最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
「ローゼンメイデン」 5→6 これも実に良いアニメでした。元々のアニメシリーズも好きだったけど、今作はまた違った方向から味わいが出ており、「ローゼンファン」にも楽しいが、「ディーンファン」、何より「畠山ファン」に嬉しい作品になっていたのではなかろうか。 1期2期などとはあらゆる部分が変わっているのは、狙ったものがまったく違うためである。キャラクターデザインなどからもはっきり分かるように、松尾版の「ローゼン」ははっきりとキャラに萌えるために作られたものだ。当時の盛り上がりを思い返すに、正直アリスゲームがどうこうとか、アニメオリジナル展開がどうこうとか、そういう部分はあまり問題ではない。とにかくドールたちが小さい身体でもってきゃっきゃうふふしながらもそれなりのバトルを展開させ、個性が出せるならそれでOKというデザイン。実際、それが成功をおさめており、かくいう私も水銀党員の端くれとして「オーベルテューレ」のDVDは即買いしたものである。改めて考えてみれば、「アンティークドールが姉妹同士で殺し合う」なんて設定はおどろおどろしいにもほどがあるのだが、それをキャッチーなキャラものに昇華させ、人気コンテンツとして確立した当時の采配も見事なものだったといえるだろう。 他方、今回の主目的はあくまでも「物語を紡ぐこと」にある。終わってみれば「大人ジュンの精神的成長を描く物語」という何とも地味な題材なのだが、そこにドールという不可解な少女を紛れ込ませ、摩訶不思議な空間に引きずり込むことで、様々な鬱憤を孕んだ大学生の心情面を形作っていく。ドールは当然のように現実世界を動き回るが、あくまでそれはジュンの現実に紛れ込んだ「異物」という存在に留まり、そこに活き活きと駆け回るキャラクターとはならない。こうした「どこか不安定な幻想性」を描くというのは非常にデリケートな作業なのだが、この仕事に見事にフィットしたのが、畠山ディーンという製作体制であったわけだ。ディーンは元々こうした「どこかホラー寄り」の作品は昔から得意としており、個人的に避けて通れない「地獄少女」との関係なども一席ぶちたいくらいに思い起こされるのだが、どうも最近はディーンというと「腐向け」の印象ばかりが強くなり、なかなかこういう方向性での主張が無くなっていた。そんな状況に風穴を開けてくれそうなのが畠山守という存在。「さんかれあ」でも見せてくれた特異なデザインセンスでもって、「現実世界を歩き回るドールの世界」を、どこか儚げに、そしてどこまでも愛らしく、現実の範疇をギリギリ出ないようなさじ加減で描ききった。今回は全エピソードの半数で監督自らコンテを担当する力の入れようで、「さんかれあ」で世に知らしめた畠山ワールドを盤石なものとして開示することなった。他にも名村さんとかわたなべひろしとか、ディーンの古参の仕事も見られたし、今後とも、是非このテイストを大事にして欲しい。 中の人については……銀様マジ銀様。田中理恵・沢城のやり合いを見てるだけで軽く召される勢。あと今作を見てると、「何で仕事減ったんだろう」という面々の名前が多く連なっているのがなぁ。なっちゃんとか、まだまだ仕事して欲しいのだけども。 PR 「げんしけん二代目」 6→6 良いアニメ。やっぱり白い水島さんのアニメは本当に安心して見ていられる。履歴で確認すると、監督作品が「Another」→「じょしらく」→「ガルパン」→「アザゼルさん」→これ。すげぇ振れ幅で白水島と黒水島を行ったり来たりしてるな。順番からいくと次は黒い方の水島になるわけだが……何が出てきますかねぇ。 「げんしけん」という題材自体は、アニメにすることを考えると地味な部類である。基本的には部室でダラダラしているだけのアニメだし、単なる日常系アニメではなくてその中にちゃんとメインとなるストーリーもあるので、あまり好き勝手に演出で飾り立てるのにも向かない。過去の作品だと「×××HOLiC」あたりに近い制約がかかった原作である。しかし、そんなビハインドは一向に制限にはならず、平然と「それに見合った画」を作り出してくるあたりがしたたかである。アニメ的に独特なところなんてせいぜい女波戸のスタンドが飛び回るシーンくらいなもので、どこまでも平坦なはずなのに、何故か知らないが引き込まれてしまう。こういう画が作れるっていうのはそれだけでもすげぇことだ。 そして、「オタクと言いながらもリア充が集まって好き放題やっているだけ」というシナリオラインも、普通に考えたらなかなか共感も得にくいし、盛り上がりに乏しいものになるはずなのだが、スーパーヒロイン斑目を中心にして見事に緩急を付け、「腐女子の恋愛」「腐男子という存在」「オタクの恋愛観」といったテーマを巧みに配分しながら、綺麗に着地させることが出来た。11話のクライマックスなんて本当に感極まって泣けたし、登場直後は「いくらなんでも無茶過ぎる」と思っていた波戸君のメンタリティなんかも、気付けば共感が得られるようになってきていた。「原作をそのままアニメにしただけ」とは言うものの、これだけの中身で過不足無くドラマを組み立てることがどれだけ難しいことか。いや、お見事。 中の人についても、毎回の感想で散々触れていたので今更だが、総取っ替えされたキャスト陣はどれもこれもみなはまっていて、初見の人間は文句をつけようとまったく思わない布陣である。大野さんえげつなかったし、荻さん可愛かったし、春日部さん女神だったし。そして新キャラの並べ方も「これしかない」というポイントをついていて、特に矢島役の内山夕実がお気に入り。やっぱり彼女は現代アニメのサブとして欠かせない人材。あとはなんと言っても波戸君でしょうね。山本和臣による微妙な性別の揺れ方に加えて、遠慮無く萌え声で攻められる加隈亜衣の安定感。スー役の大空直美も、要所で大事な出番が多かったが臆することなくやりきってくれていた。恵まれたアニメだったのではないでしょうか。 俺たちの戦いはこれから最終話。まぁ原作未完ならこんなところでしょう。ちゃんと「片方」は片付けてあるのだから、アニメシリーズの締めくくりとしてはボチボチといったところ。 やっぱり「エピローグをたっぷり取ってくれる作品」というのは良いものだ。アニメの場合、昨今は尺の関係上なかなか余韻を残すことが難しくて、大抵の場合は13話目といえばラスボスとの対戦やら何やらが待ち構えていて忙しいことが多い。それはそれで盛り上がるが、こうしてちゃんと「ことが終わった後」の世界に戻って来られるのは嬉しいことである。特に、今作の場合は「何が起こっていたのか」すらよく分からない部分もあったので、「事件の後、世界がどうなっているのか」が分かるというのはとても助かるのである。ま、一言で片付けると「ジュンの野郎が割とリア充気味に」という話なのだが……奇跡が起こってから社会復帰に随分時間がかかっていた「あの花」のじんたんとはエラい違いである。これが大学生の力か。 しかし、ジュンが色んなところで上手いこと行ったのは元々生真面目な性格があったおかげである。バイトからの就職話は多少出来すぎではあるのだが、むしろあんな悪辣な環境でも耳をふさいでじっとバイトを続けていた方が不自然とも言える。ようやくそんな環境が改善され、「正当な労働対価」をもらえるようになったと考えれば、今回の件もそれなりに納得出来るかも。もし就職で話を進めてしまうと忙しくて劇団どころではなくなる気もするのだが、斎藤さんとの関係はどうやって維持していくんだろうね。まぁ、世の中にいる劇団関係の方々なんて、忙しい中でも必死に趣味のために身を削っている人も多かろうから、ジュンみたいに職を確保しつつサポートメンバーで入れるならむしろ楽な部類なのかもしれないけど。 結局、ジュンが「それなりに成功したこと」は、作中で本人も独白していたように「真紅たちと出会ったことによって起こった出来事」である。はた迷惑なアリスゲームに巻き込まれ、巻いてもいないのに命の危機にまで瀕したわけで、それなりのペイがあってもいいことだったのだから、少しくらい人生が好転してもバチは当たるまい。全ての出来事を総括すると「自分の手で作っていくこと」の大切さ、そして「選択すること」の重要さが、この「大人ジュンの世界」の「ローゼンメイデン」で得られる教訓ということになる。スタートが「巻きますか・巻きませんか」という選択であり、様々な人形との関係性を選び、更に最後には自分の進路についても考えて選ぶことになる。妙な人形なんかと出会わずとも、人生は選択の連続ってことですね。 一方の「巻いた」世界は完全に「これからだ!」エンドということで、ドールがぞろぞろと揃ったはいいものの、またもジュンが狙われ、みっちゃんまでもが狙われて大ピンチ。流石の雪華綺晶。そうそう簡単にやられるようなタマではない。おそらく原作はここから再びバトルの幕が上がるのだろうが、アニメ版はあくまでも「巻かなかった」世界のお話なのでここまで。2期があるかどうかは分からないが、きちんと一本のお話としてまとまっていたので特に問題はないです。まぁ、出来ることならば能力制限が無くなった真紅が、雪華綺晶や水銀燈相手にどのような「自分の戦い」を演じていくのかは見てみたい気もするけどね。とりあえず、真紅にとっての天敵は姉妹なんかじゃなくて単なるどら猫だってことはよく分かった。 そういえば、今回は「巻いた」世界に戻ってきたシーンが初めて描かれたおかげで、正式登場は初ののり姉や巴ちゃんなど、懐かしい顔ぶれが確認出来た。巴ってこんなに真っ直ぐ可愛いキャラだったっけ。この子が幼なじみの時点でジュンは勝ち組やないか。 「ファンタジスタドール」 4→5 今期の頭おかしい系筆頭作品。結局これ、何だったんでしょうね? 当初予定していた方向性からはまったく違う方向に羽ばたいてしまったのでなかなか評価が難しい作品なのだが、笑ってしまったのは事実だし、どす黒い期待を持って見てしまうのは紛れもない事実。「替えがきかない」作品だったのは間違いない。実際はこの狂ってる感は朝アニメでは割と見かけるものではあるが、それを深夜枠でやってしまい、何の説明もせずにあっさり1クールで終わってしまうあたり、まったく狙いが見えてこないのが怖い。はたしてこのアニメの対象は一体どんな層だったというのか。 先人を例に取るならば、たとえば「ミルキィホームズ」なんかは頭おかしい系の代表作品である。あちらもこちらも、確実に狙って「おかしいやろwww」と言われようとしていることは分かる。しかし、今作の場合、そうした「狙った狂気」を描く以外にも、どこか振り切れていないような、「普通のお話も守り通す」方向のエネルギーも働いているように見える。最終回はきちんと良い話にしようとしているし(実際なっていたかどうかは別として)、うずめのウジウジした様子は、なかなかギャグとして笑い飛ばすには酷なセッティングである。突き抜けて馬鹿な設定なら全編通して気楽に笑い飛ばせるのだが、うずめやかがみ、小町先輩などは、一応作中では真面目にドールのことを考えて悩んでいるはずなのである。真面目なことをやればやるほど「シリアスなギャグ」は際だつのだろうが、どうもこのファンタジスタギャグは「シリアスな笑い」とも違う。謎のぶん投げキャノンとか、ドラムロールとか、伝説の三行半とか、ステゴロ最強のしめじとか、ギャグについては明らかにわらかそうと思ってやっているのである。そのあたりの「真面目なんだけどボケようとしている」部分が、よく言えば狂気になり、悪く言えば食い合わせが悪いままで終わっている。この不安定さを至上の快楽とする人もいるかもしれないが、個人的には「もう少しどっちかのベクトルで吹っ切れてくれればなぁ」という思いが強かった。とにかく、終始ギスギスしっぱなしだったうずめ・ささら間の関係性が胃に悪いのよねぇ。 まぁ、こんだけ「あれがよければ」「ああして欲しい」が出てくるってことは、立派にハマってしまっていたという証拠なのだろうけども。異次元の狙い方ではあったが、レジェンドに登り詰めるにはもう少し練り込みが必要、といったレベルだろう。まぁ、延々ドラムロールを続けるうずめのgifアニメとか合ったらずっと見てても笑ってしまう気がするけども(かがみちゃんが和太鼓叩き続けるgifなら見つけた)。2期があったら喜んで観るけども。……やっぱり誰に向けたアニメだったのかが一番気になるなぁ……。 中の人……は特に無い。大橋・三澤・上坂あたりの若者が楽しそうにしているので良いなぁ、とは思いました。相変わらず津田ちゃんの声はあまり印象に残らない。ラスボス委員長先輩をやったかもさんと、ギャンブラーママンをやった倉田雅世がMVPかな。 世はことも無し、最終話。大団円、なんでしょうかね。とりあえずみんな幸せそうなので何よりですけども。 最終回と言っても原作はまだ続いているわけだし、特に節目となるような出来事があるわけじゃないので粛々と幕を下ろすだけのお話である。一応斑目の退職という事件はあったはずなのだが、そもそも斑目が真面目に働いてる姿がイメージしにくいので、会社やめたって言われても「あ、働いてたんだっけ……」くらいの印象しかなく、ことを大きく考えているのは実質波戸君くらいのものである。彼からしたら、「自分が斑目を色々と揺さぶったことで春日部さんとの関係性が動いた」→「おかげで斑目が目標喪失して自暴自棄の末退職した」みたいな図式があるわけで、確かに気分のいいものではないだろうが、基本的に斑目は「働いたら負けだと思っている」人種なわけで、案外放っておいてもそのうちやめていた可能性はあるんだよな。あんまり深刻に考えず、平日に旅行いこうぜ旅行! みたいな軽いテンションがベスト。やっぱり学生の身分というのはこういうところのフットワークが軽くていいね。 というわけで「節目となるようなイベント」がないなら無理矢理作っちゃえばいいのである。合宿回で温泉回。普通のアニメなら節目っていうか4話とか7話とかでやる奴だ。そして、これだけ色恋沙汰を扱っていたアニメなのに、何故か温泉シーンでもあまり色気がないという。やっぱり、エロさを左右するファクターっては「恥じらい」なんだろうなぁ。女湯の方も開けっぴろげで、むしろ男湯を襲いかねないテンションなのであんまりエロくない。大野さんとか、既に奇形の域で、興奮するよりむしろおののくレベル。エロさで言ったら荻さんが一番頑張ってたような気がするけど、単なる好みの問題かしら。 アニメ的には、温泉要素だけでは物足りないだろうってことで、今回はふんだんにパロディ要素が盛り込まれており、斜めの方向から最終回の賑やかさを盛り立てようとしている。まぁ、単にスーが1人頑張れば盛り上がるってだけの話なのだが、それにしても、スーの知識の広さは大したものだ。あの歳ではアニメを観るにしたって数に限度がありそうなものだが、割と年代を問わずに様々な方向からネタを拾ってきている。「立川の日本語!」っていうところは最後の「私たち!」がなかったらパロディって気付かなかったな。はたして彼女は誰を対象にネタを披露してるのだろう。げんしけんって女オタばっかりだけど、けいおんはちゃんとみんな観てるのかしらね。あとカメラ持ったら「逆光は正義!」は鉄板ね。頭上の余白は敵だ。そういえば、朽木は何故あの角度、あのコース、あのポーズで走ろうと思ったんだろうか。スーのパロディは意図的なものだが、くっちーの場合はたまたまああいう走り方になったんだよなぁ。 結局、今作の主人公であった波戸君は、何となく悩んでいたけど、斑目との対話で何となく解消された。斑目の進路も全然決まっていないけど、何となく心配してないみたい。結局、ダラダラした文化系大学生の日常なんて、こんな「何となく」の固まりみたいなもんなんですよ。それでいいじゃない。 「ムシブギョー」 4→5 良い夕方アニメだったと思いますよ。最初のうちはやたらエロ押ししてるからどうなることかと思って冷や冷やしてたんだけど、最終的には本当に見事な王道テンプレ少年漫画だったわけで。サンデーでちゃんとこういう漫画やってるのね。 夕方放送なのでそこまで気合いを入れて見ていたわけではないが、これも「ジャイロゼッター」も、作り方は丁寧だったと思う。子供向けだからって適当なアニメを作っても良いなんてことは絶対にないわけで、単純に動きで快不快を判断してくれる部分も多いだろうから、ちゃんとアクションやカメラワークなど、「見ていて気持ちの良い」作品作りを心がけないと正しい年齢層のお子さんたちには受けないだろう。今作の場合はたっぷりと尺を使ったバトルが見せ場になっており、前半は異形の蟲をばったばったと切り倒す怪物退治の爽快感を前面に出し、中盤の蟲狩との対決、後半は更に禍々しさと知性を備えた蟲人を倒すための努力と特訓、そして友情などと言ったヒューマンドラマを。取り立てて何が凄いってこともないが、こういうものが毎週コンスタントに見られるというだけでもホッとするものです。 まぁ、あとやっぱりエロも大事だったけどね。中盤以降は火鉢やお春ちゃんのあけすけなエロは減ってしまったが、代わりにずっと仁兵衛に帯同していた蟲奉行ちゃんが可憐で素敵だった。仁兵衛と彼女の関係性は非常に良い萌えファクターであり、なんだか色々と想像力をかき立てられる。最後のラブい展開もナイスだ。そして、無涯や春菊といった野郎臭いキャラもちゃんと立っているし、何よりも主人公の仁兵衛がとても分かりやすい主人公気質で、憎めないところが良い。全体的にはただひたすら「ベーシックに」ということを主眼にした作品作りであるが、本来アニメってこういうものを描くための媒体だったな、という気がしますね。やっぱりちゃんとアニメがやりたいなら2クール欲しいってことだよなぁ。 中の人については、仁兵衛役のけんぬがすっかり声優業界でもスタンスを確立させたなぁ、というのが1つ。あと無駄に真田側のキャストが豪華だったので後半はやたら盛り上がった感がある。そして、天間役の芹澤優ちゃんね。ほぼ台詞が「全力つっぱり!」しか無かった気がするけど、ショタでも可愛いです。 「有頂天家族」 6→7 これも毎週感想を書いていたから今更特に付け加えることも無い作品だが、そりゃもう楽しかった。アニメの楽しみ方って色々あるとは思うけど、今期はコレと「シンフォギア」で両極に振った全然違う楽しさがあって、他にも佳作が多数あり、実に豊作だった良いシーズンであった。ここまで「いい」アニメが乱立してるってのも珍しいと思うぞ。 今作1話目の感想を振り返ると、全ては「違和感」からスタートしている。P.A.なのに京都が舞台という違和感。久米田絵なのに森見作品という違和感。これをどうやってまとめ上げるんだよ、と訝しんでいたわけだが、そこは天下のP.A.Works。1話目の時点で既に画についてはぐぬぬと納得させられるだけの見事なものが飛び出してきたし、いざ話が進めば、なるほどこいつはP.A.お得意のジャンル。派手なアクションでも下衆なエロでもあざといパロディでもない。どこかおかしな景色の中にも不意に現れる懐かしさや、どこまでも「アニメ的」でありながら、匂いすら感じられるような不思議なリアリティ。そこに流れるのは、わずかなことでも心をちょちょいとくすぐってくるヒューマンドラマである。まぁ、今作の場合はポンポコドラマであるけれども。 考えてみれば、「違和感を見せる」というのは、乱造の続くアニメ業界で視聴者を捕まえる有効な一手である。同様に「どうやったらこれを組み合わせることが出来るんだ!?」と度肝を抜いた作品にはあの「まどマギ」があり、今作も、画の無茶、話の無茶という2つの側面を、ぐぐっとアニメスタジオがねじ伏せることで形を成している。1クール見続けてみれば、もうこれ以上無いくらいにベストマッチしており、狸たちの痛快活劇も、涙無しでは見られないメロドラマも、全て久米田絵のキャラクターでこそなし得たものだとすら思えてしまう。実際、最終回の狸大行進なんかは本当に1枚絵のレベルで愉快だったし、矢二郎のカエル姿なんかも、どこかふざけた「漫画絵」であるからこそ、滑稽さと切なさが同居したあの空気が出たのだと思う。この企画を立ち上げた人のイマジネーションに改めて敬服する。とてもじゃないが私のような凡夫では思いつきすらしない完成形だろう。 結局、「四畳半」で感心してからもあまり森見登美彦の小説ってのは読んでないのだが、今回改めて「面白い話を書く人だなぁ」ということを感じ入った。「四畳半」はラストのサプライズが新鮮で、いかにも「そういう」手合いが書いてきそうな作品だったが、今作は非常に素直な筋立ての中に、油断すると足をすくわれるようなピリッとした刺激が混ざっている感覚が気持ちいい。振り返ってみれば矢二郎のキャラクターなんかはいかにもって感じもするのだが、そのキャラが狸やカエルになることでおかしさが生まれるあたり、日本古来のおとぎ話をモチーフにしたような、懐かしさも刺激出来る絶妙なセッティング。こういう小説作品のアニメ化っていうのは、もっと色々と見てみたいものである(たまたまアニマックス再放送の「青い文学」シリーズを見ているところなので余計にそう思う)。本当に、あらゆる面で恵まれた、素敵な作品でした。 最後に中の人の話……はもういいかな。下鴨家は本当にパーフェクトな布陣。こういうのを聞いていると、やっぱり櫻井孝宏に役が回ってくるのは当然のことだな、と思える説得力。パンチの効かせ方なら吉野裕行もすごく良いし、こうしたトリッキーなキャラが活きるのは、井上喜久子、諏訪部順一、中原麻衣といったサポートが盤石であるためだ。そして能登である。東洋の魔女・能登麻美子である。本当にP.A.作品といえば能登麻美子。富山県・石川県万歳。 「宇宙戦艦ヤマト2199」 6→6 地上波放送で劇場作品をシリーズものとしてやるという、アクロバティックな放送形態を取った本作。そりゃね、劇場クオリティの作品を毎週やってくれるんだから、面白くないわけがないよね。オールドファンにはどのように受け入れられたのかは知らないが、あたしゃ何も考えずに楽しんで観ていましたよ。 「劇場クオリティ」と言っても、そこまで無条件に歓迎していたわけでもない。旧作のシナリオがどうなっていたのかは分からないが、今作の場合、元々長尺だった作品を2クールにまとめたもの。色々と改変は施されているようだ。シナリオは元々「古き良きSF」だったと思われるのだが、今作の場合、流石にちょっと現代の気風に照らし合わせるといくらか古くさいというか、アニメの展開として通り一遍のところが無いわけではない。基本的に「ヤマトピンチ」→「波動砲撃てばなんとかなる!」みたいな展開しか無いわけで、色々と目先を変えてミッションを演出してはいるが、「ひたすらヤマトが宇宙を進んでいる」というベースとなるシチュエーションが変わらない限り、次第にマンネリ化するのは仕方ないことだ。そうした中盤ダレそうな部分は、むしろガミラス側に焦点を当てて話の目先を変えるわけだが、ガミラス軍の大きさって言うのが最後までいまいちピンと来なかったのも気になる。デスラーがやりよる人物だというのはそこかしこから漂ってくる空気で伝わってくるのだが、「何故凄いのか」が分からず、実際、クーデターまで起こされているわけで、彼の「ボスキャラとしての大きさ」が伝わりきらないと、ヤマトの艱難辛苦も大きな物語になってこない。やっぱりそのあたりの「バックボーンの不足」は2クールになったことによる弊害だったのではないかと思う。 とはいえ、こればっかりは要請の結果であるし、こうしてやや緊張感に欠けたもうひとつの理由は、「結局、どれだけ盛り上げても我々が結末を知っている」という事実にあるだろう。そう、どれだけ前知識が足りないとは言っても、ヤマト最大のサプライズくらいは知識として持っているわけだし、最終的に古代がどうなるか、そして沖田艦長がどうなるか、なんて部分は全部分かっているのだ。そうした「お約束の収束点」に向かうお話なので、どうしたって完全新規のアニメに比べると興味という点では一歩譲ってしまう。今期の作品でいうと「超電磁砲」も同じ悩みを抱えており、毎週ワクワクする度合いで言えば、何が起こるかさっぱり予想出来ない「シンフォギア」とかの方が気になってしまうわけだ。 しかしまぁ、こればっかりは無い物ねだり。むしろ評価すべきは逆の視点であり、「既に知られているはずの過去のビッグタイトルを、改めて見せられるだけの看板としてリビルド出来た」という事実だけでも充分ではなかろうか。劇場並みの映像クオリティは言うに及ばず、ベテランの役者陣を結集させたキャスト陣なんて失神もの。この現場に参加出来た若手は本当にラッキーだと思う。内田彩とかね。 そして、今作は間違いなく、「今期一番エロかった作品」である。女性乗務員のスーツ姿が既に反則気味なのだが、衣装だけでは飽きたらず、いちいちポーズがエロい、言動がエロい。そして何より声がエロい。原田さん、山本さん、メルダさん、新見さん……。このヤマトは男性陣が理性を保つのがすげぇ大変そう。そしてなんと言ってもメインヒロイン、奇跡でキャスティング死亡フラグすら乗り越えてしまった森雪嬢。ま、ぶっちゃけ最近の桑島キャラはそこまで死んでないけどな。 「ふたりはミルキィホームズ」 4→4 いや、良かったですよね。実写パート。個人的にはスパイシー丸山が参戦したカレー回が好きですね。毎週ナレーションしてて「誰やねんこれ」って思ってたんだけど、あの回を見て「カレーマイスターってすげぇ、頑張れ丸山」って思ったもの。確かにすげぇ若く見えるし。カレー回はミルキィの面々も非常に溌剌としており、いず様が残念な様子とか、若い子らも負けじと情けない様子が見られて。基本的に、相変わらずの4人組に新しい風が入ってきたことがリアルに伝わってくる実写パートは全部面白かったですよ。ミルキィも役者揃いだからね。 でも、それってアニメの評価じゃないからな……。別にアニメも特に悪いところがあったわけじゃないが……流石に15分番組の1クールじゃ、せっかくの新メンバーの活躍も消化不良ですよ。っつうか、やっぱり私の求めているミルキィはこれじゃない。ラス前にG4や怪盗帝国が総出演してくれたときは不覚にもテンションが上がってしまったが、そこであげるくらいなら最初から出して欲しかったのである。まぁ、あくまでフェザーズ2人の紹介番組ってことで理解しておけばいいのかねぇ。ほら、あれでしょ、ここで導入しておいて、前みたいに森脇監督の指揮下で「6人はミルキィホームズ」っていうぶっ壊れアニメを作るんでしょ。先輩のギャラクシーエンジェルだって、烏丸ちとせなんて新キャラが入ってきた時には妙な抵抗があったものだが、ミルキィはこうして先に真面目路線で2人を入れておいたから大丈夫さ。さぁ、新人の伊藤彩沙は壊滅的ギャグのミルキィワールドで実力を試されることになるぞ! ……っていう今後の展開だったらいいなぁ。考えてみりゃ、ミルキィってシャロたちもトイズ自体は割と地味なんだよ。だから、まともに能力を使って探偵やられてもピンと来ない。むしろトイズが使えないダメダメなミルキィの方が楽しい。フェザーズも当然のようにトイズが地味なので、きっとダメダメになった方が輝いてくれるに違いない。 結局、本筋はあんまり印象に残らなかったわけですわ。一応今作で気に入った点を挙げておくと、全然本筋と関係無いけど、小衣ちゃんの部下の子が好きだった。せっかく「十津川警子」っていう良い名前があるのに「秋山殿」としか認識してないんだけど、とにかく中上育実の躍進に期待。この子とか井澤詩織とか、ガルパン絡みのキャストは今後の発展が気になるのですよ。 |
ブログ内検索
リンク
最新記事
(03/19)
(03/19)
(03/18)
(03/18)
(03/18)
(03/17)
(03/17)
(03/16)
(03/15)
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子 ーーーーーーーーーー ↑越えられない壁 沢城みゆき 斎藤千和 中原麻衣 田中理恵 渡辺明乃 能登麻美子 佐藤利奈 佐藤聡美 高垣彩陽 悠木碧
アーカイブ
|