次回予告の嘉彦・ダルタニアンこむちゃコンビがあまりに馴染み過ぎてて違和感が仕事しない第10話。ダルタニアンが作中で一番サムライっぽいのってどうなんでしょうね。
サブタイトル通り、これまで蓄えられてきた謎が一気に判明したお話。大日本の礎となった鎮護石の存在と、その破壊を目論む悪の存在。1期の物語との接続説明に、ダークサムライたちの正体も判明するなど、ようやく「ドタバタメイド喫茶萌えアニメ」でしかなかった本作が「サムライアニメ」としての形を成し始めた。エロギャグとシリアスでどっちがいいかは議論の分かれるところかもしれないが、ここまでたっぷり時間をかけてキャラを積み上げてきたおかげで、割とテンプレ通りの分かりやすい物語も、それなりに見応えのあるものになっているとは思う。
嘉彦から明かされた現在の状況は、決して明るいものではなかった。天草の陰謀による義仙と十兵衛の対決を経て、鎮護石を守護する結界は甚大な被害を受けたという。いかなダルタニアンといえども、全ての迫り来る悪を排除するには至らなかった。未だ見えぬ敵側黒幕の手によって目覚めさせられた4人のダークサムライは、これまでの歴史が積み上げた武力の粋である。4人がかりで挑まれては、いかに将軍の騎士であるダルタニアンも退けることは出来ない。嘉彦の入れ知恵により、彼女はいったんダークサムライたちの視線を十兵衛に逸らし、その間に結界再構成の時間を稼ぐことに。十兵衛が覚醒出来なくなっていたことは誤算だったが、結果的には武蔵のキャラと相まって一ヶ月の時間を稼ぐことには成功した。しかし、惜しくもあと1日というところで時間が足りなくなるかもしれないという状況。果たしてダークサムライとの対決に打ち勝つ打開策はあるのだろうか。
それぞれの使命を持って決戦の日に向かう柳生道場の面々。将である宗朗は胤舜に施された結界と抗うも、結果は出せず。千姫と半蔵は武芸の稽古。半蔵があそこまで露骨にサムライブライド絡みでデレることになってるのはちょっと意外である。お前さん、ここまでの流れで大して宗朗とフラグ立ててないやん。まだべーたさんの方がありそうな気がするで。幸村と半兵衛は嘉彦から引き取った資料を漁り、ひたすらサムライブライドについての資料集め。ようやくその手がかりを掴むことには成功したが、その内容はあまりに衝撃的なものであった。これから先の戦いでキーとなるであろうサムライブライドの存在は、果たして8人が一致団結して導き出せるものになるのかどうか。そもそもマスターサムライって、今7人じゃなくて6人と1匹なんですけど、それはいいんですかね? 兼続、飯食ってる場合じゃない。
そして、今回「7人のマスターサムライが」と数に言及されたことで完全に宙ぶらりんの状態になったのは義仙である。結界崩壊の一因となっていたことも明かされ、またもグレーな状態に転がり込んだ義仙。回想シーンで久しぶりに見せてくれた白墨を見ると、やはり彼女は異端の存在であるという気がしてくる。彼女も対決の日までに「何か」を狙っているようなのだが、それは宗朗を守護するための方策なのか、それともダークサムライとはまた別の、「悪の」企みを持つものなのか。最後の最後までやきもきさせやがる。
そんな柳生道場の面々との対決を控えるダークサムライ4人衆の存在こそが、今回一番のトピックスといえるだろう。巨悪の正体は未だ闇の中だが、ついに明かされたダークサムライ誕生の目的。そして、4人が4人とも異なった意志をいだくことになってしまった悲しい過去など、今期の主役はどちらかというと柳生の面々ではなしにこの4人であると言ってしまってもいいだろう。
現在の状況を作り出した最大要因である武蔵。「対決バカ」と言われた彼女の場合、本当に全く裏が無かった。とにかく「強い奴と戦いてぇ」だけが行動理念であり、それ以外の部分では生前に持ち続けた無骨な「武士道」を貫き通す。「最も強い敵を倒す」という目的意識は黒幕の願っていたものであるはずなのだが、やはり曇りのない志のおかげで、大日本転覆を企む悪の意志とは多少ずれてしまったようである。改めて小次郎や又右衛門から復活の目的を聞かされても、おそらく彼女はさほど動じないであろう。そんな武蔵に振り回され、彼女の背中を追い続ける小次郎。策謀を巡らし、影で動くスタイルを維持していため、真っ先に自分たちの境遇を知ってしまった不幸な立ち位置である。又右衛門の不遇を見て逡巡する彼女も、「敵を打ち倒す」という目的そのものに不平不満は無いだろう。しかし、彼女が第一に理念として掲げるのはあくまでも「武蔵のため」という部分である。邪悪な思惑によって武蔵の信念が崩れてしまうような事態になれば、彼女はきっと自分の意志で動くことになるだろう。
残された2人は「悲劇のヒロイン」と言ってしまっていい。前回まで必死に又右衛門の暴走を抑止していた胤舜は、どうやら「黒幕」の影響を最も強く受ける人物である。「依り代」と呼ばれていたことからも分かる通り、ラスボスの最終的な顕現先はおそらく胤舜だ。彼女は自らの意志でそれに抗い続けているのだろう。十兵衛との友情を守るために、彼女は厳しい自分との戦いを続けなければならない。そして、胤舜よりも一足先に「堕ちて」しまった又右衛門。復活が完全な形ではなく、それ故に悪の意志の影響を一番強く受けてしまう「操り人形」。全ての事実を知っても呵々と笑って戦乱へと進み始めた又右衛門の真意は、果たしてどこにあるのか。そして、そんな又右衛門を残りの3人はどのように見るのか。今回の又右衛門のネジの外れた演技は、エネルギーの塊、戸松遥の真骨頂。やっぱりこういうブチギレ方が最高にクール。
今回のことではっきりしたのは、ダークサムライ側も間違いなく「サムライ」であり、大日本という舞台を長いスパンで観れば、間違いなく主人公側に回るべきキャラである。おそらく辛い戦いが待っているのだろうが、何とか邪悪な楔を解き放って、サムライとしての活躍を見せて欲しいものだ。一応、宗朗側のマスターサムライを除いて残りの戦闘要員をカウントすると、ダークサムライ4人、ダルタニアン、義仙、そして少々無理矢理だが前田慶次。一応、もうワンセットサムライブライド分の7人はかき集められるんだ。全員の友情の矛先は十兵衛にしか向かないから、十兵衛を加えて慶次を外してもいいかも。つまり、柳生道場7人でレベル1サムライブライド、残り6人を更に突っ込んでレベル2サムライブライド。……そうなったらアツいんだけどなぁ。流石に無理かなぁ。
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