忍者ブログ
最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
[870] [871] [872] [873] [874] [875] [876] [877] [878] [879] [880]

 

<緑>

 

Birthing Hulk 産み落とす巨体 (6)(G) U

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

5/4 欠色

〜が戦場に出た時、【末裔トークン】を2体戦場に出す。

(1)(C):〜を再生する。

 「hulk」という語は定訳では「大男」であり、「Phyrexian Hulk/ファイレクシアの大男(NPH)」などがこれに該当する。一方で「hulk」には動詞用法もあって、「何か大きな物がぬっと現れる」という意味もあるらしい。動詞的に「Hulking」という語の場合、「巨体の」が定訳となり、「Hulking Cyclops/巨体のサイクロプス(8ED)」などがこれにあたる。しかし、何故かこのクリーチャーは名詞用法の「hulk」であるにも関わらず「巨体」の訳が当てられている。思うに、エルドラージに「男」という言葉を使いたくなくて、「生物かどうかすら怪しいけどとにかくでかいよ」という意図が翻訳チームの考えとしてあらわれているのだろう。まぁ、それなら「鱗の大男(BOK)」に「男」要素があったのかと言われたら疑問ではあるが。さておき、そんな巨体の新作だが、7マナの割には5/4と大して巨体でもない。現在は7マナ払えば7/8の「破滅の昇華者」が出てくるわけで、この程度で巨体とはちゃんちゃらおかしい。その分、末裔トークン2体でトータルのパワーは補っているものの、それでも合計は7/6どまりなので、肉としての魅力はそこまで高くない。それでもなおアンコモンである理由は、ただ1つその再生能力のため。「破滅の昇華者」だろうが「エルドラージの壊滅させるもの」だろうが、除去を突きつければ大人しく沈むし、みんなで合体ブロックすれば殺せないこともない。しかしこいつはそれが出来ない。現環境には再生を禁止する除去が新作の「忘却の一撃」くらいしかないため、これが出てきたらこっちもサイズで対抗する以外には戦う術が無い。また、こういうクリーチャーは「出たターンに、再生マナがないうちに叩く」という方策も取れたが、こいつはしっかりと再生マナ分の末裔を連れてくるのでほぼ隙はないのである(厳密に言えば、場に出た時の効果がスタックしている間なら末裔がいないので殺せるかもしれない)。この「安定感」を良しととるか、それとも7マナも払ったんだったらもっと爽快感のあるクリーチャーをよこせと思うかは好みの問題。まぁ、私は後者なんですが、使ったら普通に強そうではあるな。

 

Ruin in Their Wake 残された廃墟 (1)(G) U

ソーサリー

欠色

あなたのライブラリから基本土地・カードを公開する。あなたが「荒地」という名前の土地をコントロールしているなら、それをタップ状態で戦場に出しても良い。そうでないなら、それをあなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリを切り直す。

 ついにこの環境にも登場した「不屈の自然(M12)」の亜種。これまで「自然の繋がり」の3マナがスタート地点だったので何とももっさりしたマナ加速しか出来なかったが、今後は過去の環境と同様、2マナから4マナへのジャンプアップが出来る……かもしれない。出来ないかもしれない。えー、なんだこれ、どう見てもランパンの下位互換なのにアンコモンなんだよ。普通に使ったら「地勢(M14)」にしかならず、荒地をおいて初めてランパンと同じになる。そしてこの手の呪文は2ターン目に唱えてこその真価があるわけで、その場合には2ターン目までに置かなきゃいけない土地は「森」「荒地」の選択肢しかない。それ以外の手順では最善の働きをしてくれないのだ。これ、何でアンコなんだろう、どこかランパンよりも強い部分は無いか……って必死に考えて、一応「土地を手札に入れられるので、上陸デッキなら好きなタイミングを選ぶことが出来る」っていう利点が思い浮かんだ。まぁ、普通に考えたら「土地を確実に1ターンに2枚置ける」方が上陸デッキでも強いと思うけどね……。謎。「荒地があれば強くなる」なら分かるが、「荒地がないと弱い」は勘弁してほしいなぁ。

 

Scion Summoner 末裔招き (2)(G) C

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/2 欠色

〜が戦場に出たとき、【末裔トークン】を1体戦場に出す。

 ほんのちょっとあいてる隙間に無理矢理潜り込んだ感じのコモンドローン。同じマナ域に「末裔の呼び出し」があり、1マナ増えれば2/3の「培養ドローン」。確かにコイツの性能は新カードではあるが、間違い探しみたいな差である。同じ緑で比べるべきは当然「末裔の呼び出し」。こちらの方がトータルのパワーが高いが、次のターンにアクセス出来るマナが1つ少なくなる。総合的に見れば、「呼び出し」よりもこちらの方が強いだろう。マナ生産が1つ減るというデメリットも、別に「末裔の呼び出し」を使った次のターンにいきなり2体サクる展開なんてあんまり無かったことを考えれば気にしなくて良い。その分、相手の「マキンディの巡回兵」や「マラキールの暗殺者」あたりと1対1交換が可能になった点、クリーチャー呪文なので「従順な復活」や「亡骸のぬかるみ」あたりとシナジーを形成する点なんかで充分プラスに転じることが出来る。今後の世界でも「末裔の呼び出し」「目無しの見張り」の代わりは問題なく確保出来るということだ。

 

Stalking Drone 忍び寄りドローン (1)(G) C

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/2 欠色

(C):〜はターン終了時まで+1/+2の修正を受ける。この能力は各ターンに1回だけ起動出来る。

 いわゆる一つの「ルートワラ(M14)」能力持ちのエルドラージ。修正値はルートワラシリーズに比べるとちょっと小さいが、その分コストが軽く、起動も1マナと安いので安定感はこちらの方が高い。これまで緑には存在しなかった2マナのエルドラージクリーチャーなので、欠色方向によせるならば単純に熊としてのニーズがあるし、上手いこと無色マナに接続出来るようであれば一気に戦力としての信頼感も増す。どうせ1ターンに1回しか起動出来ないので、そこまで必死に無色マナをかき集めずとも1回使えれば充分なのも精神的に楽である。ただ、今回は赤にも黒にも割と軽いコストでタフネス2までを潰す呪文がコモンで用意されているため、パンプに対応して除去られる危険性は高くなっている。なるべく隙を作らず、あくまでも牽制の材料として能力をちらつかせておくのがベターである。

 

Vile Redeemer 卑小な回収者 (2)(G) R

クリーチャー・エルドラージ

3/3 瞬速 欠色

あなたが〜を唱えた時、あなたは(C)を支払っても良い。そうしたなら、このターンに死亡したあなたのコントロールするトークンでないクリーチャー1体につき、【末裔トークン】を1体戦場に出す。

 緑がたまに採用する「クリーチャーの死を利用する爆裂アドバンテージ生成」ギミック。その始祖は遥か10年以上前に遡り、「鉤爪の統率者(LGN)」という熊大好きエルフが切り拓いた道だ。ただ、それに続いた「新鮮な肉(NPH)」はそのポテンシャルの割には構築での活躍は成し遂げられず、こうしたギミックがどれほど環境のデッキタイプに依存しているかを知らしめる結果となった。今回は3マナ3/3瞬速というハイスペックで基本線を守っているのが売りで、相手エンドに出せるためにそこまでデッキデザインを意識せずとも投入しやすいのが売り。流石にこのスペックだとカウントするのが自軍クリーチャーだけになってしまったが、相手の一斉アタックを適当にさばいた後に着地させれば2〜3体くらいの動員は期待出来る。4マナでそれだけの仕事ができれば充分だろう。

 

World Breaker 世界を壊すもの (6)(G) M

クリーチャー・エルドラージ

5/7 欠色 到達

あなたが〜を唱えた時、対象のアーティファクトかエンチャントか土地を追放する。

(2)(C)、土地を1つ生け贄に捧げる:あなたの墓地から〜を手札に戻す。

 いわゆるデカブツエルドラージも、いよいよ色つきの時代へ(まぁ、欠色だけど)。7マナで唱えて、唱えた時に何かをするという動きは、これまで無色エルドラージ連中がやっていたことだったが、それを色つきっぽく翻案。やってることは初代ウラモグの制約バージョンといったところ。唱えただけでアドバンテージが確定するのだからそりゃ神話認定されても文句は言えない。ただ、神話の割には素体としては地味。「忍び寄るカビ(10ED)」内蔵のファッティというだけで充分ではあるが、それだけなら「カビのシャンブラー(ZEN)」がちょいと小太りになっただけとも言える。コイツの本懐は死んだ後に見せつけられる。5/7を殺すのも大変だろうが、もし対処出来たとしても、割とお手軽に墓地から帰還することが可能。そしてもう1度唱えたらまたパーマネントが割れる。対処するにはなんとかして次元の彼方へ追放するしかないのである。プレインズウォーカーに対処出来ないので正直構築級ではないだろうが、リミテッドならばそりゃもう。

 

Baloth Pup ベイロスの仔 (1)(G) U

クリーチャー・ビースト

3/1 

〜は、その上に+1/+1カウンターが置かれている限りトランプルを持つ。

 世にも珍しいちっちゃいベイロス。そりゃま、ベイロスにだって幼少期はあるわけでね。このたび初めて、子ベイロスというのがどんなものかが明らかになったわけだが……あんまり可愛くないな。ちなみに、これまでの歴史の中で最小のベイロスは「とげのベイロス(M13)」の4/2。やっぱりでかいな。さておき、そんな子ベイロスだが、何故か緑が白と手を組む支援能力の推進クリーチャーとして登場。2マナ3/1という前向きステータスに、上手く支援が合わされば4/2トランプルだ。まぁ、そりゃ強いけど耐久性能が変わるわけではないので、単に討ち死にする時に何点かのダメージが突き抜けて終わりなんだけどな。その1点か2点のダメージが欲しいという人、そして出来るだけデッキの中身を支援絡みのカードで固めて美しいシナジーを堪能したい人向け。あと、ベイロスファンとか。結局ベイロスってなんやねん。

 

Bonds of Mortality 死すべき定め (1)(G) U

エンチャント

〜が戦場に出たとき、カードを1枚引く。

(G):あなたの対戦相手のコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで呪禁と破壊不能を失う。

 「呪禁さえあれば正義」という現代Magic界のテーゼになんとか風穴を開けようと奮闘する1枚。過去には「聖トラフトの霊(ISD)」あたりがあまりにやばかったせいで慌てて「派手な投光(GTC)」なんてうさんくさいレアが刷られたこともあったが、Wizards社としては少しでもこれで呪禁クリーチャーを抑え込みたいのか、それとも「このカードがあるからもっと強い呪禁クリーチャー作っても大丈夫だよね!」という布石なのか。マッチポンプは続いていくのである。さておき、本当に専用兵器でしかなく融通の利かなかった「派手な投光」と違い、こちらのカードは軽くてキャントリップなので無駄にはなりにくい。ついでに破壊不能まで見張ってくれるので過去の鉄壁カードたちも戦々恐々。「呪禁バント」みたいなデッキが下の環境でのさばってきたなら、対策カードとして投入される可能性もいくらかあるだろう。あとエンチャントレスデッキでの投入も案外現実的かも。そう考えるとリミテッドでの出番はあんまり無いとは思うが、軽くてキャントリップなので怒濤のサポートにはそこそこ。あと僕みたいに「板金鎧の破壊屋」に「天使の贈り物」がついて蹂躙された人の慰めとしても。

 

Canopy Gorger 梢喰らい (4)(G)(G) C

クリーチャー・ワーム

6/5

 「刃牙 -saga-」における主人公・範馬刃牙のこと。まぁ、食ったというか食われたんですが。見ての通りに紛う事なきバニラ。これでこそワーム、これでこそ緑のファッティ。「戦乱のゼンディカー」には「血統絶やしのワーム」なんてひどく中途半端なワームが転がっており、箸にも棒にもかからずに辛い思いをしていたが(まぁ、デッキインすればそれなりに仕事はするが)、こちらは2マナ重くして、ステータスを+2/+2。もうここまでくれば立派なワームですよ。かつてのゼンディカーで同じ枠には「巨森を喰らうもの(ORI)」がいたわけだが、やっぱりみんな5/6より6/5がいいよね。なお、このコスト域のデカブツなんていちいち細かいステータスは覚えていないので確認しておくと、全く同じステータスはミラディン世界の「最上位のティラナックス(SOM)」とタルキールの「大牙コロッソドン(KTK)」であり、これに大変異がついたものが「分節クロティク(DTK)」、トランプルを付けると「巨体の狐(THS)」になる。この中だと一番お世話になったのは狐かなぁ。

 

Elemental Uprising 大自然の反撃 (1)(G) C

インスタント

対象のあなたのコントロールする土地は、ターン終了時まで4/4で速攻を持つ、エレメンタル・クリーチャーとなる。それは引き続き土地でもある。これは、このターン可能ならばブロックされなければならない。

 まだまだゼンディカーの大自然だって負けてないんだぞ! ってんでエレメンタルが再び立ち上がるが、その実は攻撃クリーチャーというよりも緑色の除去カード。キャストの2マナと殴る1マナ、合計3マナの支払いで、おそらく相手の一番いらないクリーチャーが一体死ぬ。そういう呪文なので、緑色の「悪魔の布告」という見方も出来るかもしれない。もちろん、相手のアタックにあわせて使えば突如ブロックして狙ったクリーチャーを殺せるタイミングもあるし、相手にクリーチャーがいなければ4点を直接たたき込むことも出来る。覚醒呪文と噛み合えば覚醒クリーチャーのサイズアップ呪文にも使えるかもしれない。緑の2マナにしては色々な方面で活用が期待出来る、なかなかお利口な呪文。これがコモンで手に入るので、上手く集めることが出来れば今回緑と赤が推している土地クリーチャー頑張れギミックもそれなりに機能するのかもしれない。

 


拍手

PR

 

<赤>

 

Consuming Sinkhole 破壊的陥没孔 (3)(R) C

インスタント

欠色

次のうちから1つを選ぶ。

「対象の土地・クリーチャーを追放する」

「〜は対象のプレイヤーに4点のダメージを与える」

 結局「火山の隆起」が使われてるところはほとんど見たことがなかった。一応覚醒後の土地クリーチャーを殺せるわけだから対策カードとしては意味があるのだし、実際、サイドインしたらそこそこ使えたのだが、やっぱり土地破壊ってのはあくまでマイナー部門に落ち着いてしまったので、わざわざそれ専用カードを使うのもなー、という結論に。ではこちらはいかがでしょうか。どうせ普通の土地破壊なんてニーズは無い。あくまで覚醒後の土地だけを叩きたい。それならいっそターゲットを絞ります。代わりに、なんと本体火力としてのモードを搭載。これなら、土地に興味のないあなたも安心。4マナインスタントで4点火力って、実はかなりの高効率ですよ。……うん、土地破壊モードが使われるチャンスはなさそうだな。そもそも覚醒カードの比率はガクッと下がるわけで、遭遇する機会が少ないしな。本体火力モードはデッキによっては割と垂涎。「棘撃ちドローン」を配備した赤系エルドラージならこれ1枚で5点換算。他にも色々と無色呪文サポートがあるので、結構な確率でダメージアップが見込めるだろう。マナカーブの一番上をこれにしちゃうくらいの意気込みのデッキ、案外成立しちゃうかも。

 

Eldrazi Aggressor 攻性エルドラージ (2)(R) C

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/3 欠色

〜はあなたが他の無色のクリーチャーをコントロールしている限り速攻を持つ。

 ほら、ここにも急ぎ足の赤いエルドラージが。今回は黒に「無色呪文を唱えたとき」のカードがあり、赤に「無色パーマネントがあるとき」のカードがある。ごく自然にこの2つが入れ替わった形だが、大して大きな変化は無いかな。このクリーチャーを求めるようなデッキならばそれなりの確率で2マナ目で何らかのエルドラージを展開しているだろう。3マナ2/3の速攻ならば効率はそこそこだ。まぁ、そこまでずば抜けた数値でもないので、あんまり必須クリーチャーって感じもないけども……ライフがかつかつになった相手は、クリーチャーを攻撃に送り出す時に「速攻クリーチャーがいて殴り返しで負ける可能性は?」っていうのを考えるものだが、その時に(実際にデッキに入っていようがいまいが)このクリーチャーが脳裏をかすめて不安にさせられれば勝ち。あなたの頭の中のエルドラージ。なお、フレーバーテキストにはタズリ将軍からのありがたいアドバイスが掲載されているが、実際にデッキ組むと同盟者もエルドラージもチームワークの良さは大して変わらんよな。

 

Forced-Will Eldrazi エルドラージの寸借者 (2)(R) R

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

3/1 速攻 欠色

あなたが〜を唱えた時、あなたは(1)(C)を支払っても良い。そうしたなら、ターン終了時まで、対象のクリーチャーのコントロールを得る。そのクリーチャーをアンタップする。それはターン終了時まで速攻を得る。

 今回ちょいちょい登場しているのが、この「登場時に無色マナを払ってもいいよ」というギミック。これはゲームがあまり無色シンボル争奪戦になりすぎないように調整された結果だろうか。あくまで無色マナは「揃えれば強い」であり、「無くても一応デッキは組める」くらいのギリギリのところに収めようとしているようだ。こちらのドローンは、トータル5マナで「反逆の行動」+3/1速攻。デザインとしては1つ前の世界の「嘲る煽動者(KTK)」に似ているが、トータルコストがあちらよりも1マナ軽く、打点も高い。分割払い出来ないので良し悪しではあるが、一撃のインパクトは当然こちらの方が大きい。また、マナが揃わずとも3/1速攻なら割と気楽に使っていけるというデザインも優秀。赤黒のエルドラージ軍団はかなり速度が上がってきているので、そろそろ「殺戮の先陣」が輝くデッキが構築レベルに現れても不思議じゃない。

 

Immobilizer Eldrazi 制止エルドラージ (1)(R) U

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/1 欠色

(2)(C):パワーよりもタフネスが多いクリーチャーは、このターンブロック出来ない。

 「触手うねうね」「なんだかドクロっぽい」というウラモグ血族のエルドラージは造形が分かりやすかったが、「硬質の突起」「宙に浮く骨片」というコジレック血族の特徴は生物としてのイメージが湧きにくく、実際、ヘンテコな造形のエルドラージが多い。こいつ、何がどうなってるんだろう。どこが足なのか、どうやって動くのか、そしてどうやって制止するのか。見たところテレパスみたいなもので人間の挙動をコントロールしてるっぽいが……わずか2マナのドローンでも精神干渉出来るんだから、コジレック血族はマジで厄介だ。で、そんなやっかいさんは2マナ2/1というスタンダードサイズに、赤らしい制限を持ったブロック抑止で回りの軍勢を大きくサポート。ブロックを禁止する起動能力はたくさんあるが、普通は1回の起動で1体だけである。しかし、こいつは一度の起動でまとめて全軍。無色シンボルは1つあれば確実にお仕事が出来るのでデッキメイクの時にも安心だ。もちろん、たった1回の起動で全てのクリーチャーのブロックが禁止されるわけではないが、赤が大っ嫌いな壁的クリーチャーは全面的にシャットアウト。高タフネスの「水底の潜入者」、警戒が鬱陶しい「マキンディの巡回兵」、空に構える「グリフィンの急使」、そうした連中のブロックが突然効かなくなるのだ。相手に依存する部分は多いが、その分相手次第ではかなりクリティカル。押し込むデッキならばたとえ1体でもブロックが弱まればいいわけで、2マナクリーチャーとしては充分なお仕事だろう。最後の最後の局面なら、相手2体に「二人戦術」を使って押し込む、なんて荒技もありかもよ。

 

Kozilek’s Return コジレックの帰還 (2)(R) M

インスタント

欠色

〜は各クリーチャーに2点のダメージを与える。

あなたが点数で見たマナコストが7以上のエルドラージ・クリーチャー呪文を唱えるたび、あなたは〜をあなたの墓地から追放しても良い。そうしたなら、〜は各クリーチャーに5点のダメージを与える。

 あまりに劇的な、歴史的瞬間を切り取った素晴らしいフレーバーのカード。最近はこういう「ストーリーのターニングポイント」がはっきりカード化されて、しかもカードのテイストも上手いこと出ているのでストーリーファンにはたまらないですね。「あのコジレックが帰ってきた」。その衝撃は壮絶なもので、呪文自体もあまりに強力だ。全体2点火力、というだけならそこまで珍しいものではないが、これがシングルシンボルのインスタントっていうのがまず事件。この手の呪文でインスタントは「硫黄破(TSP)」「火山の流弾(CON)」とヒット作が多い。そして、これが使った後に更なる嵐として吹き荒れるオプションつき。何がすごいって、「7マナ以上のエルドラージを唱える」ことが前提となるランプデッキは、序盤の全体除去、そして中盤での一掃5点火力のどちらもが見事にプランにハマること。ランプはウィニーに押し切られるのが怖いが、メインからアドに繋がる全体火力の安心感は尋常じゃない。ミッドレンジが準備を先に整えると、ウラモグが出ても手遅れになることもあるが、そのウラモグが登場時に全体5点をぶちまけるなら話は全然違う。そして、この5点の嵐は呪文ではなくて誘発能力なのでほぼ打ち消されないときている。まさに「コジレックがやってくるからゴミ虫どもは道をあけろ」なのである。彼の前ではカマキリもサイもロックもドラゴンも等しく雑魚なのである(アタルカを除く)。こんな呪文見せられたら、どう考えてもゼンディカー軍に勝ち目ないよね。「ゲートウォッチの誓い」なんて名前じゃなくて「ゼンディカー崩壊」とか「ミラディンの二の舞」とかに名前を変えた方がよろしいのではなくて?

 

Maw of Kozilek コジレックの大口 (3)(R) C

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/5 欠色

(C):〜はターン終了時まで+2/−2の修正を受ける。

 まず、どのあたりが大口なのか。口要素がわからん、っつうか全体的に何も分からん。まん中にウンコみたいなパーツあるやん。きもいわー、こんなんが追っかけてきたらそりゃトラウマになるわ。さておき、そんなウンコみたいなエルドラージは4マナ2/5という赤らしからぬステータス。そして、第1色が青、第2色に赤が登録されているパワー・タフネスのスイッチ能力で変幻自在にパワーを変えてくる。ちょっと待て、こいつコモンか。同じステータスで大体同じ能力だった「氷河の末裔(KTK)」ってアンコだぞ。そして、あいつ超強かったぞ。4マナでタフネス5の時点で充分サイズだし、無色マナ無しでもそれなりのお仕事。1回起動出来れば4/3の標準サイズにスイッチし、ダメージ効率は上々。隙をうかがって6/1までいけば決戦兵器に名乗りを上げる。これがうじゃうじゃしてる世界はかなりデンジャラスな気がするよ。ただ、赤は青・黒・緑と違って自前で無色マナを確保するカードが用意されていないので、それらの色と組まない場合は荒地の確保、マナアーティファクトの確保などを心持ち早めにやっておこう。

 

Reality Hemorrhage 現実の流出 (1)(R) C

インスタント

欠色

〜は対象のクリーチャーかプレイヤーに2点のダメージを与える。

 欠色ショック。いわゆるショックに比べるとコストが倍になってしまっているが、環境を規定する基本火力なので多少のコスト変動はしょうがないところ。一応欠色という(ほぼ)メリットもあるし、いわば「ショック」というより「幽霊火(FUT)」の弟分といった方が正確かも。このカードを必要としないデッキというのはリミテッドでは存在しないのだからその重要性は言わずもがな。加えて、無色呪文が大事なエルドラージ系、軽量呪文が重要な怒濤系、本体に通せるモードにも意味がある速攻系など、この呪文が光輝きそうなデッキがあまりに多すぎる。強力ではあるが多少デッキを選んだ「多勢」に比べれば、こちらの方が安定感があるので、今後の赤はまずこれが標準装備と考えて間違いないだろう。

 

Akoum Flameseeker アクームの炎探し (2)(R) C

クリーチャー・人間、シャーマン、同盟者

3/2

盟友 - 手札を1枚捨て、そうしたなら、カードを1枚引く。

 盟友能力の分布は白が最も多いが、コモンの数だけでいうなら赤は白と同数の2枚を持ち、赤白同盟者はとにかく頭数が重要。まぁ、能力自体は黒盟友の方が強いので、赤は「ビートのために頭数を揃え、時間と手駒が余ったら起動」くらいのイメージでもいいと思うけど。実際、このクリーチャーを見て分かる通り、ステータスは素でそれなり。3マナ3/2ならば余計な事務方を担当するよりもコンスタントに殴る仕事を担当してもらう方が都合が良い。そして、そうした仕事が出来なくなったあとにはのんびりと終業時間まで書類整理を担当してもらえばいいのだ。いわゆる赤ルーター能力だが、実はこの環境はまともなルーターがいなかったので、これだけでも割と貴重。肉体労働も頭脳労働も出来るなかなかのユーティリティプレイヤーといえる。

 

Boulder Salvo 巨岩投下 (4)(R) C

ソーサリー

怒濤(1)(R)

〜は対象のクリーチャーに4点のダメージを与える。

 怒濤搭載の、いかにもリミテッド用な基本火力。5マナソーサリーで4点がクリーチャー限定というのはなかなかになめ腐った設計であるが、大丈夫、世の中には5マナ3点火力でもリミテッドなら基本火力になった時代もあるのだ。黒に「悪魔の掌握」があることを考えると何とも寂しく見えるが、これでも安定して除去は除去。ニーズはあるに違いない。そして、このくらいのコストになると怒濤の設定も実はかなり有効になってくる。5,6ターン目に「あれもやりたいこれもやりたい」と迷う展開というのは多く、相手に先行されている時にライフを守る必要性から渋々「悪魔の掌握」を唱えることを優先せねばならず、自軍が展開出来ない、なんて経験は誰でも1度はあるはず。ライフがデッドラインにさしかかっていないならば展開を優先させた方がいいとは分かっていても、「もし出したクリーチャーが除去されてしまったらすげぇダメージが来るぞ」と思うと、どうしても目の前の脅威の対処が先んじてしまうものだ。そういうときに、このカードならば3マナのクリーチャーを展開してから除去、という軽快な動きが可能になる。この恩恵は実はかなり大きい。やろうと思えば軽めの呪文からこれを2枚連打、なんてムーブもあり得るので、このコストの呪文にしては珍しく、複数枚入れても何とかなる可能性もあるのだ。地味な印象だが、その実けっこう使いやすい1枚なのかも。

 

Brute Strength 凶暴な力 (1)(R) C

インスタント

対象のクリーチャーは、ターン終了時まで+3/+1の修正を受けるとともにトランプルを得る。

 野生の飢え(WWK)」の安価バージョン。最近だったら「タイタンの力(ORI)」の亜種、といった方がイメージは近いか。シンプルな構造だが、パワー修正のでかさとトランプルという組み合わせのおかげで、相手のライフを削る性能がすこぶる高い。「ヴァラクートの捕食者」なんかは上陸しても末裔で止められて時間を稼がれるシーンを良く見るが、これ1枚あればブロックを突き抜けて6点が本体に届く。なかなかお仕事が出来ない「好戦的な鞭尾」もこれ1枚でぐっと有能に。2マナとは思えない恐ろしい成長効率だ。「確実な一撃」に比べると生存率がガクッと下がるので一長一短ではあるが、今回の低マナ域クリーチャーのアグレッシブさを考えると、こちらの方が良いというデッキは多いはずだ。それにしても、赤ってのはパワーが上がったことを示す時にはとりあえず岩を持ち上げるよな。「タイタンの力」もそうだったし、「巨人の力(6ED)」とかもそうだ。まぁ、脳筋っぽくていいですけどね。

 

Chandra, Flamecaller 炎呼び、チャンドラ (4)(R)(R) M

プレインズウォーカー・チャンドラ

<+1>:3/1で速攻を持つ、赤のエレメンタル・クリーチャー・トークンを2体戦場に出す。次の終了ステップの開始時に、それらを追放する。

<0>:あなたの手札を全て捨てる。その後、その枚数に1を加えた枚数のカードを引く。

<-X>:〜は各クリーチャーにX点のダメージを与える。

【4】

 一度はギデオン・ジェイスコンビからの「お前が解放した化け物退治なんだから責任とってよ」というお誘いに対して「いや、私はもうレガーサに骨埋めるから。ケラル僧院が大事だから危ない真似とかしないし。白と青のプレインズウォーカーが赤い人間誘ってんじゃねぇよ」とゼンディカー行きを断ったチャンドラさんであったが、脳裏をよぎるのはゼンディカーの危機的状況ばかり。流石にこれまで何度も主人公を務めた正義のヒーローは、まんじりともせずに世界の危機を放っておけるわけがない。結局、大恩ある僧院長の許しを得て、彼女もゼンディカーにやってきた。まぁ、到着直後に見た景色がコジレック到着ジャジャジャジャーン! のシーンだったのはマジで笑えないけど。一発でどんだけヤバい状況かが分かるから話が早いな。

 さて、そんなこんなで「責任を取りに」来たチャンドラ。彼女はすっかり「メインに絡むくせにいまいちカードの能力に恵まれない不遇なキャラ」というイメージが定着したが、今回もあの「燃え立つチャンドラ(ZEN)」と同じマナコストってんで、ちょいとテンションは下がる。しかし、最近はホントに使えないプレインズウォーカーというのはなかなか印刷されない傾向にあり、重いなら重たいだけの説得力がある。文句無しで強いのは0で起動出来るアドバンテージ能力。最近の赤らしく捨てて引くスタイルにはなっているが、間違いなく手札は増えるし、状況によっては単なるワンドローよりもはるかに強い。6マナある時点でこの能力が12回起動出来るだけでも、勝負の趨勢は決するだろう。また、チャンドラは常に「アグレッシブなデッキで使えるように」というチューンがなされるのが特徴で、プラス能力が他のプレインズウォーカーでは類をみない攻撃力を持っている。そりゃ額面上はギデオンが殴りに行くのと1点しか違わないが、トークンが2体出るという効果は様々な副次効果が期待出来るだろう。それこそギデオンと手を組めば全軍増強でダメージアップも見込めるし、サクりエンジンに組み込むビジョンもある。そして、プレインズウォーカーに必要とされるのは自分を守る力。それがマイナス能力で与えられた全体火力。自身を生き残らせるためには3点までしか飛ばせないが、それだけでも充分制圧力がある。常時使用可能な0能力、優勢時に押しきれるプラス能力、そしてボードをコントロールするマイナス能力。三位一体の新生チャンドラ。彼女はゼンディカーのために、一矢報いることが出来るのだろうか。要注目。

 


拍手

 

<黒>

 

Bearer of Silence 静寂を担うもの (1)(B) R

クリーチャー・エルドラージ

2/1 欠色 飛行 〜ではブロック出来ない。

あなたが〜を唱えたとき、(1)(C)を支払っても良い。そうしたなら、対象の対戦相手はクリーチャーを1体生け贄に捧げる。

 無色マナによる選択式キッカーエルドラージ。今回登場したこれらの「唱えたときに追加コスト」シリーズは基本的にキッカーと同じだが、あくまで唱えた時の誘発能力なので、呪文自体を打ち消されても効果を解決するという、古くから伝わるエルドラージの良さを引き継いだものになっている。このクリーチャーは基本デザインは「吸血鬼の侵入者(ISD)」。コモンレベルの性能なので大したもんではないが、畳みかけるデザインの赤黒欠色ならば充分な駒か。相手の空の防御網次第では充分に2ターン目キャストもあり得るだろう。そして、4マナにすれば今度は「残酷な布告(10ED)」がついてくる。キッカーによる布告効果は同じくゼンディカー世界生まれの「マラキールの門番(ZEN)」と同じ。あちらは黒のトリプルシンボル、こちらは無色マナ必須なので事実上のマルチカラーで4マナ。まぁ、どっこいどっこいか。「門番」は構築でも活躍した偉いカード。現環境はトークン系のわらわらデッキと巨砲主義デッキの2つにはっきりと分かれる世界なので、効くかどうかは完全に相手次第。でもまぁ、強いよね。

 

Dread Defiler 戦慄の汚染者 (6)(B) R

クリーチャー・エルドラージ

6/8 欠色

(3)(C)、あなたの墓地にあるクリーチャー・カードを1枚追放する:対象の対戦相手は、こうして追放されたクリーチャー・カードのパワーに等しいライフを失う。

 黒のエントリーセットレア。今回は5つのエントリーセットのうち3色が7マナレアなので無闇に重い。そんな中、一番のサイズを誇るのがこの黒エルドラージだ。7マナ6/8はそのボディだけでも迫力充分。単にサイズだけを見込んでオファーをかけても良いが、もちろん無色マナが出せれば能力もフル回転。7マナクリーチャーが出てくる終盤戦、それなりに墓地も肥えていることだろう。そこから毎ターン適当に一番パワーのでかいやつを外していくだけで、相手ライフはガンガン減っていく。これを出した次のターンなら1ターン2回起動だって不可能ではないので、10点くらいならあっという間だろう。墓地にウラモグさんを仕込んでおけば云々。脳筋で相手を殺すことしか考えてないカードなので一切小回りは効かないが、リミテッドで出されたらやっぱり終わるやつ。なお、相手が「霞の徘徊者」とか昇華者を持ってる状態で能力を起動すると、追放したカードが餌になる可能性もあるので微注意。いや、餌を墓地に戻してくれるならそれはそれでいいんだけどさ。

 

Essence Depleter 本質を蝕むもの (2)(B) U

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/3 欠色

(1)(C):対象の対戦相手は1点のライフを失い、あなたは1点のライフを得る。

 結集とか上陸とか、そういうのいいから直接ドレインライフすればよくね? という非常に明確な方向性で攻め込むエルドラージ。ほぼ同じ能力を持つ「エイスリオスの学者(THS)」は起動に3マナ必要だったわけで、わずか2マナでガンガン吸いまくれるこいつのスペックはなるほどアンコクラスなのは間違いない。上手くいけば中盤以降は1ターンに2点3点。これを起動するだけで勝ててしまうスペックだし、最低限のボディも備えているために投入を躊躇う必要も特に無い。中盤の頭数を担いながら終盤の決戦兵器の任もこなせる、ナイス堅実派。ただ、こうしてドレインライフが安価で提供されたということは、やはりリミテッドにおいて()シンボルの捻出ってのがそんなに簡単ではないことを示しているのだろう。いや、調達が簡単だとしても、デッキの土地の半分から無色マナしかでなかったら単色デッキですら危ういわけだし。危険と隣り合わせの荒廃のマナシンボル、なるほどエルドラージだ。

 

Flaying Tendrils 鞭打つ触手 (1)(B)(B) U

ソーサリー

欠色

全てのクリーチャーは、ターン終了時まで−2/−2の修正を受ける。このターンにクリーチャーが死亡する場合、代わりにそれらを追放する。

 このセットの「蔓延(ALA)」。すでに「湧き上がる瘴気」という先輩が同じ環境にいるわけだが、こちらの売りは元祖と同じ3マナという軽さと、まとめて嚥下出来るかもしれないという大きな可能性。どんな世界だろうと全軍−2効果が強いことには変わりないので、このおまけがどの程度役に立つかというのがカード評価の分かれ目になるわけだが、おそらくは「かなり良い」のではなかろうか。2体以上まとめて嚥下出来る可能性ってのは他の呪文にはなかなか無かったもの。自軍クリーチャーも次元の彼方に消える可能性もあるが、この呪文を使うくらいだから当然こちらは昇華者を優先的に使えるようになっているはずだ。単なる全体除去に終わらないだけの構造があるのは非常にありがたい。まぁ、いうても昇華者の数が減っちゃったからあんまり積極的なメリットでもないんだけどさ。

 

Havoc Sower 惨状蒔き (3)(B) U

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

3/3 欠色

(1)(C):〜はターン終了時まで+2/+1の修正を受ける。

 「なんか似てるクリーチャーがいたなー」って考えてすぐに「ドロスの切り裂き魔(MBS)」を思い出したのは我ながらすげぇな、って思ったよ。定期的に過去のハンドブックを読み返すことで脳内のカードリストに常に刺激を与えているからね!(本当に時間の無駄) もちろん、このクリーチャーはアンコモンなので戦闘効率は「ドロスの切り裂き魔」を大きく上回る。いわゆるシェイド能力よりはやや劣るものの、2マナ注ぎこんで打点が2点あがるだけでもかなりの圧力。タフネスもちゃんと増加するので、出した次のターンにもし無色マナが2つあれば7/5でパンチ出来る。相手からしたら放っておくわけにもいかないが、そんなサイズは簡単に対処も出来ない。そうこうしてるうちに今度はこいつが「9/6になるで」と脅しをかけ始める。割とゲームオーバーな存在感だ。黒いデッキをやるなら、なんとか無色マナの優先的確保を。

 

Inverter of Truth 真実を覆すもの (2)(B)(B) M

クリーチャー・エルドラージ

6/6 欠色 飛行

〜が戦場に出たとき、あなたのライブラリの全てのカードを裏向きの状態で追放し、その後、あなたの墓地にある全てのカードをライブラリに加えて切り直す。

 わぁお、ダイナミック。なんとそのボディに「道徳の変遷(JDG)」的なぶっぱ能力を備えた怪物エルドラージが登場。コジレックの血族を前にすると全ての条理は通用しない、ライブラリも、墓地も、こいつの前ではかりそめの存在でしかないのだ。ステータスの爆裂っぷりを見れば間違いなくこの能力はデメリット。どれだけ墓地を貯めたくても限度はあるので、こいつを出した時点でライブラリ切れへのカウントダウンが始まる。もちろん、充分に墓地を肥やしてから唱えるという安全策もあるにはあるが、わざわざ手間暇かけて出してしまってはせっかくのコストの軽さが無意味になってしまう。使うとしたら大きく2つ。1つは、最低限の墓地をキープしたら、あとは残ったターンで殺しきる覚悟で召喚して単純にファッティとして使うプラン。その場合、あらゆる除去、あげくバウンス1枚でも投了出来るわけだが、そこで負けるなら黒の華。諦めが肝心だ。そしてもう1つのプランは、この墓地復活ギミックを有効利用する方向性。かつては「最後の審判(6ED)」や「命運の鏡(M10)」なんてアホみたいなカードだってあったのだから、このカードだって何か使う手段があるはず(先輩方が使えたとは言ってない)。そうだ、墓地に「面晶体の連結」を溜め込んでから使うのはどうだろう。場に1枚、墓地に2枚の状態で出せば、ライブラリに残っていた1枚は自動的に追放される。あとは薄っぺらいライブラリから2枚を引き、1枚を捨てられれば勝ちだ。エルドラージが面晶体を繋ぐという夢のコラボコンボ、誰かチャレンジしてみないか? (ちなみに、裏向きで追放されてるので最後の1枚が追放領域にあるかどうかはデッキを組んだ人間にしか分からないのだが……この状態で勝利条件を満たしてることになるのだろうか。現時点では分かりません)

 

Kozilek’s Shrieker コジレックの叫び手 (2)(B) C

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

3/2 欠色

(C):〜はターン終了時まで+1/+0の修正を受けるとともに威迫を得る。

 こちらにも無色マナによるパンプクリーチャーが。3マナ3/2は現在そこそこ活躍中の「威圧ドローン」と同じ。タフネス2と相打ちしてしまうのでそこまで脅威ではないが、それだったらそこに威迫をつけてしまえば、格下単体と相打ちする確率は大きく下がる。条件こそあれ、4ターン目に4/2威迫が殴れる可能性がコモンに提示されているのは結構な事件。起動コストも無色であることを考えなければ1マナと軽いので、起動したターンに他のアクションが取りやすいのも魅力だ。4ターン目にこれでパンチし、残った3マナでもう一体これを出したら叫び出すのはこいつじゃなくて相手の方かもしれない。「間欠泉の忍び寄り」先輩がますます居場所をなくして寂しそうだ。

 

Kozilek’s Translator コジレックの組み替え (4)(B) C

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

3/5 欠色

1点のライフを支払う:あなたのマナ・プールに(C)を加える。この能力は、各ターンに1度だけ起動出来る。

 これだけ無色マナを起動に使う連中がおおいのだから、当然コモンから無色マナサポーターが導入される。5マナ3/5は「塵の預言者」と同じなのでそこそこレベルだが、そこにはタップを必要としないマナ能力が。これで5マナから7マナへのステップアップが可能になるし、これが立っているだけで各種無色マナ関連のカードの運用がとても楽に。ただ、5マナなので上述の「コジレックの叫び手」のように早め早めに動き出したい無色マナグルメとはちょっと噛み合わない。より上のマナ域で待ち構えている純正無色のエルドラージサポーターとして使ってやるのが良いだろう。

 

Oblivion Strike 忘却の一撃 (3)(B) C

ソーサリー

欠色

対象のクリーチャーを追放する。

 印象的な名前、そして印象的なシーン。ウラモグさんの「またつまらぬものを喰ってしまった」という一言が漏れ聞こえてきそう。このセットの基本黒除去だが、このシンプルなテキストは実にお見事。実は過去に全く同じテキストの「損ない(EVE)」というカードが存在しているが、あちらは事実上のトリプルシンボル。払いやすさが違う。ソーサリーであることも考えると、過去のカードで一番近いのは「撲滅(BOK)」あたりか。最近のリミテッドでは黒が無条件除去を手にするチャンスがかなり低下しており、手に入るとしても「大蛇の儀式(KTK)」やら「血の儀式文(M14)」やら、5マナ以上が通例。今回は久しぶりにその制限を抜け出して万能除去がこのマナ域だ。ついでに嚥下までしてくれるし、黒をやるなら何を差し置いてもキープしたいところ。デカブツエルドラージに一番効きそうな呪文がエルドラージサイドの呪文ってのが何とも切ないなぁ。

 

Reaver Drone 搾取ドローン (B) U

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/1 欠色

あなたのアップキープの開始時に、あなたが他の無色のクリーチャーをコントロールしていないなら、あなたは1点のライフを失う。

 今回の「黒の1マナパワー2」枠。最近は安定してこの黒の速いクリーチャーが供給されるようになりましたね。「カーノファージ(EXO)」や「肉占い(TMP)」が活躍した黒単の時代が終わってから、黒が1マナでパワー2のクリーチャーを安定して手にするまではかなりの時間を要したものだが、イニストラードの「戦墓のグール(ISD)」あたりでこれが安定、その後もレアでは「墓所這い(WWK)」、「血に染まりし勇者(KTK)」といった秀作がしばしば産み出されている。今回はアンコモンなのでそこまで突出した出来ではないが、アンタップ状態で出せて、ブロックも出来るパワー2クリーチャーは大満足の仕上がり。「カーノファージ」や「吸血鬼の裂断者(ZEN)」と同じタイプのデメリットはあるものの、それがさしたる問題でないことは諸先輩が証明済みだ。唯一悩ましいのは末裔とすら相打ちしてしまうタフネス1という部分。そして、既にコモンの秀作である「泥這い」という先輩が存在してしまっている部分。まぁ、今後は「泥這い」の入手確率もグッと下がるし、嚥下をそこまで必要としない新たな時代の赤黒欠色デッキを支える1枚として活躍してくれるに違いない。

 


拍手

 サブタイトルがすごくヘミングウェイっぽくなってる第8話。一体どんなストーリーになるんだ……ってドキドキしながら見てたら普通の小旅行だったのでがっかりした。もちろん嘘です。

 夏休みに入り、遭遇確率も下がったんだから綺麗さっぱり長谷のことなんか忘れてしまうかも、と思って少し期待して(?)いたのだが、もう、そんな悲壮な空気は一切存在せず、単に海辺でいちゃいちゃする高校生カップルを暖かく見守るだけのお話になっている。これはこれでいいということは先週から繰り返している通りだが、あまりに充実しているのを見ると、流石に「俺にも青春返せ」と思わないでもない。普通の高校生ってあんなことするもんなんですか? 非実在ですか?! 釈然としません。なんでうちのクラスには藤宮さんがいなかったのでしょうか。せめて山岸さんがいなかったものでしょうか。

 今回の小旅行の目的は、完全に「友達」ポジションが固まった4人の関係性の中から、ついに長谷がもう一歩先に踏み出す必要性を感じるステップ、ということになるだろうか。現状でも充分満足してしまっているし、恋愛という概念すら知らぬ様子の藤宮さん相手では、長谷程度の戦闘力ではどうにもならぬ案件。本当に仏のような慈悲を持つ将吾が少しずつ動かそうとしてくれているし、山岸さんも長谷の気持ちを理解した上で決して悪いようにはしていないのだが、如何せん藤宮さんが鉄壁過ぎるのである。こりゃぁ、現状で満足してる長谷じゃぁどうにもならんか……と思っていた矢先、藤宮さんが将吾に対して意味深なご相談。「脈あるんじゃねぇか」と新たな情報を手に入れた将吾だったが、まぁ、それをわざわざ長谷に教えてやるほどお人好しでもなかろう。っつうか、これ以上相方が調子に乗ってしまうと、既に面倒な関係保全活動がより面倒なものになる可能性もある。とりあえず今はこのままでいいや、ってんで、将吾ものんびり観察中である。

 今回面白かったのは、4人の集団の中で2対2のペアに分かれる組み合わせを全てやっており、各々についてその関係性が確認出来たこと。まず、強引にじゃんけんで分かれた長谷&山岸ペアと藤宮&将吾ペアは上記の通り。将吾が藤宮さんの心中を、山岸さんが長谷の心中を確認することによって、外野ばかりがこの2人の気持ちについて理解を深めていくという。まぁ、回りの人間からしたら見せ物としてはそれなりに面白いしな。藤宮さんは将吾相手に全く臆することがなくなったあたりに、一週間どころじゃない蓄積を感じます。

 続いてのチーム編成はいつも通りに男子ペアと女子ペアに分かれるが、女子ペアはなんだか姉妹のような絡み合い。裏表のない山岸さんだからこその、藤宮さんの安心しきった笑顔は値千金。そしてそれを見守る男どもは「保護者」になってしまうという。まー、深刻な記憶障害2名の引率ですから、気を引き締めていかないとね。ただ、この2人の場合にも「友人関係」というより「長谷の面倒をみる将吾」という関係性が強いので、結局4人中3人が将吾に面倒をみられているだけのような気もする。

 そしてラストは、「ちょっと散歩」に誘ってくれた、藤宮&長谷ペアである。二人きりの時間は海以外でも夏休み中に充分堪能出来ていたようであるが、まだまだ鉄壁のカードに変化はみられない。今週はっきり分かったことは、「流石に2人きりで海に行くのは恥ずかしいから嫌」というごく自然な反応くらいのものである。あー、でもその後のかゆみ止めのくだりは破壊力が高い。長谷、あれ絶対藤宮さんが使ってるやつだぞ。まぁ、ひょっとしたら藤宮ママンも使ってるかもしれないし、最悪藤宮父だって使ってる可能性もあるが……それでもほぼ確実に藤宮さんも使ってるやつだ。つまり、その、間接なんとか的なやつだ。男子高校生ならそれだけでも悶々と出来るに違いない。流石藤宮さん。恐ろしい子。ちなみに、長谷と藤宮さんが2人で散歩してる間は将吾&山岸ペアも2人きりだったわけだが、残念ながらこの2人の様子だけは画面にあらわれなかった。一体どんな会話してるんだろうね。まぁ、前日の晩に電話で話してるシーンはあったから、大体あんな感じか。それにしても、今のご時世ってクラスメイトの電話番号もわからないんやな……面倒な時代になったもんである。

 さて、このまま少しずつ長谷・藤宮間を詰めていき、幸せな結末に落ち着くアニメなのかと思っていたのだが、このタイミングでまさかの新キャラ投入。そして、それが男だってんだから訝しい。あんまり柄の良い人間にも見えなかったし……一体どういう関係者なのだろうか。普通に考えたら、藤宮さんの過去の傷に関係する人間ってことになるが……くれぐれも泣かせるのだけは勘弁してくださいね。

拍手

 穂乃果ちゃんはなんでホルミウム(原子番号67)って書いてあるシャツなんか来てるんでしょうね。……っつうか、いつもの「ほ」シャツもそうだけど、あれ全部オーダーメイドなのかな。少なくとも和菓子屋の制服じゃねぇよなぁ。

 そんな関係無い話から入ってみたが、濃厚な希回である。これまで、ただひたすら裏方に徹してきた女、東條希。彼女がついに表舞台に立ち、一体どんなお話になるのかとドキドキしたものだが、なんだか無闇に良い話っぽくなってしまった。不覚にもクライマックスのあたりではウルッと来てしまうくらいには良い話だった。いや、もうこのアニメの絵で艶っぽい女の子が描かれるだけでも無条件でよさげに見えてしまうのだけども。

 冒頭、いよいよ最終戦(仮)のために歌作りということになり、主人公の希が打ち出してきたのはなんと「ラブソング」。いや、「なんと」とか言ってみたけども、「あぁ、それでもええやん?」というのが正直な感想だった。別にこちとらラブライバーではないのでμ‘sの持ち歌を全部知ってるわけじゃないんだが、その中に一曲もラブソングが無いってことはないやろ。ただ、今週の話を見る限りだと、ひょっとしてマジで今まで無かったのか? だとしたら逆にすげぇと思うんだけど。「ラブソング無し」縛りでアルバムとか各々のユニットソングまで作っちゃう海未ちゃんっていう名前の畑亜貴がすごい。そして、ここまで温存してたのだとしたら最終回のために持ってきた構成もなかなかすごい。そしてそして、そんな大一番の牽引役となった希さんマジすごい。

 「なんかラブソングを作ることにこだわっている希」という図式を見れば、当然最初に考える可能性は「なんや、やっぱり希は男いたんじゃん」ということだろう。まぁ、それくらいの意外性があってもいいキャラだと思うし、今まであまり深いところまで描かれてこなかったということを利用すれば、ここで男が出てきても悪くないサプライズになってたと思う。ただ、下手したらそういうことすると発狂する人間がいないとも言い切れないわけで、これだけ僕らに優しいアニメスタッフがそんなシナリオにするわけがない。希の目的は、理由をつけて作詞作曲の今までのパターンを引っかき回した末に、「全員で1つの作業を成し遂げる」というその一点だったというのである。そのことを察知出来たのは、唯一にして無二の親友であるえりちのみ。もちろん彼女だって希に賛同する気持ちはあっただろうし、なるべくさりげなくそちらの方向に持っていくつもりだったが、海未という強烈な恋愛防護壁や、冷静に作業効率を考える真姫などによって阻まれてしまった。「それならええんや」とすぱっと諦めてしまうあたりも、元祖裏方職人気質の希さんらしいところではある。最終的には、仲間の異状には鼻が利き、カメラの前で演じた通りのツンデレ気にしぃの真姫ちゃんに捕まり、「仲間」として希の願いは受け入れられるのであった。ほら、すげぇ良い話。

 まぁ、正直言って、よく分からん流れだったとは思うんだけどね。希もえりちも回りくどいことしないで素直にそう言ったら良かっただけだと思うし(そしたら受け入れられたと思うし)。希とえりちの出会いという記念すべきシーンも描かれたが、彼女たちがあそこまで結束を高めることになった理由もよく分からなかったし。希からしたら一目惚れみたいなもんなんだろうけど、えりちがそんな控えめぼっち状態の希を受け入れて、親友のポジションにまで落ち着いた経緯が謎である。しかしまぁ、それもこれも引っくるめての「東條希」なのかなぁ、と思えば納得も出来る。えりちに出会う前のぼっち状態の希は、彼女の裏方気質が出過ぎていた状態であり、えりちに出会えたおかげで、現在の占い猛虎ネキとしての下地が少しずつ現れてきたのだろう。何をするにも勘が良く、基本的に他人を優先してサポートに回れる希の能力は絵里にとってもかけがえの無いものであり、その上で、「尊敬」や「畏敬」ではなく「友情」や「愛情」のレベルで自分の隣に立ってくれる友人というものを、絵里も待っていたのかもしれない。今回のクライマックスはなんといっても、希が陰になり日向になり、少しずつ「欠けていた」μ‘sのメンバーを集めて形作っていくまでの回想である。言われてみれば、それもこれも全て希の手の平の上だったということなのか。世界を揺るがす規模にまで膨れあがったこのμ‘sというグループを作り上げたのは、実は東條希その人だったのである。そんな事実すらも歴史の「陰」に隠して飄々としているあたりが、この女の恐ろしいところなのかもしれない。ごめんよ希さん。もう、絶対に「うちも入れて9人や」を笑いものにしたりしない。あれはおまけなんかじゃなかった。あれが、最後の1つのピースだったんだ……。もうみんな、希さんに足向けて寝られないぜ!(どっちの方角にいるか分からないけども)

 というわけで、ある意味核心を突きまくった見事な「ゴール」だったわけですが、相変わらず残りの8人も元気です。今回は真姫ちゃんが特に頑張っていたわけだが、希邸に乗り込む前の1年生トリオのやりとりがやっぱり好き。もう、ツンデレる必要すらなく自然に仲間関係が維持出来てる真姫ちゃんは幸せ者。そして、「全員違うからいい」をキャッチコピーとしたμ‘sらしい映画鑑賞シーン。素直に泣く3人→分かる。文句いいながら泣く1人→分かる。穏やかに見る2人→分かる。速攻寝る2人→まぁ分かる。怖くて見られない1人→??! 海未さん、いくらなんでも高校2年生でそれはちょっと……。

拍手

 

<青>

 

Abstruse Interference 難解な干渉 (2)(U) C

インスタント

欠色

対象の呪文1つを、そのコントローラーが(1)を支払わない限り打ち消す。あなたは【末裔トークン】を1体戦場に出す。

 末裔付きの「魔力の乱れ(7ED)」。しかし、何故かそのコストは2マナも重くなってしまっており、「驚愕ルーン(GPT)」なんかと同じデザインになっている。末裔トークンは確かにそこそこのボーナスではあるのだが、例えば「逆境」だったら「霜のブレス」の末裔バージョンで追加コストは1マナ、クリーチャーにしても青の2/3バニラが3マナと考えれば「培養ドローン」は1マナの追加で末裔がついてきた。2マナの追加は代償としてはちょいと重い。また、「魔力の乱れ」という呪文の性質も、あまり重たくするのに向いていない。相手に効くタイミングがピンポイントで限られているのに、そのための保険として3マナを立たせなきゃいけないのはリスクが高すぎる。あくまで「相手の1マナに対し自分の1マナ」だからこそ釣り合っていた呪文だろう。まぁ、かといって末裔付きで2マナと言われたらちょっと強いイメージもあるので難しいところだが……上手いことカウンター出来れば、相手は何も増えず、こちらはリソースが増える。充分過ぎるペイがあるのは間違いない。ハイリスクでハイリターンな冒険呪文。リミテッドで採用するかどうかはあなた次第。

 

Blinding Drone 目潰しドローン (1)(U) C

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

1/3 欠色

(C)(T):対象のクリーチャーをタップする。

 驚愕のハイスペックを誇るタッパーがコモンに登場。今回は白にも盟友タッパーがおり、コモンに2体のタッパーが存在する最近では珍しい状況になっている。2マナで出てきて1マナでタップ、これはタッパーのプロトタイプである「おとりの達人(9ED)」と同じ。これだけでもリミテッドならヒーローだが、今回は加えてタフネスが3になり、格段に死ににくくなっている。どう考えてもお前がナンバーワンだ。これだけのハイスペックを実現することが出来たタネは当然無色マナシンボル。これを確実に捻出出来るデッキでなければ運用が難しく、そこまでちゃんと入れ込んだデッキならば見返りがあるよ、ということなのだろう。確かに「荒地」や一部の土地を除けば無色マナを出すためにはこれ以外にも他にカードが必要になり、トータルでは「2枚のカードで1枚をタップ」という取引になることも多い.そう考えればそこまで飛び抜けたカードでもないともいえるが……いやぁ、でもタッパーだろ、強いだろ。

 

Cultivator Drone 耕作ドローン (2)(U) C

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/3 欠色

(T):あなたのマナ・プールに(C)を加える。このマナは無色の呪文を唱えるためか、無色のパーマネントの能力を起動するためか、(C)が含まれるコストの支払いにのみ使用出来る。

 ここにもそんな無色マナソース。2/3クリーチャーが1マナにアクセス出来るデザインは「培養ドローン」と同じといえば同じ。違いとしては、マナを出したときにこれが戦闘に参加出来ないこと、末裔トークンと違ってリソースが増えない代わりに、恒常的にマナが伸ばせること、そして、3マナであること。これだけ違うと全く別のカードではあるが、あえて比較するならばやはり1マナ軽いこちらの方が強そう。「培養ドローン」は元々戦闘性能を期待されていたカードでもないが、それはあいつが4マナだったからで、3マナならばこのサイズでもいっぱしの戦闘員にカウント出来る。また、リミテッドにおける5マナというマナ域の重要性を考えると、「4マナ→6マナ」のステップアップより、「3マナ→5マナ」のステップアップが堅実にこなせる方が職場は多くなるだろう。唯一にして最大の難点はこいつがエルドラージ以外を支援する気が全く無いということだが、そんなものはデッキメイクでどうとでもなる。むしろ、あまりエルドラージを狙いたくない人間にピックされなくなるため、専門職にしたい人にはメリットにまでなり得る。例によって、しっかりと自分の狙うゴールを見定めた上でのピックを。

 

Deepfathom Skulker 深水潜み (5)(U) R

クリーチャー・エルドラージ

4/4 欠色

あなたのコントロールするクリーチャー1体がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたはカードを1枚引いても良い。

(3)(C):対象のクリーチャーは、このターンブロックされない。

 青のエントリーセットレア。基盤となるのは「タッサの二又槍(THS)」の系譜。元々は「沿岸の海賊行為(8ED)」というエンチャントだが、それを4/4クリーチャーに内蔵、さらにアンブロッカブル付与までセット販売なので、出た後のターンは4マナ払って誰か1人が殴ってれば延々アドが増え続けると。終わってるクリーチャーなのは間違いない。ただ、マジでそれをやろうとすると運用コストが尋常ではないので、出来ればコイツを出したターンに末裔も含めて片っ端から殴り、何枚かのドローで次弾を装填、そのままグルグル陣営を回して殴り切る展開にしてしまいたい。相性の良さでいえば名前が似ている「水底の潜入者」がベスト。「霧の侵入者」から繋げる嚥下ドロードロー軍団で「お互いにライブラリの減りが早いね!(ニッコリ)」とか煽る展開希望。

 

Dimensional Infiltrator 次元潜入者 (1)(U) R

クリーチャー・エルドラージ

2/1 欠色 飛行 瞬速

(1)(C):対象の対戦相手のライブラリのトップを追放する。それが土地・カードであったなら、あなたは〜をそのオーナーの手札に戻しても良い。

 変幻自在のやっかい極まりない小兵。この身軽さは既存のエルドラージのイメージとは随分かけ離れたものになっている。出し入れ自在の2/1フライヤーというと、青には結構な歴史がある。個人的にインパクトがでかいのは「アルーレン」などのコンボデッキでも活躍を続ける「洞窟のハーピー(PLS)」、そしてスレッショルドにも大きく貢献したリミテッドの曲者「空翼のエイヴン(TOR)」あたり。近いところだと「ランタンの霊魂(ISD)」なんてのもいたけど、こちらはあんまりピリッとしなかったな。今回の特徴は何と言っても2マナという軽さと瞬速という本当にこそこそした組み合わせ。相手ターンエンドに呼んでおけばすぐに救助用の2マナを立てることが出来るし、アタッカーに併せて突如出現し、ブロックしてそのまま即帰る(予定)なんて小技も披露出来るかも。除去を撃とうにも「ひょっとしたらいなくなるかも」と思わせるだけで充分過ぎる牽制になるし、そのついでに嚥下して後続のための餌まで捻出。うーむ、八面六臂。脱出装置が不確定になっているあたりがエルドラージらしいお茶目さであるが、2マナで連続してばくばく嚥下出来る設定は割と新しい。殴れずとも、毎ターンこれだけ連打してライブラリアウトを狙うなんて荒技も。うーん、やっかい。

 

Gravity Negator 重力に逆らうもの (3)(U) C

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/3 欠色 飛行

〜が攻撃するたび、あなたは(C)を支払っても良い。そうしたなら、他の対象のクリーチャーは、ターン終了時まで飛行を得る。

 なーんか似たようなイラストを見たことがあるなー、と思って確認したら、多分「孤独の守護者(CHK)」だ。ただ、あんまり似てなかった。能力が似てるだけだな。最近は基本セットに多かった、味方を一緒に飛ばしてあげる型のサポートクリーチャー。過去の事例にはサイズ充分の「地割れのドレイク(M12)」、攻めのコストが優秀な「訓練されたコンドル(M14)」など、リミテッドで活躍した事例が並ぶ。こちらのクリーチャーも先輩方の例に漏れず、攻め手を求めるデッキ群では大活躍が期待出来る。サイズも平均値を維持しているためか起動にマナがかかるようになってしまったが、ダメージ効率の向上を考えればこの程度のコストは安いものだろう。黒の嚥下持ちと絡めれば嚥下エンジンの構築も楽になるのでウラモグ血族の皆さんも安心だ。このあたりで()シンボルの必要性をまとめておくと、起動コストとして無色マナを要求するアンコ以下のカードは青がアンコ1,コモン2,黒はアンコとコモンともに2枚、赤と緑はアンコとコモンに1枚ずつだ。コモンレベルで考えるなら整備が不可欠なのは青黒ということになる。きっちり揃えられるかな?

 

Prophet of Distortion 歪みの預言者 (U) U

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

1/2 欠色

(3)(C):カードを1枚引く。

 蒼穹の魔道士(M12)」が無色になった姿。2マナ2/1が1マナ1/2になったのは良し悪しだが、この手のシステムクリーチャーが多少なりとも生き残りやすくなったのは悪くない。あとは隙を見て手札を補充していけばいいだけの簡単なお仕事。青は元々1マナでやることが「回収ドローン」くらいしかない色だったので、その穴を埋めて幾ばくかのブロッカーになれる可能性もあるなら充分な仕事だ。もちろん無色呪文誘発に使ったり、無色パーマネントの数を水増ししたりという、「とにかくエルドラージなだけでも偉い」側面もあるし、いてくれて困ることはなさそう。英語版のフレーバーテキストが綺麗に韻を踏んでいたので日本語版も期待したのだが、残念ながら直訳なのであまり反映されなかった。まぁ、難しいかな。

 

Slip Through Space 空間の擦り抜け (U) C

ソーサリー

欠色

対象のクリーチャーは、このターンブロックされない。

カードを1枚引く。

 巧みな回避(DKA)」のキャントリップバージョン。最小限の効果にキャントリップということで、欠色カードでこそあるが、ギミックとしては怒濤サポートを念頭に置いたものだろう。シンプルではあるが使い勝手はよく、適当なクリーチャーにつかってもカードのロスなしに2点、3点のダメージ増量が見込めるし、確実な嚥下のサポートなんかにも回せる。欠色カードなので無理なく無色呪文の数を水増し出来る上に、そこから怒濤に繋ぐことができるとなれば、「戦乱のゼンディカー」の無色ギミックと繋げて青赤系のデッキでは様々な仕事をこなすことが出来るだろう。「テイガムの一撃」ほどじゃなかろうが、今後は使うのも使われるのも気をつける必要のある呪文。

 

Thought Harvester 思考刈り (3)(U) U

クリーチャー・エルドラージ、ドローン

2/4 欠色 飛行

あなたが無色の呪文を唱えるたび、対象の対戦相手はライブラリのトップを追放する。

 自然に嚥下との接続を果たす中堅生物。2マナ2/4という「蒼穹のドレイク(M11)」ステータスは攻守にわたって活躍出来るし、そのついでに何となく相手のライブラリも削ることが出来る。削るのは1枚ずつなのでこれ1体でライブラリアウト勝利、なんてわけにはいかないだろうが、1,2パック目でこれが引けていれば3パック目で「霞の徘徊者」といった昇華者を引く時のリスクが格段に少なくなるというメリットは大きい。逆に言うと、今後は嚥下カードと昇華者カードが最後の1パックにしか登場しないため、こういった「ついでに嚥下」カードが確保出来ていない場合、「霞の徘徊者」も「精神を掻き寄せるもの」も「謎めいた巡行者」もオールスルーの可能性が低くないわけだ。安物買いのチャンスを狙うために、こうしたカードで序盤から保険をかけるのはピックの戦略上大きな意味を持つ。素で優秀なので早めに引いてもほとんど問題ないしな。かてて加えて、今回は「掃き飛ばし」というライブラリのトップに戻せるバウンスがコモンで手に入ることも注意。戻して削って完全除去、このカードが見えたら覚えておきたいギミックである。

 

Void Shatter 虚空の粉砕 (1)(U)(U) U

インスタント

欠色

対象の呪文を打ち消す。この方法で呪文が打ち消されたなら、それをオーナーの墓地に置く代わりに追放する。

 エルドラージ版の「雲散霧消(M15)」。欠色持ちであること以外はコストも効果もレアリティも全部一緒。つまり、「雲散霧消」が強いんだからこれも強い。以上だ。…………一応比較するなら「呪文萎れ」との区別。リミテッドでの経験からいうと、実は「呪文萎れ」の「追加4マナ」は厳しいように見えて、こんだけマナが溢れる世界だと後半戦で意味をなさないことも結構ある。トータルで見ればダブルシンボルの厳しさを考えてもこっちが上だろう。もちろんデッキは制限されるわけだけども、そんな無鉄砲に色を広げまくるプレイヤーなんて、いませんよね。ね!(「自然の繋がり」を1引きしながら)

 

Ancient Crab 古代ガニ (1)(U)(U) C

クリーチャー・カニ

1/5

 固いガニー。Magic世界における「カニ」というと大きく2つの特性があり、1つは「カブトガニ(10ED)」大先生によるアンタップするクリーチャーとしての性質。今にして思えばなんでカブトガニでアンタップなのかよく分からないが、その後も「蟹の陰影(ROE)」なんかでその姿が確認出来る。そしてもう1つが、このクリーチャーで分かる通りに「固い」という性質。過去のセットでは「角海亀(M10)」という、より分かりやすく固そうな生物が担当してきた分野だったのだが、同じゼンディカー世界の「ジュワー島の小走り(ROE)」からカニ文化に変化があらわれ、5マナ2/5「装甲のカンクリックス(M14)」、4マナ1/6「要塞ガニ(ISD)」など、すっかり亀のポジションをカニが奪ってしまった。まぁいいか、美味しいしな。今回もその堅さはずば抜けており、3マナコモンで壁じゃないクリーチャーとしては歴代最高値と言っていい数値になっている。これ1枚で地上のクリーチャーは5マナ圏くらいまで全てシャットアウト出来るようになり、同じマナ域で「ヴァラクートの捕食者」を止められる稀少な存在。いざとなれば殴れる選択肢もあるっちゃある。遅いデッキが「城塞化した塁壁」の代用で使えるカードになるだろう。

 

Comparative Analysis 比較分析 (3)(U) C

インスタント

怒濤(2)(U)

対象のプレイヤーはカードを2枚引く。

 怒濤コストがついた「霊感(RTR)」の完全上位互換。現在の青の4マナ域というと、次のターンに「掴み掛かる水流」や「氷の猛進」が繰り出される前の「雲マンタ」「培養ドローン」あたりのマナ域だが、同時に「呪文萎れ」を構えておきたいマナ域でもあった。その際に2択を迫れるこの呪文は悪くない選択肢だ。怒濤コストについて、一見すると「3マナって別に大して軽くないし、2つ目の呪文としては唱えにくいわ」ってな気もするが、例えば5ターン目に「予期」+これとかはけっこうエグい動きだし、「掴み掛かる水流」を覚醒せずにつかってこちらに回すというプランを4マナ域で選択することも出来る。基本的に中盤以降まで試合がもつれ込むことが前提のこの環境では、6マナ、7マナ域あたりの手数の差は案外馬鹿にならない。青赤では「逆境」あたりも絡めて、「コジレックの伝令」が輝くデッキが作れそう。

 


拍手

 どう見ても冷蔵庫小さすぎたな! 第8話。てめー頭脳が間抜けでも、体の柔らかさではエスパー伊東を越えるデーボさん。原作の時点でかなりおかしかったけど、アニメで見ると一際違和感がたまりません。しかし、ホントに冷蔵庫あけてもろくなもんが出てこねぇ漫画だな。これ以外だと「ぐちゃぐちゃの老夫婦」とか「からからの指」とかだぞ。

 猿の後に登場する敵キャラとしては割と普通の存在、デーボ。ただ、個人的には(旧)格ゲーJOJO時代にデーボユーザーだったこともあり、割と愛着はある。いや、最終的には弱いんだけどね。スタンド出すと本体がら空きになるからディフェンスに難ありすぎたけどね。ただ、人形との合わせ技で、下手な俺でも割とレバガチャで引っかき回せるから好きだったのかも。ジャンプ大→しゃがみ大からの→中が鉄板だった。あまりにもしゃがみ大の判定が強くてずっとしゃがんでたもんだからデーボがゴキブリとか呼ばれてた時期もあった。もう、10年以上前の懐かしい青春の話です。

 さておき、そんなデーボさんは今作ではようやく、多少知名度の落ちるキャスティング。樫井笙人ってちょこちょこ名前を見るからドマイナーとまではいかないだろうが、代表役は何、って聞かれてもちょっと出てこない。最近の何かを思い出そうとしたけど「そういえば『いろは』にちょい役で出てた気が……」って思ったのが限界だったので、既に3年前だ。ごめんなさい。まぁ、でもベテランには違いないのでデーボのキモさは折り紙付き。ゲーム版のイメージがあったのでもう少し声がダミ声で低い印象があったのだが、ゲームと違って人形の方も同時にこなすためにちょっと高めの声になっている。あのずんぐりむっくりの大男の恨み言と、コミカルキモい人形の兼ね役というだけでなかなか難しいポジショニングだったろう。そして、そんな人形とポルナレフの戦いが、これまでにないくらいにハードな戦闘シーンで描かれる無駄な恩恵。最序盤の神がかったモーションの演出とか、「デーボ戦ごときでここまでするのか……」とあっけにとられてしまった。いや、冷静に考えると、この試合ってすげぇみみっちくって地味なバトルなので、こうでもしないと盛り上がらないってのはあるかもしれないのだが……凄かったわ。「どう見ても飲み物が垂れる量多すぎだろ」とか「ドライヤーは漏電しても火は噴かないんじゃないかな」とかは思ったけども。全部インパクト重視なので結果オーライだ。

 しかし、こうして改めて見るとエボニーデビルって謎の多いスタンドである。設定としては「遠距離パワー型」になるだろうか。遠隔操縦の利便性と、それでも維持されるパワーを両立させるための条件が「恨みを持つ事」っていう制約なんだろう。これを突き詰めるとノトーリアスBIGになるってことやな。まだ遠隔操縦のはっきりした定義やスタンドのルールが決まっていないので、ベイビィフェイスのように「人形を殺されてもダメージなんかない」というメリットは得られていないのが残念だが。……あれ、そう考えると、こいつのスタンドって何一つ取り柄がないな。ポルナレフを追い込めたのだって不意打ちに成功したからだし、正面から挑んだら明らかにパワー負けする。人形を切られたらきっちり本体にダメージが入るので、安全策としても機能してないし……ほんと、単に「対スタンド使い以外」に特化した不意打ち用のトラップでしかない。まぁ、未見の相手にはスタンドの発動すら察知させずに勝てる可能性があるから、これで充分なのかねぇ。ひょっとしたら人形はどんなものでもいいのかもしれないし。うーむ、よく分からん。

 そんなデーボ戦で1話使ったわけだが、毎度お馴染み水増し部分のオリジナル要素としては、「ホテルの部屋をどうやって分けたか」というのを家出少女とセットで詳しく描写した。なるほど、確かにこの緊急時にポルナレフが1人で部屋を取っていた理由ってのは謎といえば謎だった。ああやって部屋を分かれたのね。ジジイとアヴドゥルは分かるが、花京院と承太郎はすっかり仲良しやな。しかし、ホテルのフロントもあれだけ多国籍で図体のでかい奴ばかりの集団によく怪しまなかったもんである。あれ? そういえばランダムに空いてる部屋に入っただけだったとしたら、デーボがじっと冷蔵庫で待ってた部屋にポルナレフが来たのってたまたま? 下手したら全然関係無い旅行者が泊まりに来てた可能性もあるんだよな。冷蔵庫あけてアレが出てきたら卒倒するわ。

 次回はいよいよ花京院最大の見せ場の1つ(?!)、イエローテンパランス戦。正体を探るためのテレビ念写では、流石に問題があったのかネコドラくんはカットされて別なキャラクターに置き換わっていた。ちなみにキャストクレジットは「テレビの中のキャラクター」。CVは山本希望。……のじょさん、なにしてはるんですか。こんなちょい役かよ! まー、こないだの加隈ちゃんとかも一言だけの登場だったけども……つくづく女性キャストに厳しい現場や。ラバーソールの声は誰だっけ? 竹本英史っぽかったけど一言だけだから流石に分からん。

拍手

「ニセコイ」 5→5

 エラく中途半端な時期に最終回をやられたせいで、全アニメを記録しているデータベースにどう記載していいのか分からなくて困っている。まー、一応2クールだから7月期終了ってことでいいのかなぁ。変な話数といえば角川アニメの十八番だが、この作品の場合にはまことしやかに「シャフトが製作に手を回す余裕が無いから」とか言われてる。いや、アニメスタジオがそんな理由で話数減らすわけないやろ。まぁ、実際に翌週放送予定だったはずの「花物語」が間に合ってないんだからそう言われるのも仕方なかろうけども。

 さておき、普通に始まって普通に終わるアニメだった。放送開始前は「シャフトでジャンプアニメか……」と思っていたものだが、1話目を見た時点では「まぁ、こんだけベタな作品なら別にシャフトがいじっても文句は出ないな」と妙に納得した。そして、回を重ねるごとに、「なるほど、こういう色の消し方もあるもんだな」と合点がいったものである。私個人はシャフト好きなので別にアクの強い演出にされても文句は無かったが、やはりジャンプの人気作品ということでそこまで露骨な変化球にはならず、あくまで「元あるものをそれなりに」という程度に留まっている。まぁ、それでも受け付けない人には辛いんだろうけども(実際、知り合いに1人、シャフトだから見られない、っていう人はいる)。

 元々「ぱにぽに」なんかで真価を発揮したように、記号化を進めたシャフト演出は、どうしても断片的に要素が乖離しやすく、それを再構築しながら見るところに楽しみがあるわけだが、その代償として、素直にストーリー部分を読み進めるのに多少のストレスを伴う。「物語」シリーズのようなヒネたシナリオならば多層的に要素を重ねて新たな方向性にアニメーションを組み立てる演出がはまり込むこともあるのだが、捻りの無いシンプルなストーリーラインの場合、どうしてもそれは邪魔な要素に見えてしまうことがある。しかし、今作はそれを踏まえた上でもまだ余裕があるくらいに「ベタでベタでしょうがない」話であり、なおかつ「多方面ヒロインによる同時爆撃ラブコメ」という、もとから非常に散逸的な内容である。おかげで、コントのように細かく場面を切り取ってガジェットで飾り付けるシャフト演出との食い合わせは案外悪くなくて、ギャグとしての見栄えも、ラブとしての掘りさげ方も、的を射た着地点に落ち着いていたんじゃなかろうか。

 まぁ、そんな面倒な話は抜きにしても、単純に「ヒロイン勢が可愛いじゃないか」というのを毎回堪能するだけのお話なので、1枚絵できっちりと造形が維持出来ればそれだけでも評価は出来る。なんやかんやで「インフィニットストラトス」を最後まで観てしまうのと同じ現象である(ただし2期、てめーは駄目だ)。もちろん、ISよりかはよっぽどシナリオが見やすいし、ベタだとはいいながらも、実はヒロインの配置と、絡ませるタイミングは悪くないお話なのである。各ヒロイン間でギスギスしたところがなくて、全ての責任が「とにかく楽が全部悪い」といえば片付くので、真剣に恋愛しているのにそこまで気張って見なくていいからストレスフリーなのである。これだけライトなテンションだからこそ、今のジャンプでも人気を維持出来ているのだろうなぁ。

 そして、アニメになったことで一番大きいのは、当然声がついたことだ。各ヒロインの声が固まったおかげで、わたくし個人はジャンプで原作を読むのもちょっと楽しくなりました。かみ合わせで言ったら阿澄マリーがダントツなのは博多弁のずるさであるが、東山千棘、花澤小野寺も充分な破壊力。最終回の演出的には、あれは小野寺エンドだったのか千棘エンドだったのか……各ファン勢の間ではまだまだ決着の見えない戦いが続きそうである。かくいう私はるりちゃん派なのであんまり関係無いですわ。原作の時点から割とるりちゃん派だけど、内山夕実ボイスのおかげでより強固なものとなった。やっぱりゆーみんがナンバーワン。最近原作であったるりちゃんのおじいちゃんエピソードもアニメで見たかったなぁ。

拍手

 この番組におけるサブタイトルの存在意義とは、第8話。ついに関係無くなったぞ、おい。

 最後のなんだかよく分からないメカ以外には特にお話が動かなかった今回。変わった事態というと、帝国側に新しく(エロい)女の子のキャラ、マカロニ(CV:加隈亜衣)が加わったことくらいである。こうしてみると、本当に帝王様ってのは女性人気がある良い上司だ。リッツが惚れ込むのも分かる、人情派で話の分かる、人格者(ペン格者)には違いない。リッツやファミリーと一緒に風呂に入ったり、仲良くコントを繰り広げているのを見るとほっこりするし、リッツのあけすけな愛情表現も心温まる。この分け隔てない愛情と、回りの人間からの愛されっぷりを見ると、実はリッツってのも案外北白川たまこに近い存在なのではないかという気もしてくるな(暴論)。

 他方、回りからの信頼が特にないのが将馬・霧子のバカップルである。別に悪い奴らじゃないのだろうが、とにかくウザい。そして空気が読めない。いちゃいちゃするのは自由ではあろうが、流石に指令自ら基地の案内してくれてる時に話聞いてないのは単なる失礼な奴だ。その後基地も壊すし、今回は帝国側が一切攻めてこなかったので、ついに最大の敵すら身内に登場した感がある。もう、どこにも味方いねぇよな。あれだけ嫌われてたダイミダラーを擁するプリンスが、どうやって資金繰りの問題を解決したのかは永遠に謎のままだろうなぁ。いや、ダイミダラー建造にどのくらいの金がかかるのかは想像も出来ないけども。

 結局、番組史上初めて、ダイミダラーの出撃も相手南極ロボの出撃も無いという日常回(??)だったわけだが、その代理戦争がリッツと霧子の「女勝負」である。こうして直接的にエロが絡んできた時のペンギンさんたちの紳士ぶりは異常。あいつら、絶対に人間の男よりもエロくないだろ。せいぜい性への感心は中学生男子どまりだろ。ほんと、帝国側に支配されたらこの世界もどれだけ平和になるか分からんよなぁ。個人的には、ひたすらトランプ遊びにこだわるネルソンに頑張って欲しいです。あとデニス、死にかけのところから生還出来て良かったな。「大切な所持品」にさそりの毒が含まれてるあたりが謎過ぎるわ。

拍手



忍者ブログ [PR]
カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
ブログ内検索
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
ーーーーーーーーーー
↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
最新CM
[03/07 とみしの]
[02/28 とみしの]
[02/18 な]
[02/17 とみしの]
[02/16 NONAME]
バーコード