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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ようやくこの作品の本質が見えた気がする第16話。黒子がマジだといまいち盛り上がらないってのは周知だったけど、今回は重っ苦しい雰囲気の中、腹マイトの蛇谷に対して黒子が「いつの時代の方ですの?!」って叫んだところでなんだか全部許せる気がした。次回予告も良かったし。やっぱ黒子でしょう。

 今回は前回からの引きで固法先輩の過去エピソード。同室の柚ねぇ(中の人)に「みぃ」って呼ばれてて「本名はなんて言うんだろーなー」と思ってたら「美偉」なのね。相変わらずこの作品の中の名前はおかしい。

 さておき、そんな固法先輩を中心に据えてはいるが、一応この作品全体の構成としては、御坂が「正義」と「個人」という問題について少し考えを改めるというファクターと、蛇谷のバックについていた謎の能力者抑制音波の開発者の存在を臭わせる意味がある。そのため、極論すれば、この2つの要素さえ描けてしまえば、黒妻がどんなすけこましだろうが、蛇谷がどんなヘタレだろうが後腐れはない。好きなように2話でまとめられるならば、アニメオリジナルであるという武器を最大限に発揮できる枠といえる。ただ、そんな中でもどうにも御坂の立ち位置が思わしくないのが気になるところ。冒頭では佐天と意見がかみ合わず、静観を決め込んだ黒子と比べるとどうしても子供っぽく、自分勝手に見えてしまうというあまりよろしくない現象が起こっている。せっかくのメインヒロインなのに、彼女の人気が落ちてしまわないかと心配だ。

 今回のシナリオを見てはっきりしたことがある。それは、「この作品に決定的に欠けていたのは、御坂の過去話である」という事実。その論拠は以下である。

 まず、今回固法先輩をだしにして描かれた2つの主義がある。それは、ビッグスパイダーに代表される「能力が無くてもそこに人格と人権は存在するので、個人は認められるべし」とする主張と、ジャッジメントに代表される「都市の機能が絶対であり、住民は須く能力に対して真摯であるべし」という主張。これまでこの作品では、前者の主張を体現するのが佐天であり、後者の主張を体現するのが御坂であった。レベルアッパーを巡る一連の騒動では後者の「能力絶対主義」に一種のイレギュラーである木山計画が絡んで前者の「人格容認主義」の代表である佐天が苦悩することになったわけだ。そして、この佐天の苦悩が、作品世界の押しつけた多大な誤謬を孕んでいたことは、何度もこの記事で確認したことである。

 そして、今回固法先輩は新たに2つの主義の間を行き来した初のキャラクターとして作品世界に関わった。彼女の過去話が掘り下げられることにより、頑健な「能力絶対主義」であった御坂は、「人格容認主義」の主張にようやく耳を傾ける機会を得る。「能力者であれば、迷うこともあり、落ちることもある」と。そして、その少しだけ揺れ動いた御坂の思想は、ビッグスパイダーを表す真っ赤なジャケットをまとった固法先輩にジャッジメントの腕章を付けることで一応の決着を見る。言うなれば「無能力者の言い分も分かったから、今のところはとりあえず弾圧しとけ」ってことになるわけだが、少なくとも固法先輩に単独行動を認めた部分だけは、御坂の譲歩といえるだろう。

 で、この作品の最大の問題点は、この「御坂の頑強な思想」が全く共感を呼ばない点にある。何度も書いたようにレベルアッパーがズルである理由が分からなかったし、能力開発を謳いながらスキルアウトの存在を放置しているような奇妙な都市のシステムも疑問と疑念を生む。佐天というキャラクターが非常に視聴者の共感を得やすいのも御坂にとっては逆風だし、今回の固法先輩のエピソードも最終的には黒妻寄りの視点で幕を引いている。つまり、作品構成自体が、御坂の持論に説得力を持たせようとしていないのである。確かに13話での御坂の圧倒的な力の演出は格好良かったが、それはあくまで女子中学生のちょっとした武勇伝。力を持つ者の自己顕示でしかなく、御坂美琴というキャラクターのバックボーンを補足しない。せっかく「レベル1から努力をしてレベル5になった」というエピソードがあるのだから、そこで御坂が経験した苦闘を描ければ、いくらか御坂寄りの論調にも支持が得られるとは思うのだが。

 もちろん、最後まで通してシリーズを見なければ、現在の脚本に不備があるかどうかは分からない(最終的に御坂が佐天側に転ぶのかもしれないし)。原作設定に元々無理難題もあるので、どんなに軌道修正しても説得力のある脚本に仕立てるのは難しいのだろう。それでも、今回のエピソードは上記の「御坂の持つ正義感」さえ受け入れられれば、腕章とジャケットの持つ意味の演出とか、黒妻の言う「居場所」の持つ意味とか、なかなか気の利いた出来になっているのだ。実に勿体ない話ではないか。いつの日か、この作品を忌憚なく楽しむことが出来るようになればいいのだが。 

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