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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 何とも不思議な視聴感に、コメントに困り続けている第3話。この空気は嫌いじゃないし、様々な気になるポイントがあるんだけど、これはそういう細かいポイントを気にしながら見るべき作品なのかどうか……3話見て立ち位置が決まらないってのも珍しいです。

 今回は3人の隊員がさっさと外出することで、カナタとリオの2人の交流が描かれるとともに、憧れの先輩であったリオの別な側面がクローズアップされる。カナタが倒れてしまって必死で先輩が看病するという筋立ては一応メリハリがあるものの、非常にオーソドックスで、ひっかかりの無い脚本。本当に「話だけ」を追うならば、はっきり言って陳腐なものであろう。いくらか背景はあるもののリオがカナタの症状にあそこまでテンパるのはちょっとついていけない部分があるし、そんな心配に比してあっさり治ってしまうカナタも拍子抜け。1話だけでエピソードを切り取った時には、何ともちぐはぐな印象を受ける。

 もちろん、この作品の場合、そうした一面的な見方をするのは正しい姿勢とは言えないため、こうした評価は実際は的外れといえる。リオがカナタの病状に動転してばたばたと騒ぎ立てるのには彼女の母親(かなぁ)が過去に似たようなシチュエーションで苦しんだという背景があるようだし、彼女の動転ぶりから、この世界の文化水準をうかがい知ることが出来るようになっているのは、シナリオ全体で少しずつこの世界を切り崩して紹介していくこの作品ならではの描写ポイント。2人の会話や床に伏せるカナタの様子を見るだけで、何とも奇妙なこの世界の文化が様々な点から確認出来るのは興味深い部分だ。また、普段は頼れる先輩として毅然とした態度を取っているリオも、実際は普通の女の子で、様々な感情を露わにする側面が伺えるのも楽しい部分。まぁ、これには中の人小林ゆうの紙一重の演技の影響もあるかもしれないけど。

 とまぁ、シナリオ面については「何となく楽しめているからいいです」というぐらいの感想で置いておくとして、やはりこの世界を構築するあれやこれについての描写が気になって仕方ない。優れた背景描写や、演奏シーンでの空気作りがメインウェポンの作品なのだから、丁寧にくみ上げられる世界の背景を読み解くのが、本来的な楽しみ方なのではなかろうか。

 まずは食文化。見たところカナタの作った朝食は純正和食。そして、その中で味噌汁だけはリオから「珍しい」とのコメントをもらっている。どうやら焼き魚、白飯は一般に流布した文化で、味噌は郷土に根ざした局所的文化と言えるようだ。醤油(ソイ)も一般的に使われているし、それを作る原材料、大豆は「ビーンズ」。教会ではせんべいを作っており、中におみくじを入れるのはフォーチュンクッキーの文化だ。

 次に宗教。リオは過去に母親(仮)の病床で宗教家に何かされた(もしくは何もされなかった)せいで遺恨があるようだが、きちんとこの町にも地域に根ざした教会が存在している。衣装を見る限りではいわゆるキリスト教徒のシスターに近く、教会の形状や呼び名も西洋風。しかし、シスターの子の経文には「八百万の神」という言葉が登場しており、修道としては神道の影響が伺える。せんべいの中身のおみくじは「大凶」「大吉」だったのでおみくじだ。

 そして文字、言語。「大吉」「大凶」は完全に漢字文化なはずだが、おみくじでその下に書かれた文字はひらがなでは無い模様(ちょっと読めないけど)。前回日本語らしき教科書を見て「イデア文字」と呼称していたが、少なくともリオたちは「大吉」の意味は理解している。また、上記のように「せんべい」などは日本語語彙がそのまま使用されており、「ビーンズ」「ソイ」などは英語が流用される。

 最後に音楽。これはややメタ的な視点が入らなければいけないが、ラッパが存在しており、さらに今回リオは「金管は珍しい」との発言をしていることから、他の楽器も当然存在している。ただ、タケミカヅチが音楽を奏でた演奏については「様々な旋律が組み合わさる」という説明を施しているだけで「オーケストラ」などの言葉は出てこず、あまり音楽的文化が成熟しているとは言えない部分もある。そして、カナタの志の根源となった「そらのおと」は、なんと「アメイジング・グレイス」。これはメタフィクションとしてたまたまこの曲が選曲されたのか、それとも実在の名曲がこの世界にも残されていることで何らかの意味があるのか。特に意味がないのなら、この「アメイジング・グレイス」はオリジナルの楽曲を充てることも出来たはずである。そこを敢えて実在の曲にしているということは、どうしても制作者側の意図を勘ぐらずにはいられない。ただまぁ、視聴者の耳にも馴染んだ実在の曲を「名曲」として当てはめることで、いろいろな描写を省くことが出来るといううま味はあるんだけど。

 まぁ、色々と面白い部分はあるんだけど、今回は素直に、カナタの回想で流れるアメイジング・グレイスと、それに伴って次第に晴れ渡っていく青空の描写など、相変わらず丁寧な筆致が好感触。見ていてホッとするのに、どこか落ち着かない絶妙なバランスは、なんだか癖になる独自の味です。これ、1クールなんだよなぁ。 

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