みすぎるとマジで可哀相」みたいな設定なので、大沼さんの持ち味であるトバし気味のギャグと完全に噛み合うことがなく、どこかユルユルとお茶を濁しているような雰囲気になったことで、切れ味が鈍ってしまったのではないだろうか。可愛がるだけなら足りているが、せっかくならもう一歩、というのが、ファンとしての贅沢な要望である。

 中の人については、とりあえずハナコ役の花守ゆみりが不動の可愛らしさを発揮していることさえ押さえておけば良いが、メインキャストの中では響役の山村響の達者さが際だつ。本人は地声が割と低い方なのに、こういうキンキンした高音域でかっちりキャラが作れるのは流石だ。そして今作でグイグイ出てきた存在といえばチモシー役の森永千才だろう。同時期にやっていた「アスタリスク」でも「なんやねんこいつ」感が満載で、珍獣枠でしっかりと位置取りを固めた感。ゆーきちとの専門分野争いはどちらが制することになるのか。ま、個人的に一番好きなのは小平先生役の原由実なんですけどね。この「謎めき腹黒美人」をやったときのハマリ方、全能感。やっぱりはらみー最強。

拍手

「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」 5→5

 何故、ちゃんりなボイスは確実にオタクを殺しに来るのか。もう、今作はそれがはっきりと分かるだけでも充分ですよ。

 1話目時点で「これ、2話目以降に何したらええねん」と思っていた作品なのだが、思いの外ちゃんとシナリオは展開していた。そこは素直に嬉しい誤算。なるほど、普通の萌えアニメ、ハーレムラノベならばどうやって「嫁」まで持っていくかというお話になるわけだが、今作はそこを逆手に取り、なんとスタート地点が「嫁」。そこから、健全な高校生カップルらしい距離感に落ち着けるためにどう付き合っていくかを描いていくという、何とも不思議な味わいである。まぁ、やってることは単にネトゲ廃人の社会復帰マニュアルなのだが。とにかくアコのキャラが強烈で、徹底したスキスキ系のヒロインってのは前例が無いわけではないが(一昔前まではある種の定番ではあったが)、アコに特殊なのは、普通のラノベで主人公が一手に背負う「イラッと来るオタク属性」をルシアンと2人で分け合っていること。いや、「分け合ってる」は正しくないな。いわゆるネットスラングや定番の切り返しなどのほとんどはアコが担当しており、普通だったら「うわっ、オタク気取りのやつキモッ」ってなるような台詞回しでも、可愛い女の子がナチュラルに使ってしまえば割と平気なのである(あくまで個人の感想です)。その上で、あんな犯罪じみたボディラインを持ち、ただひたすらに一線を越えまくってくるキャラ(CV日高里菜)とか、まさにオタクの願望以外の何ものでもない。どこまでも阿漕に、どこまでも都合良く。それが今作最大のセールスポイントである。

 もちろん、アコにも難が無いわけではない。いや、いっぱいある。シナリオ中盤はアコの社会復帰を促すミッションになっていたが、やっぱり引きこもりのオタクがうじうじ悩んでいる様子を見るのはイライラするもので、アコの甘えきった世界観はどれだけ可愛くても「このアマぶん殴りてぇ」と思わずにはいられない。でもまぁ、そうしたアコの面倒臭いところも、ある程度ネトゲに理解がある回りの面々が支えてくれるおかげで、なんだか不思議なハートフルストーリーになってちゃんと青春に還元されている。アコの自宅にうかがい、全裸待機のアコを目の前にしてもネトゲしかやらないルシアンはどう考えても玉無しだとしか思えないが、まー、高校生の健全なお付き合いを目指して「嫁」から「恋人」に引き戻す作業だと思えば致し方ないところか。さっさとリアル嫁にしてしまえば面倒が無くていいのにね。普通、とても可愛らしいヒロインが男とくっついたら「このクソ野郎が」と妬ましく思う向きもあるのだろうが、ことアコの扱いに関しては、「ルシアンがさっさとこの面倒なのを引き取ってくれたらいいのに」という気持ちしか湧かないので、周りの人間も素直に祝福できるのである。

 その他、豚さんことシュヴァインさんも良い立ち位置から適度にツンデレてくれたし、会長の廃課金マッドっぷりも昨今のネトゲ文化を描くなら必須。どう考えてもあの人が学校で生徒会長を問題無くこなせるとは思えないのだが、まぁ、きっと愉快な学校なのだろう。猫姫さんにしろセッテさんにしろ、今作は全体的に「ルシアンとアコという若い2人の旅立ちを見守ってくれる保護者枠」が多く、みんな暖かく見守れるのは良いですわ。

 中の人については、上述の通りにちゃんりなボイスのヤバさを確認するだけの簡単なお仕事だが、普段とはちょっと違った役回りになっている水瀬いのりやM・A・Oの仕事ぶりにも注目。いのすけは最終的にはいつも通りに落ち着いたが、ツンで攻めているときは「こっちの方がしょうにあってるんじゃ」みたいな分かりやすさがあった。M・A・Oについては、正直他作品(今期だとルル子やクロムクロ)みたいに虐げられている時の声の方が好きなのだが(中の人の性格もあるので)、たまにこういう訳の分からない役どころも面白い。何にせよポンコツぶりが冴えるな。あとは今回ようやく準レギュラーを獲得した「どりちゃんの中の人」こと大和田仁美。SHIROBAKOだけで終わる人材ではなかろう。今後も活躍が見られるかな?

拍手

「学戦都市アスタリスク 2nd SEASON」 5→5

 今期一番好きだったのは実はこのOP。単純にアツい曲が好みなんだけど、それに加えて純正アニメタイアップ曲でタイトルがそのまんまっていうのは良いよね。

 最終回があんまり綺麗に終わらなかったのは残念なところだが、全体的なテーマは綺麗にまとめてくれた作品。例によって例の如くの作風ではあるが、諸々の面での大きな失点は少ない。「似たようなデザインの『ハンドレッド』と比べた時に加点もそんなにないだろ」と言われれば実際にそうかもしれないのだが、やっぱり2期目の強みってのはあるもんでね。ストーリーラインが掘り下げやすくなっており、個々のキャラの心情が見やすくなるというのはもちろんのこと、トーナメント戦がメインというデザインの都合上、やっぱり準々決勝以降を扱った2期目の方が盛り上がるのは道理である。本作は既に主人公とメインヒロインがほぼ夫婦の契りを結んだ状態で展開しており、ハーレムものではあるがその関係性に疑う余地はほとんどない。そんな状態で進んでいくある種の「バディもの」としても、タッグトーナメントのフォーマットはとてもシンプルで見やすい。ユリスは綾斗との関係性にもう一切疑念も不安も抱いておらず、よその女が絡んできても特にやっかんだりすることもなく、堂々と構えていられるいい女になっている。他作品でも「お姫様とのいちゃいちゃ」というのは掃いて捨てるほどあるが、有象無象のお姫様と違ってユリスは凜とした振る舞いにきちんとノーブルを感じさせてくれる。これで安っぽい嫉妬の感情でイライラしてる様子が見えると株が下がってしまうからね。

 他のヒロイン勢についても、綾斗との関係性でライバルになるというわけではないが、ちゃんと満遍なく可愛いキャラになっている。メインとなるのは会長と妹(?)チーム2人組だが、それぞれ適度に綾斗にちょっかいを出しながらも、ユリスに一歩譲った状態は維持するようになっている。特に妹チームはもう1組のトーナメント出場者ということもあり、萌え方面でなくバトル方面から積極的に魅力をアピール出来たのはでかい。トーナメントのバトルものってのは各々のキャラクターの勝ち負けにドラマが作りやすいからね。負けた後にもちゃんと裏で戦って綾斗に貢献することでヒロイン力を落とさずに済んでいるし。そう考えると会長さんは今シーズンでは大して仕事をしていないのだが、むしろそうして暗躍するポジションを維持し、主な活躍の場(?!)を次回予告に回すことでかえって美味しい位置取りが出来ていたのかも。もし3期があれば会長がもっと活躍するんだろうけど。

 逆に物足りなかった部分はというと、バトル自体にあんまり工夫がなかったこと。綾斗の能力設定が特殊なもので、さらにタッグ戦ということでもう少し色々な切り込み方があったはずなのだが、実際にバトルしてみるとなかなか「賢い」対戦にはならず、割と正攻法の試合が多かった。一応綾斗・ユリスペアは「能力が制限されてるから工夫して勝ったよ」みたいなことをやっているのだが、いまいちその辺は伝わらない。まー、試合数が多いのでいちいち目を見張るような試合は展開出来ないだろうし、ラノベという媒体だと能力バトル漫画と違ってなかなかバトルシーンでのギミックを見せるのは難しいんだろうけど。その辺でもう一歩上に行ければ、完全に他のラノベ作品に差をつけることが出来たのだが。

 まぁ、そうは言ってもバトルシーンでの作画は悪いものではなく、全体的に映像面は安定していた。小野学作品って個人的にはなかなか大当たりは無いのだが、その分大きくはずしても来ない気がするな。はたして3期が出来るのかどうか、もし出てきたらその時はまた楽しませてもらおう。

 中の人については、メインヒロインズが実によい配置になっていたのが加点ポイントになっていたと思う。普段はなかなか見せないキャラを披露している加隈亜衣の受けの広さが相変わらず見事だが、やはり直球ストレートの井澤詩織・小澤亜李という「絶妙に変な声のロリ」コンビがお気に入り。しーたむはこうして普通のヒロインも出来るんですよ。もっと表舞台で活躍プリーズ。あとは会長役の奈央坊だが……うーむ、腹黒い。このキャラで安定出来るのは本当に恐ろしい。他にも脇を固めるキャラが色々美味しかったし、中の人要素はかなり楽しめる作品でしたよ。そういう意味でも続編期待だな。

拍手



忍者ブログ [PR]
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
ブログ内検索
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
ーーーーーーーーーー
↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
最新CM
[06/06 とみしの]
[06/04 とみしの]
[06/01 NONAME]
[05/31 DRAKE]
[05/29 NONAME]
バーコード