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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ラストシーン卑怯やろ、第23話。あんなもん、涙腺緩んだおっさんはもらい泣きするに決まってるやないか……。よかったなぁ宮森よぅ……。正直、この作品にはあんまり純然たるP.A.イズムって感じる機会が(他作品に比べて)多くないんだけど、ああやって丁寧な演出と表情芝居を見せられると、やっぱり大好きだなぁ、って思うね。今回のコンテはP.A.の代表格とも言える許琮氏と、「凪あす」19話演出などで良い仕事を残している菅沼芙実彦氏。こりゃ最終話は監督コンテ回で締めですかね。

 今回のお話、ぶっちゃけると中身は予想外の部分はないし、どないやねん、てな印象が強い。まぁ、思ってたほどにピンチがピンチじゃなかった、というのが一番の理由なんだけども、その更に根幹となる原因はこれまでずっと抱えてきた「理不尽」が本当に理不尽な理不尽だったせいだろう。つまり、茶沢という害悪について、これまでムサニの面々は甘んじてその好き勝手を受け入れていたわけで、実際にはあんなもんをほったらかしにしておく理由は無かったのである。以前キャラデザの時にも一悶着あり、あのときにはなんとか問題が解決してしまったために深入りしなかったという設定になっているが、もし今回のことを予見するならば、さっさと茶沢という男の問題を取り除いておくべきだったし、それをやらない理由がなかった。実際、今回は「万策尽きた」ことであれこれと方策を考え、結局「原作者に直接メールすればよくね?」という至極当たり前の解決策でもって、わずか1日ですっきりさっぱり解決したのだ。こんな状況になる前に、さっさとそれをしておけばよかったのに、という感想はどうしても生まれてしまうので、これ即ち「理不尽な理不尽」である。

 しかしまぁ、そのあたりがあまり無茶になりすぎないよう、シナリオラインにも最低限のフォローは入っている。やはり業界内部で「編集を通して原作者と話す」というのが絶対的な条件であるようだし、ムサニ側も「野亀先生は人嫌いだから会ってくれないだろう」という先入観もあったみたいだ。今回は本当にやむにやまれぬ理由があったからこそ、木下監督も動けたということだろう。最後の一押しをしてくれたのが本田さん、っていうのも良いセッティングよね。「これまで何度も万策尽きてきた僕がいうんだから」って、すげえ名言だよな。私の策は53万です。

 そして、そんな「VS原作者」という最後のトラブルシューティングの機会に、「ラス前でやりたいこと全部やっとこ」という水島節がこれでもかというくらいに炸裂する。今作のメインヒロインは実は木下監督だったんだと言われても驚かないくらいの、大・木下劇場である。眼鏡デブが恰好よく大活躍するアニメなんて、シュタゲとさばげぶくらいしか見たことないわ(結構あるな)。波動腹、昇龍腹、竜巻旋風腹。しかもCVは勇者王。この男、ただもんじゃない。いや、馬鹿なんだけどもね。茶沢がやっつけられるところはまだしも、編集長らしき男のゴルフアタックのとこなんかは、もう完全に「この物語はフィクションっていうか木下監督の脳内です」レベル。いや、茶沢のくだりも充分変か。なんで木下監督は入館証チェックされてるのにP二人はこっそりビル内に紛れ込んでるんだよ。清掃員に化けて侵入って、確実に違法行為やぞ(真面目に突っ込む意味なんて欠片もないことは分かってるけどさ)。野亀先生が最上階の大会議室でラスボス然として待ち構えているのも、完全に「勇者木下の冒険」のラストダンジョン風味。思った以上に話の分かる人でよかったし、ちゃんと(なんだか随分丸くなった風の平岡から)彼がアニメでの改変に過剰反応する理由も語られてたし、茶沢を一喝するくらいの常識は持ち合わせてるし、CV櫻井だし、もっと早くにメールしておけば良かったね。ちゃんと作家としてのこだわりがあって木下監督となあなあじゃない話し合いしてるのも良い雰囲気である。まぁ、目の前の一ファンと話してる程度で解決する問題だったら編集との相談とかで解決しておけよ、とは思うが。相手が茶沢じゃぁどうしようもないかなぁ、変な話。

 モンブランパワーで全てを打ち抜いた木下監督。彼の尽力のおかげで脚本総取っ替えの憂き目に遭わずには済んだが、結局新規部分を入れる必要があるので50カット削って100カット追加とか。これでも充分キツイ仕事内容である。ムサニは残された最終話のために、社内一丸となって完成を目指す。新人製作も、おでん屋で管巻いてた作画班も、そして宮森も。彼女が最後のアフレコ現場で見た光景は、(視聴者には分かりきってたけど)まさかのずかちゃん登場である。いいねぇ、このくらいの起用、このくらいの成功が、一番無理がなくてすっきりしているよ。いきなり主役抜擢とかだと上手くいきすぎてるからね。

 前回濁った目でテレビの向こうをうらやんでいたずかちゃんの、打って変わって晴れやかな良い表情。そして、彼女が精一杯仕事をした後の宮森との一連のシーン。あのシーン、ずかちゃんは目を潤ませてこそいるものの、決して涙は流してないんだよ。それが彼女なりの決意の表れになっている。彼女にとって、この仕事は確かに大きな第一歩だが、決して目標でもないし、まだまだ苦しい生活は変わらない。あくまでも夢への第一歩として踏み出したところなのだから、こんなところで泣いているようでは業界を渡り歩くことなんてできやしない。きっと報せを受けた日にはめいっぱい泣いただろうが、現場ではあくまでプロフェッショナルに、毅然とした態度で仕事をまっとうし、胸を張って帰るのだ。そんな姿を見て、彼女の苦労を一番良く知っている親友だけが涙を流す。宮森にとって、この大仕事の窮地の舞台で、いわば「助けてくれた」親友の存在はどれだけ大きく、どれだけ嬉しかったことだろう。どれだけ辛い仕事の中でも涙など見せなかった宮森が、親友の第一歩を見て、歓喜の涙が止められない。

 幸せなお仕事アニメ、「希望を持って終わらせなきゃ駄目だ」という木下監督の言葉も染みいりますね。次回、最終回!!

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3月20日 ドラフト模様(FRF TKT×2)

ピック順 【Mei】→【Alessi】→【Sangriter】→【Thraxi】→【Serra】→

 

 環境最終戦! まぁ、いうてもわずかに9回しかやってない環境の最終戦だけどね……。次の世界に旅立って、我々は何か新しいものを得ることが出来るのだろうか。結局この環境は手探りの連続だったしなぁ。まぁ、楽しかったからいいのではなかろうか(楽しくない人がいる場合がありますが、仕様です)。

 


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 今年度最後のたほいやの2回目。なんか1人の男をドヤらせるだけに終わってしまった。

 

Round1・「まくらずもう」

1.遊里で客が遊女に相手にされず、一人寝をすること。

2.長崎県枕崎における祭事。砂浜で相撲をとり、身体が濡れた方が負け。

3.握りこぶしの上に枕を立てて突きあい、落ちた方を負けとする遊戯。

4.香川県理里村の奇祭。村の男が背を地面につけて体をゆすり、自らを誇示する。

5.(まくらは真っ暗の転)「暗闇相撲」に同じ。

 楽しげ。④は「どういう状態やねん」と話題に。奇祭だからね。

 

Round2・「しゃばいらい」

1.死者が生前の知人に対してするあいさつ言葉。

2.江戸時代、遊郭内で知人にあったときの挨拶の言葉。

3.唾液、吐瀉物などを介して伝染する病気の総称。

4.渡来僧。ミャンマーの人。1927年に来日、二国間交流のかけ橋となる。1953年に帰化。

5.明治時代に流行した川柳、狂歌の技巧。末句を初句の逆さ言葉にする。

 ①の何言ってんだお前感(なお、2票入る模様)。⑤については「これどういうこと?」と聞いたところ、「え、何となく、『しゃばいらい なんちゃらかんちゃら いらいばしゃ』みたいな」というよく分からない答えを頂きました。

 

Round3・「なりぼし」

1.(「一つ星みつけた、長者になろう」という童歌から出た語という)成金。

2.フランスの建築家、歴史家。多くの神殿風建築で有名。「大浴殿」「広場宮」。

3.(相撲用語)昇格を決定的にする勝利。

4.仁義礼智忠信孝悌の八心のこと。

5.死んだ子に見立てて呼ぶ星。

 「一つ星見つけた」→「長者になろう」。なぜなのか。

 

Round4・「ごりょん」

1.牛車の通り過ぎていくさまを示す音。

2.酒五合の隠語。

3.(ゴリョウニンの訛)他人の妻または娘の尊敬語。

4.(親しみをこめて)お稲荷様。

5.御両人。

 ゴリョンて。ググると「大阪を中心に西日本で使われる」って書いてあったのに、大阪人だけはずしてるという謎。

 

Final Round・「まるめくらんど」

1.業腹な役人。

2.対馬の英語名。

3.古代大陸の一。赤道上にあり、インドとオーストラリアに分かれたとされる。

4.江戸初期の剣客。タイ捨流の祖。

5.コロンビアの鉱山都市。エメラルドを産出し、栄えた。

 ググったらエロゲの主人公だったんだけど……。

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「四月は君の嘘」 6→8

 今期最終回ラッシュはこの作品からスタートだが、スタートからどえらい作品ですよ。そりゃもう、滂沱の涙ですよ。こんだけわんわん泣かされた最終回も久しぶり。視聴後しばらくは空っぽの状態で放心しておりました。

 何から何まで完璧な作品。本当に非の打ち所がないので、いったいどこから評していいのか困ってしまうくらいである。途中までは出来うる限り感想を書いていたので、各話の良さについてはそちらをあたってもらった方が早いだろう。最終回でのまとめということで1つずつ要素を見ていくと、とにかく王道中の王道であるドラマを、一切の衒い無く、真正面から描ききったことが最大の見どころなのではなかろうか。中学生男女のほのかな恋愛に始まり、主人公の克己、成長物語。そこに音楽という戦いの場で戦い続ける若者たちの姿も加わり、最終的には人の生と死という永遠不変のテーマでもって締めくくる。あらすじだけを見れば、まるでお話作りのハウツー本にでも載っているんじゃないかと思えるくらいに直球ばかりのシナリオラインである。しかし、王道が王道であることには理由があるわけで。様々なテーマを描き、それを人の心に訴えかけるのに最も先鋭化した形が王道である。ラブロマンスも、スポ根も、人生ドラマもギャグでさえも、全てがきちんと一本の芯に収まり、真っ直ぐに引き立て合う方向に伸びていく筋運びは、22話という限られた話数の中に一切の無駄を作らず、見事に伝えるべき事を伝えきった。

 そして、今作で白眉なのはそのメインモチーフに「音楽」が採用されているというところである。普段我々はアニメを「見て」いる。アニメというのは画があり、声があり、動きがあり、音があって成り立っているものだが、どうしてもその中で視覚情報というものに重きを置きやすい。これは人間として当たり前の傾向であるが、今作は、そんな視覚的な情報と聴覚情報、つまり音を、同時多元的に伝えることに重きを置いている。普段ならば脇役になりがちな「音楽」を、舞台の中心にまで引っ張りあげ、それをドラマ作りのツールとして最大限に活用して見せた。もちろん「音楽をテーマとしたアニメ」は過去にもたくさんあるし、特に昨今は演奏シーン、ライブに力を入れる作劇は中心的な位置にあるが、今作のように「ドラマの筋立ての中に音楽が食い込み、物語全体を音楽が有機的に形作っていく」スタイルというのはなかなか出来るものではない。有馬公生という主人公の人生そのものが「演奏」に還元されていき、彼の生き様に影響を与えた2人の女性、有馬早希と宮園かをりという人物も、「演奏」で彼の人生を動かし続ける。こうして「音」が「生き様」になり、「音楽」が「ドラマ」になる。当然作画面での方向性もこの「音のドラマ化」に寄与する形になり、総合芸術としてのアニメーションとして完成を見る。ここまでの完成形を見出しただけでも、今作のスタッフは素晴らしい仕事をしたのだと断言出来る。イシグロキョウヘイ氏は素晴らしい演出家であったが、今作で改めて堂々たる実績を刻む事が出来た。今後の活躍にも期待したい。

 細かい部分を見ていけばきりが無いが、既に過去の感想で有馬早季の人生についてはある程度書けたと思うので、やはり最終回で言及されるべきは宮園かをりの人生であろう。彼女が残したものは、見方によってはひどく中途半端であるし、エゴイスティックなものにも映るかもしれない。彼女は結局公生との約束を守れず、ただでさえ傷ついた彼の人生に救いを与えるどころか、大きな傷跡を残したと言っても良い。ただし、それは公生を中心として見た場合の都合であって、彼女の人生において、これ以上に振り切った結末というのはあり得ない。彼女は自らの人生を最高の形で彩るための努力をし、自分の証を全力でこの世界に残すために生きた。それは公生にとっても力になるものであり、公生が彼女を背負って、演奏家としての道を歩み切りひらかれることで、2人の人生は揃って完成する。形こそ違えど、公生の中に自分の生の全てを注ぎ込んだ有馬早季と宮園かをりは、実に似通った選択をしたわけだ。もちろん、その根底に愛情が根付いていることはいうまでもなく、それは公生を傷つける目的ではなく、彼の人生を華やかにし、完成させるための慈愛である。だからこそ公生は、これからの人生も顔を伏せずに生きていくことが出来るのだろう。「四月は君の嘘」というタイトルもきっちり回収し、宮園かをりは、我々視聴者の中にも確実な生の証を残して去っていった。これ以上のものを、どうして望めるというのだろう。

 残された者の物語は続いていく。個人的にはやっぱり椿の物語が気になるところではあるが、どうやら最終回を見る限りでは大丈夫な様子。彼女がはっきりと告白宣言をした場所は、やっぱりあの電車道なんだよね。これまでずっと抱えてきた「三角関係」だったはずなのに、なんだか希望が持てる終わり方になっているのは実にありがたい。あ、渡を入れれば四角関係でもあるのだが……まぁ、彼は強い子だからさ……。最終回の凪ちゃんが阿漕なくらいに可愛いのはちょっとずるいと思いました。茅野魔性。

 というわけで最後はやっぱり中の人の話。中の人の話をしようとすると君嘘ラジオがよぎってきて色々と迷惑なわけだが……種ちゃんが楽しそうにしているのは聞いてて元気が出るので大変よろしい。アゲイン。また新しい種田ヒストリーが刻まれてしまう。アゲイン。そして、そんなメインヒロインを押さえ込む活躍を見せた佐倉綾音。あやねるはやっぱりいい役者に育っている。こういう彩りの多い現場でもっともっと磨き上げてほしいもんだ。そして花江・逢坂の男連中。花江君はこういう役で本当に輝くからすごい。あと幼少期で別キャスト立てなくていいからちょっとだけお得。ひょっとして梶君が人気あるのってそういうニーズもあるのかしら? そして早見、茅野、水瀬、園崎……いい現場でしたなぁ。ノイタミナはこういう作品が作れるというだけでも価値ある存在だと思います。枠が減ってしまうのはちょいと残念ね。

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 久しぶりに強烈な回がきました、第9話。元々「地獄少女」ファンからの流れで(?)この作品を気にしていた身としては、こういうヘヴィなお話が一番のストライクゾーン。いやはや参った。

 今回はいくつかの「うおぅ」が入り交じっているので、1つずつ見ていくことにしよう。まずは脚本、前回の引きの時点で「この2人が完全に無関係ってことはないよね」と言っていたわけだが、ここまで濃い絡みになっているというのは流石に予想の斜め上。どっちかがどっちかを殺した、っていうのも当たりではあったが……こんな展開になっているとは。辰巳(刑事の方)が殺された理由は、そこだけを切り取ればなかなか理不尽である。はっきり言って「誤認殺人」なわけで、本当にとばっちり、島田(青年の方)がちゃんと相手を確認しないうっかりっぷりにも困ったものだ。一応「彼は殺人現場を見られたと思って、目撃者を全員殺すつもりだったのか?」とも考えたが、彼の性根を見る限りではそういう意図ではなさそう。あくまで「ストーカー男の家に上がり込んできたってことは、きっとこいつが共犯に違いない」というすげぇ適当な予断で辰巳を殺してしまったことになる。ちょっと軽率過ぎる気はするが、まぁ、いざ人を殺めてしまった後となると、そのあたりの判断力は鈍っていたのかもしれないからしょうがないか。

 ただ、その1点がやや理不尽だったように見えた以外は、今回のシナリオはかなり「面白い」。「復讐心」という共通する動機を持って人を殺めた2人の男たちが出会い、互いに励まし合い、奮い立たせながら次の行動に移るように手を取り合っていたところを、少しずつ記憶が戻ることによってその構図が歪んでいく。本作の最大の特徴はこの「失われた記憶が少しずつ戻っていく」部分にあり、その超常現象による理不尽な展開がたっぷりと楽しめる。島田君の方は、「実際には手を下した後だった」ということを思い出してショックを受けた。「殺したい」と願うほどの復讐心だったはずなのだが、いざ「殺してしまったこと」を思い出すとやっぱり手が震えるし、そんな事実を目の前にいる刑事に話してしまったことも絶望的であった。彼の復讐心は、この時点では「人並み」の域を出ない。しかし、話した相手が悪かった。なんと、目の前にいる頼れる刑事は、実はネジの外れたサイコパス。復讐心が募りに募って、最終的にはぶっ壊れてしまったシリアルキラーなのである。結果的にはその殺人鬼を「殺して」しまった島田だったが、元々仲間だと思っていた「復讐者」というカテゴリのあまりの落差に感情が追いつかない。そして明かされる妹の真実。味方から仇へと180°振り切れてしまった相手を前に、青年の心は揺れに揺れまくるのである。

 このセッティングは、明らかにノーナさんが意図してデキムの元に送り届けたものであろう。「心無き裁定者」という、今回瀬戸ちゃんが必死に抗った忌むべき存在を問い直すためには、一番手っ取り早いのはデキムの前に別な「裁定者」を引きずり出すことである。今回のペアリングのおかげで明るみに出たのは、辰巳のあまりに悪辣で、偏った正義感である。独善的で暴力的なその信念は、殺された妻の声を免罪符にしながら暴れ回る単なる殺人者のものであり、裁定者でもなんでもない。しかし、辰巳の中でその信念は揺らぐことはなく、瀬戸ちゃんの言葉によって、「デキムたち裁定者も同じ穴の狢である」ことが晒される。彼女の涙ながらの訴えも色々と考えさせられるものがあり、これまでなんだかんだと仲良く過ごしてきたデキムに対し、今までに無いキツイ言葉を色々浴びせかけた。「生きたこともないくせに」っていうのはけだし名言である。最初はいつも通りの鉄面皮だったデキムも、瀬戸ちゃんの涙に明らかに狼狽する。彼が暴き出した「人間のどす黒い部分」というのは、そのまま自分たちの中にも横たわっていることを指摘されてしまったのである。相手の中に見るべきものを自己の内部に認識してしまった時点で、デキムはもはや「心無い裁定者」ではいられなくなってしまう。今後、彼がどのように形を変えていくことになるかは、本作最大のテーマといえる。

 そして、こうした怜悧なシナリオラインを盛り上げた今回の作画・演出面が手放しで面白い。前回はエアホッケーの部分がやや淡泊な描写になっており、「せっかくのデスゲームアニメ(仮)なのになんだか勿体ない」と思っていたものだが、今週はまるで何かに取り憑かれたかのような鬼気迫るコンテ・作劇になっている。ゲームシーンだけでもこれだけの温度差を設けているということは、前後編という2話またぎになった構成を最大限に活かし、後半の盛り上がりを印象づけるための方策だったのだろう。そして、いざゲームが終わったあとが今回の山場であり、仮面を脱いだ辰巳の大上段に構えた演説、それを聞きながらもがき苦しむ島田、必死に自己の正義を訴え続ける瀬戸ちゃんと、3者3様の心理描写はまさに迫真。1話の監督コンテ回に勝るとも劣らない、見事な「切実さ」でもって、この大舞台を演出してみせた。今回のコンテを担当した小林寛氏という名前は恥ずかしながらこれまで認識してこなかったが、今後は注意して観なければいけない名前になった気がする。ラスト、エンディングテーマをはさみながら島田が包丁を振り下ろすシーンなんかは本当に圧巻だ。辰巳の立ち居振る舞いも、瀬戸ちゃんの涙ながらの訴えも、全ては最後の島田の「笑顔」の為に用意された道具立て。こういう怖気の走るアニメがもっと見たいです。

 そしてもちろん、今回の立役者として、忘れちゃならない中の人たち。なるほど、ここに藤原啓治なわけだね……。ほんと、彼が実際に役作りのために2,3人殺してるって言われても驚かない自信がある。今回の辰巳役は、新たなけーじくんヒストリーの1ページに加えてしまって問題無いでしょう。そして、そんな辰巳の迫力に押されがちではあるものの、あれだけの圧力を受け止めきれるのが櫻井孝宏という男なわけで。最後の「笑み」をすとんと落としてくれるあたり、ぐうの音も出ないですわ。こんなおっさんたちに戦いを挑まなければならなかった瀬戸ちゃんもものすげぇプレッシャーだったろうが、負けじと押し返せてたのが流石だなぁ。

 いやぁ、本当に恵まれたアニメになってますよ。

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 サイボーグ熊とは、第10話。わざわざ機械のボディを手に入れた熊が発電の為に使われる……謎だ……。

 歴史の真実がどんどん詳らかにされていく。今回は回想とるるの供述によって、銀子と紅羽を結んだいくつかの事象が明らかになった。澪愛がユリーカに殺されたあの日、澪愛は「ともだちの扉」を通じて銀子を壁の向こう側へと送っていた。8話でそのシーンが描かれた時にはそのあたりが微妙に隠れた状態になっていたので、澪愛が扉を使って熊の世界との接続が出来たことは一応新情報だ(前回の扉の演出で気付くべきだったけども)。ともだちの扉は誰でも開閉できるってものでもなさそうだが、澪愛は「月の娘と森の娘」を執筆できたことから考えても、あの扉をある程度使いこなすことが出来たのだろう。そしてその娘である紅羽も、幼少期のあの日、無意識のうちに扉を通って銀子と出会っている。椿輝の家に伝わる何か、ってわけではなく、「本当の好き」に通じる素質の有無が扉との接続に関わっているように見える。透明になろうとする「こんな世界」の人間達は、基本的にあの扉に辿り付くことさえできないのではなかろうか。

 そして、るるがその身を賭して紅羽に伝えたユリ裁判の真実。今まですげぇ適当に「何となくこなすバンク的お約束セレモニー」くらいの認識になっていたユリ裁判。あそこでのユリ承認は、やはり「女の子」になるためには必要不可欠な儀式だったらしい。熊の世界に戻った銀子は、クマリア様の審判、壁の審査を受けて「承認」されることで、人間の身体を手に入れた。つまり、これまで見てきた熊の子たちの中で、人間ボディを持っている連中は全てユリ裁判をくぐり抜けた者たちということになる。百合園蜜子も、百合川このみも、全員裁判を受けて、その結果「何か」を選択して人間の身体を手に入れた。ユリーカ先生の裁判ははっきり描かれていたので分かりやすかったが、どうやら「人の身体」を手に入れるためには「大切な何か」を失わなければならないらしい。そして、それが「紅羽との本当の好き」だったのではないかとるるは推察している。この推論が正しいのかどうかは、現時点では確定していない。お話的にはなるほどそんな展開になりそうなのだが、実際には、紅羽は澪愛が銀子を壁の向こうに返したその日の晩に既に銀子のことを忘れてしまっており、もし銀子が「紅羽との再会のために壁を乗り越える決意をし、そのためにクマリア様の審判を望んだ」のだとすると、時系列がおかしくなってしまうのだ。澪愛の手でペンダントを受け取り、壁の向こうに行ってから初めて、彼女はユリ裁判を受けたと考えるのが自然だろう。まぁ、そのあたりの時間軸については後から事象を歪めることはいくらでも出来そうだから何ともいけないのだけども(クマリア様がどの程度の全能性を持っているかは定かでない)。

 とにかく、紅羽はあの夜のうちに、「本当の好き」の記憶を失い、更に大切な母親までもを失った。そんな過酷な人生だったからこそ、彼女は強く生きねばならなかったし、それ故に透明になることを拒んでいたと考えられる。その異質さは成長するまでの長きに渡り「悪」と認識され続け、泉乃純花と出会うまで続いたわけだ。純花との出会いが彼女に新たな「好き」を与え、透明な嵐との対立姿勢を明示化した。そこに人間世界に舞い戻った銀子が乱入し、あとはご存じの通りである。銀子が失ったものは「紅羽からの好き」、紅羽が失ったものは「記憶」と「純花」である。こうして簡単な構図にして確認してみると、銀子と紅羽の間では平等な関係性になっていないことが分かる。紅羽にとって、蘇った記憶である「銀子との好き」も本当には違いないのだが、それに加えて「純花との好き」も紛うことなく本物。そのために「紅羽との好き」だけを行動原理とする銀子と相対した時、「純花」というファクターの分だけ偏りが生じてしまう。それが、現在生まれている軋轢の原因となる。

 今回最も感じ入ってしまった場面は、るると紅羽の別れのシーンだった。全てを吐き出し、自己犠牲のうちに真実を伝えたるる。熊であることもばれてしまい、彼女が銀子に嫉妬し、取り返しの付かない結末を迎えたことも明るみに出た。そんな状況でも、紅羽はるるをかばい、在りし日の澪愛が銀子にやったのと全く同じようにして、彼女を壁の向こう側へと送り届ける。そんな献身的な紅羽を見て、るるは思わず「ともだちになれた?」と尋ねるわけだが、それに対する紅羽の返事はまさかのNO。彼女がそう返答したことには、様々な葛藤が込められていそうだ。まず、扉が閉まった後の「これでいいんだ」という独白からするに、彼女は純真無垢なるるを、これ以上「透明な嵐」の吹き荒れる人間世界の犠牲にしたくなかった。「熊と人の友情」は、銀子と紅羽、そして澪愛とユリーカがかつて結んだ関係であるが、それは超えてはならない禁断のつながりであり、2つの前例はどちらも悲しい結末を迎えている。結局、これまでの騒動から紅羽が受け入れねばならない教訓に「人は人、熊は熊」という厳然たる区別である。銀子のこと、るるのことを思えばそんな残酷な事実は受け入れたくないだろうが、るるが生き延びるため、彼女がこれ以上不幸にならないために、紅羽はるるを突き放した。彼女が一言「ともだちだ」と言ってしまえば、るるは再び壁を超えて苦難に巻き込まれるかもしれないのだから。

 そして、そんな優しさに加えて、紅羽の中で未だ熊に対する葛藤があるのも事実だろう。銀子との記憶が蘇ったとはいえ、「銀子が純花を見放した」ことも紛れもない事実。銀子との関係はアンバランスなままであり、「月の娘」の方から二人を分かつ「鏡」を砕く決心には至らない。だからこそ彼女は、そんな状態でるるだけを受け入れるわけにはいかなかった。熊は敵である。次に見つけたら殺すことになる。そう言い聞かせることで、彼女は純花との関係性を自分の中で必死に守っているのである。「受け入れない」ことを決心した紅羽の胸中、そしてその言葉を受けたるるの胸中を考えると、2人の別れのシーンは本当に切なくてしょうがなかった。

 今回は銀子がほとんど登場しなかったため、オープニングで描かれるトライアングルの最後の一辺、「紅羽とるる」に焦点が絞られることになった。るるが銀子に対して何故あんな行動に出たのかが本人の口から説明され、それでも後悔の念からペンダントを届けに来たるるを、紅羽はわざわざお風呂に入れている。最序盤では「風呂を貸して」と言ったら激怒していた紅羽が、である。特番の時に中の人たちが言っていたように、バスタブの中での関係性はキャラクターの親密さを如実に表している。このお話の中心はあくまでも銀子であるが、その回りの2人の距離もぐっと縮まっており、こんな状況でさえなければ、とても平和な「百合の園」が楽しめたかもしれなかったのである。残念無念だが……まぁ、るるはおっぱいが大きいのがよく分かって良いですよね。

 そして、そんな熊の動向に目を光らせる学園側の動きも大きくなってきている。残された学園側のキャラクターは、前回登場した大木蝶子のみ。彼女はこれまで以上に熊との対決姿勢を明示化しており、謎の組織クマタギ(略号はKMTG,熊とマタギの複合語なので、そりゃまぁ、熊を撃つのが目的だろう)を結成、殺熊光線車までもを用意した、分かりやすい「熊を殺す者」である。これまで熊が出没するというと警戒するばかりで攻撃などしてこなかった人間サイドであるが、ここに来てはっきりと「熊は見たら殺す」という態度を明確にし、これまで以上に境界の存在感が増している。このセッティングは、おそらく最終的に問われるであろう「熊と人のつながり」、つまり銀子と紅羽のつながりがいかに過酷なものであるかを明示するためのものだろう。熊は人を食べる。人は熊を殺す。そんな状況で、熊と人が互いを理解し、本当の好きを手にすることが出来るのか。……しかしまぁ、流石にサイボーグ熊はエグすぎやしませんかね。「毒をもって毒を制す」と言っていたが、そこに熊を介入させる必要性はこれっぽちも無いのだが……人間の悪辣さ、残酷さを際だたせるための措置なのか、それとも単なるクマタギジョークなのか。サイボーグこのみさん、元気そうで何よりでしたけども。ひょっとしたら、「熊と人を複合した力」であっても、熊と人が理解し合うことを認めないっていうねじれの強調なのかもしれないな。何よりも熊を憎んでいるはずの連中が熊を利用してその恩恵を受けるっていうのは、それだけで痛烈な皮肉になっているわけだし。結局、最終的には大木たちの猟銃は熊ではなくて紅羽に向けられているのも非常に倒錯的。透明な嵐の持つ暴力性の理不尽さがよく表れている。もちろん、嵐の中にいる人間にとっては、それは理不尽でも何でもない、単なる「自然現象」である。このままの調子でいくと、大木蝶子が最後まで透明な嵐の代表格ということになるのだろうか。……針島さんが可哀想やな。

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 ダービーのほっぺたはどうなているのか問題はアニメを観ても結局解決しなかったのである、第34話。ほんとになんなんだろね、アレ。弟に至ってはおでことアゴだし。まぁ、荒木デザインにいちいち突っ込んでも意味ないんだけども。

 いよいよ幕を開けた、「一切肉体を使わないバトル」。ここまでの展開でも少なからず「パワーだけじゃない戦い」の嚆矢となっていた本作であるが、このダービー戦は、敵スタンドとのバトルという枠を守りながらも、完全に殴り合いを放棄して精神戦、戦略戦だけに絞った転機となるバトルである(オインゴボインゴ戦も一応この枠内に入るかもしれないが、あれはバトルしてないからな)。おそらくこのバトルがバッチリ成功しちゃったおかげで、この後に繋がる「ゲームバトル漫画」は新たな時代を迎えることになるのだ。すぐさまダービー弟戦というリターンマッチが存在しているし、「賭博黙示録カイジ」の連載はこの戦いから約5年後のことになる。まぁ、これ以前にだってそういう漫画はあっただろうけど、少年漫画の枠内でこれが成立したってのはでかいわな。

 改めて見ると、この「ゲームバトル漫画」を成立させるために、このダービーというキャラクターは綱渡りみたいなギリギリのタイミングで際どいことをやっている。例えば登場のきっかけ。既に散々トリッキーな相手と対戦しているジョースター御一行は、様々な敵との遭遇を警戒しているはずで、ステゴロで戦えないようなひ弱なヤツが介入するチャンスはなかなか無い。そんな状態でダービーが自分の土俵に全員を引きこむためのセッティングとして、「期日が迫って焦っている」というシチュエーションが用意されている。とにかくなんでもいいから情報が欲しいという渇望状態にするっと忍び込んでくるダービーの悠然たる態度のおかげで、殴り合いに発展する隙間をなんとか埋めている。更に単細胞のポルナレフがろくに考えもせずに突っ込んで敗北することにより、問答無用で人質を取るというセッティングも上手い。ダービー側からしたらここまでの一連の流れが成功するかどうかが最大の山場なわけで、それをサラッと自然な流れで成立させてしまったことで、この後の「殴り合いのようなゲーム」が成立している(個人的には、どうやって飼い猫を調教したのかがすげぇ気になるけども)。ダービーの強さってのはよく議論される話題ではあるのだが、ここまでのセッティングをしれっと成立させてしまう計算高さ、相手の動きを読む先見性が彼の最大の武器だったのかもしれない。なお、原作では確かポルナレフは「魂を賭けるか」という問いにYESと返事をしてなかったはずなのだが、アニメでは公正さを強調するためにちゃんと返事をしてる。まー、その辺はオシリス神の能力の制限がブラックボックスなので、どうとでもなる部分ではあるのだけども。原作だと「元々賭けなんか本気でするつもりも無かったポルナレフの魂を奪っちゃうのはどうなのよ」っていう文句が入りそうだからね。

 そして、まずは一番短気なポルナレフが黙らされる。このおかげで割を食ったというか、若干キャラが変更されたのがアヴドゥルである。元々ポルナレフとの絡みでは「冷静な大人」ポジションにいたはずのアヴドゥルが、このダービー戦では「すぐにカッカしちゃうアツい奴」という立ち位置に。本人も「感情的になりやすいから賭けには向かない」と言ってしまうくらいに、この手のバトルでは「役立たず」ポジションに置かれてしまっている。まー、これでダービーが「いかさま師ジョセフ」「冷静な占い師アヴドゥル」「クールガイ承太郎」の3人を全員相手にする展開だと流石に大変すぎるからね。一応「こめかみ打ち抜かれた立ち小便アヴドゥル」のキャラ設定だと思えば問題無いのかも。ただ、この「ちょっと短気設定」が追加されたせいで、一周した世界で子孫(?)がひどい目にあうのだけども。

 アヴドゥルが役に立たないとなると、ここで見せ場を作れるのはやはりジョセフである。これまで頼りになる孫のおかげで割と力業突破が多かったこの世界、かのジョセフジョースターのイカサマ殺法は活躍する機会が少なかった。このタイミングでのマジ「ペテンバトル」は初期からのファンには嬉しかった展開なんじゃなかろうか(残念ながら私はリアルタイムで読み始めたのが3部からだったので、その辺の盛り上がりは体験できなかったのだけども)。堂々たるジジイの立ち回りは、ジョセフというキャラの魅力が正面から描かれた良い展開である。でもまぁ、負けるんだけどね。その辺は流石のエジプト9栄神、ラスボスDIOが近づいてきてるんだからしょうがない。結果的にジョセフは承太郎の引き立て役になってしまっているのだが、まー、割とまっとうに「イカサマバトル」を実現しているのでそこまで「完敗した」って感じでもないので許してあげよう。「日光当てるまでチョコが溶けなかったってことは、テーブルめっちゃ冷たかったんかい」とか、リアルタイムで読んでた当時の幼いボクも気になったんだけど、そこはそういう世界だから。影になってるととても涼しいのです。あと「ジョセフはなんで脱脂綿なんて持ってるんだよ」ってのも気になるけど、多分救急箱みたいな携帯用の医療用具を持ってるんだろうね。ポルナレフのごたごたがあったから、その陰で色々と小細工を準備する時間はあっただろうし。いきなりの強敵に対して、そこまで周到に色々用意出来るのもジョセフの強さってことで。今回負けた分は後のダービー弟戦であっさり返してくれるから、ジョセフファンもガッカリする必要が無いあたり、荒木先生は優しいのである(なお花京院はry)。

 さぁ、次回はクライマックスとなるポーカー勝負。「すげぇ、頭脳バトルが盛り上がってる!」っていう展開からの承太郎である。うーん、近距離パワー型。ところで、イギーどこいった。今まで執拗にフォローされてきた「イギーの動向」だったけど、今回は流石に尺が足りないから補足されていないな。まぁ、その辺で猫の干し肉でも奪ってるんじゃないかな。先日、私の回りでは珍しい「原作を全く知らないけどアニメのジョジョが好き」っていう人と話す機会があったのだが、「イギーが可愛い、イギーとポルナレフの絡みが凄く好き」って言っていたので、アニメスタッフはナイスな仕事をしてると思います。もう、すっかりマスコットキャラだもんなぁ。なお、その「原作知らないファン」に「CMで出てきたジョージさんは何者?」って聞かれたので「6部のボスだよ、順調にいけば……まぁ、7,8年後くらいにはアニメに出てくるんじゃないかな」って答えときました。……順調に行くかな……。小野Dの年齢的には割とリアル。

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 何故そこをサブタイにしたし、第22話。いや、すごく大事だし笑えるシーンなんだけどね。久乃木ちゃんの活躍は僕らの太陽です。あー、早く夏コミがきて久乃木ちゃんの愛が重すぎて絵麻先輩陵辱を陵辱しちゃう薄い本出ないかなー。

 いい最終回風味で、基盤がどんどん固められていく展開。やっぱり物語はハッピーエンドが肝要ですんで、それに向けてムサニは少しずつ一丸となっていくわけですよ。成長物語としての到達点が見えている人間も何人かおり、あとはラストミッションを経てゴールへと。

 今回のお話で最大のカタルシスをもたらしたのはやはり平岡だろう。2話に渡って「平岡問題」はずるずると引っ張られてきたわけだが、冒頭で朝礼に出席する平岡の様子が描かれて改善が見て取れたし、とどめの一撃はまさかのタローが担当した。まぁ、こういう小利口で面倒なタイプの人間の問題っていうのは、案外バカが解決するのが一番いいのかもしれない。斜に構えて厭世的な思想に染まってしまっている平岡は、周りの人間から見ても取っつきにくい対象であり、そのせいでますます垣根を作っていくという負の連鎖に陥っていたところがある。対象は違うが、今回杉江さんが絵麻ちゃんにかけていた言葉が、案外平岡にも当てはまるんじゃなかろうか。必要なものはチャンスを掴む握力と、失敗から学ぶ冷静さ。平岡は制作という人間関係に焦点が当てられた職業において、チャンス、すなわち人脈を自ら途絶えさせる方向に動いてしまっていた。彼に「学ぶ冷静さ」が無かったわけじゃない。ただ、どう足掻いても彼には背負いきれないほどに、世界が理不尽だっただけなのである。やっぱりムサニを取り囲む業界の諸々はほとんどがファンタジー。平岡がかつて経験したような理不尽の方が業界ではスタンダードなのかもしれない。すっかり枯れてしまった彼の「握力」は、もう二度と戻るチャンスなどないと思われたが、そこに「空気を読まないバカ」が投入されることで科学反応を起こす。あそこまで露骨に嫌われているのに遠慮なく突っ込んでいけるのは、間違いなく高梨太郎という男の1つの才能であろう。まぁ、定食屋のビールでべろべろになれるほどのテンションがあがってしまうのはどうかと思うけども……平岡に必要だったのはそんなに大きな救いでもなければ慰めでもない。ちょっと吐き出すためのはけ口があればそれで良かったのだ。バカでもやっていけてる世界、バカなら楽しかった世界。それを思い出して、きっと平岡もこれからは多少真っ直ぐに世界を見られるようになるのかもしれない。

 もう1人、大きな転機が訪れたのが絵麻ちゃんである。ただでさえ厳しい「三女」のスケジュール。井口さんはいつも通りに笑顔で楽しそうに仕事をしてくれているが、それでも1人の力に限界はあるもの。ゴスロリ様にも作監補佐で入ってもらい、それに続けて絵麻ちゃんに白羽の矢が立つ。井口さんはちゃんと実力と人間性を見て彼女なら出来ると判断したのだろう。杉江さんだって「受けたらいいと思う」と言ってくれており、大抜擢ではあるが絵麻ちゃんには充分その権利がある。作監補佐ともなればいよいよクレジット順も上がってくるし、責任も大きければ、仕事から得られるものも大きい。実は一番の出世頭は絵麻ちゃんだったりするのである。田舎の親にも「仕事が軌道に乗った」ことを報告した絵麻ちゃんは珍しくポジティブな状態になっており、作画部屋は非常に良い雰囲気だ。久乃木ちゃんだって嫉妬の炎に身を焦がしてこそいるが、先輩の立派な姿に克己して戦いを挑んだ。……まぁ、結果は良いのか悪いのかよく分からないけども……大層な成長ではあるよね。あの会社、監督を含めおじさんたちが優しすぎるわ。あ、なおそんな絵麻ちゃんのところに美沙ちゃんも出向してきた模様。まぁ、彼女のスタンスは別に……どうでもいいか。

 既に行くところまで行って作中での「課題」は全てクリアして一足先にあがってしまっているのがりーちゃん。相変わらず色んな仕事を任せてもらっているし、何をしていても楽しそうで本当に無敵。彼女のすごいところは運とか巡り合わせだけでは説明できない。今回の絵麻ちゃんとの会話を見る限り、彼女の最大の武器は「仕事への貪欲さ」である。チャンスで悩んでしまった絵麻ちゃんとは対照的に、りーちゃんは言われたことは全部やる。喜んでやる。全ての仕事を自分の養分に変えてしまうだけの貪欲さが、彼女を単なるラッキーガールではなく「仕事の出来るディーゼルさん」にしている。この物語が最終回を迎えた後、この世界で成功するとしたらりーちゃんか絵麻ちゃんのどっちかだろう。業種から考えるに、一山当てて大看板になるのはりーちゃんの方だろうなぁ。

 それでは、今作の主人公である宮森はどうか。もちろん彼女だって成長しているし、立派な姿を後輩に見せている素晴らしい仕事人だ。ただ、彼女の場合はまだまだ課題も多いようだ。今回のお話の中で一番面白かったのは、実はスタッフ2人がくだを巻いていたおでん屋のシーンである。これまでの作中では宮森が「すげぇ仕事が出来る有能な制作」として描かれていたように見えたが、どうやらスタッフからみたらまだまだの様子。実働組と管理側で衝突が起こるのは当然のことだし、スタッフがそんな「管理役」の宮森に愚痴を漏らすのはごくごく自然なことではあるが、陰口をたたかれているだけ、まだまだ彼女の人心掌握術は完璧ではないのである(まぁ、完璧な人間などいないのだろうが)。いかに仕事をこなしているとはいえ、彼女だってタローや平岡同様に成長過程。ある意味では一番リアルな立ち位置なのかもしれない。それにしても、あのおでん屋のシーンのトーク、走ってたなぁ。下手したらあれもいつぞやのオーディション会議のときみたいにキャストの音声優先のシーンなのかも。畳みかける居酒屋トークの臨場感は、アニメスタッフの制作側への恨み辛みががっつり詰まっている気がします。まー、その分平岡の回想シーンで制作側からの恨み辛みが籠もってますしね。

 で、ラストシーンである。…………まぁ、分かってたよね。クライマックスではこれまで以上の試練が待ち受けているのは。「えくそだすっ」の時でも色々と難渋してたんだから、それ以上のトラブルといえばやっぱり全リテイク。もうこうなる未来しか見えないように進んでたしなぁ。しかしどうなんだろうね、アフレコまで全部終わって、コンテ出来上がって原画撒いて、そこまで進めたところでのキャンセルなんて、現実で可能なのだろうか。どの辺までがフィクションなのか分からないお話なので、このクライマックスが「やり過ぎ」なのか「業界で本当にあった怖い話」なのかは定かじゃないけども。とにかく、これで最後の宮森の試練が決定。多分、人が足りない! って叫んだところに平岡が奇跡的なヘルプを回してくれるところまでは織り込み済み。瀬川さんのご機嫌がどうなるかはちょっと分からないけど、彼女12話の担当だっけ。平岡が土下座しに行かないかなぁ。そして、アフレコが終わった後ってことは、おそらく最終話のアフレコ取り直しがあって、そこでスケジュールが合わなかったり、体調を崩したりしてキャストに欠員が出るんだろうね。でないと、唯一救われない最後のキャラクターに出番がないですからね。……ずかちゃん、目が死んでるよ……金がないのに3本も空けちゃう発泡酒がリアル過ぎるよ……もう、マジで痛々しくてみてらんねぇよ……浅野真澄大先生あたりは乾いた笑いとともに「あー、あるある」って言ってくれるシチュエーションだよね(ただし目は全然笑っていない模様)。

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3月13日 ドラフト模様(FRF TKT×2)

ピック順 【Thraxi】→【Sangriter】→【Alessi】→【Serra】→【Mei】→【Sea-chicken】→

 

 ラスト2戦。今回が通信ナンバー198なので、龍紀伝突入は記念すべき200号目になる予定。まぁこのブログ版通信以前には同様に数百に及ぶ身内向け通信があったので、通しナンバーだと別に節目でも何でもないんだけどさ。継続は、力だなぁ……(遠い目)。なお、この環境の感想は多分みんなして「結局わらかんかったな」になる模様。難儀な環境であった。来週は最終戦なのに既に5人戦の予定なのがちょっと残念やな。

 


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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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