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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「凪のあすから」 6→8

 一言でいうと「完璧」。これが作り出せるというだけでも、まだまだ日本のアニメ業界は頑張っていける希望が持てる。

 1つの結末に向かって恐ろしく端正に積み上げられた2クール。普段は最終評価をまとめるときに「シナリオがどうこう」「映像がどうこう」(あとキャストがどうこう)という話を色々とするわけだが、今作においては、どれもが期待以上のものであり、全ての完成度がピカイチである。アニメオリジナルでよくここまで統制の取れた製作が可能になり、その企画が通ったものだと感心する。本当に毎度のことで申し訳ないが、やはりP.A.Worksというのは恐ろしいスタジオだ。この路線のアニメ開拓がもっと広く浸透すれば、アニメは単なる焼き直しの販促メディアでなく、新たな表現の形式を求めたオリジナルな媒体として堂々と機能できるようになると思うのだが。

 蛇足とは知りつつ今作の見どころを確認すると、まず「シナリオが云々」は岡田麿里のイマジネーションに感服するところから始まる。よく彼女の得意ジャンルとして「ドロドロした男女関係」とか、「女の情念」みたいなものが取り沙汰されることがあるが(まぁ、それも一面の真実ではあるが)、彼女の脚本の見事なところは、そうした「どろどろ」というのを徹底的に内面的な正当性の下で作り出していく手順と、それをマンネリ化させずに、次々に新しい形で提供して新鮮な衝撃を与えてくれることにある。突き詰めればラブストーリーなんてものは究極のマンネリズムであり、何をやったって「くっついた」「別れた」の2択しかないシナリオ分岐。どれだけ趣向を凝らしたところでそこに変わりはないはず。しかし、人類は長い歴史の中で、ずっとずっとそれを再生産し続けるくらいに「ラブロマンス」が好きなのである。その本能的な欲求を満たすべく、岡田麿里は常に妥協せずに「新しいマンネリ」を模索し続けている。今作の場合、発想のとっかかりは「浦島太郎」だという。まずその時点で「どないやねん」とは思うが、このアイディアを、ここまで巧緻なシナリオに組み上げることは容易ではない。

 シナリオを大きく分けた時、お船引前の「第一部」では「海と陸」という分かりやすいロミジュリ設定で恋愛感情を隔てる。単純な惚れた腫れたに障害が挟まるだけで物語として成立するわけだが、今作における起点は「海と陸の文化差」からだった。普通、「海の中にすむ人類」なんて設定からスタートしたらその説明と世界設定だけで「語り」が終わってしまいそうなところだが、そこを上手く「察することが出来る」世界に組み上げ、たっぷりと「陸に上がる汐鹿生の気持ち」でドラマとして盛り上げる。この第一部だけでもお腹いっぱいになるくらいにドラマがてんこ盛りになっており、「どれだけジェットコースターで進むんだ」と毎回ハラハラさせられたものである。しかし、それだけで終わらないのが今作の白眉なところであり、続く後半戦の「第二部」においては、今度は冬眠を挟んだ「時間による隔たり」で更に物語が広がりを持つ。この第一部の「海と陸」、そして第二部の「今と昔」という2つの軸がそれぞれに影響し合いながら互いの気持ちを作り上げていく行程があまりにも巧みで、2部に入って以降、「第一部のあのときのシーンはこのために用意されていたのか!」といちいちうならされることになる。要素に分解していけばそれら全ては「恋愛ドラマのいろは」であるのだが、それが何層にも折り重なり、全てがキャラクターの気持ちとして収束していく。そのドラマ作りがあまりにも精妙で、1話たりとも無駄がないのである。たまに「2期目から面白くなったな」なんて意見を見かける時があるが、改めて1期目から組み上げられた全体像を見れば、第一部の恐ろしさが分かるだろう。

 そして、そんなシナリオ面での偉業を支え、新たな次元に突き進ませることが出来たのは、なんといっても映像面を作り上げたアニメスタッフの底力である。1話から嘆息していたこの世界の「形」が本当に素晴らしい。ある意味あり得ないほどに無責任な岡田麿里の「思いつき」が、どこまで真に迫って映像になるか、というところが今作の成否を分ける分岐点だったと思うのだが、そんなところでP.A.Worksに心配は無用だった。あり得ないはずの汐鹿生の景色、そしてそれを受け入れながらも異界として捉える地上の風景。どれもこれもがこの世界を当然のものとして提供する力を持ちながら、極上のファンタジーとして広がりを与えている。このビジュアルが作れるのは、生産過多のアニメ業界においても、P.A.だけではないだろうか。もちろん、熟練のスタッフによる「ドラマ作り」の妙も大きなポイントであり、キャラクター1人1人の細かい仕草、与えられたシチュエーションの細部に至るまで、全てが「ドラマのための」道具立てとして効果的に機能する。これこそが真骨頂。「true tears」の濃密なドラマ、凄絶な青に幕を開けたスタジオが産みだした、1つの集大成といえるのではなかろうか。

 更なる蛇足でキャストの話は……いいかな。感情面でのドラマ作りで最も活躍したのは、ちさき役・茅野愛衣と、美海役・小松未可子だろう。もちろん他の面々についても文句の出ようはない。最終話で明かされたお女子様のキャストがはやみんだったのはやっぱりP.A.的にはゆずれない部分だったか。もう1つの看板である能登麻美子を先に使ってしまったからしょうがない。あと彩陽を置いてくれれば完璧だったのだがね。

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「鬼灯の冷徹」 6→5

 いや、楽しかったですよ。おそらく期待されたものは100%出されていたと思うし、一切まずかった部分は無い。ただ、当初期待してたよりはギャグの密度が薄かった気がしてね。

 まー、そもそも当初何を期待したたんだよ、って話なんだけども。1話は「地獄案内ギャグ」っていうジャンルがあまりに新機軸過ぎて、色々と妄想が膨らみ過ぎたんだよね。流石にそこまで無茶苦茶なものが毎回毎回飛び出して来るわけではなく、3話くらいで空気は落ち着き、後はゆるゆると「地獄日常系漫画」として毎週ゆっくりしてた。ヘンに所帯じみてる連中ばかりだから、あんまりドラマティックな展開は無いんだよ。あくまで少しずつ蘊蓄を交えて地獄文化史に詳しくなるついでに適度な笑いが提供されるくらい。突っ込み役が凡人代表の桃太郎とかだったことを見れば、そこまでえげつないことが求められていたわけじゃないことは分かるだろうよ。そういう意味で、「そこまで激しくない」。どっちかっていうと細かい台詞回しの芸。

 映像のクオリティは終始安定していたし、背景との絡みや、ふざけた時のタッチの変化なんかは心得たもの。ちょっと油断すると「地獄日常」という特異性を忘れて単なる「日常」になってしまいそうなんだけども、要所要所で特徴的なビジュアルを見せてくれるので「そういえば地獄だった」と思い出すことになる。そして個々のキャラの個性は絵柄の段階であらわれていて、シロさんなんかは単純に可愛いのに、キモい連中は容赦無くキモい。1つの画面に色々と違う次元の存在が見え隠れする賑やかさは、静かな画面でもじっくりビジュアルが楽しめる要因だったろう。まぁ、牛頭馬頭コンビとかをじっくりゆっくり鑑賞したいかと言われると微妙なんだけどさ。

 結局「予想以上に日常アニメに近いノリだった」っていうよく分からない結論。どぎつい地獄ギャグが見たいなら「アザゼルさん」を見ればいい(地獄だけじゃないけど、現世の方がよっぽど地獄)。こっちのアニメを見る目的は、どこかズレた上手いこといいのギャグをじわっと楽しみつつ、独特な「異界」ビジュアルを眺めること。そういう目的意識がしっかり持てれば文句は出ないだろう。もちろん、原作は割とあるみたいだから、このままのテンションで2期目をやってもらって構わないんだぜ。

 中の人的にはとりあえず「安元お疲れ」だが、実は中心人物やってたのって遊佐さんの方じゃねぇかって気もするな。あと、シロ。結局今作で一番可愛い声って小林由美子だった気がする。あ、茄子役の青山桐子も良かった。オープニングの聞きどころは、なんかちょいちょい聞こえてくる閻魔大王だったり。

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○「selector infected WIXOSS」 5

 アニメイズム二本目(枠的には3本目?)。最近はなるべく新番組の情報を集めず、ただ無心に右からきたアニメを左に受け流しつつ見るようにしているが、これまた全く予測がつかないオリジナルっぽいのが来たな。

 舞台は、「女子高生たちが学校でも平気でTCGに興じている」という夢のような世界。わぁい、おじさんとMagicやろうよ。いいよ、何回マリガンしてもいいよ。うん? 違う? Magicじゃないの? あぁ、最近の腐女子はヴァンガードとかやるみたいだし……そういう……。しかし、残念ながらこの世界のカードゲームはまだ発売すらされていない謎のゲーム。商品名は「ウィクロス」と発音するようだが、そのつづりだとどう考えても「ウィクソス」じゃないかな。細かいこと気にするなって? いや、いいけどね。買わないからね。そんな舞台で、実際に生きているカードを拾っちゃった冴えない女の子がカードバトルを通じて友情を育み、カードの中の子とも友情を深めあう物語。……うっ、頭が……ステゴロ最強? 三行半? 何のことだ? 今よ!

 そんなファンタジッタッドーな世界であるが、どうやらゲームの影にはそんなファンタジったイメージではなく、割とドライな利権も絡んでいるよう。「ゲームで勝てば願いが叶う」というマルチ商法のような怪しげな文言で世界中の女の子を戦いに巻き込む魔のゲームだ。3敗すると終了らしいので、6人でドラフトしても大体半分が脱落だ。なんでプレイヤーが女の子ばかりなのかは謎だ。アイカツですらおっさんが出来るんだから、この手のゲームってのはどれだけ女性向けに作っても男の方がやりこむことになると思うのだが、何故かこの世界の男はゲームをプレイしない。多分、あの生きて動くカードを男は見ることが出来ないんだろう。選ばれた女の子だけがプレイ出来る夢のゲームだ。ただ、この手のアニメにはありがちな話で、細かいルールなどはさっぱり分からない。初心者である主人公に対して、なされたアドバイスはたった1つ「名前を呼んで!」だけだった。なんやねんそりゃ。なのはとフェイトちゃんじゃないんだから、そんだけでゲームに勝てたら苦労しねぇよ。……勝てそうでした。あやねるボイスの子、いきなり初心者相手にシャーク行為過ぎるだろ、と思ってたら、あわや負けるところだった。どんだけ弱いんだ。初心者狩りだけを生業に今まで生き抜いてきたタイプか。まぁ、どう考えても主人公が手に入れちゃったタマのカードがチート(バグ?)くさいのだが……ここからもう少し突っ込んだルールとかが説明されない限り、単に「強いカードだから強かったんや!」という酷いバトルが続きそうである。まぁ、見た限りタマは世界征服くらいなら軽く出来そうな声してるし、機嫌を損ねた幼女はきっと恐ろしいのだろう。どうせファンタだって試合のルールさっぱり分からなかったしな……そんなもんでしょ。細かくシナジーとかデッキテクを解説されても盛り上がらないからな。

 文句は言ってみるものの、実際の試合以外のシーンなんかはアニメとしては平均点か、やや上くらい。特にオープニング映像は非常によく出来てて、ここから先のガチバトルでちゃんと見せ場があるかも、という期待は持てる。監督は佐藤卓哉なので良くも悪くもあんまり印象は無いのだが、脚本が岡田麿里っていうところがなかなか興味深いところ。1話のクオリティが維持出来れば、最低限の面白さは期待しても良いかもしれない。女の子のビジュアルは割と可愛いしね。

 あとはまぁ、中の人エンジョイでいいのではなかろうか。メインヒロインに加隈亜衣ちゃん、そしてその手駒のタマはご存じ久野美咲。この幼女は危険だ。そこにあやねるボイスの適当な友達が加わり、その手綱を川澄綾子が引いている。次回予告ではかやのんボイスも漏れ聞こえて来たぞ。これは割と好みの配置だ。あと、映像が良かったオープニングだが、曲も割と好き。分島花音は元々個性がどぎついアーティストなんだが、いよいよもって遠慮なく前に出てくるようになってきた。なかなか楽しみだ。

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○「悪魔のリドル」 4

 まだ冬番組も終わりきっていないというのに……新番組は容赦無くやってくるのだよ……今期こそは視聴本数減らす、絶対減らす(N年連続N回目)。

 そんなこんなで、今期は地上波のアニメイズムがトップを飾ることになった。そこで始まった新番組だが……うん、ヨクワカンナイ。最近の日本は暗殺がブームなのかい? ジャンプでもチャンピオンでも暗殺してるじゃないか。物騒だね。しかも、このアニメの場合はどのあたりが暗殺なのかよく分からないしね。一切闇に紛れる気なんて無さそうな派手な女の子しかいないしね。女の子ばっか集めるんだったら暗殺じゃなくてハニートラップの方が早くないかな、エロそうな娘も多かったしさ。

 ざっくり言うと「よく分からない系」の1話目だが、いわゆるラノベ作品の「世界設定が文字で見ないと分かりにくい」とか、「とりあえず1話目はばんばん迫力ある戦闘シーンだけ見せて引っ張っておくから、世界説明は2話目以降な」みたいな分かりにくさじゃない。なんか、言ってることがいちいちピンと来ない。「暗殺者を集めて養成するクラスがある」←ギリギリ分かる。「ターゲットはクラスにいる」←? 「でも最初は誰がターゲットかは暗殺者側には明かされない」←?? 「でも、なんかクラスに集まってる連中はみんな目星つけてる」←??? 「なのに、なんか一番クールぶってる主人公が早速情にほだされてる感がある」←????。

 どういうことなんだろう。昨今人狼がやたら流行ってたから、人狼みたいなことをクラスメイトでやらせるってことかな。でも、それだとルームメイトがターゲットって即バレしたらまずいよね。「どうせ全然違うってオチだろ」と思ったら、なんか上層部の動向からしてあの子(CVひーちゃん)が殺しの対象で正解っぽい感じになってんだよね。何そのゲーム。何の目的でわざわざ物騒な女の子が集められてるの? 意味が分からない。余興的なことなら、さっさと殺し合いさせりゃいいのに、何故かちゃんと「暗殺者基礎訓練」みたいなのもやってるし。謎が謎を呼ぶなぁ。まぁ、まだ1話目だからってのもあるんだろうが……いまいちどこから入っていいのか分からんかったぞ。

 製作はディオメディア。スタジオ独立直後の不安定さからは解放されたディオであるが、どうも「監督・草川啓造」とセットになると途端に雲行きが怪しくなる。草川さんは元々嫌いな監督じゃなかった(何しろあの「なのは」を作った人)はずなのだが、最近はあまりフォロー出来ない戦績。ディオメディア製作だと「カンピオーネが異世界から来るそうですよ?」と言われる。その後も草川さんは「幻影ヲ」云々とかだしなぁ。うーむ、今作は列挙したような馬鹿バトル要素も控えめだし、もう少し腰を据えて作ってくれる可能性もあるのだが、1話目のぽかん度合いは不安を助長している。そもそも「原作・高河ゆん」ってどうなんだ。この人って絵を描くのが専門じゃないのか。更に原作コミック2巻まで発売ってどういうことだ。アニメにするような話数ストックないやろ。何が起こんねん。不安しかないよ。

 というわけで、あんまりアニメの中身に突っ込まずに中の人トークに逃げよう。主人公は、最近ちょこっとだけ名前を見るようになった諏訪彩花。まぁ、ダウナー系の主人公なので上手い下手はあんまり分からない。そもそも誰だかよく分からない。回りを取り囲む面子はサポートのひーちゃん、それにナンジョルノを除くとストライクゾーンからちょっと外れるくらいの面子であり、みさわさんとバウムが一緒にいるのが何となく香ばしくて良い。バウムは今回二重人格キャラですか。昼バージョンの方は何か笑えるくらいはまってたけど、夜バージョンではじけた時にどうなるかが興味深い。

 まぁ、個人的には一番の声優関係の話題はオープニングをまれいが歌ってるってことなんだけどね。元々器用な子だし、色んなところでキャラソンとか歌ってるから特に新鮮な感じはしないんだが、相変わらず安定しすぎてて怖い。

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 いい海だった、最終話。最終話は泣かされずに済んでホッとしています。本当に明るい海の景色は、まさにタイトルの「凪のあすから」を体現した神々しいまでのビジュアル。本当に綺麗。これまで凪いで氷漬けだった海に波の満ち引きが戻り、空の青、海の青が繋がり、この世界がようやく完成した実感が湧いた。もう、それだけでグッと来てしまう。

 一言でまとめてしまえば「海神様のなんやかや」が最後に残されたお話。お女子様にはじまり、まなかを強奪し、更に美海をも拐かしてきた海神様。これまでは「人智の及ばぬ超越的なもの」という認識が強かったわけだが、この度、まなかと美海という2人の「思いを持つ女性」が海に同時に飛び込み、2人同時に思いを打ち明けたことで、これまで海中に溶けていたはずの「お女子様の心」が共鳴する。更に、そこに光の悲痛な叫びが重なり、「好きという気持ち」への愛憎は広大な海の中を渦巻くことに。そこで巡り会ったお女子様の真の気持ち。海神の意志である御霊火が燃え上がり、ほころぶ。そして、気持ちが通じ、突き抜けた海の中では、一心に美海を想った光の気持ちが、ついに殻を打ち砕く。美海が帰還し、溢れた思いが長年にわたる海神の迷いを貫いた。凪は終わり、海は本当の姿を取り戻した。

 結局、「世界の終わり」というのは海神の迷い、悩みが産みだした災厄ってことだったようだ。考えてみれば「汐鹿生だけは冬眠させて次の時代へ持ち越し、地上の人間だけはゆっくりと滅びに向かう」というセッティングはやたらと「地上の人間だけに厳しい」設定であり、海神様が心の奥では地上と相容れないものであると思っていることが伺える。彼はお女子様を大切に思い、彼女のためを思って気持ちに介入したわけだが、実のところ何も分かっていなかったわけだ。まぁ、神と人との繋がりなんてハードルも多いわけで、海神様はこれまでそれを越える努力をしてこなかったってことだろう。たまたま、今回の騒動ではまなかと美海という2人の「お女子様」が存在しており、どちらも「地上と海の境を越える」存在であったために、積年の海神の思いを打ち破る一助となったのであろう。もちろん、そんな2人の気持ちを繋ぐための光の存在も欠かせない。全ての思いが連綿とつながって形を成し、凪を終わらせ、海を作った。結局、「海は好きに似ている」という言葉があった通り、波が無くなった海が海であり続けるように、「好きを取り除いた」なんて簡単な話だけで人が人で無くなるわけじゃない。好きにも様々な側面があり、簡単に失われたりしない。それら全てをひとくくりにしようとした海神様のうっかりさん、である。

 全てが動き出したのでこれでOK、というだけでこのお話を終わらせてはいけないが、ほとんどの「最終戦」は先週までで片がついていたので、エピローグは驚くほどすっきりしている。紡は海の問題が解決した後も、地元の海を大事にしながら仕事を続けていくだろう。此度の騒動の結果「地上に出る」ことになった2人目の女性(1人目はあかり姉ちゃん)であるちさきも、これからは紡を待つ「家庭」であり続けるはずだ。これまでの背景からするとちさきの選択は「様々なものを失う選択」であったはずだが、既に世界は海神の力で変容している。晃が余裕で海に潜ることが出来たのだ。もう、汐鹿生が地上で成した子供が余計な排斥を受ける心配も無い。ちさきは、あかりと一緒に新たな時代の「陸と海の関係」を象徴する女性となるはずだ。

 もう一組のカップルであるさゆと要については、まだ始まってもいない段階。しかし、2人の顔を見れば既に始まる前からクライマックス。なかなか個性の強い2人なので色々と波乱もありそうだが、まだまだ中学生同士の恋愛である。色々と失敗しながら大きくなればよい。

 そして物語の焦点となる最後の試合は、光とまなか、そして美海。最終的にどうなるものかと思われたが、ここで海神の物語が微妙に関わってくる。海神の誤解(というか鈍感?)を招いたのは、お女子様の寛容さ故である。本来「地上に残した男が、自分を思って先立った」なんてシチュエーションは海神様じゃなくとも「そんな事実を聞いたら後を追ってしまうかもしれない」と心配するものであるが、実のところ、お女子様はたくましくも新しい関係に前向きだった。寛容さというか、強さというか、「自分の置かれた状況を理解して、新たな好きを育む力」というのも馬鹿に出来ない。そんなお女子様と関係浅からぬ美海嬢にもそんな強さがあった。光がようやく認識した事実、それは「光のために尽くしてくれた美海」という存在。結局、彼女は最初からこの結末を理解していたのだ。そして、光が好きで、まなかが好きな彼女は、二人の幸せを何よりも願っている。エナを通してまなかと気持ちの共有まで成したのだからそれはなおさらだろう。彼女は、あの墓場で充分に「光の好意」を受け取った。それが最終的に望まれる「好き」なのかどうかは分からないが、世界には海と同じ、数多の「好き」があるのだから、そのうちの1つ、強い思いが確実に自分の方に向かっている。それが分かっただけでも、彼女は救われたのではないだろうか。

 この物語は海を描く物語であり、愛情を描く物語だった。そして、その始まりは一組の少年少女からだった。光とまなか、色々あった2人だったが、無事にここに戻ってきた。何とも遠回りでまだるっこしいラブストーリーではあったが、いかにも不器用な2人らしい。変わるも変わらないも自由な世界で、きっと2人は変わらず互いを思い合っていくのだろう。

 海が見たくなるなぁ……

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「犬猫アワー」 ー→5

 基本的にショートアニメは感想書かないことにしてたんだけど、一応ね。合計で10分以上あるし。

 「47都道府犬」については毎週書いていた通りの印象。旧作への愛情が強すぎるために完全にリビルドされた新版はやっぱり抵抗感もあったが、別物として考えればそれなりに可愛らしいキャラだったし、CGで描かれたキモ可愛らしいキャラクターたちは独自の味わいがあった。旧作の持ち味だった「やるかやられるかの緊張感」は無くなってしまったものの、キャストを一新して「可愛い」方に全力で寄せた作品作りは、また新しい「都道府犬の可能性」としてあらわれた。冷静に考えれば「ご当地キャラ」としてはこっちの方が正しいもんな。あの引きこもりのめんたいこの化身が福岡のご当地キャラだって言われてもいやがる人だっているだろうしさ。そういう「一回リセットした」視点で見られれば、今作は主人公(?)の群馬の可愛らしさを筆頭に、レギュラー陣は本当にいい具合に「可愛く」出来ていた。まぁ、群馬を抜き去って沖縄がピカイチになるのは予想外だったかもしれないが。鷲崎健をして「今期一番可愛いキャラ」と言わせた実力は伊達ではない。おそるべし、儀武ゆう子。

 まー、そうは言ってもやっぱり旧作ファンからしたら物足りないことは間違いないんだけどね。奴らはこの1/5の時間で10倍のインパクトをたたき込んでいったぞ。瞬発力で勝負出来てこその都道府犬やろうが。今後の展開では、当然新旧両世代での復活を切に望むぞ。我々は、まだ名古屋の本気を見てはいない!

 で、本当ならここで話は終わりなのだが……何故だろう、「にゃ〜めん」も割と普通に見てたんだよな。いや、外面が全部同じに見えるから結局最後まであんまり区別出来てないんだけど、途中からコンセプトが理解出来るようになって、割と楽しい謎番組になっていたよ。しょうゆちゃんが可愛い。あとにぼし。まぁ、最後まで意味が分からないまんまだったのは間違いないけど、もしこの番組が帰ってくるなら、「犬」と「猫」はセットのままでも別にいいかな。あ、でもそうすると「アレ」と「かに」も一緒に帰ってくるな……かにえ、最後まで制作側と和解できなかったな……次期があるとして、番組に起用されるかどうか微妙だよな。

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「生徒会役員共*」 5→5

 特に! 変化は! ありません!!

 いや、正確には1期に比べると色々とふざける度合いが増しているようには思う。間に挟まってるはずのOADとかがどんな状態だったのかは知らないけど、1期よりもいっそう1話の中に入れ込むネタの数が増えて細切れになっているし、スルタカをはじめとした訳の分からん小ネタの連発でカオス風味は更に増した。おそらく1期で「許された」ことで遠慮がなくなったことが1つと、シリーズを続けることでキャラも増え、やれることが広がったのが原因だろう。もちろん、そうでなくとも「スズヘット」の謎のクオリティアップとか、無駄なところで「1期よりも何かを増やそう」という意気込みが感じられる。

 まぁ、そこまでやったから何かが劇的に変わるかと言われると、決してそんなこたぁ無いわけだが……元々原作があれだけ延々代わり映えのないことをする作品なのだから、アニメはこれで充分なんだろう。これで劇的な変化があったらかえって驚くわな。良かったところを微妙にパワーアップさせて、ただ1点のニーズに応える作品を作り上げる。それでいいじゃない。

 2期は作品世界が更に外に開かれるようになり、特にうおみーの活躍が顕著になった。これは中の人ファン的には嬉しいサービスだったし、その他謎のキャスト起用である平野文など、中の人成分の刺激は更に増した。ラジオもフル回転で留まることを知らないし、この先もずっとこいつらはこの世界で幸せに過ごすんだろう、と思えば下ネタを飛び越えて温かいものを感じるじゃないですか。ん? 感じませんか? まぁ、そういう人もいるわな……。

 あと、全身全霊でもってファンであることには違いないが、しゅが美のあの歌は微妙だと思ってる派。んー、なんか高音が落ち着かなくない? けいおんでの律ちゃんキャラソンとか「氷菓」の時は声質もあってて良いと思ったんだけども……何が違うんだろね。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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