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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ワンルーム、日当たり普通、天使つき。」 5→5

 とのぴーボイスで救われる命もあるんですよ! 殺伐要素ゼロのこういう作品になんとなく身を任せている時間が心地よくなっているのは老化でしょうか、それとも世相でしょうか。

 というわけで、これだって「半年後に忘れてるかもしれん」くらいのもんではあるが、決して嫌いじゃない作品。以前某奴から変なタレコミがあったけど、別に忖度とかではなくアニメのクオリティは悪くなかったと報告しておくよ。制作スタジオのオクルトノボルは今期2作同時展開だったけど大崩れしなかったのは偉い。まぁ、そこまで負担のでかい作品でもなかったけども、可愛いシーンがちゃんと可愛くかけてたのは純粋にプラス。

 この手の日常作品の場合は「つまらない」という感想を持つのも野暮な場合があり、一番懸念すべきネガティブな感情は「つまらない」よりも「飽きた」である。あんまりけばけばしくしちゃうとせっかくのテイストを殺してしまいかねないし、だからとてぬるま湯のような進行では飽きがきてしまう。どこかに何かワンポイントでもいいから気にさせてくれる要素があればこそ、日常作品でも1クールのお付き合いができるというもの。そういう意味では、今作の「週替わりでもののけ追加」くらいの刺激の置き方はちょうど良かったのかもしれませんな。いや、でも振り返ってみたら異種族は天使2に雪女、吸血鬼、河童が1ずつだから「2週に1体」くらいのペースか。「テンションのおかしい漫画家」も異種族認定するならもう1人追加(ちなみに私が一番好きなのはその漫画家です)。

 そうしてなんとなくもののけ連中のあるあるネタというか、それっぽいネタでちょっとずつ変化を与えつつ、異種間コミュニケーションの摩擦なんかは極力描かずにただ愉快なものとの触れ合いで笑いと癒しに繋げる。こういうのも私の好きな「長屋もの」的テイストはあったのかもしれん。ハーレムものっていうと聞こえは悪いのだが、むしろ今作はヒロインどうしの横のつながりも豊富だったので、「森太郎を中心としたなんかのサークル(オカ研か)もの」という認識も可能かもしれない。このデザインが無難に成立してるってことは、あんまり言語化できないけどもしかしたら森太郎って結構偉い主人公だったのかも。

 そして、それらをまるっとまとめてこの世界を定義づけるのがメインヒロインのとわちゃんだったという結論になるわけで。そしたらほら、やっぱとのぴーボイスが正義ってことでFAじゃないですか? そうでもないですか? あと今期は今作を含めて2作品でメインを務めてくれたおかげでちょっとクセのある声の集貝はなを認識できたというのも1つの収穫かな。アイマスの中に紛れてるとなかなか個体識別が難しいのでなぁ。

 追伸:河童のメイドコンビの「原由実:原奈津子」っていうよくわからん並びは狙ってたんでしょうか。何を?

 

 

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 端正な着地、最終話。何か大きな展開があるというわけではないがゆるゆると日常に収束していくこの感じ、なるほどクラゲアニメ。

 もう1話くらいあるもんだと思ってたのでラスト1話でまとめきれるものかとちょっと心配してたんだけど、きちんと各所にけじめをつけて回ったお話。その割に案外詰め詰めな感じもないし、エピローグっぽい部分にもきちんと時間が割けている。そういう意味ではなかなかうまい最終話になったんじゃなかろうか。諸々の決着をつけた中で唯一不満があるとすれば「流石にメロの扱いはそれでいいのか」っていう部分くらいかな。彼女なりの事情というか、心情があったことはこないだ語られてたから一応納得はしたけど、どう足掻いても人道にもとる行為に及んでいたことは事実なわけで、そいつが全体的に許された雰囲気になって、最後には花音と2人で茶ぁしばけるまでになってるのは流石に甘すぎないかという気もする。こういうマインドって過度に必罰を望むジャパニーズマインドなんでしょうかね。

 しかしまぁ、引っかかったのはそれくらいかな。前回ラストでまひるがぶっ込んだ「フェスの合同開催」という無茶提案。当然雪音は一度それを却下して社会人の厳しさを叩き込もうとしたが、まひるがここにきて我を通し始めたことはクリエイター育成という意味では悪い傾向ではなさそう。案外雪音もそうしてまひるをうまいこと飼い慣らしておくために無茶なオーダーを受けたという側面もあるかもしれない。

 そうして実現したコラボイベント。サンドーがメインであるべきなのに出演順がサンドー→JELEEだったのはどう考えてもおかしいと思うのだが、まぁ、そこは設備の都合とか色々とあるんだろう。久しぶりに客前に出て一度は沈みかけた花音だったが、そこにまさかのメロからの檄が飛び、さらにまひるからも背中を押されたことによって無事に完全復活。ようやく彼女なりの「歌う意味」を見出すことができたという。なんかさ、この花音の物語についても案外ふわふわしてはいるんだよね。「歌う意味を見つけた」って言われてもまひるとの関係がどこまで決定的なものだったかなんてことは必要以上の補強がないわけで、「そうか、そりゃ良かったな」くらいの反応しかできないのだが、ここで「誰か1人のために」みたいな確固たる目標があるわけでもなく、なんとなく周りの人たちの力添えがあって塞ぎ込んだ日常から脱却できたという花音の物語も、これはこれで信憑性がある。ラストシーンでちらっと親父さんが出てきたのも、ほんとにそれくらいの添え物の1つとして父親の存在もあったことを思い出させてくれる程度。

 別にこの「なんかふわっとした感じ」は悪いもんじゃない。花音にとって重要なのはあくまで母娘関係であり、今後も歌い続けていくかどうかは、きっとこれから2人で対話を増やして解決していく問題なのだろう。今はとにかく、「雪音が花音を認めた」という事実がしっかりと伝わることが重要。キーとなったクレジットの名義についてもなかなか気が利いており、そこに並んだJELEEメンバー3人の名前が綺麗な対比を描いている。一番上に来たのがすでに転生を終え、「新しい自分」を受け入れたが故に「竜ヶ崎ノクス」になったキウイ。彼女にとって、もはや渡瀬キウイという「昔の名前」に意味はない。ノクスとしてここに立てたことが彼女の成功の証である。これまでずっとVの皮をかぶってやってきた「グッバイ世界」を、今回は顔出しキウイちゃんがやってくれているのも分かりやすい変化だ。

 対して、まひるは「光月まひる」と「海月ヨル」の連名。1人の女子高生・光月まひるは今回の一件で目標を確固たるものとし、新たな未来に歩き始めた。そしてその一助となり、今後も彼女がずっと付き合っていくであろう名前が「海月ヨル」。JELEEのメンバーとしてはやはりこちらの名前だろうし、花音とのつながりが一番感じられるその名義は、今回のクレジットに欠かすことはできない。

 そして「仮想の名前」と「本名」をまひるがつなぎ、最後の早川花音へと帰着する。かつては娘を「橘ののか」としてしかみていなかった雪音が、彼女の本名を晴れ舞台にクレジットする。ようやく母にその名を呼ばれた娘は母の真意を理解して涙する。まぁ、単にお母ちゃんの方が無茶なフリをして娘を困らせていたというだけの話なのだが……そんな無茶振りに応えた娘を誇らしく思う母親の心情も理解できる部分ではある。そして何より、ようやく1人の人間として立つことができたという花音の誇り。これにて、母娘の物語は決着する。卒業式の校門でも、車に乗り込むでもなく別な方向へと歩き出した花音と、それを見送る雪音。今後もこの母娘はきっとこういう関係でうまいこと続けていくのだろう。

 「ヨルのクラゲ」が描き直され、それはいつしかJELEEのクラゲになる。壁画に刻まれたその威容は相変わらず泳げはしないが、たくさんの人たちの思いを受け止めて、今日もきっと街に佇んでいる。その姿が、きっとまた新しく誰かの元気になれるように。

 
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「ブルーアーカイブ The ANIMATION」 4→3

 一時が万事というか、ここまで1話目視聴時の印象・予断を更新せずに終わった作品というのも珍しい。

 「何かそれっぽいもの」の表層をただひたすらなぞり続けるようなアニメ。「それっぽい」は「ソシャゲっぽい」であり、「現代アニメっぽい」でもあるかもしれない。何か見たことがある要素がガチャガチャと出てくるけどそれらが何一つ説明もないままにストーリー風のものを進めていく。ほんとに「コンテンツ」というものから「中身」を徹底的に取り除いたような、そんな虚無の風格があった。

 プレイヤー数が多いソシャゲとのことなのでゲーム自体にはきっと何かしら人を惹きつける要素はあるのだろうが、それがアニメとして何一つ伝わってこない、こういう現象ってのは過去いくつもあった。個人的には「FGO」の時の感覚が一番近く、主人公キャラの扱いにやたらとかぶる部分もあるのだが、「FGO」の場合はまだ「フェイト世界の理」があることは知っていたし、そこに何かしら理解の及ばない部分があるのは致し方ないという諦めもあった。こちらの作品ももしかしたら同じ状態にあるのかもしれないが、フェイトシリーズと違ってこちとらミリしらである。「何かあるのかもしれないなぁ」と察して寄り添うことすらできず、「説明してくれないならこちらから歩み寄る理由もないわ」と互いにそっぽをむくだけである。

 一応最後まで視聴したのは「人気作なんだったら何かあるかも」という(1話目時点でだいぶ薄かった)期待と、「資本を考えればアニメ映像としてはそれなりのものが出てくるはず」という妥協、あとは最後にホシノのキャラはまだ見られると思えたことくらい(主に中の人が理由)。1つ目の「期待」は綺麗に裏切られたというのが結論であり、映像に関しても、そりゃ悪いもんでもないがどうにもお仕事感が強いというか、「こういうシーンにはこういう画面がありがちですよね!」みたいな「過去の蓄積から適当に引っ張り出したもの」ばかりで何かしら映像的な売りを作ってやろうという意気込みはあまり感じられない。ホシノのキャラも、最終的には意味のわからんシナリオラインの咎を全部押し付けられたような訳のわからんスタンスに置かれてしまったために救いにはならなかった。

 これ、原作ゲームで多少なりともお話が成立しているのだとしたら、それを伝える気がなかったアニメスタッフの責任ということになるわけだが、メディアのシフトによってそこまで大きな陥穽が生まれるものだろうか。もう、アニメ作りの方法論がよく分かんなくなってきた。まぁ、粗製濫造の極まった現代において、こうして何かしらの要素を織り重ねたミルクレープみたいな「作品のような何か」が形作られるのは必然なのかもしれない。「Blue Archive」(憂鬱な保存記録)というタイトルはもしかしたらそういう揶揄なのかしら? 

 

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「黒執事 -寄宿学校編-」 5→5

 ラストなんやってん。まぁ、特に説明がないってことはそのうちに作られる続編のチラ見せなのだろうな。告知は無かったけど、わざわざ作ったってことは遠からず次のシリーズも来るってことなんでしょうかね。

 前のシリーズなど何1つ覚えてない状態での視聴だったが、相変わらずそれなりに楽しめている不思議。まぁ、極論すれば今作はシエルとセバスチャンの関係性さえ分かってればなんとかなるし、今回は舞台が完全に孤立していたので今までの話の影響がほとんどないから……と思ってたら思いっきりアンダーテイカーが鍵を握ってたもんだからちょっと戸惑いはしましたね。あいつ、こんなゴリゴリにシリアスな展開で絡めるようなキャラだったんだっけ。以前も割と悪いことしてたし、今回も全力で悪役に振り切ってくれてたからお話は見やすくなったけど、「お前、そんなポジションだったか……」という驚きであっという間に終わってしまった。

 まぁ、奴が出てきたのは最後の数話なので、シリーズの総括をする上で見るべきはそこまでの学校編の中身。ある程度クローズドな環境下でシエルが正体を伏せつつ隠された真実を暴くというある種のミステリ的な展開でもあるのだが、「身分を隠し、セバスチャンも使えない状態で孤軍奮闘するのかな」と思ったらそんなことは一切なく、いつも通りに執事フル回転のお話。まぁ、そうしないとタイトル詐欺になっちゃうしな。しかし、そうして執事がフル回転して策謀を巡らす一番の盛り上がり(?)が謎球技の優勝のためってのが変な力の抜け方で笑ってしまった。いや、やってる当人たちはものすごく真面目だし、あそこで勝ち切ったことが今回のシエルの最大の功績だったみたいな語られ方だったわけだが……変な展開。その後の真相解明は校長のとこまで乗り込んだらほぼオートで全部片づいちゃったからね。まぁ、対戦相手としては大人たちよりも同じ寮の学生たちとやり合ってる方が刺激が多くて面白くなりそうだという判断なんだろう。実際、たっぷり時間をかけてキャラどうしの関係性を深めて「ここはこういう寮なんだね」みたいな下地を固めた後に彼らの関係性を一気にひっくり返す構図はサプライズもあったし、それなりに爽快であった。設定をあんま覚えてない作品でも、こういうコンパクトなシナリオの中にきちんと「らしさ」を入れてもらえると色々と思い出すことも多くて良いですね。

 まぁ、そうは言っても熱心なファンではないので「悪くなかったです」くらいの感想で終わってしまうのは申し訳ないが……今期は「ちゃんと最後まで観られたよ」だけでも一定の評価だと思っていただきたい。相変わらずメイリンは可愛かったです(結論)。

 
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 武田綾乃……お前………………第12話……アニメ史に残る1話。その選択は、群盲の目を貫く。

 1つ、感想の前に残念な告白があり、ご覧の通り、私は今作をリアタイ視聴できていない。土日がアニメラッシュなので放送順に処理していくとどうしても後日にずれてしまいがちで、本作のように視聴に体力が必要な作品は体調も万全に整えてからでないと視聴が叶わないためだ。そして、どうしようもないタイムラグが故、今回はぶっちゃけ「ネタバレ」を喰らってしまった。厳密には何が起こるかまで知ったわけではないが、そりゃもうTL上が大騒ぎだったわけで、「えっ、なんかあったん?!」と察した状態で視聴する羽目になり、純然たる一撃をノーガードで喰らったわけではない。おかげで視聴時に多少なりとも認知の歪みが生じてしまった感はある。そこはもったいなかった。とはいえとはいえ、覚悟したからとて耐えられる一撃と耐えられない致命打というのがあるわけで……今の世の中、これが出来るのは武田綾乃くらいのもんじゃなかろうか。世間的には「原作者とメディア化が云々」みたいな問題が取り沙汰される気風があるが、こんなもん、余計な心配もなにもない。原作者以外が、こんな選択できるわけがないのだから。

 というわけで、先週まで「多少アニメ用にリライトはされてるけど、まぁ俺は原作知ってるし」というので余裕綽々で見ていた私のような層の慢心を粉々に打ち砕く「原作改変」。何が恐ろしいって、ことここに及んでこの展開を見せつけられて、納得以外の感情が出てこないことである。ここまで数クールにわたって見届けてきた「響け!ユーフォニアム」というアニメ作品の最終回前の展開はこれ以外にないとすら思えてしまうことである。これは作者におもねったおべんちゃらでもなんでもない。それくらいに、ここまでの布石は今回の話へ接続されていた。

 最大の要因はやはり黒江真由という「ラスボス」そのものにある。もはや書いてしまって問題ないだろうが、原作では全国大会のソリは久美子がオーディションであっさり勝ってもぎ取る。念の為に確認したが、その後は真由とも特に変わることなく平然とコミュニケーションをとっており、その「当然のラスト」を何事もなかったかのように受け入れている。まぁ、原作の場合はあすかイベントが関西大会後なので、田中あすかの霊威でもって黒江を蹴散らしたという展開は特に違和感もないものだったし、それはそれで1つの綺麗な物語だった。

 しかし、アニメの場合にはそうはいかない。限られた尺の中、執拗に迫り来る黒江の影。何度も何度も久美子の領域を侵し、奏からは完全に敵認定された「ラスボス」真由。これを打倒しなければ、アニメ世界の「ユーフォ」は完結しない。そしてこの世界において黒江真由を「倒す」方法は何かを考えたら、最後の最後まで久美子がその信念を貫き通し、真由が抱えていた過去の因縁が間違ったものだったと突きつけてやるしかないのだ。久美子が負けたとしても、心から真由を祝福し、彼女の演奏を認める以外にないのだ。

 そしてアニメシナリオの巧みな部分は、こうして唯一の「黒江調伏」の選択が、きちんと久美子の未来につながっていること、そしてさらに、トドメの一撃をよりにもよって麗奈に振るわせることで、高坂麗奈の人生までもを、ここで決定的に描き切ったこと。前回のエピソードで、久美子と麗奈は「別れ」を決意した。その別れは長い人生を考えれば大した問題ではなく、お互いの「特別」はこれからの人生でも続いていくと、そう約束した上での生産的な「別れ」だ。そこに不変の友情が約束されたのであれば、高坂麗奈は久美子と道を違え、音楽に全てを捧げなければならない。彼女がどれだけの犠牲を払っても、それだけは曲げぬという信念が、今回のオーディションに刻まれたのである。確かに辛い決断だっただろう。彼女の人生に大きな後悔も残しただろう。しかし、ここで久美子ではなく、「自分」を選べたことこそが、きっとこの先の麗奈の人生を強く後押ししてくれる。ここで「1番」を選べたことが、彼女の人生をより「特別」なものに引っ張り上げる。

 オーディションシーンの演出の重ね合わせも実に印象的である。何度もフラッシュバックする2年前の記憶。中世古香織と麗奈の対決、号泣する優子。あの時の痛みが、今の北宇治を作り上げた。あの時と違い、今回のオーディションは実力伯仲。「部内を真っ二つに割る」という意味合いは一見すると全く異なる様相だが、その実、「2番」を選択した者の中には、久美子の音をそうだと分かって選んだ人間が確実に存在している。麗奈は「分からないはずがない」と言った。であれば秀一は間違いなく分かっている。以前「久美子が吹いたらいい」と言っていた緑輝も同様だろう。「1番」に挙手した葉月は分かった上で選んだというよりは、純粋に「良いと思った方」に入れたか。美玲も「1番」を選んだ様子。そして最も苦しんだのは久石奏。彼女は、2年前の吉川優子である。誰がなんと言おうと久美子に吹いてほしいと、そう願って「2番」を選んだ。おそらく麗奈たち同様に久美子の音を間違えるはずもない彼女が挙手の際にあれだけ悩んでしまったのは、おそらく「1番の方がうまい」と理解してしまったからだ。それでもなお2番を選んだ、彼女は優子の再来なのだ。その選択が責められるものではないことを、先人は余計なくらいに示している。

 そして、2年前は選ばれる側だった麗奈が最後の決断を下す。久美子は言った。「麗奈に会って私は変わった」と。その麗奈が、ここで2番を選ぶはずがない。その選択が、麗奈の、久美子の未来を決定づけ、そして、ついにあの黒江真由に伝わる。ここまで久美子が頑なに守り抜き、必死で戦ってきた最後の防衛ライン。麗奈の一撃でもって真由を打ち倒し、久美子自身の宣言でもって、全てに片をつけた。これこそが、北宇治吹部のあるべき姿である。その輪の中には、黒江真由が含まれていなければならないのだ。

 もちろん、個人レベルではそう簡単に片付けられる問題ではない。久石奏は、身も世もなく泣きじゃくる。自分の不甲斐なさを悔いただろうか。自らの選択を後悔しただろうか。久美子の教育はスパルタだが、彼女の「強さ」に信頼を寄せてもいる。

 運命の大吉山、麗奈がみっともなく崩れ落ちる。一番大切な友を想い、それでも曲げられなかった自分を憎み、ただただ泣き続ける。これだけ思われている、そのことだけでも久美子にとっては本望だっただろう。「性格の悪い」黄前久美子は、不器用な親友を誇りに思う。

 そしてもちろん、久美子も悔し涙を止めることなどできない。ひと時の迷い、慢心、部長職という激務からの言い訳。おそらくこれまでの1年を思い返せば、後悔などいくらでも出てくるはずだ。すでに下された決定に、取り返す術などない。ただこの感情は、抱えて進むしかないのである。「次の曲」まで。

 
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「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」 5→4

 可愛くはあった。可愛くは。

 でもほんとにそれだけ……というと流石に乱暴だろうか。なろうのようでなろうじゃない作品ではあるんだが、なろう系の中では比較的作画状態が良く、特に最後までヒロイン勢のコロコロした可愛らしさは維持されていた作品。ほんで異世界作品のくせして爆発カップルを扱っているというのも一応は特色と言える部分で、(いくらかハーレム要素はありつつも)基本的に主人公にとっての嫁はネフィ1人だけ。延々1クールの間2人のイチャイチャを見せられるだけのお話である。「可愛い画で女の子とイチャイチャする様子を見守るだけ」という状態は、実は悪いもんじゃないのだが……。

 そこになろう的ニュアンスが混ざるとやっぱり身が入らんのはなぁ。いや、ザガンはあんまりチート主人公要素を振り翳したりはしないし、自称陰キャなので色々なところで一歩引いた性格ではあるのだが、「身の丈に合わぬ卑屈さ」ってのもなろう主人公のヘイトポイントの1つなわけで……「お前のそのステータスならもうちょいスマートな生き方があるやろがい……」と思ってしまう。その辺のシナリオラインへのどうしようもないヘイトは意固地になってる部分かなぁ、と申し訳なくも思うのだが、もうちょっと別な方法論を開発してくれよ、という気持ちは如何ともし難い。

 まぁ、こうして文句ばっかり書いちゃうとダメなアニメだったみたいな印象になってしまうけど、形はどうあれ最後まで付き合ってるという部分は評価してあげたいところ。市ノ瀬ヒロインの持つ安心感はかけがえのないものですからね。

 
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 というわけで、劇場作品強化月間もこれにて一旦閉幕でしょうかね(他になんかあったら教えてください)。こちらは偶然こないだ劇場でCMを見てちょっと気になった作品。映像部分が個性的だったし、調べたらそこまで長くなくてサクッと見られる作品っぽかったので、せっかくの機会ということで観に行きました。

 折り返し前の一言感想は、なるほど他の劇場作品とは一線を画すオリジナルスタッフと、本筋からは少しズレた「映像制作スタジオ」の手による画面は色々と面白いものがありました。ドラマとしても時間が短い割には言いたいことがまとまっていて、少なくとも「ぼったくられた」というような不満感は無いです。まぁ、劇場で2000円払って観るべきかどうかは個人の裁量によると思いますが……私は半額くらいで観たのでコスパの良い娯楽になったな、という感想。観て損するようなものではないので、新時代の映像技術が気になる人はちょっと観に行ってみたらいいんじゃないでしょうか。

 

<というわけで以下はネタバレなど注意>

 

 


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 素直におもしれー、第12話。ミステリアニメ(?)観てて解決編でふつーにドキドキしたの、久しぶりかもしんない。多分この昂りは「六花の勇者」最終回以来だわ。

 毎回感想を書いていたので、それを遡ることでいかに私が作者の手のひらの上でコロコロされてたかがよく分かります。とても素直な視聴者を務めておりました。いや、わかってたけどねー、そういう展開だよねー、そうだよねー。……ごめんなさい、少なくともサプライズは喰らってます。一応ね、私もミステリ読みの端くれとして読書中は色々と推理というか、邪推しながら読み進めることはあるんですが、ことアニメに関してはそういう回路は意図的にシャットダウンしてるきらいがありますね。1つ例を挙げてみると、一巳かと思われていた謎の侵入者については正直「なんか描写が曖昧なまま進んでるな……」とは思ってたんですよ、ほんとですよ。でもそこはさ、一応「一巳が殺された風の描写」になってたわけで、逆にそこで「あれ、誰が殺されたの?」とか言い始めたらかえって読解力がない奴だと思われるじゃん! だからこう、「まぁそうだよねー、一巳だったって話だよねー」っていう前提で受け止めているわけで。冷静にさ、「でもあれが一巳だったとして、秋殿に行くのは意味わからなくね?」みたいな疑問は一旦飲み込んでるわけさ。そうだよ、私はあえて単純で愚鈍な視聴者を演じているのさ!

 ……以上、ミステリで真相が見抜けなかった奴の言い訳コーナーです。いやぁ、一応「こうだったら面白いかも」の第7候補くらいには今回の展開も想定してたかもしれないけどもちろん本線では考えてなかったから、「なんか面白い方向に話が転がってる!」って素直に楽しめちゃいましたね。またここまでの進行に比べてさ、今回からきっちり「ミステリの解決編」のフォーマットに則ってるのが妙におかしくて。后選びのふりをしながら真相を推理していく名探偵若宮の一人舞台、このセッティングは格好良くて憧れちまうなぁ。ご丁寧に最後のあせびのターンになるとあせびがろくに実情を把握してなくてぼんやりしてるもんだから、テンプレである犯人側の弁明というか、限定をサポートしてあげるガヤの役をお付きのものが務めてくれるっていう親切設計でね。やっぱ名探偵に「さて」と言われたらみんな様式美を意識しちゃうんだろね。

 というわけでどこからどう切り取っても「解決編」な今回。残された3人の姫君を1人ずつ斬っていくというフォーマットになっており、最初の犠牲者(?)は白珠さん。ここまで1年よく耐えたとは思うが、表情を見る限りではすでに限界だったご様子。そこに若宮からのKYコメントがドバドバ浴びせられ、最後の一押しに「子供の作り方知ってる?」というセクハラまがいのブラフまでかまされて即落ち。まぁ、白珠さんはこれ以上の抵抗も無意味だしな……なんだかんだで彼女からしたら最高のハッピーエンドを迎えてるあたり、若宮が冷血漢のくせしてきちんと人の上に立てる器であることを示してるのはそつがない。

 続いての対戦相手はススキさん。彼女の場合は最終的に裏は一切なく、ただ若宮とは「この腐った宮中で貴様のような腐った主君が幅を聞かせるのは我慢ならぬ」と直談判。「まず浜木綿についてなんとかせぇ」という主張が出てくるあたりにススキさんの人格が表れている。それに対する若宮の対応も徹底した鬼畜ロールを維持しており、多分ハナからススキさんは一番話が分かるキレものだということを分かった上で煽り散らかしているのだろう。問答の果てに、ススキさんはめでたく私のフェチポイントである「作中でヘアスタイルが変わるヒロイン」の権利を獲得。ミディアムショートでもとてもいい女だった。

 さぁ、残す枠はただ1つ、アニメ1話だけ観たら間違いなくメインヒロインだと思われていたあせびさん。でもさ、流石に私もその辺は承知してるから、この展開だと「最後の1人」ってのはやべぇポジションだってのは分かりますよ。ドキドキしながら見守っていたが、終始表情を変えずにぽやぽやしてるあせびを見て「こいつ……」ってなってましたね。そうかぁ、そっちパターンかぁ……すっかりアニメの構造自体にもしてやられてしまいました。

 別にあせびさんは何も嘘をついていたわけではないのだろう。彼女には彼女なりの世界があり、その理想の世界の中で、自分がやりたいこと、できることを精一杯やっていただけ。彼女自身の尺度で言えばきっと頑張り屋さんの部類。しかしなんということか、「無知は罪」でございまして……歪んだ宮中の澱の煮凝りみたいな性質だったってことですかね。こんなあせびについて、(ススキさんは信じきってたみたいだが)浜木綿さんはどう見てたんでしょうね。この展開なら、流石に来週出てきてくれるでしょう。彼女の口から、あせびの評価を聞けることを楽しみに待ちたいと思います。

 
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「変人のサラダボウル」 5→6

 今期の「ショボいから世間的にあまりウケないだろうけど私は好きでしたね」枠。最近は1クールに1作くらいはこういう作品がある気がしますね。試しに昨年度の履歴を眺めてみたら「カワイスギクライシス」→「自販機」→「でこぼこ魔女」→「ドッグシグナル」みたいな感じである。

 以前1回だけ記事を上げたことがあるが、本作の良い点はやはりお話作りそのもの。異世界(から)転生作品ではあるんだけどファンタジーな設定はほんとにネタのための添え物みたいなもんで、そこから引っ張り出せる日常ネタがあまりに雑食で多岐にわたっている。異世界ネタはもちろんだがそれ以外にも探偵ネタ、バンドネタ、ホームレスネタ(?)など取り止めのない世界の広がりが「何を見せられてるんだろう」みたいな気持ちでダラダラと観る温度感にフィットしていたし、案外エグいネタ回しのはずなのに語り口とのユルさのおかげで意外と重たくならずにすんでいるバランス感はお見事。1つのネタを引っ張る時間も短めなので、もし合わない部分があったとしてもさっさと次に行くから引き摺らない。ネタが短いのでつまみ食いっぽい乱雑さはあるんだけど、このごちゃごちゃ感はむしろ愉快。比較するのもなんだけど、多分「アストロノオト」に最初に期待していたのはこういうごった煮感だったんじゃないかと思う。こんだけぼんやりした先の見えない作劇、かえって1つの作品として執筆し続けるのは難しいんじゃないかとすら思えてくる。多分ジャンプ漫画だったら「スケットダンス」とか、そういう枠に近い存在なんだろうな。

 これで画のクオリティが高ければもっと中毒性の高い作品になったかもしれないのになぁ、と思う部分もあるのだが、逆にこんだけショボい作画だったからこそ気楽にみられたのかもしれん。アニメを見るときにはどうしたって「作画が云々」の問題は避けられぬが、こういう形での適材適所があってもいいのかもしれん。いや、原作者が望んだかどうかは知らないけどね。少なくとも岐阜にとっては何かしらのプラスはあったでしょう。多分。岐阜に行ったらホームレス女騎士に会えるよ(風説の流布)。


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