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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ただいま、おかえり」 5→6

 この評点は意外かもしれない。うん、我ながらどうしたものかと悩んだのだが……私個人の認識へ問い続けてくれた存在として、変な視点から評価を加えさせてもらった。

 今作に接する際に最も重要視していたのは、新番チェック時に披露した「自分自身への疑問」である。もっかい書くのはめんどいのでざっとまとめると「おれはBLが苦手だと思ってたけど、今作におけるBLは思いの外容易く飲み込めて抵抗もなかったので、もしかして私の情報処理には生物学的機能や社会的役割という枠組みが大きな影響を及ぼしているのではないか」というもの。訳分からんけど、分からん人は諦めてくれ。俺にとって、このことは意外に重要なのである。何しろ、今後もこうしたジャンル(百合を含む)を鑑賞する際に、その評価を左右する可能性があるからだ。

 で、1クールの間この作品を視聴させてもらった結論は……「分からん」であった。なんでこの作品がこんなに温かい目で見守れるのか、マジで分からん。でも、ほんとに今まで見てきたどのBL作品よりも穏やかな気持ちで見守れてしまった。なんなら今期ナンバーワンの家族愛作品であり、昨年度の「柚木さんちの四兄弟。」に並ぶホームドラマだったと思っている。基本的には「人の優しさと愛情」を描いた作品であって、作品の隅々まで温かいものに満ちている。そりゃ時には辛かったり苦しかったりするシーンもあるが、どれもこれもちゃんと乗り越えるべき試練を超えた後には充分な見返りがあり、善により成り立つ世界で健やかに育つ子供たちの姿を眩しく見守ることができる。とてもとてもまっすぐな、ヒューマンドラマだ。

 そうして見ている間、「いや、でも主人公カップルは男×男だぜ」という部分がほぼ阻害要因にならなかった。オメガバース世界独特の表現にも違和感を覚えず、「そういう前提で動いている世界」に容易く理解が及んだ。それがあまりにあっさりだったもんで、むしろ「なんでこれまでBLが苦手だったんだろう」と分からなくなるくらいである。……でも、多分今後また別なBLを見たら「やっぱ違うなぁ」と思う気もする。「BLが当たり前で、BLとすら認識されない世界」が用意されたからこそ受け入れられたこのドラマ。現時点においては、私が何を持って世界を測っているのかを考えるための1つのサンプルとして記録させてもらう。

 あとはまぁ、純粋に勉強になりました、っていうのも加点要因かな。おそらく今作で描かれたオメガバース独特の物語(フェロモンがどうとかいう後半の話)は非常にスタンダードなものだろうけど、慣れない身からすると「なるほどそういう社会の物語なのだな」ということが掴みやすかったし、それなりの切実さをもって読み解くこともできた。なんかこう、作り手側もそこをことさらに特別なこととして描かないようにしつつも、今作独自の持ち味を殺さないように注意深く描いてくれていたんだと思う。そう考えるとBL実績豊富なDEENというスタジオに石平監督の手腕がうまいこと噛み合った感はあるわね。新しい世界に触れさせてくれたものには素直に感謝すべきですな。

 そんで当然蛇足だけど今作の幼児どものキャスティングのガチっぷりも。最初は種さんだけで「もう無双じゃん」とか思ったらそこに弟・小原好美は生まれるわ、シナリオを左右する重要なお友達が本渡楓だわ、キャスティング側はなんの性癖を抱えてやがるんだ。アフレコ現場実写で見て〜。

 
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「夜のクラゲは泳げない」 6→7

 俺にありがちな現象、最終話感想書いてるもんだから最終感想忘れるやつ。

 まぁ、毎週書いてたからまとめる必要もそこまで無いとは思うが……よかったんじゃないでしょうか。きっちり1話ずつに刺激あり収束あり、気持ちのいいお話も、心臓にズグンとくるお話もバランスよく配置しており、お手本のような1クールアニメになっていたと思います。

 ことに良かった点をピックアップしていくと、まずは上述の通りの「1クールアニメ」という視座。最近はアニメ放送も1クールものが大半を占めるようになり、「1クールじゃ短くて何も描けないよぅ」なんて文句も出てきにくくはなったが、それでもなお1クールという尺を使って何をどこまで描くかというのは課題ではあり続けている。オリジナルアニメともなればそれはなおさらであるが、最初から尺を定めた上で描ける強みというのもあり、今作は4人のメインキャラたちの交流をしっかりと完成図が見えた状態で紡げていたのが評価ポイント。1つ1つのお話を抜き出せばそこまでインパクトの強いものばかりではないが、有機的にそれらのお話が絡み合い、JELEEという1つの「創作物」が完成するという構造は端正だった。

 こうして相補的な関係性を紡ぐというのは案外難しいもので、個人的にはどうしてもキャラ贔屓でキウイちゃんパートを推したくなるが、冷静に考えればキウイちゃんのお話って「合わないものから逃げた結果、逃げ込んだ先が楽しかったからOK」という逃避の物語でもある。それ単体で取り上げてしまうと身勝手な部分もあるように感じられるが、あくまでそれは「人それぞれのある人生の選択肢の1つ」であるということが明確に提示されており、そうしたキウイの人生を見てまひるが何かを感じ取ったり、キウイ自身も花音の苦悩を見て戦う勇気をもらったり。そうした繋がりがとても綺麗で、描写もスムーズだった。

 また、「配信者集団」というテーマ設定もきちんと時代性を捉えており、作曲・歌唱・イラスト・編集の4人構成でそれぞれの役割を果たしながらの群像劇という設定自体が見ていて面白い。ここにさらに「アイドル」要素も絡むので「おっさんが現代っぽいものを手当たり次第に取り込んでるんじゃねぇの?」みたいな印象に繋がりかねないのだが、少なくとも私(おっさん)視点でテーマデザインに無理してる感じはなかった。MVを見せる作劇も現代の視聴者には馴染み深いものだろうし、ちょうど「数分間のエールを」という佳作が公開されたタイミングと合致したことで、「現代視覚文化」を俯瞰するときのちょうどいい指標になりそうな気がしている。

 今後は「クラゲ」「花音」という文字列から真っ先にこの作品が思い浮かぶようになることでしょう(しばらくの間はね)。

 
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 ファイッ……ティン……。4ヶ月に跨った全国ツアーもついに終幕。そのことは素直にお祝いしたいが、やっぱり「終わっちゃうんだァ」という寂しさの方が強くありますね。こう言う時の感情を表す表現に「あっぱれな寂しさ」っていうのがあるんだけど、……確か「動物のお医者さん」で出てきた表現だった気がする。間違ってたらごめん、あっぱれな寂しさを感じます。

 

<まぁ、昨日も書いてるからあんまり書くことはないですが>

 

 


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 終わらない夢を 鳴り止まぬ歌を 最終話!!!!!!! 何も、言うことはない。

 先週の反省を活かし、今現在この文章をアウトプットし始めたのはまさにリアタイ視聴直後、1727分のことである。その状態でまず書かせてもらうが……石原さん、あんたひどいよ。こんなもん、耐えられるわけがないよ……正直、まだ動悸がひどいです。視聴中はマジのガチでずっと号泣しっぱなしでさ、何度か過呼吸になって危なかったよ。アニメ視聴でここまで追い詰められたの、ほんと久々。こんなん無理だって。単なるアニメの最終話じゃない。過去9年間の蓄積の総決算。そういうデザインにしやがった。そこにはアニメ本編の想いも、盤外のアレもこれも。失礼ながら全部一緒くたにしちゃって。俺の人生の半分ぐらい持ってかれたみたいな、そんな心地。

 ほんとズルい構成だったわね……まさかの3年まとめてプレイバック。ひととせの歌じゃねぇじゃん、みとせの歌じゃん。ほんでこれだけのハイカロリーアニメ、9年の歴史を二十数分に押し込んでみろや、そりゃ名シーンしかねぇだろ。またその詰め方に容赦なくてね……ユーフォに罹患した時間が長ければ長いほど、今回のエピソードは後を引くぞ……こんなもんまとめられるわけねぇんだが……。

 ほんとは全キャラ拾いたいくらいなんだけど、一応「3期の最終話」という定義づけでなんとか形を作っていこう。それでも全カットスクショ必須みたいな超ド級のカロリーだったわけだが……みなさんもきっと今回のお話は号泣しながら見守ったことと思うんですが、最初に涙腺がぶっ壊れたシーンはどこでしたか? 私はね、久石奏が窓を開けたシーン。あの窓はさぁ……そんな露骨なことあるかい……。かつて鎧塚みぞれが開けられなかった窓。久美子が容易く開けて「窓を開けるのが上手」と褒められた窓。その窓を、久石奏はガタガタと苦労しながらなんとかこじ開けた。その様子は当然みぞれとは違うし、久美子とも違う。窓の向こうにいるのは黄前久美子と、黒江真由。奏は必死に「窓を開けよう」ともがいてるんですよ。その結果が今回の総決算をまるっと飲み込む暗示になっている。間違いなく今シーズンのMVPは久石奏。大会本番前の猫パンチも可愛くてなぁ……次の時代のユーフォはお前が引っ張っていくんだ。黄前部長の意思を、そして黒江真由の信念を、次代へ引き継いでくれ。

 そしてなんと言ってもその黒江真由だ。前回で憑き物が落ち、本当の意味で北宇治の一員になれた真由。本当に今回はこれまでと全然違う描かれ方になっててさぁ。4人でカレー食ってるシーンの穏やかなことと言ったら。もはや彼女と他の部員たち、そして久美子との間に「一線」はないのだよね。彼女が紡ぎ上げた麗奈とのソリ、本当にお見事でした。彼女も今期の裏MVPですね。

 あとは3期を象徴する求ってキャラもいるんですよ。彼については本当に「よかったねぇ、よかったねぇ」とそれだけなんですけど。男子三日あわざれば。いや、改めて見ると緑輝もこの3年でちゃんと成長してたけどね。

 演奏後1人涙を流していたのは葉月。そういえば彼女が壇上で演奏してるシーンをちゃんと見られたのは今回が初めてだったのか。万感の思い、彼女こそがこの3年での成長譚を象徴する主人公だったのかも。来年は多分美玲が部でも重要なポジションを担ってくれるだろうから、チューバパートの未来も明るいんじゃないかな。

 そのほかにも回想シーンでのあれこれがあって情報がパンク状態なのでまた改めて視聴しなおしたいとは思いますが……個人的に「マジで勘弁しろ」と思ったのは歴代部長の敗北シーン詰め合わせ。優子ぉ……お前の夢が叶ったんだよぉ。後輩たちがやってくれたんだよぉ……お前の指導のおかげなんだ。ほんとにそこは誇りに思ってくれ。ほんで晴香たちと一緒に会場に来てねぇ田中あすかな。まぁ、お前はそれでいいや。回想シーンのカロリーが高すぎる。

 大吉山はきっちり全部詰め合わせだったのでそれだけで麗奈が麗奈。金賞発表時の3年前との綺麗な対比。周りには一緒に祝福してくれる仲間もたくさん出来た。最後まで「特別」であり続ける彼女が、大好きのハグできるのはやっぱり久美子だけ。

 お疲れ、黄前久美子。ラストシーンの語り口が完璧だったよ。ヘアピンズルいよ。やり切ったよ。幸せだったよ。本当にありがとう。

 
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 叫び続けろ! 最終話! 俺たちの戦いはこれからだけど借金は勘弁な!

 見事なおれたたエンドなんですが、内心すごくホッとしてます。先週までで何度か触れてるんだけど、本作のタイトルは「cry」なんですよ。世紀の問題児・井芹仁菜が何かに噛みついて、駄々をこねて暴れ回るからこそ成立している作品。それがトントン拍子でメジャーデビューまで果たし、因縁の相手であるヒナとの雪解けまで果たしてしまっては、もはや仁菜は叫ぶことがなくなる。ロックンロールが鳴り止んでしまうと、それが不安だった。でもまぁ、作り手側がそんなことを承知してないはずもなく。

 渾身のメジャー1曲目はどうにも鳴かず飛ばす。桃香は自分のせいだと言っていたが、今のご時世、何が流行るか、何が流行らないかなんてほんとに水物ですんでねぇ。三浦さんも謝っていたけど、宣伝方法とか、いろんな側面から壁にぶち当たるのはしょうがない。商売として見た時には損失は如何ともし難いが、まぁ、別にこれでおしまいというわけでもなし、次へのステップと考えれば必要経費とすら言えるかもしれない。

 しかし井芹仁菜はそれでは止まれない。「売れると思ってたのに」「伝わると思ってたのに」と駄々をこね、周りに迷惑をかけまくる。そしてそんな彼女の行動をいち早く予期していたのが、旧友(と言ってしまっていいだろう)ヒナであった。「どーせ仁菜ならこの状況でジタバタしているだろう」とひやかしに出向き、目の前にニンジンをぶら下げるふりをしてニンジンはむしろ取り上げたような構図。多分、ヒナ視点ではああやって釣っておけば仁菜が申し出を蹴ることくらいは織り込み済みだったんじゃなかろうか。その後のメンバーたちの分析もそんな感じだったし、実は仁菜同様にヒナの行動原理もバレバレだったりする。確かにダイダスからすれば、仁菜たちが折れてイベント参加が2DAYSになったとて得こそあれデメリットはない。仁菜を説得できるくらいにトゲトゲの他のメンバーが理知的であるなら肩透かしだが、それはそれで今後の付き合い方を考えるまで。今後、「ラスボス」井芹仁菜を取り扱う上でちょうど良い資金石となった。

 そして仁菜目線ではそんなヒナこそが「ラスボス」。どれだけ説得されようと曲がったヘソは前を向かず、「私がやりたいことをやる」「みんなそれでいいって言ったじゃん」とゴネまくり。普通に考えたらメジャーシーンにいちゃダメなくらいに発想が子供だし、4対1の構図ならねじ伏せられても文句は言えない。しかし、誠に遺憾ながらこれが仁菜なのである。桃香たちも、それを了承した上で今ここにいる。呆れながらもどこか嬉しそうに、暴走列車・仁菜の先導に従うのである。智ちゃんのツンデレ具合がいつも以上でしたが、彼女もだんだん仁菜に振り回されるのがクセになってきたのかもしれませんね。

 そうして暴れることを優先し、無事に「Cry」の対象が見つかったトゲトゲ。でもクレバーな面々はちゃんと社会的なけじめもつけるために三浦さんへ持って行った退所届。メジャーにあるまじきバンドなので、メジャーからはドロップアウト上等なのである。再び身寄りをなくしたくせにどこか晴れ晴れとした面々はもはや、仁菜に生えた「トゲ」を押さえ込むつもりもないのだろう。仁菜が桃香の歌に惚れ込んで人生の転機を迎えたように、今後もトゲトゲは世間様に小指を立てていくのである。

 To Be Continuedは聞こえるかい?

 
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「怪異と乙女と神隠し」 6→5

 「Unnamed Memory」と並ぶ、今期2つ目の愛憎こもごも作品。愛憎っていうか、「ダメなとこがあるはずなんだけどうまいこと何がダメなのか言語化できない作品」。

 途中までの感想でその辺りにはある程度肉薄しているはずなのだけど、ゴールに辿り着いた現在でも、何がひっかかっているのかは定かでない。そして今作の引っ掛かりは多分「Unnamed Memory」とは全然違うものだろう。

 まず好きなところから確認していくと、そもそも私は怪異譚は好きだ。正確には「妖怪」っていうテーマが大好きっていうだけなんだけど、「ダークギャザリング」に続くホラー(風味)作品ということで期待はあったし、怪異の取り扱い方も決してなおざりではない。いわゆる「現代怪談」に伝統的な妖怪像を重ねる語り口はちゃんと本作のオリジナル要素になっている。また、キャラの立て方(あとデザインそのもの)も好みのタイプだ。メインヒロイン・団地妻の造形が極まっているところが一番わかりやすいが、それ以外にも乙ちゃんや畦目先生、のどかのキャラなどはいい具合にフックが効いていてキャラものとしても楽しい部分が多い。古来より怪異譚とエロスは切っても切れない関係にあり、あけすけなエロ要素だって楽しい要素だと言えるだろう。トータルすればプラス要素の印象が強い作品なのだ。

 その上で「なんかアニメの質がよろしくない」と思ってしまうのはなぜなのか。まぁ、単純に作画リソースが不足してるシーンが散見されたというのもあるが、それ以上にアニメで描いている世界の「足りない」感じが足を引っ張る。単なる説明不足というのではない、まるで製作者の意識から因果が欠落しているような、足下の覚束なくなる不可解な筋運びがどうにも馴染まないのである。この現象が起こっている理由については2つほど考えてみた。1つは、怪談特有の「不安感」を煽るためにあえてどこかで「通常の」演出からズラしているという理由。起承転結の全てを追いかけた上で何かしら不安が残るという作劇は例えば「世にも奇妙な物語」とか、同じアニメなら「闇芝居」とか、そうした作品でもよく用いられる技法だと思うが、それが今作では意図的に「伝わりにくい」ものとして現れているという考え方だ。こちらの場合、私が飲み込みづらそうにしているのも制作側の意図通りという可能性があるわけだが……狙い通りの効果なのかは謎。

 そしてもう1つ、こちらもシンプル過ぎる考え方なのだが、漫画原作をアニメにするに際し、「間を埋める」作業を怠った結果であるという可能性。この可能性に言及した理由は、こないだKindleの無料分があったから原作1巻だけ試し読みしたためだったりする。少なくともコミックを読んだ印象として「何かが欠けている」という感じがなかったので、「アニメにする際に何かが不足したのでは?」と考えたわけだ。よく「漫画原作のアニメ化はコマとコマの間を埋める作業」なんて言ったりするが(そう単純なもんじゃないというのは承知しているつもりだが)、今作はあまりに素直に原作をスライドさせたため、メディアの違いに不具合が生じてしまったというのは無い話ではない。……ただ、普通に考えてアニメスタッフがそんな基礎的なことを分かってないはずもないので、これもまたすっきりしない考え方ではある。実際、そうした作品だったら過去にもあったはずで、なんか違う印象はあるんだよ。

 ……結論は「よぅ分からん」にしかならんのだが……なんか勿体無いアニメ化だったな、というのが正直な印象。でも、原作はちょっと欲しいとは思ってます。千和猫がどうなってるのかが気になる。

 
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「喧嘩独学」 5→5

 なんか、思ったよりもセオリー通りの作品だったので意外性はなかったんだけど、土台部分の王道設定に文句をつける筋合いもないので、これはこれでいいのかしらね。

 視聴開始時に期待したのは、原作が韓国の漫画ってことで「日本の漫画にない予想もつかないもの」が出てくること。残念ながらその部分にとびきりの驚きなんてものを求めるのは高望みが過ぎる話で、およそのデザインはマガジンなんかで育まれてきた「へなちょこ喧嘩漫画」であり、私はこれを個人的に「刃森尊フォーマット」と呼んでいる(それより前にもあるかもしれないけど、まぁ気にすんな)。本作はなんか久しぶりに純正の刃森尊フォーマットを堪能した気がして、主人公のキャラ設定なんかは本当にお手本通りだし、最初にちょっと期待した「動画配信者」という設定も、主人公の自己顕示の表れの1つとして使われ、「怪しげな師匠」枠として使われたことで類型の上に乗った。そう考えると、残念ながら斬新さという面では今作は期待に応えてはくれなかった。

 ただ、それはこっちが勝手に期待したことであって作品に責任は無い。そうして設定された舞台の上でやれそうなことは至極真っ当に表現してくれていたし、類型とはいうものの、やはりネットでの動画配信を絡めた諸々はいかにもな現代劇に仕上がっており、要所で皮肉も効いている。私が中学生でこれがマガジンで連載してたなら、そこそこ楽しんで読めたんじゃなかろうか。また、配信者という側面に絡んで本作最大の売りは多分カネゴンの存在。いわゆる「いい具合にサポートしてくれる悪友」ポジションなんだけど、打算と狡猾さがいい具合に混ざっていて刺激を絶やさない良い狂言回しになってくれていた。マスコットがわりのアキの存在もよいアクセントになっており、個人的にはあの口調で話すファイルーズキャラはなんか妙な納得感があった。

 しいて要望をあげるとするなら、新番チェックの時から書いてるのでしつこいと思われそうだが、せっかくの韓国作品なんだからもっと韓国らしさを出してくれてもよかったのに、という部分。対戦相手にテコンドー選手・韓国相撲選手なんて出てくる時点でもはやローカライズの意味は無いんだし、いっそ全力で韓国文化にコミットしてくれた方が新しい刺激も多くなったと思うんだけど。その辺の出版業界の流れがいまいち分からんのよな。

 
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「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」 4→5

 「なろう→完走→2期決定」というループはまだまだ続く。何がキツいって、分割でスパンを置かれると、印象が似通ったなろう作品はほんとに区別がつかなくなることである。

 などとネガティブな印象から入ってみたが、その割に加点してるあたりがダブスタクソ評価ではある。でも、今作を貶すのは簡単だがそれはそれで責任を果たしたクリエイター陣に申し訳ないな、という気持ちを優先させてもらった。アニメとしてはね、割とちゃんと出来てたんですよ。枠としては「第七王子」とだいたい同じで、「引き続きいかにもなろう的な設定もテイストも好きではないが、作画作劇を含めアニメとして不備はないし、頑張って描こうとしている要素は評価できる」というもの。多分、この作品をアニメで表現しようとした時に割と上振れしてる完成度だとは思うんだよな。

 「なろう的な設定が好きではない」とは言ったが、個人的に今作で一番気になるのはタイトルにもある「鑑定スキル」の使い方そのもので、身も蓋も無い話だが、「鑑定スキル」の設定って面白さを何一つ加えてないとすら思っている。考えてもみてほしい、基本的に今作は「どんどん仲間を増やしてのし上がっていく」というワンピースタイプの物語構造なわけだが、「仲間を増やす時のエピソード」って、一番盛り上がれるチャンスなわけじゃん。ゾロが泥だらけのおにぎり食ってるのを見て勧誘を決めたり、サンジが海賊相手に暴れ回る様子を見て惚れ込んだり。そういう「一番描きがいがある」初登場シーンの「新キャラの強み」を、本作は「鑑定スキル」の一言で片付けてしまうためにことごとくオミットしてしまう。出会いの鮮烈さを描く必要がなくなってしまう。マジで1話目時点ではそこに納得がいかず、最初の忠臣・リーツは「うわぁ、すごいステータスだぁ、金積むからうちに来てよ」というのでハイおしまい。ドラマも何もあったもんじゃないのだ。

 でもまぁ、そこから仲間の数が増えるにつれ、流石に物語を構築する手段としてリスクが大きすぎると思ったのか、それともほんとに「鑑定スキル」ってのがなろう的テイストに合わせるためのとっかかりでしかなかったのか、その後の出会いと勧誘の物語は割と真っ当なストーリーラインに乗っている感はある。決して新鮮さは無いものの、これならジャンプに掲載されてるセミワンピース作品みたいな扱いでストレスなく読み進めることはできそうだ。

 そして、仲間を集めてしまったらもはや鑑定スキルなど意味がなくなってしまいそうなものだが、それでも今作は2期をやるらしい。こっからどこまでオリジナル要素を展開できるかで評価が決まる。そういう意味では、とても楽しみな続編になるかもしれませんな。

 
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「デート・ア・ライブⅤ」 ―→6

 「死神坊ちゃん」が足掛け4年の完結だというなら、こちらはなんと11年。クソでか大団円が押し寄せるシーズンとなった。

 当然こちらも年季の長さを含む御祝儀評点ではあるのだが、こんだけの長きにわたる旅路、最終的にきちんと形を成したエンディングを迎えられたというのはそれだけでもありがたい話ではなかろうか。道中で制作スタジオを4つも渡り歩くなんて、そんな因果な作品は他になかなか例がない。そのくせ、道を見失うことなくきちんと通底したものが感じられ、話が大きくなりすぎたクライマックスに至っても、最後の最後まで「危険なデート、始めましょう」という初期の設定を活かしてくれているというだけでもなんだか嬉しくなってしまう。1つの作品内ですでに「郷愁」を感じさせるほどの時間が経っているというのもとんでもない話だが。

 ぶっちゃけ映像部分についてはそこまでびっくりするもんではない。CGモデルをうまく併用したGEEKTOYSの作劇は省エネを果たしながらうまいこと作品世界を成立させているので文句の出るもんでもないが、「なんかどっかで見た雰囲気だなー」と思って見てて「あっ、あれだ、『てさぐれ』……」って思った時点でなんか省エネ要素が割と露骨に見えてしまった。いや、別に悪いことしてるわけじゃないんだけどね。まぁ、落とし所はここか、くらいのもの。でも、そうしてダイナミックに省エネを果たしたことによって、10人ものゴタゴタヒロインズが画面内を所狭しと飛び回り、少ない機会でなんとか見せ場を作ろうと奮闘している様子は好感が持てる。まぁ、新番チェックの時に見た通りに十香の特権的な立場は完全に剥奪されて1/10になってしまったけどね……今作は多分それぞれのヒロインに個別にファンはついてそうだし、贔屓をなくしたのはむしろいい方向なのかも。いや、狂三さんだけは特別扱いでいいと思いますけどね。

 そして、ラストを迎えるにあたり編まれたストーリーラインも実は結構いい感じ。設定としては狂三さんのおかげで世界線の処理については「どんなことやっても合法」になっちゃったもんで割とありがちなセカイ系のグルグルだった気もするんだけど、それでも満を持して登場した令音さんの設定は胸踊るものがある。ほら、オタクくんってやっぱ「ナンバーズのゼロがこんなところに!」みたいな設定大好きじゃないですか(クソデカ主語)。改めて1期から振り返った時に彼女の言動に整合性がとれてるかどうかは知らんけど、このクライマックスだったからこそ、「11年も散逸的に垂れ流し続けた死に損ない作品」ではなく「11年目にしてたどり着くべきゴールにようやく辿り着いた大河ロマン」に見えるんですよ。多分10年前の俺に「そのアニメ、なんだかんだで最後はいいアニメだったよ」って言っても多分信じてもらえないだろうな。

 ひとまずここまで作品に携わった方々全てにお疲れ様。今後も折を見てどこかで狂三ちゃんの声が聴きたくなる時がありそうだなぁ。まじひくわー。

 
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