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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 そういや1日って映画安いやん、ということを思い出し、駆け込み視聴へ。ゴールデンウィーク中だからそこそこ混んでたけどね。まぁ、安く見られるならそっちの方がいいでしょう。

 

<一応、以下はネタバレ注意。まぁ、ネタとか特にないけども>

 

 さて、世間的にはそれなりに評判も良いみたいなのだが……はぁぁぁぁん。凄かったです。これはたまらん。世界中の西明日香ご推薦です。どんな内容かを一言で説明すると、「たまこのラブストーリー」です。ホントにそれだけです。もっと細かくあらすじを書くと、もち蔵がたまこに告白します、たまこが悩みます、返事します。終わりです。本当にそれで終わりです。でも、これで良いのです。コレがよいのです。これがすごく良いのです。まったくもって比べるものではないけど、京アニ映画の中では一番好きかもしれない。もう、とにかくたまこが、もち蔵が、みどりちゃんが、かんなちゃんが。はぁぁぁぁぁぁん。

 そうね、たとえば、152キロのストレートが投げられるピッチャーは最近の日本の野球界にもそれなりにいるけど、フルイニング、100球以上投げても球威もコントロールも落ちずに投げ続けられる人間はそうそういない。全盛期のダルビッシュでもキツイ。しかし、この映画はそれをやってのけている。ラブコメアニメ、青春アニメを見ると、クライマックスに盛り上がってきゅんきゅんすることがある。中二病なんかはアニメシリーズ2回でどっちもそうだった。特に2期は水族館、鹿児島、最終回で3回もきゅんきゅんした。でも、それだってテレビシリーズで3回だ。この映画は、開始直後から始まって、ほぼずっとこれが維持される。ずっとドキドキしっぱなしで、まさに視聴者が恋する高校生になれる。中の人の言葉を借りるなら、本当に「穏やかじゃないわね」。もう、ずっと涙腺を寸止めされてる感じで感情のコントロールが大変だ。

 京アニが作る純愛ストーリーの破壊力はいつもの通りである。絵に力があり、動きに意味が込められているのはいつものこと。山田監督をはじめとするスタッフ陣の力に疑問を差し挟む余地はない。おそらく、京アニ作品ではこれまでだってやろうと思えばこういったものを作れたのだろう。しかし時代の要請か、はたまた気まぐれなのか、これまで、意外にも「ド直球のラブストーリー」っていうのはあんまりなかった。あらゆる作品に「ラブ」の要素はあるはずなのが、それはあくまでシナリオの流れの1つであり、そこにメインテーマが置かれたことがなかった。そして、満を持して北白川たまこと、大路もち蔵が挑戦権を手にし、見事にゴールにバトンを繋いだのだ。これが本気というやつだ。もう、何もかもかなぐり捨てて、それだけを描いた潔さは、充分にペイするだけの純度にまで仕上がっている。これだけシンプルな筋立てなのに、1つのドラマとして一切の無駄がなく、どこまでも周到に1つのゴールへ向けて紡がれていくその物語は、まさに「ラブストーリー」と冠するのに相応しい。

 もうちょっと具体的に中身に触れると、今作の面白いところは、前半と後半ではっきりと主人公が入れ替わっているところ。前半はもち蔵視点を中心にし、「いかに告白するか」までを扱っている。そして、みどりちゃんに太鼓判を押された通りに、もち蔵はきちんと男を見せたのである。中盤のクライマックスとなった告白シーンは、もう本当にどうにかなってしまうそうなドキドキ具合。頑張った男の子。そして、そこから先はたまこのターン。何故かべらんめぇ口調に変貌するテンパリたまこは、「マジでこの子は一切これまでそういうこと考えずに生きてきたんか……」と絶句するほどのピュアピュアっぷりだが、それこそがたまこである。そして、彼女はアホで天然ではあるが、はっきりと自分自身の問題に向き合わなければならないことを自覚する出来る強さと、全てに最善の結果をもたらすだけの優しさを持ち合わせている。最終的にはクラスメイトに色々とアドバイスをもらう形になっていたが、彼女が真正面から「挫けて」漏らしたのはみどりちゃんただ1人。それ以外の局面では、全て自分で考え、自分の意志で動いて決着をつけた。そこにいたるまで、随分時間がかかってしまったが、そりゃぁ北白川たまこなのだからしょうがない。彼女があそこから二つ返事で答えを出したら、そりゃ嘘だろう。とにかく迷って、悩んで、苦しんでゴールへと至るまでの道程は、どんなにアツいスポ根ものよりも、努力があって、勝利があった。もう、こんな女の子がいるなら国で保護した方が良い。もち蔵は、末永く爆発してもらうしかない。

 徹頭徹尾「ラブ」を描いた物語であり、そこには本当にグルグルとかき乱される男の子と、女の子の気持ちだけがある。2人して悩みぬくシーンは、要所要所でBGMすらなくなり、ひたすら2人の内面へと沈み込む演出となっている。きっかけとなったBGMを拾い上げると藤原啓治の熱唱ラブソングだったりするのも愉快だ。どれだけたまこが内へ内へと籠もりきったときでも、ちゃんと回りに家族がいて、友達がいて、商店街のみんなが居てくれるのがとても暖かい。誰もが皆「たまこがちょっとヘンだぞ」ということには気付いているのに、1人として「何かあったの?」と直接的に聞いてくる人はいない。みんな、必要とあらばたまこが自分から聞いてくるだろうことは分かっているのだし、そうしないということは、あとはたまこを回りから見守るだけでいいということを知っているのだ。何も親身に尽くすばかりが愛情ではない。こうして、「ただ周りにいること」が力になる関係がある。そして、男女の恋愛感情なんてものはどこまで言っても2人の問題なのだから、このお話における商店街全体のスタンスは、どこまでも模範的である。ほんと、「悪意の無い世界」が素晴らしい。「けいおん」や「たまゆら」などでも「悪意のない世界」というのは描かれていたのだが、その中心が「ラブ」なのって本当に珍しいし、とてもとても難度の高い作品だったと思う。よくもまぁ、ここまでのものに仕上がったものだ。あのエンディングの潔さも恐ろしいほど。これはもう、ずっときゅんきゅんしていよう。いくらでも未来予想図が描ける、「万人が幸せになれるエンディング」であった。

 もちろん、たまこともち蔵以外の回りの人間の活躍もちゃんとフォローしないと片手落ちの感は否めない。ホントにね、テレビシリーズでも随分打ちのめされたんだけどね、みどりちゃんの表情が映るたびに辛くなるよね。たまこももち蔵も彼女の気持ちは理解してない状態でこれだけのドラマを作っちゃってるからなぁ……本当に切なすぎてどうしようもなくなる。でも、たまこのためにならどこまででも尽くしてくれる。なんかもう……幸せになってくれ……。たまこがただ1人、親友として弱音を漏らしてくれたのが自分だった、っていうことを理解したみどりちゃんの心境が、本当にどうしていいのか分からないのよね。嬉しいけど、悲しい。彼女の矛盾は解消することはないのだろうなぁ……。対照的に100%賑やかしポジションのかんなちゃん。今作のお笑いポイントの6割は彼女が持っていった(あと3割くらいがテンパリたまこ)。流石に1人じゃ家は建てられないと思うぞ。そんなん言われた恋人はどうしたらいいんだ。とりあえず土地用意しろ土地!(用意しそうで怖い)

 その他にも、わたくし的にはあんこちゃんは相変わらず重要なポジションだし、今作は北白川家・大路家の両親も本当に大事な役割を果たしている。特にたまこの親父さんは、2人の関係について(というかもち蔵の気持ちについて)は大体分かった上で、あの病院での台詞を言ってるんだよなぁ。「男だから」っていう理由で語りあえるあの関係性はすごく羨ましい。そして要所で締める喫茶店のマスター。まぁ、彼がどこまで分かってしゃべってるのかは謎のままですけどね。本当にいいとこだよね、うさぎ山商店街。テレビシリーズでこの「舞台」を丁寧にお膳立てし、外堀が完全に埋まった状態で、劇場版は直球のみを放り続ける。このディレクションはものすごい英断だったなぁ。アニメ映画の新しい指針になるかもしれない。いや、割とマジで。

 さぁ、最後は当然中の人の話だ。もう、みんなで「綺麗な洲崎綾」を堪能しようじゃないか。やっぱりあやっぺは強いわ。マコがいようが、リッツがいようが(そしてあやっぺ本人がいようが)、たまこはどこまでもたまこになる。どこまでも純粋に目標に向かって邁進する中の人のピュアな部分が、全てここに特濃で現れ出ている。もう、それだけで充分だ。もちろん、もち蔵の中の人だってかなり頑張ってたんだ。告白シーンとか、本当にドキドキしっぱなしでしたしね。もう、とりあえず今作はこの2人で充分だわ。

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